(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6770143
(24)【登録日】2020年9月28日
(45)【発行日】2020年10月14日
(54)【発明の名称】金属フェースを備えるポリマー・ゴルフ・クラブ・ヘッド
(51)【国際特許分類】
A63B 53/04 20150101AFI20201005BHJP
A63B 60/02 20150101ALI20201005BHJP
A63B 102/32 20150101ALN20201005BHJP
【FI】
A63B53/04 A
A63B60/02
A63B102:32
【請求項の数】20
【外国語出願】
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2019-121366(P2019-121366)
(22)【出願日】2019年6月28日
(62)【分割の表示】特願2017-535992(P2017-535992)の分割
【原出願日】2016年1月8日
(65)【公開番号】特開2019-193847(P2019-193847A)
(43)【公開日】2019年11月7日
【審査請求日】2019年7月17日
(31)【優先権主張番号】14/593,406
(32)【優先日】2015年1月9日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591086452
【氏名又は名称】カーステン マニュファクチュアリング コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】特許業務法人快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】レイモンド ジェー. サンダー
【審査官】
槙 俊秋
(56)【参考文献】
【文献】
特開2013−090747(JP,A)
【文献】
特開2010−110531(JP,A)
【文献】
米国特許第6050904(US,A)
【文献】
米国特許第6146571(US,A)
【文献】
米国特許第6648774(US,B1)
【文献】
米国特許出願公開第2014/0323237(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2005/0266933(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 53/04−53/06
A63B 60/02
A63B 102/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
打球面、前記打球面とは反対側にある背面、延長部材、およびフランジを含み、前記フランジが、前記延長部材を介して前記背面から分離されているとともに前記打球面の一部に対して約30度以内で平行である、クラブ・フェースと、
ポリマー材料から形成され、クラウン、ソール、ホーゼル、フェース・サポート、および前記クラウンと前記ソールの間に位置する周辺を含むボディと、を備え、
厚い前記ポリマー材料の帯が、前記ボディの前記周辺に設けられており、
前記フランジは、前記フェース・サポートが前記フランジに接触してそれを囲み、前記クラブ・フェースを前記ボディに結合するように、前記フェース・サポート内に埋め込まれており、
前記ボディは、前記ポリマー材料内に取り込まれた1つ又は複数のウェイトを含む、
ゴルフ・クラブ・ヘッド。
【請求項2】
前記クラウン又は前記ソールの成型中に前記1つ又は複数のウェイトをオーバーモールドすることにより前記ボディに前記1つ又は複数のウェイトが形成される、請求項1に記載のゴルフ・クラブ・ヘッド。
【請求項3】
前記1つ又は複数のウェイトは、前記周辺の帯に一体に成形されている、請求項1に記載のゴルフ・クラブ・ヘッド。
【請求項4】
前記1つ又は複数のウェイトは、成形工程中に作成された凹部の中へと別個に接着されている、請求項1に記載のゴルフ・クラブ・ヘッド。
【請求項5】
