(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
含水充填剤(iii)が、ヒュームドシリカ及び沈降シリカ、炭酸カルシウム、カーボンブラック、中空ガラスビーズ、及び/又はカーボンナノチューブから選択される、請求項1又は2に記載のチタネート/ジルコネート硬化触媒に基づく複数パート縮合硬化性エラストマー又はゲル組成物。
感圧接着剤としての、又は振動若しくは音の緩衝用途での、又はディスプレイのための積層体、接着剤、光学的に透明なコーティング、若しくは導波管の製造における、請求項6に記載の材料の使用。
カーテンコーター、スプレーデバイス、ダイコーター、ディップコーター、押出コーター、ナイフコーター、及びスクリーンコーターから選択されるディスペンサーを使用して、基材上に適用され、ゲルが形成されると、前記基材上にコーティングを提供する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の縮合硬化性エラストマー又はゲル組成物。
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、チタン及び/又はジルコニウム系の触媒を用いる縮合硬化化学作用により硬化して、エラストマー又はゲル最終生成物を生成する2パートシリコーン組成物と、その用途と、に関する。
【0002】
多くの場合、コーティング材料、ポッティング材料、及び封入材料として使用されるエラストマー又はゲルなどのシリコーン系材料は、基材及び/又は他の材料への接着を維持しなければならない。例えばエレクトロニクスでは、ゲルは、硬化して非常に柔らかい材料を形成する封入材の特別なクラスである。それらを使用して、敏感な回路に対し高レベルの応力緩和を提供する。ゲル及びエラストマーの両方は、エレクトロニクスにおいて多くの重要な機能を果たす。それらの主な機能は、
誘電体絶縁として機能することと、
水分及び他の汚染物質から回路を保護することと、
部品への機械的及び熱的応力を緩和することと、によって、電子アセンブリ及び電子部品を有害な環境から保護することにある。
【0003】
係る状況では、ゲルは、コーティング又は封入材料中を通る電気コネクタ及び導体に加えて、電子及び電気部品並びにプリント回路基板に接着することが要求される。
【0004】
封入材及びポッティング材など(例えばゲル)を形成するために現在使用される市販のシリコーン材料は、付加硬化化学作用に基づいていて高価である。すなわち、それらは、典型的には白金系化合物である触媒の助けにより、水素化ケイ素基と不飽和炭素基との反応によって硬化される。歴史的に、当該産業では、これらの用途にはこのタイプの好ましい付加硬化組成物を有している。というのは、それらは化合物の本体全体にわたって直ちに硬化し、その結果、硬化材料が数分足らずで生成されるが、縮合硬化系は著しく遅くなり、チタネート硬化縮合プロセスは、例えば、未硬化材料の本体の深さ6mm当たり最大7日を要する場合があるからである。スズ硬化縮合系は、より短期間で硬化するが、80℃を超える温度で逆反応(すなわち、解重合)を受けるため、例えばエレクトロニクス用途には適していない。
【0005】
硬化速度の観点から、ヒドロシリル化硬化組成物から作製される材料は優れているが、それらの使用には、いくつかの潜在的問題及び/又は欠点がある。例えば、ヒドロシリル化硬化組成物は、一般に、高温(すなわち100℃を超える温度)で硬化し、高価な白金系硬化触媒を不活性化することで汚染され、硬化しなくなる場合がある。その白金触媒は、影響を受けやすく、アミン含有化合物、硫黄含有化合物、及びリン含有化合物によって作用が減じる場合がある。
【0006】
1成分湿気硬化性シリコーンを配合するには、アルコキシチタン化合物(すなわちアルキルチタネート)が好適な触媒であることは当業者にはよく知られている(References:Noll,W.;Chemistry and Technology of Silicones,Academic Press Inc.,New York,1968,p.399,Michael A.Brook,silicon in organic,organometallic and polymer chemistry,John Wiley & sons,Inc.(2000),p.285)。チタネート触媒は、スキン又は拡散硬化されている1パート縮合硬化シリコーンエラストマーを配合するためのそれらの使用に関しては広く記載されている。これらの配合物は、典型的には、15mmよりも薄い層で適用される1パートパッケージで利用可能である。15mmより厚い層では、非常に深いセクションにおいて水分の拡散が極めて遅いため、材料の深部に未硬化材料が誘導されることが知られている。シーラント/封入材が基材表面上に適用された後に、組成物/空気界面において硬化スキンが形成されることによって、初期硬化プロセスが起こるときに、スキン又は拡散硬化(例えば水分/凝縮)が起こる。表面スキンの生成後に、硬化速度は、シーラント/封入材と空気との界面から内側(又はコア)への水分の拡散速度と、内側(又はコア)から材料の外側(又は表面)への凝縮反応副生物/流出物の拡散と、外側/表面から内側/コアへと時間と共に硬化スキンが徐々に厚くなることと、に左右される。
【0007】
生成物の大部分において縮合硬化を活性化するように設計された多成分組成物では、チタン系触媒を使用しない。それらは、一般に、スズ触媒又は亜鉛触媒などの他の金属触媒、例えばジブチルスズジラウレート、スズオクトエート、及び/又は亜鉛オクトエートを使用する(Noll,W.;Chemistry and Technology of Silicones,Academic Press Inc.,New York,1968,p.397)。使用する前に2つ以上のパートで貯蔵されるシリコーン組成物では、1パートは、典型的には、製品の大部分において縮合硬化を活性化させるのに必要な水分を含有する充填剤を含有する。前述の拡散硬化1パート系とは異なり、2パート縮合硬化系は、一度混合されると、深さ15mmを超えるセクションでもバルク硬化が可能である。この場合、組成物は、材料の大部分の至る所で(混合後に)硬化する。スキンが形成される場合、適用後最初の数分でのみ形成される。その後すぐに、生成物は全体的な塊として固体となる。チタネート触媒は、これらのタイプの2パート組成物を硬化させるためには使用されない。その理由は、かなりの量の水分がある状態で、アルキルチタネート触媒は、完全に加水分解されてシリコーンに不溶性であるテトラヒドロキシチタネートを生成することが良く知られているためである。このチタンの形態により、その触媒効率が低下し、未硬化の系が生じる。係る硬化系の例を有する2パート縮合硬化シリコーンを開示している特許公報が知られている。典型的には、開示された例は、これらの配合物に好適なものとしてアルキルスズ触媒を明らかにしており、係る公報の例としては、国際公開第2007/117551(A1)号、同第2007/117552(A1)号、同第2013/100175(A1)号、及び同第2015/091396(A1)号が挙げられる。これらの公報において、又は本出願者らが知っている限りでの類似の系において、触媒としてアルキルチタネートを公開した例は全くないことに注目することは重要である。その主な理由は、スズ触媒をアルキルチタネートで置き換えると、触媒としてのスズと一緒に使用される配合物が適切に硬化しないからである。それにもかかわらず、上記で確認した特許公報の各々は、その目的に不適当であるにもかかわらず、アルキルチタネートを列挙している。
【0008】
チタネート触媒は、上記した不活性化に起因して、係る配合物のバルク硬化を効率的に触媒しないことは、当業者にはよく知られている。本明細書では、2パート縮合硬化シリコーン配合物を開示し、その配合物は、驚くべきことに、係る配合物に関する境界条件を硬化プロセスに用いるならば、アルキルチタネートを用いて硬化させることができる。
【0009】
複数パート組成物の縮合反応生成物であるエラストマー材料又はゲル材料が提供される。その複数パート組成物は、
(i)1分子当たり少なくとも1つ、典型的には少なくとも2つのヒドロキシル官能基を有する、少なくとも1つの縮合硬化性シリル末端ポリマーと、
(ii)
1分子基当たり少なくとも2つの加水分解性基、あるいは少なくとも3つの加水分解性基を有するシラン、及び/又は
少なくとも2つのシリル基を有するシリル官能性分子であって、各シリル基は少なくとも1つの加水分解性基を含有する、シリル官能性分子、の群から選択される架橋剤と、
(iii)1つ以上の含水充填剤と、
(iv)チタネート、ジルコネートの群から選択される縮合触媒と、
を含み、
ポリマー(i)、架橋剤(ii)、及び触媒(iv)は同じパートに一緒に貯蔵されず、触媒は、ISO787−2:1981に従って測定した場合、組成物のパートにおいて累積的に存在する水分の少なくとも50%のモル量で存在することを特徴とする。
【0010】
また、チタネート/ジルコネート硬化触媒に基づく複数パート縮合硬化性エラストマー又はゲル組成物も提供される。その組成物は、
(i)1分子当たり少なくとも1つ、典型的には少なくとも2つの加水分解性基及び/又はヒドロキシル官能基を有する、少なくとも1つの縮合硬化性シリル末端ポリマーと、
(ii)
1分子基当たり少なくとも2つの加水分解性基、あるいは少なくとも3つの加水分解性基を有するシラン、及び/又は少なくとも2つのシリル基を有するシリル官能性分子であって、各シリル基は少なくとも1つの加水分解性基を含有する、シリル官能性分子、の群から選択される架橋剤と、
(iii)1つ以上の含水充填剤と、
(iv)チタネート、ジルコネートの群から選択される縮合触媒と、
を含み、
ポリマー(i)、架橋剤(ii)、及び触媒(iv)は全て同じパートに一緒に貯蔵されず、触媒は、ISO787−2:1981に従って測定した場合、組成物のパートにおいて累積的に存在する水分の少なくとも50%のモル量で存在することを特徴とする。
【0011】
典型的には、含水充填剤(iii)及び触媒(iv)は異なるパートに貯蔵される。
【0012】
一実施形態では、組成物は、触媒M−OR官能基(式中Mはチタン又はジルコニウムである)の過剰対ケイ素結合ヒドロキシル基の総量のモル比が、0.01:1〜0.5:1に含まれるという追加の要件を有する。
【0013】
ケイ素結合ヒドロキシル(Si−OH)の総モル含量は、100gの混合配合物について計算される。ポリマーに関するケイ素結合ヒドロキシルのモル含量は、ポリマー中に存在するヒドロキシル官能基の平均数、典型的には2を乗じたポリマーの数平均分子量(Mn)によって除された混合生成物100g中のヒドロキシル含有ポリマーのg量に等しい。配合物中にいくつものヒドロキシル官能性ポリマーが存在する場合には、各ポリマーのモル含量の合計は、配合物中の総シラノールモル含量の合計である。
【0014】
加水分解性基の総モル含量は、混合配合物100gについて計算される。物質に関する加水分解性基のモル含量は、分子の分子量又は数平均分子量(Mn)によって除された、それがポリマー分子である場合には、分子中に存在する加水分解性官能基の平均数を乗じた、混合生成物100g中の加水分解性基を含有する分子のg量に等しい。各分子又は各ポリマーのモル含量の合計は、配合物中の加水分解性基の総モル含量の合計である。
【0015】
次いで、ポリマー(i)中のケイ素結合ヒドロキシル基対架橋剤(ii)由来の加水分解性基のモル比は、ポリマー(i)中のケイ素結合ヒドロキシル基(Si−OH)の総モル含量を、架橋剤(ii)由来の加水分解性基の総モル含量で除することによって計算され、すなわち割合として記載することができる。
【0016】
シリコーンの数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定することもできる。この技術は、標準技術であり、Mw(重量平均)、Mn(数平均)、及び多分散指数(PI)(PI=Mw/Mn)に関する値が得られる。
【0017】
本出願で提供されるMn値は、GPCによって決定され、使用されるポリマーの典型的な値を表している。GPCによって提供されない場合、Mnはまた、当該ポリマーの動粘度に基づく計算から得ることもできる。
【0018】
触媒M−OR値は、[(チタネート触媒のg)
*(化合物中のORの数)]を(チタン触媒の分子量)で割った値である。
【0019】
これらの組成物の主な利点は、室温で硬化して、利用される触媒と一緒になって(縮合)、プラチナ硬化シリコーンよりも汚染物質に対してより耐性があるエラストマー又はゲルを形成し、また、スズ触媒組成物とは異なり、高温高湿に曝されたときに、逆反応に対する抵抗性をもたらすことである。これらの組成物の硬化は、予測される典型的なチタネート又はジルコネートによって触媒される縮合反応よりもはるかに速く、すなわち、標準的な1パートチタネート硬化材料の数日とは対照的に、1時間未満が可能であることが確認されている。更に、ヒュームドシリカを使用し、接着促進剤を含有している、上記した2パートチタネート配合物は、1日足らずの後に、ガラス及び陽極酸化アルミニウム上で接着性を発現することが予想外に認められている。
【0020】
ポリマー(i)は、少なくとも1つ以上の水分/縮合硬化性シリル末端ポリマーである。ポリジアルキルシロキサン、アルキルフェニルシロキサン、又はシリル末端基を有する有機系ポリマー、例えばシリルポリエーテル、シリルアクリレート及びシリル末端ポリイソブチレン又は上記のいずれかのコポリマーを含む、任意の好適な水分/縮合硬化性シリル末端ポリマーを利用することができる。好ましくは、ポリマーは少なくとも2つのヒドロキシル基又は加水分解性基を含有するポリシロキサン系ポリマーであり、最も好ましくは、ポリマーは末端ヒドロキシル基又は加水分解性基を含む。好適なヒドロキシル基の例としては、−Si(OH)
3、−(R
a)Si(OH)
2、−(R
a)
2Si(OH)、又は−(R
a)
2Si−R
c−SiR
dp(OH)
3−pが挙げられ、式中、各R
aは独立して、一価のヒドロカルビル基、例えばアルキル基、特に1〜8個の炭素原子を有するアルキル基(好ましくはメチルである)であり、各R
d基は独立して、アルキル基又はアルコキシ基であり、ここでアルキル基は好適には最大6個の炭素原子を有し、R
cは、最大6個のケイ素原子を有する1つ以上のシロキサンスペーサーによって中断されていてもよい二価の炭化水素基であり、pは0、1、又は2の値を有する。
【0021】
好ましくはポリマー(i)は、一般式
X
3−A−X
1(1)
(式中、X
3及びX
1は独立して、末端がヒドロキシル基又は加水分解性基であるシロキサン基から選択され、Aは、シロキサン及び/又は有機含有ポリマー鎖であり、あるいはシロキサンポリマー鎖である)を有する。
【0022】
ヒドロキシル末端基又は加水分解性基X
3又はX
1の例としては、
上で定義した−Si(OH)
3、−(R
a)Si(OH)
2、−(R
a)
2Si(OH)、又は−(R
a)
2Si−R
c−Si(R
d)
p(OH)
3−pが挙げられる。好ましくは、X
3及び/又はX
1末端基は、ヒドロキシジアルキルシリル基、例えばヒドロキシジメチルシリル基又はアルコキシジアルキルシリル基、例えばメトキシジメチルシリル又はエトキシジメチルシリルである。
【0023】
式(I)のポリマー鎖A中の好適なシロキサン基の例は、ポリジオルガノ−シロキサン鎖を含むものである。したがって、ポリマー鎖Aは、好ましくは、式(2)
−(R
5sSiO
(4−s)/2)− (2)
のシロキサン単位を含み、
式中、各R
5は独立して、1〜10個の炭素原子を有するヒドロカルビル基などの有機基であり、任意選択的に、塩素又はフッ素などの1つ以上のハロゲン基で置換されており、sは、0、1、又は2である。基R
5の具体例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ビニル、シクロヘキシル、フェニル、トリル、塩素又はフッ素で置換されたプロピル基(3,3,3−トリフルオロプロピル、クロロフェニル、β−(ペルフルオロブチル)エチル若しくはクロロシクロヘキシル基など)が挙げられる。好適には、基R
5のうちの少なくともいくつか、好ましくは実質的に全てが、メチルである。
【0024】
典型的には、上記タイプのポリマーは、当該粘土に関して最も好適なコーンプレートを用いるBrookfield社製コーンプレート粘度計(RV DIII)を使用して測定したときに、23℃で1000〜300 000mPa.s、あるいは1000〜100 000mPa.sのオーダーの粘度を有する。
【0025】
あるいは、ポリマー(i)は、それぞれが少なくとも1つの加水分解性基を有するシリル末端基を有する有機系ポリマーであることができる。典型的なシリル末端ポリマー基としては、シリル末端ポリエーテル、シリル末端アクリレート、及びシリル末端ポリイソブチレンが挙げられる。利用されるシリル基は、上記のX
1及びX
3のような上記した1つ以上の選択肢とする。
【0026】
したがって、式(2)の単位を含有する好ましいポリシロキサンは、末端、ケイ素結合水酸基、又は端末、ケイ素結合有機基を有するポリジオルガノシロキサンである。ポリジオルガノシロキサンはホモポリマー又はコポリマーであってよい。末端縮合性基を有する異なるポリジオルガノシロキサンもまた好適である。
【0027】
本発明に従って、ポリマー鎖Aは代替的に、シリル末端基、例えば、シリルポリエーテル、シリルアクリレート、及びシリル末端ポリイソブチレンを有する有機系ポリマーであってもよい。シリルポリエーテルの場合、ポリマー鎖はポリオキシアルキレン系単位をベースとする。このようなポリオキシアルキレン単位は、好ましくは、平均式(−C
nH
2n−O−)
y(式中、nは2〜4を含む整数であり、yは少なくとも4の整数である。)により表される、繰り返しオキシアルキレン単位(−C
nH
2n−O−)から構成される、主として直鎖状のオキシアルキレンポリマーを含む。各ポリオキシアルキレンポリマーブロックの平均分子量は、約300g/モル〜約10,000g/モルの範囲であってよいが、より高分子量であってもよい。更に、オキシアルキレン単位は、ポリオキシアルキレンモノマー全体にわたって必ずしも同一でなく、単位ごとに異なっていてもよい。ポリオキシアルキレンブロック又はポリマーは、例えば、オキシエチレン単位(−C
2H
4−O−)、オキシプロピレン単位
(−C
3H
6−O−);若しくはオキシブチレン単位(−C
4H
8−O−)、又はこれらの混合物から構成され得る。
【0028】
他のポリオキシアルキレン単位としては、例えば、構造の単位、
−[−R
e−O−(−R
f−O−)
w−Pn−CR
g2−Pn−O−(−R
f−O−)
q−R
e]−
(式中、Pnは1,4−フェニレン基であり、各R
eは同一であるか又は異なり、2〜8個の炭素原子を有する二価の炭化水素基であり、各R
fは同一であるか又は異なり、エチレン基又はプロピレン基であり、各R
gはそれぞれ同一であるか又は異なり、水素原子又はメチル基であり、下付文字w及びqの各々は3〜30の範囲の正の整数である)を挙げることができる。
【0029】
この申請の目的において、「置換」とは炭化水素基中の1つ以上の水素原子が別の置換基で置換されることを意味する。このような置換基の例としては、塩素、フッ素、臭素及びヨウ素などのハロゲン原子;クロロメチル、パーフルオロブチル、トリフルオロエチル、及びノナフルオロヘキシルなどのハロゲン原子含有基;酸素原子;(メタ)アクリル及びカルボキシルなどの酸素原子含有基;窒素原子;アミノ官能基、アミド官能基、及びシアノ官能基などの窒素原子含有基;硫黄原子;並びにメルカプト基などの硫黄原子含有基が挙げられるが、これらに限定されない。
【0030】
使用できる架橋剤(ii)は一般に、
1分子基当たり少なくとも2つの加水分解性基、あるいは少なくとも3つの加水分解性基を有するシラン、及び/又は
少なくとも2つのシリル基を有するシリル官能性分子であって、各シリル基は少なくとも1つの加水分解性基を含有する、シリル官能性分子、
を湿気硬化している。
【0031】
いくつかの例では、2つの加水分解性基を有する架橋剤(ii)は、すなわちポリマー(i)が1つ又は2つの反応性基のみを有するとき、連鎖延長剤と考えることができるが、ポリマー(i)が1分子当たり3つ以上の反応性基を有する場合、架橋に使用することができる。したがって、架橋剤(ii)は、ポリマー(i)中の縮合性基に対して反応性である、1分子当たり2つ、又は3つ若しくは4つのケイ素結合縮合性(好ましくはヒドロキシル及び/又は加水分解性)基を有することができる。
