(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係るカテーテルの第1〜第3の実施形態について図面を参照して説明するが、本発明は、当該図面に記載の実施形態にのみ限定されるものではない。
【0013】
なお、本明細書において、「順行性ガイドワイヤ」とは、ガイドワイヤのうち、当該カテーテルに先立って血管中の閉塞部位などの術部に押し進められるガイドワイヤを意味し、「逆行性ガイドワイヤ」とは、ガイドワイヤのうち、例えば血管内を当該カテーテルの先端側から向かって来るガイドワイヤを意味する。
【0014】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態を示す概略正面図であって、メッシュ部材が縮径した状態を示す図である。当該カテーテル1は、
図1に示すように、概略的に、メッシュ部材110と、第1の中空シャフト120と、先端チップ130と、第2の中空シャフト140と、コアワイヤ150と、誘導膜160と、コネクタ170とにより構成されている。
【0015】
メッシュ部材110は、径方向に拡縮可能なチューブ状の部材である。このメッシュ部材110は、後述するコアワイヤ150を基端側に向かって引っ張る際、例えば、
図2に示すように面外変形して径外側へ膨出することで拡径し、この拡径したメッシュ部材110の目開きmを介して逆行性ガイドワイヤを当該カテーテル1に受け入れる。
【0016】
本実施形態では、メッシュ部材110が複数の第1素線111と複数の第2素線112とを有しており、これら第1素線111と第2素線112とが格子状に編まれて全体としてチューブ状になるように形成されている。また、メッシュ部材110は、編まれた隣り合う素線間に目開きmを有しており、拡径したときの拡大した目開きmを通して逆行性ガイドワイヤを受け入れる。なお、メッシュ部材110を構成する各素線の先端および基端には、それぞれ後述する先端チップ130および第1の中空シャフト120が接合されている。
【0017】
ここで、メッシュ部材110を構成する各素線(第1素線111および第2素線112)のそれぞれは、
図3に示す単線a、および複数の素線のいずれをも採用することができるが、例えば
図4に示すような中央部に配置された芯線b1とこの芯線b1の周りを取り囲むように配設された複数の側線b2のように、線径などが異なる複数の素線が撚り合された撚線bから形成されていてもよい(以下、第1素線111および第2素線112として
図4に記載のような撚線bを用いる場合には、それぞれ第1撚線111、第2撚線112と記載する)。かかる場合、第1撚線111と第2撚線112との交差部110aのうちの一部の交差部110aにおいて、
図5に示すように、第1撚線111を構成する複数の素線のうちの一部と、第2撚線112を構成する複数の素線のうちの一部(本実施形態では一部の側線b2)とが接合されていることが好ましい。また、メッシュ部材110を構成する素線は、
図6に示すように、単線aと撚線bとを組み合わせたものであってもよい。この場合、交差部110aのうちの一部の交差部110aでは、単線aと、撚線bを構成する複数の素線のうちの一部(本実施形態では一部の側線b2)とが接合されていることが好ましい。
【0018】
このように、第1素線111および第2素線112が撚線bで形成されていることで、チューブ状のメッシュ部材110を変形自在(柔軟)に形成することができ、メッシュ部材110の拡張性を向上することができると共に、上述のように一部の素線のみが接合されていることで、メッシュ部材110の過度な拡張による第1素線111および第2素線112の解れを防止し、メッシュ部材110を安全に拡張することができる。
【0019】
また、メッシュ部材110は、
図2に示すように拡張時に最大拡張径を有し、第1撚線111と第2撚線112との交差部110aに設けられた接合部110bは、最大拡張径となる部分において、接合部数が最小となることがより好ましい。メッシュ部材110は、具体的には、最大拡張径となる部位の横断面の周方向における接合部110bの数が、残りの部位の横断面の周方向における接合部110bの数よりも小さくなるように形成されている。これにより、メッシュ部材110の拡張性をより向上させることができる。
【0020】
また、第1撚線111と第2撚線112との交差部110aに設けられた周方向における接合部110bの数は、メッシュ部材110の両端部(メッシュ部材110の先端および基端)に向うに従って増加していることも好ましい。これにより、メッシュ部材110の両端部からの解れを防止することができ、その結果、メッシュ部材110の拡張性および堅牢性を向上させることができる。
【0021】
メッシュ部材110の各素線を構成するを材料としては、金属材料または樹脂材料を採用することができる。上記金属材料としては、例えば、SUS304などのステンレス鋼、ニッケルチタン合金、コバルトクロム合金等が挙げられる。上記樹脂材料としては、例えば、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリエーテルエーテルケトン等が挙げられる。これらの中で、強度および可撓性を向上させる観点からは金属材料であることが好ましい。なお、上述の第1素線111と第2素線112、および芯線b1と側線b2は、それぞれ同一の材料で形成されていてもよく、異なる材料で形成されていてもよい。