前記1つ又は複数のウェイトは、前記クラウンと前記ソールの間に前記ゴルフ・クラブ・ヘッドの周辺に隣接して設けられている、請求項1に記載のゴルフ・クラブ・ヘッド。
【請求項6】
前記フランジと前記クラブ・フェースの前記背面の間の距離は少なくとも5.0mmである、請求項1に記載のゴルフ・クラブ・ヘッド。
【請求項7】
前記フランジは、対向する側部間を伸びる複数の穴を画定しており、
前記フェース・サポートの一部が前記複数の穴のそれぞれの中に設けられている、請求項1に記載のゴルフ・クラブ・ヘッド。
【請求項8】
前記ホーゼルは、前記フェース・サポートと一体に形成されている、請求項1〜7のいずれか一項に記載のゴルフ・クラブ・ヘッド。
【請求項9】
前記ボディの全体は、単一の連続する部品として形成されている、請求項1に記載のゴルフ・クラブ・ヘッド。
【請求項10】
前記ボディは、前記ソール内に位置する単一の継ぎ目を含んでおり、
ソール・プレートは、前記ボディに接着されている、請求項1に記載のゴルフ・クラブ・ヘッド。
【請求項11】
打球面、前記打球面とは反対側にある背面、延長部材、およびフランジを含み、前記フランジが、前記延長部材を介して前記背面から分離されている、クラブ・フェースと、
ポリマー材料から形成され、クラウン、ソール、ホーゼル、フェース・サポート、および前記クラウンと前記ソールの間に位置する周辺を含むボディと、を備え、
厚い前記ポリマー材料の帯が、前記ボディの前記周辺に設けられており、
前記フェース・サポートは、前記フェース・サポートが前記フランジの対向する側部間を伸びるとともに協働して前記クラブ・フェースを前記ボディに結合するように、成形されており、
前記ボディは、前記ポリマー材料内に取り込まれた1つ又は複数のウェイトを含む、
ゴルフ・クラブ・ヘッド。
【請求項12】
前記クラブ・フェースの前記打球面は、側壁部分を通って前記フランジに結合している、請求項11に記載のゴルフ・クラブ・ヘッド。
【請求項13】
前記側壁部分は、前記ゴルフ・クラブ・ヘッドの外面を形成する、請求項12に記載のゴルフ・クラブ・ヘッド。
【請求項14】
前記クラウン又は前記ソールの成型中に前記1つ又は複数のウェイトをオーバーモールドすることにより前記ボディに前記1つ又は複数のウェイトが形成される、請求項11に記載のゴルフ・クラブ・ヘッド。
【請求項15】
前記1つ又は複数のウェイトは、前記周辺の帯に一体に成形されている、請求項11に記載のゴルフ・クラブ・ヘッド。
【請求項16】
前記1つ又は複数のウェイトは、成形工程中に作成された凹部の中へと別個に接着されている、請求項11に記載のゴルフ・クラブ・ヘッド。
【請求項17】
前記1つ又は複数のウェイトは、前記クラウンと前記ソールの間に前記ゴルフ・クラブ・ヘッドの周辺に隣接して設けられている、請求項11に記載のゴルフ・クラブ・ヘッド。
【請求項18】
前記フランジは、対向する側部間を伸びる複数の穴を画定しており、
前記フェース・サポートの一部が前記複数の穴のそれぞれの中に設けられている、請求項11に記載のゴルフ・クラブ・ヘッド。
【請求項19】
前記ホーゼルは、前記フェース・サポートと一体に形成されている、請求項11〜17のいずれか一項に記載のゴルフ・クラブ・ヘッド。
【請求項20】
前記ボディは、前記ソール内に位置する単一の継ぎ目を含んでおり、
ソール・プレートは、前記ボディに接着されている、請求項11に記載のゴルフ・クラブ・ヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2015年1月9日に出願された米国特許出願第14/593,406号からの優先権の利益を主張するものであり、その全体を参照により本明細書に組み込む。
【0002】
本開示は、一般に、金属フェースおよびポリマー・ボディを有するゴルフ・クラブに関する。
【背景技術】
【0003】
ゴルフ・クラブは、一般に、細長いシャフトの端部に設けられたクラブ・ヘッドを含むことができる。プレー中に、意図された方向に、かつ望ましい垂直方向軌道でボールを打ち出すように、クラブ・ヘッドをスイングして地上に置かれた静止ボールに接触させることができる。
