特許第6770352号(P6770352)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6770352
(24)【登録日】2020年9月29日
(45)【発行日】2020年10月14日
(54)【発明の名称】書類ホルダ及びファイル
(51)【国際特許分類】
   B42F 7/00 20060101AFI20201005BHJP
【FI】
   B42F7/00 G
   B42F7/00 S
【請求項の数】9
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-131261(P2016-131261)
(22)【出願日】2016年7月1日
(65)【公開番号】特開2018-1596(P2018-1596A)
(43)【公開日】2018年1月11日
【審査請求日】2019年6月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001351
【氏名又は名称】コクヨ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137486
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 雅直
(72)【発明者】
【氏名】倉田 美幸
(72)【発明者】
【氏名】山崎 裕二
(72)【発明者】
【氏名】扶川 祥平
(72)【発明者】
【氏名】米倉 邦征
【審査官】 藤井 達也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−009656(JP,A)
【文献】 特開平11−192794(JP,A)
【文献】 特開2011−025486(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0245324(US,A1)
【文献】 実公昭39−007841(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B42F 7/00− 7/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙葉類を背面側から支持する裏側シートと、
この裏側シートに対し連続する二辺を接離可能に構成し他の辺同士が接続されることにより前記裏側シートとの間に紙葉類を挿抜可能に挟持し得るように配された表側シートと、
前記裏側シート並びに表側シートが接離可能な二辺が連続する隅部近傍における前記裏側シートに取り付けられ前記裏側シートとの間に前記表側シートの隅部を差込み保持し得るシート状をなすストッパ本体及びこのストッパ本体における前記表側シートの隅部が差し込まれる差込側の縁部を前記裏側シートから離間させるべく前記差込側の縁部近傍に形成された拡開部を有するストッパとを具備し、
前記拡開部は、前記ストッパ本体における前記裏側シートに対する取付箇所間に形成されることを特徴とする書類ホルダ。
【請求項2】
前記拡開部が、前記ストッパ本体に形成された正面視における谷折り線である請求項1記載の書類ホルダ。
【請求項3】
前記谷折り線の縁部が、前記ストッパ本体における前記裏側シートに対する取付位置から離間した位置に位置付けられている請求項2記載の書類ホルダ。
【請求項4】
正面視矩形状をなすものであり、
前記裏側シート及び前記表側シートが接離可能な二辺が連続する隅部の角である第一角部分において前記ストッパ及び前記裏側シートを離間させて設けた第一角開放部と、
前記第一角部分に対向する角である第二角部分において前記表側シート及び前記裏側シートを離間させて設けた第二角開放部と
を有している請求項1〜3の何れかに記載の書類ホルダ。
【請求項5】
前記裏側シート及び前記表側シートが接続された何れか一辺が、他のシートとともに綴じられるための綴じ基側の縁部を構成している請求項1〜4の何れかに記載の書類ホルダ。
【請求項6】
前記綴じ基側の縁部が、表表紙及び裏表紙を有する表紙体に取り付けられるための被取付部を有したものである請求項5記載の書類ホルダ。