【0022】
また、上記メッシュ部材110の各素線を構成するを材料としては、メッシュ部材110の視認性を向上させる観点から、放射線不透過性材料であることも好ましい。上記放射線不透過材料としては、例えば、金、白金、タングステン、またはこれらの元素を含む合金(例えば、白金ニッケル合金など)等が挙げられる。なお、放射線不透過性材料は、放射線不透過性ではない材料の表面にコートされるものなど、当該放射線不透過性材料とこの材料以外の材料とを組み合わせたものであってもよい。
【0023】
第1の中空シャフト120は、メッシュ部材110の基端に接続された部材である。本実施形態では、この第1の中空シャフト120は、
図1に示すように、先端がメッシュ部材110の基端に接続された中空の先端側シャフト121と、先端が先端側シャフト121の基端に接続された中空の基端側シャフト123とを有している。
【0024】
先端側シャフト121は、内部に後述する逆行性ガイドワイヤおよびコアワイヤ150が挿通可能となるようにルーメン122を有している。基端側シャフト123は、内部にコアワイヤ150が挿通可能となるようにルーメン124を有している。また、先端側シャフト121と基端側シャフト123との接続部125において、先端側シャフト121の基端には、基端側に向かって開口する開口部126が形成されており、この開口部126を介して逆行性ガイドワイヤが当該カテーテル1の外部に送出される。
【0025】
ここで、上述の先端側シャフト121と基端側シャフト123との接続部125において、基端側シャフト123の先端の内部には、
図1に示すように、コアワイヤ150の外周を覆いかつ内部にコアワイヤ150が軸方向に摺動可能な円筒状の封止部材127が配置されていることが好ましい。これにより、コアワイヤ150の外周と封止部材127内周の隙間を小さくすることができ、逆行性ガイドワイヤ(不図示)端部が基端側シャフト123へ迷入するのを抑制することができる。その結果、第1の中空シャフト120や逆行性ガイドワイヤの破損を防止することができる。
【0026】
また、上述した封止部材127は、先端から基端側に向かって体積が増大し、封止部材127の先端側の端面127aが、開口部126に近づくように傾斜していることが好ましい。具体的には、封止部材127の端面127aがルーメン122に露出しており、逆行性ガイドワイヤが開口部126を円滑に通過するように、端面127aが開口部126に向かって傾斜するように形成されている。これにより、逆行性ガイドワイヤ端部の基端側シャフト123先端への引っかかりを防ぐことができ、逆行性ガイドワイヤを開口部126へ容易に導くことができる。その結果、第1の中空シャフト120や逆行性ガイドワイヤの破損を防止することができる。なお、封止部材としては、
図7(a)に示すような先端側の端面128aの形状が曲面状である封止部材128、
図7(b)に示すような先端側の端面129aの形状が軸方向に垂直な平面状である封止部材129等であってもよい。
【0027】
封止部材127を構成する材料としては、コアワイヤ150が摺動可能であればよく、例えば、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、ポリアミドエラストマー、ポリオレフィンエラストマー、ポリエステルエラストマー、ポリウレタンエラストマー等の樹脂が挙げられる。
【0028】
第1の中空シャフト120を構成する材料としては、この第1の中空シャフト120が血管内に挿通されることから、抗血栓性、可撓性および生体適合性を有していることが好ましく、樹脂材料、金属材料を採用することができる。先端側シャフト121としては、柔軟性が求められるため、例えばポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂等の樹脂材料を採用することが好ましい。基端側シャフト123としては、押し込み性が求められるため、例えばハイポチューブ等の金属管を採用することが好ましい。
【0029】
先端チップ130は、メッシュ部材110の先端に接続されている部材である。この先端チップ130は、具体的には、当該カテーテル1が血管中を進行し易いように、先端側に向かって尖鋭状に形成されており、当該先端チップ130の基端に、メッシュ部材110の各素線それぞれの先端部および後述する第2の中空シャフト140の先端部が埋設されている。
【0030】
先端チップ130を構成する材料としては、当該カテーテル1が血管中を進行することから、柔軟性を有していることが好ましい。上記柔軟性と有する材料としては、例えば、ポリウレタン、ポリウレタンエラストマーなどの樹脂材料等が挙げられる。
【0031】
第2の中空シャフト140は、先端チップ130に接続され、メッシュ部材110の内側の空間にて基端側に突設している。この第2の中空シャフト140の基端は、