【0004】
ゴルフ・クラブ・ヘッドを形成する場合、多くの設計パラメータを考慮する必要がある。例えば、設計は、クラブとボールの間、ならびにクラブと地面の間で繰り返される衝撃力に耐えるのに十分な構造的弾力性を提供しなくてはならない。クラブ・ヘッドは、様々なルール設定協会により設定された最大寸法要件に準拠する必要があり、クラブのフェースは、事前に定義された最大値(適用可能な基準に従って測定される)を超える反発係数を有してはならない。いくつかの事前に定義された設計制約が満たされていると仮定すると、クラブ・ヘッド設計は、通常、重心の大きさおよび位置と、重心および/またはシャフトに関するヘッドの慣性モーメントにより定量化される。
【0005】
クラブの慣性モーメントは、(特に、中心を外れて打っているときの)回転に対するクラブの抵抗力に関係し、クラブの「寛容性(forgiveness)」の尺度としてしばしば理解されている。典型的なドライバー設計では、ボールをプッシュアウトさせる、またはフェードさせるクラブの傾向を低減するために、高い慣性モーメントが望ましい。高い慣性モーメントを達成することは、一般に質量を、(重心回りの慣性モーメントを最大化するために)可能な限りクラブの外周近くに、(シャフト回りの慣性モーメントを最大化するために)可能な限りトウの近くに配置することを含む。
【0006】
慣性モーメントは、クラブ・ヘッドの寛容性に影響を与えるが、クラブ・フェースの後部(およびソールの上)の重心位置は、概して、所与のフェースのロフト角に対するショットの軌道に影響する。可能な限り(フェースから)後方に離れて、かつ(ソールの近くに)低く位置する重心は、通常、より前方に、かつ/または高く配置された重心を有するクラブ・ヘッドよりも高い軌道を有する飛球が得られる。
【0007】
高い慣性モーメントは、クラブ・ヘッドの周辺の重量を増すことにより得られるが、クラブ・ヘッドの全体質量/スイング・ウェイト(すなわち、重心の大きさ)の増加は、クラブ・ヘッド速度および飛距離に対して強い負の効果を有する。別の言い方をすると、クラブ・ヘッド速度(および飛距離)を最大化するためには、より低い全体質量が望ましいが、より低い全体質量は、概して、クラブ・ヘッドの慣性モーメント(および寛容性)を低下させる。
【0008】
スイング速度(質量)と寛容性(慣性モーメント)との間の緊張関係において、クラブの性能を、特定のゴルファーまたは能力レベルに合わせるように、クラブ・ヘッド全体の特定の位置に、様々な量の質量を配置することが望ましい可能性がある。この方法では、全体のクラブ・ヘッド質量は、概して、構造的な質量と任意裁量の質量との2つの範疇に分類することができる。
【0009】
構造的な質量は、概して、繰り返される衝撃に耐えるのに必要な構造的弾力性をクラブ・ヘッドに提供するのに必要な材料の質量を指す。構造的な質量は、高い設計依存性のものであり、特定の質量分布に対する比較的低い量の制御を設計者に提供する。他方で、任意裁量の質量は、クラブの性能および/または寛容性をカスタマイズする唯一の目的で、クラブ・ヘッド設計に追加することのできる任意のさらなる質量である。理想的なクラブ設計においては、構造的な質量の量が(弾力性を犠牲にすることなく)最小化されて、顧客により期待されるスイング・ウェイトを維持しながら、クラブ性能をカスタマイズするためのより多くの能力を設計者に提供することになる。
【0010】
全体の構造的な質量を最小化するために、大部分の金属ウッドは、例えば、概して、高強度で軽量な金属合金から形成された、薄い金属フェースと中空の構造的シェルを使用している。このような設計は、構造的な質量を低減するには有効であるが、複雑な、多段の製造工程を含む可能性があり、より先進の合金の桁違いに費用のかかる性質により、さらなる進歩の点で制限される可能性がある。
【0011】
