【実施例】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明の実施例に係る連続ビス締付機に用いるビスロープについて詳細に説明する。
【0016】
本実施例に係るビスロープ6は、以下に説明する連続ビス締付機1に用いるビスロープ6であって、この連続ビス締付機1は、本願の出願人が先に出願した特願2016−090793号の連続ビス締付機と略同様の構成である。以下、この連続ビス締付機1について概説する。
【0017】
すなわち、本実施例に係る後記ビスロープ6が用いられる連続ビス締付機1は、
図1乃至
図3及び
図14に示すように、この連続ビス締付機1の操作者が片手で握り、下方に押し下げるとともに下方に突出させたビット22を回転駆動してビスSを目的箇所に締付操作するためのグリップユニット2と、前記グリップユニット2の下部に配置され前記ビット22による回転力を利用してビスSを目的箇所に締め付けるビス締付機本体ユニット3と、前記ビス締付機本体ユニット3の後部に着脱可能に配置され、このビス締付機本体ユニット3に対して詳細は後述するが本実施例に係るビスロープ6により保持された多数のビスSを順に供給するマガジンユニット4と、前記グリップユニット2の上部に配置されるとともに、前記グリップユニット2に対して挿脱可能に、かつ、高さ調整可能に構成し、連続ビス締付機1の操作者が両手で(又は片手で)握って操作するハンドルユニット5と、を有している。
【0018】
前記連続ビス締付機1においては、前記ハンドルユニット5を必須の構成とするものではない。当該ハンドルユニット5は前記グリップユニット2の上部に装着脱自在となるように構成している。
【0019】
前記連続ビス締付機1の使用に際しては、当該ハンドルユニット5を装着して使用するか、また、ハンドルユニット5を装着しないで使用するかは自在である。
【0020】
前記ビット22は、一般工具のドライバーに相当する部材であり、断面形状が六角形状の軸から成るものである。このビット22の両端には、ビスの頭部、例えば+溝などの係合溝に係合する係合凸部を形成し、この係合凸部の近傍に、噛み合わせ用の溝が円周方向に形成してあるものである。
【0021】
前記グリップユニット2は、操作者が片手を挿入し握るための空間を形成する表裏2枚構造のハンドルカバー11と、このハンドルカバー11の上部を覆うエンドカバー12と、ハンドルカバー11の下部に配置する筒形状のハウジング13と、このハウジング13の下部に順に添設する下第1カバー14a、下第2カバー14bと、前記下第2カバー14bの更に下部に添設するブロックヘッド15と、を有している。
【0022】
前記エンドカバー12の下面側には、前記ビット22を回転駆動する図示しない回転駆動源の回転開始又は回転停止を行うためのトリガースイッチ16を配置するとともに、その隣り位置には前記回転駆動源を正転又は逆転するためのディレクションレバー17を取り付けている。
【0023】
前記トリガースイッチ16、ディレクションレバー17は、一体型に構成されていて、偶発的な正転、逆転切り替え防止を図っている。
【0024】
また、前記エンドカバー12の前部側には、前記ハンドルユニット5の下端側を挿入するハンドルユニット挿入口18を設けるとともに、前記ハンドルカバー11の前部には前記ハンドルユニット5をグリップユニット2自体に固定し又は固定解除を行うハンドルユニットロックレバー19を配置している。
【0025】
前記グリップユニット2におけるエンドカバー12の後部には、
図2に示すように、前記連続ビス締付機1の動作に必要な電力供給用の電源コード(図示せず)を保持するためのコード保持部20を取り付けている。
【0026】
前記ブロックヘッド15は、前記グリップユニット2と、前記ビス締付機本体ユニット3との間に介在させる平行配置の一対のガイドポール21a、21bの外周に対して上下動可能に嵌装する左右一対のガイドポール挿入筒15a、15bを平行配置で備えるとともに、一対のガイドポール挿入筒15a、15bの下部位置の中間部にはビット22が挿通されるビット挿入筒15cを設けている。
【0027】
そして、前記グリップユニット2により上端部を保持したビット22が、ビット挿入筒15cを貫通する状態で下方に突出させ、このビット22の下端側を前記ビス締付機本体ユニット3の内部に臨ませている。
【0028】
前記ビス締付機本体ユニット3は、外観形態を画する箱形状のフィーダブロック32を主要な構成部品とし、前記グリップユニット2から突出されビット挿入筒15cを貫通したビット22の先端部を前記フィーダブロック32内の締付作用位置に臨ませている。
【0029】
前記フィーダブロック32の上面部には、前記グリップユニット2におけるブロックヘッド15の一対のガイドポール挿入筒15a、15bに挿入されて、ブロックヘッド15、すなわち、前記グリップユニット2の下降、上昇動作をガイドする一対のガイドポール21a、21bの下端部が装着される一対のガイドポール受部32a、32bを設けている。
【0030】
前記グリップユニット2と、前記ビス締付機本体ユニット3との間には、前記ブロックヘッド15に上端部を連結し、下端側を前記ビス締付機本体ユニット3内に臨ませた図示しないフィードレバー操作体を配置し、前記ビス締付機本体ユニット3に設けたビス送り機構部31を構成する図示しないフィードレバーに係合させ、前記グリップユニット2の下降、上昇動作と後述するビス送り機構部31の動作とを連動させるように構成している。
【0031】
また、前記ビス締付機本体ユニット3は、このビス締付機本体ユニット3における締付動作に連動して、前記ビス締付機本体ユニット3の側部から供給される後記構成のビスロープ6の帯状部材7に取り付けた各ビスSを、前記締付作用位置に送り込むビス送り機構部31を組み込んでいる。
【0032】
前記ビス送り機構部31は、前記フィーダブロック32と、このフィーダブロック32の前面右側に該フィーダブロック32に対して前後方向(フィーダブロック32の奥行方向)に前記フィーダブロック32に対する位置を調整ダイアル34によって微調整可能に取り付けるガイドカバー33と、を具備し、前記フィーダブロック32とガイドカバー33の背面側との間の領域において後記ビスロープ6とともにビスSを通過させビスSのビス頭を締付作用位置に誘導するように構成している。
【0033】
また、前記ビス送り機構部31は、詳細構造は省略するが前記フィードレバー、
図1に示すグリップフィンガー35、図示しないリンク機構等を含み、前記グリップユニット2の下降、上昇動作に連動して前記フィードレバー操作体、フィードレバー、グリップフィンガー35等を動作させ、後記ビスロープ6により保持されているビスSの締付作用位置への誘導、締付作用位置でのビスSの保持、締め付け終了後の後記構成のビスロープ6の空部位の側方への排出を行うようになっている。
【0034】
前記ビス締付機本体ユニット3の下部には、スクリューガイド44を含むスクリューガイド位置調整機構部41を配置している。
【0035】
すなわち、前記ビス締付機本体ユニット3の下部には、締め付けられるビスSを通過させるとともに、その下端面を前記ビスSの締め付け対象箇所の面上に当接させるスクリューガイド44を配置している。
【0036】
そして、前記スクリューガイド44に下端部を連結し垂直上方に立設したアジャスタープレート42をフィーダブロック32内に臨ませ、前記フィーダブロック32に設けたアジャストレバー43の操作によりアジャスタープレート42をフィーダブロック32に対して位置調整可能に、かつ、連結及び連結解除可能とすることで、前記スクリューガイド44の前記ビス締付機本体ユニット3に対する位置(ビス締付機本体ユニット3からの突出位置)を調整するように構成している。
【0037】
次に、後記構成のビスロープ6により保持された多数のビスSを順に前記ビス締付機本体ユニット3のフィーダブロック32、ガイドカバー33の間に供給する前記マガジンユニット4について概説する。
【0038】
前記マガジンユニット4は、
図1乃至
図3、及び