【0032】
本明細書の開示のために、シリル官能性分子は、2つ以上のシリル基を含有するシリル官能性分子であり、各シリル基は、少なくとも1つの加水分解性基を含有する。したがって、ジシリル官能性分子は、それぞれ少なくとも1つの加水分解性基を有する2個のケイ素原子を含み、ここで、ケイ素原子は有機又はシロキサンスペーサーによって分離されている。典型的に、ジシリル官能性分子上のシリル基は、末端基であってよい。スペーサーは、ポリマー鎖であってもよい。
【0033】
本明細書の開示のために、ジシランは、2つのケイ素原子が互いに結合している少なくとも2つのシリル基を有するシリル官能性分子である。
【0034】
シリル基の加水分解性基としては、アシルオキシ基(例えば、アセトキシ、オクタノイルオキシ、及びベンゾイルオキシ基)、ケトキシミノ基(例えば、ジメチルケトキシモ(ketoximo)及びイソブチルケトキシミノ(isobutylketoximino));アルコキシ基(例えばメトキシ、エトキシ、及びプロポキシ)、並びに/又はアルケニルオキシ基(例えばイソプロペニルオキシ及び1−エチル−2−メチルビニルオキシ)が挙げられる。いくつかの例において、加水分解性基はヒドロキシル基を含むことができる。
【0035】
シラン架橋剤(ii)としては、アルコキシ官能性シラン、オキシモシラン、アセトキシシラン、アセトンオキシムシラン、及び/又はエノキシシランを挙げることができる。
【0036】
架橋剤がシランであり、かつ、当該シランが1分子当たり3つのみのケイ素結合加水分解性基を有する場合、第4の基は、好適には非加水分解性ケイ素結合有機基である。これらのケイ素結合有機基は、好適には、任意選択でフッ素及び塩素などのハロゲンによって置換されたヒドロカルビル基である。このような第4の基の例としては、アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、及びブチル);シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル及びシクロヘキシル);アルケニル基(例えば、ビニル及びアリル);アリール基(例えば、フェニル、及びトリル);アラルキル基(例えば、2−フェニルエチル)並びに前述の有機基中の水素の全部又は一部をハロゲンで置き換えることにより得られた基が挙げられる。第4のケイ素結合有機基は、メチルであることができる。
【0037】
典型的なシランは、式(3)
R”
4−rSi(OR
5)
r (3)
(式中、R
5は上記したものであり、rは2、3、又は4の値を有する)で表すことができる。典型的なシランは、式中R”がメチル、エチル、又はビニル、又はイソブチルを表すものである。R”は、直鎖状及び分枝鎖状のアルキル、アリル、フェニル及び置換フェニル、アセトキシ、オキシムから選択される有機基である。いくつかの例では、R
5はメチル又はエチルであり、rは3である。
【0038】
好適な架橋剤(ii)の別のタイプは、Si(OR
5)
4タイプの分子であり、式中、R
5は上記したものであり、あるいはプロピル、エチル、又はメチルである。Si(OR
5)
4の部分縮合物もまた考慮することができる。
【0039】
一実施形態では、架橋剤(ii)は、少なくとも2つのシリル基各々が少なくとも1つ及び最大3つの加水分解性基を有するか、あるいは各シリル基が少なくとも2つの加水分解性基を有するシリル官能性分子である。
【0040】
架橋剤(ii)は、ジシリル官能性ポリマー、すなわち、2つのシリル基を含有するポリマーであってもよく、その各々は、式(4)
(R
4O)
m(Y
1)
3−m−Si(CH
2)
x−((NHCH
2CH
2)
t−Q(CH
2)
x)
n−Si(OR
4)
m(Y
1)
3−m (4)
(式中、R
4はC
1−10アルキル基であり、Y
1は1〜8個の炭素を含有するアルキル基であり、
Qは、孤立電子対を有するヘテロ原子を含有する化学基であり、例えばアミン、N−アルキルアミン、又は尿素であり、各xは1〜6の整数であり、tは0又は1であり、各mは独立して、1、2、又は3であり、nは0又は1である)によって表されるような少なくとも1つの加水分解性基を含む。
【0041】
シリル(例えばジシリル)官能性架橋剤(ii)は、シロキサン又は有機ポリマー骨格を有することができる。好適なポリマー架橋剤(ii)は、上記式(1)で示されるポリマー鎖Aと同様なポリマー骨格化学構造を有することができる。係るシロキサン又は有機系の架橋剤の場合、分子構造は直鎖状、分枝鎖状、環状、又は巨大分子であることができ、すなわち、アルコキシ官能末端基を有するシリコーン又は有機ポリマー鎖としては、アルコキシ基がメトキシ又はエトキシ基であってよい少なくとも1つのトリアルコキシ末端を有するポリジメチルシロキサンが挙げられる。
【0042】
シロキサン系ポリマーの場合、架橋剤の粘度は、コーンプレートを利用するBrookfieldコーンプレート粘度計(RV DIII)を用いると、23℃において0.5mPa.s〜80,000mPa.sの範囲内となる(ポリマー(i)と同じ方法で測定した)。上記加水分解性基のいずれかが好適であるが、加水分解性基はアルコキシ基であることが好ましく、このように、末端シリル基は、−R
aSi(OR
b)
2、−Si(OR
b)
3、−R
a2SiOR
b、又は−(R
a)
2Si−R
c−SiR
dp(OR
b)
3−p(式中、各R
aは独立して、一価のヒドロカルビル基、例えばアルキル基、特に1〜8個の炭素原子を有するアルキル基(好ましくはメチルである)であり、各R
b及びR
d基は独立して、最大6個の炭素原子を有するアルキル基であり、R
cは、最大6個までのケイ素原子を有する1つ以上のシロキサンスペーサーによって中断されていてもよい二価の炭化水素基であり、pは0、1、又は2の値を有する)などの一般式を有することができる。典型的には、各末端シリル基は、2又は3つのアルコキシ基を有する。
【0043】
したがって、架橋剤(ii)としては、アルキルトリアルコキシシラン、例えばメチルトリメトキシシラン(MTM)及びメチルトリエトキシシラン、テトラエトキシシラン、部分縮合したテトラエトキシシラン、アルケニルトリアルコキシシラン、例えばビニルトリメトキシシラン及びビニルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン(iBTM)が挙げられる。他の好適なシランとしては、エチルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、アルコキシトリオキシモシラン、アルケニルトリオキシモシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、エチルトリアセトキシシラン、ジ−ブトキシジアセトキシシラン、フェニル−トリプロピオンオキシシラン、メチルトリス(メチルエチルケトキシモ)シラン、ビニル−トリス−メチルエチルケトキシモ)シラン、メチルトリス(メチルエチルケトキシミノ)シラン、メチルトリス(イソプロペンオキシ)シラン、ビニルトリス(イソプロペンオキシ)シラン、エチルポリシリケート、n−プロピルオルトシリケート、エチルオルトシリケート、ジメチルテトラアセトキシジシロキサン、オキシモシラン、アセトキシシラン、アセトンオキシムシラン、エノキシシラン、及び他の係る三官能性アルコキシシラン、並びにそれらの部分加水分解縮合生成物;1,6−ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン(あるいはヘキサメトキシジシリルヘキサンとして知られている)、ビス(トリアルコキシシリルアルキル)アミン、ビス(ジアルコキシアルキルシリルアルキル)アミン、ビス(トリアルコキシシリルアルキル)N−アルキルアミン、ビス(ジアルコキシアルキルシリルアルキル)N−アルキルアミン、ビス(トリアルコキシシリルアルキル)尿素、ビス(ジアルコキシアルキルシリルアルキル)尿素、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)アミン、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)アミン、ビス(4−トリメトキシシリルブチル)アミン、ビス(4−トリエトキシシリルブチル)アミン、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)N−メチルアミン、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)Nメチルアミン、ビス(4−トリメトキシシリルブチル)Nメチルアミン、ビス(4−トリエトキシシリルブチル)Nメチルアミン、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)尿素、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)尿素、ビス(4−トリメトキシシリルブチル)尿素、ビス(4−トリエトキシシリルブチル)尿素、ビス(3−ジメトキシメチルシリルプロピル)アミン、ビス(3−ジエトキシメチルシリルプロピル)アミン、ビス(4−ジメトキシメチルシリルブチル)アミン、ビス(4−ジエトキシメチルシリルブチル)アミン、ビス(3−ジメトキシメチルシリルプロピル)メチルアミン、ビス(3−ジエトキシメチルシリルプロピル)メチルアミン、ビス(4−ジメトキシメチルシリルブチル)N−メチルアミンビス(4−ジエトキシメチルシリルブチル)N−メチルアミン、ビス(3−ジメトキシメチルシリルプロピル)尿素、ビス(3−ジエトキシメチルシリルプロピル)尿素、ビス(4−ジメトキシメチルシリルブチル)尿素、ビス(4−ジエトキシメチルシリルブチル)尿素、ビス(3−ジメトキシエチルシリルプロピル)アミンビス(3−ジエトキシエチルシリルプロピル)アミン、ビス(4−ジメトキシエチルシリルブチル)アミン、ビス(4−ジエトキシエチルシリルブチル)アミン、ビス(3−ジメトキシエチルシリルプロピル)N−メチルアミン、ビス(3−ジエトキシエチルシリルプロピル)N−メチルアミン、ビス(4−ジメトキシエチルシリルブチル)N−メチルアミン、ビス(4−ジエトキシエチルシリルブチル)N−メチルアミン、ビス(3−ジメトキシエチルシリルプロピル)尿素ビス(3−ジエトキシエチルシリルプロピル)尿素、ビス(4−ジメトキシエチルシリルブチル)尿素、及び/又はビス(4−ジエトキシエチルシリルブチル)尿素;ビス(トリエトキシシリルプロピル)アミン、ビス(トリメトキシシリルプロピル)アミン、ビス(トリメトキシシリルプロピル)尿素、ビス(トリエトキシシリルプロピル)尿素、ビス(ジエトキシメチルシリルプロピル)N−メチルアミン;ジ又はトリアルコキシシリル末端ポリジアルキルシロキサン、ジ又はトリアルコキシシリル末端ポリアリールアルキルシロキサン、ジ又はトリアルコキシシリル末端ポリプロピレンオキシド、ポリウレタン、ポリアクリレート;ポリイソブチレン;ジ又はトリアセトキシシリル末端ポリジアルキル;ポリアリールアルキルシロキサン;ジ又はトリオキシミノシリル末端ポリジアルキル;ポリアリールアルキルシロキサン;ジ又はトリアセトノキシ末端ポリジアルキル又はポリアリールアルキルが挙げられる。使用される架橋剤(ii)は、上記の2つ以上の任意の組み合わせを含むこともできる。
