(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項3または4に記載の遺伝子を含む組換えベクターで宿主細胞を形質転換させて、ヒトチオレドキシン−サソリ毒融合タンパク質をコードする遺伝子を過剰発現させる段階を含む、宿主細胞でのヒトチオレドキシン−サソリ毒融合タンパク質の生産方法。
請求項5または6に記載の遺伝子を含む組換えベクターで宿主細胞を形質転換させて、ヒト上皮細胞成長因子−サソリ毒融合タンパク質をコードする遺伝子を過剰発現させる段階を含む、宿主細胞でのヒト上皮細胞成長因子−サソリ毒融合タンパク質の生産方法。
【背景技術】
【0002】
チオレドキシン(Thioredoxin,TRX)は、全ての生命体に存在し、活性部位(Cys−Gly−Pro−Cys)に2つの酸化−還元活性がある12kDaの小さなタンパク質である。システイン(cysteine,Cys)チオール基(thiol groups)を含むTRXは、酸化−還元反応に依存的な細胞死滅の抑制、酸化ストレス関連転写因子の安定化を含む複数の抗酸化反応に関与する。
【0003】
酸化ストレスは、細胞及び生命体の寿命を決定すると知られており、TRXの酸化−還元反応において、保護役割及び寿命を延長するのにその関連性を証明するために、正常なヒトの皮膚線維母細胞でshRNAを通じてTRXの発現を抑制させた。TRXの損失が、p16INK4a及びp53/p21Cip1/Waf1腫瘍抑制経路の活性化を通じてヒトの皮膚線維母細胞で細胞老化を早く誘導可能であることを示す。酸化ストレスから細胞を保護する機能外にも、TRXは、細胞老化を抑制する。
【0004】
ヒト上皮細胞成長因子(Human Epidermal Growth Factor,hEGF)は、細胞表面に存在する上皮細胞成長因子受容体と結合して、上皮細胞成長因子受容体の二量体化(Dimerization)を誘導する。二量体の上皮細胞成長因子受容体は、受容体内に存在するチロシンキナーゼ(Tyrosine kinase)を活性化させて、細胞内信号伝逹システムを誘導する。そのような一連の過程を通じて、細胞内では、当該作用(Glycolysis)とタンパク質合成などが促進されて最終的に細胞の成長が進められる。
【0005】
皮膚再生の中枢的役割を行うヒト上皮細胞成長因子は、老化が進むほど減少する。その結果、皮膚細胞の増殖及び移動が減少して皮膚の老化、シワ増加、弾力低下などの原因となり、現在は、皮膚細胞成長を促進する医薬品または機能性化粧品として使用している。
【0006】
過量の毒使用は、人体に被害を与えるが、適量の使用は、人体に有用である。毒素に対する持続的な研究は、医師に限定されてきたが、現在は、コスメチック産業、特に、スキンケア分野に至るまで多くの研究が進められている。ボツリヌストキシンとクモ毒タンパク質は、シワ改善及び皮膚弾力保持用の新素材として使用されている。クモ毒タンパク質も、皮膚細胞の増殖効果に優れるということが確認された。
【0007】
そのような背景から、本発明者らは、ヒトチオレドキシンの抗酸化効果による老化防止機能及びヒト上皮細胞成長因子の皮膚再生機能をサソリ毒タンパク質と融合させて、サソリ毒タンパク質の皮膚細胞の増殖効果を極大化するために、新たなタンパク質の開発を進めた結果、ヒトチオレドキシンの抗酸化効果による老化防止機能とヒト上皮細胞成長因子の皮膚再生効果を、サソリ毒タンパク質の皮膚細胞の増殖効果とつなぎ合わせて、新たなヒトチオレドキシンとサソリ毒を含む融合タンパク質、及びヒト上皮細胞成長因子とサソリ毒を含む融合タンパク質の開発に成功した。また、それを化粧料組成物として使用して皮膚への塗布時に安全性及び老化防止効能と皮膚再生(シワ改善)及び皮膚弾力の増大機能をいずれも確認して、最終的に本発明を完成した。
【0008】
一方、韓国公開特許第2012−0114397号には、「クロロトキシンポリペプチド及びその接合体及び用途」が開示されており、韓国公開特許第2015−0056022号には、「上皮細胞成長因子の融合タンパク質を含む皮膚改善用化粧料組成物」が開示されているが、本発明の皮膚細胞の増殖効果が増大したサソリ毒融合タンパク質及びそれを有効成分として含有するシワ改善、皮膚弾力の増大及びアンチエイジング化粧料組成物については記載されていない。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の目的を達成するために本発明は、配列番号3のアミノ酸配列からなる皮膚細胞の増殖及び抗酸化効果が増大したヒトチオレドキシン−サソリ毒融合タンパク質を提供する。