図1に示すように、メッシュ部材110の内側の空間における第1の中空シャフト120の先端と先端チップ130の基端との間に位置していると共に、第2の中空シャフト140の基端が、コアワイヤ150に拘束されずに当該コアワイヤ150から離間可能となっている。このため、コアワイヤ150を基端側に向かって引っ張る際、
図2に示すように、第2の中空シャフト140がメッシュ部材110の軸方向に対して傾倒し、かつ第2の中空シャフト140の基端がメッシュ部材110の内周を径外側に向かって押圧することでメッシュ部材110が拡径するのを促進する。他方、第2の中空シャフト140が傾倒するがその基端がメッシュ部材110の内周に当接しない場合であっても、
図8に示すように、拡径したメッシュ部材110の内側の空間を非対称的に拡げることができ、逆行性ガイドワイヤをより受け入れ易くすることができる。
【0032】
第2の中空シャフト140を構成する材料としては、上述した第1の中空シャフト120と同様にこの第2の中空シャフト140も血管内に挿通されることから、抗血栓性、可撓性および生体適合性を有していることが好ましい。上記材料としては、例えば、第1の中空シャフト120の説明中で例示した材料と同様のもの等が挙げられるが、柔軟性の観点から樹脂材料が好ましい。
【0033】
コアワイヤ150は、先端がメッシュ部材110の先端および/または先端チップ130に接続され、基端が第1の中空シャフト120の基端よりも基端側に位置するようにメッシュ部材110および第1の中空シャフト120の内部を通って延びている部材である。このコアワイヤ150は、具体的には、メッシュ部材110の内部における第2の中空シャフト140の外側の空間、第1の中空シャフト120の内部、およびコネクタ170(後述)の通孔171を介して外部に延びている。なお、コアワイヤ150をコネクタ170の外部にて操作することで、当該コアワイヤ150が軸方向に進退し、メッシュ部材110が径方向に拡縮する。
【0034】
コアワイヤ150を構成する材料としては、当該コアワイヤ150自身の切断を防止しかつメッシュ部材110を確実に拡縮する観点から、十分な引張強度および剛性を有していることが好ましい。上記材料としては、例えば、SUS304などのステンレス鋼、ニッケルチタン合金、コバルトクロム合金などの金属材料等が挙げられる。
【0035】
ここで、メッシュ部材110およびコアワイヤ150が金属材料で形成されており、
図9に示すように、軸方向においてコアワイヤ150の先端がメッシュ部材110の先端に位置していると共に、コアワイヤ150の先端部とメッシュ部材110の先端部との接合により接合部dが形成されていることが好ましい。このように、接合部dが形成されていることで、メッシュ部材110とコアワイヤ150とを強力に接続することができ、メッシュ部材110を拡張する際にメッシュ部材110からコアワイヤ150が外れるのを防止することができる。
【0036】
なお、接合部dの横断面形状としては特に限定されないが、メッシュ部材110とコアワイヤ150との接合強度を向上させる観点から、円筒状の部材153をコアワイヤ150に接合した略環状(
図9(a)参照)、またはコアワイヤ151と一体的に形成した略C形状(
図9(b)参照)であることが好ましい。また、接合部dの形状としては、先端チップ130に接合された状態での当該先端チップ130の柔軟性向上、およびコアワイヤ150と先端チップ130との接合強度向上の観点から、例えば、コアワイヤ152と一体的に形成した形状(
図9(c)参照)、複数の円筒状の部材154をコアワイヤ150に接合した形状(
図9(d)参照)、円筒状の一部を切り欠いた部材155をコアワイヤ150に接合した形状(
図9(e)参照)等を採用することもできる。また、この接合部dは、メッシュ部材110の先端部外周(
図9(a)参照)または先端部内周(
図10参照)のいずれにも配置してもよい。これにより、メッシュ部材110を基端側に引っ張る際にメッシュ部材110の先端部により均等に力を加えることができ、メッシュ部材110とコアワイヤ150とが破断せずに両者をより強力に接続することができる。
【0037】
なお、コアワイヤ150と、先端チップ130および/またはメッシュ部材110とが接続されている部位は、
図11に示すように、軸方向に直交する横断面への投影位置p1が、先端チップ130の重心の横断面への投影位置p2に対して偏心していることが好ましいが、第2の中空シャフト140の重心の横断面への投影位置(不図示)に対して偏心していてもよい。これにより、コアワイヤ150を基端側に向かって引っ張ってメッシュ部材110を拡径する際、第2の中空シャフト140をメッシュ部材110の軸方向に対して容易に傾倒(上記重心に対して第2の中空シャフト140が回転)させることができる。その結果、第2の中空シャフト140の基端をメッシュ部材110に容易に当接させてメッシュ部材110の内周を確実に押圧し、メッシュ部材110の拡径を促進することができる。
【0038】
誘導膜160は、
図1および
図12に示すように、メッシュ部材110に配置され、誘導膜160の先端が先端チップ130の基端と第1の中空シャフト120の先端との間に位置している。この誘導膜160は、メッシュ部材110の目開きmを通して受け入れた逆行性ガイドワイヤを第1の中空シャフト120に向かって円滑に導くものである。本実施形態の誘導膜160は、先端が位置するメッシュ部材110の軸方向略中央部から、誘導膜160の基端が位置する第1の中空シャフト120の先端に亘る領域において、