【0044】
1つ以上の含水充填剤(iii)は、1つ以上の補強充填剤及び/又は1つ以上の非補強充填剤又はそれらの混合物であることができる。この用途にとって、含水という用語は、充填剤(複数可)が、ISO787−2:1981に従って測定した場合に、>0.05重量%の水分(すなわち水)含量を有することを意味する。用語の疑わしい使用を避けるために、水分は水を意味することを意図しており、かつ他で考察されているいずれの場合にもSiアルコキシ基又はSi結合ヒドロキシル基を含まない。
【0045】
超微粒子状含水補強充填剤の例としては、もみ殻灰及びある程度の炭酸カルシウムを含む高表面積のヒュームドシリカ及び沈降シリカが挙げられる。追加の超微粒子状含水非補強充填剤の例としては、破砕石英、珪藻土、硫酸バリウム、酸化鉄、二酸化チタン及びカーボンブラック、タルク、珪灰石が挙げられる。単独で又は上記の充填剤と組み合わせて使用されることがある他の含水充填剤としては、カーボンナノチューブ、例えばマルチウォールカーボンナノチューブアルミナイト、中空ガラス球、硫酸カルシウム(無水石膏)、石膏、硫酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、三水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム(水滑石)などの粘土、グラファイト、炭酸銅、例えばマラカイト、炭酸ニッケル、例えばザラカイト(zarachite)、炭酸バリウム、例えば毒重石、及び/又は炭酸ストロンチウム、例えばストロンチウム石が挙げられる。
【0046】
更なる代替の充填剤としては、酸化アルミニウム、かんらん石族からなる群からのシリケート、ざくろ石族;アルミノシリケート;環状シリケート;鎖状シリケート;及び層状シリケート。かんらん石族は、シリケート鉱物、例えばフォルステライト及びMg
2SiO
4を含むが、これらに限定されない。ざくろ石族は、赤色ざくろ石;Mg
3Al
2Si
3O
12;緑ざくろ石;及びCa
2Al
2Si
3O
12などの粉砕シリケート鉱物を含むが、これらに限定されない。アルミノシリケート(Aluninosilicate)は、けい線石;Al
2SiO
5;ムライト;3Al
2O
3.2SiO
2;カイヤナイト;及びAl
2SiO
5などの粉砕シリケート鉱物を含むが、これらに限定されない。
【0047】
環状シリケート族は、コージェライト及びAl
3(Mg、Fe)
2[Si
4AlO
18]などのシリケート鉱物を含むが、これらに限定されない。鎖状シリケート族は、粉砕シリケート鉱物、例えば、珪灰石及びCa[SiO
3]を含むが、これらに限定されない。
【0048】
層状シリケート族は、シリケート鉱物、例えば、雲母;K
2AI
14[Si
6Al
2O
20](OH)
4;葉蝋石;Al
4[Si
8O
20](OH)
4;タルク;Mg
6[Si
8O
20](OH)
4;蛇絞石、例えばアスベスト;カオリナイト;Al
4[Si
4O
10](OH)
8;及びバーミキュライトなどのシリケート鉱物を含むが、これらに限定されない。
【0049】
熱伝導性充填剤、及び/又は、存在する場合、無水の補強充填剤並びに/若しくは拡張充填剤は、任意選択的に、処理剤で表面処理してもよい。処理剤及び処理方法は、当該技術分野において既知であり、充填剤の表面処理は典型的に、例えば、脂肪酸若しくはステアリン酸塩などの脂肪酸エステルを用いて、又はオルガノシラン、オルガノシロキサン、若しくはオルガノシラザン、例えばヘキサアルキルジシラザン若しくは短鎖シロキサンジオールを用いて行われる。一般に、表面処理は充填剤(複数可)を疎水性にし、したがって、組成物中の他の成分との均一混合物の取り扱い及び入手を容易にする。シラン、例えば
R
5eSi(OR
6)
4−e
(式中、R
5は6〜20個の炭素原子の置換又は非置換の一価炭化水素基、例えばアルキル基、例えばヘキシル、オクチル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、及びオクタデシル、及びアラルキル基、例えばベンジル及びフェニルエチルであり、6〜20個の炭素原子のアルキル基が好ましく、R
6は1〜6個の炭素原子のアルキル基であり、文字eは1、2、又は3に等しい)を充填剤のための処理剤として利用することもできる。
【0050】
組成物は、組成物が硬化する速度を増加させる縮合触媒(iv)を更に含む。特定のシリコーンシーラント組成物に含めるために選択される触媒は、必要とされる硬化速度に応じて異なる。チタネート及び/又はジルコネート系触媒は、一般式Ti[OR
22]
4Zr[OR
22]
4(式中、各R
22は同一でも異なっていてもよく、1〜10個の炭素原子を含有する直鎖状又は分枝状であり得る一価、第一級、第二級又は第三級脂肪族炭化水素基を表す)に従う化合物を含むことができる。任意選択により、チタネートは部分不飽和基を含有してもよい。ただし、R
22の好ましい例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、第三級ブチル及び分枝鎖第二級アルキル基、例えば2,4−ジメチル−3−ペンチルが挙げられるが、これらに限定されない。各R
22が同一である場合、R
22は、イソプロピル、分枝鎖第二級アルキル基又は第三級アルキル基、特に第三級ブチルであることが望ましい。好適な例としては、例えばテトラn−ブチルチタネート、テトラ−t−ブチルチタネート、テトラ−t−ブトキシチタネート、テトライソプロポキシチタネート、及びジイソプロポキシジエチルアセトアセテートチタネートが挙げられる。あるいは、チタネートはキレート化されてもよい。キレート化は、アルキルアセチルアセトネート、例えばメチル又はエチルアセトネートなどの、任意の好適なキレート剤により行われる。あるいは、チタネートは、例えば2−プロパノラト、トリスイソオクタデカノエートチタネートなどの3つのキレート剤を有するモノアルコキシチタネートであってよい。触媒は、ISO787−2:1981に従って測定した場合、組成物のパートA及びパートB中に累積的に存在する水分(すなわち水)の少なくとも50%のモル量で存在する。典型的には、水分の大部分は含水充填剤に由来する。
【0051】
任意の原材料
接着促進剤
好適な接着促進剤は、式R
14hSi(OR
15)
(4−h)のアルコキシシランを含み得る(式中、下付き文字hは1、2、又は3であり、あるいはhは3である)。各R
14は独立して一価有機基である。R
14は、グリシドキシプロピル若しくは(エポキシシクロヘキシル)エチルなどのエポキシ官能基、アミノエチルアミノプロピル若しくはアミノプロピルなどのアミノ官能基、メタクリルオキシプロピル、メルカプトプロピルなどのメルカプト官能基、又は不飽和有機基であり得る。各R
15は独立して、少なくとも1個の炭素原子を有する非置換飽和炭化水素基である。R
15は、1〜4個の炭素原子、あるいは1〜2個の炭素原子を有してよい。R
15の例としては、メチル、エチル、n−プロピル、及びイソプロピルが挙げられる。
【0052】
適切な接着促進剤の例としては、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン及びグリシドキシプロピルトリメトキシシランとアルミニウムキレート又はジルコニウムキレートとの組み合わせが挙げられる。ヒドロシリル化硬化性組成物の接着促進剤の例は、米国特許第4,087,585号及び同第5,194,649号に見ることができる。その硬化性組成物は、存在する場合、組成物の重量に基づいて0.01重量%〜2重量%、あるいは0.05重量%〜2重量%、あるいは0.1重量%〜1重量%の接着促進剤を含むことができる。好ましくは、生成物ネットワークへの組み込みよりも基材への分子の拡散に有利となるように、接着促進剤の加水分解速度は、架橋剤の加水分解速度よりも低くなければならない。
【0053】
追加の充填剤
熱的及び/又は電気的に伝導性の充填剤、例えば金属充填剤、及び無水溶融性充填剤、又はそれらの組み合わせ。金属充填剤を利用することができる。係る充填剤としては、金属粒子及び粒子表面上に層を有する金属粒子が挙げられる。これら層は、例えば、粒子表面上の金属窒化物層又は金属酸化物層であってよい。好適な金属充填剤の例としては、アルミニウム、銅、金、ニッケル、スズ、銀、及びこれらの組み合わせの群から選択される金属の粒子、あるいはアルミニウムの粒子が挙げられる。好適な金属充填剤の更なる例としては、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化銅、酸化ニッケル、酸化銀、及びこれらの組み合わせの群から選択される層をその表面に有する、上記金属の粒子が挙げられる。例えば、金属充填剤は、その表面上に酸化アルミニウム層を有するアルミニウム粒子を含んでよい。
【0054】
