(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、鉄道車両の台車の軸箱支持装置においては、筒状の硬質筒と筒状の弾性層とを径内外方向に交互に積層して形成される軸ばね装置が用いられている。この軸ばね装置は、鉄道車両の台車の台車枠に対して車軸を適切な位置に保ち、さらに上下方向の荷重を支持して線路の状況に素早く追従させることにより、鉄道車両が高速で安全に走行できるようにするものである。このように、軸ばね装置は、鉄道車両の台車において重要部品であるため、当該軸ばね装置において積層する硬質筒と弾性層との接着部において、その接着状況(接着不良の有無)を精度良く検査することが望まれる。
【0005】
しかしながら、前記の特許文献1においては、積層ゴムのゴム層における損傷の有無を検査することは開示されているが、ゴム層と鋼板との接着部における検査に関しては何ら開示されていない。
【0006】
そこで、本発明は上記した問題点を解決するためになされたものであり、積層弾性体において交互に積層して形成される硬質筒と弾性層との接着部を非破壊で精度良く検査できる積層弾性体の検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するためになされた本発明の一形態は、筒状の硬質筒と筒状の弾性層とを同心又は略同心状態で径内外方向に交互に積層して形成される積層弾性体の検査方法において、前記弾性層における軸方向の端面に検査治具を配置し、前記検査治具を介して超音波を前記弾性層の内部に入射させることにより、前記超音波の進行方向を補正して、前記超音波を前記硬質筒と前記弾性層との接着部に対して垂直に当て、前記接着部からの前記超音波の反射波の位相の反転の有無により、前記接着部における接着状況を判定すること、を特徴とする。
【0008】
この態様によれば、検査治具により超音波の進行方向を補正して超音波を硬質筒と弾性層との接着部に対して垂直に当てながら、接着部からの超音波の反射波の位相の反転の有無により接着部における接着状況を判定する。これにより、超音波の反射波をもとに作られる信号波形において、接着部からの超音波の反射波による波形が表れ易くなる。そのため、接着部からの超音波の反射波の位相の反転の有無を、低いゲインにて確認できる。したがって、積層弾性体において交互に積層して形成される硬質筒と弾性層との接着部を非破壊で精度良く検査できる。
【0009】
上記の態様においては、前記弾性層における軸方向の端面は曲面に形成されており、前記検査治具は、前記弾性層における軸方向の端面の曲率に合わせて形成された曲面部を備え、前記検査治具の前記曲面部を前記弾性層における軸方向の端面に対向させながら、前記弾性層における軸方向の端面に前記検査治具を配置すること、が好ましい。
【0010】
この態様によれば、検査治具を弾性層における軸方向の端面に配置する際において、検査者の個人差による検査治具の配置角度や検査治具の押し付け力の違いを抑制することができる。そのため、検査者の個人差による検査精度のばらつきを抑えることができる。したがって、積層弾性体における硬質筒と弾性層との接着部を精度良く検査できる。
【0011】
上記の態様においては、前記弾性層における軸方向の端面は、径方向の外側に位置する外側部分よりも、径方向の内側に位置する内側部分が軸方向に突出するように形成され、前記内側部分に対して前記接着部は傾斜しており、前記内側部分に前記検査治具を配置すること、が好ましい。
【0012】
この態様によれば、硬質筒と弾性層が例えば円錐状又は略円錐状に積層され、弾性層における軸方向の端面における内側部分に対して硬質筒と弾性層との接着部が傾斜していても、内側部分に検査治具を配置して、検査治具を介して超音波を弾性層の内部に入射させることにより、超音波の進行方向を補正して、超音波を硬質筒と弾性層との接着部に対して垂直に当てることができる。そのため、積層弾性体における硬質筒と弾性層との接着部を精度良く検査できる。
【0013】
上記の態様においては、前記積層弾性体は、鉄道車両の台車の軸箱支持装置に用いられる軸ばね装置であること、が好ましい。
【0014】
