(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
各々を識別するための識別記号が格納され、前記識別記号と照合される識別情報を含む光を受光して発電し、受光した光に含まれる前記識別情報が前記識別記号に一致した場合に自身の電力を用いて発光する複数のタグと、
選択対象の前記識別情報の入力に応じて撮影して画像データを生成し、生成した画像データから前記複数のタグのうち少なくとも一つのタグを抽出し、抽出した前記少なくとも一つのタグの位置に前記識別情報を含む走査光を投射し、前記走査光が投射されている期間に取得された前記画像データから前記複数のタグのうちいずれかの前記タグの発光が抽出された場合、発光した前記タグを含む範囲内に目印光を投射する検出装置とを備える表示システム。
各々を識別するための識別記号が格納され、前記識別記号と照合される識別情報を含む光を受光して発電し、受光した光に含まれる前記識別情報が前記識別記号に一致した場合に自身の電力を用いて発光する複数のタグを含む範囲内に目印光を表示させる表示方法であって、
選択対象の前記識別情報の入力に応じて撮影して画像データを生成し、
生成した画像データから前記複数のタグのうち少なくとも一つのタグを抽出し、
抽出した前記少なくとも一つのタグの位置に前記識別情報を含む走査光を投射し、
前記走査光が投射されている期間に取得された前記画像データから前記複数のタグのうちいずれかの前記タグの発光が抽出された場合、発光した前記タグを含む範囲内に前記目印光を投射する表示方法。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。ただし、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい限定がされているが、発明の範囲を以下に限定するものではない。なお、以下の実施形態の説明に用いる全図においては、特に理由がない限り、同様箇所には同一符号を付す。また、以下の実施形態において、同様の構成・動作に関しては繰り返しの説明を省略する場合がある。
【0014】
また、図面中の矢印の向きは、光や信号が進行する向きの一例を示すものであり、それらの向きを限定するものではない。図面中の光の進行を示す線は概念的なものであり、実際の光の進行方向の状態を正確に表すものではない。例えば、以下の図面においては、空気と物質との界面における屈折や反射、拡散などによる光の進行方向や状態の変化を省略したり、光束を一本の線で表現したりすることもある。
【0015】
(第1の実施形態)
まず、本発明の第1の実施形態に係る表示システムについて図面を参照しながら説明する。本実施形態の表示システムは、複数の物品が保管された場所において、所望の物品を迅速かつ正確にピックアップするための目印となる光(目印光とも呼ぶ)を投射するシステムである。
【0016】
(構成)
図1は、本実施形態の表示システム1の構成の概要を示すブロック図である。
図1のように、表示システム1は、複数のタグ100と検出装置10を備える。表示システム1は、一例として、図書館に収蔵された本や倉庫に保管された物品(以下、保管物とも呼ぶ)の管理に用いられる。なお、表示システム1は、図書館や倉庫に保管された保管物のみならず、任意の物品の管理に用いることができる。以下において、タグ100と検出装置10の各々の構成について個別に説明する。
【0017】
〔タグ〕
図2は、表示システム1が備えるタグ100の構成の一例を示すブロック図である。タグ100は、光検出素子101、蓄電素子103、タグコントローラ105、および発光素子107を有する。例えば、タグ100は、図書館や倉庫に保管された保管物に貼付される。そのため、タグ100は、タグ100が貼付される保管物に合わせた大きさに設定されることが望ましい。例えば、図書館の書棚に収納された本の場合、本の背表紙にタグ100を貼付して管理する。
【0018】
光検出素子101は、蓄電素子103とタグコントローラ105に接続される。光検出素子101は、受光面を有し、その受光面に照射された光を電気に変換する。光検出素子101は、変換後の電気を蓄電素子103およびタグコントローラ105に出力する。例えば、光検出素子101は、太陽電池やフォトダイオードによって実現される。
【0019】
蓄電素子103は、光検出素子101とタグコントローラ105に接続される。蓄電素子103には、光検出素子101から電気が供給される。蓄電素子103は、供給された電気の電圧を平滑化し、電圧が安定化された電気を蓄電する。蓄電素子103に蓄電された電気は、タグコントローラ105に供給される。蓄電素子103からタグコントローラ105に供給される電気は直流である。例えば、蓄電素子103は、平滑回路やコンデンサを組み合わせることによって実現される。
【0020】
タグコントローラ105は、光検出素子101、蓄電素子103、および発光素子107に接続される。タグコントローラ105は、蓄電素子103から電力を供給される。タグコントローラ105には、各々のタグ100に固有の識別記号が格納される。タグコントローラ105は、一例として、プロセッサとメモリを少なくとも含むマイクロコンピュータによって実現される。
【0021】
タグコントローラ105は、蓄電素子103から十分な電力が供給されると起動する。タグコントローラ105は、起動すると、光検出素子101から供給される電気を電気信号に変換する。タグコントローラ105は、変換後の電気信号をデコードし、その電気信号に含まれる識別情報を抽出する。タグコントローラ105は、抽出した識別情報と、自身に格納された識別情報とが一致するか判定する。抽出した識別情報と、自身に格納された識別情報とが一致した場合、タグコントローラ105は、発光素子107に電力を供給する。
【0022】
発光素子107は、タグコントローラ105に接続される。発光素子107は、タグコントローラ105から供給された電力によって発光する。例えば、発光素子107は、マイクロLED(Light Emitting Diode)や有機EL(electro-luminescence)素子、無機EL素子などの発光素子によって実現される。
【0023】
発光素子107は、可視領域や近赤外領域の波長の光を発光する。光検出素子101によって発生する起電力は微弱であるため、発光素子107は非常に短い時間した発光できない。そのため、発光素子107の発光を肉眼で視認することは難しい。本実施形態では、検出装置10のカメラで高速撮影することで得られた画像データに関して、発光素子107の発光に対するコントラストを上げたり、差分をとる処理をすることにより微弱な光を見つけたりすることができる。発光素子107は、検出装置10によって検出できる強度で短時間発光すればよい。また、発光素子107の発光は視認できなくてもよいため、発光素子107が近赤外領域の波長の光を発光するように構成してもよい。
【0024】
図3は、光検出素子101、蓄電素子103、およびタグコントローラ105が基板の内部に配置されたタグ100の一例の外観を示す概念図である。
図3には、光検出素子101の受光面によって受光された光に応じて発光素子107が発光する様子を概念化して図示している。なお、光検出素子101に入射する光を示す矢印と、発光素子107の発光による光を示す矢印は概念的なものであり、光の強度や進行方向を限定するものではない。
図3の構造では、光検出素子101の受光面が基板の上面から突出していないため、全体的な厚みを薄くできる。
【0025】
図4は、光検出素子101および蓄電素子103が基板の内部に構成され、タグコントローラ105が基板の上面に配置されたタグ100の外観の一例を示す概念図である。