【0021】
本発明によるヒトチオレドキシン−サソリ毒融合タンパク質の範囲は、配列番号3のアミノ酸配列を有するタンパク質及び前記タンパク質の機能的同等物を含む。「機能的同等物」とは、アミノ酸の付加、置換または欠失の結果、前記配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも70%以上、望ましくは、80%以上、さらに望ましくは、90%以上、最も望ましくは、95%以上の配列相同性を有するものであって、配列番号2で表示されるタンパク質と実質的に同質の活性を示すタンパク質を意味する。「実質的に同質の活性」とは、皮膚細胞の増殖及び抗酸化活性を意味する。また、本発明は、ヒトチオレドキシン−サソリ毒融合タンパク質の断片、誘導体及び類似体(analogues)を含む。本願で使用された用語「断片」、「誘導体」及び「類似体」は、本発明のヒトチオレドキシン−サソリ毒融合タンパク質と実質的に同じ生物学的機能または活性を有するポリペプチッドを意味する。
【0022】
本発明のヒトチオレドキシン−サソリ毒融合タンパク質は、望ましくは、配列番号3のアミノ酸配列からなり、前記アミノ酸配列のうち、最初〜105番目のアミノ酸配列からなるヒトチオレドキシンタンパク質と、106番目〜140番目のアミノ酸配列からなるサソリ毒タンパク質を融合させて製作された新規なタンパク質である。
【0023】
また、本発明は、配列番号4のアミノ酸配列からなる皮膚細胞の増殖効果が増大したヒト上皮細胞成長因子−サソリ毒融合タンパク質を提供する。
【0024】
本発明によるヒト上皮細胞成長因子−サソリ毒融合タンパク質の範囲は、配列番号4のアミノ酸配列を有するタンパク質及び前記タンパク質の機能的同等物を含む。前記タンパク質の機能的同等物に係わる具体的な内容は、前述した通りである。
【0025】
本発明のヒト上皮細胞成長因子−サソリ毒融合タンパク質は、望ましくは、配列番号4のアミノ酸配列からなり、前記アミノ酸配列のうち、最初〜54番目アミノ酸配列からなるヒト上皮細胞成長因子タンパク質と55番目〜89番目アミノ酸配列からなるサソリ毒タンパク質とを融合させて製作された新規なタンパク質である。
【0026】
本発明はまた、前記ヒトチオレドキシン−サソリ毒融合タンパク質またはヒト上皮細胞成長因子−サソリ毒融合タンパク質をコードする遺伝子を提供する。
【0027】
前記ヒトチオレドキシン−サソリ毒融合タンパク質をコードする遺伝子は、大腸菌コドンに最適化された配列番号1の塩基配列からなるが、これに制限されない。望ましくは、本発明によるヒトチオレドキシン−サソリ毒融合タンパク質をコードする遺伝子は、配列番号1の塩基配列を含む。また、前記塩基配列の相同体が、本発明の範囲内に含まれる。具体的には、前記遺伝子は、配列番号1の塩基配列からなる群から選択される塩基配列と、それぞれ70%以上、望ましくは、80%以上、さらに望ましくは、90%以上、最も望ましくは、95%以上の配列相同性を有する塩基配列を含んでもよい。ポリヌクレオチドに対する「配列相同性の%」は、2つの最適に配列された配列と比較領域を比較することで確認され、比較領域におけるポリヌクレオチド配列の一部は、2つの配列の最適の配列に対する参考配列(追加または削除を含まず)に比べて、追加または削除(すなわち、ギャップ)を含んでもよい。
【0028】
「コドン最適化」は、コードされたタンパク質が有機体でさらに効率よく発現されるように、特定有機体で優先的に使用されるものであって、タンパク質をコードするポリヌクレオチドのコドンを変化させることを意味する。大部分のアミノ酸が「同義語」または「同意」コドンという、いくつかのコドンによって表示されるという点で、遺伝子コードが縮退的であるが、特定の有機体によるコドン用法は、任意的ではなく、特定のコドントリプレットに偏向的である。このようなコドン用法の偏向性は、所定遺伝子、共通機能または先祖起源の遺伝子、高度に発現されるタンパク質対低い複製数タンパク質、及び有機体ゲノムの集合的タンパク質コード領域と係わってさらに高い。本発明の前記配列番号1の塩基配列は、ヒトチオレドキシン−サソリ毒融合タンパク質をコードする遺伝子が大腸菌内で発現されるように、大腸菌のコドンに最適化された配列である。