この態様によれば、鉄道車両の台車の軸箱支持装置に用いられる軸ばね装置における硬質筒と弾性層との接着部を精度良く検査できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る積層弾性体の検査方法によれば、積層弾性体において交互に積層して形成される硬質筒と弾性層との接着部を非破壊で精度良く検査できる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。本実施形態では、検査対象の積層弾性体として、軸ばね装置1を例示する。そこで、まず、軸ばね装置1について説明する。
【0018】
軸ばね装置1は、鉄道車両の台車の軸箱支持装置に用いられる積層ゴム(軸ばねゴム)であり、車軸(不図示)の中心の前後両側のそれぞれの位置において、その軸心P(
図1参照)を上下垂直姿勢にした状態で台車枠(不図示)と軸箱(不図示)との間に設けられている。そして、軸ばね装置1は、台車枠に対して車軸を適切な位置に保ち、さらに上下方向の荷重を支持して線路の状況に素早く追従させることにより、車両が高速で安全に走行できるようにする。ここでは、軸ばね装置1として、ゴムを鋼板(例えば、鉄板)に加硫接着して成形することにより、
図1に示すようにゴムと鋼板を円錐状又は略円錐状に積層させた円錐積層ゴムを例に挙げて説明する。
【0019】
図1に示すように、軸ばね装置1は、主軸11と、外筒12と、弾性部13を有する。主軸11は、金属(例えば、鉄)により形成されている。主軸11は、筒状に形成され、軸箱の支持部に対してボルトにより固定されている。主軸11は、弾性部13との接合部分、すなわち、後述する第1弾性層22−1との接合部分として、テーパ円筒状に形成されるテーパ円筒面11aを備えている。また、主軸11は、外筒12の内径側で、かつ、やや
図1の下方に寄った位置に配置されている。なお、主軸11は、本発明における「硬質筒」の一例である。
【0020】
外筒12は、金属(例えば、鉄)により形成されている。外筒12は、筒状に形成され、主軸11と同一の軸心Pを有する。外筒12は、当該外筒12の上端部における内側にて固定される円板14を介して、台車枠にボルトにより固定されている。外筒12は、弾性部13との接合部分、すなわち、第3弾性層22−3との接合部分として、テーパ円筒状に形成されるテーパ円筒面12aを備えている。
【0021】
弾性部13は、主軸11と外筒12との間において設けられている。そして、弾性部13においては、2つの中間硬質筒21と3つの弾性層22とが、軸心Pと同心状態又は略同心状態で径内外方向について交互に積層するように形成されている。
【0022】
中間硬質筒21は、金属(例えば、鉄)により形成されている。中間硬質筒21は、
図1の下側に行くに従って径がやや大きくなるテーパ円筒状に形成されている。そして、弾性部13は、2つの中間硬質筒21として、内側中間硬質筒21A(第1中間硬質筒)と、外側中間硬質筒21B(第2中間硬質筒)を備えている。
図1に示すように、内側中間硬質筒21Aの上端部21Aaと円板14の軸方向の端面14aとの間隔d1は、外側中間硬質筒21Bの上端部21Baと円板14の軸方向の端面14aとの間隔d2よりも大きく形成されている。なお、中間硬質筒21は、本発明における「硬質筒」の一例である。
【0023】
弾性層22は、ゴムにより形成されている。弾性層22は、
図1の下側に行くに従って径がやや大きくなるテーパ円筒状に形成されている。また、弾性層22における軸方向(
図1の下方向)の端面31(以下、適宜、単に「弾性層22の端面31」ともいう。)は、曲面に形成されている。そして、弾性部13は、3つの弾性層22として、第1弾性層22−1と第2弾性層22−2と第3弾性層22−3を備えている。
【0024】
本実施形態では、
図1に示すように、主軸11および中間硬質筒21と弾性層22とは、円錐状又は略円錐状に積層している。そして、
図1に示すように、弾性層22の端面31においては、径方向の外側に位置する外側部分31bよりも、径方向の内側に位置する内側部分31aが軸方向(
図1の下方向)に突出するように形成されている。
【0025】
