特許第6770184号(P6770184)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6770184電源システム、電源システムの故障診断方法およびシステム制御装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6770184
(24)【登録日】2020年9月28日
(45)【発行日】2020年10月14日
(54)【発明の名称】電源システム、電源システムの故障診断方法およびシステム制御装置
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/3835 20190101AFI20201005BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20201005BHJP
   H02J 7/02 20160101ALI20201005BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20201005BHJP
   B60L 58/18 20190101ALI20201005BHJP
【FI】
   G01R31/3835
   H02J7/00 Q
   H02J7/00 302C
   H02J7/02 J
   H01M10/48 P
   B60L58/18
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2019-515089(P2019-515089)
(86)(22)【出願日】2017年12月27日
(86)【国際出願番号】JP2017047046
(87)【国際公開番号】WO2018198437
(87)【国際公開日】20181101
【審査請求日】2019年8月8日
(31)【優先権主張番号】特願2017-88106(P2017-88106)
(32)【優先日】2017年4月27日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】507357232
【氏名又は名称】株式会社エンビジョンAESCジャパン
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】林 一臣
【審査官】 星野 昌幸
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2014/115513(WO,A1)
【文献】 特開2014−124089(JP,A)
【文献】 特開2014−175127(JP,A)
【文献】 特開2010−271267(JP,A)
【文献】 特開2012−034535(JP,A)
【文献】 特開2013−247773(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/3835
B60L 58/18
H01M 10/48
H02J 7/00−7/12
H02J 7/34−7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷に対して複数の電源装置が並列に接続された電源群と、該電源群を制御するシステム制御手段と、を有し、
前記電源装置は、電池装置と、前記電池装置に直列に接続されかつ接続と切断を切り替える切り替え手段と、当該電池装置の電圧を検出する電圧検出手段と、を有し、
前記システム制御手段は、少なくとも一つの電源装置の前記切り替え手段を接続側に切り替えると共に、接続側に切り替えていない切り替え手段が属する電源装置の電圧検出手段により検出した電圧値に基づいて故障診断を行うことを特徴とする電源システム。
【請求項2】
電池装置と、前記電池装置に直列に接続されかつ接続と切断を切り替える切り替え手段と、当該電池装置の電圧を検出する電圧検出手段とを有する電源装置を、負荷に対して並列に接続した電源システムの故障診断方法であって、
少なくとも一つの電源装置の前記切り替え手段を接続側に切り替えた後に、接続側に切り替えていない切り替え手段が属する電源装置の電圧検出手段により検出した電圧値に基づいて故障診断を行うことを特徴とする電源システムの故障診断方法。
【請求項3】
電池装置と、当該電池装置に直列に接続されかつ接続と切断を切り替える切り替え手段と、前記電池装置と前記切り替え手段を含む回路の両端の電圧を計測する電圧検出手段とを有する電源装置を並列に接続した電源群を制御するシステム制御装置であって、
