(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した車両用負荷制御装置は、1つの負荷に対して、複数のスイッチング素子を接続し、当該複数のスイッチング素子を同時にON/OFF制御することで、大きな負荷電流を有する負荷の駆動を制御することができるが、複数のスイッチング素子との接続部に接続される負荷がどのように接続されているかを自動的に判定することができず、改善の余地がある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、複数の接続部に接続される負荷の接続形態を自動的に判定することができる車両用負荷制御装置およびその制御プログラムの書き換え方法、並びに制御プログラム書き換えシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る車両用負荷制御装置は、車両の電源に並列に接続され
ると共に、
負荷に接続され当該負荷に電力を供給する複数の接続部と、各前記接続部に対応してそれぞれ設けられ、ON状態で前記電源からの電力を前記接続部に供給し、OFF状態で前記電源から電力を遮断する複数のスイッチング素子と、制御プログラムに基づいて各前記スイッチング素子を個別に制御し、かつ複数の前記接続部
に接続される前記負荷の接続形態を判定する判定モードを有する制御部と、前記ON状態において各前記接続部に流れる電流値をそれぞれ検出する電流検出部と、を備え、
各前記接続部は、1つの前記負荷に対して、単一接続または並列接続することができ、前記判定モードにおける制御部は、各前記スイッチング素子をすべてON状態とする初期状態から、各前記スイッチング素子のうち、少なくとも1以上をOFF状態とする判定状態を各前記スイッチング素子のON/OFF状態が異なるように繰り返し、前記接続部ごとに、前記初期状態において検出された初期電流値と、判定状態ごとにおいて検出された判定電流値との変化に基づいて
、1つの前記負荷に対して、前記接続部が前記単一接続されているか、前記並列接続されているかを示す前記接続形態を判定し、前記制御部は、前記判定モードにより判定された前記接続形態に応じた制御プログラムに基づいて、各前記スイッチング素子を個別に制御することを特徴とする。
【0007】
また、上記車両用負荷制御装置において、情報処理装置との間で無線または有線により通信を行う通信部をさらに備え、前記通信部は、前記判定モードにより判定された前記接続形態を示す識別情報を前記情報処理装置に送信し、前記情報処理装置にて前記接続形態を示す識別情報に応じて選択された前記制御プログラムを受信し、前記制御部は、前記通信部により受信した前記制御プログラムで、予め記憶されていた前記制御プログラムを書き換えることが好ましい。
【0008】
上記目的を達成するために、本発明に係る制御プログラムの書き換え方法は、車両の電源に並列に接続され
ると共に、
負荷に接続され当該負荷に電力を供給する複数の接続部と、
1つの前記負荷に対して、単一接続または並列接続することができる各前記接続部に対応してそれぞれ設けられ、ON状態で前記電源からの電力を前記接続部に供給し、OFF状態で前記電源から電力を遮断する複数のスイッチング素子と、複数の前記接続部
に接続される前記負荷の接続形態を判定する判定モードを有し、前記判定モードにより判定された前記接続形態に応じた制御プログラムに基づいて、各前記スイッチング素子を個別に制御する制御部と、前記ON状態において各前記接続部に流れる電流値をそれぞれ検出する電流検出部と、情報処理装置との間で無線または有線により通信を行う通信部と、を備える車両用負荷制御装置の制御プログラムの書き換え方法であって、前記判定モードにおける制御部により実行される、各前記スイッチング素子をすべてON状態とする初期状態から、各前記スイッチング素子のうち、少なくとも1以上をOFF状態とする判定状態を各前記スイッチング素子のON/OFF状態が異なるように繰り返し、前記接続部ごとに、前記初期状態において検出された初期電流値と、判定状態ごとにおいて検出された判定電流値との変化に基づいて
、1つの前記負荷に対して、前記接続部が前記単一接続されているか、前記並列接続されているかを示す前記接続形態を判定する判定ステップを含み、前記通信部にて実行される、前記判定ステップで判定された前記接続形態を示す識別情報を前記情報処理装置に送信する送信ステップと、前記情報処理装置にて前記接続形態を示す識別情報に応じて選択された前記制御プログラムを受信する受信ステップとを含み、前記制御部にて実行される、前記受信ステップで受信した前記制御プログラムで、予め記憶されていた前記制御プログラムを書き換える書き換えステップを含む、ことを特徴とする。
【0009】
上記目的を達成するために、本発明に係る制御プログラム書き換えシステムは、車両用負荷制御装置と、情報処理装置と、を通信可能に接続した制御プログラム書き換えシステムであって、前記車両用負荷制御装置は、車両の電源に並列に接続され
ると共に、
負荷に接続され当該負荷に電力を供給する複数の接続部と、各前記接続部に対応してそれぞれ設けられ、ON状態で前記電源からの電力を前記接続部に供給し、OFF状態で前記電源から電力を遮断する複数のスイッチング素子と、制御プログラムに基づいて各前記スイッチング素子を個別に制御し、かつ複数の前記接続部
に接続される前記負荷の接続形態を判定する判定モードを有する制御部と、前記ON状態において各前記接続部に流れる電流値をそれぞれ検出する電流検出部と、前記情報処理装置との間で無線または有線により通信を行う第1通信部と、を備え、
各前記接続部は、1つの前記負荷に対して、単一接続または並列接続することができ、前記判定モードにおける制御部は、各前記スイッチング素子をすべてON状態とする初期状態から、各前記スイッチング素子のうち、少なくとも1以上をOFF状態とする判定状態を各前記スイッチング素子のON/OFF状態が異なるように繰り返し、前記接続部ごとに、前記初期状態において検出された初期電流値と、判定状態ごとにおいて検出された判定電流値との変化に基づいて
、1つの前記負荷に対して、前記接続部が前記単一接続されているか、前記並列接続されているかを示す前記接続形態を判定し、前記第1通信部は、前記制御部で判定された前記接続形態を示す識別情報を前記情報処理装置に送信し、前記情報処理装置にて前記接続形態を示す識別情報に応じて選択された前記制御プログラムを受信し、前記制御部は、前記第1通信部で受信した前記制御プログラムで、予め記憶されていた前記制御プログラムを書き換え、前記情報処理装置は、前記車両用負荷制御装置から前記接続形態を示す識別情報を受信する第2通信部と、複数の前記制御プログラムを記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶された複数の前記制御プログラムから、前記第2通信部で受信した前記接続形態を示す識別情報に対応する前記制御プログラムを選択する選択部とを備え、前記第2通信部は、前記選択部により選択された前記制御プログラムを前記車両用負荷制御装置に送信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る車両用負荷制御装置は、各スイッチング素子をすべてON状態とする初期状態から、各スイッチング素子のうち、少なくとも1以上をOFF状態とする判定状態を各スイッチング素子のON/OFF状態が異なるように繰り返し、接続部ごとに、初期状態において検出された初期電流値と、判定状態ごとにおいて検出された判定電流値との変化に基づいて接続形態を判定する。これにより、複数の接続部に接続される負荷の接続形態を自動的に判定することができる。また、1つの負荷に対して複数のスイッチング素子を並列して同時にON/OFF制御することにより、大きな負荷電流を有する負荷の駆動を制御できるため、一種類の車両用負荷制御装置で小電流負荷から大電流負荷まで様々な負荷を制御することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明に係る車両用負荷制御装置およびその制御プログラムの書き換え方法、並びに制御プログラム書き換えシステムの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、下記実施形態により本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、いわゆる当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。また、下記の実施形態における構成要素は、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。
【0013】
[実施形態]
図1は、実施形態に係る車両用負荷制御装置の一例を示す概略構成図である。
図2は、実施形態に係る制御プログラム書き換えシステムの一例を示す概略構成図である。
図3は、車両用負荷制御装置に対する複数の負荷の接続形態の一例を示す図である。なお、
図2は、
図1に示す車両用負荷制御装置に情報処理装置を通信可能に接続して構成された制御プログラム書き換えシステムの構成例を示す図である。