図4の例では、光検出素子101の受光面によって受光された光に応じて発光素子107が発光する様子を図示している。なお、光検出素子101に入射する光を示す矢印と、発光素子107の発光による光を示す矢印は概念的なものであり、光の強度や進行方向を限定するものではない。
図4の構造では、光検出素子101を基板の上面に配置し、光検出素子101の下方に蓄電素子103(図示しない)を配置できるため、
図3の構造と比べて厚くなるものの、蓄電素子103の容量を大きくできる。
【0026】
以上が、タグ100の構成についての説明である。なお、
図2〜
図4の構成は一例であって、タグ100の構成をそのままの形態に限定するものではない。
【0027】
〔検出装置〕
図5は、表示システム1が備える検出装置10の構成の一例を示すブロック図である。
図6は、検出装置10の外観の一例を示す概念図である。検出装置10は、プロジェクタ11、カメラ13、およびコントローラ15を有する。
図5および
図6の例では、コントローラ15が入力装置17に接続される。
図5および
図6の例では、コントローラ15と入力装置17は有線接続されているが、コントローラ15と入力装置17は無線接続されてもよい。なお、入力装置17は、検出装置10の構成に含めてもよいし、検出装置10の構成に含めなくてもよい。
【0028】
例えば、表示システム1は、図書館において所望の本を検出する用途に用いられる。例えば、図書館において所望の本を検出する場合、表示システム1は、カメラ13によって撮影された画像の中から書架を認識することによって状況認識を行う。この段階では、本を検出することを目的とするのではなく、本が収容された書架を特定することを目的とする。そして、表示システム1は、特定された書架の棚に並べられた本に貼付されたタグ100の位置を走査するように光(走査光とも呼ぶ)を照射しながら、発光が検出されたタグ100に走査光を照射し続ける。選択対象の本が複数ある場合、表示システム1は、複数のタグ100に走査光を照射し続ける。表示システム1は、走査光が継続的に照射されたタグ100の発光を検出しながら、そのタグ100が貼付された本に向けて目印光を照射する。
【0029】
プロジェクタ11は、コントローラ15に接続される。プロジェクタ11は、コントローラ15の制御に応じて投射光を投射する。ピックアップ対象の保管物に貼付されたタグ100を発光させる場合、プロジェクタ11は、そのタグ100に格納された識別記号に対応する識別信号を含む走査光を表示させる投射光170を投射する。また、タグ100からの応答を受けると、プロジェクタ11は、そのタグ100が貼付された保管物の表面に目印光を表示させる投射光170を投射する。なお、走査光は可視領域の波長の光ではなくてもよいが、目印光は可視領域の波長の光である。
【0030】
カメラ13は、コントローラ15に接続される。カメラ13は、コントローラ15の制御に応じて撮影する。カメラ13は、一般的なデジタルカメラの機能を有していればよい。ただし、赤外領域の波長の光を走査光に用いる場合、赤外領域の波長の光を撮像できる赤外線カメラの機能をカメラ13に追加する。
【0031】
コントローラ15は、プロジェクタ11とカメラ13に接続される。コントローラ15は、プロジェクタ11を制御して投射光を投射させる。また、コントローラ15は、カメラ13を制御して撮影させる。コントローラ15は、一例として、プロセッサとメモリを少なくとも含むマイクロコンピュータによって実現される。
【0032】
以下において、プロジェクタ11、カメラ13、およびコントローラ15の各々の構成について個別に説明する。
【0033】
〔投射装置〕
図7は、プロジェクタ11の構成を示すブロック図である。
図7のように、プロジェクタ11は、光出射器111、空間光変調器115、および投射光学系117を有する。なお、
図7は概念的なものであり、各構成要素間の位置関係や、光の照射方向などを正確に表したものではない。
【0034】
図7のように、光出射器111は、コントローラ15に接続される。光出射器111は、コントローラ15の制御に応じて、特定波長の平行光130を出射する。例えば、光出射器111には、レーザ光源を用いることができる。光出射器111は、可視領域の波長の光を出射するように構成してもよいし、赤外領域や紫外領域などの可視領域以外の波長の光を出射するように構成してもよい。また、光出射器111は、発光ダイオードや白熱電球、放電管などのレーザ光以外の光を出射するものであってもよい。
【0035】
図8は、プロジェクタ11の光学系について説明するための模式図である。
図8のように、光出射器111は、特定波長の光120を出射する光源112と、光源112から出射された光120を平行光130に変換するコリメータ113とを有する。光源112から出射された光120は、コリメータ113によって平行光130に変換されて、空間光変調器115の表示面の面内に入射される。
【0036】
図8のように、本実施形態においては、空間光変調器115の表示面に対して平行光130の入射角を非垂直にする。すなわち、本実施形態においては、光出射器111から出射される平行光130の出射軸を空間光変調器115の表示面に対して斜めにする。空間光変調器115の表示面に対して平行光130の出射軸を斜めに設定すれば、ビームスプリッタを用いなくても空間光変調器115の表示面に平行光130を入射できるため、光の利用効率を向上させることができる。また、空間光変調器115の表示面に対して平行光130の出射軸を斜めに設定すれば、プロジェクタ11の光学系のサイズをコンパクトにできる。
【0037】
図7のように、空間光変調器115は、コントローラ15に接続される。空間光変調器115は、被投射面に所望の画像を表示させるためのパターンが表示される表示面を有する。空間光変調器115は、コントローラ15の制御に応じて、被投射面に所望の画像を表示させるためのパターンを表示面に表示する。
図8のように、本実施形態においては、所望の画像を表示させるためのパターンが空間光変調器115の表示面に表示された状態で、その表示面に平行光130が照射される。空間光変調器115の表示面に照射された平行光130の反射光(変調光150)は、投射光学系117に向けて進行する。
【0038】
空間光変調器115の表示面には、屈折率などの光学的特性を変更可能な複数の反射領域(画素に対応)がアレイ状に配列される。空間光変調器115は、表示面の各画素の光学的特性を制御することによって、被投射面に所望の画像を表示させるためのパターンを表示面に表示できる。空間光変調器115の表示面にパターンを表示させた状態で光を照射すると、反射面の光学的特性に応じて空間分布が変調された変調光が出射される。例えば、空間光変調器115には、光の位相や振幅、強度、偏波状態、伝搬方向などといった空間分布を変調する変調器を用いることができる。
【0039】
例えば、空間光変調器115は、入射された平行光130の位相を変調する位相変調型の空間光変調器によって実現できる。位相変調型の空間光変調器115は、フォーカスフリーであるため、複数の投射距離に設定された表示領域に光を投射することになっても距離ごとに焦点を変える必要がない。以下においては、位相変調型の空間光変調器115を用いる例について説明する。
【0040】
位相変調型の空間光変調器115の表示面には、被投射面に表示させる画像も対応する位相画像が表示される。位相画像は、被投射面に表示させる画像に対応する位相分布をタイル状に配置したパターンである。この場合、空間光変調器115の表示領域で反射された変調光150は、一種の回折格子が集合体を形成したような画像になり、回折格子で回折された光が集まるように画像が形成される。
【0041】
例えば、空間光変調器115は、強誘電性液晶やホモジーニアス液晶、垂直配向液晶などを用いた空間光変調器によって実現される。具体的には、空間光変調器115は、LCOS(Liquid Crystal on Silicon)によって実現できる。また、空間光変調器115は、MEMS(Micro Electro Mechanical System)によって実現されてもよい。
【0042】
位相変調型の空間光変調器115を用いれば、投射光が投射される領域を順次切り替えることによって、画像を構成する線の部分にエネルギーを集中させることができる。そのため、位相変調型の空間光変調器115を用いれば、光源の出力が同じであれば、表示領域全面に光を投射する方式よりも画像を明るく表示させることができる。
【0043】
投射光学系117は、空間光変調器115で変調された変調光150を投射光170として投射する光学系である。空間光変調器115から出射される変調光150は、投射光学系117によって投射光170として投射される。
図8のように、投射光学系117は、フーリエ変換レンズ171、アパーチャ172、および投射レンズ173を有する。
【0044】
フーリエ変換レンズ171は、空間光変調器115の表示面によって反射された反射光(変調光150)を無限遠に投射した際に形成される像を、近傍の焦点位置に結像させる光学レンズである。
図8の例では、アパーチャ172の位置に焦点が形成される。
【0045】
アパーチャ172は、フーリエ変換レンズ171によって集束された光に含まれる高次光を遮蔽し、表示領域を特定する機能を有する。アパーチャ172の開口部は、アパーチャ172の位置における表示領域の外周よりも小さく開口され、アパーチャ172の位置における画像の周辺領域を遮るように設置される。例えば、アパーチャ172の開口部は、矩形状や円形状に形成される。アパーチャ172は、フーリエ変換レンズ171の焦点位置に設置されることが好ましいが、高次光を消去する機能を発揮できれば焦点位置からずれていても構わない。
【0046】
投射レンズ173は、フーリエ変換レンズ171によって集束された光を拡大して投射する光学レンズである。投射レンズ173は、空間光変調器115の表示面に表示された位相分布に対応する画像が被投射面において形成されるように投射光170を投射する。
【0047】
ここで、複数の波長領域の光をプロジェクタ11から投射する場合の構成について図面を参照しながら説明する。
図9は、複数の波長領域の光を投射する投射装置11−2の構成例を示す概念図である。
図9の投射装置11−2は、複数の波長領域の光を出射する光出射器111−2を備える。光出射器111−2は、光源112−1、コリメータ113−1、ミラー114−1、光源112−2、コリメータ113−2、およびダイクロイックミラー114−2を有する。なお、
図9には、2つの光源(光源112−1、光源112−2)を用いて2色の光を出射する例を示すが、3つ以上の光源を用いて3色以上の光を出射するように構成してもよい。
【0048】
光源112−1は、第1の波長領域の光120−1を発する。光源112−1から発せられた光120−1は、コリメータ113−1を通過してコヒーレントな光になる。コリメータ113−1を通過した光は、ミラー114−1の反射面で反射され、ダイクロイックミラー114−2に向けて進行する。ダイクロイックミラー114−2を通過した光120は、空間光変調器115の表示面に向けて進行する。
【0049】
光源112−2は、第2の波長領域の光120−2を発する。光源112−2から発せられた光120−2は、コリメータ113−2を通過してコヒーレントな光になる。コリメータ113−2を通過した光は、ダイクロイックミラー114−2の反射面で反射される。ダイクロイックミラー114−2の反射面で反射された光120は、空間光変調器115の表示面に向けて進行する。
【0050】
光出射器111−2は、光源112−1および光源112−2の少なくともいずれかから発せられる光120を空間光変調器115の表示面に向けて出射する。例えば、光出射器111−2は、コントローラ15の制御に応じて、光源112−1からの第1の波長領域の光と、光源112−2からの第2の波長領域の光とを切り替えて照射する。なお、光出射器111−2は、光源112−1からの第1の波長領域の光と、光源112−2からの第2の波長領域の光とを同時に照射するように構成してもよい。
【0051】
図9の構成によれば、異なる色の像を表示させることができる。例えば、近赤外領域の波長の光を走査光として投射し、可視領域の波長の光を目印光として投射するように構成できる。
【0052】
以上が、プロジェクタ11の構成についての説明である。なお、
図7〜
図9の構成は一例であって、プロジェクタ11の構成をそのままの形態に限定するものではない。
【0053】
〔撮像装置〕
図10は、カメラ13の構成の一例を示すブロック図である。カメラ13は、撮像素子131、画像処理プロセッサ133、内部メモリ135、およびデータ出力回路137を有する。例えば、カメラ13は、可視領域の波長の光を検出できる一般的なデジタルカメラの撮像機能を有する。また、タグ100が可視領域以外の波長の光を発光する場合、カメラ13は、タグ100の発光を検出できるように構成される。例えば、タグ100が近赤外領域の波長の光を発光する場合、カメラ13は、近赤外領域の波長の光を検出できる赤外線カメラによって構成すればよい。
【0054】
撮像素子131は、撮像領域を撮像し、その撮像領域の画像データを取得するための素子である。撮像素子131は、半導体集積回路を含む光電変換素子によって実現される。撮像素子131は、例えば、CCD(Charge-Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor)などの固体撮像素子によって実現できる。通常、撮像素子131は、可視領域の波長の光を撮像する素子によって実現されるが、赤外線や紫外線、X線、ガンマ線、電波、マイクロ波などの電磁波を撮像・検波できる素子によって実現されてもよい。
【0055】
画像処理プロセッサ133は、撮像素子131によって撮像された撮像データに対して、暗電流補正や補間演算、色空間変換、ガンマ補正、収差の補正、ノイズリダクション、画像圧縮などの画像処理を施した画像データを生成する集積回路である。例えば、画像処理プロセッサ133は、高速撮影することで得られた画像データに関して、発光素子107の発光に対するコントラストを上げたり、差分をとる処理をすることにより微弱な光を見つけたりするように構成する。発光素子107の発光は非常に微弱であるため、画像処理プロセッサ133が画像データを画像処理することによって、発光素子107の発光を検出しやすくする。
【0056】
内部メモリ135は、画像処理プロセッサ133が画像処理を行う際に処理しきれない画像情報や、処理済みの画像情報を一時的に保持する記憶素子である。なお、撮像素子131によって撮像された画像情報を内部メモリ135に一時的に記憶するように構成してもよい。内部メモリ135は、一般的なメモリによって構成すればよい。
【0057】
データ出力回路137は、画像処理プロセッサ133によって処理された画像データをコントローラ15に出力する。
【0058】
以上が、カメラ13の構成についての説明である。なお、
図10の構成は一例であって、カメラ13の構成をそのままの形態に限定するものではない。
【0059】
〔コントローラ〕
図11は、コントローラ15の構成を示すブロック図である。
図11のように、コントローラ15は、受信部151、制御条件生成部152、記憶部153、撮像制御部155、および投射制御部156を有する。受信部151は、入力装置17に接続される。撮像制御部155は、カメラ13に接続される。投射制御部156は、プロジェクタ11に接続される。