少なくとも一つの電源装置の前記切り替え手段を接続側に切り替えると共に、接続側に切り替えていない切り替え手段が属する電源装置の電圧値に基づいて故障診断を行うことを特徴とするシステム制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源システムと電源システムの故障診断方法とシステム制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の電源システムとしては、特許文献1に記載されている構成が知られている。この電源システムは負荷に対して複数の電源装置を並列に接続した構成となっており、その始動前に、それぞれの電源装置に設けられたスイッチを電源装置毎にオンオフすることで断線異常の有無を診断している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−034535号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、電源装置毎に電源装置内のスイッチのオンオフを繰り返すため、電源装置の数が増えると、診断時間が長くなる。本発明は、診断時間の短縮を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施形態である電源システムは、負荷に対して複数の電源装置が並列に接続された電源群と、電源群を制御するシステム制御手段とを有し、電源装置は、電池装置と、電池装置に直列に接続されかつ接続と切断を切り替える切り替え手段と、当該電池装置の電圧を検出する電圧検出手段と、を有し、システム制御手段は、少なくとも一つの電源装置の前記切り替え手段を接続側に切り替えると共に、接続側に切り替えていない切り替え手段が属する電源装置の電圧検出手段により検出した電圧値に基づいて故障診断を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
故障診断の時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態1に係る電源システムのブロック図である。
図2】実施形態1の電気的接点構造の一例である。
図3図1の電源システムにおけるフローチャートである。
図4図1の電源システムにおけるフローチャートである。
図5】実施形態1と比較例を対比した図である。
図6】実施形態2と比較例を対比した図である。
図7】実施形態2の診断経路を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図を使用して、実施形態1に係る電源システムを説明する。まず、図1のブロック図を使用して各部品や機能を説明する。
1は負荷・回生機器であり、例えば車両に搭載されたインバータ及びモータである。電源装置からの電力を、インバータを介してモータに供給しモータの回転により車輪を回転させて車両を走行させる。またモータの回生制動により発生した電力を電源装置に供給する。
【0009】
2は負荷・回生機器1と接続された高電圧側の強電ハーネスであり、3は負荷・回生機器1と接続された低電圧側の強電ハーネスである。4はリレーであり、図1ではリレー4の一端が低電圧側の強電ハーネス3と接続されている。5は勘合型のコネクタであり、勘合された状態の2つのコネクタのうち一方のコネクタはリレー4の他端に接続されている。6も5と同様の勘合型のコネクタであり、一方のコネクタは高電圧側の強電ハーネス2を介して負荷・回生機器1に接続されている。
【0010】
7は電池群であり、コネクタ6の他方のコネクタと接続された高電圧側の強電ハーネス8と、コネクタ5の他方のコネクタに接続された低電圧側の強電ハーネス9と、4つの電源装置10,20,30,40とを有している。電源装置10,20,30,40はほぼ同様の構成をしており、負荷・回生機器1に対し並列に接続されている。
【0011】
以下、電源装置10を例に説明する。電源装置10は、ハーネス8に接続された電気的接点11と、ハーネス9に接続された電気的接点12と、複数の単電池を直列に接続しかつ負極端が電気的接点12に接続された電池装置13と、一端が電池装置13の正極端に接続されかつ他端が電気的接点11に接続されたスイッチ14と、電気的接点11及びスイッチ14の間と、電気的接点12及び電池装置13の負極端との間の電圧差を計測する電圧計15と、電圧計15で計測した電圧値を入力し、入力した電圧値を後述するマスタBMS(BatteryManagement System)17に送信しマスタBMS17からの指示に従いスイッチ14のオン(閉成)及びオフの切り替えを制御するスレーブBMS(Battery Management System)16とを有している。図中ではスレーブBMSはS−BMS、マスタBMSはM−BMSと表記している。システム制御手段としてのマスタBMS17と、電池制御手段としてのスレーブBMS16は、実施形態1では一つのコントロールユニット100により構成されている。
【0012】
なお、図1中の電源装置20の21から26の部品とその接続関係、電源装置30の31から36の部品とその接続関係、電源装置40の41から46の部品とその接続関係は、図1中の電源装置10の11から16の部品とその接続関係は同じであり、説明を省略する。電源装置10のコントロールユニット100の一部であるマスタBMS17が他の電源装置にない点が異なっており、スレーブBMS26、36、46は、電源装置10のコントロールユニット100(マスタBMS17機能部分)と接続されている。
【0013】
次に、200は、VCU(Vehicle Control Unit)であり、負荷・回生機器1、リレー4、コントロールユニット100、及びイグニッションスイッチ(不図示)や車両の状態信号を入力するセンサ(車速センサ等)300に接続されている。