【0014】
図1および
図2に示す車両用負荷制御装置1は、自動車等の車両に搭載され、バッテリなどの電源4とランプやモータなど複数の負荷2との間を接続するユニットとして構成されており、電源4から複数の負荷2への給電を制御する。車両用負荷制御装置1は、例えば車両内のワイヤーハーネス(以下、単に「W/H」とも呼ぶ。)の経路上に設けられていてもよいし、またはコネクタ等によりW/Hに着脱可能に構成されていてもよい。
【0015】
図2に示す制御プログラム書き換えシステム100は、車両用負荷制御装置1と、複数の負荷2と、情報処理装置3と、電源4とを含んで構成される。複数の負荷2は、それぞれが車両の電装品であり、例えばランプやモータなどである。したがって、複数の負荷2は、それぞれの負荷電流が異なる負荷であってもよいし、同じ負荷であってもよい。例えば、負荷A2は、スイッチング素子14(SW1)から接続部13(a)に流れる電流の電流値I1で駆動する負荷である。一方、負荷B2は、並列接続されている複数の接続部13(b,c)に接続されていることから、複数のスイッチング素子14(SW2,SW3)から接続部13(b,c)に流れる電流の電流値の合計(I2+I3)で駆動する負荷である。ここで車両の電装品には、標準で装備されているもののほかに、後付けされるオプション電装品も含まれる。情報処理装置3は、例えば、有線または無線による通信が可能なパーソナルコンピュータなどで構成される。情報処理装置3は、CPU30と、メモリ31と、通信部32とを含んで構成される。CPU30は、選択部であり、情報処理装置3の各部を制御する中央演算処理装置であって、メモリ31および通信部32に接続されている。メモリ31は、記憶部であり、RAM等を含む半導体メモリまたはHDD(Hard Disc Drive)等を含む磁気記録装置などで構成される。通信部32は、第2通信部であり、車両用負荷制御装置1との間で所定の通信方式により通信を行う。所定の通信方式には、例えばRS−232C等のシリアル通信が含まれる。
【0016】
図1に示す車両用負荷制御装置1は、電源接続部10と、通信接続部11と、GND12と、複数の接続部13(a〜d)と、複数のスイッチング素子14(SW1〜SW4)と、電源IC15と、通信IC16と、マイコン17と、電源線18と、制御信号線19と、通信線20とを含んで構成される。
【0017】
電源接続部10は、
図2に示すように、W/H内に設けられた電源線などを含む電源ライン5を介して電源4に接続される。また、電源接続部10は、
図1に示すように、電源線18を介して複数のスイッチング素子14および電源IC15に接続される。
【0018】
通信接続部11は、
図2に示すように、RS232C用ケーブルなどを含む通信ケーブル6を介して情報処理装置3に接続される。また、通信接続部11は、
図1に示すように、通信IC16に接続される。GND12は、
図2に示すように、電源4の陰極側と共通するGND(例えば車両の車体等)に接地される。また、GND12は、
図1に示すように、マイコン17に接続される。
【0019】
複数の接続部13は、それぞれに1つの負荷2を接続することができ、少なくとも2つの接続部13に対して1つの負荷2を接続することもできる。例えば、
図1に示すように、接続部13(a)には、電流値I1で駆動する負荷A2が接続され、複数の接続部13(b,c)には、電流値の合計(I2+I3)で駆動する負荷B2が接続されている。なお、接続部13(d)には負荷2が接続されていない。さらに、
図3に示すように、複数の接続部13(b〜d)には、負荷C2が接続されている。つまり、1つの負荷C2に対して、複数の接続部13(b〜d)が並列に接続されていることになる。このように、複数の接続部13は、1つの負荷2に対して、1つ以上接続することが可能である。また、複数の接続部13は、それぞれがスイッチング素子14を介して電源接続部10に並列に接続されている。
【0020】
複数のスイッチング素子14は、それぞれがトランジスタ、MOS−FET等で構成される半導体スイッチである。各スイッチング素子14の一端は、接続部13に接続され、他端は、電源線18を介して電源接続部10に接続されている。各スイッチング素子14は、制御信号線19を介してマイコン17に接続される。各スイッチング素子14は、マイコン17からON信号を受信するとON状態となり、電源4からの電力を接続部13に供給する。一方、OFF信号を受信するとOFF状態となり、電源4からの電力を遮断する。このように、複数のスイッチング素子14は、各接続部13に対応してそれぞれ設けられ、ON状態で電源4からの電力を接続部13に供給し、OFF状態で電源4からの電力を遮断する。