【0029】
また、前記ヒト上皮細胞成長因子−サソリ毒融合タンパク質をコードする遺伝子は、大腸菌コドンに最適化された配列番号2の塩基配列からなるが、これに制限されない。望ましくは、前記遺伝子は、配列番号2で表示される塩基配列を含む。また、前記塩基配列の相同体が本発明の範囲内に含まれ、相同体の具体的な内容は、前述した通りである。
【0030】
本発明はまた、前記遺伝子を含む組換えベクター及び前記組換えベクターで形質転換された宿主細胞を提供する。
【0031】
用語「組換え」は、細胞が異種の核酸を複製するか、前記核酸を発現するか、またはペプチド、異種のペプチドまたは異種の核酸によって暗号化されたタンパク質を発現する細胞を指称するものである。組換え細胞は、前記細胞の天然形態では発見されない遺伝子または遺伝子切片を、センスまたはアンチセンスの形態のうち、1つとして発現することができる。また、組換え細胞は、天然状態の細胞で発見される遺伝子を発現することができ、しかし、前記遺伝子は、変形されたものであって、人為的な手段によって細胞内へ再導入されたものである。
【0032】
本発明において、前記ヒトチオレドキシン−サソリ毒融合タンパク質またはヒト上皮細胞成長因子−サソリ毒融合タンパク質をコードする遺伝子は、組換え発現ベクター内に挿入される。用語「組換え発現ベクター」は、細菌プラスミド、ファージ、酵母プラスミド、植物細胞ウイルス、哺乳動物細胞ウイルス、または他のベクターを意味する。概して、任意のプラスミド及びベクターは、宿主内での複製及び安定化のために使用することができる。前記発現ベクターの重要な特性は、複製原点、プローモータ、マーカー遺伝子及び翻訳調節要素(translation control element)を有するものである。
【0033】
ヒトチオレドキシン−サソリ毒融合タンパク質またはヒト上皮細胞成長因子−サソリ毒融合タンパク質をコードする遺伝子配列及び適当な転写/翻訳調節信号を含む発現ベクターは、当業者に周知の方法によって構築される。前記方法は、試験管内の組換えDNA技術、DNA合成技術及び生体内組換え技術などを含む。前記DNA配列は、mRNA合成を導くために、発現ベクター内の適当なプローモータに効率よく連結される。また、発現ベクターは、翻訳開始部位としてリボゾーム結合部位及び転写ターミネータを含むことができる。
【0034】
本発明の一具現例による組換えベクターは、pET22bベクターに合成したヒトチオレドキシン−サソリ毒融合タンパク質またはヒト上皮細胞成長因子−サソリ毒融合タンパク質をコードする遺伝子を5’末端(NdeI制限酵素サイト)と3’末端(XhoI制限酵素サイト)にインフレーム(in frame)に融合して製造し、前記遺伝子をlacプローモータ(lac promoter)とlacIリプレッサー(lacI repressor)によって効率よく発現させて、ヒトチオレドキシン−サソリ毒融合タンパク質またはヒト上皮細胞成長因子−サソリ毒融合タンパク質を製造することを特徴とするベクターである。
【0035】
本発明のベクターを原核細胞に安定しつつ、連続してクローニング及び発現させうる宿主細胞は、当業界に公知された如何なる宿主細胞も利用可能であり、例えば、E. coliRosetta, E. coli JM109, E. coli BL21, E. coli RR1, E. coliLE392, E. coli B, E. coli X 1776, E. coli W3110、バチルス・サブチリス、バチルス・チューリンゲンシスのようなバチルス属菌株、そして、サルモネラ・ティフィムリウム、セラチアマルセッセンス及び多様なシュードモナス種のような腸内菌と菌株などがある。
【0036】
また、本発明のベクターを真核細胞に形質転換させる場合には、宿主細胞として、酵母(Saccharomyce cerevisiae)、昆虫細胞、ヒト細胞(例えば、CHO細胞株(Chinese hamster ovary)、W138、BHK、COS−7、293、HepG2、3T3、RIN及びMDCK細胞株)及び植物細胞などが用いられる。
【0037】
本発明の一具現例による組換えベクターで形質転換された宿主細胞は、E.coli Rosetta2(DE3)pLysSであるが、これに制限されない。
【0038】
本発明のベクターを宿主細胞内に運搬する方法は、宿主細胞が原核細胞である場合、CaCl
2方法、ハナハン方法(Hanahan,D.,1983J.Mol.Biol.166,557−580)及び電気穿孔方法などによって実施される。また、宿主細胞が真核細胞である場合には、微量注入法、リン酸カルシウム沈殿法、電気穿孔法、リポソーム−媒介形質感染法、DEAE−デキストラン処理法、及び遺伝子ボンバードメントなどによって、ベクターを宿主細胞内に注入することができる。
【0039】
本発明はまた、前記組換えベクターで宿主細胞を形質転換させて、ヒトチオレドキシン−サソリ毒融合タンパク質またはヒト上皮細胞成長因子−サソリ毒融合タンパク質をコードする遺伝子を過剰発現させる段階を含む、宿主細胞でのヒトチオレドキシン−サソリ毒融合タンパク質またはヒト上皮細胞成長因子−サソリ毒融合タンパク質の生産方法を提供する。
【0040】
本発明の一具現例では、140個のアミノ酸を暗号化したヒトチオレドキシンとサソリ毒とを含む融合遺伝子及び89個のアミノ酸を暗号化したヒト上皮細胞成長因子とサソリ毒を含む融合遺伝子を合成した後、それを含む組換えベクターを製作し、それを用いて宿主微生物を形質転換させてヒトチオレドキシンとサソリ毒を含む融合タンパク質及びヒト上皮細胞成長因子とサソリ毒を含む融合タンパク質を量産することを含む。
【0041】
一方、本発明者らは、ヒトチオレドキシンとサソリ毒を含む融合タンパク質及びヒト上皮細胞成長因子とサソリ毒を含む融合タンパク質を細胞外分泌よりもさらに効率的な細胞内生産方式を採択して量産した。
【0042】
本発明の一具現例による方法において、前記宿主細胞は、望ましくは、大腸菌であり、さらに望ましくは、E.coli Rosetta2(DE3)pLysSであるが、これに制限されない。
【0043】
本発明の組換え微生物、すなわち、形質転換体を培養する方法は、宿主の培養に使用される通常の方法を使用する。また、培養方法は、バッチ(Batch)式、流動バッチ式、連続培養、リアクター形式など、通常の微生物の培養に使用する如何なる方法も使用することができる。大膓菌などの細菌を宿主として得られた形質転換体を培養する培地としては、完全培地または合成培地、例えば、LB(10% Tryptone、10% Sodium chloride、5% Yeast extract)培地、BSB(1% Tryptone、0.5% Yeast extract、0.1% HEPES、1% glucose、pH7.0)、(株)ネックスゼンバイオテック培地などが挙げられる。また、培養温度は、適温の範囲、望ましくは、約37℃で培養することで、ヒトチオレドキシン−サソリ毒融合タンパク質またはヒト上皮細胞成長因子−サソリ毒融合タンパク質を菌体内に蓄積させ、回収することができる。培養液にカナマイシン、アンピシリン、テトラシクリン、クロラムフェニコール、ストレプトマイシンなどの抗生物質を添加しても良い。プローモータが誘導性の発現ベクターを使用して形質転換した微生物を培養する場合、プローモータの種類に適した誘導物質を培地に添加すれば良い。例えば、イソプロピル−D−チオガラクトピラノシド(IPTG)、ラクトースなどを誘導物質として挙げられる。
【0044】
ヒトチオレドキシン−サソリ毒融合タンパク質またはヒト上皮細胞成長因子−サソリ毒融合タンパク質の獲得は、得られる培養物から菌体または上澄液を遠心回収し、菌体破砕、抽出、限外濾過(Ultra filtration)方法を用いて分離した後、親和性クロマトグラフィー、陽イオンまたは陰イオン交換クロマトグラフィー、ゲル濾過などを単独または適当に組み合わせることで行える。得られた精製物質が所望のタンパク質であるか否かの確認は、通常の方法、例えば、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動、ウエスタンブロッティング、ヒト上皮細胞再生因子を確認することができるキット使用などによって行われる。
