(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
【0014】
以下、実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施の形態では、特に必要なとき以外は同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
【0015】
また、実施の形態で用いる図面においては、断面図であっても図面を見易くするためにハッチングを省略する場合もある。また、平面図であっても図面を見易くするためにハッチングを付す場合もある。
【0016】
また、本願においては、電界効果トランジスタをMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)または単にMOSと記載するが、ゲート絶縁膜として非酸化膜を除外するものではない。すなわち、本願において、MOSFETというときは、ゲート絶縁膜に酸化膜(酸化シリコン膜)を用いたMISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor:MIS型電界効果トランジスタ)だけでなく、酸化膜(酸化シリコン膜)以外の絶縁膜をゲート絶縁膜に用いたMISFETも含むものとする。
【0017】
<検討の経緯について>
近年、自動車の自動運転の実用化に向けた機能安全を見据えて、従来の3相のBLDC(ブラシレスDC)モータを、6相または12相のBLDCモータとする設計開発が行われている。BLDCモータは、自己整流型ではないため、一般的に、制御が複雑であると認識されている。そこで、6相BLDCモータでは、従来の3相(U相、V相、W相)を2組、12相BLDCモータでは、従来の3相(U相、V相、W相)を4組、保有することにより、ある1組で不具合が起きても、直ぐに不具合が顕在化しないようにしている。
【0018】
本発明者は、BLDCモータの各相を、ハイサイドスイッチ用のパワーMOSFETを含む半導体チップ(後述の半導体チップCPHに相当)と、ロウサイドスイッチ用のパワーMOSFETを含む半導体チップ(後述の半導体チップCPLに相当)と、それらを制御する半導体チップ(後述の半導体チップCPCに相当)を含むSiP(System in Package)により、制御することを検討している。このSiPにより、インバータ回路が形成され、そのインバータ回路から供給される交流電力が、BLDCモータの各相のコイルに供給される。このため、6相BLDCモータまたは12相BLDCモータを制御する制御ボード(後述の制御ボードPBに対応)として、配線基板(後述の配線基板PB1に対応)上に上記SiPを6個または12個搭載したものを、本発明者は検討している。なお、後述の半導体装置PKGは、このSiPに相当するものである。
【0019】
図1は、12相BLDCモータを制御する制御ボードに形成された回路(モータ駆動システム)を模式的に示した回路図である。
図1において、各インバータ回路INVは、それぞれ上記SiPにより形成される。
【0020】
図1に示されるモータMOTは、12相BLDCモータであり、12個のコイルCLを有しており、各コイルCLは、それぞれインバータ回路INVに接続されている。すなわち、モータMOTが有する12個のコイルのそれぞれに対して、インバータ回路INVが設けられているため、
図1の回路は、合計で12個のインバータ回路INVを有している。インバータ回路INVの数だけ上記SiPが必要であるため、
図1の回路では、上記SiPが12個必要である。各インバータ回路INV(より特定的には、インバータ回路INVにおける後述の制御回路CLC)は、制御回路CTに接続され、その制御回路CTによって制御される。各インバータ回路INVからそのインバータ回路INVに接続された各コイルCLに交流電力が供給され、それによって、モータMOTが駆動される。
【0021】
図2は、自動車におけるラック・アンド・ピニオン型のステアリング機構を示す説明図である。本発明者は、
図2のステアリング機構において、
図1の回路が実現される制御ボード(電子装置、モジュール)PBを、ステアリング・シャフトSFの周囲の空間を利用して配置することを検討した。すなわち、ステアリング・シャフトSFが制御ボードPBを貫通することを検討した。
【0022】
図2に示されるステアリング機構においては、ハンドル(ステアリングホイール)HNに連結されたステアリング・シャフトSFの先端に、ラック・アンド・ピニオン機構RPがある。ハンドルHNを回すと、それに伴いステアリング・シャフトSFも回転し、その回転運動がラック・アンド・ピニオン機構RPで水平運動に変換され、タイ・ロッドTRおよびキングピンKPを介して、タイヤTYに伝達される。これにより、ハンドルHNの操作(回転)により、タイヤTYの向きを変えて操舵することができる。
【0023】
ハンドルHNを回すと、ステアリング・シャフトSFも回転するため、ステアリング・シャフトSFが制御ボードPBを貫通している場合には、ステアリング・シャフトSFと一緒に制御ボードPBも回転することになる。
図3は、ステアリング・シャフトSFと一緒に制御ボードPBが回転する様子を示す説明図(平面図)である。なお、
図3の(a)は、制御ボードPBの平面形状が矩形(長方形)であった場合が示され、
図3の(b)は、制御ボードPBの平面形状が円形であった場合が示されている。
【0024】
制御ボードPBが回転するのに必要な空間は、制御ボードPBの平面形状を円形にした場合が最も無駄がない。例えば、
図3の(a)のように制御ボードPBの平面形状が矩形であった場合には、その矩形の対角線の長さを直径とする円形領域が、制御ボードPBが回転するのに必要な空間になるため、制御ボードPBの寸法に比べて、制御ボードPBが回転するのに必要な空間が大きくなってしまう。それに対して、
図3の(b)ように制御ボードPBの平面形状が円形であった場合には、制御ボードPBが回転するのに必要な空間は、制御ボードPBの寸法とほぼ同じになる。このため、制御ボードPBの平面形状を円形にすることで、制御ボードPBを配置するのに必要で、かつ、その制御ボードPBを回転させるのに必要な空間を効率的に抑制することができる。
【0025】
このため、本発明者は、12相のBLDCモータを制御する制御ボードPBとして、平面形状が円形状で、12個のSiPを搭載した制御ボードPBについて検討している。
【0026】
しかしながら、そのような制御ボードPBにおいては、12個のSiPに必要な配線を引き回す必要があるため、配線の制約が大きくなってしまい、配線設計の自由度が低くなってしまう。このため、そのような制御ボードPBに搭載されるSiPに対しても、制御ボードPB(配線基板)側の配線設計がしやすくなるような設計を適用することが望まれる。
【0027】
<回路構成について>
図4は、本実施の形態の半導体装置(半導体パッケージ、電子装置)PKGを用いたインバータ回路INVを示す回路図である。なお、
図4において、符号CPHを付した点線で囲まれた部分が、半導体チップCPH内に形成され、符号CPLを付した点線で囲まれた部分が、半導体チップCPL内に形成され、符号CPCを付した点線で囲まれた部分が、半導体チップCPC内に形成され、符号PKGを付した一点鎖線で囲まれた部分が、半導体装置PKG内に形成されている。
【0028】
図4に示されるインバータ回路INVに用いられている半導体装置PKGは、2つのパワーMOSFET1,2と、パワーMOSFET1に流れる電流を検知するためのセンスMOSFET3と、パワーMOSFET2に流れる電流を検知するためのセンスMOSFET4と、制御回路CLCとを有している。制御回路CLCは、半導体チップ(制御用半導体チップ)CPC内に形成され、パワーMOSFET1およびセンスMOSFET3は、半導体チップ(ハイサイド用半導体チップ、パワーチップ)CPH内に形成され、パワーMOSFET2およびセンスMOSFET4は、半導体チップ(ロウサイド用半導体チップ、パワーチップ)CPL内に形成されている。そして、これら3つの半導体チップCPC,CPH,CPLが1つの同一のパッケージとして封止されて、半導体装置PKGが形成されている。なお、
図4のインバータ回路INVは、上記
図1に示されるインバータ回路INVを詳細に示したものに対応している。
【0029】
制御回路CLCは、パワーMOSFET1のゲートの電位を制御するハイサイド用ドライバ回路と、パワーMOSFET2のゲートの電位を制御するロウサイド用ドライバ回路と、を含んでいる。制御回路CLCは、半導体装置PKGの外部の制御回路CTから制御回路CLCに供給された信号などに応じて、パワーMOSFET1,2のそれぞれのゲートの電位を制御し、パワーMOSFET1,2のそれぞれの動作を制御する回路である。
【0030】
パワーMOSFET1のゲートは、制御回路CLCのハイサイド用ドライバ回路に接続され、パワーMOSFET2のゲートは、制御回路CLCのロウサイド用ドライバ回路に接続されている。パワーMOSFET1のドレインは端子TE1に接続され、パワーMOSFET1のソースは端子TE2に接続され、パワーMOSFET2のドレインは端子TE3に接続され、パワーMOSFET2のソースは端子TE4に接続されている。すなわち、パワーMOSFET1は、そのソース・ドレイン経路が端子TE1と端子TE2との間に直列に接続され、パワーMOSFET2は、そのソース・ドレイン経路が端子TE3と端子TE4との間に直列に接続されている。
図4において、符合D1はパワーMOSFET1のドレインを示し、符号S1はパワーMOSFET1のソースを示し、符合D2はパワーMOSFET2のドレインを示し、符号S2はパワーMOSFET2のソースを示している。また、
図4において、符合D3はセンスMOSFET3のドレインを示し、符号S3はセンスMOSFET3のソースを示し、符合D4はセンスMOSFET4のドレインを示し、符号S4はセンスMOSFET4のソースを示している。制御回路CLCは端子TE5に接続され、この端子TE5は、半導体装置PKGの外部に設けられた上記制御回路CTに接続されている。
【0031】
端子TE1,TE2,TE3,TE4,TE5は、いずれも、半導体装置PKGの外部接続用端子であり、後述のリードLDにより形成されている。このうち、端子TE1は、電源電位供給用の端子であり、後述のリードLD1が、端子TE1に対応している。また、端子TE4は、基準電位供給用の端子であり、後述のリードLD4が、端子TE4に対応している。なお、電源電位供給用の端子TE1(リードLD1)には、半導体装置PKGの外部の電源(入力用電源)の高電位側の電位(電源電位)VINが供給され、基準電位供給用の端子TE4(リードLD4)には、電源電位供給用の端子TE1に供給される電位VINよりも低い基準電位、例えばグランド電位(接地電位)GND、が供給される。
【0032】
また、後述のリードLD2が端子TE2に対応し、後述のリードLD3が端子TE3に対応している。端子TE2(リードLD2)と端子TE3(リードLD3)とは、半導体装置PKGの外部において、電気的に接続されている。すなわち、パワーMOSFET1のソースとパワーMOSFET2のドレインとは、半導体装置PKGの外部に設けられた導電経路(例えば半導体装置PKGを実装する後述の配線基板PB1に設けられた導電経路)を経由して、電気的に接続された状態になっている。このため、パワーMOSFET1とパワーMOSFET2とが、電源電位供給用の端子TE1と基準電位供給用の端子TE4との間に、直列に接続された状態になっている。パワーMOSFET1がハイサイド用MOSFETに対応し、パワーMOSFET2がロウサイド用MOSFETに対応している。すなわち、パワーMOSFET1は、ハイサイドスイッチ(高電位側スイッチ)用の電界効果トランジスタであり、パワーMOSFET2は、ロウサイドスイッチ(低電位側スイッチ)用の電界効果トランジスタである。パワーMOSFET1,2は、それぞれ、スイッチング用のパワートランジスタとみなすことができる。
【0033】
但し、端子TE2と端子TE3とを電気的に接続する導電経路は、半導体装置PKGの内部ではなく、半導体装置PKGの外部(例えば半導体装置PKGを実装する後述の配線基板PB1)に設けられている。このため、半導体装置PKGを配線基板などに実装した状態(インバータ回路が構成された状態)では、半導体装置PKGの端子TE2(リードLD2)と端子TE3(リードLD3)とは電気的に接続される。しかしながら、半導体装置PKGを単独で取り出した場合は、半導体装置PKG内において、半導体装置PKGの端子TE2(リードLD2)と端子TE3(リードLD3)とは、導体を通じて繋がってはおらず、電気的に接続されていない状態になっている。従って、パワーMOSFET1(のソース)とパワーMOSFET2(のドレイン)との接続点TE6は、半導体装置PKGの外部(例えば半導体装置PKGを実装する後述の配線基板PB1)に設けられており、この接続点TE6は、モータMOTのコイル(負荷)CLに接続されている。
【0034】
半導体装置PKGを用いたインバータ回路INVに供給された直流電力は、インバータ回路INVで交流電力に変換されて、負荷(ここではモータMOTのコイルCL)に供給されるようになっている。モータMOTは、インバータ回路INVから供給された交流電力によって駆動される。
【0035】
また、後述のリードLD5a,LD5bが端子TE5に対応している。制御回路CLCは端子TE5(リードLD5a,LD5b)に接続され、この端子TE5(リードLD5a,LD5b)は、半導体装置PKGの外部に設けられた上記制御回路CTに接続されている。このため、半導体装置PKG内の制御回路CLCは、端子TE5(リードLD5a,LD5b)と、半導体装置PKGを実装した後述の配線基板PB1の配線などを通じて、半導体装置PKGの外部に設けられた上記制御回路CT(
図1参照)に接続されている。
図4には、端子TE5は1つしか示していないが、実際には、半導体装置PKGにおいて、端子TE5に対応するリードLD5a,LD5bは複数設けられている。このため、半導体装置PKG内の制御回路CLCと、半導体装置PKGの外部の上記制御回路CTとを接続する導電経路は、複数存在し、それら複数の導電経路を通じて、半導体装置PKGの外部の上記制御回路CTと半導体装置PKG内の制御回路CLCとの間で、信号のやり取りが行われる。半導体装置PKG内の制御回路CLCは、半導体装置PKGの外部に設けられた上記制御回路CTによって制御される。
【0036】
パワーMOSFET1に流れる電流はセンスMOSFET3により検知(検出)され、センスMOSFET3を流れる電流に応じて、パワーMOSFET1が制御される。また、パワーMOSFET2に流れる電流はセンスMOSFET4により検知(検出)され、センスMOSFET4を流れる電流に応じて、パワーMOSFET2が制御される。センスMOSFET3は、半導体チップCPH内でパワーMOSFET1とカレントミラー回路を構成するように形成され、また、センスMOSFET4は、半導体チップCPL内でパワーMOSFET2とカレントミラー回路を構成するように形成されている。