【0021】
電源IC15は、
図1に示すように、電源接続部10およびマイコン17に接続され、電源4から供給される電源電圧をマイコン17用の電源電圧に変換して、マイコン17に供給するIC(Integrated Circuit)である。
【0022】
通信IC16は、通信部および第1通信部であり、通信接続部11およびマイコン17に接続され、例えば、情報処理装置3との間で上述した所定の通信方式により通信を行うICである。
【0023】
マイコン17は、複数のスイッチング素子14のON/OFFを制御する制御部であり、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)およびインターフェースなどを含んで構成され、電源IC15から供給される電力により駆動する。マイコン17は、通信IC16を制御し、通信ケーブル6を介して通信接続部11に接続された装置との間でデータ、制御プログラム、駆動信号等のやりとりを行う。通信接続部11に接続される装置には、車両内の、いわゆるECU(Engine Control Unit)、情報処理装置3等が含まれる。マイコン17は、制御信号線19を介して各スイッチング素子14にON信号またはOFF信号を送信する。マイコン17は、上記制御部としての機能の他に、電流検出部としての機能を有する。例えば、マイコン17は、各スイッチング素子14がON状態において、各スイッチング素子14に流れる電流、すなわち各接続部13に流れる電流の電流値(I1,I2,I3,I4)を検出し、RAMに記憶する。
【0024】
マイコン17は、RAM(またはROM)から読みだした制御プログラムをCPUが実行することにより、上記制御部としての機能または上記電流検出部としての機能を実現する。本実施形態におけるマイコン17は、制御プログラムに基づいて各スイッチング素子14を個別に制御し、かつ複数の接続部13および負荷2の接続形態(以下、単に「接続形態」とも呼ぶ。)を判定する判定モードを有する。ここでいう制御プログラムは、接続形態を判定する判定モードを実行するためのものであり、後述する
図4に示すフローチャートの処理を実行するための制御プログラムが含まれる。判定モードでは、例えば、
図1に示す接続形態の場合、接続部13(a)に負荷A2が単一接続され、かつ並列接続されている2つの接続部13(b,c)に負荷B2が接続され、かつ接続部13(d)に負荷2が接続されていない接続形態であることが判定される。
【0025】
次に、
図4〜
図7を参照して、本実施形態に係る車両用負荷制御装置1の判定モードにおいて実行される制御処理の一例を説明する。
図4は、判定モード時の車両用負荷制御装置にて実行される接続形態の判定処理の一例を示すフローチャートである。
図5は、車両用負荷制御装置に対する複数の負荷の接続形態を判定する方法を説明するための説明図である。
図6は、接続形態を示す識別情報と接続形態パターンとの関係を示すテーブル情報の一例を示す図である。
図7は、各接続部の接続形態を示す識別情報の組み合わせと接続形態の判定結果との関係を示すテーブル情報の一例を示す図である。なお、
図4に示すフローチャートの処理は、マイコン17内のCPUがRAMから読みだした制御プログラムを実行することにより実施される。以下、
図4のフローチャートに基づき、
図5、
図6、
図7を参照しつつ、車両用負荷制御装置1の動作を説明する。なお、図示の処理ステップは、例えば、マイコン17への電力供給をトリガーとして開始される。
【0026】
ステップS1では、マイコン17は、初期状態において、ON信号を送信しすべてのスイッチング素子14をON状態にして、各スイッチング素子14から接続部13(a〜d)に流れる電流値を検出し、初期電流値としてRAMに記憶する。
【0027】
ステップS2では、マイコン17は、ステップS1でRAMに記憶された電流値を参照し、接続部13(a)に負荷2が接続されているか否かを判定する。具体的には、マイコン17は、スイッチング素子14(SW1)から接続部13(a)に流れる電流値が0か否かを判定する。ステップS2の判定の結果、接続部13(a)に負荷2が接続されていない場合には、ステップS4に移行する。一方、接続部13(a)に負荷2が接続されている場合には、ステップS3に進む。
【0028】