【0045】
前記ヒトチオレドキシン−サソリ毒融合タンパク質またはヒト上皮細胞成長因子−サソリ毒融合タンパク質は、皮膚線維芽細胞(Human Dermal Fibroblasts adult,HDFa cell)の細胞増殖効果と抗酸化効能とを測定することにより、ヒトチオレドキシン−サソリ毒融合タンパク質またはヒト上皮細胞成長因子−サソリ毒融合タンパク質の活性如何を確認することができる。
【0046】
また、紫外線刺激による皮膚老化抑制手段の1つであるコラーゲン繊維(collagen fiber)合成の促進を調べるために、本発明の前記タンパク質を線維芽細胞に処理した後、コラーゲン合成促進如何を評価した。
【0047】
また、本発明は、前記方法によって生産されたヒトチオレドキシン−サソリ毒融合タンパク質またはヒト上皮細胞成長因子−サソリ毒融合タンパク質を提供する。
【0048】
本発明はまた、前記ヒトチオレドキシン−サソリ毒融合タンパク質またはヒト上皮細胞成長因子−サソリ毒融合タンパク質を有効成分として含有する化粧料組成物に係わるものである。
【0049】
また、本発明は、配列番号3のアミノ酸配列からなる皮膚細胞の増殖効果と抗酸化機能が増大したヒトチオレドキシン−サソリ毒融合タンパク質を有効成分として含有するシワ改善と皮膚弾力の増大及びアンチエイジング機能を有する化粧料組成物を提供する。
【0050】
また、本発明は、配列番号4のアミノ酸配列からなる皮膚細胞の増殖効果が増大したヒト上皮細胞成長因子−サソリ毒融合タンパク質を有効成分として含有するシワ改善及び皮膚弾力の増大機能を有する化粧料組成物を提供する。
【0051】
本発明の一具現例による化粧料組成物において、前記ヒトチオレドキシン−サソリ毒融合タンパク質またはヒト上皮細胞成長因子−サソリ毒融合タンパク質の含量は、化粧料組成物の総重量に対して、0.000001ないし0.001重量%含まれるが、これに制限されない。前記タンパク質の含量が0.000001重量%未満である場合には、皮膚内での効能の発揮が不可能であって、効果が奏されず、0.001重量%を超える場合には、含有量増加に対する効果増大の程度が微々たるものであり、剤形上の安全及び安定性に問題がある。
【0052】
本発明の化粧料組成物には、前記有効成分以外に、化粧品組成物に通常用いられる成分を含み、例えば、脂肪物質、有機溶媒、溶解剤、濃縮剤及びゲル化剤、軟化剤、抗酸化剤、懸濁化剤、安定化剤、発泡剤(foaming agent)、芳香剤、界面活性剤、水、イオン型または非イオン型乳化剤、充填剤、金属イオン封鎖剤及びキレート化剤、保存剤、ビタミン、遮断剤、湿潤化剤、エッセンシャル・オイル、染料、顔料、親水性または親油性活性剤、脂質小胞のような通常の補助剤、そして担体を含む。
【0053】
本発明の組成物は、当業界で通常的に製造されるいかなる剤形にも製造可能であり、例えば、溶液、懸濁液、乳濁液、ペースト、ゲル、クリーム、ローション、パウダー、オイル、粉末ファウンデーション、乳濁液ファウンデーション、ワックスファウンデーション及びスプレーなどに剤形化されるが、これに限定されるものではない。さらに詳細には、スキン、皮膚軟化剤、スキントナー、アストリンゼント、ローション、ミルクローション、モイスチャーローション、栄養ローション、マッサージクリーム、栄養クリーム、アイクリーム、モイスチャークリーム、ハンドクリーム、エッセンス、栄養エッセンス、パック、クレンジングフォーム、クレンジングウォーター、クレンジングローション、クレンジングクリーム、ボディローション、ボディクレンザー、石鹸及びパウダーの化粧品剤形として製造される。
【0054】
本発明の剤形がペースト、クリームまたはゲルである場合には、担体成分として、動物性油、植物性油、ワックス、パラフィン、澱粉、トラカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコン、ベントナイト、シリカ、タルクまたは酸化亜鉛などが用いられる。
【0055】
本発明の剤形が溶液または乳濁液である場合には、担体成分として、溶媒、溶解剤または油濁剤が用いられ、例えば、水、エタノール、イソプロパノール、エチルカーボネート、エチルアセテート、ベンジルアルコール、ベンジルベンゾエート、プロピレングリコール、1,3−ブチルグリコールオイル、グリセロール脂肪族エステル、ポリエチレングリコールまたはソルビタンの脂肪酸エステルがある。