【0037】
センスMOSFET3は、ドレインおよびゲートがパワーMOSFET1と共通とされている。すなわち、センスMOSFET3とパワーMOSFET1とは、ドレイン同士が電気的に接続されて共通とされており、この共通ドレインが端子TE1に接続されて、センスMOSFET3のドレインおよびパワーMOSFET1のドレインに同じ電位が供給されるようになっている。また、センスMOSFET3とパワーMOSFET1とは、ゲート同士が電気的に接続されて共通とされており、この共通ゲートが制御回路CLCのハイサイド用ドライバ回路に接続されて、そのハイサイド用ドライバ回路からセンスMOSFET3のゲートおよびパワーMOSFET1のゲートに同じゲート信号(ゲート電圧)が入力されるようになっている。一方、センスMOSFET3のソースはパワーMOSFET1のソースと共通ではなく、パワーMOSFET1のソースが端子TE2に接続されているのに対して、センスMOSFET3のソースは、制御回路CLCに接続されている。
【0038】
また、センスMOSFET4は、ドレインおよびゲートがパワーMOSFET2と共通とされている。すなわち、センスMOSFET4とパワーMOSFET2とは、ドレイン同士が電気的に接続されて共通とされており、この共通ドレインが端子TE3に接続されて、センスMOSFET4のドレインおよびパワーMOSFET2のドレインに同じ電位が供給されるようになっている。また、センスMOSFET4とパワーMOSFET2とは、ゲート同士が電気的に接続されて共通とされており、この共通ゲートが制御回路CLCのロウサイド用ドライバ回路に接続されて、そのロウサイド用ドライバ回路からセンスMOSFET4のゲートおよびパワーMOSFET2のゲートに同じゲート信号(ゲート電圧)が入力されるようになっている。一方、センスMOSFET4のソースはパワーMOSFET2のソースと共通ではなく、パワーMOSFET2のソースが端子TE4に接続されているのに対して、センスMOSFET4のソースは、制御回路CLCに接続されている。
【0039】
<半導体装置の構造について>
図5は、本実施の形態の半導体装置PKGの上面図であり、
図6は、半導体装置PKGの下面図(裏面図)であり、
図7〜
図9は、半導体装置PKGの平面透視図であり、
図110〜
図13は、半導体装置PKGの断面図である。
図7には、半導体装置PKGを下面側から見たときの、封止部MRを透視した平面透視図が示されている。また、
図8は、
図7において、更にワイヤBWおよび金属板MP1,MP2を透視(省略)したときの半導体装置PKGの下面側の平面透視図が示されている。また、
図9は、
図8において、更に半導体チップCPC,CPH,CPLを透視(省略)したときの半導体装置PKGの下面側の平面透視図が示されている。
図6〜
図9では、半導体装置PKGの向きは同じである。また、
図7〜
図9では、封止部MRの外周の位置を点線で示してある。また、
図5〜
図7のA1−A1線の位置での半導体装置PKGの断面が、
図10にほぼ対応し、
図5〜
図7のA2−A2線の位置での半導体装置PKGの断面が、
図11にほぼ対応し、
図5〜
図7のA3−A3線の位置での半導体装置PKGの断面が、
図12にほぼ対応し、
図5〜
図7のA4−A4線の位置での半導体装置PKGの断面が、
図13にほぼ対応している。なお、各平面図に示した符号Xは第1方向、符号Yは第1方向X(以下、X方向と称する)に直交する第2方向(以下、Y方向と称する)を示している。すなわち、X方向とY方向とは、互いに直交する方向である。
【0040】
本実施の形態では、制御回路CLCが形成された半導体チップCPCと、ハイサイドスイッチ用の電界効果トランジスタであるパワーMOSFET1が形成された半導体チップCPHと、ロウサイドスイッチ用の電界効果トランジスタであるパワーMOSFET2が形成された半導体チップCPLとを、1つの半導体パッケージに集約(パッケージング)して、1つの半導体装置PKGとしている。こうすることで、電子装置(例えば上記制御ボードPB)の小型化、薄型化が実現できることに加えて、配線寄生インダクタンスが小さくできることから高周波化、高効率化も実現することができる。
【0041】
図5〜
図13に示される本実施の形態の半導体装置(半導体パッケージ、電子装置)PKGは、樹脂封止型の半導体パッケージ形態の半導体装置であり、ここではSOP(Small Outline Package)形態の半導体装置である。以下、
図5〜
図13を参照しながら、半導体装置PKGの構成について説明する。
【0042】
図5〜
図13に示される本実施の形態の半導体装置PKGは、ダイパッド(チップ搭載部)DPC,DPH,DPLと、そのダイパッドDPC,DPH,DPLの各々の主面上に搭載された半導体チップCPC,CPH,CPLと、金属板MP1,MP2と、複数のワイヤ(ボンディングワイヤ)BWと、複数のリードLDと、これらを封止する封止部(封止体)MRとを有している。
【0043】
樹脂封止部(樹脂封止体)としての封止部MRは、例えば熱硬化性樹脂材料などの樹脂材料などからなり、フィラーなどを含むこともできる。例えば、フィラーを含むエポキシ樹脂などを用いて封止部MRを形成することができる。エポキシ系の樹脂以外にも、低応力化を図る等の理由から、例えばフェノール系硬化剤、シリコーンゴムおよびフィラー等が添加されたビフェニール系の熱硬化性樹脂を、封止部MRの材料として用いても良い。
【0044】
封止部MRは、主面(上面)MRaと、主面MRaとは反対側の裏面(下面、底面)MRbと、主面MRaおよび裏面MRbに交差する側面MRc1,MRc2,MRc3,MRc4と、を有している。すなわち、封止部MRの外観は、主面MRa、裏面MRbおよび側面MRc1,MRc2,MRc3,MRc4で囲まれた薄板状とされている。封止部MRの側面MRc1,MRc2,MRc3,MRc4のうち、側面MRc1と側面MRc3とが互いに反対側に位置し、側面MRc2と側面MRc4とが互いに反対側に位置し、側面MRc1と側面MRc2,MRc4とが互いに交差し、側面MRc3と側面MRc2,MRc4とが互いに交差している。側面MRc1,MRc3は、X方向に略平行であり、側面MRc2,MRc4は、Y方向に略平行である。また、主面MRaおよび裏面MRbのそれぞれは、X方向およびY方向の両方に平行な面である。
【0045】
また、封止部MRは、平面視において、X方向に沿って延在する辺MRd1と、X方向に沿って延在し、かつ辺MRd1とは反対側に位置する辺MRd3と、Y方向に沿って延在する辺MRd2と、Y方向に沿って延在し、かつ辺MRd2とは反対側に位置する辺MRd4と、を有している。平面視において、辺MRd2,MRd4のそれぞれは、辺MRd1,MRd3と交差している。封止部MRにおいて、辺MRd1は、側面MRc1に対応する辺であり、辺MRd2は、側面MRc2に対応する辺であり、辺MRd3は、側面MRc3に対応する辺であり、辺MRd4は、側面MRc4に対応する辺である。すなわち、封止部MRの各側面MRc1,MRc2,MRc3,MRc4は、平面視においては、封止部MRの各辺MRd1,MRd2,MRd3,MRd4とみなすことができる。
【0046】
封止部MRの平面形状、すなわち、封止部MRの主面MRaおよび裏面MRbの平面形状は、例えば矩形状(長方形状)である。なお、封止部MRの平面形状を構成する矩形は、X方向に平行な辺とY方向に平行な辺とを有する矩形であるが、封止部MRのX方向の寸法は、封止部MRのY方向の寸法よりも大きい。すなわち、平面視において、封止部MRの側面MRc1に対応する辺MRd1および封止部MRの側面MRc3に対応する辺MRd3のそれぞれの長さは、封止部MRの側面MRc2に対応する辺MRd2および封止部MRの側面MRc4に対応する辺MRd4のそれぞれの長さよりも、長い。
【0047】
複数のリードLDのそれぞれは、一部が封止部MR内に封止され、他の一部が封止部MRの側面から封止部MRの外部に突出している。以下では、リードLDのうちの封止部MR内に位置する部分をインナリード部と呼び、リードLDのうちの封止部MR外に位置する部分をアウタリード部と呼ぶものとする。リードLDのアウタリード部には、半田メッキ層などのメッキ層(図示せず)を形成することもできる。これにより、半導体装置PKGを配線基板などに実装(半田実装)しやすくすることができる。
【0048】
なお、本実施の形態の半導体装置PKGは、各リードLDの一部(アウタリード部)が封止部MRの側面から突出した構造であり、以下ではこの構造に基づいて説明するが、この構造に限定されるものではない。例えば、封止部MRの側面から各リードLDがほとんど突出せず、かつ封止部MRの裏面MRbで各リードLDの一部が露出した構成(SON(Small Outline Nonleaded Package)型の構成)などを採用することもできる。
【0049】
複数のリードLDは、封止部MRの側面MRc1側に配置された複数のリードLDと、封止部MRの側面MRc3側に配置された複数のリードLDとで構成されている。
図5〜
図13の場合は、封止部MRの側面MRc2側と封止部MRの側面MRc4側には、リードLDは配置されていない。
【0050】
封止部MRの側面MRc1側に配置された複数のリードLDは、別の見方をすると、平面視において、封止部MRの辺MRd1に交差するリードLDとみなすことができる。また、封止部MRの側面MRc3側に配置された複数のリードLDは、別の見方をすると、平面視において、封止部MRの辺MRd3に交差するリードLDとみなすことができる。
【0051】
封止部MRの側面MRc1側に配置された複数のリードLDは、平面視においてそれぞれY方向に延在しており、かつX方向に所定の間隔で並んでいる。また、封止部MRの側面MRc3側に配置された複数のリードLDは、平面視においてそれぞれY方向に延在しており、かつX方向に所定の間隔で並んでいる。封止部MRの側面MRc1側に配置された複数のリードLDの各アウタリード部は、封止部MRの側面MRc1から封止部MR外に突出している。また、封止部MRの側面MRc3側に配置された複数のリードLDの各アウタリード部は、封止部MRの側面MRc3から封止部MR外に突出している。各リードLDのアウタリード部は、アウタリード部の端部近傍の下面が封止部MRの裏面MRbとほぼ同一平面上に位置するように、折り曲げ加工されている。リードLDのアウタリード部は、半導体装置PKGの外部接続用端子部(外部端子)として機能する。なお、半導体装置PKGが有する複数のリードLDは、後述のリードLD1,LD2,LD3,LD4,LD5a,LD5b,LD6,LD7,LD8を含んでいる。
【0052】
ダイパッドDPCは、半導体チップCPCを搭載するチップ搭載部であり、ダイパッドDPHは、半導体チップCPHを搭載するチップ搭載部であり、ダイパッドDPLは、半導体チップCPLを搭載するチップ搭載部である。ダイパッドDPC,DPH,DPLのそれぞれの平面形状は、例えば、X方向に平行な辺とY方向に平行な辺とを有する矩形である。
図5〜
図13の場合は、半導体チップCPC,CPH,CPLのそれぞれにおいて、Y方向の寸法がX方向の寸法よりも大きいことを反映して、ダイパッドDPC,DPH,DPLのそれぞれは、Y方向の寸法がX方向の寸法よりも大きくなっている。このため、半導体チップCPC,CPH,CPLとダイパッドDPC,DPH,DPLとは、それぞれ、Y方向が長手方向となっており、封止部MRは、X方向が長手方向になっている。
【0053】
ダイパッドDPHとダイパッドDPCとダイパッドDPLとは、この順でX方向に並んで配置されている。このため、ダイパッドDPHとダイパッドDPLとの間にダイパッドDPCが配置されており、ダイパッドDPHとダイパッドDPCとがX方向に隣り合い、ダイパッドDPCとダイパッドDPLとがX方向に隣り合っている。但し、ダイパッドDPHとダイパッドDPCとは、互いに接してはおらず、所定の間隔で離間しており、それらの間には封止部MRの一部が介在している。また、ダイパッドDPCとダイパッドDPLとは、互いに接してはおらず、所定の間隔で離間しており、それらの間には封止部MRの他の一部が介在している。
【0054】
ダイパッドDPC,DPH,DPLと複数のリードLDとは、導電体で構成されており、好ましくは銅(Cu)または銅合金などの金属材料からなる。また、ダイパッドDPC,DPH,DPLと複数のリードLDとは、同じ材料(同じ金属材料)で形成されていることが好ましく、これにより、ダイパッドDPC,DPH,DPLおよび複数のリードLDが連結されたリードフレームを作製しやすくなり、リードフレームを用いた半導体装置PKGの製造が容易になる。
【0055】
ダイパッドDPCは、半導体チップCPCを搭載する側の主面DPCaと、それとは反対側の裏面DPCbとを有している。また、ダイパッドDPHは、半導体チップCPHを搭載する側の主面DPHaと、それとは反対側の裏面DPHbとを有している。また、ダイパッドDPLは、半導体チップCPLを搭載する側の主面DPLaと、それとは反対側の裏面DPLbとを有している。
【0056】
各ダイパッドDPC,DPH,DPLは、少なくとも一部が封止部MRによって封止されているが、本実施の形態では、ダイパッドDPCの裏面DPCbとダイパッドDPHの裏面DPHbとダイパッドDPLの裏面DPLbとが、封止部MRの主面MRaから露出されている。これにより、半導体チップCPC,CPH,CPLの動作時に発生した熱を、主に半導体チップCPC,CPH,CPLの裏面からダイパッドDPC,DPH,DPLを通じて半導体装置PKGの外部に放熱することができる。
【0057】
なお、半導体チップCPC,CPH,CPLのそれぞれは、互いに反対側に位置する主面である表面(半導体チップの表面)および裏面(半導体チップの裏面)を有している。すなわち、半導体チップCPC,CPH,CPLのそれぞれは、一方の主面である表面(半導体チップの表面)と、それとは反対側の主面である裏面(半導体チップの裏面)とを有している。半導体チップCPC,CPH,CPLのそれぞれにおいて、半導体チップの表面は、その半導体チップを構成する最上層保護膜(HGC,HGH,HGL)の表面に対応し、半導体チップの裏面は、その半導体チップを構成する半導体基板の裏面に対応している。従って、半導体チップCPC,CPH,CPLのそれぞれにおいて、半導体チップの表面と、その半導体チップを構成する最上層保護膜(HGC,HGH,HGL)の表面とは、同一面である。すなわち、半導体チップCPCは、最上層保護膜(最表層保護膜、保護膜、保護絶縁膜)HGCを有しており、
図11および
図13において、表面CPCaは、半導体チップCPCの表面であるが、最上層保護膜HGCの表面でもある。また、半導体チップCPHは、最上層保護膜(最表層保護膜、保護膜、保護絶縁膜)HGHを有しており、
図10および
図13において、表面CPHaは、半導体チップCPHの表面であるが、最上層保護膜HGHの表面でもある。また、半導体チップCPLは、最上層保護膜(最表層保護膜、保護膜、保護絶縁膜)HGLを有しており、