ステップS3では、マイコン17は、スイッチング素子14(SW1)にOFF信号を送信してOFF状態にしたのち、当該スイッチング素子14(SW1)以外の各スイッチング素子14(SW2〜SW4)から接続部13(b〜d)に流れる電流値を検出し、判定状態における判定電流値としてRAMに記憶する。そして、マイコン17は、ステップS1でRAMに記憶された初期電流値と判定電流値とを比較し、2つの電流値の変化から接続部13(a)に接続される負荷2の接続形態を判定する。例えば、
図5に示すように、スイッチング素子14(SW1)をOFF状態にした場合、スイッチング素子14(SW2)から接続部13(b)に流れる電流値のみが増加し、他のスイッチング素子14(SW3,SW4)から接続部13(c,d)に流れる電流値に変化がなかったとき(符号50参照)、マイコン17は、並列接続されている2つの接続部13(a,b)に負荷2が接続されていると判定する。そして、マイコン17は、
図6に示すテーブル情報60を参照し、判定した接続形態に対応する識別情報60aを設定する。例えば、マイコン17により判定された接続形態が、2つの接続部13(a,b)が並列接続され、負荷2に接続されているものである場合、当該接続形態に対応する識別情報60aとして、制御コード「0X01」(bit)が設定される。なお、本処理ステップでは、並列接続されている2つの接続部13(c,d)に負荷2が接続されている接続形態である可能性もあることから、制御コード「0X07」に設定されてもよい。その後、マイコン17は、スイッチング素子14(SW1)にON信号を送信してON状態にしたのち、ステップS4に進む。
【0029】
ステップS4〜ステップS9では、上記ステップと同様の処理が実行される。すなわち、ステップS4、ステップS6、ステップS8では、マイコン17は、接続部13(b〜d)にそれぞれ負荷2が接続されているか否かを判定する。負荷2が接続されている場合には、スイッチング素子14(SW2〜SW4)をそれぞれOFF状態にし、OFF状態にしたスイッチング素子14以外の各スイッチング素子14から接続部13に流れる判定電流値を検出し、初期電流値と判定電流値を比較して、電流値の変化から各接続部13(b〜d)に接続される負荷2の接続形態を判定する(ステップS5、S7、S9)。そして、マイコン17は、各接続形態に対して識別情報60aを設定する。
【0030】
ステップS10では、マイコン17は、上記ステップS2〜S9において各接続部13に設定された識別情報60aに基づいて全負荷2の接続形態を判定し、本処理を終了する。例えば、マイコン17は、
図7の点線で囲まれた部分に示すように、接続部13(a)に設定された識別情報60aが「0X01」(=0X01)、接続部13(c)に設定された識別情報60aが「0X00」(=0X00)であった場合、全負荷2の接続形態を「接続部a,bが並列接続」であると判定する。この場合、全負荷2の接続形態を示す識別情報60aとして、制御コード「0X01」が設定される。一方、接続部13(a)に設定された識別情報60aが「0X01」(=0X01)、接続部13(c)に設定された識別情報60aが「0X00」以外(≠0X00)であった場合、全負荷2の接続形態を「接続部a,bが並列接続、接続部c,dが並列接続」であると判定され、全負荷2の接続形態を示す識別情報60aとして、制御コード「0X07」が設定される。
【0031】
次に、上述のように構成された制御プログラム書き換えシステム100において実行される本実施形態の制御プログラムの書き換え方法について
図8、
図9を参照して、説明する。
図8は、車両用負荷制御装置にて実行される制御プログラム書き換え処理の一例を示すフローチャートである。なお、
図8に示すフローチャートの処理は、マイコン17内のCPUがROM等から読みだした制御プログラム書き換えプログラムを実行することにより実施される。
図9は、情報処理装置にて実行される制御プログラム選択処理の一例を示すフローチャートである。なお、
図9に示すフローチャートの処理は、情報処理装置3内のCPU30がメモリ31から読みだした制御プログラム選択プログラムを実行することにより実施される。以下、
図8、
図9のフローチャートに基づき、制御プログラム書き換えシステムの動作を説明する。なお、図示の処理ステップは、例えば、
図4に示すフローチャートの処理の終了後に開始される。
【0032】
図8において、ステップS21では、マイコン17は、
図4に示す接続形態の判定処理にて設定された全負荷2の接続形態を示す識別情報60aを、通信IC16により通信ケーブル6を介して情報処理装置3に送信する。
【0033】
ステップS22では、マイコン17は、情報処理装置3から制御プログラムを受信したか否かを判定する。制御プログラムを受信していない場合は、受信するまで待機する一方、制御プログラムを受信した場合は、ステップS23へ進む。