さらなる設計要素は、クラブに対して選択されるフェース・スタイルのタイプを含む。金属ウッドでは、設計の大部分は、カップフェースまたは縁部が溶接されたフェース・プレートのいずれかを有するものとして分類することができる。フェース・プレート設計は、通常、打球面を形成するために、クラブの前方のフェース部分で、またはその近くでボディに溶融される実質的に平坦な(またはわずかに湾曲している)金属プレートを含む。このプレートは、通常、わずかな凹部内にはめ込まれ、プレートの縁部で、またはその近傍で、ボディに溶接もしくは溶融される。
【0012】
カップフェース設計は、同様の金属プレート/打球面を含むが、プレートは、前方のフェース部分を越えて、ボディのソール/クラウン上へと延びる。このような設計は、溶接線を後方に、打球面の後ろへと延ばす。この方法では、カップフェース設計は、わずかに大きな、可能な打球面を提供することができ、溶接された縁部がクラブ・ヘッドの衝撃特性に影響する可能性を低減する。
【発明の概要】
【0013】
ゴルフ・クラブ・ヘッドは、クラブ・フェースおよびボディを含む。クラブ・フェースは、金属材料から形成され、第1の打球面、その第1の面とは反対側にある第2の背面、および横方向距離だけ第2の面から分離されたフランジを含む。ボディは、ポリマー材料から形成され、クラウン、ソール、ホーゼル、およびフェース・サポートから形成される。クラブ・フェースおよびボディは、協働して閉じた容積を画定し、フェース・サポートは、フランジの対向する側部へと延び、クラブ・フェースをボディに結合するように機能する。一構成では、フランジの一部は、第1の面の一部に対して平行から約30度以内の方向に沿って延びる。
【0014】
一実施形態では、クラブ・フェースは、カップフェース・スタイル設計である。この構成では、クラブ・フェースの打球面は、側壁部分を介してフランジと結合され、側壁部分は、ゴルフ・クラブ・ヘッドの外面を形成する。
【0015】
一構成では、フランジは、対向する側部間を伸びる複数の穴を画定する。したがって、フェース・サポートの一部は、複数の穴のそれぞれの中に配置される。この部分は、射出成形、または圧縮成形など、成形工程中に、複数の穴の中に形成され得る。
【0016】
一構成では、ボディは、ポリマー材料内に取り込まれた金属ウェイトを含む。金属ウェイトは、クラウンとソールの間に、ゴルフ・クラブ・ヘッドの周辺に隣接する材料の帯内に配置され得る。
【0017】
一構成では、ホーゼルは、フェース・サポートと一体に形成される。ボディは、例えば、共に溶融された、または接着された3つの別個の部品から形成することができる。したがって、一構成では、クラウンとソールの間、クラウンと前方部分との間、およびソールと前方部分の間には、継ぎ目が存在し得る。継ぎ目は、接着剤、または超音波もしくはレーザ溶接などの接合工程の少なくとも一方により結合されるポリマー材料の少なくとも2つの層を含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】ゴルフ・クラブ・ヘッドの概略斜視図である。
【0019】
【
図2】ゴルフ・クラブ・ヘッドの概略正面図である。
【0020】
【
図3】線3−3に沿った、
図1で提供されるゴルフ・クラブ・ヘッドの概略断面図である。
【0021】
【
図4】線4−4に沿った、
図1で提供されるゴルフ・クラブ・ヘッドの概略断面図である。
【0022】
【
図5】ゴルフ・クラブ・ヘッドの実施形態の概略断面図である。
【0023】
【
図6】ゴルフ・クラブ・ヘッドの実施形態の概略断面図である。
【0024】
【
図7】ゴルフ・クラブ・ヘッドの実施形態の概略断面図である。
【0025】
【
図8】ゴルフ・クラブ・ヘッドのカップフェース・スタイルのフェース後方部分の概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
様々な図で、同様の符号が、同様のもしくは同一の構成要素を識別するために使用される図面を参照すると、
図1は、概して、フェース部分12(すなわち、「フェース12」)、およびボディ部分14(すなわち、「ボディ14」)を含むウッドタイプのゴルフ・クラブ・ヘッド10(すなわち、「クラブ・ヘッド10」)の概略斜視図を概略的に示している。