VCU200は、イグニッションスイッチの状態を入力してVCU200自身の起動処理や制御装置100のマスタBMS17への起動指令や各スレーブBMS16,26,36,46にスイッチ14,2,43,44のオン(閉成)を指示する。
【0014】
VCU200は、各スレーブBMS16,26,36,46のスイッチ14,24,34,44が全てオンしたことを示す信号を受信したマスタBMS17から充放電の準備が完了した旨を受信すると、リレー4をオン(閉成)し、充放電の制御を開始する。
VCU200は、車両の状態信号をセンサ300から入力したりマスタBMS17からの電池群7の状態信号を入力して、負荷・回生機器1へ出力する目標値を演算したり、電池群の充電状態をモニタし充放電の制御をする指令をマスタBMS17に出力したりする。
【0015】
図2は、電気的接点11,12,21,22,31,32,41,42の一例を示している。電気的接点11を例に説明する。111は絶縁基板であり、電池群7を格納する例えばケース110に取り付けられている。112は金属板であり絶縁板111に固定されている。
113はハーネス8の一端に取り付けられた丸型端子であり、114はハーネス9の一端に取り付けられた丸型端子である。115は金属製ボルトであり丸型端子113に形成された孔及び金属板112に形成された孔部に挿入され絶縁基板111にねじ止めされる。116も金属製ボルトであり丸型端子114に形成された孔及び金属板112に形成された別の孔部に挿入され絶縁基板111の別の孔部にねじ止めされる。
【0016】
図3を使用して実施形態1の電源システムのフローチャートを説明する。
ステップ(以下、Sと表記する)1は、VCU200にて、車両操作者が走行開始時に操作するイグニッションスイッチの操作を検出したか否かを判断するステップである。イグニッションスイッチの操作を検出した場合、S2にて、VCU200はマスタBMS17及びスレーブBMS16,26,36,46に対し、起動処理を指示する。
【0017】
S3では、マスタBMS17が起動処理としてそれぞれスリープ状態から非スリープ状態への移行を行い、移行完了後、起動完了フラグをVCU200に送信する。S4では、マスタBMS17から起動完了フラグを受信したVCU200が、診断開始指令をマスタBMS17に送信する。
S5では、各スレーブBMSが起動処理としてそれぞれスリープ状態から非スリープ状態への移行を行い、移行完了後、起動完了フラグをマスタBMS17に送信する。このとき各スレーブBMSはスイッチのオン固着診断及びオフ固着診断を行い、起動完了フラグと共に送信する。
【0018】
S6では、マスタBMS17が、VCU200からの診断開始指令を受信しかつ各スレーブBMSからの起動完了フラグを受信しかつスイッチ固着診断結果が全て正常である場合か否かを判定する。全ての条件がそろった場合、S7において、マスタBMS17のメモリに予め記憶された充放電準備のためのスイッチ投入順番を読み出す。以下は説明を簡単にするため、スイッチ14,24,34,44の順にオンするものとする。なお、いずれかの条件がそろわなかった場合は、異常信号をVCU200に送信する(S12に進む)。
【0019】
S7では、マスタBMS17が電源装置10のスレーブBMS16に対しスイッチ14をオンする指示を送信する。S8では、スレーブBMS16がスイッチ14をオンにする。その後、マスタBMS17に対しオン状態である旨を通知する。S9では、マスタBMS17が、スレーブBMS16からスイッチ14がオン状態である旨の通知を受信したか否かを確認し、受信した場合は、次に投入する電源装置20のスレーブBMS26に対し電圧値を送付する指示信号を送信する。
【0020】
S10では、スレーブBMS26が、電圧計25で計測した電圧値が予め定めた電圧以上か否かを判定し、予め定めた電圧以上であれば正常、予め定めた電圧より小さければ、異常と判定し、正常または異常の信号をマスタBMS17に送信する。ここで予め定めた電圧とは電源装置で使用する単電池のSOC(Stateof Charge)が0%の時の電圧より小さい電圧値に単電池数を乗じて定められる電圧を基準電圧とし、これ以上であれば接点不良を含む断線がない状態と判断できる。
【0021】
S11では、投入順2番目の電源装置20のスレーブBMS26から正常または異常の情報を受信し、正常であれば図4のS30に進む。異常であれば、VCU200に異常信号を送信する。S12では、VCU200が異常信号を受信した場合は、VCU200は停止指令をマスタBMS17を介してスレーブBMS16に送信する(S13)。ここまでの説明ではスイッチ14をオンした状態なので、スレーブBMS16にスイッチ14をオフする指示を送信する。
【0022】
S14ではスレーブBMS16によりスイッチ14をオフにする。その後、オフ状態になったことを示すフラグをマスタBMS17を経由してVCU200に送信される(S15)。S16では、VCU200が、停止処理を実行する。停止処理としては、例えば車載モニタに異常ランプを点灯したり、または走行モードへの移行を禁止する。次に、図4のS30では、マスタBMS17が、投入順2番目の電源装置20のスイッチ24をオンする指示を行う。
【0023】