図12および
図13において、表面CPLaは、半導体チップCPLの表面であるが、最上層保護膜HGLの表面でもある。このため、半導体チップCPC,CPH,CPLのそれぞれにおいて、最上層保護膜(HGC,HGH,HGL)は、その半導体チップの表面を有する(形成する)保護膜とみなすことができる。半導体チップCPC,CPH,CPLのそれぞれにおいて、最上層保護膜(HGC,HGH,HGL)は、絶縁膜からなり、その半導体チップの最上層(最表層)に形成されている。半導体チップCPC,CPH,CPLのそれぞれにおいて、最上層保護膜(HGC,HGH,HGL)は、ボンディングパッドを露出する開口部を有しており、最上層保護膜(HGC,HGH,HGL)の開口部から、ボンディングパッドが露出している。
【0058】
また、ダイパッドDPC,DPH,DPL、リードLDおよびリード連結部LB2,LB4において、半導体チップCPC,CPH,CPLが搭載される領域、ワイヤBWが接続される領域、および金属板MP1,MP2が接続される領域には、銀(Ag)などからなるメッキ層(図示せず)を形成することもできる。これにより、半導体チップCPC,CPH,CPL、金属板MP1,MP2およびワイヤBWを、ダイパッドDPC,DPH,DPL、リードLDおよびリード連結部LB2,LB4に、より的確に接続することができる。
【0059】
ダイパッドDPHの主面DPHa上には、半導体チップCPHが、その裏面をダイパッドDPHに向けた状態で搭載されている。半導体チップCPHは、導電性の接着層BD1を介してダイパッドDPHの主面DPHa上に搭載されている。半導体チップCPHの裏面(裏面全面)には裏面電極(電極)BEHが形成されており、この裏面電極BEHは、導電性の接着層BD1を介してダイパッドDPHに接合されて電気的に接続されている。
【0060】
また、ダイパッドDPLの主面DPLa上には、半導体チップCPLが、その裏面をダイパッドDPLに向けた状態で搭載されている。半導体チップCPLは、導電性の接着層BD2を介してダイパッドDPLの主面DPLa上に搭載されている。半導体チップCPLの裏面(裏面全面)には裏面電極(電極)BELが形成されており、この裏面電極BELは、導電性の接着層BD2を介してダイパッドDPLに接合されて電気的に接続されている。
【0061】
また、ダイパッドDPCの主面DPCa上には、半導体チップCPCが、その裏面をダイパッドDPCに向けた状態で搭載されている。半導体チップCPCは、接着層BD3を介してダイパッドDPCの主面DPCa上に搭載されているが、この接着層BD3は、導電性であっても、絶縁性であってもよい。
【0062】
半導体チップCPC,CPH,CPLのそれぞれの平面形状は、例えば矩形状であり、より特定的には、X方向に平行な辺とY方向に平行な辺とを有する矩形である。ダイパッドDPHの平面寸法(平面積)は、半導体チップCPHの平面寸法よりも大きく、ダイパッドDPLの平面寸法は、半導体チップCPLの平面寸法よりも大きく、ダイパッドDPCの平面寸法は、半導体チップCPCの平面寸法よりも大きい。このため、平面視において、半導体チップCPHは、ダイパッドDPHの主面DPHaに内包され、半導体チップCPLは、ダイパッドDPHLの主面DPLaに内包され、半導体チップCPCは、ダイパッドDPCの主面DPCaに内包されている。半導体チップCPC,CPH,CPLは、封止部MR内に封止されており、封止部MRから露出されない。
【0063】
半導体チップCPHの裏面電極BEHは、半導体チップCPH内に形成された上記パワーMOSFET1のドレインに電気的に接続されるとともに、上記センスMOSFET3のドレインにも電気的に接続されている。すなわち、半導体チップCPHの裏面電極BEHは、上記パワーMOSFET1のドレイン電極と、上記センスMOSFET3のドレイン電極とを兼ねている。また、半導体チップCPLの裏面電極BELは、半導体チップCPL内に形成された上記パワーMOSFET2のドレインに電気的に接続されるとともに、上記センスMOSFET4のドレインにも電気的に接続されている。すなわち、半導体チップCPLの裏面電極BELは、上記パワーMOSFET2のドレイン電極と、上記センスMOSFET4のドレイン電極とを兼ねている。接着層BD1,BD2は、導電性の接合材(接着材)からなり、例えば、銀ペーストなどのペースト型導電性接着材や、あるいは半田などを用いることもできる。
【0064】
半導体チップCPHの表面(裏面電極BEHが形成された側とは反対側の主面)では、半導体チップCPHを構成する最上層保護膜HGHから、ゲート用のボンディングパッドPDHGと、ソース用のボンディングパッドPDHS1,PDHS2と、温度検知用ダイオードのアノード用のボンディングパッドPDHAおよびカソード用のボンディングパッドPDHCとが露出している。また、半導体チップCPLの表面(裏面電極BELが形成された側とは反対側の主面)では、半導体チップCPLを構成する最上層保護膜HGLから、ゲート用のボンディングパッドPDLGと、ソース用のボンディングパッドPDLS1,PDLS2と、温度検知用ダイオードのアノード用のボンディングパッドPDLAおよびカソード用のボンディングパッドPDLCとが露出している。また、半導体チップCPCの表面(裏面側とは反対側の主面)では、半導体チップCPCを構成する最上層保護膜HGCから、複数のボンディングパッドPDCが露出している。なお、以下では、「ボンディングパッド」、「ボンディングパッド電極」、「パッド電極」あるいは「電極」を、単に「パッド」と称することとする。
【0065】
半導体チップCPCのパッドPDCは、半導体チップCPCの内部配線を通じて、半導体チップCPC内に形成された上記制御回路CLCに電気的に接続されている。
【0066】
半導体チップCPHのゲート用のパッドPDHGは、半導体チップCPH内に形成された上記パワーMOSFET1のゲート電極および上記センスMOSFET3のゲート電極に電気的に接続されている。すなわち、半導体チップCPHのゲート用のパッドPDHGは、上記パワーMOSFET1のゲート用パッドと、上記センスMOSFET3のゲート用パッドとを兼ねている。また、半導体チップCPHのソース用のパッドPDHS1は、半導体チップCPH内に形成された上記パワーMOSFET1のソースに電気的に接続され、一方、半導体チップCPHのソース用のパッドPDHS2は、半導体チップCPH内に形成された上記センスMOSFET3のソースに電気的に接続されている。すなわち、半導体チップCPHのパッドPDHS1は、上記パワーMOSFET1のソース用パッドに対応し、半導体チップCPHのパッドPDHS2は、上記センスMOSFET3のソース用パッドに対応する。半導体チップCPHにおいて、ソース用のパッドPDHS1の平面寸法(面積)は、他のパッドPDHG,PDHS2,PDHA,PDHCのそれぞれの平面寸法よりも大きい。
【0067】
また、半導体チップCPLのゲート用のパッドPDLGは、半導体チップCPL内に形成された上記パワーMOSFET2のゲート電極および上記センスMOSFET4のゲート電極に電気的に接続されている。すなわち、半導体チップCPLのゲート用のパッドPDLGは、上記パワーMOSFET2のゲート用パッドと、上記センスMOSFET4のゲート用パッドとを兼ねている。また、半導体チップCPLのソース用のパッドPDLS1は、半導体チップCPL内に形成された上記パワーMOSFET2のソースに電気的に接続され、一方、半導体チップCPLのソース用のパッドPDLS2は、半導体チップCPL内に形成された上記センスMOSFET4のソースに電気的に接続されている。すなわち、半導体チップCPLのパッドPDLS1は、上記パワーMOSFET2のソース用パッドに対応し、半導体チップCPLのパッドPDLS2は、上記センスMOSFET4のソース用パッドに対応する。半導体チップCPLにおいて、ソース用のパッドPDLS1の平面寸法(面積)は、他のパッドPDLG,PDLS2,PDLA,PDLCのそれぞれの平面寸法よりも大きい。
【0068】
なお、半導体チップCPHを構成する半導体基板には、パワーMOSFET1を構成する複数の単位トランジスタセルが形成されており、パワーMOSFET1は、これら複数の単位トランジスタセルが並列に接続されることで形成されている。また、半導体チップCPLを構成する半導体基板には、パワーMOSFET2を構成する複数の単位トランジスタセルが形成されており、パワーMOSFET2は、これら複数の単位トランジスタセルが並列に接続されることで形成されている。各単位トランジスタセルは、例えばトレンチゲート型MISFETからなる。後述の
図29および
図30のトランジスタ形成領域RG1,RG2が、パワーMOSFET用の複数の単位トランジスタセルが形成された領域に対応している。
【0069】
すなわち、半導体チップCPHを構成する半導体基板の表面に形成された、パワーMOSFET1用の複数の単位トランジスタセルのソース領域が、半導体基板上の層間絶縁膜上に形成された、半導体チップCPHを構成する共通のソース電極に電気的に接続され、そのソース電極が、半導体チップCPHを構成する最上層保護膜HGHの開口部から露出されることで、ソース用のパッドPDHS1が形成されている。半導体チップCPHの最上層保護膜HGHは、半導体チップCPHを構成する半導体基板上の層間絶縁膜上に、ソース電極を覆うように形成されているが、ソース電極の少なくとも一部を露出する開口部を有している。また、半導体チップCPLを構成する半導体基板の表面に形成された、パワーMOSFET2用の複数の単位トランジスタセルのソース領域が、半導体基板上の層間絶縁膜上に形成された、半導体チップCPLを構成する共通のソース電極に電気的に接続され、そのソース電極が、半導体チップCPLを構成する最上層保護膜HGLの開口部から露出されることで、ソース用のパッドPDLS1が形成されている。半導体チップCPLの最上層保護膜HGLは、半導体チップCPLを構成する半導体基板上の層間絶縁膜上に、ソース電極を覆うように形成されているが、ソース電極の少なくとも一部を露出する開口部を有している。また、半導体チップCPHを構成する半導体基板は、パワーMOSFET1用の複数の単位トランジスタセルの共通のドレイン領域としての機能を有しており、その半導体基板の裏面全面に裏面電極BEHが形成されている。また、半導体チップCPLを構成する半導体基板は、パワーMOSFET2用の複数の単位トランジスタセルの共通のドレイン領域としての機能を有しており、その半導体基板の裏面全面に裏面電極BELが形成されている。半導体チップCPH,CPLのそれぞれにおいて、パワーMOSFET(1,2)のソース・ドレイン間の電流は、その半導体チップを構成する半導体基板の厚さ方向に流れる。
【0070】
半導体チップCPHには、上記パワーMOSFET1および上記センスMOSFET3だけでなく、温度検知用のダイオード(後述の
図29および
図30のダイオードDA1に対応)も形成されており、パッドPDHAは、その温度検知用ダイオード(DA1)のアノードに電気的に接続され、パッドPDHCは、その温度検知用ダイオード(DA1)のカソードに電気的に接続されている。また、半導体チップCPLには、上記パワーMOSFET2および上記センスMOSFET4だけでなく、温度検知用のダイオード(後述の
図29および
図30のダイオードDA2に対応)も形成されており、パッドPDLAは、その温度検知用ダイオード(DA2)のアノードに電気的に接続され、パッドPDLCは、その温度検知用ダイオード(DA2)のカソードに電気的に接続されている。なお、温度検知用のダイオード(DA1,DA2)は、上記
図4の回路図では、図示を省略してある。
【0071】
半導体チップCPHの表面において、ソース用のパッドPDHS1以外のパッド(ここではパッドPDHG,PDHS2,PDHA,PDHC)は、半導体チップCPCに対向する側の辺H1に沿って配置(配列)されている。そして、半導体チップCPHのソース用のパッドPDHS1以外のパッドPDHG,PDHS2,PDHA,PDHCは、それぞれ、ワイヤBWを介して半導体チップCPCのパッドPDCと電気的に接続されている。すなわち、パッドPDHG,PDHS2,PDHA,PDHCのそれぞれにワイヤBWの一端が接続され、そのワイヤBWの他端は、半導体チップCPCのパッドPDCに接続されている。半導体チップCPHの各パッドPDHG,PDHS2,PDHA,PDHCは、ワイヤBWを介して半導体チップCPCのパッドPDCに電気的に接続され、更に半導体チップCPCの内部配線を通じて、半導体チップCPC内の上記制御回路CLCに電気的に接続されている。
【0072】
また、半導体チップCPLの表面において、ソース用のパッドPDLS1以外のパッド(ここではパッドPDLG,PDLS2,PDLA,PDLC)は、半導体チップCPCに対向する側の辺L1に沿って配置(配列)されている。そして、半導体チップCPLのソース用のパッドPDLS1以外のパッドPDLG,PDLS2,PDLA,PDLCは、それぞれ、ワイヤBWを介して半導体チップCPCのパッドPDCと電気的に接続されている。すなわち、パッドPDLG,PDLS2,PDLA,PDLCのそれぞれにワイヤBWの一端が接続され、そのワイヤBWの他端は、半導体チップCPCのパッドPDCに接続されている。半導体チップCPLの各パッドPDLG,PDLS2,PDLA,PDLCは、ワイヤBWを介して半導体チップCPCのパッドPDCに電気的に接続され、更に半導体チップCPCの内部配線を通じて、半導体チップCPC内の上記制御回路CLCに電気的に接続されている。
【0073】
ワイヤ(ボンディングワイヤ)BWは、導電性の接続部材であり、より特定的には導電性のワイヤである。ワイヤBWは、金属からなるため、金属線(金属細線)とみなすこともできる。ワイヤBWとしては、金(Au)ワイヤ、銅(Cu)ワイヤ、あるいはアルミニウム(Al)ワイヤなどを好適に用いることができる。ワイヤBWは、封止部MR内に封止されており、封止部MRから露出されない。各リードLDにおいて、ワイヤBWの接続箇所は、封止部MR内に位置するインナリード部である。
【0074】
半導体チップCPHのソース用のパッドPDHS1(すなわち、上記パワーMOSFET1のソース)は、金属板MP1を通じて、リード連結部(リード配線部)LB2と電気的に接続されている。すなわち、金属板MP1は、半導体チップCPHのソース用のパッドPDHS1に導電性の接着層(接合材)BD4を介して接合され、また、リード連結部LB2に導電性の接着層(接合材)BD5を介して接合されている。
【0075】
半導体チップCPLのソース用のパッドPDLS1(すなわち、上記パワーMOSFET2のソース)は、金属板MP2を通じて、リード連結部(リード配線部)LB4と電気的に接続されている。すなわち、金属板MP2は、半導体チップCPLのソース用のパッドPDLS1に導電性の接着層(接合材)BD6を介して接合され、また、リード連結部LB4に導電性の接着層(接合材)BD7を介して接合されている。
【0076】