溶融性充填剤は、Bi、Ga、In、Sn、又はそれらの合金を含むことができる。溶融性充填剤は、任意選択で、Ag、Au、Cd、Cu、Pb、Sb、Zn又はこれらの組み合わせを更に含んでもよい。好適な溶融性充填剤の例としては、Ga、In−Bi−Sn合金、Sn−In−Zn合金、Sn−In−Ag合金、Sn−Ag−Bi合金、Sn−Bi−Cu−Ag合金、Sn−Ag−Cu−Sb合金、Sn−Ag−Cu合金、Sn−Ag合金、Sn−Ag−Cu−Zn合金、及びこれらの組み合わせが挙げられる。溶融性充填剤は、50℃〜250℃、あるいは150℃〜225℃の範囲の融点を有し得る。溶融性充填剤は、共晶合金、非共晶合金、又は純金属であってよい。溶融性充填剤は、市販されている。
【0055】
熱伝導性充填剤は、単一の熱伝導性充填剤、又は粒子形状、平均粒径、粒径分布、及び充填剤のタイプなどの少なくとも1つの特性が異なる、2つ以上の熱伝導性充填剤の組み合わせであってよい。いくつかの実施形態において、アルミニウムとアルミニウム酸化物充填剤の組み合わせなどの、金属と無機充填剤の組み合わせ、アルミニウムと酸化亜鉛充填剤の組み合わせ、又はアルミニウムと酸化アルミニウムと酸化亜鉛充填剤の組み合わせが使用されてよい。他の実施形態では、より大きな平均粒径を有する第1の伝導性充填剤と、より小さな平均粒径を有する第2の伝導性充填剤を、最密充填理論分布曲線を満たす割合で組み合わせることが望ましい場合がある。一例としては、異なる平均粒径を有する2種の酸化アルミニウム製剤を混合することであろう。他の実施形態では、異なる大きさの異なる熱伝導性充填剤材料を用いることができ、例えば、より大きな平均粒径を有する酸化アルミニウムとより小さい平均粒径を有する酸化亜鉛の組み合わせを用いることができる。あるいは、より大きい平均粒径を有する第1のアルミニウムとより小さい平均粒径を有する第2のアルミニウムなどの金属充填剤の組み合わせを使用することが望ましい場合がある。より大きい平均粒径を有する第1の充填剤及び第1の充填剤よりも小さい平均粒径を有する第2の充填剤の使用により、充填効率を改善することができ、粘度を低減させることができ、熱伝達を増強することができる。
【0056】
熱伝導性充填剤粒子の形状は特に限定されないが、円形又は球形粒子は、組成物中の熱伝導性充填剤の高配合によって望ましくないレベルまで粘度が増加するのを防止することができる。熱伝導性充填剤の平均粒径は、選択される熱伝導性充填剤の種類、及び硬化性組成物に添加される正確な量、並びに組成物の硬化生成物が用いられるデバイスの結合部の厚さを含む、各種要因に依存するであろう。いくつかの特定の場合においては、熱伝導性充填剤は、0.1〜80マイクロメートル、あるいは0.1〜50マイクロメートル、あるいは0.1〜10マイクロメートルの範囲の平均粒径を有してもよい。追加の任意の充填剤は、必要に応じて上記の処理剤で処理することもできる。
【0057】
他の任意の添加剤としては、界面活性剤、融剤、酸受容体、及び/又は腐食防止剤、並びにそれらの組み合わせが挙げられる。
【0058】
好適な界面活性剤としては、シリコーンポリエーテル、酸化エチレンポリマー、酸化プロピレンポリマー、酸化エチレンと酸化プロピレンとのコポリマー、その他の非イオン性界面活性剤、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。組成物は、組成物の重量に対して最大0.05%の界面活性剤を含んでもよい。
【0059】
融剤
組成物は、組成物の重量に対して最大2%の融剤を含み得る。カルボン酸及びアミンなどの化学活性官能基を含有する分子を融剤として使用することができる。そのような融剤としては、コハク酸、アビエチン酸、オレイン酸、及びアジピン酸などの脂肪族酸;安息香酸などの芳香族酸;脂肪族アミン及びそれらの誘導体、例えばトリエタノールアミン、アミンの塩酸塩、並びにアミンの臭化水素酸塩を挙げることができる。融剤は当該技術分野において既知であり、市販されている。
【0060】
酸受容体
適切な酸受容体としては、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、及びこれらの組み合わせが挙げられる。組成物は、適切である場合、組成物の重量に対して最大2%の酸受容体を含み得る。
【0061】
トリアゾール構造、チアジアゾール構造、ベンゾトリアゾール構造、メルカプトチアゾール構造、メルカプトベンゾチアゾール構造又はベンゾイミタゾール構造を有する窒素/硫黄含有複素環化合物などの耐食添加剤。
【0062】
先に示したように、縮合硬化性組成物は、複数のパート様式で、典型的には2つのパートで貯蔵され、ポリマー(i)、架橋剤(ii)、及び触媒(iv)は、全てが同じパートに一緒に貯蔵されるわけではない。更に、含水充填剤(iii)及び触媒(iv)は、典型的には、充填剤(iii)がポリマー(i)に混合された状態で、別個に保持される。組成物の2つのパートは、動的又は静的ミキサーによる任意の好適な標準的2パート混合装置を使用して混合してもよく、得られた混合物は、任意選択的に、意図される用途での使用のために装置から計量分配される。2パート組成物は、例えば、以下の選択肢のうちのいずれか1つを含み得る。
1)ポリマー(i)及び架橋剤(ii)を有するパートAと、ポリマー(i)及び触媒(iii)を有するパートBとの2つのパートで貯蔵され、又は
2)ポリマー(i)及び触媒(iv)を有するパートAと、架橋剤(ii)を有するパートBとの2つのパートで貯蔵され、又は
3)第1のポリマー(i)及び架橋剤(ii)を有するパートAと、第2のポリマー(i)及び触媒(iv)を有するパートBとの2つのパートで貯蔵され、
4)ポリマー(i)を含有するパートAと、架橋剤(ii)及び触媒(iv)を含有するパートBとの2つのパートで貯蔵される。典型的には、充填剤(iii)は、触媒を含有していないパートに貯蔵される。
【0063】
あるいは、組成物は、必要に応じて3つ以上のパートに貯蔵することができる。追加の添加剤は一般にパートAに添加される。組成物中の全てではないにしても大部分の水分が含水充填剤中に存在すると予想される一方で、もし任意の原材料を含む他のいずれの原材料が、任意の形態で水分(水)を含有する場合には、触媒の量は、全ての供給源からの総水分含量に基づいて決定され、その値はISO787−2:1981によって測定された値である。
【0064】
本明細書では、上記したエラストマー又はゲル材料を作製する方法も提供され、それによって、組成物の前述した2つのパートは混ぜ合わされ硬化される。一実施形態では、混ぜ合わせた後、その縮合硬化性エラストマー又はゲル組成物は、例えばカーテンコーター、スプレーデバイス、ダイコーター、ディップコーター、押出コーター、ナイフコーター、及びスクリーンコーターなどの好適なディスペンサーを用いて、基材上に適用することができ、エラストマー又はゲル形成時に該基材上にコーティングを提供する。
【0065】
上記に従うゲル又はエラストマーは、様々な用途で利用することができ、例えば、電子物品における封入材/ポッティング材が挙げられる。
【0066】
その物品は、電力電子物品、例えば、その上にゲルが配設された電子部品であり得る。
【0067】
物品は、電力電子物品、例えば、硬化材料が電子部品を部分的又は完全に封入するようにその上に配設された材料組成物を有する電子部品であり得る。あるいは、電子物品は、集積回路(IC)、若しくは発光ダイオード(LED)システムであってもよく、又はプリント回路基板(PCB)であってもよい。
【0068】
上記のようなシリコーン材料は、光学用途及び電子用途での使用のために、例えば、マイクロエレクトロニクス及びマクロエレクトロニクス用途の両方、並びにオプトエレクトロニクス用途及び熱伝導性エレクトロニクス用途、例えば熱伝導性接着剤の作製などの用途のために設計される。更に、本発明のシリコーン材料は、透明であることができ、したがってLEDなどの発光半導体素子における使用に潜在的に適している。
【0069】
係る硬化性シリコーン組成物から調製された硬化シリコーン接着剤は、様々な基材、例えば電気又は電子の部品及び/又はパーツ、特に金属基材、例えば金、銀、アルミニウム、銅、及び無電解ニッケル;並びに、ポリマー基材、例えばFR4、ナイロン、ポリカーボネート、Lucite(ポリメチルメタクリレート、PMMA)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、及び液晶ポリマー、例えばSolvay Chemicals,Houston,Tex.77098 USAから入手可能なXydar(登録商標)に対して接着することができる。
【0070】
電気又は電子の部品及び/又はパーツは、例えば保護すべき電気又は電子のパーツの部分を、シリコーン材料と接触させ、次いでこの組成物を、縮合硬化によって、すなわち室温で静置させることによって、硬化させる任意の適切な方法によって、シリコーン材料で充填することができる。
【0071】
任意の好適な電気又は電子のパーツは、上記のシリコーン材料で封止することができるが、その理由は、本発明のシリコーン材料により、気泡及びクラックの発生を抑制することができ、高温条件下でも電気又は電子のパーツに対して良好な結合性を示すことから、高温条件下で使用される電力デバイス、特にモーター制御装置、輸送用モーター制御装置、発電システム、又は宇宙輸送システムなどの電力デバイスで有利に使用することができるからである。
【0072】
そのほかの理由は、本発明のシリコーン材料は、Si−C半導体チップで要求される耐熱性(例えば、180℃を超える耐熱性)に加えて、ある程度の耐寒性を有するからである。電子物品は、電力モジュールであることができ、例えば、特に急激な温度差に耐える能力を要求し、係る電力デバイスの耐久性及び信頼性を改善することができる電力デバイスにおける、電力コンバータ、インバータ、ブースタ、トラクションコントロール、産業用モーター制御装置、配電、及び輸送システムのための上記デバイスのうちの1つであることができる。
【0073】
耐熱性及び耐寒性を要求する係る電力デバイスの例としては、寒冷地で使用されるモーター制御装置、例えば汎用インバータ制御装置、サーボモーター制御装置、工作機械又はエレベータ、電気自動車、ハイブリッド車、又は寒冷地で使用される鉄道輸送用モーター制御装置、寒冷地で使用される発電システム、例えば太陽光、風力、又は燃料電池の発電機、宇宙で使用される宇宙輸送システムなどが挙げられる。「寒冷地」とは、温度が0℃を下回る地域を示す。