図2で概して示されるように、クラブ・ヘッド10は、細長いシャフト16の端部にとり付けることができ、シャフト16は、次いでユーザにより把持され、スイングされて、クラブ・ヘッド10に、概して弓状運動を与えることができる。
【0027】
クラブ・ヘッド10のフェース12は、概して、典型的なスイング中にゴルフボールに接触するように意図された打球面18を画定することができる。打球面18は、平坦な面とすることができるが、あるいはクラブ・ヘッド10から外に延びるわずかな凸形/弓形の湾曲部(すなわち、隆起またはロール湾曲部)を有することができる。さらに一般に理解されるように、打球面18は、クラブが中立的な打球位置で保持されたとき、垂直平面に対してある角度で配置され得る。この角度は、一般に、クラブのロフト角またはスロープと呼ぶことができる。ウッドタイプのクラブ・ヘッド(ハイブリッドウッドを含む)は、最も一般的には、約8.5度から約24度のロフト角を有するが、他のロフト角も可能であり、かつ市販されている。
【0028】
クラブ・ヘッド10のボディ14は、フェース12を支持し、フェース12と細長いシャフト16の間の接続手段を提供するように構成される。
図1を再度参照すると、ボディ14は、全体的に、下側部分20(すなわち、「ソール20」)および上側部分22(すなわち、「クラウン22」)を含むことができる。本記述においては、クラウン22は、クラブ・ヘッドが中立的な打球位置に保持されたとき、表面が垂直な接線を有する場所でソール20と交わることができる。実際には、この遷移点の近くのソール20の一部は、スカート24とも呼ばれる。最後にクラブ・ヘッド10は、細長いシャフト16またはシャフト・アダプタを受け入れる、かつ/またはその他の形でそれと結合するように構成されたホーゼル28を含む。フェース・プレート設計の場合、ボディ14は、フェース12に少なくとも部分的に当接する前方を向いた壁26をさらに含むことができる。軸30は、フェース12を通って延びる前後軸32(概して、前後部分/クラブ・ヘッド10の方向を示す)と、前後軸32に対して直角に、かつソール20とクラウン22の間で延びる垂直軸34と、前後軸32と垂直軸34の両方に対して直角に延びるトウ/ヒール軸36とを含む、クラブ・ヘッド10の方向に関連する部分をさらに画定する。
【0029】
図3および
図4は、概して、垂直な前後平面に沿った、それぞれが反対方向を向いている(すなわち、
図3は、概してトウを向いており、
図4は、概してヒールを向いている)、クラブ・ヘッド10の一実施形態の概略断面
図40、42を示している。図示のように、ボディ14は、空気で満たすことのできる内側容積/空洞部44を、少なくとも部分的に囲み、かつ/または画定することができる。
図3および
図4は、空洞部44を、閉じた空洞部(すなわち、外部環境から隔離されている)であるとして示しているが、他の実施形態では、空洞部44は、クラウン22およびソール20の一方または両方の一部を除去することなどにより、部分的に開放することができる。
【0030】
図3および
図4で提供される概観
図40、42は、クラウン22およびソール20の薄い壁の性質をさらに示している。一構成では、クラブ・ヘッドは、ボディ14の周辺(すなわち、垂直軸34に沿って上面から/クラウン22の上方から見たときの周辺)周りに、かつクラウン22とソール20の間に配置されたより厚い材料46の帯を含むことができる。この材料の帯46は、衝撃に対してボディ14の外側縁部を補強することにより、構造的な機能を提供することができるが、慣性モーメントを増加するために、かつ/または重心を変えるために、クラブ・ヘッド10の全体にわたって変化させることもできる。
【0031】
フェース12は、概して、金属または金属合金から形成することができ、フェース・サポート48によりボディ14上で構造的に支持され得る。フェース・サポート48は、フェース12を支持できるボディ14のより厚い部分であり、衝撃力をフェースからボディ14の残りの部分へと伝達することができる。一構成では、フェース・サポート48は、フェース12の周辺52の近くにだけ設けることができ、したがって、フェース12の背面50の一部54を空洞部44に露出させている。