S31では、スレーブBMS26が、スイッチ24をオンし、その後、マスタBMS17に対しオン状態である旨を通知する。S32では、マスタBMS17が、スイッチ24がオンである旨の通知を受信したか否かを確認し、受信した場合は、次に投入する電源装置30のスレーブBMS36に対し電圧値を送付する指示信号を送信する。
【0024】
S33では、スレーブBMS36が、電圧計35で計測した電圧値が予め定めた電圧以上か否かを判定し、予め定めた電圧以上であれば正常、予め定めた電圧より小さければ、異常と判定し、正常または異常の信号をマスタBMS17に送信する。ここで予め定めた電圧とは電源装置で使用する単電池のSOC(Stateof Charge)が0%の時の電圧より小さい電圧値に単電池数を乗じて定められる電圧を基準電圧とし、これ以上であれば接点不良を含む断線がない状態と判断できる。
【0025】
S34では、投入順3番目の電源装置30のスレーブBMS36から正常または異常の情報を受信し、正常であればS35に進む。異常であれば、VCU200に異常信号を送信する(S12に進む)。S35では、マスタBMS17が、投入順3番目の電源装置30のスイッチ34をオンする指示をスレーブBMS36に送信する。S36では、スレーブBMS36がスイッチ34をオンし、その後、マスタBMS17に対しオン状態である旨を通知する。
【0026】
S37では、マスタBMS17が、スイッチ34がオンである旨の通知を受信したか否かを確認し、受信した場合は、次に投入する電源装置40のスレーブBMS46に対し電圧値を送付する指示信号を送信する。
S38では、スレーブBMS46が、電圧計45で計測した電圧値が予め定めた電圧以上か否かを判定し、予め定めた電圧以上であれば正常、予め定めた電圧より小さければ、異常と判定し、正常または異常の信号をマスタBMS17に送信する。ここで予め定めた電圧とは電源装置で使用する単電池のSOC(Stateof Charge)が0%の時の電圧より小さい電圧値に単電池数を乗じて定められる電圧を基準電圧とし、これ以上であれば接点不良を含む断線がない状態と判断できる。
【0027】
S39では、投入順4番目の電源装置40のスレーブBMS46から正常または異常の情報を受信し、正常であればS40に進む。異常であれば、VCU200に異常信号を送信する(S12に進む)。S40では、マスタBMS17が、投入順4番目の電源装置40のスイッチ44をオンする指示をスレーブBMS46に送信する。S41では、スレーブBMS46がスイッチ44をオンし、その後、マスタBMS17に対しオン状態である旨を通知する。
【0028】
S42では、マスタBMS17が全ての電源装置のスイッチがオンしたことを確認し、VCUに対し全オン状態信号を送信する。S43で、VCU200は充放電を開始する。なお、図示してはいないが、充放電中にVCUで過充電や過放電と判定される等、異常状態になったらS12からS16の処理が行われる。
【0029】
図5図3図4のフローチャートから診断工程部分と充放電準備工程を抜き出した工程表であり、実施形態1の効果について説明する。
図5(a)は実施形態1の診断工程であり、(b)は比較例の診断工程である。なお、図5(a)(b)のいずれにおいても電源装置のスイッチは全てオフしている状態から開始する。また準備工程とは充放電を開始するための状態でありスイッチ全てがオンした状態である。
図5(a)の工程を説明する。まずS501でスイッチ14をオンした後、S502で電圧計25により電圧を計測し、前述した所定電圧以上か否かを判定する。次に、S503でスイッチ24をオンした後、S504で電圧計35により電圧を計測し、前述した所定電圧以上か否かを判定する。
次に、S505でスイッチ34をオンした後、S506で電圧計45により電圧を計測し、前述した所定電圧以上か否かを判定する。いずれかの判定において、所定電圧より小さい場合と判定されると、S508で接点不良を含む断線異常と判定し異常処理を行う。例えば、図3のS12からS16に示した処理である。全ての電源装置の電圧が所定電圧以上の場合には、S07で残ったスイッチ44をオンし、正常に診断工程と準備工程が完了する(S509)。
【0030】
図5(b)に示した比較例は、電圧計が特許文献1のように各電源装置共通の唯一のものとして用意され、かつ電源装置毎に順番にスイッチをオン、電圧の計測、スイッチをオフする診断手順を示している。
図5(a)と(b)による対比から明らかなように、診断工程及び準備工程の全体で比較した場合、オンしたスイッチをオフし再度オンする工程がないため、工程が短縮できる。診断工程だけを比較しても、つまりオフした状態からオンする工程を除いても、少なくとも一つの電源装置のスイッチをオンすることで、他の電源装置に印加される電圧によって断線故障を診断できる。
【0031】
また、図3のS10で経路の正常が判定されると、S6で定めた次の電源装置20のスイッチ24をオンにし、S33で経路の正常が判定されると、S6で定めた次の電源装置30のスイッチ34をオンにし、S38で経路の正常が判定されると、S6で定めた更に次の電源装置40のスイッチ44をオンにするというように、スイッチをオンにしたままであってもスイッチがオフ状態の電源装置の電圧で故障診断をするため、診断自体に影響を与えないばかりか、診断後に充電準備のためにスイッチをオフからオンへ変化させる工程も不要となる。