図13に示すように、隣り合う素線111、112どうしを架橋するようにメッシュ部材110上に形成されている。ここで、逆行性ガイドワイヤは、メッシュ部材110が拡径する際に誘導膜160が漏斗形状に展開することで、メッシュ部材110を通して第1の中空シャフト120内に導びかれる。なお、誘導膜160は、少なくとも一部(例えば、誘導膜160の先端外周など)がメッシュ部材110に接合されていればよく、例えば、フィルム状のもの(不図示)であってもよい。
【0039】
誘導膜160を構成する材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリアミド、ポリアミドエラストマー、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリエステルエラストマー等が挙げられる。これらの中では、上記材料としては、表面の滑動性を向上させる観点から、ポリウレタンであることが好ましい。
【0040】
誘導膜160を形成する方法としては特に限定されず、例えば、メッシュ部材110に配置する誘導膜ではディップ法、フィルム状の誘導膜ではフィルムの先端をメッシュ部材110に融着する方法等を採用することができる。
【0041】
ここで、誘導膜160は、伸縮性を有する材料で形成され、メッシュ部材110に配置されていると共に先端が先端チップ130の基端と第1の中空シャフト120の先端との間に位置し、
図14に示すように、誘導膜160の基端の膜厚が誘導膜160の先端の膜厚よりも厚いことが好ましい(この構成の誘導膜を、以下「誘導膜A」とも称する)。このような誘導膜Aは、例えば、上述したディップ法を用い、メッシュ部材を浸漬浴から引き揚げた後、メッシュ部材110の基端側を鉛直下方に向けた状態にて硬化させることにより形成することができる。これにより、誘導膜A先端の膜厚が基端の膜厚よりも薄い分、メッシュ部材110を容易に拡張することができると共に、誘導膜A基端の膜厚が先端の膜厚よりも厚い分、逆行性ガイドワイヤの接触に伴う誘導膜Aの破損を低減することができる。
【0042】
なお、誘導膜Aの先端は、
図2に示すように、メッシュ部材110が拡張した際に、メッシュ部材110が最大拡張径となる部位に位置していることも好ましい。これにより、漏斗状の誘導膜160を最大限に拡張することができ、受け入れた逆行性ガイドワイヤを第1の中空シャフト120へ容易に誘導することができる。
【0043】
また、誘導膜Aの膜厚は、先端から基端に向かって増加している(
図14の実線および破線参照)ことも好ましく、メッシュ部材110の拡張径が、上記最大拡張径となる部位から基端に向かって減少し(
図14の一点鎖線参照)、誘導膜160の膜厚が、メッシュ部材110の拡張径の減少に反比例して、先端から基端に向かって増加している(
図14の実線参照)ことも好ましい。これにより、メッシュ部材110を容易に拡張することができると共に、誘導膜160の基端部に逆行性ガイドワイヤが高い荷重で接触したとしても誘導膜160が破れるのを防止することができる。
【0044】
他方、誘導膜160は、メッシュ部材110に配置されていると共に先端が先端チップ130の基端と第1の中空シャフト120の先端との間に位置し、
図15の実線および破線で示すように、誘導膜160の先端の膜厚が、誘導膜160の膜厚が最も薄い部位の膜厚よりも厚いことも好ましい(この構成の誘導膜を、以下「誘導膜B」とも称する)。このような誘導膜Bは、
図16に示すように、例えば膜厚が均一な誘導膜160aを作製した後、塗布法を用いて上記膜厚が均一な誘導膜160aの先端部に誘導膜形成材料の肉盛り160bを施すことで誘導膜160を形成したり、上述したディップ法を用いて誘導膜を形成した後、上記同様に肉盛り160bを施することで形成することができる。これにより、誘導膜160の先端の膜厚が最も薄い部位の膜厚よりも厚い分、逆行性ガイドワイヤが誘導膜160の先端に接触した場合であっても、誘導膜160の破損を抑制することができる。また、誘導膜160の先端の膜厚を誘導膜160の他の部位の膜厚よりも厚くすることによっても同様の効果を奏することができる。
【0045】
なお、誘導膜Bは、
図17に示すように、第1素線111と第2素線112との間に形成される複数の目開きmのうちの一部の目開きmを閉塞するように形成されており、誘導膜161の先端が、第1素線111と第2素線112との交差部110aに位置し、交差部110aの周方向に隣接する目開きm1、m2が開口していることも好ましい。このような態様の誘導膜Bでは、目開きm内に存する誘導膜161の端部全てが素線(第1素線111、第2素線112)で縁取られている(誘導膜161の端部全てが素線に接合されている)。これにより、逆行性ガイドワイヤが誘導膜161の先端に接触した場合であっても、誘導膜161の破損をより抑制することができると共に、誘導膜161がメッシュ部材110から剥離するのを防止することができる。
【0046】
また、誘導膜Bの膜厚は、