【0034】
ステップS23では、マイコン17は、受信した制御プログラムで、RAMに記憶されている制御プログラムを書き換え(または書き込んで)、本処理を終了する。
【0035】
図9において、ステップS31では、CPU30は、通信部32が車両用負荷制御装置1から全負荷2の接続形態を示す識別情報60aを受信したか否かを判定する。ここでいう識別情報60aは制御コードであり、例えば「0X01」等である。ステップS31の判定の結果、全負荷2の接続形態を示す識別情報60aを受信していない場合には、受信するまで待機する一方、全負荷2の接続形態を示す識別情報60aを受信した場合は、ステップ32へ進む。
【0036】
ステップS32では、CPU30は、受信した全負荷2の接続形態を示す識別情報60aに対応する制御プログラムを、メモリ31に予め記憶されている複数の制御プログラムのなかから選択して、ステップS33へ進む。
【0037】
ステップS33では、CPU30は、ステップS32で選択した制御プログラムを、通信部32により車両用負荷制御装置1に送信して、本処理を終了する。
【0038】
上記のように構成される車両用負荷制御装置1では、マイコン17が、全負荷2の接続形態を示す識別情報60aに応じた制御プログラムを実行することにより、受信した駆動信号に応じて、複数のスイッチング素子14を個別に制御する。例えば、マイコン17は、接続部13(a)に接続された負荷A2を駆動するための駆動信号を車両内のECUから通信IC16を介して受信すると、スイッチング素子14(SW1)をON状態にして接続部13(a)から負荷A2へ電力を供給する。一方、マイコン17は、接続部13(b,c)に接続された負荷B2を駆動するための駆動信号をECUから受信すると、複数のスイッチング素子14(SW2,SW3)を同時にON状態にして複数の接続部13(b,c)に接続された負荷B2へ電力を供給する。さらに、マイコン17は、接続部13(b〜d)に接続された負荷C2を駆動するための駆動信号をECUから受信すると、複数のスイッチング素子14(SW2〜SW4)を同時にON状態にして複数の接続部13(b〜d)に接続された負荷C2へ電力を供給する。このように、車両用負荷制御装置1は、負荷2の負荷電流の大きさに応じて、複数のスイッチング素子14を並列駆動することができるので、大きさの異なる負荷電流の電装品の取付や交換が容易になり、ハードウェア構成の汎用性を向上させることができる。
【0039】
また、上記のように構成される車両用負荷制御装置1では、複数のスイッチング素子14をすべてON状態とする初期状態から、複数のスイッチング素子14のうち、少なくとも1以上をOFF状態とする判定状態を各スイッチング素子14のON/OFF状態が異なるように繰り返し、接続部13ごとに、初期状態において検出された初期電流値と、判定状態ごとにおいて検出された判定電流値との変化に基づいて接続形態を判定するので、複数のスイッチング素子14の接続部13に接続される負荷2の接続形態を自動的に判定することが可能となる。
【0040】
以上説明したように、本発明に係る車両用負荷制御装置1は、車両の電源4に並列に接続され、1つの負荷2に対して、1つ以上接続することができる複数の接続部13と、各接続部13に対応してそれぞれ設けられ、ON状態で電源4からの電力を接続部13に供給し、OFF状態で電源4から電力を遮断する複数のスイッチング素子14と、制御プログラムに基づいて各スイッチング素子14を個別に制御し、かつ複数の接続部13および負荷2の接続形態を判定する判定モードを有するマイコン17とを備える。判定モードにおけるマイコン17が、各スイッチング素子14をすべてON状態とする初期状態から、各スイッチング素子14のうち、少なくとも1以上をOFF状態とする判定状態を各スイッチング素子14のON/OFF状態が異なるように繰り返し、接続部13ごとに、初期状態において検出された初期電流値と、判定状態ごとにおいて検出された判定電流値との変化に基づいて接続形態を判定する。マイコン17が、判定モードにより判定された接続形態に応じた制御プログラムに基づいて、各スイッチング素子14を個別に制御する。これにより、判定モードにおけるマイコン17が、複数の接続部13に接続される負荷2の接続形態を自動的に判定することができる。そして、マイコン17が、当該接続形態に応じた制御プログラムを実行し、各スイッチング素子14を個別に制御することで、複数のスイッチング素子14を同時にON/OFF制御して、大きな負荷電流を有する負荷2の駆動を制御することが可能となる。また、1つの負荷2に対して複数のスイッチング素子14を並列して同時にON/OFF制御することにより、大きな負荷電流を有する負荷2の駆動を制御できるため、一種類の車両用負荷制御装置1で小さな負荷電流を有する小電流負荷から大きな負荷電流を有する大電流負荷まで様々な負荷2を制御することができる。