半導体チップCPHのソース用のパッドPDHS1とリードLD2とを電気的に接続するのに、ワイヤではなく金属板MP1を用いたことで、パワーMOSFET1のオン抵抗を低減できる。また、半導体チップCPLのソース用のパッドPDLS1とリードLD4とを電気的に接続するのに、ワイヤではなく金属板MP2を用いたことで、パワーMOSFET2のオン抵抗を低減できる。これにより、パッケージ抵抗を低減でき、導通損失を低減できる。
【0077】
接着層BD4,BD5,BD6,BD7は、導電性の接合材(接着材)からなり、例えば、銀ペーストなどのペースト型導電性接着材や、あるいは半田などを用いることができる。また、金属板MP1,MP2を半導体チップCPH,CPLのソース用のパッドPDHS1,PDLS1およびリード連結部LB2,LB4に接合(接続)するのに、導電性の接着層(接合材) BD4,BD5,BD6,BD7を用いずに、圧着などにより直接的に接合(接続)する場合もあり得る。
【0078】
金属板MP1,MP2は、導電体からなる導体板であるが、好ましくは、銅(Cu)、銅(Cu)合金、アルミニウム(Al)またはアルミニウム(Al)合金のような導電性および熱伝導性の高い金属(金属材料)によって形成されている。各金属板MP1,MP2のX方向およびY方向の寸法(幅)は、それぞれワイヤBWの直径よりも大きい。
【0079】
半導体チップCPH,CPLで生じた熱は、半導体チップCPH,CPLの裏面からダイパッドDPH,DPLを通じて放散される他に、半導体チップCPH,CPLの表面から金属板MP1,MP2を通じて放散されるようになっており、それによって、半導体チップCPH,CPLで発生した熱の放散性を向上させることができる。
【0080】
半導体チップCPCの複数のパッドPDCのうち、半導体チップCPHのパッドにも半導体チップCPLのパッドにも接続されていないパッドPDCは、それぞれワイヤBWを通じて、半導体装置PKGが有する複数のリードLDのうちのリードLD5a,LD5bと電気的に接続されている。すなわち、半導体チップCPHのパッドにも半導体チップCPLのパッドにも接続されていない半導体チップCPCのパッドPDCのそれぞれに、ワイヤBWの一端が接続され、そのワイヤBWの他端は、リードLD5aのインナリード部またはリードLD5bのインナリード部に接続されている。各リードLD5a,LD5bは、半導体装置PKG内の半導体チップCPCと半導体装置PKGの外部の上記制御回路CTとの間の信号伝送経路として機能することができる。
【0081】
リードLD5a,LD5bのうち、リードLD5aは、封止部MRの側面MRc1側に配置され、リードLD5bは、封止部MRの側面MRc3側に配置されている。半導体チップCPCの表面において、封止部MRの側面MRc1側の辺に沿って配置(配列)された複数のパッドPDCが、封止部MRの側面MRc1側に配置された複数のリードLD5aと、それぞれワイヤBWを介して電気的に接続されている。また、半導体チップCPCの表面において、封止部MRの側面MRc3側の辺に沿って配置(配列)された複数のパッドPDCが、封止部MRの側面MRc3側に配置された複数のリードLD5bと、それぞれワイヤBWを介して電気的に接続されている。各リードLD5a,LD5bは、ダイパッドDPC,DPH,DPL、リードLD1,LD2,LD3,LD4およびリード連結部LB1,LB2,LB3,LB4のいずれにも、導体を介しては繋がっておらず、孤立したリードである。すなわち、半導体チップCPHのパッドにも半導体チップCPLのパッドにも接続されていない半導体チップCPCのパッドPDCは、孤立した個々のリードLD5a,LD5bに、ワイヤBWを介して接続されている。
【0082】
リード連結部LB2は、ダイパッドDPHとY方向に隣り合い、かつ、側面MRc3に沿うように封止部MR内をX方向に延在している。また、リード連結部LB4は、ダイパッドDPLとY方向に隣り合い、かつ、側面MRc1に沿うように封止部MR内をX方向に延在している。但し、リード連結部LB2とダイパッドDPHとは、互いに接しておらず、所定の間隔で離間しており、それらの間には封止部MRの一部が介在している。また、リード連結部LB4とダイパッドDPLとは、互いに接しておらず、所定の間隔で離間しており、それらの間には封止部MRの他の一部が介在している。リード連結部LB2,LB4は、封止部MR内に封止されており、封止部MRから露出されていない。
【0083】
リード連結部LB2には、半導体装置PKGが有する複数のリードLDのうちの複数のリードLD2が一体的に接続(連結)されている。すなわち、リード連結部LB2と複数のリードLD2とは、一体的に形成されている。複数のリードLD2同士は、X方向に隣り合っているが、複数のリードLD2のインナリード部同士が、封止部MR内をX方向に延在するリード連結部LB2によって連結された状態になっている。このため、リード連結部LB2は、複数のリードLD2のインナリード部同士を連結する連結部とみなすことができる。複数のリードLD2およびリード連結部LB2は、金属板MP1などを通じて、半導体チップCPH内に形成されている上記パワーMOSFET1のソースに電気的に接続されている。このため、複数のリードLD2は、ハイサイド用の上記パワーMOSFET1のソース用のリードであり、上記端子TE2に対応している。
【0084】
半導体チップCPHのソース用のパッドPDHS1は、パワーMOSFET1に流れる電流を出力するためのパッドである。パワーMOSFET1に流れる電流は、パッドPDHS1から半導体チップCPHの外部に出力され、金属板MP1およびリード連結部LB2を経て、リードLD2(端子TE2)から半導体装置PKGの外部に出力される(上記
図1および
図4のコイルCLに出力される)。
【0085】
また、リード連結部LB4には、半導体装置PKGが有する複数のリードLDのうちの複数のリードLD4が一体的に接続(連結)されている。すなわち、リード連結部LB4と複数のリードLD4とは、一体的に形成されている。複数のリードLD4同士は、X方向に隣り合っているが、複数のリードLD4のインナリード部同士が、封止部MR内をX方向に延在するリード連結部LB4によって連結された状態になっている。このため、リード連結部LB4は、複数のリードLD4のインナリード部同士を連結する連結部とみなすことができる。複数のリードLD4およびリード連結部LB4は、金属板MP2などを通じて、半導体チップCPL内に形成されている上記パワーMOSFET2のソースに電気的に接続されている。このため、複数のリードLD4は、ロウサイド用の上記パワーMOSFET2のソース用のリードであり、上記端子TE4に対応している。すなわち、この複数のリードLD4が上記端子TE4となり、上記基準電位(グランド電位GND)がリードLD4(端子TE4)に供給されるようになっている。従って、リード連結部LB4およびそれに一体的に接続された複数のリードLD4は、グランド電位供給用のグランド端子部とみなすことができる。
【0086】
複数のリードLD2をリード連結部LB2にまとめて接続したことにより、複数のリードLD2が分割されている場合よりも体積を増加させることができるので、配線抵抗を低減でき、パワーMOSFET1の導通損失を低減できる。また、複数のリードLD4をリード連結部LB4にまとめて接続したことにより、複数のリードLD4が分割されている場合よりも体積を増加させることができるので、配線抵抗を低減でき、パワーMOSFET2の導通損失を低減できる。
【0087】
一体的に形成されたリード連結部LB2および複数のリードLD2は、ダイパッドDPC,DPH,DPLのいずれにも、導体を介しては繋がっておらず、また、一体的に形成されたリード連結部LB4および複数のリードLD4は、ダイパッドDPC,DPH,DPLのいずれにも、導体を介しては繋がっていない。
【0088】
リード連結部LB2およびそれに連結された複数のリードLD2は、ダイパッドDPHとY方向に隣り合うように、封止部MRの側面MRc3側に配置され、リード連結部LB4およびそれに連結された複数のリードLD4は、ダイパッドDPLとY方向に隣り合うように、封止部MRの側面MRc1側に配置されている。
【0089】
半導体装置PKGが有する複数のリードLDのうち、複数のリードLD1は、ダイパッドDPHと一体的に形成されている。このため、複数のリードLD1は、ダイパッドDPHと電気的に接続されており、ダイパッドDPHおよび導電性の接着層BD1を介して、半導体チップCPHの裏面電極BEHに電気的に接続されている。このため、複数のリードLD1は、ハイサイド用の上記パワーMOSFET1のドレイン用のリードであり、上記端子TE1に対応している。すなわち、この複数のリードLD1が上記端子TE1となり、半導体装置PKGの外部の電源(入力用電源)の高電位側の電位(電源電位)VINがリードLD1(端子TE1)に供給されるようになっている。従って、複数のリードLD1は、電源電位供給用の端子部とみなすことができる。
【0090】
また、半導体装置PKGが有する複数のリードLDのうち、複数のリードLD3は、ダイパッドDPLと一体的に形成されている。このため、複数のリードLD3は、ダイパッドDPLと電気的に接続されており、ダイパッドDPLおよび導電性の接着層BD2を介して、半導体チップCPLの裏面電極BELに電気的に接続されている。このため、複数のリードLD3は、ロウサイド用の上記パワーMOSFET2のドレイン用のリードであり、上記端子TE3に対応している。このため、半導体装置PKGだけを単独で見ると、半導体装置PKGの複数のリードLD2と複数のリードLD4とは、電気的に接続されてはいないが、半導体装置PKGで上記インバータ回路INVを形成するために半導体装置PKGを配線基板などに実装すると、その配線基板の配線などを通じて、半導体装置PKGの複数のリードLD2と複数のリードLD4とが電気的に接続される。
【0091】
複数のリードLD1は、ダイパッドDPHとY方向に隣り合うように、封止部MRの側面MRc1側に配置され、複数のリードLD3は、ダイパッドDPLとY方向に隣り合うように、封止部MRの側面MRc3側に配置されている。
【0092】
複数のリードLD1同士は、X方向に隣り合っているが、複数のリードLD1のインナリード部同士が、封止部MR内をX方向に延在するリード連結部LB1によって連結された状態になっている。このため、リード連結部LB1は、複数のリードLD1のインナリード部同士を連結する連結部とみなすことができる。リード連結部LB1は、Y方向に延在する連結部LB1aを介して、ダイパッドDPHと一体的に接続されている。複数のリードLD1と、リード連結部LB1と連結部LB1aとダイパッドDPHとは、一体的に形成されている。
【0093】
また、複数のリードLD3同士は、X方向に隣り合っているが、複数のリードLD3のインナリード部同士が、封止部MR内をX方向に延在するリード連結部LB3によって連結された状態になっている。このため、リード連結部LB3は、複数のリードLD3のインナリード部同士を連結する連結部とみなすことができる。リード連結部LB3は、Y方向に延在する連結部LB3aを介して、ダイパッドDPLと一体的に接続されている。複数のリードLD3と、リード連結部LB3と連結部LB3aとダイパッドDPLとは、一体的に形成されている。
【0094】
本実施の形態の半導体装置PKGにおいては、封止部MRの側面MRc1側に、上記端子TE1に対応する複数のリードLD1と、上記端子TE4に対応する複数のリードLD4とが配置され、封止部MRの側面MRc3側に、上記端子TE2に対応する複数のリードLD2と、上記端子TE3に対応する複数のリードLD3とが配置されている。上記端子TE1に対応する複数のリードLD1と、上記端子TE2に対応する複数のリードLD2とは、ダイパッドDPH(半導体チップCPH)を間に挟んで、反対側(Y方方向における反対側)にある。また、上記端子TE4に対応する複数のリードLD4と、上記端子TE3に対応する複数のリードLD3とは、ダイパッドDPL(半導体チップCPL)を間に挟んで、反対側(Y方方向における反対側)にある。
【0095】
このため、複数のリードLD1からなるリード群と複数のリードLD4からなるリード群とが、封止部MRの同じ側面MRc1側に配置されているが、X方向に見ると、複数のリードLD4からなるリード群よりも複数のリードLD1からなるリード群の方が、封止部MRの側面MRc2に近い位置にある。また、複数のリードLD2からなるリード群と複数のリードLD3からなるリード群とが、封止部MRの同じ側面MRc3側に配置されているが、X方向に見ると、複数のリードLD3からなるリード群よりも複数のリードLD2からなるリード群の方が、封止部MRの側面MRc2に近い位置にある。
【0096】
また、封止部MRの側面MRc1側において、複数のリードLD1からなるリード群と複数のリードLD4からなるリード群との間に、複数のリードLD5aからなるリード群が配置されている。また、封止部MRの側面MRc3側において、複数のリードLD2からなるリード群と複数のリードLD3からなるリード群との間に、複数のリードLD5bからなるリード群が配置されている。
【0097】
このため、封止部MRの側面MRc1側において、ダイパッドDPHからダイパッドDPLに向かう方向に、複数のリードLD1からなるリード群と、複数のリードLD5aからなるリード群と、複数のリードLD4からなるリード群とが、この順で並んでいる。また、封止部MRの側面MRc3側において、ダイパッドDPHからダイパッドDPLに向かう方向に、複数のリードLD2からなるリード群と、複数のリードLD5bからなるリード群と、複数のリードLD3からなるリード群とが、この順で並んでいる。
【0098】
また、ダイパッドDPCには、複数のリードLD8が一体的に連結されている。これらのリードLD8は、半導体装置PKGを製造する際に、ダイパッドDPCを後述のリードフレームLFのフレーム枠に支持するために用いられたものである。このため、リードLD8は、半導体チップCPC,CPH,CPLのいずれのパッドにも電気的に接続されてはおらず、また、半導体チップCPH,CPLの裏面電極BEH,BELにも電気的に接続されていない。このため、リードLD8は、半導体装置PKG内の半導体チップCPCと半導体装置PKGの外部の上記制御回路CTとの間の信号伝送経路としては機能せず、また、半導体装置PKG内の半導体チップCPH,CPLと半導体装置PKGの外部の上記モータMOT(コイルCL)との間の電流経路としても機能しない。ダイパッドDPCに連結されているリードLD8は、封止部MRの側面MRc1側と側面MRc3側とに、それぞれ配置されている。
【0099】
また、ダイパッドDPHには、封止部MRの側面MRc3側に配置されたリードLD6が一体的に連結されている。このリードLD6は、半導体装置PKGを製造する際に、ダイパッドDPHを後述のリードフレームLFのフレーム枠に支持するために用いられたものである。また、ダイパッドDPLには、封止部MRの側面MRc1側に配置されたリードLD7が一体的に連結されている。このリードLD7は、半導体装置PKGを製造する際に、ダイパッドDPLを後述のリードフレームLFのフレーム枠に支持するために用いられたものである。リードLD6の数は、リードLD1の数よりも少なく、1本で良い。また、リードLD7の数は、リードLD3の数よりも少なく、1本で良い。