図18(a)に示すように、素線111、112どうしの交差部110aにおいて最も厚いことも好ましい。これにより、逆行性ガイドワイヤが誘導膜161の先端に接触した場合であっても、誘導膜161の破損を抑制することができる。
【0047】
また、誘導膜Bの先端における第1素線111および第2素線112の交差部110aの外周は、
図18(b)に示すように、誘導膜161で覆われていることも好ましい。これにより、逆行性ガイドワイヤが誘導膜161の先端に接触した場合であっても、誘導膜161の破損をより抑制することができると共に、誘導膜161がメッシュ部材110から剥離するのを防止することができる。
【0048】
このように、当該カテーテル1は、誘導膜160をメッシュ部材110に配置させることで、逆行性ガイドワイヤを誘導膜160に沿って第1の中空シャフト120に容易かつ確実に誘導することができる。
【0049】
コネクタ170は、オペレータが当該カテーテル1を把持する部材である。このコネクタ170は、
図1に示すように、第1の中空シャフト120の基端に接続されており、コアワイヤ150を外部に露出できるように、第1の中空シャフト120のルーメン122、124と相通する通孔171と、この通孔171の基端に形成された開口部172とを有している。なお、コネクタ170の形態は特に限定されず、オペレータが把持し易ければいずれの形状であってもよい。
【0050】
なお、当該カテーテル1は、
図19および
図20に示すように、メッシュ部材110の拡径時に、より好ましくはメッシュ部材110が最適に拡径した時に、誘導膜160の先端の内側に位置するコアワイヤ150の部位に設けられ、放射線不透過材料で形成されたマーカー180を有していることが好ましく、上記マーカー180と、誘導膜160の先端部に設けられ、放射線不透過材料で形成された放射線不透過部160aとを有していることがより好ましい。マーカー180は、樹脂材料を用いる場合、例えば、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂などに、三酸化ビスマス、タングステン、硫酸バリウム等の放射線不透過材料を混ぜて形成することが好ましく、金属材料を用いる場合、例えば、放射線不透過材料である金、白金、タングステン、またはこれらの元素を含む合金(例えば、白金ニッケル合金等)等で形成することが好ましい。放射線不透過部160aは、放射線不透過材料として樹脂材料を用いる場合、誘導膜160の先端部に三酸化ビスマス、タングステン、硫酸バリウム等の放射線不透過材料を混ぜて形成することが好ましく、金属材料を用いる場合、誘導膜160の先端部に金、白金、タングステン、またはこれらの元素を含む合金(例えば、白金ニッケル合金等)等の放射線不透過材料を接合することが好ましい。これにより、X線などの放射線の透視下にてマーカー180と誘導膜160先端とを容易に認識することができるため、マーカー180を誘導膜160先端の放射線不透過部160aの内側に位置するようにコアワイヤ150を引っ張ることで、メッシュ部材110を最適に拡径することができると共に、放射線不透過部160aを手がかりとして逆行性ガイドワイヤを容易に誘導膜160の内側に導くことができ、誘導膜160と逆行性ガイドワイヤとの接触を防いで誘導膜160の破損を防止することができる。なお、本明細書において、「最適に拡径」とは、過度な拡張による誘導膜160の破損が生じない範囲で、逆行性ガイドワイヤを受け入れ易いようにメッシュ部材110を最大限に拡径することを意味する。
【0051】
次に、上述した当該カテーテル1の使用態様について説明する。当該カテーテル1は、逆行性ガイドワイヤW2を受け入れるもの(使用態様1)の他、例えば閉塞物の除去(使用態様2)にも用いることができる。以下、使用態様1および2について説明する。
【0052】
(使用態様1)
使用態様1では、当該カテーテル1を用いて逆行性ガイドワイヤW2を受け入れる。この使用態様1では、まず順行性ガイドワイヤW1(不図示)を例えば血管内に挿入した後、血管に沿って閉塞物が存在する部位(以下、「閉塞部位」ともいう)まで押し進める。
【0053】
次に、順行性ガイドワイヤW1の先端が閉塞部位に到達した後、順行性ガイドワイヤW1の基端を第2の中空シャフト140先端の通孔に挿通させ、順行性ガイドワイヤW1をガイドとして当該カテーテル1の先端を血管内にて閉塞部位まで押し進める。この際、当該カテーテル1は、メッシュ部材110が縮径した状態で血管に挿入され、当該カテーテル1の先端が閉塞部位に到達するまで上記縮径した状態を維持する。
【0054】
次に、上述したように当該カテーテル1の先端が閉塞部位に到達した後、当該カテーテル1に対して順行性ガイドワイヤW1を基端側に引っ張ることで順行性ガイドワイヤW1を当該カテーテル1から引き抜く。次いで、コネクタ170の外部に露出しているコアワイヤ150を基端側に向かって引っ張ることでメッシュ部材110の先端と第1の中空シャフト120の先端との間隔が狭まり、結果としてメッシュ部材110が径外側に面外変形して拡径する。この際、メッシュ部材110の拡径に伴って目開きmも拡張されるので、逆行性ガイドワイヤW2を受け入れやすい状態となる。また、第2の中空シャフト140の傾倒によりメッシュ部材110の内周が径外側に向かって押圧されることで、メッシュ部材110の拡径が促進される。なお、本実施形態では、誘導膜160の先端がメッシュ部材110の軸方向略中央部に接合されているので、メッシュ部材110の拡径に追従して誘導膜160が拡径され、誘導膜160が全体として漏斗形状になる。
【0055】
次に、
図21に示すように、先端側から向かって来る逆行性ガイドワイヤW2を当該カテーテル1に受け入れる。上記逆行性ガイドワイヤW2が向かってくる経路としては、例えば、閉塞部位を囲繞する血管壁内の偽腔、閉塞部位を貫通する貫通孔等が想定されるが、いずれの経路からの逆行性ガイドワイヤW2であってもよい。上記逆行性ガイドワイヤW2は、拡径したメッシュ部材110の目開きmを通してメッシュ部材110の内側の空間に受け入れられた後、第1の中空シャフト120の開口部120aから先端側シャフト121に挿通され、開口部126を介して当該カテーテル1の外部に送出される。次いで、開口部126から送出された逆行性ガイドワイヤW2は、血管内を通過した後、端部が体外に送出される。これにより、逆行性ガイドワイヤW2が閉塞部位を貫通しかつこの逆行性ガイドワイヤW2の両端部が体外に露出した状態を作り出すことができる。
【0056】
このように、当該カテーテル1は、逆行性ガイドワイヤW2を受け入れて端部を体外に誘導することができるので、逆行性ガイドワイヤW2と組み合わせた医療器具として好適に用いることができる。
【0057】
(使用態様2)
使用態様2では、当該カテーテル1を用いて順行性ガイドワイヤW1等により閉塞物を除去する。使用態様2において、順行性ガイドワイヤW1および当該カテーテル1を挿入する方法、並びにメッシュ部材110を拡径する方法は上述した方法と同様であるので、ここでの説明は省略する。この使用態様2では、まず使用態様1と同様に操作して順行性ガイドワイヤW1および当該カテーテル1を閉塞部位に到達させる。次いで、コアワイヤ150を操作してメッシュ部材110を拡径する。なお、順行性ガイドワイヤW1は当該カテーテル1から引き抜かない。
【0058】
次に、上記順行性ガイドワイヤW1等を用いて閉塞物を破砕する。この際、破砕された閉塞物は、拡径したメッシュ部材110の目開きmを通してメッシュ部材110の内側の空間に取り込まれた後、開口部120aを介して第1の中空シャフト120内に誘導され、この第1の中空シャフト120を通過して体外に排出される。
【0059】
このように、当該カテーテル1は、血管内の閉塞物を粉砕して体外に除去することができるので、閉塞物の除去する医療器具としても好適に使用することができる。
【0060】
以上のように、当該カテーテル1は上述した構成であるので、コアワイヤ150を基端側に向かって引っ張ることによりメッシュ部材110を拡径する際、第2の中空シャフト140の基端がコアワイヤ150から離間可能であるため、メッシュ部材110の内周を押圧することで、メッシュ部材110を容易に拡径することができる。また、第2の中空シャフト140の基端がメッシュ部材110の内周に当接しない場合であっても、拡径したメッシュ部材110の内側の空間を非対称的に拡げることができ、逆行性ガイドワイヤをより受け入れ易くすることができる。
【0061】
[第2の実施形態]
図22は、本発明の第2の実施形態を示す概略正面図であって、メッシュ部材が縮径した状態を示す図である。当該カテーテル2は、
図22に示すように、概略的に、メッシュ部材110と、第1の中空シャフト120と、先端チップ130と、第2の中空シャフト240と、コアワイヤ250と、保持部材280と、誘導膜160と、コネクタ170(不図示)とにより構成されている。第2の実施形態は、第2の中空シャフト240、コアワイヤ250および保持部材280を備えている点で、第1の実施形態と異なっている。なお、メッシュ部材110、第1の中空シャフト120、先端チップ130、誘導膜160およびコネクタ170の構成は、第1の実施形態のものと同じ構成であるので、同一部分には同一符号を付してその詳細な説明は省略する。また、第2の中空シャフト240およびコアワイヤ250の材料は、第1の実施形態のものと同じであるので、第1の実施形態での説明を援用してその詳細な説明は省略する。
【0062】
第2の中空シャフト240は、先端チップ130に接続され、メッシュ部材110の内側の空間にて基端側に突設し、基端が第1の中空シャフト120の先端と先端チップ130の基端との間に位置する部材である。
【0063】
コアワイヤ250は、先端がメッシュ部材110の先端および/または先端チップ130に接続され、基端が第1の中空シャフト120の基端よりも基端側に位置し、第2の中空シャフト240の外周に沿ってかつメッシュ部材110および第1の中空シャフト120の内部を通って延びる部材である。
【0064】
保持部材280は、横断面視の形状が略環状または略C形状であり(
図23(a)(b)参照)、コアワイヤ250に設けられ、第2の中空シャフト240を覆う部材である。この保持部材280は、第2の中空シャフト240の外周を覆っており、第2の中空シャフト240は、この保持部材280に対して軸方向に相対移動ができる。なお、本実施形態では、