【0056】
本発明の剤形が懸濁液である場合には、担体成分として、水、エタノールまたはプロピレングリコールのような液状の希釈剤、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールエステル、及びポリオキシエチレンソルビタンエステルのような懸濁剤、微結晶性セルロース、アルミニウムメタヒドロキシド、ベントナイト、アガまたはトラカントなどが用いられる。
【0057】
本発明の化粧料組成物が界面活性剤非含有クレンジング剤形である場合、皮膚に塗布した後、拭き取るか、水で洗浄することもできる。具体例として、前記界面活性剤非含有クレンジング剤形は、クレンジングクリーム、クレンジングローション、クレンジングウォーター、及びクレンジングゲルであり、これらに限定されるものではない。
【0058】
本発明の剤形がパウダーである場合には、担体成分として、ラクトース、タルク、シリカ、アルミニウムヒドロキシド、カルシウムシリケートまたはポリアミドパウダーが用いられる。
【0059】
本発明によるヒトチオレドキシンとサソリ毒を含む融合タンパク質及びヒト上皮細胞成長因子とサソリ毒を含む融合タンパク質を含む化粧料組成物は、皮膚安全性を確認した後、ヒトチオレドキシンとサソリ毒を含む融合タンパク質及びヒト上皮細胞成長因子とサソリ毒を含む融合タンパク質の老化防止効能など、ヒトチオレドキシンとサソリ毒を含む融合タンパク質及びヒト上皮細胞再生因子とサソリ毒を含む融合タンパク質の効果を確認した。
【実施例】
【0060】
以下、本発明を実施例によって詳細に説明する。但し、下記実施例は、本発明の例示に過ぎず、本発明の内容が下記実施例に限定されるものではない。
【0061】
実施例1.ヒトチオレドキシンとサソリ毒を含む融合タンパク質及びヒト上皮細胞成長因子とサソリ毒を含む融合タンパク質の生産のための組換え発現ベクター及び形質転換組換え微生物の製造
ヒトチオレドキシンとサソリ毒を含む融合タンパク質及びヒト上皮細胞成長因子とサソリ毒を含む融合タンパク質をコードする最適化された遺伝子、組換え発現ベクター及び形質転換組換え微生物は、下記の方法で製作した。ヒトチオレドキシンとサソリ毒を含む融合タンパク質及びヒト上皮細胞成長因子とサソリ毒を含む融合タンパク質をコードする遺伝子を鋳型として宿主微生物内で発現されるように最適化された、140個のアミノ酸を暗号化したヒトチオレドキシンとサソリ毒を含む融合タンパク質(配列番号3)をコードする遺伝子(配列番号1)及び89個のアミノ酸を暗号化したヒト上皮細胞成長因子とサソリ毒を含む融合タンパク質(配列番号4)をコードする遺伝子(配列番号2)の断片を製作、合成した。使用したプライマー、下記の通りである。
【0062】
ヒトチオレドキシンとサソリ毒を含む融合タンパク質合成のためのプライマーは、下記の通りである。
【0063】
正方向プライマー:5’−AAGGAGATATACATATGGTGAAGCAGATCGAG−3’(配列番号5)
逆方向プライマー:5’−CGTCACGGACACGGCAGACTAATTCATTAATGGTG−3’(配列番号6)
センスプライマー:5’−CACCATTAATGAATTAGTCATGTGCATGCCGTGCTTC−3’(配列番号7)
アンチセンスプライマー:5’−GAAGCACGGCATGCACATGACTAATTCATTAATGGTG−3’(配列番号8)。
【0064】
ヒト上皮細胞成長因子とサソリ毒を含む融合タンパク質合成のためのプライマーは、下記の通りである。
【0065】
正方向プライマー:5’−AAGGAGATATACATATGAACTCAGACTCTGAGTGC−3’(配列番号9)
逆方向プライマー:5’−GGTGGTGGTGCTCGAGACGGCACAGGCACTGCGG−3’(配列番号10)
センスプライマー:5’−AAATGGTGGGAGTTGCGCATGTGCATGCCGTGCTTC−3’(配列番号11)
アンチセンスプライマー:5’−GAAGCACGGCATGCACATGCGCAACTCCCACCATTT−3’(配列番号12)。
【0066】