【0100】
また、ダイパッドDPHに一体的に連結された吊りリードTLが、封止部MRの側面MRc2側に配置され、ダイパッドDPLに一体的に連結された吊りリードTLが、封止部MRの側面MRc4側に配置されている。この吊りリードTLは、半導体装置PKGを製造する際に、ダイパッドDPH,DPLを後述のリードフレームLFのフレーム枠に支持するために用いられたものである。吊りリードTLは、封止部MRの側面からは突出していない。
【0101】
封止部MRの側面MRc1側に配置された複数のリードLD1と、封止部MRの側面MRc3側に配置されたリードLD6とは、ダイパッドDPHと一体的に形成されているため、ダイパッドDPH上に搭載された半導体チップCPHの裏面電極BEHと電気的に接続されている。また、封止部MRの側面MRc3側に配置された複数のリードLD3と、封止部MRの側面MRc1側に配置されたリードLD7とは、ダイパッドDPLと一体的に形成されているため、ダイパッドDPL上に搭載された半導体チップCPLの裏面電極BELと電気的に接続されている。しかしながら、リードLD6,LD7は、半導体装置PKG内の半導体チップCPH,CPLと半導体装置PKGの外部の上記モータMOT(コイルCL)との間の電流経路としては機能せず、また、半導体装置PKG内の半導体チップCPCと半導体装置PKGの外部の上記制御回路CTとの間の信号伝送経路としても機能しない。
【0102】
すなわち、半導体装置PKGにおいては、パワーMOSFET1がオン状態のときは、パワーMOSFET1のドレイン用のリードLD1から、半導体チップCPH(パワーMOSFET1)を通じて、パワーMOSFET1のソース用のリードLD2に、電流が流れるようになっている。また、半導体装置PKGにおいては、パワーMOSFET2がオン状態のときは、パワーMOSFET2のドレイン用のリードLD3から、半導体チップCPL(パワーMOSFET2)を通じて、パワーMOSFET2のソース用のリードLD4に、電流が流れるようになっている。パワーMOSFET1をオン状態にしたときに、パワーMOSFET1を介して流れる電流の経路として機能するのは、リードLD6ではなくリードLD1であり、また、パワーMOSFET2をオン状態にしたときに、パワーMOSFET2を介して流れる電流の経路として機能するのは、リードLD7ではなくリードLD3である。
【0103】
また、半導体装置PKGにおいて、パワーMOSFET1のソースに電気的に接続されたソース用リード(ここではリードLD2)は、封止部MRの側面MRc3側にしか配置されておらず、封止部MRの側面MRc1,MRc2,MRc4側には配置されていない。また、半導体装置PKGにおいて、パワーMOSFET2のソースに電気的に接続されたソース用リード(ここではリードLD4)は、封止部MRの側面MRc1側にしか配置されておらず、封止部MRの側面MRc2,MRc3,MRc4側には配置されていない。
【0105】
半導体装置PKGを製造するには、まず、リードフレームLFを準備し、また、半導体チップCPC,CPH,CPLを準備する。リードフレームLFと半導体チップCPC,CPH,CPLとは、どちらを先に準備してもよく、また、同時に準備してもよい。
【0106】
図14に示されるように、リードフレームLFは、フレーム枠(図示せず)と、ダイパッドDPC,DPH,DPLと、複数のリードLDと、リード連結部LB1,LB2,LB3,LB4と、吊りリードTLと、を一体的に有している。各リードLDは、一方の端部がフレーム枠に連結されている。各ダイパッドDPC,DPH,DPLは、一部のリードLDを介して、フレーム枠と連結されている。具体的には、ダイパッドDPCは、リードLD8によってフレーム枠に連結され、ダイパッドDPHは、リードLD1,LD6および吊りリードTLによってフレーム枠に連結され、ダイパッドDPLは、リードLD3,LD7および吊りリードTLによってフレーム枠に連結されている。リードフレームLFは、例えば、銅(Cu)を主成分とする金属材料からなり、具体的には、銅(Cu)または銅(Cu)合金からなる。
図14には、リードフレームLFのうち、そこから1つの半導体装置PKGが製造される領域が示されている。
【0107】
なお、モールド工程を行って封止部MRを形成するまでは、リードフレームLFは、ダイパッドDPC,DPH,DPLの主面DPCa,DPHa,DPLaが上方を向いた状態で、以下の製造工程(組立工程)が行われる。
【0108】
次に、
図15に示されるように、半導体チップCPH,CPLのダイボンディング工程を行って、リードフレームLFのダイパッドDPHの主面DPHa上に半導体チップCPHを導電性の接合材(ダイボンディング材)を介して搭載し、ダイパッドDPLの主面DPLa上に半導体チップCPLを導電性の接合材(ダイボンディング材)を介して搭載する。導電性の接合材としては、例えば銀ペーストなどを用いることができる。この際、半導体チップCPH,CPLの裏面側がダイパッドDPH,DPLの主面DPHa,DPLa側を向くように、半導体チップCPH,CPLを搭載(配置)する。その後、導電性の接合材を硬化する処理(熱処理)を行うことで、硬化した導電性の接合材からなる接着層BD1,BD2が形成される。これにより、半導体チップCPH,CPLが接着層BD1,BD2によってダイパッドDPH,DPLに接合されて固定される。なお、
図15には、接着層BD1,BD2は図示されないが、接着層BD1,BD2は、上記
図10、
図12および
図13に示されている。その後、プラズマによる清浄化処理(プラズマクリーニング処理)を行うこともできる。このプラズマクリーニング処理によって、半導体チップCPH,CPLのパッドPDHS1,PDLS1が清浄化され、後で金属板MP1,MP2を接合しやすくなる。
【0109】
次に、
図16に示されるように、ダイパッドDPH上に搭載されている半導体チップCPHのソース用のパッドPDHS1と、リードフレームLFのリード連結部LB2とを、金属板MP1を介して接続し、また、ダイパッドDPL上に搭載されている半導体チップCPLのソース用のパッドPDLS1と、リードフレームLFのリード連結部LB4とを、金属板MP2を介して接続する。すなわち、半導体チップCPHのパッドPDHS1と、リード連結部LB2に一体的に連結されている複数のリードLD2とを、金属板MP1を介して電気的に接続し、また、半導体チップCPLのパッドPDLS1と、リード連結部LB4に一体的に連結されている複数のリードLD4とを、金属板MP2を介して電気的に接続する。
【0110】
金属板MP1は、半導体チップCPHのソース用のパッドPDHS1に導電性の接着層(接合材)BD4を介して接合され、また、リード連結部LB2に導電性の接着層(接合材)BD5を介して接合される。また、金属板MP2は、半導体チップCPLのソース用のパッドPDLS1に導電性の接着層(接合材)BD6を介して接合され、また、リード連結部LB4に導電性の接着層(接合材)BD7を介して接合される。接着層BD4,BD5,BD6,BD7としては、例えば、銀ペーストまたは半田などを用いることができる。なお、
図16には、接着層BD4,BD5,BD6,BD7は図示されないが、接着層BD4,BD5,BD6,BD7は、上記
図10および
図12に示されている。
【0111】
なお、ここでは、半導体チップCPCをダイパッドDPC上に搭載する前に、金属板MP1,MP2の接合工程を行う場合について説明している。ダイパッドDPCを搭載する前に、金属板MP1,MP2の接合工程を行うのは、金属板MP1,MP2の接合工程に伴う熱処理(金属板MP1,MP2用の接合材(BD4,BD5,BD6,BD7)の硬化工程など)に半導体チップCPCが晒されるのを防ぐためである。これにより、半導体チップCPCの信頼性をより向上させることができる。
【0112】
次に、
図17に示されるように、半導体チップCPCのダイボンディング工程を行って、リードフレームLFのダイパッドDPCの主面DPCa上に半導体チップCPCを接合材(ダイボンディング材)を介して搭載する。接合材としては、例えば銀ペーストまたは絶縁性ペーストなどを用いることができる。この際、半導体チップCPCの裏面側がダイパッドDPCの主面DPCa側を向くように、半導体チップCPCを搭載(配置)する。その後、接合材を硬化する処理(熱処理)を行うことで、硬化した接合材からなる接着層BD3が形成される。これにより、半導体チップCPCが接着層BD3によってダイパッドDPCに接合されて固定される。なお、
図17には、接着層BD3は図示されないが、接着層BD3は、上記
図11および
図13に示されている。その後、プラズマクリーニング処理を行うこともできる。このプラズマクリーニング処理によって、半導体チップCPC,CPH,CPLのパッドが清浄化され、ワイヤBWを接合しやすくなる。
【0113】
次に、
図18に示されるように、ワイヤボンディング工程を行う。すなわち、半導体チップCPHの複数のパッド(PDHG,PDHS2,PDHA,PDHC)と半導体チップCPCの複数のパッド(PDC)との間、半導体チップCPLの複数のパッド(PDLG,PDLS2,PDLA,PDLC)と半導体チップCPCの複数のパッド(PDC)との間、および、半導体チップCPCの複数のパッド(PDC)とリードフレームLFの複数のリード(LD5a,LD5b)との間を、それぞれワイヤBWを介して電気的に接続する。
【0114】
異なる材料からなる複数種類のワイヤを、ワイヤBWとして用いることもできる。例えば、半導体チップCPCの複数のパッド(PDC)とリードフレームLFの複数のリード(LD5a,LD5b)との間を、それぞれ、銅(Cu)からなるワイヤBWを介して電気的に接続する。そして、半導体チップCPHの複数のパッド(PDHG,PDHS2,PDHA,PDHC)と半導体チップCPCの複数のパッド(PDC)との間、および、半導体チップCPLの複数のパッド(PDLG,PDLS2,PDLA,PDLC)と半導体チップCPCの複数のパッド(PDC)との間を、それぞれ、金(Au)からなるワイヤBWを介して電気的に接続する。
【0115】
次に、モールド工程(樹脂成形工程)による樹脂封止を行って、
図19〜
図22に示されるように、半導体チップCPC,CPH,CPLおよびそれに接続された複数のワイヤBWと金属板MP1,MP2とを封止部MRによって封止する。このモールド工程によって、半導体チップCPC,CPH,CPL、ダイパッドDPC,DPH,DPL、複数のワイヤBW、金属板MP1,MP2、リード連結部LB1,LB2,LB3,LB4および複数のリードLDのインナリード部を封止する封止部MRが形成される。
図20〜
図22にも示されるように、モールド工程においては、封止部MRの主面MRaからダイパッドDPC,DPH,DPLの各裏面DPCb,DPHb,DPLbが露出するように、封止部MRを形成する。
【0116】
なお、このモールド工程までの各工程は、ダイパッドDPC,DPH,DPLの主面DPCa,DPHa,DPLaが上方を向いた状態で、行われる。このため、モールド工程を行って封止部MRを形成した段階では、封止部MRの裏面MRbが上方を向いている。しかしながら、製造された半導体装置PKGを配線基板などに実装する際には、封止部MRの裏面MRbが配線基板と対向するように、半導体装置PKGが配線基板に実装される。
【0117】
次に、封止部MRから露出しているリードLDのアウタリード部に必要に応じてめっき層(図示せず)を形成する。その後、封止部MRとともにリードフレームLFの上下(表裏)を反転させてから、封止部MRの外部において、リードLDを所定の位置で切断して、リードフレームLFのフレーム枠から分離する。
【0118】
次に、封止部MRから突出するリードLDのアウタリード部を折り曲げ加工(リード加工、リード成形)する。
【0119】
このようにして、上記
図5〜
図12に示されるような半導体装置PKGが製造される。
【0121】
本実施の形態の半導体装置PKGは、インバータ回路INVを構成する半導体装置であり、1つの半導体装置PKGによって1つのインバータ回路INVを形成することができる。12相BLDCモータである上記モータMOTを制御する場合は、インバータ回路INVは12個必要であるため、半導体装置PKGは12個必要であり、共通の配線基板(実装基板、PCB(Printed circuit board)基板)PB1上に12個の半導体装置PKGが実装される。
【0122】
配線基板PB1と、配線基板PB1上に実装(搭載)された12個の半導体装置PKGとにより、上記制御ボードPBが構成される。すなわち、上記制御ボードPBは、配線基板PB1上に12個の半導体装置PKGが実装(搭載)されたものに対応している。このため、配線基板PB1の平面形状が、制御ボードPBの平面形状になる。制御ボードPBの平面形状は円形状であるため、配線基板PB1の平面形状も円形状である。
【0123】
図23の場合と
図24の場合のいずれにおいても、円形状の配線基板PB1の主面(上面)PB1a上に、複数(ここでは12個)の半導体装置PKGが、配線基板PB1の周縁部(縁、外周)に沿って、環状に並んで配置されている。また、
図23の場合と
図24の場合のいずれにおいても、平面視において、円形の配線基板PB1上に配置された複数(12個)の半導体装置PKGのそれぞれと、円形の配線基板PB1の中心との間の距離は、互いに同じになっている。
【0124】
なお、
図23の場合は、配線基板PB1上に配置された12個の半導体装置PKGのそれぞれにおいて、短手方向(Y方向、すなわち側面MRc2,MRc4に平行な方向)が、配線基板PB1の平面形状を構成する円の半径方向に略平行になっている。一方、
図24の場合は、配線基板PB1上に配置された12個の半導体装置PKGのそれぞれにおいて、長手方向(X方向、すなわち側面MRc1,MRc3に平行な方向)が、配線基板PB1の平面形状を構成する円の半径方向に略平行になっている。
【0125】
また、配線基板PB1には、上記ステアリング・シャフトSF(上記
図2参照)が貫通するための孔(貫通孔、開口部)HLが設けられている。この孔HLは、平面視において、円形状の配線基板PB1の略中心に形成されており、配線基板PB1を貫通している。孔HLの平面形状は、上記ステアリング・シャフトSFの断面形状(ステアリング・シャフトSFの軸方向に対して略垂直な断面形状)とほぼ一致しており、例えば略円形状である。配線基板PB1に孔HLを設けたことで、12個の半導体装置PKGが実装された配線基板PB1(すなわち上記制御ボードPB)を、配線基板PB1の孔HLに上記ステアリング・シャフトSFが貫通するように、配置させることができる(上記
図2参照)。
【0126】