【0041】
また、以上説明した車両用負荷制御装置1は、通信部である通信IC16が、判定モードにより判定された接続形態を示す識別情報60aを情報処理装置3に送信し、情報処理装置3にて接続形態を示す識別情報60aに応じて選択された制御プログラムを受信する。制御部であるマイコン17は、通信IC16により受信した制御プログラムで、RAMに記憶されている制御プログラムを書き換える。これにより、車両用負荷制御装置1が、予め複数の制御プログラムを記憶する必要がなくなり、マイコン17内のメモリの容量を最小限に抑えることが可能となる。また、接続部13に接続される負荷2の接続形態が変更された場合には、必要な制御プログラムに書き換えることが可能となる。
【0042】
以上説明したように、本発明に係る制御プログラムの書き換え方法によれば、車両用負荷制御装置1の通信IC16にて、マイコン17で判定された接続形態を示す識別情報60aを情報処理装置3に送信する送信ステップ(
図8のステップS21)と、情報処理装置3にて接続形態を示す識別情報60aに応じて選択された制御プログラムを受信する受信ステップ(ステップS22)とが実行される。マイコン17にて、上記受信ステップで受信した制御プログラムで、予め記憶されていた制御プログラムを書き換える書き換えステップ(
図8のステップS23)が実行される。これにより、マイコン17内のRAM等には必要な制御プログラムのみが記憶されるので、当該RAM等のメモリの容量を抑えることが可能となる。
【0043】
以上説明したように、本発明に係る制御プログラムの書き換えシステムによれば、車両用負荷制御装置1は、通信IC16が、マイコン17で判定された接続形態を示す識別情報60aを情報処理装置3に送信する。情報処理装置3は、CPU30が、通信部32で受信した接続形態を示す識別情報60aに対応する制御プログラムを選択し、選択した制御プログラムを通信部32により車両用負荷制御装置1に送信する。車両用負荷制御装置1は、マイコン17が、通信IC16で受信した制御プログラムで、予め記憶されていた制御プログラムを書き換える。これにより、マイコン17内のRAM等には必要な制御プログラムのみが記憶されるので、当該RAM等のメモリの容量を抑えることが可能となる。
【0044】
[変形例]
なお、以上の説明では、
図2に示す車両用負荷制御装置1と情報処理装置3とは、通信ケーブル6を介して有線で接続されているが、所定の無線通信方式により無線接続されていてもよい。ここでいう無線通信方式は、例えば、TransferJet(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、Wi−Fi(Wireless Fidelity)、ZigBee(登録商標)等が含まれるが、これらに限定されるものではない。車両用負荷制御装置1と情報処理装置3が無線で接続されている場合、車両用負荷制御装置1が車両に搭載された状態で、制御プログラムの書き換えを実行することが可能になる。
【0045】
また、以上の説明では、マイコン17が電流検出部を備える構成であると説明したが、これに限定されるものではなく、マイコン17と電流検出部とが別体で構成されていてもよい。
【0046】
また、以上の説明では、接続部13が4つ、当該接続部13に対応して設けられるスイッチング素子14が4つの場合について説明したが、これらの数に限定されるものではない。
【0047】
また、以上の説明では、マイコン17が、通信ICにて、全負荷2の接続形態を示す識別情報60aに応じて選択された制御プログラムを情報処理装置3から受信しているが、これに限定されるものではない。例えば、バージョンアップされた制御プログラムを受信する構成であってもよい。これにより、マイコン17内のRAMに記憶されている制御プログラムのバージョンアップを効率よく行うことが可能となる。また、マイコン17が、RAM等に予め複数の制御プログラムを記憶しており、当該複数の制御プログラムのなかから、全負荷2の接続形態を示す識別情報60aに対応する制御プログラムを選択する構成であってもよい。また、識別情報60aに応じて選択された制御プログラムが実行されることで、複数のスイッチング素子14が駆動されることから、当該識別情報60aが複数のスイッチング素子14を駆動するための駆動設定情報として定義されてもよい。