次に、軸ばね装置1の検査装置である超音波探傷装置41について説明する。この超音波探傷装置41は、
図2に示すように、制御部51と超音波探触子52を有する。制御部51は、超音波探傷装置41の制御の全般と、軸ばね装置1の検査に関する解析を行う装置であり、後述する接着部における接着状態を判定する判定部51aを備えている。超音波探触子52は、制御部51により制御され、超音波を発信および受信する。なお、超音波探触子52の周波数帯は、例えば3.5MHzとする。
【0026】
そして、このような構成の超音波探傷装置41は、制御部51により超音波探触子52から発信させた超音波により、主軸11と弾性層22との接着部、および、中間硬質筒21と弾性層22との接着部における接着状態を検査する。なお、超音波探傷装置41を用いた軸ばね装置1の検査方法の詳細については、後述する。
【0027】
次に、軸ばね装置1の検査に用いるアダプタ61(検査治具)について説明する。アダプタ61は、樹脂(例えば、アクリル樹脂)で形成されている。
図3〜
図5に示すように、アダプタ61は、楔形(くさび形)に形成され、当該アダプタ61を軸ばね装置1の弾性層22の端面31に配置するときに、当該端面31と対面させる傾斜面71(本発明における「曲面部」の一例)と、外側に向けられる探触子取付面72を備えている。なお、
図5に示すように、傾斜面71は、探触子取付面72に対して傾斜している。また、アダプタ61は、探触子取付面72の中央部に、円形状の凹部73を備えている。この凹部73は、超音波探触子52の円柱状の筒部52aが挿入される部分である。
【0028】
このようなアダプタ61において、傾斜面71は、弾性層22の端面31(詳しくは、内側部分31a)の曲面形状に合わせて円弧状に凹んで形成されている(
図4参照)。本実施形態では、例えば、第1弾性層22−1と第2弾性層22−2と第3弾性層22−3における各々の端面31の曲率や角度に合わせて、傾斜面71における曲率半径Rと傾斜角度θ(
図4と
図5参照)を設定した3種類のアダプタ61を用意しておく。
【0029】
次に、本実施形態における軸ばね装置1の検査方法について説明する。本実施形態においては、超音波探傷装置41とアダプタ61を用いて、軸ばね装置1に対して、非破壊検査の一種である超音波探傷検査(UT:Ultrasonic Testing)を行う。
【0030】
本実施形態では、軸ばね装置1において、第1接着部B1と第2接着部B2と第3接着部B3における接着状況を検査する。ここで、
図1に示すように、第1接着部B1は、主軸11(テーパ円筒面11a)と第1弾性層22−1との接着部である。また、第2接着部B2は、内側中間硬質筒21Aと第2弾性層22−2との接着部である。また、第3接着部B3は、外側中間硬質筒21Bと第3弾性層22−3との接着部である。なお、第1接着部B1と第2接着部B2と第3接着部B3における検査方法は、いずれも同様であるので、ここでは、第1接着部B1における検査方法を代表して説明する。
【0031】
なお、以下の説明では、軸ばね装置1の検査において、軸ばね装置1を
図1に示す上下方向とは逆向きにして検査を行うこととする。しかしながら、軸ばね装置1を
図1に示す上下方向と同じ向きにして検査を行うことも可能である。
【0032】
まず、アダプタ61の傾斜面71を第1弾性層22−1の端面31における内側部分31aに対面させながら、
図6に示すように、内側部分31aにアダプタ61を配置する。このとき、第1弾性層22−1の端面31における内側部分31aとアダプタ61の傾斜面71との間に、接触媒質(例えば、グリセリン)を介在させておく。
【0033】
次に、
図6に示すように、アダプタ61の凹部73の内部に超音波探触子52の筒部52aを挿入して、凹部73の底部73aに超音波探触子52の筒部52aを配置する。このとき、底部73aと筒部52aとの間に、接触媒質(例えば、グリセリン)を介在させておく。
【0034】
次に、制御部51により超音波探触子52の筒部52aから超音波を発信させる。これにより、発信された超音波は、アダプタ61を介して第1弾性層22−1の内部に入射する。このとき、