なお、ここでは、平面形状が円形状で、かつ孔HLが設けられている配線基板PB1上に複数(より特定的には12個)の半導体装置PKGを実装した場合について説明したが、他の形態として、平面形状は円形状であるが、孔HLは有していない配線基板PB1上に複数(より特定的には12個)の半導体装置PKGを実装する場合もあり得る。
【0127】
図25〜
図28は、
図23の要部断面図か、あるいは、
図24の要部断面図に対応している。
図25の断面図は、上記
図10に相当する位置(すなわち上記
図5〜
図7のA1−A1線に相当する位置)での断面図であり、
図26の断面図は、上記
図11に相当する位置(すなわち上記
図5〜
図7のA2−A2線に相当する位置)での断面図である。また、
図27の断面図は、上記
図12に相当する位置(すなわち上記
図5〜
図7のA3−A3線に相当する位置)での断面図であり、
図28の断面図は、上記
図13に相当する位置(すなわち上記
図5〜
図7のA4−A4線に相当する位置)での断面図である。
【0128】
図25〜
図28にも示されるように、各半導体装置PKGは、封止部MRの裏面MRbが配線基板PB1の主面(上面)PB1aに対向する向きで、配線基板PB1の主面PB1a上に搭載されている。そして、各半導体装置PKGの複数のリードLDが、配線基板PB1の主面PB1aに形成された複数の端子(電極)TMに、それぞれ半田などの導電性の接合材SDを介して接合されて固定されている。すなわち、各半導体装置PKGの複数のリードLDは、配線基板PB1の主面PB1aに形成された複数の端子TMに、それぞれ、導電性の接合材SDを介して電気的に接続されている。
【0129】
配線基板PB1が有する複数の端子TMは、配線基板PB1の配線などを介して上記電位(電源電位)VINが供給される端子TM1と、配線基板PB1の配線などを介してグランド電位GNDが供給される端子TM4と、を含んでいる。また、配線基板PB1が有する複数の端子TEは、配線基板PB1の配線などを介して上記制御回路CTに電気的に接続される端子TM5と、配線基板PB1の配線などを介して上記モータMOT(コイルCL)に接続される端子TM2,TM3と、も含んでいる。配線基板PB1の各端子TMは、配線基板PB1の配線と電気的に接続されている。また、配線基板PB1の端子TM2と端子TM3とは、配線基板PB1の配線などを介して、互いに電気的に接続されている。配線基板PB1としては、配線基板の一方の主面にだけ配線層(配線)が形成された配線基板、または、配線基板の互いに反対側に位置する両方の主面に配線層(配線)が形成された配線基板、あるいは、配線基板の両方の主面と配線基板の内部とに配線層(配線)が形成された配線基板(いわゆる多層配線基板)、などを用いることができる。
【0130】
各半導体装置PKGにおいて、リードLD1は、端子TM1に導電性の接合材(半田)SDを介して接合されて電気的に接続され、リードLD2は、端子TM2に導電性の接合材(半田)SDを介して接合されて電気的に接続され、リードLD3は、端子TM3に導電性の接合材(半田)SDを介して接合されて電気的に接続されている。また、各半導体装置PKGにおいて、リードLD4は、端子TM4に導電性の接合材(半田)SDを介して接合されて電気的に接続され、リードLD5a,LD5bは、端子TM5に導電性の接合材(半田)SDを介して接合されて電気的に接続されている。
【0131】
これにより、配線基板PB1の配線などを経由して配線基板PB1の端子TM1から半導体装置PKGのリードLD1に上記電位(電源電位)VINが供給され、更にリードLD1から半導体装置PKG内のダイパッドDPHを介して半導体装置PKG内の半導体チップCPHの裏面電極BEHにその電位VINが供給される。また、配線基板PB1の配線などを経由して配線基板PB1の端子TM4から半導体装置PKGのリードLD4にグランド電位GNDが供給され、更にリードLD4から半導体装置PKG内の金属板MP2を介して半導体装置PKG内の半導体チップCPLのソース用のパッドPDLS1にそのグランド電位GNDが供給される。また、半導体装置PKG内の半導体チップCPC内に形成されている上記制御回路CLCは、半導体装置PKG内の半導体チップCPCのパッドPDC、半導体装置PKG内のワイヤBW、半導体装置PKGのリードLD5a,LD5b、配線基板PB1の端子TM5および配線基板PB1の配線などを通じて、上記制御回路CTと、信号のやり取りを行うことができるようになっている。
【0132】
また、半導体装置PKGのリードLD2とリードLD3とは、それぞれ導電性の接合材(半田)SDを介して端子TM2と端子TM3とに電気的に接続されているが、配線基板PB1の端子TM2と端子TM3とは、配線基板PB1の配線などを介して電気的に接続されている。すなわち、配線基板PB1の端子TM2と端子TM3とは、半導体装置PKGの外部において、導体(具体的には配線基板PB1の配線など)を介して電気的に接続されている。このため、半導体装置PKGを配線基板PB1上に実装した状態では、半導体装置PKGのリードLD2とリードLD3とは、配線基板PB1の端子TM2,TM3および配線を介して互いに電気的に接続され、更に配線基板PB1の配線などを通じて、上記モータ(コイルCL)に電気的に接続される。
【0133】
また、
図25〜
図28の場合は、配線基板PB1上に搭載された各半導体装置PKGの封止部MRの主面MRa上に、絶縁性の接着材BD11を介して、ヒートシンク(筐体)HSが配置(搭載)されている。絶縁性の接着材BD11としては、例えば、絶縁性を有する熱伝導性グリースなどを用いることができる。ヒートシンクHSとしては、例えば、フィン型のヒートシンクなどを用いることができる。
【0134】
半導体装置PKGにおいて、封止部MRの主面MRaからダイパッドDPC,DPH,DPLの裏面DPCb,DPHb,DPLbが露出されているが、このダイパッドDPC,DPH,DPLの裏面DPCb,DPHb,DPLbは、絶縁性の接着材BD11を介してヒートシンクHSに接合されている。すなわち、半導体装置PKGのダイパッドDPC,DPH,DPLの裏面DPCb,DPHb,DPLbとヒートシンクHSとの間には、絶縁性の接着材BD11が介在している。これにより、半導体装置PKG内の半導体チップCPC,CPH,CPLで発生した熱を、ダイパッドDPC,DPH,DPLおよび接着材BD11(熱伝導性グリース)を通じてヒートシンクHSに放熱することができる。
【0135】
また、半導体装置PKGにヒートシンクHSを取り付けるのに、絶縁性の接着材BD11を用いることで、半導体装置PKGのダイパッドDPC,DPH,DPL同士が接着材BD11およびヒートシンクHSを介して電気的に接続してしまうのを防ぎながら、熱容量が大きい(体積が大きい)ヒートシンクHSを半導体装置PKGに取り付けることができる。
【0136】
<主要な特徴と効果について>
本実施の形態の半導体装置PKGは、ハイサイドスイッチ用のパワーMOSFET1(第1電界効果トランジスタ)を含む半導体チップCPH(第1半導体チップ)と、ロウサイドスイッチ用のパワーMOSFET2(第2電界効果トランジスタ)を含む半導体チップCPL(第2半導体チップ)と、を備えている。半導体装置PKGは、更に、半導体チップCPH,CPLのそれぞれを制御する制御回路CLCを含む半導体チップCPC(第3半導体チップ)を備えている。半導体装置PKGは、更に、半導体チップCPHが搭載されるダイパッドDPH(第1チップ搭載部)と、半導体チップCPLが搭載されるダイパッドDPL(第2チップ搭載部)と、半導体チップCPCが搭載されるダイパッドDPC(第3チップ搭載部)と、を備えている。
【0137】
半導体チップCPHは、表面(第1主面)およびそれとは反対側の裏面(第1裏面)を有し、半導体チップCPLは、表面(第2主面)およびそれとは反対側の裏面(第2裏面)を有し、半導体チップCPCは、表面(第3主面)およびそれとは反対側の裏面(第3裏面)を有している。半導体チップCPHは、最上層保護膜HGH(第1保護膜)と、最上層保護膜HGHから露出し、かつ、パワーMOSFET1のソース(第1ソース)と電気的に接続されるパッドPDHS1(第1ソース電極)と、半導体チップCPHの裏面上に形成され、かつ、パワーMOSFET1のドレイン(第1ドレイン)と電気的に接続される裏面電極BEH(第1ドレイン電極)と、を有する。半導体チップCPLは、最上層保護膜HGL(第2保護膜)と、最上層保護膜HGLから露出し、かつ、パワーMOSFET2のソース(第2ソース)と電気的に接続されるパッドPDLS1(第2ソース電極)と、半導体チップCPLの裏面上に形成され、かつ、パワーMOSFET2のドレイン(第2ドレイン)と電気的に接続される裏面電極BEL(第2ドレイン電極)と、を有する。
【0138】
半導体装置PKGは、更に、半導体チップCPHの裏面電極BEHに電気的に接続されたリードLD1(第1リード)と、半導体チップCPHのパッドPDHS1に金属板MP1(第1導電性接続部材)を介して電気的に接続されたリードLD2(第2リード)と、を備えている。半導体装置PKGは、更に、半導体チップCPLの裏面電極BELに電気的に接続されたリードLD3(第3リード)と、半導体チップCPLのパッドPDLS1に金属板MP2(第2導電性接続部材)を介して電気的に接続されたリードLD4(第4リード)と、を備えている。半導体装置PKGは、更に、封止部MR(封止体)を備えており、封止部MRは、半導体チップCPH,CPL,CPCと、金属板MP1,MP2と、ダイパッドDPHの少なくとも一部と、ダイパッドDPLの少なくとも一部と、ダイパッドDPCの少なくとも一部と、リードLD1の一部と、リードLD2の一部と、リードLD3の一部と、リードLD4の一部と、を封止する。平面視において、封止部MRは、X方向(第1方向)に沿って延在する辺MRd1(第1辺)と、X方向に沿って延在し、かつ辺MRd1とは反対側に位置する辺MRd3(第2辺)と、を有している。
【0139】
本実施の形態の主要な特徴のうちの一つは、平面視において、封止部MRの辺MRd1と辺MRd3との間で、かつ、半導体チップCPHと半導体チップCPLとの間に、半導体チップCPCが配置されていることである。
【0140】
本実施の形態の主要な特徴のうちの他の一つは、リードLD1とリードLD4とは、封止部MRの辺MRd1と交差し、リードLD2とリードLD3とは、封止部MRの辺MRd3と交差していることである。すなわち、リードLD1とリードLD4とは、封止部MRの側面MRc1側に配置され、リードLD2とリードLD3とは、封止部MRの側面MRc3側に配置されている。なお、半導体装置PKGにおいては、リードLD1から半導体チップCPHのパワーMOSFET1を介してリードLD2に電流が流れ、また、リードLD3から半導体チップCPLのパワーMOSFET2を介してリードLD4に電流が流れるようになっている。
【0141】
以下、このような特徴を採用した理由について説明する。
【0142】
半導体チップCPH,CPLは、いずれもスイッチング用の電界効果トランジスタ(パワートランジスタ)が形成された半導体チップであるため、発熱量が大きい。このため、半導体チップCPH,CPLは、熱源となり得る。本実施の形態とは異なり、半導体チップCPHと半導体チップCPLとの間に半導体チップCPCを配置せずに、半導体チップCPHと半導体チップCPLとを互いに隣り合うように配置する場合も考えられる。この場合は、例えば、X方向に半導体チップCPHと半導体チップCPLと半導体チップCPCとが順に並ぶ場合や、あるいは、X方向に半導体チップCPCと半導体チップCPHと半導体チップCPLとが順に並ぶ場合などに対応している。しかしながら、発熱量が大きい半導体チップCPHと半導体チップCPLとを互いに隣り合うように配置してしまうと、半導体チップCPHと半導体チップCPLとの熱的な干渉が発生してしまい、半導体装置の信頼性が低下する虞がある。これは、発熱量が大きい半導体チップCPHと半導体チップCPLとを互いに隣り合うように配置してしまうと、半導体チップCPHの発熱の影響を半導体チップCPLが受けやすくなり、また、半導体チップCPLの発熱の影響を半導体チップCPHが受けやすくなるからである。
【0143】
そこで、本実施の形態の半導体装置PKGでは、平面視において、半導体チップCPHと半導体チップCPLとの間に、半導体チップCPCを配置している。半導体チップCPHと半導体チップCPLとの間に半導体チップCPCを配置したことで、半導体チップCPHと半導体チップCPLとの間の距離(間隔)を大きくすることができるため、半導体チップCPHと半導体チップCPLとの熱的な干渉を抑制または防止できる。すなわち、半導体チップCPHと半導体チップCPLとの間に半導体チップCPCを配置したことで、半導体チップCPHの発熱の影響を半導体チップCPLが受けにくくなり、また、半導体チップCPLの発熱の影響を半導体チップCPHが受けにくくなる。このため、半導体装置PKGの信頼性を向上させることができる。従って、半導体装置PKGの性能を向上させることができる。
【0144】
また、平面視において、半導体チップCPHと半導体チップCPLとの間に半導体チップCPCを配置したことで、半導体装置PKGの寸法を抑制しながら、半導体チップCPHと半導体チップCPLとの間の距離を大きくすることができるため、半導体チップCPHと半導体チップCPLとの熱的な干渉の抑制と、半導体装置PKGの小型化とを、両立させることができる。
【0145】
ところで、ハイサイドスイッチ用のパワーMOSFET1と、ロウサイドスイッチ用のパワーMOSFET2とは、直列に接続する必要があるため、半導体チップCPHのパッドPDHS1(パワーMOSFET1のソース用のパッド電極)と、半導体チップCPLの裏面電極BEL(パワーMOSFET2のドレイン用の裏面電極)とを、電気的に接続する必要がある。
【0146】
本実施の形態とは異なり、半導体チップCPHと半導体チップCPLとが互いに隣り合っている場合には、半導体チップCPLを搭載するダイパッドDPLと、半導体チップCPHのパッドPDHS1とを、金属板で接続することができ、その金属板を介して、半導体チップCPHのパッドPDHS1と半導体チップCPLの裏面電極BELとを電気的に接続することができる。このため、本実施の形態とは異なり、半導体チップCPHと半導体チップCPLとが互いに隣り合っている場合には、半導体装置PKG内において(すなわち封止部MR内において)、半導体チップCPHのパッドPDHS1と半導体チップCPLの裏面電極BELとを導体を介して接続することは容易である。
【0147】
しかしながら、本実施の形態では、上述のように、半導体チップCPHと半導体チップCPLとの熱的な干渉を防ぐために、半導体チップCPHと半導体チップCPLとの間に半導体チップCPCを配置している。この場合、半導体チップCPLを搭載するダイパッドDPLと半導体チップCPHのパッドPDHS1とを金属板で接続するのは、半導体チップCPH,CPL間に存在する半導体チップCPCが邪魔になるため、困難である。このため、本実施の形態のように半導体チップCPHと半導体チップCPLとの間に半導体チップCPCを配置した場合には、半導体装置PKG内において(すなわち封止部MR内において)、半導体チップCPHのパッドPDHS1と半導体チップCPLの裏面電極BELとを導体を介して接続することは困難である。