【請求項7】
前記綴じ基側の縁部が、所定間隔を隔てて穿たれた紙葉類を綴じるための複数の綴じ穴を有するものである請求項5記載の書類ホルダ。
【請求項8】
前記表側シート及び前記裏側シートが、透明な樹脂製のシート素材からなるものである請求項1〜6の何れかに記載の書類ホルダ。
【請求項9】
請求項1〜8の何れかに記載の書類ホルダと、
表表紙、裏表紙及びこれら表表紙及び裏表紙間に前記書類ホルダを綴じる綴じ部を有する表紙体と
を具備することを特徴とするファイル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、紙葉類を収容、保管することができる書類ホルダ及び当該書類ホルダを具備してなるファイルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、主に合成樹脂製シートといったシート状の素材により構成され、表表紙と裏表紙との間に紙葉類を収容可能に構成された書類ホルダが周知である。斯かる書類ホルダに該当するものとしては、外方から紙葉類に記載された内容を視認し得る透明の合成樹脂製シートからなる、所謂ポケット或いはクリヤーホルダと称される書類ホルダ、及び表紙体に当該書類ホルダを閉じてなるファイルを挙げることができる(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
そして特許文献1に記載されているような連続した二辺が開放或いは略開放している書類ホルダは紙葉類の出し入れが容易である反面、収容している紙葉類が不意に外方に脱落してしまうといったことも生じ得る。
【0004】
そして同文献に記載の書類ホルダでは特に図4に示すように、表裏何れか一方のシート体を開放した二辺の何れかの箇所から他方よりも突出させた突出部を設け当該他方側へ折り返すことにより当該箇所からの紙葉類の抜脱を防止し得るようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−29100号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1記載の書類ホルダでは、依然として開放されている一辺から抜脱することも、突出部の折れ曲がりが延びてしまうということも考えられる。ここで、紙葉類の抜脱をより有効に抑止するためには同文献の図4に開示された突出部を複数設けたり折れ曲がりが延び難い構成、形状としたりすることも考えられる。そうなると、書類ホルダへの紙葉類の出し入れの作業がいきおい煩雑なものとなってしまう。
【0007】
すなわち現状では、紙葉類の抜脱を有効に抑止できるようにしつつ、紙葉類の抜脱を抑止し得る状態と紙葉類を出し入れし易い状態とを容易な操作により実現できる書類ホルダが求められている。
【0008】
本発明は、上述した点に着目してなされたものであり、紙葉類の取り扱いを良好なものとしつつ且つ紙葉類を確実に保護し得る書類ホルダを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち、本発明に係る書類ホルダは、紙葉類を背面側から支持する裏側シートと、この裏側シートに対し連続する二辺を接離可能に構成し他の辺同士が接続されることにより前記裏側シートとの間に紙葉類を挿抜可能に挟持し得るように配された表側シートと、前記裏側シート並びに表側シートが接離可能な二辺が連続する隅部近傍における前記裏側シートに取り付けられ前記裏側シートとの間に前記表側シートの隅部を差込み保持し得るシート状をなすストッパ本体及びこのストッパ本体における前記表側シートの隅部が差し込まれる差込側の縁部を前記裏側シートから離間させるべく前記差込側の縁部近傍に形成された拡開部を有するストッパとを具備し、前記拡開部は、前記ストッパ本体における前記裏側シートに対する取付箇所間に形成されることを特徴とします。
【0010】