前記遺伝子断片と組換えプラスミドとを同じ制限酵素(5’末端側NdeI制限酵素サイト(CATATG)と3’末端側XhoI制限酵素サイト(CTCGAG))で切断して挿入し、
図1に示した組換えプラスミド(pET22b::TRX−CLT)と
図2に示した組換えプラスミド(pET22b::EGF−CLT)を製作した。前記で製造された組換えプラスミド(pET22b::TRX−CLT、pET22b::EGF−CLT)反応物を、E.coliTOP10にそれぞれ形質転換させ、宿主微生物から遺伝子コンストラクトを大量に得た。
【0067】
前記で製造された組換えプラスミド(pET22b::TRX−CLT、pET22b::EGF−CLT)反応物を、E.coli Rosetta2(DE3)pLysS(Novagen)にそれぞれ形質転換させ、宿主微生物に遺伝子コンストラクトが挿入されているヒトチオレドキシンとサソリ毒を含む融合タンパク質及びヒト上皮細胞成長因子とサソリ毒を含む融合タンパク質生産のための組換え微生物を製作した。さらに詳細な模式図は、
図1及び
図2に表示した。
【0068】
実施例2.ヒトチオレドキシンとサソリ毒を含む融合タンパク質及びヒト上皮細胞成長因子とサソリ毒を含む融合タンパク質の発現誘導及び分離
実施例1で製造したE.coli Rosetta2(DE3)pLysS(Novagen)をそれぞれ1LLBあるいはBSB培地に回分培養するとき、OD
600=0.6〜0.8、20L発酵器を使用して連続培養するとき、OD
600=15〜20になるまで培養した。次いで、これらをそれぞれ最終1〜5mM IPTGまたは0.2〜2%ラクトースを加えてクローン内の遺伝子の発現を誘導した。その後、さらに4〜5時間培養した後、細胞を遠心分離方法で回収した。この細胞を緩衝溶液(Phosphate buffered saline,NaCl 8g、KCl 0.2g、Na
2HPO
4 1.44g、KH
2PO
4 0.24g/L,pH 7.4)に完全に懸濁させた後、超音波破砕機を使用して細胞を破壊し、細胞内のタンパク質含有溶液を分離した。
【0069】
図3から、ヒトチオレドキシンとサソリ毒を含む融合タンパク質及びヒト上皮細胞成長因子とサソリ毒を含む融合タンパク質が過糧発現されたことを確認することができる。
【0070】
実施例3.ヒトチオレドキシンとサソリ毒を含む融合タンパク質及びヒト上皮細胞成長因子とサソリ毒を含む融合タンパク質の活性測定(細胞増殖効果)
実施例2において分離、精製されたヒトチオレドキシンとサソリ毒を含む融合タンパク質及びヒト上皮細胞成長因子とサソリ毒を含む融合タンパク質の存在が確認された分画から試料を選んで皮膚線維芽細胞(Human Dermal Fibroblasts adult,HDFa cell)の細胞増殖効果を確認した。
【0071】
ヒトチオレドキシンとサソリ毒を含む融合タンパク質及びヒト上皮細胞成長因子とサソリ毒を含む融合タンパク質の活性測定のために培養した皮膚線維芽細胞に0、0.02ppm、0.2ppm、2ppm、20ppm濃度のヒトチオレドキシンとサソリ毒を含む融合タンパク質及びヒト上皮細胞成長因子とサソリ毒を含む融合タンパク質をそれぞれ処理した後、3日間37℃で培養した。次いで、クリスタルバイオレット染色法で細胞増殖如何を確認した。
【0072】
その結果、ヒトチオレドキシンとサソリ毒を含む融合タンパク質及びヒト上皮細胞再生因子とサソリ毒を含む融合タンパク質は、皮膚線維芽細胞に対する細胞増殖効果を奏することを確認した(
図4)。
【0073】
実施例4.ヒトチオレドキシンとサソリ毒を含む融合タンパク質及びヒト上皮細胞成長因子とサソリ毒を含む融合タンパク質の活性測定(HaCaT cellの細胞増殖、傷治療)
実施例2において分離、精製されたヒトチオレドキシンとサソリ毒を含む融合タンパク質及びヒト上皮細胞成長因子とサソリ毒を含む融合タンパク質の存在が確認された試料を選んでHaCaT細胞(Human,Adult,low Calcium,High Temperature,epithelial keratinocyte)の細胞増殖及び傷治療効果を確認した。
図5及び