【0060】
受信部151は、入力装置17と制御条件生成部152に接続される。受信部151は、ピッキング対象の保管物の識別情報や、保管対象の保管物の識別情報を入力装置17から受信する。受信部151は、受信した識別情報を制御条件生成部152に出力する。
【0061】
制御条件生成部152は、受信部151、記憶部153、撮像制御部155、および投射制御部156に接続される。制御条件生成部152は、所望の画像を適切なタイミングで適切な位置にプロジェクタ11から投射するための投射条件を生成する。投射条件は、所望の画像に対応するパターンを空間光変調器115の表示面に表示させるための変調素子制御条件と、適切なタイミングで投射光を投射するための光源制御条件とを含む。制御条件生成部152は、変調素子制御条件および光源制御条件を含む投射条件を投射制御部156に出力する。
【0062】
制御条件生成部152は、受信部151から識別情報を取得する。制御条件生成部152は、識別情報を取得すると、所定のタイミングでカメラ13に撮像させるための撮影指示信号を撮像制御部155に出力する。制御条件生成部152は、一定の時間間隔でカメラ13に撮像させるための撮影指示信号を生成してもよいし、一定の時間間隔ではないシークエンスでカメラ13に撮像させるための撮影指示信号を生成してもよい。また、制御条件生成部152は、カメラ13による撮像を停止させる際に、撮影停止信号を撮像制御部155に出力する。制御条件生成部152が撮影停止信号を出力するタイミングは、識別情報に対応する識別記号を有するタグ100が検出された時点や、所定の時間が経過した時点など、任意に設定できる。
【0063】
また、制御条件生成部152は、識別情報を受信すると、その識別情報に対応する走査光の投射条件を生成する。制御条件生成部152は、被投射面に走査光を表示させるためのパターンを記憶部153から取得する。そして、制御条件生成部152は、識別情報に変換可能なパルス状の光を所定の間隔で投射するために、被投射面に走査光を表示させるためのパターンを空間光変調器115の表示面に表示するタイミングを生成する。制御条件生成部152が走査光の投射条件を生成するタイミングは、受信部151から識別情報を取得した時点でもよいし、カメラ13によって撮影された画像データを取得した後の時点であってもよい。
【0064】
制御条件生成部152は、撮影指示信号に応じてカメラ13によって撮影された画像データを撮像制御部155から取得する。制御条件生成部152は、取得した画像データからタグ100の特徴を抽出し、タグ100の位置を特定する。制御条件生成部152は、特定したタグ100の位置に走査光をタグ100の位置に投射するための制御条件を生成する。複数のタグ100が抽出された場合、制御条件生成部152は、それらのタグ100に走査光を順次投射するための制御条件を生成する。制御条件生成部152は、生成した制御条件を投射制御部156に出力する。
【0065】
図12は、円形の走査光175で複数のタグ100を個別に走査する例である。
図13は、細長い形状の走査光175で複数のタグ100をまとめて走査する例である。
図12および
図13の例では、走査光175が投射されたタグ100のうち、その走査光175に含まれる識別信号に対応するタグ100が発光する様子を示す。
【0066】
プロジェクタ11から走査光が投射されている期間、制御条件生成部152は、その走査光が投射された画像データを取得し続ける。制御条件生成部152は、走査光が投射されている期間、タグ100の発光を検出できる撮影間隔で撮影された画像データを取得し続ける。例えば、カメラ13による撮影間隔は、タグ100の発光時間よりも短い時間間隔に設定されればよい。
【0067】
制御条件生成部152は、画像データからタグ100の発光を検出すると、そのタグ100を含む位置に表示させる目印光に対応するパターンを記憶部153から取得し、取得したパターンを空間光変調器115の表示面に表示する。目印光を表示させる位置は、発光が検出されたタグ100が貼付された保管物の位置を認識できさえすれば特に限定を加えない。例えば、ピックアップ対象の保管物に貼付されたタグ100が発光された際には、そのタグ100が貼付された保管物に目印光が表示されればよい。また、例えば、保管対象の保管物の保管場所をタグ100の発光で示す際には、その保管場所を含む範囲に目印光が表示されればよい。
【0068】
図14は、選択対象の保管物(選択対象物とも呼ぶ)に目印光を表示させる例である。
図14の(a)は、識別信号に対応するタグ100に走査光175が投射された状態である。
図14の(b)は、識別信号に対応するタグ100が発光した状態である。
図14の(c)は、発光したタグ100が貼付された選択対象の保管物に目印光176が表示された状態である。
【0069】
図15は、保管対象物の保管場所を含む範囲に目印光を表示させる例である。
図15の(a)は、保管対象物の保管場所に隣接するタグ100に走査光175が投射された状態である。
図15の(b)は、保管対象物の保管場所に隣接した位置の保管物に貼付されたタグ100が発光した状態である。
図15の(c)は、保管対象物の保管場所を含む範囲に目印光176が表示された状態である。例えば、図書館に収納された本を保管物とする場合、その本の分類番号を識別信号に用いて保管対象物の保管場所を検出するように構成すればよい。
【0070】
記憶部153には、走査光と目印光に対応するパターンが記憶される。例えば、一つずつのタグ100に走査光を投射する場合、タグ100の形状や大きさに合わせた走査光に対応するパターンを記憶部153に記憶させればよい。また、例えば、複数のタグ100を含む範囲の走査光を投射する場合、複数のタグ100を含む形状や大きさの走査光に対応するパターンを記憶部153に記憶せればよい。
【0071】
投射制御部156は、変調素子制御条件および光源制御条件を含む投射条件を制御条件生成部152から取得する。投射制御部156は、投射条件に含まれる光源制御条件に基づいて、光源112の電源のON/OFFや駆動電圧を制御する。また、投射制御部156は、投射条件に含まれる変調素子制御条件に基づいて、被投射面に表示される画像に対応するパターンを空間光変調器115の表示面に表示させる。
【0072】
撮像制御部155は、制御条件生成部152から撮影指示信号を取得する。撮像制御部155は、撮影指示信号に応じて、カメラ13に撮像領域を撮像させる。また、撮像制御部155は、撮影指示信号に応じて撮影された画像データをカメラ13から取得する。撮像制御部155は、取得した画像データを制御条件生成部152に出力する。また、撮像制御部155は、制御条件生成部152から撮影停止信号を取得する。撮像制御部155は、撮影停止信号に応じてカメラ13を停止させる。
【0073】
以上が、コントローラ15の構成の詳細についての説明である。なお、
図11の構成は一例であって、コントローラ15の構成をそのままの形態に限定するものではない。
【0074】
ここで、検出装置10のプロジェクタ11による投光やカメラ13による撮影のタイミングと、タグ100のタグコントローラ105の起動や発光素子107の発光のタイミングについて図面を参照しながら説明する。
【0075】
図16は、検出装置10およびタグ100の動作タイミングの一例について説明するためのタイミングチャートである。
図16には、識別信号を含む走査光を連続して間欠的に投射する例を示す。
【0076】
まず、検出装置10は、識別情報に基づいて生成された識別信号を含む走査光をプロジェクタ11から連続して間欠的に投射する。
【0077】
タグ100の光検出素子101は、走査光を受光すると、受光した走査光を電気に変換して蓄電素子103に蓄電する。なお、