【0032】
金属合金を用いて経済的に成り立つものを超える構造的な質量を低減させるために、クラブ・ヘッド10のボディ14は、球の衝撃により与えられる繰り返される応力に十分耐える大きさの降伏強度を有するポリマー材料から形成することができる。このような材料の例は、いくつかのポリアミド、ポリイミド、ポリアミド−イミド、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリカーボネート、エンジニアリング・ポリウレタン、および/または他の同様な材料を含むことができる。概して、ポリマー材料は、熱可塑性または熱硬化性とすることができ、無充填に、ガラス繊維入り、カーボン繊維入りとすることができるが、あるいは強度を高めるために、他の適切な充填剤および/または添加剤を有することができる。一構成では、適切な材料は、少なくとも約180MPaの引張強度を有することができるが、他の構成では、少なくとも約220MPaの引張強度を有することができる。
一構成では、ポリマー・ボディ14の全体は、単一の連続する部品として形成することができる。このような設計は、応力集中点として作用する可能性のある継ぎ目、溶接線、または他の分割線を低減することにより強度の利益を有することができる。他の構成では、ボディ14の設計は、ソール20内に位置する単一の継ぎ目60を含むことができるが、ソール・プレート62は、その後に、ボディ14に接着/溶融されて、閉じた空洞部44を形成することができる(望ましい場合)。
図7で概略的に示されるものなど、さらに他の設計では、ボディ14は、例えば、クラウン部分64(「クラウン」)、ソール部分66(「ソール」)、および前方部分68を含む3つ以上のポリマー構成要素から形成することができ、それらのすべては、接着剤、または超音波溶接、レーザ溶接、もしくは同様のものなどの接合工程を用いて、共に溶融することができる。図示のように、前方部分68は、ポリマー材料から一体に形成されたホーゼル28とフェース・サポート48を共に含むことができる。このような実施形態では、継ぎ目60は、クラウン64とソール66の間に、クラウン64と前方部分68の間に、かつソール66と前方部分68との間に設けることができる。継ぎ目60は、例えば、ポリマー材料の少なくとも2つの層を含む溶融された、または接着された重ね接合を含むことができる。
【0033】
フェース12とボディ14の間で剛性のある接続を提供するために、フェース12は、その周辺52付近に配置された1つまたは複数の機械的なロック機構70を含むことができる。ロック機構70は、フェースを定位置に保持するように、ボディ14の一部と機械的に連結するように構成される。一構成では、ロック機構は、フェース12の後方を向いている面50から離れて位置し、かつボディ14の製作中にフェース・サポート48内に埋め込まれ得るフランジ72を含むことができる。例えば、ボディ14を形成するために使用されるポリマーは、フランジ72の周りにオーバーモールドさせることができ、したがって、ポリマーは、例えば、フェース12の後方を向いている面50に至るまで、フランジ72に接触しそれを囲む。この方法では、ポリマーは、フランジ72の対向する側部上を延びることができる。ポリマーが凝固した後、それは、フランジをフェース・サポート48内でしっかりと固定し、かつサポート48からフランジが引き抜かれないようにすることができる。一構成では、フランジ72は、フェース12の背面50から、打球面18から離れる方向に延びる延長部材74により、フェース12の残りの部分に接続される。
図3から
図6で示されるものなどのフェース・プレート設計では、この延長部材74は、ポリマーで全体的に囲むことができる。
【0034】