【0148】
そこで、本実施の形態では、半導体チップCPHのパッドPDHS1に(金属板MP1を介して)電気的に接続されたリードLD2(第2リード)と、半導体チップCPLの裏面電極BELに電気的に接続されたリードLD3(第3リード)とを、半導体装置PKGに設けている。これにより、半導体装置PKGのリードLD2とリードLD3とを、半導体装置PKGの外部において電気的に接続することができ、それによって、半導体チップCPHのパッドPDHS1(パワーMOSFET1のソース用のパッド電極)と、半導体チップCPLの裏面電極BEL(パワーMOSFET2のドレイン用の裏面電極)とを、電気的に接続することができるようになる。例えば、半導体装置PKGを配線基板PB1上に実装した際に、その配線基板PB1の配線などを介して、半導体装置PKGのリードLD2とリードLD3とを電気的に接続することができる。
【0149】
このため、本実施の形態では、半導体チップCPHの裏面電極BEHに電気的に接続されたリードLD1と、半導体チップCPHのパッドPDHS1に電気的に接続されたリードLD2と、半導体チップCPLの裏面電極BELに電気的に接続されたリードLD3と、半導体チップCPLのパッドPDLS1に電気的に接続されたリードLD4と、を半導体装置PKGに設けている。これにより、半導体装置PKGを配線基板PB1に実装した状態では、電位(電源電位)VINをリードLD1に供給し、それよりも低い基準電位(グランド電位GND)をリードLD4に供給することができ、かつ、半導体チップCPHが含むパワーMOSFET1と半導体チップCPLが含むパワーMOSFET2とを、電位VINと基準電位(GND)との間に直列に接続することができる。これにより、半導体チップCPHが含むパワーMOSFET1を、ハイサイドスイッチとして機能させ、半導体チップCPLが含むパワーMOSFET2を、ロウサイドスイッチとして機能させることができる。
【0150】
しかしながら、本実施の形態では、半導体装置PKGにこれらのリードLD1,LD2,LD3,LD4を単に設けただけではなく、これらのリードLD1,LD2,LD3,LD4の配置位置を工夫している。
【0151】
すなわち、本実施の形態では、平面視において、リードLD1とリードLD4とは、封止部MRの側面MRc1側に配置され、リードLD2とリードLD3とは、封止部MRの側面MRc3側に配置されている。すなわち、封止部MRの同じ側面(ここでは側面MRc3)側にリードLD2とリードLD3とを配置し、それとは反対側の側面(ここでは側面MRc1)側にリードLD1とリードLD4とを配置している。つまり、平面視において、リードLD1とリードLD4とは、封止部MRの辺MRd1と交差し、リードLD2とリードLD3とは、封止部MRの辺MRd3と交差している。
【0152】
本実施の形態では、封止部MRの同じ側面(ここでは側面MRc3)側にリードLD2とリードLD3とを配置したことで、半導体装置PKGのリードLD2とリードLD3とを、半導体装置PKGの外部において電気的に接続しやすくなる。すなわち、半導体装置PKGを配線基板PB1上に実装した際に、その配線基板PB1の配線などを介して、半導体装置PKGのリードLD2とリードLD3とを電気的に接続しやすくなる。
【0153】
本実施の形態とは異なり、リードLD1とリードLD3とが、封止部MRの側面MRc1側に配置され、かつ、リードLD2とリードLD4とが、封止部MRの側面MRc3側に配置された場合を仮定する。この場合、封止部MRの側面MRc3側に配置されたリードLD2と、封止部MRの側面MRc1側に配置されたリードLD3とを、半導体装置を実装する配線基板PB1の配線を利用して電気的に接続する必要がある。しかしながら、封止部MRの互いに反対側の側面に配置されたリード同士を配線基板PB1の配線を利用して電気的に接続しようとすると、配線基板PB1に効率的に配線を配置することが難しくなり、配線設計の制約が大きくなってしまう。このため、配線基板PB1において、リードLD2とリードLD3とを接続する配線だけでなく、それ以外の配線も効率的に配置しにくくなってしまう。これは、配線基板PB1の配線設計の自由度の低下を招き、また、配線基板PB1の平面寸法の増大につながる虞もある。
【0154】
つまり、封止部MRの同じ側面(MRc3)にリードLD2とリードLD3の両方が配置されている場合と、封止部MRの互いに反対側の2つの側面(MRc1,MRc3)の一方にリードLD2が、他方にリードLD3が配置されている場合とを比べると、前者の方が、リードLD2とリードLD3とを、半導体装置PKGを実装する配線基板PB1の配線を利用して電気的に接続しやすい。
【0155】
このため、本実施の形態のように、封止部MRの同じ側面(ここでは側面MRc3)側にリードLD2とリードLD3とを配置したことで、半導体装置PKGを配線基板(PB1)上に実装した際に、その配線基板(PB1)の配線を介して、半導体装置PKGのリードLD2とリードLD3とを電気的に接続しやすくなる。これにより、半導体装置PKGを実装する配線基板(PB1)に効率的に配線を配置することができ、配線基板(PB1)の配線設計の制約が小さくなる。このため、半導体装置PKGを実装する配線基板(PB1)において、リードLD2とリードLD3とを接続する配線はもちろんのこと、それ以外の配線も効率的に配置しやすくなり、配線を自由に引き回すことが可能になる。従って、半導体装置PKGを実装する配線基板(PB1)の配線設計の自由度が高くなる。また、半導体装置PKGを実装する配線基板(PB1)の平面寸法(平面積)を抑制することができる。また、半導体装置PKGの使い勝手がよくなる。なお、半導体装置PKGの工夫により、半導体装置PKGを実装する配線基板(PB1)の配線設計の自由度が高くなることは、配線基板(PB1)上に半導体装置PKGを実装した電子装置(上記制御ボードPB)の性能向上につながるため、その半導体装置PKGの性能が向上したとみなすこともできる。
【0156】
このような理由により、本実施の形態の半導体装置PKGでは、平面視において、半導体チップCPHと半導体チップCPLとの間に半導体チップCPCを配置するとともに、リードLD2とリードLD3とを、封止部MRの同じ側面(ここでは側面MRc3)側に配置し、リードLD1とリードLD4とを、それとは反対側の封止部MRの側面(ここでは側面MRc1)側に配置している。
【0157】
なお、本実施の形態では、半導体装置PKG内において、リードLD2とリードLD3とは、導体を通じて繋がってはおらず、半導体装置PKGの外部において、リードLD2とリードLD3とが電気的に接続される。具体的には、半導体装置PKGを実装する配線基板PB1の配線などを介して、半導体装置PKGのリードLD2とリードLD3とが電気的に接続される。
【0158】
次に、本実施の形態の更に他の特徴について、以下に説明する。
【0159】
本実施の形態の半導体装置PKGでは、平面視において、半導体チップCPHと半導体チップCPCと半導体チップCPLとは、X方向に並んでいる。すなわち、平面視において、X方向に延びる仮想的な直線上に半導体チップCPHと半導体チップCPCと半導体チップCPLとが配置されている。これにより、半導体装置PKG(封止部MR)のY方向の寸法を効率的に抑制することができるため、半導体装置PKGの小型化を図ることができる。
【0160】
また、本実施の形態の半導体装置PKGでは、平面視において、リードLD1とリードLD2とは、半導体チップCPHを間にして互いに反対側に位置し、また、リードLD3とリードLD4とは、半導体チップCPLを間にして互いに反対側に位置している。これにより、リードLD1,LD2,LD3,LD4を効率的に配置することができ、半導体装置PKGの小型化を図ることができる。
【0161】
また、本実施の形態の半導体装置PKGでは、リードLD1は、ダイパッドDPHに一体的に連結され、リードLD3は、ダイパッドDPLに一体的に連結されている。これにより、リードLD1と、ダイパッドDPH上に搭載された半導体チップCPHの裏面電極BEHとを、ダイパッドDPHを通じて電気的に接続することができ、また、リードLD3と、ダイパッドDPL上に搭載された半導体チップCPLの裏面電極BELとを、ダイパッドDPLを通じて電気的に接続することができる。このため、リードLD1と半導体チップCPHの裏面電極BEHとの間と、リードLD3と半導体チップCPLの裏面電極BELとの間とを、低抵抗で接続することができ、導通損失を低減することができる。これにより、半導体装置の性能を向上させることができる。
【0162】
また、本実施の形態の半導体装置PKGは、ダイパッドDPHに一体的に連結され、かつ、封止部MRの側面MRc3側に配置されたリードLD6(第5リード)と、ダイパッドDPHに一体的に連結され、かつ、封止部MRの側面MRc1側に配置されたリードLD7(第6リード)と、を更に備えている。リードLD6は、平面視において、封止部MRの辺MRd3に交差し、リードLD7は、平面視において、封止部MRの辺MRd1に交差している。
【0163】
この場合、リードLD1,LD6がダイパッドDPHに一体的に連結され、リードLD1が封止部MRの側面MRc1側に配置され、リードLD6が封止部MRの側面MRc3側に配置されていることで、半導体装置PKGを製造する際に、ダイパッドDPHをリードLD1,LD6を介してリードフレームのフレーム枠に安定して支持することができる。また、リードLD3,LD7がダイパッドDPLに一体的に連結され、リードLD3が封止部MRの側面MRc3側に配置され、リードLD7が封止部MRの側面MRc1側に配置されていることで、半導体装置PKGを製造する際に、ダイパッドDPLをリードLD3,LD7を介してリードフレームのフレーム枠に安定して支持することができる。このため、リードフレームを用いた半導体装置PKGの製造工程を行いやすくなる。
【0164】
なお、ダイパッドDPHに一体的に連結されたリードLD1,LD6のうち、リードLD1は、半導体チップCPH(パワーMOSFET1)を介して流れる電流の経路として機能するが、リードLD6は、半導体チップCPH(パワーMOSFET1)を介して流れる電流の経路としては機能しない。また、ダイパッドDPLに一体的に連結されたリードLD3,LD7のうち、リードLD3は、半導体チップCPL(パワーMOSFET2)を介して流れる電流の経路として機能するが、リードLD7は、半導体チップCPL(パワーMOSFET2)を介して流れる電流の経路としては機能しない。これは、本実施の形態の半導体装置PKGにおいては、リードLD1から半導体チップCPHのパワーMOSFET1を介してリードLD2に電流が流れ、また、リードLD3から半導体チップCPLのパワーMOSFET2を介してリードLD4に電流が流れるようになっているからである。このため、ダイパッドDPLに一体的に連結されたリードLD3は、配線基板PB1の配線を経由してリードLD2に電気的に接続する必要があるが、ダイパッドDPLに一体的に連結されたリードLD7は、配線基板PB1の配線を経由してリードLD2に電気的に接続する必要はない。このため、半導体チップCPHのパッドPDHS1と半導体チップCPLの裏面電極BELとを電気的に接続するには、半導体装置PKGを配線基板PB1上に実装した状態で、その配線基板PB1の配線を通じてリードLD2とリードLD3とを電気的に接続すればよく、半導体装置PKGのリードLD6,LD7用の配線を工夫する必要はない。このため、半導体装置PKGにリードLD6,LD7を設けても、配線基板PB1の配線設計に悪影響は生じないで済む。
【0165】
また、本実施の形態の半導体装置PKGにおいては、半導体チップCPHのパッドPDHS1とリードLD2とを電気的に接続する導電性接続部材として、金属板MP1を用い、また、半導体チップCPLのパッドPDLS1とリードLD4とを電気的に接続する導電性接続部材として、金属板MP2を用いている。これにより、導通損失を低減することができ、半導体装置の性能を向上させることができる。
【0166】
また、本実施の形態の半導体装置PKGは、半導体チップCPHの裏面電極BEHに電気的に接続されたリードLD1と、半導体チップCPHのパッドPDHS1に電気的に接続されたリードLD2と、半導体チップCPLの裏面電極BELに電気的に接続されたリードLD3と、半導体チップCPLのパッドPDLS1に電気的に接続されたリードLD4と、をそれぞれ複数有している。そして、半導体装置PKGにおいて、複数のリードLD1は、互いに連結され、かつ、平面視において封止部MRの辺MRd1にそれぞれ交差し、複数のリードLD2は、互いに連結され、かつ、平面視において封止部MRの辺MRd3にそれぞれ交差している。また、半導体装置PKGにおいて、複数のリードLD3は、互いに連結され、かつ、平面視において封止部MRの辺MRd3にそれぞれ交差し、複数のリードLD4は、互いに連結され、かつ、平面視において封止部MRの辺MRd1にそれぞれ交差している。複数のリードLD1を互いに連結させ、複数のリードLD2を互いに連結させ、複数のリードLD3を互いに連結させ、複数のリードLD4を互いに連結させていることで、導通損失を低減することができる。これにより、半導体装置の性能を向上させることができる。
【0167】
また、本実施の形態の半導体装置PKGは、半導体チップCPCの複数のパッドPDCに複数のワイヤBWを介してそれぞれ電気的に接続された複数のリードLD5a,LD5bを有している。平面視において、複数のリードLD5a(第7リード)のそれぞれは、封止部MRの辺MRd1に交差し、複数のリードLD5b(第8リード)のそれぞれは、封止部MRの辺MRd3に交差している。すなわち、複数のリードLD5aは、封止部MRの側面MRc1側に配置され、複数のリードLD5bは、封止部MRの側面MRc3側に配置されている。側面MRc1(辺MRd1)において、複数のリードLD5aは、リードLD1とリードLD4との間に配置され、側面MRc3(辺MRd3)において、複数のリードLD5bは、リードLD2とリードLD3との間に配置されている。これにより、封止部MRの寸法(特にX方向の寸法)を抑制しながら、半導体チップCPCのパッドPDCに電気的に接続されたリードLD5a,LD5bを効率的に配置することができる。このため、リードLD5a,LD5bの総数の増加と、半導体装置PKGの小型化とを、両立させることができる。
【0168】
また、本実施の形態の半導体装置PKGにおいては、封止部MRの主面MRaから、ダイパッドDPHの裏面DPHb、ダイパッドDPLの裏面DPLbおよびダイパッドDPCの裏面DPCbが露出している。これにより、封止部MRの主面MRaで露出するダイパッドDPH,DPC,DPLから半導体装置PKG外に放熱することができるとともに、半導体装置PKGのダイパッドDPH,DPC,DPLを配線基板PB1の端子に接続する必要が無くなる。このため、半導体装置PKGを実装するための配線基板PB1において、半導体装置PKGのダイパッドDPH,DPC,DPLに接続するための端子を設ける必要は無く、半導体装置PKGを実装した際に平面視において封止部MRに重なる領域に、配線基板PB1の配線を必要に応じて自由に配置する(引き廻す)ことができるようになる。従って、半導体装置PKGを実装する配線基板PB1の配線設計の自由度を、更に高めることができる。