【0074】
更に、シリコーン材料は、電極間の空間、電気素子間の空間、又は電気素子と電気若しくは電子のパーツにおけるパッケージとの間の空間が狭い構造を有するか、又はこれらの構造がシリコーン材料の膨張及び収縮に追従できない構造を有する、電気又は電子のパーツを封止する場合にも有効である。例えば、シリコーン材料は、半導体素子、コンデンサ、及び抵抗器などの電気素子が搭載される電気回路又はモジュールで、すなわち、シリコーン材料によって一般に封止又は充填される圧力センサーなどの様々なセンサー、自動車の点火器、レギュレータなどで使用することができる。
【0075】
電子部品とは、チップと、例えばケイ素チップ又は炭化ケイ素チップ、1種以上のワイヤ、1種以上のセンサー、1種以上の電極、集積回路(IC)、例えば、ハイブリッドIC、電力デバイス、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)、ショットキーダイオード、PINダイオード、マージ型PIN/ショットキー(MPS)整流器、及び接合バリアダイオードなどの整流器、バイポーラ接合トランジスタ(BJT)、サイリスタ、金属酸化電界効果トランジスタ(MOSFET)、高電子移動度トランジスタ(HEMT)、静電誘導トランジスタ(SIT)、電力トランジスタなどと、定義することができる。
【0076】
電子物品は、電子部品及び第1の層を含むことができる。第1の層は、特に限定されず、半導体、誘電体、金属、プラスチック、炭素繊維メッシュ、金属箔、有孔金属箔(メッシュ)、充填又は無充填プラスチックフィルム(ポリアミドシート、ポリイミドシート、ポリエチレンナフタレートシート、ポリエチレンテレフタレートポリエステルシート、ポリスルホンシート、ポリエーテルイミドシート、又はポリフェニレンスルフィドシートなど)、又は織布若しくは不織布基材(ガラス繊維布、ガラス繊維メッシュ、又はアラミド紙など)であることができる。あるいは、第1の層は、半導体及び/又は誘電体フィルムとして更に定義されてもよい。
【0077】
シリコーン材料は、電子部品と第1の層との間に挟まれてもよく、及び/又は第1の層上かつそれと直接接触して、及び/又は電子部品上かつそれと直接接触して配設されてもよい。シリコーン材料が第1の層上又はそれと直接接触して配設される場合、シリコーン材料は、電子部品上に更に配設されてもよいが、シリコーン材料と電子部品との間に1つ以上の層又は構造を含んでもよい。
【0078】
開示は、上記電子物品を形成する方法も提供する。方法は、エラストマー又はゲルを形成する前述の工程、エラストマー又はゲルを提供する工程、及び/又は電子部品を提供する工程のうちの1つ以上を含んでもよい。典型的には、方法は、上記の硬化性組成物を電子部品上に含み、その組成物を、電子部品に損傷を与えずにエラストマー又はゲルを形成するのに十分な条件下で、電子部品上で、硬化させて、エラストマー又はゲルを形成させる。エラストマー又はゲルは、電子部品上に形成することができる。あるいは、エラストマー又はゲルは、電子部品から離れて形成されてもよく、後次に電子部品上に配設してもよい。
【0079】
あるいは、シリコーンエラストマー又はゲルは、医療用デバイス又は創傷被覆材の肌に面する層として使用するための接着剤組成物において利用することができる。シリコーンエラストマー又はゲル接着剤組成物に加えて、医療用デバイス又は創傷被覆材は、吸収性又は多孔質の基材を含有する。吸収性基材は、少なくとも部分的に滲出液を創傷から吸収することができる、当業者に既知の任意の材料であり得る。吸収性基材は、以下の材料を含むがこれらに限定されない:発泡体(例えばポリウレタン及び/若しくはポリマー発泡体)、合成スポンジ、天然スポンジ、絹、ケラチン(例えばウール及び/若しくはラクダ毛)、セルロース繊維(例えば木材パルプ繊維、綿繊維、麻布繊維、黄麻繊維、及び/若しくは亜麻繊維)、レーヨン、アセテート、アクリル、セルロースエステル、モダクリル(modacrylics)、ポリマー、超吸収性ポリマー(例えばその重量の約10倍以上を吸収することができるポリマー)、ポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリビニルアルコール、並びに/又は他の材料を含むが、これらに限定されない。上に列挙される材料のうちの1つ以上の組み合わせは、吸収性又は多孔質の基材としても使用することができる。
【0080】
上記のシリコーンエラストマー又はゲルは、好適な肌に面する接着材料が望ましい様々な用途において、例えばバイキングショーツ及び女性用衛生用品などの運動服において、肌に面する層として使用するための接着剤組成物に組み込むことができる。
【0081】
他の用途としては、シリコーン接着テープ(例えば、上にシリコーンエラストマー又はゲルを有するポリウレタン不織布/織物)、エラストマー又はゲルのシート(例えば、上にエラストマー又はゲルを有するポリウレタンフィルム)、創傷被覆材(例えば、上にエラストマー又はゲルを有するポリウレタンフィルム又はポリウレタン発泡体)、包帯、接着ストリップ、外科用ドレープ(例えば、上にゲルを有するポリエチレン)、局所パッチ又は経皮パッチ、芳香/化粧パッチなどの製造が挙げられる。本発明に記載の組成物を硬化させることによって調製された大部分のエラストマー又はゲルは、視覚的にきわめて透明であるので、これらの材料は、光学デバイス内の材料を封止し、接着し、又は保護するために、又はその透明性に関連する他の目的のために、使用することができる。また更なる潜在的な用途としては、発光ダイオードのための保護、インプラント及びプロテーゼのためのゲル又はエラストマー、靴底、薬剤放出用途のためのエラストマー、及びタイヤ産業におけるパンク防止材料又はセルフシーリング空気式ゴムタイヤが挙げられる。タイヤの内側に円周方向に、トレッド内に半径方向に、密着結合されたシーリングバンドと、支持材料上に適用された前述のエラストマー又はゲルと、を有するセルフシーリング空気式ゴムタイヤ。本発明はまた、支持材料上に適用されたシーラントを有するシーリングバンドを用いてセルフシーリングタイヤを製造するための方法であって、そのシーリングバンドは、タイヤ内に導入され、タイヤの内壁面に適用され、ショルダー領域間を走っている、方法にも関する。
【実施例】
【0082】
実施例で使用したヒュームドシリカは、Cabot(登録商標)LM150としてCabot Corporationから供給されている市販品であり、それはISO787−2:1981(データシート)によると最大0.5%の水分を含有している。
【0083】
接着促進剤1は、53.5%のメチルトリメトキシシランと、27.4%の3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランと、21.8%の予備縮合された3−アミノプロピルトリエトキシシランとの混合物であった。
【0084】
接着促進剤2は3−アミノプロピルトリエトキシシランである。
【0085】
全ての粘度測定は、特に断りがない限り、23℃においてコーンプレートを有するBrookfieldコーンプレート粘度計RV DIIIを用いて行った。
【0086】
23℃で約2000mPa.sの粘度(コーンプレートCP−52を20rpmで用いるBrookfieldコーンプレート粘度計RV DIII)を示すヒドロキシジメチルシリル末端ポリジメチルシロキサンは22,000g/モルの数平均分子量(Mn)を有する。23℃で約56,000mPa.sの粘度(コーンプレートCP−51を0.5rpmで用いるBrookfieldコーンプレート粘度計RV DIII)を示すトリメトキシシリル末端ポリジメチルシロキサンポリマーは62,000g/モルの数平均分子量(Mn)を有する。
【0087】
70×12×4mm
3のガラス片を、製品配合物で接着して、50×12×12mm
3の目地寸法のH片を製造した。その製品を7日間放置して、相対湿度50%、23℃で硬化させた。配合物1つ当たり3つのH片を、Zwick張力計で5.5mm/分の速度で試験し、これら3つの試験の平均を本文書に報告する。
【0088】
「シラノール」、「ヒドロキシシリル」、「SiOH」、及びケイ素結合ヒドロキシルという用語は、少なくとも1つのヒドロキシル官能基を有するポリマーの縮合硬化性シリル末端基を示すために、本発明の範囲内で互換的に使用することができる。
【0089】
「アルコキシ」、「SiOR」という用語は、少なくとも1つの加水分解性官能基を有するポリマーの縮合硬化性シリル末端基を示すために、本発明の範囲内で互換的に使用することができる。
【0090】
「SiOH/SiOR比」及び「シラノール/アルコキシ基比」という用語は、本発明の範囲内で互換的に使用することができる。
【0091】
ヒュームドシリカはCabot LM150である。その水分含量は、ISO787−2:1981により測定すると、組み合わせた組成物全体の重量の約0.78%である。
【0092】
硬化剤1の調製
23℃で約2000mPa.s(20rpmでコーンプレートCP−52を用いるBrookfieldコーンプレート粘度計RV DIII)の粘度を示す379.15gのジメチルヒドロキシシリル末端ポリジメチルシロキサンポリマー及び18.96gのヒュームドシリカを、スピードミキサーにおいて2000rpmで30秒間、2回一緒に混合した。次に、混合物中に1.90gのテトラ−n−ブトキシチタネートを添加し、その組成物全体を、スピードミキサー中で2000rpmで30秒間、3回混合した。
【0093】
硬化剤2の調製
23℃で約2000mPa.s(20rpmでコーンプレートCP−52を用いるBrookfieldコーンプレート粘度計RV DIII)の粘度を示す379.15gのジメチルヒドロキシシリル末端ポリジメチルシロキサンポリマー及び18.96gのヒュームドシリカを、スピードミキサーにおいて2000rpmで30秒間、2回一緒に混合した。次に、混合物中に0.88gのテトラ−n−ブトキシチタネートを添加し、その組成物全体を、スピードミキサー中で2000rpmで30秒間、3回混合した。
【0094】
硬化剤3の調製(比較)
23℃で約2000mPa.s(20rpmでコーンプレートCP−52を用いるBrookfieldコーンプレート粘度計RV DIII)の粘度を示す379.15gのジメチルヒドロキシシリル末端ポリジメチルシロキサンポリマー及び18.96gのヒュームドシリカを、スピードミキサーにおいて2000rpmで30秒間、2回一緒に混合した。続いて、3.82gのテトラ−n−ブトキシチタネートを添加し、スピードミキサーにおいて2000rpmで30秒間混合する。材料は、ゲルを形成し、硬化剤として使用できない。これは、触媒対水分含量の比により、チタネートが加水分解され、その触媒活性を失い、ポリマーと共にゲル化するためである。故に、硬化剤3は硬化剤として機能しない。
【0095】
実施例1
50gの硬化剤1を、デンタルミキサーを用いて3200rpmで30秒間、0.095gの1,6−ビス(トリメトキシシリル)ヘキサンと混合する。その材料を50mLアルミニウムカップに注ぎ、23℃及び相対湿度50%で硬化させた。
【0096】
実施例2
50gの硬化剤1を、デンタルミキサーを用いて3200rpmで30秒間、0.190gの1,6−ビス(トリメトキシシリル)ヘキサンと混合する。その材料を50mLアルミニウムカップに注ぎ、23℃及び相対湿度50%で硬化させた。
【0097】
実施例3
50gの硬化剤1を、デンタルミキサーを用いて3200rpmで30秒間、0.284gの1,6−ビス(トリメトキシシリル)ヘキサンと混合する。その材料を50mLアルミニウムカップに注ぎ、23℃及び相対湿度50%で硬化させた。
【0098】
実施例4
50gの硬化剤1を、デンタルミキサーを用いて3200rpmで30秒間、0.379gの1,6−ビス(トリメトキシシリル)ヘキサンと混合する。その材料を50mLアルミニウムカップに注ぎ、23℃及び相対湿度50%で硬化させた。
【0099】
実施例5
50gの硬化剤1を、デンタルミキサーを用いて3200rpmで30秒間、0.484gの1,6−ビス(トリメトキシシリル)ヘキサンと混合する。その材料を50mLアルミニウムカップに注ぎ、23℃及び相対湿度50%で硬化させた。
【0100】
実施例6
50gの硬化剤1を、デンタルミキサーを用いて3200rpmで30秒間、0.948gの1,6−ビス(トリメトキシシリル)ヘキサンと混合する。その材料を50mLアルミニウムカップに注ぎ、23℃及び相対湿度50%で硬化させた。
【0101】
実施例7
50gの硬化剤1を、デンタルミキサーを用いて3200rpmで30秒間、1.896gの1,6−ビス(トリメトキシシリル)ヘキサンと混合する。その材料を50mLアルミニウムカップに注ぎ、23℃及び相対湿度50%で硬化させた。
【0102】
比較例1〜7
一連の比較例を行った。比較例1〜7は、硬化剤1を硬化剤2に置き換えた以外は、上記実施例1〜7と同じであった。上記の硬化剤2を含有する作製された組成物は硬化しないことを見出した。この配合物中のチタネート触媒のモル含量は、水分のモル含量の50%未満である。
【0103】
下記の表1において、実施例1〜7の硬化生成物の物理的特性を分析した。Stable Micro systemsからのTA XT plus texture analyserを使用して、硬化している又は硬化したエラストマー又はゲルの硬度(力)をモニターする。使用されるプローブは、球状端部で終わっているポリカーボネートシリンダーである。プローブ及び球体の直径は1/2インチ(1.27cm)である。開始プログラムへのリターンが使用される。試験前速度は5mm/sであり、トリガー力は0.1gであった(トリガー力が0.1gになるまで測定しなかった)。用いられる試験速度は1mm/sである。プローブを硬化した材料中に5mmの距離まで挿入し、次いで有意な力が測定されない距離まで取り出す。すなわち、試験される材料サンプル内で5mm下がるのに必要とされる力をg単位で測定し、次いで同様にプローブを5mmだけサンプルを貫通させ、そのプローブをその開始位置まで戻し、その開始位置まで戻るのに必要な力を測定する。後者の値は、典型的には、材料が硬いときにはゼロであり(負の力=粘着度)、したがってシステムは硬度及び粘着度を測定することができる。本明細書では最大の正の力を測定し、報告する。
【0104】
表面を指で優しく触ることによって外観を判定した。材料が指で変形しやすい場合、ゲルであると報告した。そうでない場合は、エラストマーであると報告した。
【0105】
【表1】
【0106】
実施例1〜6は、速硬化性材料であり、数時間後にバルク硬化を示すことを認めることができる。実施例7は、硬化初期においてスキン硬化を示し、すなわち、材料の大部分ではなく表面のみが硬化している。しかしながら、バルク硬化は48時間から7日の間で達成される。実施例7は、標準的な拡散硬化1パートチタネートとして硬化していると考えられ、他の実施例は、標準的なバルク硬化2パート縮合系として硬化していると考えられる。実施例1〜7は、この配合物中にチタネート触媒のモル含量を有し、それらのそれぞれの比較例とは反対に、50%を超える水分モル含量である。
【0107】
国際公開第2013/100175号による比較例8及び9
比較例8
この比較例は、スズを触媒として使用している2パート配合物を記載している国際公開第2013/100175号の実施例1に由来である。
【0108】
パートA
23℃で約4,000mPa.sの粘度(コーンプレートCP−52を20rpmで用いるBrookfieldコーンプレート粘度計RV DIII)を示す51.9gのヒドロキシジメチルシリル末端ポリジメチルシロキサンを、23℃で約100mPa.sの粘度(コーンプレートCP−52を20rpmで用いるBrookfieldコーンプレート粘度計RV DIII)を示す25.95gのトリメチルシリル末端ポリジメチルシロキサンと、スピードミキサーにおいて2000rpmで30秒間混合した。次いで、Sikron SF600石英粉末51.9gを添加し、スピードミキサーにおいて2000rpmで30秒間混合した。最後に、その混合物に0.26gの脱イオン水を添加し、スピードミキサーにおいて2000rpmで30秒間混合した。
【0109】
パートB
10.4gの1,6−ビス(トリメトキシシリル)ヘキサンを0.26gのジメチルスズジネオデカノエートと混合した。
【0110】
パートAとパートBとの混合物
130gのパートAを2.7gのパートBとスピードミキサーにおいて2000rpmで30秒間、4回混合した。
【0111】
比較例9
この比較例は、スズ触媒をチタネート触媒に置き換えている比較例8の配合物を使用している。
【0112】
23℃で約4,000mPa.sの粘度(コーンプレートCP−52を20rpmで用いるBrookfieldコーンプレート粘度計RV DIII)を示す51.9gのヒドロキシジメチルシリル末端ポリジメチルシロキサンを、23℃で約100mPa.sの粘度を示す25.95gのトリメチルシリル末端ポリジメチルシロキサンと、スピードミキサーにおいて2000rpmで30秒間混合した。次いで、51.9gのSikron SF600石英粉末を添加し、スピードミキサーにおいて2000rpmで30秒間混合した。最後に、その混合物に0.26gの脱イオン水を添加し、スピードミキサーにおいて2000rpmで30秒間混合した。
【0113】
パートB
10.4gの1,6−ビス(トリメトキシシリル)ヘキサンを0.26gのテトラn−ブチルチタネートと混合した。
【0114】
パートAとパートBとの混合物
130gのパートAを2.7gのパートBとスピードミキサーにおいて2000rpmで30秒間、4回混合した。
【0115】
表2aは、国際公開第2013/100175号で推奨されている配合物のタイプを示すために利用される組成の表である。結果は、チタネートを触媒として使用している組成物は硬化しないことを明確に示している。
【0116】
【表2a】
【0117】
以下に示した引張強さ及び伸び試験は全て、示した条件下で硬化させた後、ASTM D412−98aに従って実施した。
【表2b】
【0118】
この結果は次のことを明確に示している。すなわち、スズ触媒の代替としてチタネート触媒を使用することができるという国際公開第2013100175号の教示にもかかわらず、比較例9は、スズ触媒をチタネート触媒で置き換えると、非硬化生成物をもたらすので、好適ではないことを明確に示している。Sikron SF600の水分含量は、ISO787−2:1981によって測定すると、重量基準で約0.24%である。40部のsikronは0.0053モル部の水を含有する。更に、0.2重量部の水を添加し、それは配合物において0.011モル部に相当し、水は合計で0.0163モル部となる。0.04重量部のテトラn−ブチルチタネートは0.0000588モル部の触媒に相当し、それは本開示で規定される配合物中に存在する水のモル部の50%を有意に下回る。
【0119】
比較例10及び11は、国際公開第2007/117551号及び同第2007/117552号において提唱されている配合物を使用する。
【0120】
比較例10
この比較例は、スズ触媒に基づく2パート配合物を記載している国際公開第2007/117551号及び同第2007/117552号の実施例3に由来する。
【0121】
パートA.23℃で約13,500mPa.sの粘度(コーンプレートCP−52を5rpmで用いるBrookfieldコーンプレート粘度計RV DIII)を示す82.53gのヒドロキシジメチルシリル末端ポリジメチルシロキサンを、23℃で約100mPa.sの粘度(コーンプレートCP−52を20rpmで用いるBrookfieldコーンプレート粘度計RV DIII)を示す23.28gのトリメチルシリル末端ポリジメチルシロキサンと、スピードミキサーにおいて2000rpmで30秒間混合した。次いで23.28gのEvonik Aerosil R8200を段階的に添加し、スピードミキサーにおいて2000rpmで30秒間混合した。最後に、その混合物に0.91gのEvonik polyvest OC 800sを添加し、スピードミキサーにおいて2000rpmで30秒間混合した。
【0122】
パートB