剛性のある結合手段を提供するのに加えて、オーバーモールドされたフランジ72はまた、フェース12とボディ14の間の接触面積を増加させる(すなわち、したがって、接触圧および/または応力集中点を低下させる)ことにより、フェース12からボディ14に衝撃力を伝達するのを支援することができる。オーバーモールド工程はまた、フランジ72の表面積全体にわたって、フランジ72とフェース・サポート48の間で一様な接触が達成されるのを確実に行うことができる。この方法では、オーバーモールドは、複数の別個の点においてしっかりとした接触を行えるに過ぎない固着されたフェース・インレイを備えるクラブ・ヘッドよりも、より一様な力の伝達を促進することができる。
【0035】
適切なロック機構70は、様々な形状および寸法を含むことができるが、
図3および
図4で示された例は、フェース・プレート・スタイルのフェースの背面50から延びる概して「L」形状のロック機構70(延長部材74およびフランジ72を含む)である。
図5〜
図6は、概して、クラブボディ14内にフェース12を機械的に保持するために使用できる他のロック機構設計を示している。これらの例は、二重のフランジ設計(
図5)と、半径方向内側を向いている「L」フランジ設計(
図6)とを含む。さらに他の構成は、フック、タブ、角度付きのポスト、または同様にボディ14と機械的に連結できる他のこのような突起を含むことができる。
【0036】
図7は、カップフェース設計を備えたクラブ・ヘッドの概略断面図を提供する。図示のように、カップフェース80は、打球面18の周辺から、クラブ・ヘッド10の後方に向けて延びる側壁部分82を含む。フランジ72は、フェース12の側壁部分82から半径方向内側に延び、かつフェース・サポート48を介してボディ14に機械的に固定される。クラブ・ヘッド10の外面として働くのに加えて、側壁82はまた、延長部材74として、同様の目的を提供することができる。
図8は、ボディ14から離れた、カップフェース80の背面図を示す。図示のように、一構成では、フランジ72は、複数の穴84を含む。これらの穴84は、成形工程中に有用であり、溶融したポリマーが、フランジ72の両側に容易に広がることを可能にする。したがって、凝固した後、フェース・サポート48の一部は、複数の穴84のそれぞれの中に配置され得る。一実施形態では、約5から約50個の穴、または約10から約40個の穴、またはさらに約15から約30個の穴とすることができる。さらに各穴は、約2mmから約8mmの直径、または約2mmから約5mmの直径を有することができ、それは、溶融したポリマーをフランジ72の両側に流れることを可能にするのに十分であり得る。
【0037】
上記で述べたロック機構設計のすべてに共通なものは、フェース12に概して平行な方向に延び、かつ/または約90度の角度で側壁82と交わることのできるフランジ72である。フランジ72は、フェース12を機械的に固定することができ、かつフェース12を、ボディ14から自由に引き抜くことができないように、フランジ72とフェース12の後方を向いている面50との間で、ボディ14のポリマーが流れ得るようする十分な距離だけ、背面50から分離される。一構成では、分離距離は、約5.0mmから約30.0mmとすることができる。さらにフェース12は、わずかな隆起/ロール湾曲部を有することができるので、「概して平行」という用語は、フランジ72は、約+/−30度以内で、打球面18の一部に対して平行であることを示すように意図されている。その設計にかかわらず、打球面18、延長部材74(または側壁82)、およびフランジ72は、すべて1つまたは複数の金属材料から形成することができる。
【0038】
上記で論じたように、本クラブ・ヘッド10は、高い引張強度のポリマー材料をクラブボディ14の形状に成形することによって製作することができ、一方、ポリマー材料はまた、金属フェース12のいくつかのロック機構を確実にオーバーモールドする。
【0039】