図6に示すように、超音波の入射波は、樹脂(アダプタ61)からゴム(第1弾性層22−1)へと異なる媒質に入射することで屈折して、その進行方向(
図6に示す太い矢印の方向)が補正されることにより、第1接着部B1に対して垂直に当たる。このようにして、本実施形態では、第1接着部B1が第1弾性層22−1の端面31における内側部分31aに対して角度αで(鋭角に)傾いているが、アダプタ61を用いることにより超音波の入射波の進行方向を補正して、超音波探触子52から発信させた超音波が第1接着部B1に対して垂直に当たるように調整している。
【0035】
そして、第1接着部B1からの超音波の反射波は、第1弾性層22−1とアダプタ61を介して超音波探触子52に受信され、制御部51の判定部51aに送られる。そして、判定部51aにおいて、第1接着部B1からの超音波の反射波をもとに、第1接着部B1の接着状態が判定される。
【0036】
このとき、本実施形態では、音響インピーダンスの相対的な大小関係が異なることで、超音波の反射波の位相が反転する原理を利用して、第1接着部B1における接着状況を判定する。
【0037】
そこで、第1接着部B1における接着状況の判定手法について説明する。まず、第1接着部B1において接着状況が健全である場合、すなわち、主軸11のテーパ円筒面11aと第1弾性層22−1とが剥離しておらず接着している場合を考える。この場合において、超音波は、相対的に低い音響インピーダンスの材料(ゴム)で形成される第1弾性層22−1から入射して、相対的に高い音響インピーダンス(金属)の材料で形成される主軸11との境界部分で反射することになる。すると、このとき、第1接着部B1からの超音波の反射波をもとに判定部51aにおいて作られるRF波形(RF信号の波形、探傷図形)は、例えば
図7に示すような形状の波形となる。すなわち、
図7に示すように、正のピークの最大値P1と負のピークの最大値N1が検出される。このように、第1接着部B1からの超音波の反射波の位相は、「正」となる。
【0038】
一方、第1接着部B1において接着状況が健全でない場合、すなわち、主軸11のテーパ円筒面11aと第1弾性層22−1とが剥離している場合を考える。すると、この場合においては、主軸11のテーパ円筒面11aと第1弾性層22−1との間に空気が存在している。そのため、この場合においては、超音波は、相対的に高い音響インピーダンスの材料(ゴム)で形成される第1弾性層22−1から入射して、相対的に低い音響インピーダンスの空気との境界部分で反射することになる。すると、このとき、第1接着部B1からの超音波の反射波をもとに判定部51aにおいて作られるRF波形は、例えば
図8に示すような形状の波形となる。すなわち、
図8に示すように、正のピークの最大値P2と負のピークの最大値N2が検出される。このように、第1接着部B1からの超音波の反射波の位相は、「負」となる。
【0039】
このように、第1接着部B1からの超音波の反射波の位相について、第1接着部B1において接着状況が健全である場合には「正」となるのに対して、第1接着部B1において接着状況が健全でない場合には「負」となる。すなわち、第1接着部B1において接着状況が健全でない場合は、第1接着部B1において接着状況が健全である場合に対して、第1接着部B1からの超音波の反射波の位相が反転する。
【0040】
そこで、本実施形態では、判定部51aにおいて、このように音響インピーダンスの相対的な大小関係が異なることで超音波の反射波の位相が反転する原理を利用して、第1接着部B1における接着状況を判定する。すなわち、判定部51aは、第1接着部B1からの超音波の反射波の位相の反転の有無により、第1接着部B1における接着状況を判定する。詳しくは、判定部51aは、第1接着部B1からの超音波の反射波の位相が「正」である場合には第1接着部B1において接着状況が健全であると判定する一方、第1接着部B1からの超音波の反射波の位相が「負」である場合には第1接着部B1において接着状況が健全でないと判定する。
【0041】