図16には、1パルス分の走査光によってタグコントローラ105が起動するように図示しているが、数パルス分の走査光によってタグコントローラ105が起動するように構成してもよい。
【0078】
蓄電素子103に十分な電力が蓄積されると、タグコントローラ105が起動する。タグコントローラ105は、起動すると、受信している走査光に含まれる識別信号が自身の識別記号に対応するか検証する。受信している走査光に含まれる識別信号が自身の識別記号に対応する場合、タグコントローラ105は、発光素子107に電力供給し、発光素子107を発光させる。一方、受信している走査光に含まれる識別信号が自身の識別記号に対応しない場合、タグコントローラ105は、発光素子107に電力供給しない。
【0079】
検出装置10は、走査光を投射すると、少なくともタグ100の発光素子107が発光している期間、カメラ13によって撮影範囲を撮影させる。タグ100の位置に基づいて発光素子107の発光期間を推定できる場合は、その期間だけカメラ13に撮影させればよい。
【0080】
図17は、検出装置10およびタグ100の動作タイミングの別の一例について説明するためのタイミングチャートである。
図17の例では、検出装置10は、タグ100のタグコントローラ105や発光素子107に電力を供給するための電力供給信号を識別信号よりも先に投射する。なお、
図17には電力供給信号と識別信号のペアを一組しか図示していないが、
図16の例のように、検出装置10は、電力供給信号と識別信号のペアを連続して間欠的に投光する。
【0081】
まず、検出装置10は、タグ100のタグコントローラ105や発光素子107に電力を供給するための電力供給信号と、識別情報に基づいて生成された識別信号とを含む走査光を投射する。電力供給信号は、タグ100に電力を供給するために、識別信号よりも先に投射される。
【0082】
タグ100の光検出素子101は、電力供給信号を受光すると、受光した電力供給信号を電気に変換して蓄電素子103に蓄電する。蓄電素子103に十分な電力が蓄積されると、タグコントローラ105が起動する。タグコントローラ105は、起動すると、受信している走査光に含まれる識別信号が自身の識別記号に対応するか検証する。受信している走査光に含まれる識別信号が自身の識別記号に対応する場合、タグコントローラ105は、発光素子107に電力供給し、発光素子107を発光させる。一方、受信している走査光に含まれる識別信号が自身の識別記号に対応しない場合、タグコントローラ105は、発光素子107に電力供給しない。
【0083】
検出装置10は、走査光を投射すると、少なくともタグ100の発光素子107が発光している期間、撮影範囲を撮影する。タグ100の位置に基づいて発光素子107の発光期間を推定できる場合は、その期間だけ撮影すればよい。
【0084】
以上が、検出装置10による投光や撮影のタイミングと、タグ100のタグコントローラ105の起動や発光素子107の発光のタイミングについての説明である。なお、
図16や
図17に示すタイミングは一例であって、本実施形態の検出装置10およびタグ100の動作のタイミングをそのままに限定するものではない。
【0085】
〔制御条件生成部〕
次に、制御条件生成部152および記憶部153の詳細構成について図面を参照しながら説明する。
図18は、制御条件生成部152および記憶部153の詳細構成について説明するためのブロック図である。
図18のように、制御条件生成部152は、識別情報受信部1521、画像データ取得部1522、タグ抽出部1523、識別記号取得部1525、および投射条件生成部1526を含む。また、記憶部153は、識別記号記憶部1531および投射情報記憶部1533を含む。
【0086】
識別情報受信部1521は、受信部151、画像データ取得部1522、および識別記号取得部1525に接続される。識別情報受信部1521は、受信部151から識別情報を取得する。識別情報受信部1521は、取得した識別情報を画像データ取得部1522に出力する。また、識別情報受信部1521は、取得した識別情報を識別記号取得部1525に出力する。
【0087】
画像データ取得部1522は、識別情報受信部1521、タグ抽出部1523、および撮像制御部155に接続される。画像データ取得部1522は、識別情報受信部1521から識別情報を取得する。識別情報受信部1521は、識別情報を取得すると、カメラ13による撮影を指示する撮影指示信号を生成する。画像データ取得部1522は、生成した撮影指示信号を画像データ取得部1522に出力する。画像データ取得部1522は、撮影指示信号に応じて撮影された画像データを撮像制御部155から取得する。画像データ取得部1522は、取得した画像データをタグ抽出部1523に出力する。
【0088】
また、画像データ取得部1522は、カメラ13による撮影を停止させるための撮影停止信号を生成する。画像データ取得部1522は、生成した撮影停止信号を画像データ取得部1522に出力する。画像データ取得部1522が撮影停止信号を生成するタイミングは、予め決められたタイミングに設定されてもよいし、タグ100の検出に応じて設定されてもよい。
【0089】
タグ抽出部1523は、画像データ取得部1522および投射条件生成部1526に接続される。タグ抽出部1523は、画像データ取得部1522から画像データを取得する。
【0090】
タグ100を抽出するための画像データを取得した場合、タグ抽出部1523は、その画像データからタグ100の特徴を抽出し、そのタグ100の位置を特定する。画像データからタグ100の特徴が複数箇所で抽出された場合、タグ抽出部1523は、画像データに含まれる全てのタグ100の位置を特定する。タグ抽出部1523は、特定したタグ100の位置を投射条件生成部1526に出力する。
【0091】
走査光が投射された箇所を含む画像データを取得した場合、タグ抽出部1523は、その画像データからタグ100の発光を抽出し、その発光の位置を特定する。画像データにタグ100の発光が複数箇所で抽出された場合、タグ抽出部1523は、画像データに含まれる全ての発光位置を特定する。タグ抽出部1523は、特定した発光位置を投射条件生成部1526に出力する。
【0092】
識別記号取得部1525は、識別情報受信部1521、投射条件生成部1526、および記憶部153の識別記号記憶部1531に接続される。識別記号取得部1525は、識別情報受信部1521から識別情報を取得する。識別記号取得部1525は、取得した識別情報に対応する識別記号を識別記号記憶部1531から取得する。識別記号取得部1525は、取得した識別記号を投射条件生成部1526に出力する。
【0093】
投射条件生成部1526は、タグ抽出部1523、識別記号取得部1525、記憶部の投射情報記憶部1533、および投射制御部156に接続される。
【0094】
タグ100を抽出する場合、投射条件生成部1526は、タグ抽出部1523からタグ100の位置を取得する。投射条件生成部1526は、走査光を投射するパターンを投射情報記憶部1533から取得する。投射条件生成部1526は、取得したパターンをタグ100の位置に投射するための投射条件を生成する。複数のタグ100に走査光を走査させる場合、投射条件生成部1526は、全てのタグ100に走査光を投射するための投射条件を生成する。
【0095】
タグ100の発光を抽出する場合、投射条件生成部1526は、タグ抽出部1523からタグ100の発光位置を取得する。投射条件生成部1526は、識別情報に関する目印光を表示するためのパターンを投射情報記憶部1533から取得する。投射条件生成部1526は、タグ100が添付された保管物の位置や、保管対象の保管物の近傍の位置にパターン投射するための投射条件を生成する。複数のタグ100の発光位置に目印光を表示させる場合、投射条件生成部1526は、全てのタグ100の発光位置に目印光を表示させるための投射条件を生成する。