図22に示すように、保持部材280が第2の中空シャフト240の基端を覆うように設けられているが、保持部材280によって第2の中空シャフト240の基端がコアワイヤ250から離間せずにこれらを一体となって動かすことができる限りにおいて、保持部材は、
図24および
図25に示すように、第2の中空シャフト240の基端から先端側へ移動した部分を覆うように設けられていてもよい。
【0065】
なお、保持部材280を構成する材料としては、例えば、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂などの樹脂材料、SUS304などのステンレス鋼、ニッケルチタン合金、コバルトクロム合金などの金属材料を採用することができる。
【0066】
なお、当該カテーテル2は、保持部材280が放射線不透過材料を含んでいることが好ましく、
図26および
図27に示すように、この放射線不透過材料を含んだ保持部材280と、誘導膜160の先端部に設けられ、放射線不透過材料で形成された放射線不透過部160aとを有していることがより好ましい。保持部材280を上記した樹脂材料で形成する場合、保持部材280に、例えば、三酸化ビスマス、タングステン、硫酸バリウム等の放射線不透過材料を混ぜることが好ましく、保持部材280を金属材料で形成する場合、例えば、放射線不透過材料である金、白金、タングステン、またはこれらの元素を含む合金(例えば、白金ニッケル合金等)等で形成することが好ましい。放射線不透過部160aの構成としては、放射線不透過材料として樹脂材料を用いる場合、誘導膜160の先端部に三酸化ビスマス、タングステン、硫酸バリウム等の放射線不透過材料を混ぜることが好ましく、金属材料を用いる場合、誘導膜160の先端部に金、白金、タングステン、またはこれらの元素を含む合金(例えば、白金ニッケル合金等)等の放射線不透過材料を接合することが好ましい。当該カテーテル2では、
図26及び
図27に示すように、保持部材280を、メッシュ部材110の拡径時、より好ましくはメッシュ部材110が最適に拡径した時に、誘導膜160の先端の内側に位置させることが好ましい。これにより、X線などの放射線の透視下にて保持部材280と誘導膜160先端とを容易に認識することができるため、保持部材280を誘導膜160先端の放射線不透過部160aの内側に位置するようにコアワイヤ250を引っ張ることで、メッシュ部材110を最適に拡径することができると共に、放射線不透過部160aを手がかりとして逆行性ガイドワイヤを容易に誘導膜160の内側に導くことができ、誘導膜160と逆行性ガイドワイヤとの接触を防いで誘導膜160の破損を防止することができる。
【0067】
次に、当該カテーテル2の使用時の動作について説明する。例えば、上述した使用態様1と同様に操作して当該カテーテル2を閉塞部位に到達させた後、
図28に示すように、コアワイヤ250を操作してメッシュ部材110を拡径する。この際、第2の中空シャフト240は、その基端が周囲を保持部材280で覆われているので、第2の中空シャフト240が傾倒せず、第2の中空シャフト240の基端とメッシュ部材110とが接触することなく軸方向に沿って基端側に引っ張られてメッシュ部材110が拡径する。これにより、メッシュ部材110の目開きmを介して逆行性ガイドワイヤW2を受け入れることが可能となる。
【0068】
このように、当該カテーテル2は、第2の中空シャフト240、コアワイヤ250および保持部材280が上述した構成であるので、保持部材280によって第2の中空シャフト240の基端がコアワイヤ250から離間せずにこれらを一体となって動かすことができ、第2の中空シャフト240の基端がコアワイヤ250から離間しない分、第2の中空シャフト240が誘導膜160を突き破るのを抑制することができる。なお、保持部材280で第2の中空シャフト240の外周を覆う場合、第2の中空シャフト240の基端が誘導膜160に接触しない程度に、第2の中空シャフト240の基端のコアワイヤ250からの離間が制限されるように構成してもよい。
【0069】
[第3の実施形態]
図29は、本発明の第3の実施形態を示す概略正面図であって、メッシュ部材が縮径した状態を示す図である。当該カテーテル3は、
図29に示すように、概略的に、メッシュ部材110と、第1の中空シャフト120と、先端チップ130と、第2の中空シャフト340と、コアワイヤ150と、誘導膜160と、コネクタ170(不図示)とにより構成されている。第3の実施形態は、第2の中空シャフト340を備えてる点で、第1の実施形態と異なっている。なお、メッシュ部材110、第1の中空シャフト120、先端チップ130、コアワイヤ150、誘導膜160およびコネクタ170の構成は、第1の実施形態のものと同じ構成であるので、同一部分には同一符号を付してその詳細な説明は省略する。また、第2の中空シャフト340の材料は、第1の実施形態のものと同じであるので、第1の実施形態での説明を援用してその詳細な説明は省略する。
【0070】
第2の中空シャフト340は、一部がメッシュ部材110の内側の空間に配置され、メッシュ部材110を貫通して、基端がメッシュ部材110の外部に位置する部材である。なお、上述の「基端がメッシュ部材の外部に位置する」とは、