図6は、HaCaT細胞を培養した後、それぞれの濃度(0〜20ppm)のヒトチオレドキシンとサソリ毒を含む融合タンパク質及びヒト上皮細胞成長因子とサソリ毒を含む融合タンパク質を処理した後、24時間顕微鏡(オリンパスCK40)を使用してHaCaT細胞の傷治療効果を24時間観察した。0.02〜20ppm濃度のヒトチオレドキシンとサソリ毒を含む融合タンパク質及びヒト上皮細胞成長因子とサソリ毒を含む融合タンパク質を処理したHaCaT細胞は、対照群に比べて傷治療効果を示した。
図5及び
図6の結果から、ヒトチオレドキシンとサソリ毒を含む融合タンパク質及びヒト上皮細胞成長因子とサソリ毒を含む融合タンパク質は、低濃度でも傷治療効果を示すことが分かる。
【0074】
実施例5.ヒトチオレドキシンとサソリ毒を含む融合タンパク質及びヒト上皮細胞成長因子とサソリ毒を含む融合タンパク質の活性測定(抗酸化効能)
図7は、ヒトチオレドキシンとサソリ毒を含む融合タンパク質及びヒト上皮細胞成長因子とサソリ毒を含む融合タンパク質の抗酸化効能に係わる結果を示す図面である。ヒトチオレドキシンとサソリ毒を含む融合タンパク質及びヒト上皮細胞成長因子とサソリ毒を含む融合タンパク質の抗酸化効能を測定するために、フリーラジカル消去効果測定方法の1つである1,1−ジフェニル−2−ピクリル−ヒドラジル(1,1−Diphenyl−2−pycryl−Hydrazyl;DPPH)方法を使用した。この試薬は、比較的安定したフリーラジカルとして存在し、フリーラジカル消去作用を確認するのに一次的に使用される試験管的な方法の1つである。
【0075】
ヒトチオレドキシンとサソリ毒を含む融合タンパク質及びヒト上皮細胞成長因子とサソリ毒を含む融合タンパク質の抗酸化効能を調べるために、対照群としてL−アスコルビン酸(L−Ascorbic acid)を使用した。実験方法は、ヒトチオレドキシンとサソリ毒を含む融合タンパク質及びヒト上皮細胞成長因子とサソリ毒を含む融合タンパク質とL−アスコルビン酸をそれぞれ1μM濃度で準備し、DPPHは、0.2mM濃度で準備した。それぞれを1:1で混合した後、37℃で30分間放置した。次いで、520nm ELISA readerで吸光度を観察した。フリーラジカル消去作用(%)は、下記数学式1で計算し、その結果は、
図7に示した。
【0076】
【数1】
【0077】
その結果、ヒトチオレドキシンとサソリ毒を含む融合タンパク質は、L−アスコルビン酸対照群よりも、約4倍高いフリーラジカル消去能を示し、ヒト上皮細胞再生因子とサソリ毒を含む融合タンパク質は、L−アスコルビン酸対照群と類似したフリーラジカル消去能を示した(
図7)。したがって、本発明のヒトチオレドキシンとサソリ毒を含む融合タンパク質及びヒト上皮細胞成長因子とサソリ毒を含む融合タンパク質は、特にヒトチオレドキシンとサソリ毒を含む融合タンパク質は、抗酸化効能による皮膚老化防止効果に優れるということが分かる。
【0078】
実施例6.ヒトチオレドキシンとサソリ毒を含む融合タンパク質及びヒト上皮細胞成長因子とサソリ毒を含む融合タンパク質の線維芽細胞内の第1型プロコラーゲン(Procollagen type−1)の発現評価
紫外線刺激による皮膚老化抑制手段の1つであるコラーゲン纎維(collagen fiber)合成の促進を調べるために、本発明の前記タンパク質を線維芽細胞に処理した後、コラーゲン合成促進如何を評価した。ヒトチオレドキシンとサソリ毒を含む融合タンパク質及びヒト上皮細胞成長因子とサソリ毒を含む融合タンパク質を無血清DMEM培地に0〜20ppmの濃度で線維芽細胞に処理した後、72時間後、細胞抽出物を対象にCollagen−I ELISA kit(Cloud−Clone Corp.,アメリカ)を使用して、第1型プロコラーゲン発現量の変化を測定し、その結果は、
図8の通りである。
図8から分かるように、第1型プロコラーゲンの発現量は、ヒト上皮細胞成長因子とサソリ毒を含む融合タンパク質によって濃度−依存的に増加した。一方、ヒトチオレドキシンとサソリ毒を含む融合タンパク質の場合、0.2ppm以下の濃度では、濃度−依存的に増加したが、その後、減少パターンを示した。これは、
図4に図示されたように、線維芽細胞増殖効果の結果と一致することを確認することができた。したがって、本発明による前記タンパク質は、
図8から、コラーゲン消失による皮膚の老化、特に皮膚シワを抑制可能であるということを確認することができた。