このようなものであれば、ストッパが裏側シート及び表側シートにおける開放二辺に亘って設けられているためにストッパと裏表紙との間に差し込まれた紙葉類の抜脱を有効に防ぎ得るのみならずストッパに設けられた拡開部により裏表紙とストッパ本体との間に表側シート及び紙葉類を容易に差し込むことができる。その結果本発明によれば、紙葉類の取り扱いを良好なものとしつつ且つ紙葉類を確実に保護し得る書類ホルダを提供することができる。
【0011】
より簡素な構成でストッパを実現するためには、拡開部を、ストッパ本体に形成された正面視における谷折り線とすることが望ましい。
【0012】
谷折り線によるストッパ本体の変形をより有効に促し得るようにするためには、谷折り線の縁部を、ストッパ本体における裏側シートに対する取付位置から離間した位置に位置付けることが好ましい。
【0013】
書類ホルダが正面視矩形状をなすものであり、所定形状をなす紙葉類をより多く且つスムーズに収容できるようにするためには、裏側シート及び表側シートが接離可能な二辺が連続する隅部の角である第一角部分において前記ストッパ及び前記裏側シートを離間させて設けた第一角開放部と、第一角部分に対向する角である第二角部分において前記表側シート及び前記裏側シートを離間させて設けた第二角開放部とを設けることが望ましい。これにより、矩形状をなす紙葉類の角部分が書類ホルダ内で不要に突っ張ってしまうことが回避されるため、より多くの紙葉類をスムーズに収容することができる。
【0014】
そして、よりスムーズに表側シートや紙葉類のストッパへの差し込みを行い得るようにするためには、裏側シート及び表側シートが接続された何れか一辺が、他のシートとともに綴じられるための綴じ基側の縁部を構成したものとして、綴じ基側が綴じられることにより安定した状態とすれば良い。
【0015】
ここで、他のシートとは、同形状をなす他の書類ホルダのみならず、異なる機能を有する別種類の書類ホルダやファイル、或いは紙葉類が含まれる。
【0016】
そして上述した書類ホルダが紙葉類を好適に収容し得るファイルを実現するためには、綴じ基側の縁部を、表表紙及び裏表紙を有する表紙体に取り付けられるための被取付部を有するものとすることが望ましい。
【0017】
また併せて、上述した書類ホルダをファイルの一要素としても、書類ホルダ単独としても好適に利用し得るようにするためには、綴じ基側の縁部を、所定間隔を隔てて穿たれた紙葉類を綴じるための複数の綴じ穴を有するものとすることが望ましい。
【0018】
紙葉類の閲覧性の高いものとするためには、表側シート及び裏側シートを、透明な樹脂製のシート素材からなるものとすることが好ましい。
【0019】
また本発明に係るファイルは、上述した書類ホルダと、表表紙、裏表紙及びこれら表表紙及び裏表紙間に前記書類ホルダを綴じる綴じ部を有する表紙体とを具備することを特徴とする。
【0020】
このようなものであれば、綴じ部に綴じられた書類ホルダは綴じ基側で表紙体等と係り合っているため、表紙体と載置している机上等との摩擦、或いは紙葉類を収容したファイル自体の自重により書類ホルダ単体で取り扱うよりも裏側シートが不要に動かずに安定して紙葉類を表側シートと裏側シートとの間に差し入れることが可能となる。そして勿論、裏側シートを安定して載置させた状態で紙葉類や表側シートをストッパ、裏側シート間に差し入れることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、以上説明した構成であるから、紙葉類の取り扱いを良好なものとしつつ且つ紙葉類を確実に保護し得る書類ホルダを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の一実施形態に係る外観図。
図2】同実施形態に係る他の外観図。
図3】同正面図。
図4】同背面図。
図5】図実施形態に係る要部の拡大図。
図6図5に係る作用説明図。
図7】同上。
図8】同実施形態の変形例に係る外観図。
図9】同正面図。
図10】同背面図。
図11】同変形例に係る作用説明図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0024】