23℃で約12,500mPa.sの粘度(コーンプレートCP−52を5rpmで用いるBrookfieldコーンプレート粘度計RV DIII)を示す24gのトリメチルシリル末端ポリジメチルシロキサンを、スピードミキサーにおいて2000rpmで30秒間、5.195gのEvonik Aerosil R974を段階的に添加して混合した。次いで、8.66gのアミノエチルアミノプロピルトリメトキシシランを添加し、スピードミキサーにおいて2000rpmで30秒間混合した。次いで、5.022gのテトラn−プロピルオルトシリケートを添加し、スピードミキサーにおいて2000rpmで30秒間混合した。最後に、0.411gのジメチルスズジネオデカノエートを混合物に添加し、スピードミキサーにおいて2000rpmで30秒間混合した。
【0123】
パートAとパートBとの混合物
130gのパートAを13gのパートBとスピードミキサーにおいて2000rpmで30秒間、4回混合した。
【0124】
比較例11
この比較例は、スズ触媒をチタネート触媒に置き換えている比較例10の配合物を使用している。
【0125】
パートA
23℃で約13,500mPa.sの粘度(コーンプレートCP−52を5rpmで用いるBrookfieldコーンプレート粘度計RV DIII)を示す82.53gのヒドロキシジメチルシリル末端ポリジメチルシロキサンを、23℃で約100mPa.sの粘度を示す23.28gのトリメチルシリル末端ポリジメチルシロキサンと、スピードミキサーにおいて2000rpmで30秒間混合した。次いで23.28gのEvonik Aerosil R8200を段階的に添加し、スピードミキサーにおいて2000rpmで30秒間混合した。最後に、その混合物に0.91gのEvonik polyvest OC 800sを添加し、スピードミキサーにおいて2000rpmで30秒間混合した。
【0126】
パートB
23℃で約12,500mPa.sの粘度(コーンプレートCP−52を5rpmで用いるBrookfieldコーンプレート粘度計RV DIII)を示す24gのトリメチルシリル末端ポリジメチルシロキサンを、スピードミキサーにおいて2000rpmで30秒間、5.195gのEvonik Aerosil R974を段階的に添加して混合した。次いで、8.66gのアミノエチルアミノプロピルトリメトキシシランを添加し、スピードミキサーにおいて2000rpmで30秒間混合した。次いで、5.022gのテトラn−プロピルオルトシリケートを添加し、スピードミキサーにおいて2000rpmで30秒間混合した。最後に、0.411gのテトラn−ブチルチタネートを混合物に添加し、スピードミキサーにおいて2000rpmで30秒間混合した。
【0127】
パートAとパートBとの混合物
130gのパートAを13gのパートBとスピードミキサーにおいて2000rpmで30秒間、4回混合した。
【0128】
【表2a】
【0129】
国際公開第2007/117551号及び国際公開第2007/117552号から得られた配合物を用いた結果を表2bに示す。以下に示した引張強さ及び伸び試験は全て、示した条件下で硬化させた後、ASTM D412−98aに従って実施した。
【表2b】
【0130】
ここでもまた、スズ触媒をチタネート触媒で置き換え得るという国際公開第2007/117551号及び同第2007/117552号の教示にもかかわらず、比較例10及び11は、ただスズ触媒をチタネート系触媒で置き換えるだけでは、単に、本組成物で生じる生成物の表面でのみ硬化するが、大部分では硬化しない材料をもたらすことを示している。Aerosil R8200及びAerosil R974の水分含量は、ISO787−2:1981によって測定すると、重量基準で約0.32及び0.29%であることが判明した。18重量部のAerosil R8200及び1.2重量部のAerosil R974であり、それは、混合配合物における約0.00339モル部の水分に相当する。0.095重量部のチタネートは、混合配合物において約0.000279モル部の触媒に相当し、それは本開示で規定される配合物中に存在する水のモル部の50%をはるかに下回る。
【0131】
比較例12及び13
比較例12及び13は、国際公開第2015/091396号では、反対の考察にもかかわらず、係る2パート配合物ではチタン触媒を使用できないことを示そうとするものである。
【0132】
比較例12
この比較例は、全ての実施例がスズ触媒に基づいている2パート配合物を記載している国際公開第2015/091396号の実施例2に由来している。
【0133】
パートA
23℃で約50,000mPa.sの粘度(コーンプレートCP−51を0.5rpmで用いるBrookfieldコーンプレート粘度計RV DIII)を示す67.6gのヒドロキシジメチルシリル末端ポリジメチルシロキサンを、23℃で約100mPa.sの粘度(コーンプレートCP−52を20rpmで用いるBrookfieldコーンプレート粘度計RV DIII)を示す4.55gのトリメチルシリル末端ポリジメチルシロキサンと、スピードミキサーにおいて2000rpmで30秒間混合した。次いで、3.25gのSikron SF600石英粉末を添加し、スピードミキサーにおいて2000rpmで30秒間混合した。次いで、39gのステアリン酸処理された粉砕炭酸カルシウムを添加し、スピードミキサーで2000rpmで30秒間混合した。次いで、6.50gのCabot LM150ヒュームドシリカを添加し、スピードミキサーにおいて2000rpmで30秒間混合した。最後に、9.1gのSid Richardson SR511カーボンブラックを混合物に添加し、スピードミキサーにおいて2000rpmで30秒間混合した。
【0134】
パートB
12.4gの1,6−ビス(トリメトキシシリル)ヘキサンをアミノエチルアミノプロピルトリメトキシシランとスピードミキサーにおいて2000rpmで30秒間混合した。次いで、23℃で約2,000mPa.sの粘度を示すビニルジメチルシリル末端ポリジメチルシロキサン8.0gを添加し、スピードミキサーにおいて2000rpmで30秒間混合した。次いで、3.2gのテトラエチルオルトシリケートを添加し、スピードミキサーにおいて2000rpmで30秒間混合した。次いで、2.2gのCabot LM150ヒュームドシリカを添加し、スピードミキサーにおいて2000rpmで30秒間混合した。次いで、8.8gのSid Richardson SR511カーボンブラックを混合物に段階的に添加し、スピードミキサーにおいて2000rpmで30秒間混合した。最後に、0.40gのジメチルスズジネオデカノエートを混合物に添加し、スピードミキサーにおいて2000rpmで30秒間混合した。
【0135】
パートAとパートBとの混合物
130gのパートAを10gのパートBとスピードミキサーにおいて2000rpmで30秒間4回混合した。
【0136】
比較例13
この比較例はスズ触媒をチタネート触媒に置き換えている比較例12の配合物を使用している。
【0137】
パートA
23℃で約50,000mPa.sの粘度(コーンプレートCP−51を0.5rpmで用いるBrookfieldコーンプレート粘度計RV DIII)を示す67.6gのヒドロキシジメチルシリル末端ポリジメチルシロキサンを、23℃で約100mPa.sの粘度(コーンプレートCP−52を20rpmで用いるBrookfieldコーンプレート粘度計RV DIII)を示す4.55gのトリメチルシリル末端ポリジメチルシロキサンと、スピードミキサーにおいて2000rpmで30秒間混合した。次いで、3.25gのSikron SF600石英粉末を添加し、スピードミキサーにおいて2000rpmで30秒間混合した。次いで、39gのステアリン酸処理された粉砕炭酸カルシウムを添加し、スピードミキサーで2000rpmで30秒間混合した。次いで、6.50gのCabot LM150ヒュームドシリカを添加し、スピードミキサーにおいて2000rpmで30秒間混合した。最後に、9.1gのSid Richardson SR511カーボンブラックを混合物に添加し、スピードミキサーにおいて2000rpmで30秒間混合した。
【0138】
パートB
12.4gの1,6−ビス(トリメトキシシリル)ヘキサンをアミノエチルアミノプロピルトリメトキシシランとスピードミキサーにおいて2000rpmで30秒間混合した。次いで、23℃で約2,000mPa.sの粘度(コーンプレートCP−52を20rpmで用いるBrookfieldコーンプレート粘度計RV DIII)を示す8.0gのビニルジメチルシリル末端ポリジメチルシロキサンを添加し、スピードミキサーにおいて2000rpmで30秒間混合した。次いで、3.2gのテトラエチルオルトシリケートを添加し、スピードミキサーにおいて2000rpmで30秒間混合した。次いで、2.2gのCabot LM150ヒュームドシリカを添加し、スピードミキサーにおいて2000rpmで30秒間混合した。次いで、8.8gのSid Richardson SR511カーボンブラックを混合物に段階的に添加し、スピードミキサーにおいて2000rpmで30秒間混合した。最後に、0.40gのテトラn−ブチルチタネートを混合物に添加し、スピードミキサーにおいて2000rpmで30秒間混合した。
【0139】
パートAとパートBとの混合物
130gのパートAを10gのパートBとスピードミキサーにおいて2000rpmで30秒間4回混合した。
【表3a】
【0140】
以下に示した引張強さ及び伸び試験は全て、示した条件下で硬化させた後、ASTM D412−98aに従って実施した。
【表3b】
【0141】
スズ触媒の代わりにチタネート触媒を使用することができるという国際公開第2015/091396号の教示にもかかわらず、比較例12及び13は、係る置換は、表面のみで硬化するが、製品の大部分としては硬化しない材料をもたらすことから、満足の行く製品を提供しないことを示している。Cabot LM 150の水分含量は、ISO787−2:1981によって測定すると、重量を基準で約0.78%である。粉砕炭酸カルシウム(Mickhaert)中の水分含量は、ISO787−2:1981で測定すると、重量基準で約0.27%である。5.42重量部のCabot LM 150及び30重量部の粉砕炭酸カルシウムであり、それは、混合配合物における約0.00685モル部の水分に相当する。0.077重量部のチタネートは、混合配合物において約0.000226モル部の触媒に相当し、またそれは本開示で規定される配合物中に存在する水のモル部の50%をはるかに下回る。