図14に示すように、前記ビス締付機本体ユニット3の背面側に配置されるとともに、多数のビスSを取り付けた後記ビスロープ6を円形コイル状に巻回した状態で内部に収納する有底円筒状のマガジン本体51と、このマガジン本体51の開口部を施蓋する開閉可能な蓋体52と、前記マガジン本体51の外周の一部に設けた装着部53と、を具備し、前記装着部53を前記ビス締付機本体ユニット3の背面側に着脱可能な状態で装着することで、前記マガジン本体51、蓋体52を前記ビス締付機本体ユニット3と一体化し、また、必要に応じて分離し得るように構成している。
【0039】
更に、前記マガジンユニット4のマガジン本体51には、後記ビスロープ6用の繰り出し口54、マガジンサイドカバー55を設けている。なお、上記マガジンサイドカバー55を設けない構成としても実施できる。
【0040】
次に、前記ビスSを保持するビスロープ6の具体的構成について、
図10乃至
図13を参照して説明する。
【0041】
本実施例に係るビスロープ6は、長さ方向に連なる四角形の帯状部材7と、この帯状部材7の背面側に所定の間隔をもって設ける綴り片8とにより各ビスSのネジ部S1の一定部位を所定の平行間隔をもって、かつ、所定の傾斜角度θをもって斜め配置に保持している。
【0042】
前記ビスロープ6は、前記帯状部材7の正面側にその長さ方向に沿って一定幅のガイド溝9を連続形成し、更に、前記ガイド溝9の上側位置に多数の上側凹陥部10aを点在状態に、全長にわたって設け、前記ガイド溝9の下側位置に多数の下側凹陥部10bを点在状態に、全長にわたって設けている。
なお、本発明において、前記上側凹陥部10a、下側凹陥部10bは、これらを設ける位置を図示例に限定するものではなく、前記ビスロープ6における帯状部材7の正面側において、前記ガイド溝9以外のいずれかの位置に前記帯状部材7の長さ方向に対して多数の凹陥部を点在状態に、かつ、全長にわたって設けて構成しても良い。
【0043】
すなわち、前記帯状部材7は、その断面(又は端面)形状を概略凹状に形成している。
【0044】
上述した上側凹陥部10a、下側凹陥部10bは、前記ビスロープ6の曲げバランスとビスロープ6のコイル形状を調整するために設けるものであり、前記ビスロープ6に対しいずれか一方のみ設けても良いし、双方を設けても良いが、上側凹陥部10a、下側凹陥部10bの双方を設けた場合のほうが後述するように良好な曲げ性を得ることが判明した。
【0045】
次に、前記ビス締付機本体ユニット3におけるビス送り機構部31を構成するフィーダブロック32、ガイドカバー33について、
図4乃至
図9を参照して更に詳述する。
前記ガイドカバー33は、その正面上部に、円形段カム36を具備し、この円形段カム36に調整ダイアル34を装着し、調整ダイアル34を回転操作することで前記フィーダブロック32に対する前後方向(フィーダブロック32の厚さ方向)の位置を微調整し、これにより、フィーダブロック32、ガイドカバー33間のビスロープ6の通過領域の間隔寸法を調整し得るように構成している。
【0046】
また、前記ガイドカバー33の前記ビスロープ6を誘導する側の壁面には、前記ビスロープ6の送り込み先方側に向けて下降する傾斜形状(傾斜角度θ)に形成され、前記帯状部材7のガイド溝9に係合して前記ビスロープ6を傾斜状態で誘導するガイド突起部37と、このガイド突起部37の上下両側に同じく傾斜角度θをもって形成した一対のガイドカバー凹陥部38a、38bとを設けている。
【0047】
そして、前記ガイド突起部37を前記帯状部材7のガイド溝9に係合させるとともに前記帯状部材7のガイド溝9の両側における正面側の一対の突出領域を前記一対のガイドカバー凹陥部38a、38b内に各々没入させた状態で前記ビスSを保持するビスロープ6を傾斜状態で誘導するように構成している。
【0048】
前記ビス締付機本体ユニット3は、更に前記フィーダブロック32の正面側で前記締付作用位置より先方側に第1空ビスロープガイド片61、第2空ビスロープガイド片62を設け、
図14に示すように、締め付け動作が終了しビスSが離脱した後のビスロープ6の部位(空部位)を第1空ビスロープガイド片61、第2空ビスロープガイド片62によりビス締付機本体ユニット3の側方に排出するように構成している。