本実施形態に係るファイルFは、表紙体Hに複数の書類ホルダ1を例えば樹脂の溶着によって綴じたもので通常、クリヤーブックとも称されるものである。当該ファイルFは、表紙体Hを開成すると綴じられている書類ホルダ1に収容された紙葉類たる書類Pの記載内容が外方から透明な樹脂性シートを介して明確に視認され得るものとなっている。なお当該ファイルFは表紙体Hの表面の一部にラベルを視認可能に収納し得るラベル入れが設けられているが本実施形態では当該ラベル入れの図示並びに説明は省略する。
【0025】
表紙体Hは本実施形態では有色の保形性を有する樹脂板を主体としたものであり、表表紙H1と、裏表紙H2と、これら表表紙H1及び裏表紙H2に介在し適宜湾曲し得る変形表紙H3と、この変形表紙H3における内側に設けられ書類ホルダ1を取り付けて綴じる綴じ部H4とを有している。変形表紙H3は、書類ホルダ1及び当該書類ホルダ1に収容された書類Pが重層される厚み寸法に隙間無く応じるべく表表紙H1及び裏表紙H2を所要の寸法だけ離間させ得るように、樹脂板を線状に薄肉に形成したヒンジH5を複数等間隔に平行させて設けている。これにより表紙体HはヒンジH5の箇所で適宜湾曲又は屈曲することができ表紙書類ホルダ1及びその収容物の如何によって適宜変わり得る厚みに応じた厚み寸法だけ表表紙H1と裏表紙H2とを離間させることができる。その結果当該ファイルFは表表紙H1と裏表紙H2との間に不要な隙間を生じさせることも、収容物が多すぎて綴じ基側で突っかえてしまい綴じ基側に対向する木口側が不要に開いてしまうこともなくコンパクトな収納が実現されている。なお本実施形態における上記作用を奏し得る表紙の態様をしては、全体を、保形性を有さない樹脂素材により構成する態様を挙げることができる。
【0026】
そしてこのファイルFには、図2に示すように表紙体Hを開くと、収容物が収容されていない状態では同数の書類ホルダ1がそれぞれ表表紙H1、裏表紙H2に重層するように綴じ部H4に複数の書類ホルダ1が溶着によって綴じられている。しかしながらこれら複数の書類ホルダ1は全て、表表紙H1に近い側には表側シート3が配されている。換言すればこれら複数の書類ホルダ1は透明の樹脂性シートが表表紙H1側、裏表紙H2側で対称となるよう折り込まれて綴じられるものの全て同じ向きを向くように構成されている。
【0027】
ここで、本実施形態に係るファイルHは、1枚の透明の樹脂性シートの折り曲げ並びに溶着によって例えば二枚或いは四枚といった複数の書類ホルダ1が一体的に成形され更にこれら成形された透明の樹脂性シートが複数重層された状態で表紙体Hの綴じ部H4に溶着されている。しかしながら当該実施形態は複数の書類ホルダ1が一体的に成形される態様に限定しているものではない。よって、以降の説明では個々単体の書類ホルダ1について説明する。
【0028】
本実施形態に係る書類ホルダ1は、クリヤーホルダとも称されるものであり、図1図7に示すように、収容物としての矩形状をなす書類Pをその記載内容が外方から容易に視認し得る状態として収容、保管するためのものである。
【0029】
ここで、本実施形態に係る書類ホルダ1は、書類Pを背面側から支持する裏側シート2と、この裏側シート2に対し連続する二辺を接離可能に構成し他の辺同士が接続されることにより裏側シート2との間に書類Pを挿抜可能に挟持し得るように配された表側シート3と、接離可能な裏側シート2並びに表側シート3が接離可能な二辺が連続する隅部近傍における裏側シート2に取り付けられ裏側シート2との間に表側シート3の隅部を差込み保持し得るシート状をなすストッパ本体51及びこのストッパ本体51における表側シート3の隅部が差し込まれる差込側の縁部5aを裏側シート2から離間させるべく差込側の縁部5a近傍に形成された拡開部53を有するストッパ5とを具備することを特徴とする。
【0030】
以下、本実施形態に係る書類ホルダ1の具体的な構成について説明する。
【0031】
書類ホルダ1は、主に可撓性を有する透明に構成されたシート素材を適宜折り曲げ並びに溶着することにより形成された裏側シート2及び表側シート3を主体としたものである。具体的には、当該書類ホルダ1は、裏側シート2及び表側シート3が連続する二辺を開放させるように他の辺を接合させてなる概略矩形状をなすものである。当該裏側シート2及び表側シート3を形成している素材は、本実施形態では例えばポリプロピレンといった樹脂性のシート素材であるが勿論、ポリエチレンやポリエチレンテレフタレートといった他の樹脂素材を用いてもよい。更には裏側シート2を表側シート3とは異なる素材としても良い。
【0032】
この書類ホルダ1は、連続する二辺を開放し他の二辺を接合させるべく、上端側において裏側シート2及び表側シート3が全域に亘って接離可能に構成される開放上縁1aと、この開放上縁1aに対向する端部において樹脂素材を折り返すことによって形成した底縁1bと、これら開放上縁1a及び底縁1bの一側端を帯状に溶着させることにより接合させた綴じ基側の縁部たる溶着側縁1cと、この溶着側縁1cに対向する端部において裏側シート2及び表側シート3が略全域に亘って接離可能に構成される開放側縁1dとを有している。
【0033】
すなわち本実施形態では裏側シート2及び表側シート3が接続された何れか一辺に相当する上記溶着側縁1cが、他のシートすなわち複数の他の書類ホルダ1とともに綴じられるための綴じ基側の縁部を構成している。加えて本実施形態では、上記溶着側縁1cが、上述したファイルFの綴じ部H4に綴じられるために溶着され得る被取付部1fを有している。
【0034】
加えて本実施形態に係る書類ホルダ1は裏側シート2側において表側シート3及び書類Pを挟み得るストッパ5を更に有している。そして当該ストッパ5を設けることにより書類ホルダ1は、裏側シート2及び表側シート3が接離可能な二辺が連続する隅部の角である第一角部分においてストッパ5及び裏側シート2を離間させて設けた第一角開放部11と、第一角部分に対向する第二角部分において表側シート3及び裏側シート2を離間させて設けた第二角開放部12とが更に形成されている。当該ストッパ5の具体的な構成については後に説明する。
【0035】
裏側シート2は、書類Pを背面側から支持するべく矩形状をなすものであり、表側シート3に対面する側の面の略全域に書類Pすなわち書類Pを支持するための書類支持面21を有している。また本実施形態ではこの裏側シート2は、開放上縁1a及び開放側縁1dに臨む領域に、上述したストッパ5を取り付けるためのストッパ取付部22を有している。
【0036】
表側シート3は、裏側シート2の外形に対応した略矩形状をなすものであり、表面を透明に構成した透明面30と、開放上縁1a及び開放側縁1dに臨む領域において樹脂素材を正面視若干凹ませて形成された退避縁32と、開放上縁1aにおける溶着側縁1c近傍において概略三角形状に樹脂素材を凹ませて形成した凹部33とを有している。本実施形態では図2図3に示すように退避縁32が形成されることで裏側シート2のストッパ取付部22及びストッパ5の一部が正面側に露出する。また凹部33が形成されることで表側シート3における溶着側縁1s近傍の表側シート3の可撓変形が促されるとともに、使用者にとっては裏側シート2と表側シート3とを厚み方向に離間させるべく裏側シート2、表側シート3間に手指が挿入し易くなっている。そして本実施形態では、この表側シート3は、開放上縁1a及び開放側縁1dといった二辺が連続する箇所すなわち隅部近傍を所定領域34としている。
【0037】
ここで、本実施形態では図5図7に示すように、書類ホルダ1は上記裏側シート2及び表側シート3に加え、当該裏側シート2並びに表側シート3が接離可能な二辺が連続する隅部近傍における裏側シート2に取り付けられ裏側シート2との間に表側シート3の隅部を差込み保持し得るシート状をなすストッパ本体51と、このストッパ本体51における表側シート3の隅部が差し込まれる差込側の縁部5aを裏側シート2から離間させるべく差込側の縁部5a近傍に形成された拡開部53とを有するストッパ5を具備することを特徴とする。以下、ストッパ5の構成について説明する。
【0038】