【0096】
以上が、制御条件生成部152の構成の詳細についての説明である。なお、
図18の構成は一例であって、制御条件生成部152の構成をそのままの形態に限定するものではない。
【0097】
(動作)
次に、本実施形態の表示システムの動作の一例について図面を参照しながら説明する。以下においては、タグ100、コントローラ15、プロジェクタ11、およびカメラ13の各々の動作について順番に説明する。
【0098】
〔タグ〕
図19は、タグ100の動作の一例について説明するためのフローチャートである。
図19のフローチャートに沿った説明においては、タグ100を動作の主体として説明する。
【0099】
図19において、まず、タグ100の光検出素子101は、走査光を受光する(ステップS101)。
【0100】
次に、タグ100の光検出素子101は、走査光を電気に変換し、変換後の電気を蓄電素子103に蓄電する(ステップS102)。
【0101】
ここで、タグコントローラ105を起動できる電力が蓄電素子103に蓄電された場合(ステップS103でYes)、タグコントローラ105が起動する(ステップS104)。一方、タグコントローラ105を起動できる電力が蓄電素子103に蓄電されていない場合(ステップS103でNo)、ステップS102に戻る。
【0102】
タグコントローラ105が起動すると(ステップS104)、タグコントローラ105は、走査光に含まれる識別信号と自身の識別記号とを比較する(ステップS105)。
【0103】
走査光に含まれる識別信号が自身の識別記号と一致した場合(ステップS105でYes)、タグコントローラ105は、発光素子107を発光させる(ステップS106)。一方、走査光に含まれる識別信号が自身の識別記号と一致しなかった場合(ステップS105でNo)、タグコントローラ105は、発光素子107を発光させない。
【0104】
以上が、タグ100の動作の一例についての説明である。なお、
図19のフローチャートに沿った処理は一例であって、本実施形態のタグ100の動作をそのままの手順に限定するものではない。
【0105】
〔コントローラ〕
図20および
図21は、コントローラ15の動作について説明するためのフローチャートである。
図20および
図21に沿った説明においては、
図11に示すコントローラ15の構成要素を動作の主体として説明する。
【0106】
図20において、まず、受信部151は、入力装置17から選択対象物や保管対象物の識別情報を受信する(ステップS111)。
【0107】
次に、制御条件生成部152は、カメラ13による撮影を指示する撮影指示信号を生成する(ステップS112)。
【0108】
次に、撮像制御部155は、制御条件生成部152が生成した撮影指示信号をカメラ13に送信する(ステップS113)。
【0109】
次に、撮像制御部155は、撮影指示信号に応じて撮影された画像データをカメラ13から受信する(ステップS114)。
【0110】
ここで、制御条件生成部152は、受信した画像データからタグを検出すると(ステップS115でYes)、走査光を表示するためのパターンを記憶部153から取得する(ステップS116)。一方、受信した画像データからタグが検出されなかった場合(ステップS115でNo)、ステップS114に戻る。
【0111】
走査光を表示するためのパターンを記憶部153から取得する(ステップS116)と、制御条件生成部152は、走査光を投射するための投射条件を生成する(ステップS117)。
【0112】
次に、制御条件生成部152は、走査光の投射条件をプロジェクタ11に送信する(ステップS118)。ステップS118の後は、
図21のAに進む。
【0113】
図21において、まず、撮像制御部155は、走査光が投射された後に撮影された画像データをカメラ13から受信する(ステップS121)。
【0114】
ここで、制御条件生成部152は、走査光が投射された後に撮影された画像データにタグ100の発光が含まれるか検証する(ステップS122)。例えば、制御条件生成部152は、予め設定されたタイミングにおいて、画像データにタグ100の発光が含まれるか検証する。
【0115】
走査光が投射された後に撮影された画像データにタグ100の発光が検出されず(ステップS122でNo)、検出を継続する場合(ステップS123でYes)、ステップS121に戻る。走査光が投射された後に撮影された画像データにタグ100の発光が検出されず(ステップS122でNo)、検出を継続しない場合(ステップS123でNo)、ステップS128に進む。
【0116】
一方、走査光が投射された後に撮影された画像データにタグ100の発光を検出した場合(ステップS122でYes)、制御条件生成部152は、画像データにおける発光位置を特定する(ステップS124)。
【0117】
画像データにおける発光位置を特定する(ステップS124)と、制御条件生成部152は、特定した発光位置に目印光を表示するための投射条件を生成する(ステップS125)。
【0118】
投射制御部156は、制御条件生成部152によって生成された投射条件をプロジェクタ11に出力する(ステップS126)。
【0119】
ここで、カメラ13による撮影を停止する場合(ステップS127でYes)、制御条件生成部152は、カメラ13による撮影を停止させるための撮影停止信号を生成する(ステップS128)。一方、カメラ13による撮影を継続する場合(ステップS127でNo)、ステップS121に戻る。
【0120】
そして、撮像制御部155は、制御条件生成部152が生成した撮影停止信号をカメラ13に送信する(ステップS129)。
【0121】
以上が、コントローラ15の動作の一例についての説明である。なお、
図20および
図21のフローチャートに沿った処理は一例であって、本実施形態のコントローラ15の動作をそのままの手順に限定するものではない。
【0122】
〔プロジェクタ〕
図22は、プロジェクタ11の動作について説明するためのフローチャートである。
図22のフローチャートに沿った説明においては、プロジェクタ11を動作の主体として説明する。
【0123】
図22において、まず、プロジェクタ11は、走査光の投射条件をコントローラ15から受信する(ステップS131)。
【0124】
次に、プロジェクタ11は、受信した投射条件に基づいて走査光を投射する(ステップS132)。
【0125】
ここで、目印光の投射条件を受信した場合(ステップS133でYes)、プロジェクタ11は、受信した投射条件に基づいて目印光を投射する(ステップS134)。一方、目印光の投射条件を受信していない場合(ステップS133でNo)、ステップS132に戻る。なお、目印光を投射した後も、走査光を投射し続けるようにしてもよい。
【0126】
受信した投射条件に基づいて目印光を投射する(ステップS134)と、プロジェクタ11は、状況に応じて投射を停止する(ステップS135)。
【0127】
目印光の投射を停止する場合(ステップS135でYes)、プロジェクタ11は、目印光の投射を停止する(ステップS136)。例えば、プロジェクタ11は、目印光が投射されてから所定時間が経過したタイミングや、コントローラ15から投射を停止する指示を受信した場合などに投射を停止する。一方、目印光の投射を停止しない場合(ステップS135でNo)、ステップS134に戻る。
【0128】
以上が、プロジェクタ11の動作の一例についての説明である。なお、
図22のフローチャートに沿った処理は一例であって、本実施形態のプロジェクタ11の動作をそのままの手順に限定するものではない。