【0169】
また、本実施の形態の半導体装置PKGとして、平面形状が長方形のSOP型パッケージ構造を採用することで、平面形状が略正方形のQFP(Quad Flat Package)またはQFN(Quad Flat Non leaded package)を採用した場合比べて、平面形状が円形状の配線基板PB1に、複数(ここでは12個)の半導体装置PKGを、より効率的に配置することができる。これにより、半導体装置PKGを実装する配線基板PB1(制御ボードPB)の小型化を図ることができる。
【0170】
次に、半導体チップCPH,CPC,CPL間のワイヤBWを介した接続と、半導体チップCPH,CPLにおける温度検知用ダイオードの配置位置について、
図29および
図30を参照して説明する。
【0171】
図29および
図30は、半導体装置PKGの平面透視図であり、半導体装置PKG内の半導体チップCPH,CPC,CPLが透視して示されている。なお、
図29および
図30では、図面の簡略化のために、半導体チップCPH,CPC,CPLと、半導体チップCPH,CPC,CPL間を接続するワイヤBWとを示し、それ以外については、図示を省略している。すなわち、
図29および
図30では、ダイパッドDPH,DPC,DPLおよびリードLDの図示を省略するとともに、上記
図7に示される複数のワイヤのうち、半導体チップCPCのパッドPDCとリードLD5a,LD5bとの間を接続するワイヤBWについても、図示を省略している。
【0172】
まず、上記
図7と
図29および
図30とを参照して、半導体装置PKGにおける半導体チップCPH,CPC,CPL間のワイヤBWを介した接続について説明する。
【0173】
平面視において、半導体チップCPHは、辺H1と、辺H1とは反対側に位置する辺H3と、辺H1,H3と交差する辺H2と、辺H1,H3と交差しかつ辺H2とは反対側に位置する辺H4と、を有している。半導体チップCPHは、これら4つの辺H1,H2,H3,H4を有する矩形状の平面形状を有している。半導体チップCPHの辺H1,H2,H3,H4のうち、辺H1が、半導体チップCPCと対向している。
【0174】
また、平面視において、半導体チップCPLは、辺L1と、辺L1とは反対側に位置する辺L3と、辺L1,L3と交差する辺L2と、辺L1,L3と交差しかつ辺L2とは反対側に位置する辺L4と、を有している。半導体チップCPLは、これら4つの辺L1,L2,L3,L4を有する矩形状の平面形状を有している。半導体チップCPLの辺L1,L2,L3,L4のうち、辺L1が、半導体チップCPCと対向している。
【0175】
また、平面視において、半導体チップCPCは、辺C1と、辺C1とは反対側に位置する辺C3と、辺C1,C3と交差する辺C2と、辺C1,C3と交差しかつ辺C2とは反対側に位置する辺C4と、を有している。半導体チップCPCは、これら4つの辺C1,C2,C3,C4を有する矩形状の平面形状を有している。半導体チップCPCの辺C1,C2,C3,C4のうち、辺C1が半導体チップCPHと対向し、辺C3が半導体チップCPLと対向している。
【0176】
半導体装置PKGにおいて、半導体チップCPHの辺H1,H3と半導体チップCPCの辺C1,C3と、半導体チップCPLの辺L1,L3とは、Y方向に略平行であり、また、半導体チップCPHの辺H2,H4と半導体チップCPCの辺C2,C4と半導体チップCPLの辺L2,L4とは、X方向に略平行である。なお、半導体チップCPHの辺H2と半導体チップCPCの辺C4と半導体チップCPLの辺L4とが、封止部MRの側面MRc1側に位置し、半導体チップCPHの辺H4と半導体チップCPCの辺C2と半導体チップCPLの辺L2とが、封止部MRの側面MRc3側に位置している。
【0177】
上記
図7にも示されるように、半導体チップCPCが有する複数のパッドPDCは、ワイヤBWを介してリードLD5aまたはリードLD5bに電気的に接続されるパッドPDCと、ワイヤBWを介して半導体チップCPHのパッドに電気的に接続されるパッドPDCと、ワイヤBWを介して半導体チップCPLのパッドに電気的に接続されるパッドPDCとを含んでいる。
【0178】
図7、
図29および
図30にも示されるように、半導体チップCPHが有する複数のパッドのうち、それぞれワイヤBWを介して半導体チップCPCのパッドPDCに電気的に接続される複数のパッド(ここではパッドPDHG,PDHS2,PDHA,PDHC)は、半導体チップCPHの主面において、半導体チップCPCに対向する辺H1に沿って配置されている。また、半導体チップCPLが有する複数のパッドのうち、それぞれワイヤBWを介して半導体チップCPCのパッドPDCに電気的に接続される複数のパッド(ここではパッドPDLG,PDLS2,PDLA,PDLC)は、半導体チップCPLの主面において、半導体チップCPCに対向する辺L1に沿って配置されている。また、半導体チップCPCが有する複数のパッドPDCのうち、それぞれワイヤBWを介して半導体チップCPHのパッド(ここではパッドPDHG,PDHS2,PDHA,PDHC)に電気的に接続される複数のパッドPDCは、半導体チップCPCの主面において、半導体チップCPHに対向する辺C1に沿って配置されている。また、半導体チップCPCが有する複数のパッドPDCのうち、それぞれワイヤBWを介して半導体チップCPLのパッド(ここではパッドPDLG,PDLS2,PDLA,PDLC)に電気的に接続される複数のパッドPDCは、半導体チップCPCの主面において、半導体チップCPLに対向する辺C3に沿って配置されている。
【0179】
これにより、半導体チップCPHの複数のパッドと半導体チップCPCの複数のパッドPDCとの間と、半導体チップCPLの複数のパッドと半導体チップCPCの複数のパッドPDCとの間とを、それぞれワイヤBWで接続しやすくなり、また、そのワイヤBWの長さを短くすることができる。このため、半導体装置PKGの製造工程におけるワイヤボンディング工程を行いやすくなる。また、ワイヤBWを短くすることができることで、寄生インダクタンスを低減することができる。これにより、半導体装置の性能を向上させることができる。
【0180】
次に、
図29および
図30を参照して、半導体チップCPH,CPL内における温度検知用ダイオードDA1,DA2の配置位置について説明する。
【0181】
図29および
図30に示されるように、半導体チップCPHは、温度検知用のダイオードDA1を含み、半導体チップCPLは、温度検知用のダイオードDA2を含んでいる。ダイオードDA1,DA2は、それぞれ、PN接合ダイオードからなる。但し、
図29の場合と、
図30の場合とで、半導体チップCPH,CPLにおけるダイオードDA1,DA2の配置位置が異なっている。
【0182】
すなわち、
図29の場合は、半導体チップCPHにおいては、平面視において、ダイオードDA1は、辺H2に沿うように配置され、また、半導体チップCPLにおいては、平面視において、ダイオードDA2は、辺L2に沿うように配置されている。なお、半導体チップCPHの辺H2は、半導体チップCPHにおいて、半導体チップCPCに対向する辺H1に交差する辺であり、また、半導体チップCPLの辺L2は、半導体チップCPLにおいて、半導体チップCPCに対向する辺L1に交差する辺である。
【0183】
一方、
図30の場合は、半導体チップCPHにおいては、平面視において、ダイオードDA1は、半導体チップCPCに対向する辺H1に沿うように配置され、また、半導体チップCPLにおいては、平面視において、ダイオードDA2は、半導体チップCPCに対向する辺L1に沿うように配置されている。
【0184】
ダイオードDA1,DA2の配置位置について、
図29の場合が有利な点は、ダイオードDA1,DA2の温度検知の精度を向上させることができる点である。これについて、以下に説明する。
【0185】
半導体チップCPHのダイオードDA1は、半導体チップCPHの温度を検知するために設けられたものである。ダイオードDA1の温度検知の精度を向上させるには、半導体チップCPHのダイオードDA1が半導体チップCPLの発熱の影響を受けないようにすることが有効であり、そのためには、半導体チップCPHにおけるダイオードDA1の配置位置を、半導体チップCPLから離れさせることが有効である。また、半導体チップCPLのダイオードDA2は、半導体チップCPLの温度を検知するために設けられたものである。ダイオードDA2の温度検知の精度を向上させるには、半導体チップCPLのダイオードDA2が半導体チップCPHの発熱の影響を受けないようにすることが有効であり、そのためには、半導体チップCPLにおけるダイオードDA2の配置位置を、半導体チップCPHから離れさせることが有効である。
【0186】
図29の場合は、半導体装置PKGにおいて、半導体チップCPHのダイオードDA1と半導体チップCPLのダイオードDA2との間の距離(間隔)を、大きくすることができる。別の見方をすると、
図29の場合は、半導体装置PKGにおいて、半導体チップCPHのダイオードDA1から半導体チップCPLまでの距離(間隔)を大きくすることができ、また、半導体チップCPLのダイオードDA2から半導体チップCPHまでの距離(間隔)を大きくすることができる。このため、半導体チップCPHのダイオードDA1が半導体チップCPLの発熱の影響を受けにくくなり、また、半導体チップCPLのダイオードDA2が半導体チップCPHの発熱の影響を受けにくくなるので、ダイオードDA1,DA2の温度検知の精度を向上させることができる。これにより、半導体装置の性能を向上させることができる。
【0187】
ダイオードDA1,DA2の配置位置について、
図30の場合が有利な点は、半導体チップCPH,CPLのそれぞれにおいて、パワーMOSFET用のトランジスタ素子を形成した領域の面積を大きくすることができ、それによって、半導体チップCPH,CPLのそれぞれに形成されたパワーMOSFETのオン抵抗を低減できる点である。これについて、以下に説明する。
【0188】
図29および
図30において、半導体チップCPHにおける二点鎖線で囲まれた領域が、トランジスタ形成領域RG1であり、半導体チップCPLにおける二点鎖線で囲まれた領域が、トランジスタ形成領域RG2である。ここで、トランジスタ形成領域RG1は、半導体チップCPHにおいて、パワーMOSFET1用の複数の単位トランジスタセル(ここではトレンチゲート型MISFET)が形成された領域(平面領域)に対応している。また、トランジスタ形成領域RG2は、半導体チップCPLにおいて、パワーMOSFET2用の複数の単位トランジスタセル(ここではトレンチゲート型MISFET)が形成された領域(平面領域)に対応している。
【0189】
図29の場合と
図30の場合とを比べると、半導体チップCPHにおいて、辺H2に沿ってダイオードDA1を配置した
図29の場合よりも、辺H1に沿ってダイオードDA1を配置した
図30の場合の方が、トランジスタ形成領域RG1のY方向の寸法を大きくすることができる。これは、半導体チップCPHにおいて、ダイオードDA1が形成されている領域には、パワーMOSFET1用のトランジスタ素子(トレンチゲート型MISFET)は形成できないためである。このため、半導体チップCPHにおいて、辺H2沿ってダイオードDA1を配置してしまうと、トランジスタ形成領域RG1のY方向の寸法の縮小を招いてしまう。このことは、半導体チップCPLにおいても同様であり、
図29の場合と
図30の場合とを比べると、半導体チップCPLにおいて、辺L2に沿ってダイオードDA2を配置した
図29の場合よりも、辺L1に沿ってダイオードDA2を配置した
図30の場合の方が、トランジスタ形成領域RG2のY方向の寸法を大きくすることができる。
【0190】
また、
図29の場合と
図30の場合とを比べると、半導体チップCPHにおけるトランジスタ形成領域RG1のX方向の寸法は、あまり変わらない。これは、半導体チップCPHにおいて、辺H1に沿ってワイヤボンディング用のパッド(ここではパッドPDHG,PDHS2,PDHA,PDHC)が配置されているが、それらのパッド(PDHG,PDHS2,PDHA,PDHC)の直下には、パワーMOSFET1用のトランジスタ素子(トレンチゲート型MISFET)は形成できないためである。このため、半導体チップCPHにおいて、ワイヤボンディング用のパッド(PDHG,PDHS2,PDHA,PDHC)が配置されている辺H1に、ダイオードDA1を配置したとしても、トランジスタ形成領域RG1のX方向の寸法の縮小は、それほど招かずに済む。このことは、半導体チップCPLにおいても同様であり、
図29の場合と
図30の場合とを比べると、半導体チップCPLにおけるトランジスタ形成領域RG2のX方向の寸法は、あまり変わらない。
【0191】
従って、
図29の場合と
図30の場合とを比べると、
図30の場合の方が、半導体チップCPHにおけるトランジスタ形成領域RG1の面積を大きくすることができ、また、半導体チップCPLにおけるトランジスタ形成領域RG2の面積を大きくすることができる。これにより、
図29の場合よりも、
図30の場合の方が、半導体チップCPH,CPLにおけるトランジスタ形成領域RG1,RG2の面積を大きくすることができ、それによって、半導体チップCPH,CPLに形成されたパワーMOSFET1,2のオン抵抗を低減することができる。これにより、半導体装置の性能を向上させることができる。
【0192】
また、本実施の形態の半導体装置PKGは、ハイサイドスイッチ用のパワーMOSFET1が形成された半導体チップCPHと、ロウサイドスイッチ用のパワーMOSFET2が形成された半導体チップCPLとを有しているが、半導体チップCPHの構造と半導体チップCPLの構造とは、互いに同じであれば、より好ましい。すなわち、同じ種類(同じ構造)の半導体チップを、半導体チップCPHと半導体チップCPLとに用いることが、より好ましい。これにより、半導体チップCPHと半導体チップCPLとを同じ製造工程で製造することができ、半導体装置PKGの製造コストを抑制することができる。
【0193】
半導体チップCPHの構造と半導体チップCPLの構造とが互いに同じ場合、平面視において、半導体チップCPLの向きは、半導体チップCPHを180°回転させた向きに対応している(
図29および
図30参照)。これにより、半導体チップCPHのパッドと半導体チップCPCのパッドPDCとをワイヤBWで接続しやすくなり、また、半導体チップCPLのパッドと半導体チップCPCのパッドPDCとをワイヤBWで接続しやすくなる。
【0194】
以上、本発明者によってなされた発明をその実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。