ストッパ5は、表側シート3及び裏側シート2を構成している樹脂素材とは別体に構成されたシート状をなす樹脂素材からなるものである。具体的に説明するとこのストッパ5は、表側シート3及び書類Pの裏側シート2に対するずれを防ぎ得るように機能するものである。このストッパ5は、本実施形態では裏側シート2に取り付けられたものであり表側シート3をカバーと裏側シート2との間に差込側の縁部5aから差し込むことによって表側シート3及び書類Pの裏側シート2に対するずれを防ぎ得る。
【0039】
ストッパ5は具体的に説明すると、正面視台形状をなすストッパ本体51と、このストッパ本体51の傾斜辺に該当する部分において裏側シート2に溶着された取付箇所である裏側溶着部52と、差込側の縁部5a近傍においてストッパ本体51を拡開させて裏側シート2とストッパ本体51とを厚み方向に離間させてなる拡開部53とを有している。そして透明シート51は、裏面側に、表側シート3及び書類Pを押さえ得る押さえ面54を有している。このストッパ5は、裏側シート2における表側シート3に対し接離可能な連続する二辺、すなわち書類ホルダ1における開放上縁1a及び開放側縁1dに亘って固定されている。そしてこのストッパ5は、書類ホルダ1における開放させた二辺の角部分に、書類Pを挟持した状態で裏側シート2及び表側シート3を重ねた状態で位置決めすることで、表側シート3及び書類Pの裏側シート2に対するずれを防ぎ得るように機能する。そして拡開部53は、変形しろ57を介して裏側溶着部から離間した縁部たる両端56間を結ぶように差込側の縁部5aに平行に延びる谷折り線55を主体としたものである。このように変形しろ57を介して谷折り線55を設けることでストッパ本体51における差込側の縁部5a近傍が緩やかに変形し、差込側の縁部5aが表側シート3や書類Pを十分に差し込み得るまでに裏側シート2及びストッパ本体51が離間する。
【0040】
図6は、ストッパ5を用いて表側シート3及び書類Pを裏側シート2に位置決めする動作を行う途中の態様を図示したものである。ストッパ5を用いて表側シート3及び書類Pを位置決めする際、まず同図に示すように表側シート3を大きく撓ませることにより所定領域34及び退避縁32を書類ホルダ1の中心へ向けて大きく退避させ、しかる後、同図に示した状態から退避縁32を裏側シート2から若干離間した差し込み側の縁部5aからストッパ5の押さえ面54より下側へもぐらせるように差込み、図5に示す状態とする。
【0041】
そして図7はストッパ5を用いて表側シート3及び例えば20枚程度重層させた書類Pをストッパ5の押さえ面54と裏側シート2の書類支持面21との間に挟持させた状態を示している。当該状態においては、第一角部分の第一角開放部11が適宜変形することによってストッパ5がスムーズに表側シート3及び書類Pを挟み込んだ状態で書類P及び表側シート3がストッパ5によって位置決めされている。また当該第一角部分に対向する位置に位置づけられた第二角部分の第二角開放部12においても同様の変形が起こっていることはいうまでもない。これにより、当該書類ホルダ1は多くの書類Pを収容する場合であってもスムーズに収容することができ、且つ、ストッパ5の作用により不意に書類Pが書類ホルダ1から脱落してしまうといった不具合も有効に回避されている。
【0042】
以上のように、本実施形態に係るファイルFを構成する書類ホルダ1は、ストッパ5が裏側シート2及び表側シート3における開放二辺に亘って設けられているためにストッパ5と裏表紙H2との間に差し込まれた書類Pの抜脱を有効に防ぎ得るのみならずストッパ5に設けられた拡開部53により裏表紙H2とストッパ本体51との間に表側シート3及び書類Pを容易に差し込むことができるものとなっている。その結果実施形態によれば、書類Pの取り扱いを良好なものとしつつ且つ書類Pを確実に保護し得る書類ホルダ1が実現されている。
【0043】
そして本実施形態では拡開部53を、ストッパ本体51に形成された正面視における谷折り線55とすることにより簡素な構成でストッパ5を実現せしめている。
【0044】
また本実施形態では、谷折り線55の縁部である両端56を、ストッパ本体51における裏側シート2に対する取付位置である裏側溶着部52から変形しろ57の寸法だけ離間した位置に位置付けているので、谷折り線55によるストッパ本体51の変形をより有効に促されている。