【0049】
次に、本実施例に係るビスロープ6及びこのビスロープ6を使用する連続ビス締付機1の作用効果について、前記ビスロープ6自体の作用効果と、このビスロープ6を使用した場合の連続ビス締付機1による各ビスSの締付作用位置へ誘導、及びビスロープ6の排出動作を主にし、かつ、
図14をも参照して説明する。
【0050】
上述した構成の本実施例に係るビスロープ6によれば、各ビスSを所定の平行間隔をもって、かつ、所定の傾斜角度θをもって斜め配置に保持することにより、各ビスSとして頭部直径が大きいものを使用する場合においても、隣り合うビスSの頭部同士が干渉(接触)することが無くなり、これにより、各ビスSの頭部直径が例えば連結ピッチ以上の場合でも、ビスロープ6における各ビスSの連結ピッチを不変とすることが可能となり、使用するビスSの種類選択の自由度を拡大することが可能となる。なお、例えば頭部径が大きなビスを用いる場合、
図11に示すように、各ビス頭を夫々オーバーラップするような形態で隣り合うビスの頭部同士が干渉(接触)すること無く円滑に使用可能となる。
【0051】
また、
図14に示すように、多数のビスSを連続的に保持した本実施例に係る上述した構成からなるビスロープ6をコイル状に巻回した場合、前記ビスロープ6として既述したようなガイド溝9の両側に上側凹陥部10a、下側凹陥部10bの双方を設けたものを使用することによって、ビスロープ6のコイル状への巻回時における前記ガイド溝9の上側、下側の曲げバランスが良好となり、この結果、前記ビスロープ6により保持される多数のビスSを全体として良好な状態で塊状として前記マガジン本体51内に適切に収納し、繰り出し口54から円滑に繰り出すことが可能であることが判明した。
【0052】
更に、前記ビスロープ6のガイド溝9の下側位置に下側凹陥部10bを点在状態で連続的に設けているので、例えば空ロープの曲がりをコントロールすることができる。
【0053】
これに対して、前記ビスロープ6においてガイド溝9の下側のみ或いは上側のみに下側凹陥部10bまたは上側凹陥部10aを設けた構造のものを使用した場合、前記ガイド溝9の上側、下側の曲げバランスが良好でなくなり、多数のビスSが全体としてその外観形態がハの字状、若しくは逆ハの字状を呈する塊状となり、前記マガジン本体51内に適切に収納できないものであった。
【0054】
このように、前記ビスロープ6として既述したようなガイド溝9の両側に、上側凹陥部10a、下側凹陥部10bの双方を設けたものを使用することは、前記ビスロープS自体をコイル状に巻回した状態での多数のビスS全体の外観形態の形状コントロールの容易化に寄与するものである。
【0055】
また、本実施例に係るビスロープ6を使用する連続ビス締付機1によれば、前記構成のビスロープ6が使用されたときのみ、図
15に示すように、前記ガイドカバー33のガイド突起部37と前記ビスロープ6のガイド溝9との係合により前記ビスロープ6を
被締結部材に対して傾斜状態で、かつ、各ビスSを
被締結部材に対して垂直状態としつつ前記ビット22の締付作用位置側に至るほど各ビスSのビス頭の高さ位置を低下させる態様で前記締付作用位置へ順に誘導し、各ビスSの締め付け動作終了後、締付作用位置の側方にビスSの離脱部位を前記第1空ビスロープガイド片61、前記第2空ビスロープガイド片62によりガイドしつつ順に締め付け目的箇所の上面に接触させることなく円滑に排出することができる。
更にまた、以上説明した本実施例に係るビスロープ6を使用する連続ビス締付機1によれば、
図16に示すように、例えば被締結部材の先穴位置を狙って打ち込むようなことが可能となる。
【0056】
このような本実施例に係るビスロープ6及びこのビスロープ6を使用する連続ビス締付機1によれば、連続ビス締付機1とビスロープ6との組み合わせの一元化を図り、ある連続ビス締付機1に対してこの連続ビス締付機1のみに使用できるビスロープ6、及び当該ビスロープ6を使用した場合にのみ連続ビス締付作業が実行可能な連続ビス締付機1を実現し提供することができる。