図30および
図31に示すように、第2の中空シャフト341の基端341aがメッシュ部材110の外周に位置する態様を含む概念である。
【0071】
ここで、第2の中空シャフト340は、当該第2の中空シャフト340の両端が他の部材(例えば、先端チップ130、メッシュ部材110、第1の中空シャフト120など)に固定されていてもよいが、第2の中空シャフトの先端が先端チップ130に接続され、第2の中空シャフトの基端が自由端であるか、第2の中空シャフトの先端が自由端であり、第2の中空シャフトの基端部の外周がメッシュ部材110または第1の中空シャフト120の外周に接続されていることが好ましい。これにより、第2の中空シャフト340の先端および基端部の一方のみが他の部材に接続されていることで、メッシュ部材110を拡張した際に第2の中空シャフト340が折れるのを防止することができ、順行性ガイドワイヤW1の通過性を確保して手技を安定的かつ効率よく行うことができる。
【0072】
また、第2の中空シャフト340の基端は、基端側に向かって開口していることが好ましい。これにより、手技にて順行性ガイドワイヤW1の基端を第2の中空シャフト340の先端に挿入する際、順行性ガイドワイヤW1の基端が第2の中空シャフト340の基端の開口から当該カテーテル3の基端側に向かう分、術者が順行性ガイドワイヤW1の基端の位置を素早く認識して、順行性ガイドワイヤW1の基端部を容易かつ確実に把持することができる。その結果、当該カテーテル3を用いて手技を効率よく行うことができる。
【0073】
本実施形態では、当該カテーテル3は、
図29に示すように、第2の中空シャフト340の先端が自由端でありかつ第2の中空シャフト340の先端側がメッシュ部材110の内側の空間に配置されている。この第2の中空シャフト340は、軸方向の中途にてメッシュ部材110の目開きmを貫通しており、第2の中空シャフト340の基端がメッシュ部材110の外部に位置しかつ基端部の外周が第1の中空シャフト120の外周に接合されている。第2の中空シャフト340の基端には基端側に向かって開口する開口部340aが設けられている。
【0074】
なお、当該カテーテル3は、
図29〜
図32に示すように、メッシュ部材110の拡径時、より好ましくはメッシュ部材110が最適に拡径した時に、誘導膜160の先端の内側に位置するコアワイヤ150の部位に設けられ、放射線不透過材料で形成されたマーカー180を有していることが好ましく、上記マーカー180と、誘導膜160の先端部に設けられ、放射線不透過材料で形成された放射線不透過部160aとを有していることがより好ましい。マーカー180および放射線不透過部160aの構成としては、例えば、第1の実施形態にて説明したものと同様の構成を採用することができる。これにより、X線などの放射線の透視下にてマーカー180と誘導膜160先端とを容易に認識することができるため、マーカー180を誘導膜160先端の放射線不透過部160aの内側に位置するようにコアワイヤ150を引っ張ることで、メッシュ部材110を最適に拡径することができると共に、放射線不透過部160aを手がかりとして逆行性ガイドワイヤを容易に誘導膜160の内側に導くことができ、誘導膜160と逆行性ガイドワイヤとの接触を防いで誘導膜160の破損を防止することができる。
【0075】
次に、当該カテーテル3の使用時の動作について説明する。例えば、上述した使用態様1と同様に操作して当該カテーテル3を閉塞部位に到達させた後、
図32に示すように、順行性ガイドワイヤW1を第2の中空シャフト340から引き抜かずにコアワイヤ150を操作してメッシュ部材110を拡径する。この際、第2の中空シャフト340の基端がメッシュ部材110の外部に位置しているので、順行性ガイドワイヤW1は第1の中空シャフト120内に存在していない。そのため、メッシュ部材110の目開きmを介して受け入れられ第1の中空シャフト120内に挿通された逆行性ガイドワイヤW2は、第1の中空シャフト120内にて上記順行性ガイドワイヤW1と併存することなく円滑に開口部126から送出することができる。
【0076】
このように、当該カテーテル3は、メッシュ部材110、先端チップ130、第2の中空シャフト340および誘導膜160が、上述した構成であるので、順行性ガイドワイヤW1が第1の中空シャフト120を通らない分、順行性ガイドワイヤW1を第2の中空シャフト340に通したまま逆行性ガイドワイヤW2を第1の中空シャフト120へ導くことができ、手技を効率よくかつ簡便に行うことができる。
【0077】
なお、本発明は、上述した実施形態の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。上述した実施形態の構成のうちの一部を削除したり、他の構成に置換してもよく、上述した実施形態の構成に他の構成を追加等してもよい。
【0078】
例えば、第1の実施形態では、第2の中空シャフト140を備えているカテーテル1について説明したが、例えば、
図33および
図34に示すような第2の中空シャフト140を備えていないカテーテル4も本発明の意図する範囲内である。