【0045】
特に本実施形態では、対角線上に位置づけられた第一角部分及び第二角部分にそれぞれ第一角開放部11及び第二角開放部12を設けているので、矩形状をなす書類Pをより多く収容できるようになっている。加えて当該構成により、矩形状をなす書類Pの角部分が書類ホルダ1内で不要に突っ張ってしまうことが回避されるため、より多くの書類Pをスムーズに収容することができる。
【0046】
そして、よりスムーズに表側シート3や書類Pのストッパ5への差し込みを行い得るようにするために本実施形態は、裏側シート2及び表側シート3が接続された溶着側縁1cが他のシートすなわち同形状をなす他の書類ホルダ1とともに綴じられるための綴じ基側の縁部として機能するようにして、綴じ基側が綴じられることにより書類Pの出し入れに際し書類ホルダ1が不意にずれたり曲がったりせず安定した状態が保持されている。
【0047】
そして上述した書類ホルダ1が書類Pを好適に収容し得るファイルFを実現するために本実施形態では、綴じ基側の縁部を、表表紙H1及び裏表紙H2を有する表紙体Hに取り付けられるための被取付部1fを有するものとしている。
【0048】
加えて書類Pの閲覧性の高いものとするために本実施形態に係る書類ホルダ1は、表側シート3及び裏側シート2を、透明な樹脂性のシート素材からなるものとしている。
【0049】
そして本実施形態に係るファイルFによれば、上述した書類ホルダと、表表紙、裏表紙及びこれら表表紙H1及び裏表紙H2間に書類ホルダ1を綴じる綴じ部H4を有する表紙体Hとを具備するものであるので、綴じ部H4に綴じられた書類ホルダ1は綴じ基の縁部たる溶着側縁1cで表紙体Hと係り合っているため、表紙体Hと載置している机上等との摩擦、或いは紙葉類たる書類Pを収容したファイルF自体の自重により書類ホルダ1単体で取り扱うよりも裏側シート2が不要に動かずに安定して書類Pを裏側シート2と表側シート3との間に差し入れることが可能となる。そして勿論、裏側シート2を安定して載置させた状態で書類Pや表側シート3をストッパ5、裏側シート2間に差し入れることができる。
【0050】
<変形例>
【0051】
以下、本実施形態の変形例について図8図11に示して説明する。当該変形例において、上記実施形態の構成要素に相当するものに対しては同じ符号を付すとともに、その詳細な説明を省略する。
【0052】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0053】
本実施形態に係る書類ホルダ1は、セキュリティホルダとも称されるものであり、図8図11に示すように、収容物としての矩形状をなす紙葉類たる書類Pをその記載内容P1が外方から略視認し得ない状態として収容、保管するためのものである。このような書類ホルダ1を用いることにより、書類Pが例えば個人情報等が記載された文書であった場合でも、当該書類Pのヘッダ部分に記載されているマイナンバー等の識別番号を示すナンバーや捺印等の重要な情報が好適に隠蔽された状態で収容、保管することができる。
【0054】
そして本変形例ではこの書類ホルダ1は、開放側縁1dの底縁1bよりの一定の領域に、表側シート3を構成する樹脂素材の膨出部分を裏側シート2に溶着することによって形成されたこぼれ止め1eと、溶着側縁1cに上下方向に等間隔に例えば四箇所に穿たれた開口である綴じ穴1hとを更に有している。このこぼれ止め1eを設けることにより、裏側シート2及び表側シート3に単に挟まれただけの書類Pであっても容易に開放側縁1d側から脱落してしまうことはない。また本実施形態では、綴じ穴1hとして、一般的な四穴或いは二穴構造をなす綴じ具を配したバインダー等に好適に綴じられ得るように構成している。しかし当該綴じ穴1hの有無及びその数は、書類ホルダ1の保管態様や収容する書類Pの如何によって適宜の構成とし得る。例えば綴じ穴1hの数をさらに増加させることにより、例えばクリヤーブック替え紙と称されるようなものの如く汎用性が高い別異の態様を採ることもできる。
【0055】