一般に、ボディ14を形成するために、任意の従来の成形技法を使用することができるが、射出成形が最も確実な工程であり得る。射出成型工程中に、1つまたは複数の成形用金型が、成形用キャビティを画定することができ、フェース12のフランジ72が、成形用キャビティ内に配置される。次いで、ポリマーが、フランジ72の対向する側部に広がるように、適切な溶融したポリマーが成形用キャビティの中に射出され得る。ポリマーが凝固し、かつ/または硬化すると、フランジ72は、ポリマー内の定位置にしっかりと保持される。一体成形のボディ構成の場合、ロストコア成形などの成形技法を、ボディを形成するために使用することができる。マルチピースのボディ設計では、射出成形または圧縮成形などの成形技法を同様に使用することができる。
【0040】
図7を再度参照すると、一構成では、ボディ14は、クラブ・ヘッドの質量中心の大きさおよび/または位置、ならびに/またはクラブ・ヘッド10の1つまたは複数の慣性モーメントを変更するために使用できる、取り込まれた金属インサートなど、1つまたは複数のウェイト90を含むことができる。一構成では、1つまたは複数のウェイト90は、クラウン22またはソール20の一方の成形中に、例えば、ウェイト90をオーバーモールドすることにより、クラブ・ヘッド10の中に形成することができる。ウェイト90は、例えば、クラブ・ヘッド10の周辺付近に配置された材料の帯46の中に一体に成形することができる。他の構成では、1つまたは複数のウェイト90は、成形工程中に作成された凹部の中へと別個に接着され得る。
【0041】
1つまたは複数のウェイト90は、例えば、金属円板または金属帯などの1つまたは複数の金属体を含むことができる。このようなウェイトは、垂直軸回りの慣性モーメントを増加させることができ、質量中心をフェースの後方に移動させることができる。金属帯を使用する実施形態では、帯は、質量中心の位置、および様々な慣性モーメントに対して、より正確な制御を可能にするように、変化する横断面厚さを有することができる。
【0042】
本発明を実施するための最良の態様が詳細に述べられてきたが、本発明が関係する当業者であれば、添付の特許請求の範囲内で、様々な代替設計、および本発明を実施するための実施形態を理解するであろう。上記の記述に含まれ、添付図面で示されたすべての事項は、例示的なものに過ぎず、限定するものではないと解釈すべきであるように意図されている。
【0043】
「A」、「an」、「the」、「少なくとも1つ」、および「1つまたは複数の」は、少なくとも1つの項目が存在することを示すために交換可能に使用され、文脈がその他の形を明確に示していない限り、複数のこのような項目が存在し得る。添付の特許請求の範囲を含む本明細書における(例えば、量または条件の)すべての数値的パラメータの値は、数値的な値の前に、「約」が実際にあるかどうかにかかわらず、「約」という用語により、すべての例において修正されるものと理解されるべきである。「約」は、述べられた数値的な値がいくらかのわずかな不正確さ(その値の正確さに対して何らかの近接を有している、その値にほぼもしくは適度に近い、ほとんど)を可能にすることを示している。「約」により提供される不正確さが、当技術分野において、この通常の意味で普通に理解されない場合、本明細書で使用される「約」は、少なくとも、このようなパラメータを測定し、使用する通常の方法から生ずる可能性のある変動を示す。加えて、範囲の開示は、すべての値の開示、および全体の範囲に含まれるさらに分割された範囲の開示を含む。範囲内の各値、および範囲の両端は、本明細書で、すべて別の実施形態として開示される。本記述では、便宜上、「ポリマー」および「樹脂」は、樹脂、オリゴマー、およびポリマーと同意語でありそれらを包含するように意図されている。用語「comprises(備える/含む)」、「comprising(備える/含む)」、「含む」、および「有する」は、包含的なものであり、したがって、述べられた項目の存在を指定するが、他の項目の存在を排除するものではない。本明細書で使用する場合、用語「または」は、列挙された項目の1つまたは複数のもののいずれか、およびすべての組合せを含む。言い換えると、「または」は、「および(かつ)/または」を意味する。第1、第2、第3などの用語が、様々な項目を互いに対して区別するために使用される場合、これらの指定は単に便宜上のものであり、その項目を限定するものではない。