【0129】
〔カメラ〕
図23は、カメラ13の動作について説明するためのフローチャートである。
図23のフローチャートに沿った説明においては、カメラ13を動作の主体として説明する。
【0130】
図23において、まず、カメラ13は、コントローラ15から撮影指示信号を受信する(ステップS141)。
【0131】
次に、カメラ13は、受信した撮影指示信号に応じて撮影範囲を撮影する(ステップS142)。
【0132】
次に、カメラ13は、撮影した画像データをコントローラ15に送信する(ステップS143)。
【0133】
撮影停止信号を受信した場合(ステップS144でYes)、カメラ13は、撮影を停止する(ステップS145)。一方、撮影停止信号を受信していない場合(ステップS144でNo)、ステップS142に戻る。
【0134】
以上が、カメラ13の動作の一例についての説明である。なお、
図23のフローチャートに沿った処理は一例であって、本実施形態のカメラ13の動作をそのままの手順に限定するものではない。
【0135】
〔適用例〕
ここで、本実施形態の表示システム1の適用例について図面を参照しながら説明する。
【0136】
図24および
図25は、表示システム1の適用例1について説明するための概念図である。適用例1は、図書館の書架に並べられた本の中から所望の本を見つけ出し、その本の背表紙に目印光を表示させる例である。
【0137】
図24は、図書館の書架に並べられた本の背表紙に貼付されたタグ100に向けて走査光175を投射し、複数のタグ100の位置に走査光175を順に走査させる例を示す。
図24は、所望の本の背表紙に貼付されたタグ100−1が発光している様子を示す。
図25は、発光したタグ100−1が貼付された本を含む範囲に目印光176が投射されている様子を示す。目印光176を視認したユーザは、その目印光176の辺りを視認することによって所望の本を見つけることができる。図書館の書架に本を返却する際には、返却位置の近傍に目印光を表示することによって、その本の返却位置を見つけやすくなる。
【0138】
図書館で所望の本を探し出す作業において、本の背表紙に書かれた本のタイトルや、分類番号などを記したコード(請求記号ラベル)を画像認識で読み取り、その位置に目印となる光を表示できれば作業性が向上する。しかしながら、本の背表紙に書かれた本のタイトルやコードを離れた位置から画像認識で正確に読み取るためには高性能カメラが必要になる。また、本の背表紙に書かれた本のタイトルは、経年劣化によって読み取りづらくなっている場合もあり、画像認識を用いても読み取れない可能性がある。
【0139】
図26は、表示システム1の適用例2について説明するための概念図である。適用例2は、作業者の胸に装着された検出装置10によって複数のロッカーの中から所望のロッカーを見つけ出し、そのロッカーに貼付されたタグ100を発光させ続ける例である。
【0140】
図26の(g)は、作業者の胸に装着された検出装置10が、複数のタグ100を検出し、それらのタグ100に走査光を投射する様子を示す。検出装置10は、走査光が投射されたタグ100の中から発光するタグ100−2を検出する。
図26の(h)は、発光するタグ100−2に走査光を投射し続け、タグ100−2を発光させ続ける様子を示す。例えば、発光するタグ100−2の位置は、カメラ13によって撮影された画像データから抽出される特徴を用いて追跡し続けることができる。
【0141】
図26の適用例2は、図書館において、書架に並べられた複数の所望の本の背表紙に貼付された複数のタグ100を発光させ続ける用途にも適用できる。なお、
図26においては、タグ100を発光させ続ける例を図示しているが、画像データから抽出される特徴に基づいて任意の位置に目印光を投射するように構成することもできる。
【0142】
図27は、重なるように配置された複数の本の中から所望の本を検出する適用例3について説明するための概念図である。
図27は、重ねて配置された本の裏に隠れているタグ100−3が貼付された本と、見える位置にタグ100−4が貼付された本を検出する例である。
【0143】
図27の(i)は、検出装置10によって矩形の破線で囲んだ撮影範囲内を撮影する様子を示す。
図27(j)は、検出されたタグ100の位置に合わせて、近赤外領域の波長の走査光175を走査させる例である。
図27(j)の例では、本の裏に隠れているタグ100−4にも走査光が投射されるものとする。
図27(k)は、前面に重ねて置かれた本を透過したタグ100−3とタグ100−4の発光を検出装置10が検出する様子を示す。
図27(l)は、発光したタグ100−3とタグ100−4が貼付された本を含む範囲に目印光176を表示させる様子を示す。
図27(l)には、隠れているタグ100−3が貼付された本の前に重ねられた本に記号(B:Back)を表示させることで、その裏の本が所望の本であることを示す例を示す。
【0144】
本実施形態の表示システム1は、
図24〜
図27の適用例1〜3の用途に限らず、複数の物品の各々にタグ100を貼付し、タグ100が貼付された物品から選択対象を選択する用途であれば、任意の用途に用いることができる。例えば、本実施形態の表示システム1は、スーパーマーケットやコンビニエンスストア、デパートメントストアなどの店舗に陳列された商品にタグ100を貼付し、それらの商品の中から所望の商品を選択する用途にも適用できる。
【0145】
以上のように、本実施形態の表示システムは、複数のタグと検出装置を備える。複数のタグは、各々を識別するための識別記号が格納され、識別記号と照合される識別情報を含む光を受光して発電し、受光した光に含まれる識別情報が識別記号に一致した場合に自身の電力を用いて発光する。検出装置は、選択対象の識別情報の入力に応じて撮影して画像データを生成する。検出装置は、生成した画像データから複数のタグのうち少なくとも一つのタグを抽出し、抽出した少なくとも一つのタグの位置に識別情報を含む走査光を投射する。検出装置は、走査光が投射されている期間に取得された画像データから複数のタグのうちいずれかのタグの発光が抽出された場合、発光したタグを含む範囲内に目印光を投射する。
【0146】
本実施形態の一態様において、複数のタグの各々は、光検出素子、蓄電素子、およびタグコントローラを有する。光検出素子は、検出装置によって投射された走査光を受光し、受光した走査光によって発電する。蓄電素子には、光検出素子によって発電された電力が蓄電される。タグコントローラは、蓄電素子に蓄電された電力によって起動される。タグコントローラは、自身の識別記号が格納され、蓄電素子に蓄電された電力によって起動され、光検出素子によって受光された走査光に含まれる識別情報と識別記号とを比較する。例えば、発光素子は、マイクロLED素子、有機EL素子、および無機EL素子のいずれかである。
【0147】
本実施形態の一態様において、検出装置は、コントローラ、カメラ、およびプロジェクタを有する。コントローラは、識別情報に入力に応じて撮影指示信号と、走査光および目印光を投射するための投射条件とを少なくとも生成する。カメラは、コントローラによって生成された撮影指示信号に応じて撮影する。プロジェクタは、コントローラによって生成された投射条件に基づいて投射光を投射する。
【0148】
本実施形態の一態様において、プロジェクタは、光源と、光源から出射される出射光を変調して反射する表示面を有する位相変調型の空間光変調器と、空間光変調器の表示面で反射された反射光を投射する投射光学系とを含む。
【0149】
本実施形態の一態様において、コントローラは、複数のタグに電力供給するための電力供給信号を含む走査光の投射条件をプロジェクタに出力する。プロジェクタは、コントローラからの投射条件に基づいて電力供給信号を含む走査光を投射する。