表側シート3は、裏側シート2の外形に対応した略矩形状をなすものであり、表面を不透明に構成した不透明面31と、上記実施形態同様の退避縁32と、こぼれ止め1e近傍において概略三角形状に樹脂素材を凹ませて形成した凹部33とを有している。本変形例ではこぼれ止め1e近傍に凹部33が形成されることで表側シート3におけるこぼれ止め1e近傍の表側シート3の可撓変形が促されるとともに、使用者にとっては裏側シート2と表側シート3とを厚み方向に離間させるべく裏側シート2、表側シート3間に手指が挿入し易くなっている。そして本実施形態では、この表側シート3は、開放上縁1a及び開放側縁1dといった二辺が連続する箇所近傍を、収容しようとする書類Pの記載内容に対応して設定された所定領域34としている。本変形例ではこの所定領域34が重層される書類Pの一部分に、その書類Pの記載内容の中でも重要な部分が配されていることを想定しているからである。
【0056】
そして本変形例に係る書類ホルダ1は裏側シート2側において表側シート3及び書類Pを挟み得る上記実施形態同様のストッパ5と、表側シート3側に穿たれた表出窓4とを更に有している。
【0057】
表出窓4は、上述した表側シート3の所定箇所34に形成された開口またはスリットの一態様である貫通孔要素40からなるものである。
【0058】
ストッパ5は、表側シート3及び裏側シート2を構成している樹脂素材とは別体に構成されたシート状をなす透明樹脂素材からなる点を除いては上記実施形態と略同じ態様をなすものである。
【0059】
ここで、本変形例に係る書類ホルダ1は、開口またはスリットの一態様である表出窓4を設けることにより、表側シート3の一部を撓ませることにより貫通孔要素40を書類Pに対し摺動させたときに書類Pの記載内容が判読され得るように構成されたものとしている。
【0060】
以上のように本変形例のような構成のものであっても、書類ホルダ1単独として利用しても、綴じ穴1hを利用して綴じ具等に綴じてファイルFとして利用しても、上記実施形態同様の作用効果を奏し得る。
【0061】
以上、本発明の一実施形態並びに各変形例について説明したが、各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。例えば上記実施形態では各開部として差し込み側の縁部と平行に延びる谷折り線を開示したが勿論、差し込み側の縁部から延びる山折り線としても良い。また拡開部は折り線に限定されることはなく、例えばストッパ本体を形成する樹脂を予め湾曲させた状態で裏側シートに溶着するようにしたり、予め湾曲変形させた樹脂を裏側シートに溶着したりしてもよい。
【0062】
また例えば上記実施形態では専ら表表紙及び裏表紙のみを主体とした書類ホルダを開示したが勿論、表表紙と裏表紙との間に一体又は別体に構成された中仕切りを有した態様のものであっても、本発明を好適に適用し得る。また上記実施形態では綴じ基側の縁部を溶着により表紙体に取り付ける態様や綴じ穴を設けた態様を開示したが、例えば表紙体に書類ホルダ取付用のレール溝を設けておき、書類ホルダの綴じ基側の縁部には上記レール溝にスライド動作により取り付け可能なスライダを設けるようにしてもよい。
【0063】
また、裏側シート、表側シート及びストッパのそれぞれの色彩は透明、半透明の如何は問わない。更に、カバー及び表出窓の具体的な形状や素材といったその他の詳細な構成も、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0064】
1・・・書類ホルダ
1c・・・溶着側縁(綴じ基側の縁部)
1f・・・被取付部
1h・・・綴じ穴
11・・・第一角開放部
12・・・第二角開放部
2・・・裏側シート
3・・・表側シート
5・・・ストッパ
5a・・・差し込み側の縁部
51・・・ストッパ本体
53・・・拡開部
55・・・谷折り線
56・・・縁部(両端)
57・・・変形しろ
F・・・ファイル
H・・・表紙体
H4・・・綴じ部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
図9
図10
図11