【0032】
次に、図6を使用して、図5の工程表に示した手順を変えた実施形態2について説明する。なお、ブロック図は図1、電気的接点構造は図2と同様であるため、説明を省略する。また図6(b)は図5(b)と同じ比較例の診断工程を示している。また、図6(a)(b)のいずれにおいても電源装置のスイッチは全てオフしている状態から開始している。
図6(a)の工程を説明する。S601はスイッチ14をオンする。S602は2番目に投入予定のスイッチ24が属する電源装置20の電圧計25により電圧値を計測し前述した所定電圧以上か否かを判定する。
S603は3番目に投入予定のスイッチ34が属する電源装置30の電圧計35により電圧値を計測し前述した所定電圧以上か否かを判定する。S604は4番目に投入予定のスイッチ44が属する電源装置40の電圧計45により電圧値を計測し前述した所定電圧以上か否かを判定する。S605は全ての電源装置の電圧が所定電圧以上であれば正常と判定する。
【0033】
S606は、S602,S603,S604のいずれかで所定電圧未満と判定された場合、接点不良を含む断線異常と判定し異常処理を行う。例えば、図3のS12からS16に示した処理である。
図7は、実施形態2における断線異常の有無を診断する経路について説明する。S601,S602によって経路61を、S603で経路62を、S604で経路63を診断している。強電系のハーネスの断線の有無が診断できると共に接点不良の有無も診断することができる。なお、実施形態1では、図5(a)のS501,S502により図7の経路61を、S504で経路62を、S506で経路63を診断していることなる。
【0034】
図6(a)(b)による対比及び図7から明らかなように、オフしているスイッチ24,34,44をオンすることなく、S603の電圧計35の値で経路62を、S604の電圧計45の値で経路63を診断できる。このように電源群7のうち少なくとも一つの電源装置のスイッチをオン状態(閉成状態)とすることでオフ状態のスイッチが属する電源装置に電圧を印加することができるため、接点不良を含む断線診断を短時間で実施することができる。
【0035】
また、図6のS601で電源装置10のスイッチ14をオンにした後、S602,S603,S604で経路の正常が判定されることで、図5(a)と比べて診断を確実にかつ短い工程で行うことができる。また、各電源装置はスイッチと電池装置とを含む回路の両端に電気的接点を有する構造としたため、電気的接点での接触不良も判定することができる。
以上、2つの実施形態について説明したが、これに限るものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更することができる。例えば、図1ではマスタBMS17を電源装置10のBMSと同一のCPUで構成したがマスタBMS17とスレーブBMSは別のCPUで構成してもよい。
【0036】
また、マスタBMS17からスレーブBMS26,36,46への信号の送信はシリアル通信で説明したが、マスタBMS17からスレーブBMS26,36,46にそれぞれ独立に通信するパラレル通信にしてもよい。電池群7を格納するケースはあっても無くてもよい。電源装置を格納するケースはあっても無くてもよい。マスタBMS17は必須ではなくVCUで兼用してもよい。
【0037】
また、負荷・回生機器1は車両駆動用モータやインバータにかぎらず、移動体以外、すなわち定置型電源装置の電力負荷であってもよい。また、リレー4は低電圧側に配置した例で説明したが高電圧側に配置してもよいし高低両側にあってもよい。また、リレー4はなくても実現は可能である。電池装置13は、単電池を直列に接続した例を示したが、単電池を直並列に接続したものでもよいし並列に接続したものでもよい。
【0038】
また、接続関係は、図1に示したものに限らず、単電池や電池装置13の温度を検出する温度計や電池装置13を流れる電流を検出する電流計やヒューズを追加するなど適宜必要な電気回路部品を途中に配置させてもよい。
また、電気的接点の例として、各電源装置のスイッチと電池装置とを含む回路の両端に設けた図2のような電気的接点11,12,21,22,31,32,41,42を一例として説明したが、電気的接点は勘合型コネクタとすることもできる。この場合、電池装置毎に格納用ケースを用意し、ケースに勘合型コネクタの一方のコネクタを取り付け、8に他方のコネクタを接続してもよい。
【符号の説明】
【0039】
1・・・負荷・回生機器
7・・・電源群
10,20,30,40・・・電源装置
13,23,33,34・・・電池装置
17・・・マスターBMS(システム制御手段)
16,26,36,46・・・スレーブBMS(電池制御手段)
14,24,34,44・・・スイッチ(切り替え手段)
15,25,35,45・・・電圧計(電圧検出手段)
100・・・コントロールユニット
200・・・VCU
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7