【0150】
本実施形態の一態様において、コントローラは、受信部、制御条件生成部、撮像生成部、投射制御部を有する。受信部は、識別情報を受信する。制御条件生成部は、識別情報が受信された際に、カメラに撮影を指示するための撮影指示信号を生成する。制御条件生成部は、撮影指示信号に応じて撮影された画像データに基づいて投射条件を生成する。制御条件生成部は、撮影指示信号に応じて撮影された画像データから複数のタグのうち少なくとも一つのタグを抽出し、抽出したタグの位置に走査光を投射するための投射条件を生成する。制御条件生成部は、走査光が投射されている期間に取得された画像データからタグの発光が検出された際に、タグの発光が検出された位置に目印光を投射するための投射条件を生成する。撮像生成部は、制御条件生成部によって生成された撮影指示信号をカメラに送信し、撮影指示信号に応じてカメラによって撮影された画像データを制御条件生成部に出力する。投射制御部は、制御条件生成部によって生成された投射条件をプロジェクタに出力する。
【0151】
本実施形態の一態様において、制御条件生成部は、画像データからタグの特徴を抽出した場合、タグの特徴に基づいてタグの位置を特定し、特定したタグの位置に走査光を投射するための投射条件を生成。制御条件生成部は、走査光が投射されている期間に取得された画像データからタグの発光が検出された場合、発光が検出されたタグを含む範囲内に目印光を投射するための投射条件を生成する。
【0152】
本実施形態の一態様において、制御条件生成部は、画像データからタグの特徴を抽出した場合、後続の撮影によって生成された画像データから抽出されるタグの特徴に基づいてタグの位置を追跡し続ける。制御条件生成部は、追跡中のタグの位置に走査光を投射するための投射条件を生成する。
【0153】
本実施形態の検出装置は、入力された識別情報に応じて、その識別情報を含む走査光を投射する。本実施形態のタグは、走査光を受信すると、その走査光に含まれる識別情報と、自身に格納された識別記号とが一致した場合に発光素子を発光させる。本実施形態の検出装置は、走査光に応じて発光したタグを検出し、そのタグを含む範囲内に目印光を投射する。そのため、本実施形態の表示システムによれば、選択対象を迅速かつ正確に見つけ出すことを可能とする目印を表示させることができる。
【0154】
(ハードウェア)
ここで、本発明の第1の実施形態に係る表示システム1が備えるコントローラ15を実現するハードウェア構成について、
図28の制御装置90を一例として挙げて説明する。なお、
図28の制御装置90は、コントローラ15を実現するための構成例であって、本発明の範囲を限定するものではない。
【0155】
図28のように、制御装置90は、プロセッサ91、主記憶装置92、補助記憶装置93、入出力インターフェース95、および通信インターフェース96を備える。
図28においては、インターフェースをI/F(Interface)と略して表記する。プロセッサ91、主記憶装置92、補助記憶装置93、入出力インターフェース95、および通信インターフェース96は、バス98を介して互いにデータ通信可能に接続される。また、プロセッサ91、主記憶装置92、補助記憶装置93および入出力インターフェース95は、通信インターフェース96を介して、インターネットやイントラネットなどのネットワークに接続される。
【0156】
プロセッサ91は、補助記憶装置93等に格納されたプログラムを主記憶装置92に展開し、展開されたプログラムを実行する。本実施形態においては、制御装置90にインストールされたソフトウェアプログラムを用いる構成とすればよい。プロセッサ91は、コントローラ15による処理を実行する。
【0157】
主記憶装置92は、プログラムが展開される領域を有する。主記憶装置92は、例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory)などの揮発性メモリとすればよい。また、MRAM(Magnetoresistive Random Access Memory)などの不揮発性メモリを主記憶装置92として構成・追加してもよい。
【0158】
補助記憶装置93は、種々のデータを記憶する。補助記憶装置93は、ハードディスクやフラッシュメモリなどのローカルディスクによって構成される。なお、種々のデータを主記憶装置92に記憶させる構成とし、補助記憶装置93を省略することも可能である。
【0159】
入出力インターフェース95は、制御装置90と周辺機器とを接続するためのインターフェースである。通信インターフェース96は、規格や仕様に基づいて、インターネットやイントラネットなどのネットワークを通じて、外部のシステムや装置に接続するためのインターフェースである。入出力インターフェース95および通信インターフェース96は、外部機器と接続するインターフェースとして共通化してもよい。
【0160】
制御装置90には、キーボードやマウス、タッチパネルなどの入力装置17を接続する。入力装置17は、選択対象物や保管対象物などの識別情報などの情報や各種設定の入力に使用される。なお、入力装置17としてタッチパネルを用いる場合は、タッチパネルの表示画面が入力装置17のインターフェースを兼ねる構成とすればよい。プロセッサ91と入力装置17との間のデータ通信は、入出力インターフェース95に仲介させればよい。
【0161】
また、制御装置90には、情報を表示するための表示機器を備え付けてもよい。表示機器を備え付ける場合、制御装置90には、表示機器の表示を制御するための表示制御装置(図示しない)が備えられていることが好ましい。表示機器は、入出力インターフェース95を介して制御装置90に接続すればよい。
【0162】
以上が、第1の実施形態に係る表示システム1が備えるコントローラ15を可能とするためのハードウェア構成の一例である。なお、
図28のハードウェア構成は、コントローラ15による処理を実行するためのハードウェア構成の一例であって、本発明の範囲を限定するものではない。また、コントローラ15タグに関する処理をコンピュータに実行させるプログラムも本発明の範囲に含まれる。さらに、コントローラ15が実行するプログラムを記録したプログラム記録媒体も本発明の範囲に含まれる。
【0163】
プログラム記録媒体は、例えば、CD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disc)などの光学記録媒体で実現できる。また、プログラム記録媒体は、USB(Universal Serial Bus)メモリやSD(Secure Digital)カードなどの半導体記録媒体や、フレキシブルディスクなどの磁気記録媒体、その他の記録媒体によって実現されてもよい。
【0164】
コントローラ15の構成要素は、任意に組み合わせることができる。また、コントローラ15の構成要素は、ソフトウェアによって実現されてもよいし、回路によって実現されてもよい。
【0165】
以上、実施形態を参照して本発明を説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【解決手段】各々を識別するための識別記号が格納され、識別記号と照合される識別情報を含む光を受光して発電し、受光した光に含まれる識別情報が識別記号に一致した場合に自身の電力を用いて発光する複数のタグと、選択対象の識別情報の入力に応じて撮影して画像データを生成し、生成した画像データから複数のタグのうち少なくとも一つのタグを抽出し、抽出した少なくとも一つのタグの位置に識別情報を含む走査光を投射し、走査光が投射されている期間に取得された画像データから複数のタグのうちいずれかのタグの発光が抽出された場合、発光したタグを含む範囲内に目印光を投射する検出装置とを備える。