そして、本実施形態では、超音波探触子52とアダプタ61を軸ばね装置1の周方向に移動させながら、軸ばね装置1の全周に亘って第1接着部B1の接着状態を検査する。このとき、判定部51aにより第1接着部B1において接着状況が健全でないと判定されたときには、さらに続けて超音波探触子52とアダプタ61を軸ばね装置1の周方向に移動させながら、判定部51aにより第1接着部B1において接着状況が健全でないと判定される範囲を軸ばね装置1にマーキングしておく。これにより、軸ばね装置1の周方向について、第1接着部B1における剥離部分の範囲を特定することができる。
【0042】
また、本実施形態では、前記のようにアダプタ61を用いることにより超音波の入射波を第1接着部B1に垂直に当てることができるので、
図7と
図8に示すように、第1接着部B1が明確に表れるRF波形が得られる。そのため、第1接着部B1からの超音波の反射波の位相の反転を低いゲインにて確認できるので、検査精度(探傷精度)が向上する。これに対し、アダプタ61を使用しない場合には、超音波の入射波を第1接着部B1に垂直に当てることが難しいため、
図9に示すように、第1接着部B1が明確に表れ難いRF波形となってしまう。そのため、検査精度が低下する。
【0043】
以上のように本実施形態によれば、軸ばね装置1の検査方法において、弾性層22における軸方向の端面31にアダプタ61を配置し、アダプタ61を介して超音波を弾性層22の内部に入射させることにより、超音波の進行方向を補正して、超音波を接着部B(第1接着部B1、第2接着部B2、第3接着部B3)に対して垂直に当て、接着部Bからの超音波の反射波の位相の反転の有無により、接着部Bにおける接着状況を判定する。
【0044】
このようにして、本実施形態によれば、アダプタ61により超音波の進行方向を補正して超音波を接着部Bに対して垂直に当てながら、接着部Bからの超音波の反射波の位相の反転の有無により接着部Bにおける接着状況を判定する。これにより、超音波の反射波をもとに作られるRF波形において、接着部Bからの超音波の反射波の波形が明確に表れ易くなる。そのため、接着部Bからの超音波の反射波の位相の反転の有無を、低いゲインにて確認できる。したがって、軸ばね装置1における接着部Bを非破壊で精度良く検査できる。
【0045】
そして、軸ばね装置1における接着部Bを非破壊で検査できるので、出荷検査時において軸ばね装置1を検査することにより軸ばね装置1の品質向上を図ることができると共に、既に出荷済みの軸ばね装置1についても在姿で検査することができる。
【0046】
また、本実施形態によれば、弾性層22の端面31は曲面に形成されており、アダプタ61は、弾性層22の端面31の曲率に合わせた傾斜面71を備え、アダプタ61の傾斜面71を弾性層22の端面31に対向させながら、弾性層22の端面31にアダプタ61を配置する。これにより、アダプタ61を弾性層22の端面31に配置する際において、検査者の個人差によるアダプタ61の配置角度やアダプタ61の押し付け力の違いを抑制することができる。そのため、検査者の個人差による検査精度のばらつきを抑えることができる。したがって、軸ばね装置1における接着部Bを精度良く検査できる。
【0047】
また、本実施形態によれば、弾性層22の端面31は、径方向の外側に位置する外側部分31bよりも、径方向の内側に位置する内側部分31aが軸方向に突出するように形成され、内側部分31aに対して接着部Bは傾斜している。そして、内側部分31aにアダプタ61を配置する。このようにして、本実施形態では、硬質筒(主軸11と中間硬質筒21)と弾性層22が円錐状又は略円錐状に積層され、弾性層22の端面31における内側部分31aに対して接着部Bが傾斜しているが、内側部分31aにアダプタ61を配置して、アダプタ61を介して超音波を弾性層22の内部に入射させる。これにより、超音波の進行方向を補正して、超音波を硬質筒(主軸11と中間硬質筒21)と弾性層22との接着部Bに対して垂直に当てることができる。そのため、軸ばね装置1における接着部Bを精度良く検査できる。
【0048】
なお、上記した実施の形態は単なる例示にすぎず、本発明を何ら限定するものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることはもちろんである。