(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記カーボンナノチューブシートと前記粘着剤層とが隣接し、かつ、前記カーボンナノチューブシートの前記粘着剤層が隣接する面とは反対の面上に、付着防止層を有する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の粘着シート。
前記カーボンナノチューブシートは、常温液体の物質の蒸気または粒子にカーボンナノチューブシートを晒す処理が施されたシートである、請求項1から請求項4及び請求項6のいずれか1項に記載の粘着シート。
前記カーボンナノチューブシートは、蒸着、CVD、スパッタ処理、分子線エピタキシー、イオンプレーティング、液体浸透、電気メッキ、無電解メッキ、蒸気噴霧、エアロゾル噴霧、およびインクジェット印刷からなる群から選ばれる一種以上の方法により、他の化合物と複合化された、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の粘着シート。
前記複合化されたカーボンナノチューブシートにおいて、前記カーボンナノチューブシートと前記他の化合物との質量比は、0.5:99.5〜5:95である、請求項8に記載の粘着シート。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[粘着シート]
図1に示されているように、本実施形態に係る粘着シート1は、カーボンナノチューブシート10と、粘着剤を含有する粘着剤層20と、を有する。本実施形態に係る粘着シート1は、カーボンナノチューブシート10の第一の面11(以下、「第一シート面11」ということもある)と、粘着剤層20の第一の面21(以下、「第一粘着面21」ということもある)とが隣接している。
【0018】
本実施形態に係る粘着シート1においては、カーボンナノチューブシート10は、基材シートとして機能する。すなわち、粘着剤層20のみでは、例えば、保管、搬送、および適用等の際にシート形状を維持することが困難であるため、カーボンナノチューブシート10は粘着シート1における補強材料として機能する。
粘着シート1は、破断伸度が10%以上である。カーボンナノチューブシート10に粘着剤層20が積層された粘着シート1において、破断伸度が10%以上であれば、粘着シート1に十分な強度を付与することができる。粘着シート1の破断伸度は、好ましくは、50%以上であり、より好ましくは100%以上である。カーボンナノチューブシート10に粘着剤層20を設けて粘着シート1とすると、カーボンナノチューブシート10単体の状態よりも、破断伸度が著しく増大する。これは、カーボンナノチューブシート10が通常の樹脂フィルム等と異なり、シートを構成する物質同士が結合しているわけではないので、引張により、一部に力が集中して切れるのではなく、シート全体においてカーボンナノチューブ同士が離れていくためであると考えられる。
粘着シートの破断伸度の上限値は、特に限定されないが、切断等の加工の際に変形することを防ぐ等の観点から、800%以下であることが好ましく、500%以下であることがより好ましい。
なお、本明細書における破断伸度は、JIS Z0237:2009の8の試験方法に準拠して、カーボンナノチューブの整列方向においてカーボンナノチューブシートを引っ張り測定した、伸びの値である。
【0019】
粘着シート1は、全厚が10μm以下であることが好ましい。粘着シートの全厚が10μm以下であれば、例えば、微細な構造を有するデバイスの封止材および固定材等として、好適に用いることができる。粘着シートの全厚は、好ましくは8μm以下であり、より好ましくは6μm以下である。
なお、粘着シートが剥離層を有する場合、粘着シートの全厚は剥離層を除いた厚さである。
【0020】
粘着シート1は、カーボンナノチューブシート10の粘着剤層20が隣接する面(第一シート面11)とは反対の面である第二の面12(以下、「第二シート面12」ということもある)が意図しない箇所に付着することを防止するために、カーボンナノチューブシート10の第二シート面12側には粘着性がないことが好ましい。そのため、カーボンナノチューブシート10の第二シート面12に、粘着剤層20の粘着剤が染み出していない構成であることが好ましい。
【0021】
(カーボンナノチューブシート)
カーボンナノチューブシート10は、複数のカーボンナノチューブが、シート面内の一方向に優先的に整列した構造を有する。
本明細書において、「カーボンナノチューブがシート面内の一方向に整列した状態」とは、カーボンナノチューブがシート面内の一方向に沿って整列した状態のことであり、例えば、カーボンナノチューブの長軸が、シート面内の一方向と平行になるように整列した状態が挙げられる。
また、本明細書において、「優先的に整列した状態」とは、当該整列した状態が主流であることを意味する。例えば、上記のように、カーボンナノチューブの長軸が、シート面内の一方向と平行になるように整列した状態である場合、当該整列状態が主流であれば、一部のカーボンナノチューブは、カーボンナノチューブの長軸が、シート面内の一方向と平行になるように整列した状態でなくてもよい。
【0022】
カーボンナノチューブシート10は、例えば、カーボンナノチューブのフォレスト(カーボンナノチューブを、基板に対して垂直方向に配向するよう、基板上に複数成長させた成長体のことであり、「アレイ」と称される場合もある)から、分子間力により集合したカーボンナノチューブをシートの状態で引き出して基板から引き離すことにより得られる。
【0023】
カーボンナノチューブシート10は、JIS Z0237:2009の8に準拠して測定した破断伸度が、他のいずれの層(粘着剤層およびその他の任意の層)の破断伸度よりも大きいことが好ましい。
カーボンナノチューブシート10の破断伸度が、他のいずれの層の破断伸度よりも大きければ、破断伸度の大きい他の材料を別途用いる必要がなく、粘着シートの全厚を薄くすることができる。
【0024】
カーボンナノチューブシート10は、カーボンナノチューブが繊維状に集合した構造を有することが好ましい。カーボンナノチューブシートが当該構造を有することで、粘着シートの破断伸度を大きくすることができる。カーボンナノチューブシート10は、例えばカーボンナノチューブのフォレストからの引き出しにより製造した場合には、シート面内の一方向に整列した状態のカーボンナノチューブが、カーボンナノチューブシートに均一に含まれている。後述するように、このようなカーボンナノチューブシートに、フリースタンディング(自立)状態での蒸気等への暴露をした場合には、カーボンナノチューブシートに均一に含まれているカーボンナノチューブが、局所的に微細な束になり、カーボンナノチューブが繊維状に集合した構造が形成される。また、後述するように、カーボンナノチューブシート10を撚って糸状にした糸状体は、カーボンナノチューブが繊維状に集合した構造であり、これを多数並べることによって、カーボンナノチューブシート10はカーボンナノチューブが繊維状に集合した構造を有することとなる。
カーボンナノチューブが繊維状に集合した構造の平均直径は、好ましくは1μm以上300μm以下であり、より好ましくは3μm以上150μm以下であり、さらに好ましくは5μm以上50μm以下である。
なお、本明細書において、カーボンナノチューブが繊維状に集合した構造の平均直径とは、当該構造の外側の円周の平均直径のことを指す。
【0025】
カーボンナノチューブシート10は、高密度化処理が施されたシートであることが好ましい。カーボンナノチューブシート10に当該処理を施すことによっても、粘着シートの破断伸度を大きくすることができる。
本明細書において、「高密度化処理」とは、カーボンナノチューブシート10をバンドリング(カーボンナノチューブシート10を構成するカーボンナノチューブについて、近接する複数のカーボンナノチューブが束になった状態とすること)したり、厚さ方向のカーボンナノチューブの存在密度を上げたりする処理のことである。
カーボンナノチューブシート10に高密度化処理を施すことにより、好ましくはバンドリングを施すことにより、カーボンナノチューブが繊維状に集合した構造を形成させてもよい。
【0026】
高密度化処理としては、例えば、常温液体の物質(例えば、水、アルコール類(例えば、エタノール、メタノール、およびイソプロピルアルコール等)、ケトン類(例えば、アセトン、およびメチルエチルケトン等)、およびエステル類(例えば、酢酸エチル等)等)の蒸気に、フリースタンディングのカーボンナノチューブシートを晒す(暴露する)処理によるバンドリング、並びに常温液体の物質の粒子(エアロゾル)に、フリースタンディングのカーボンナノチューブシート10を晒す処理によるバンドリング等が挙げられる。また、剥離シート等の他のシートに貼り合わされたカーボンナノチューブシートを、常温液体の物質に浸漬したり、常温液体の物質を噴霧したりすることによって、カーボンナノチューブシートを常温液体の物質と接触させた後に乾燥して、厚さ方向のカーボンナノチューブの存在密度を上げる処理等が挙げられる。
常温液体の物質の粒子によりバンドリングを行う場合、当該常温液体の物質の粒子径は、5nm以上200μm以下であることが好ましく、7.5nm以上100μm以下であることがより好ましく、10nm以上50μm以下であることがさらに好ましい。
【0027】
カーボンナノチューブシート10は、カーボンナノチューブシートを撚って糸状にした糸状体を、多数並べてシート状にし、カーボンナノチューブが繊維状に集合した構造を形成させたシートであってもよい。カーボンナノチューブシート10が、前記糸状体を多数並べてシート状にしたシートであれば、粘着シート1の破断伸度を大きくすることができる。
また、カーボンナノチューブシート10は、フォレストから引き出して製造したシートが複数積層された積層体であってもよい。カーボンナノチューブシート10が前記積層体であれば、粘着シート1の破断伸度を大きくすることができる。また、カーボンナノチューブシート10の表面に、粘着剤層20の粘着剤が染み出すことを、容易に防止できる。この場合、カーボンナノチューブシート10は、高密度化処理をしたカーボンナノチューブシート10が複数積層された積層体であってもよいし、フォレストから引き出して製造したシートが複数積層された積層体を高密度化処理してもよい。また、高密度化処理をしたカーボンナノチューブシート10が複数積層された積層体をさらに高密度化処理してもよい。
【0028】
カーボンナノチューブシートは、蒸着、CVD、スパッタ処理、分子線エピタキシー、イオンプレーティング、液体浸透、電気メッキ、無電解メッキ、蒸気噴霧、エアロゾル噴霧、およびインクジェット印刷からなる群から選ばれる一種以上の方法により、他の化合物(以下、「ゲスト化合物」ということもある)と複合化されていてもよい。
カーボンナノチューブシートと他の化合物との複合化により、粘着シートの強度を高めるという効果を得つつ、粘着シートに当該他の化合物に起因した特性を付与することができる。また、粘着シートの破断伸度を大きくすることもできる。
【0029】
カーボンナノチューブシートの複合化に用いられるゲスト化合物としては、例えば、金属類(例えば、ニッケル、および銅等)、金属酸化物(例えば、酸化チタン、およびアルミナ等)、非金属の無機物(例えば、ケイ素等)、並びに当該非金属の無機物と炭素または窒素等との反応物等が挙げられる。
【0030】
複合化されたカーボンナノチューブシートにおいて、カーボンナノチューブシートとゲスト化合物との質量比は、0.5:99.5〜5:95であることが好ましい。当該質量比とすることで、複合化されたカーボンナノチューブシートは、ゲスト化合物に起因した特性を有しながら、粘着シート自体は強靭な機械特性を維持することができる。カーボンナノチューブシートとゲスト化合物との質量比は、より好ましくは0.5:99.5〜3:97であり、さらに好ましくは1:99〜2:98である。
【0031】
カーボンナノチューブシート10の厚さは、粘着シート1の用途に応じて適宜決定される。例えば、カーボンナノチューブシート背面(第二シート面12)からの粘着剤の浸み出しを防ぎつつ、粘着シート全体の薄さを維持する等の観点から、カーボンナノチューブシート10の厚さt
10(
図1参照)は、10nm以上3μm以下であることが好ましく、50nm以上2μm以下であることがより好ましい。特に、カーボンナノチューブシートが2μm以下である場合には、このような厚さの一般的な材料、例えば樹脂フィルム等から基材シートを形成することによっては、粘着シートの強度を得ることが困難である。したがって、本実施形態の粘着シートは、このように基材シートを薄い構成とする場合に適している。
【0032】
(粘着剤層)
粘着剤層20を構成する粘着剤は、特に限定されない。例えば、粘着剤としては、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ゴム系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、およびポリビニルエーテル系粘着剤等が挙げられる。これらの中でも、粘着剤層20を構成する粘着剤は、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、およびゴム系粘着剤からなる群から選択される少なくともいずれかであることが好ましく、アクリル系粘着剤であることがより好ましい。
【0033】
アクリル系粘着剤としては、例えば、直鎖のアルキル基または分岐鎖のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位を含む重合体、および環状構造を有する(メタ)アクリレートに由来する構成単位を含むアクリル系重合体等が挙げられる。ここで「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」および「メタクリレート」の双方を示す語として用いており、他の類似用語についても同様である。
【0034】
前述のアクリル系重合体が共重合体である場合、共重合の形態としては、特に限定されない。アクリル系共重合体としては、ブロック共重合体、ランダム共重合体、またはグラフト共重合体のいずれであってもよい。
これらの中でも、本実施形態で用いるアクリル系粘着剤としては、炭素数1〜20のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート(a1’)(以下、「単量体成分(a1’)」ともいう)に由来する構成単位(a1)、および官能基含有モノマー(a2’)(以下、「単量体成分(a2’)」ともいう)に由来する構成単位(a2)を含むアクリル系共重合体が好ましい。
なお、当該アクリル系共重合体は、単量体成分(a1’)および単量体成分(a2’)以外のその他の単量体成分(a3’)に由来する構成単位(a3)をさらに含んでいてもよい。
【0035】
単量体成分(a1’)が有するアルキル基の炭素数としては、粘着特性の向上の観点から、好ましくは1〜12、より好ましくは4〜8、さらに好ましくは4〜6である。単量体成分(a1’)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、およびステアリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの単量体成分(a1’)の中でも、ブチル(メタ)アクリレートおよび2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートが好ましく、ブチル(メタ)アクリレートがより好ましい。
構成単位(a1)の含有量は、上記アクリル系共重合体の全構成単位(100質量%)に対して、好ましくは50質量%以上99.5質量%以下、より好ましくは55質量%以上99質量%以下、さらに好ましくは60質量%以上97質量%以下、よりさらに好ましくは65質量%以上95質量%以下である。
【0036】
単量体成分(a2’)としては、例えば、ヒドロキシ基含有モノマー、カルボキシ基含有モノマー、エポキシ基含有モノマー、アミノ基含有物モノマー、シアノ基含有モノマー、ケト基含有モノマー、およびアルコキシシリル基含有モノマー等が挙げられる。これらの単量体成分(a2’)の中でも、ヒドロキシ基含有モノマーとカルボキシ基含有モノマーが好ましい。
ヒドロキシ基含有モノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、および4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等が挙げられ、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートが好ましい。
カルボキシ基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、およびイタコン酸等が挙げられ、(メタ)アクリル酸が好ましい。
エポキシ基含有モノマーとしては、例えばグリシジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。アミノ基含有物モノマーとしては、例えばジアミノエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。シアノ基含有モノマーとしては、例えばアクリロニトリル等が挙げられる。
構成単位(a2)の含有量は、上記アクリル系共重合体の全構成単位(100質量%)に対して、好ましくは0.1質量%以上50質量%以下、より好ましくは0.5質量%以上40質量%以下、さらに好ましくは1.0質量%以上30質量%以下、よりさらに好ましくは1.5質量%以上20質量%以下である。
【0037】
単量体成分(a3’)としては、例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イミド(メタ)アクリレート、アクリロイルモルフォリン等の環状構造を有する(メタ)アクリレート、酢酸ビニル、およびスチレン等が挙げられる。
構成単位(a3)の含有量は、アクリル系共重合体の全構成単位(100質量%)に対して、好ましくは0質量%以上40質量%以下、より好ましくは0質量%以上30質量%以下、さらに好ましくは0質量%以上25質量%以下、よりさらに好ましくは0質量%以上20質量%以下である。
なお、上述の単量体成分(a1’)は、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いてもよく、上述の単量体成分(a2’)は、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いてもよく、上述の単量体成分(a3’)は、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0038】
アクリル系共重合体は架橋されていてもよい。架橋剤としては、例えば、公知のエポキシ系架橋剤、イソシアネート系架橋剤、アジリジン系架橋剤、および金属キレート系架橋剤等を用いることができる。アクリル系共重合体を架橋する場合には、単量体成分(a2’)に由来する官能基を、架橋剤と反応する架橋点として利用することができる。
【0039】
粘着剤層20を構成する粘着剤層形成用組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の成分が含まれていてもよい。粘着剤層形成用組成物に含まれ得るその他の成分としては、例えば、有機溶媒、難燃剤、粘着付与剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防黴剤、可塑剤、消泡剤、および濡れ性調整剤等が挙げられる。
【0040】
粘着剤層20の厚さは、粘着シート1の用途に応じて適宜決定される。一般的には、カーボンナノチューブシート10の第一シート面11に形成された粘着剤層20の厚さt
20(
図1参照)は、3μm以上150μm以下、好ましくは5μm以上100μm以下の範囲で調整されるが、例えば、粘着シート全体の厚さを小さくするとともに、十分な接着性を得る観点から、t
20は、1μm以上20μm以下であることが好ましく、2μm以上9μm以下であることがより好ましい。
【0041】
(粘着シートの製造方法)
粘着シート1の製造方法は、特に限定されない。
例えば、粘着シート1は、次のような工程を経て製造される。
まず、公知の方法により、シリコンウエハ等の基板上にカーボンナノチューブのフォレストを形成する。次に、形成したフォレストの端部をよじり、ピンセット等で引き出して基板から引き離すことにより、カーボンナノチューブシートを作製する。必要に応じ、作製したカーボンナノチューブシートに対して高密度化処理を施す。
カーボンナノチューブシートとは別に、粘着剤層を作製する。まず、剥離シートの上に粘着剤を塗布し、塗膜を形成する。次に、塗膜を乾燥させて、粘着剤層を形成する。
作製した粘着剤層の一方の面に、カーボンナノチューブシートの一方の面を貼り合わせる。その後、剥離シートを剥がせば、粘着シート1が得られる。
【0042】
従来、粘着シートにおいて、紙または樹脂フィルム(例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、およびアクリル系樹脂等)から基材シートを形成することが一般的であった。しかしながら、紙または樹脂フィルムから形成される基材シートでは、薄くすると強度が低下するという問題があった。
粘着剤層20とカーボンナノチューブシート10との積層体である本実施形態の粘着シート1は、カーボンナノチューブシート10を基材として利用していることにより、基材が薄くて、強度が高い粘着シートとなる。本実施形態の粘着シート1は、基材が薄いため、粘着剤層20の厚さを適度に調整することができ、高い粘着性を有する粘着シートを得ることが容易である。
【0043】
〔実施形態の変形〕
本発明は、前記実施形態に限定されず、本発明の目的を達成できる範囲での変形や改良等は、本発明に含まれる。なお、以下の説明では、前記第一実施形態で説明した部材等と同一であれば、同一符号を付してその説明を省略または簡略する。
【0044】
例えば、カーボンナノチューブシート10および粘着剤層20の少なくとも一方の面上に剥離層が積層されている粘着シートであってもよい。
図2には、前記実施形態に係る粘着シート1の粘着剤層20の第二の面22(以下、「第二粘着面22」ということもある)上に、剥離層30が積層された、粘着シート1Aが示されている。
剥離層30としては、特に限定されない。例えば、取り扱い易さの観点から、剥離層30は、剥離基材と、剥離基材の上に剥離剤が塗布されて形成された剥離剤層とを備えることが好ましい。また、剥離層30は、剥離基材の片面のみに剥離剤層を備えていてもよいし、剥離基材の両面に剥離剤層を備えていてもよい。剥離基材としては、例えば、紙基材、この紙基材にポリエチレン等の熱可塑性樹脂をラミネートしたラミネート紙、並びにプラスチックフィルム等が挙げられる。紙基材としては、グラシン紙、コート紙、およびキャストコート紙等が挙げられる。プラスチックフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、およびポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、並びにポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィンフィルム等が挙げられる。剥離剤としては、例えば、オレフィン系樹脂、ゴム系エラストマー(例えば、ブタジエン系樹脂、イソプレン系樹脂等)、長鎖アルキル系樹脂、アルキド系樹脂、フッ素系樹脂、およびシリコーン系樹脂等が挙げられる。
【0045】
剥離層30の厚さは、特に限定されない。通常、20μm以上200μm以下であり、25μm以上150μm以下であることが好ましい。
剥離剤層の厚さは、特に限定されない。剥離剤を含む溶液を塗布して剥離剤層を形成する場合、剥離剤層の厚さは、0.01μm以上2.0μm以下であることが好ましく、0.03μm以上1.0μm以下であることがより好ましい。
剥離基材としてプラスチックフィルムを用いる場合、当該プラスチックフィルムの厚さは、3μm以上50μm以下であることが好ましく、5μm以上40μm以下であることがより好ましい。
【0046】
また例えば、カーボンナノチューブシート10と粘着剤層20とが隣接し、かつ、カーボンナノチューブシート10の第二シート面12上に、付着防止層を有する粘着シートであってもよい。
図3には、カーボンナノチューブシート10の第二シート面12上に付着防止層40が積層され、粘着剤層の第二粘着面22上に剥離層30が積層された、粘着シート1Bが示されている。粘着シート1Bにおいて、付着防止層40は、カーボンナノチューブシート10が意図しない箇所に付着することを防止する機能を有する。また、付着防止層40は、カーボンナノチューブシート10の保護層としても機能する。
また、粘着シート1Bの破断伸度を向上させることができる。
【0047】
粘着シート1Bにおいて、剥離層30は、上記と同様の剥離層を適用することができる。
【0048】
付着防止層40を形成する付着防止層形成用組成物としては、紙、樹脂フィルム、紫外線硬化性化合物を硬化した化合物、および金属箔等が挙げられる。
【0049】
付着防止層40の厚さは、特に限定されないが、1μm以上10μm以下であることが好ましく、1μm以上5μm以下であることがより好ましい。
なお、粘着シートが付着防止層を有する場合、粘着シートの全厚は付着防止層を含む厚さである。
また例えば、カーボンナノチューブシート10と粘着剤層20との間に付着防止層を有する粘着シートであってもよい。
図4には、カーボンナノチューブシート10と粘着剤層20との間に付着防止層40を有し、粘着剤層の第二粘着面22上に剥離層30が積層された、粘着シート1Cが示されている。粘着シート1Cにおいて、付着防止層40は、粘着剤層20の粘着剤が、カーボンナノチューブシート10に染み出すことを防ぎ、カーボンナノチューブシート10が意図しない箇所に付着することを防止する機能を有する。
粘着シート1Cは、カーボンナノチューブシート10と粘着剤層20との間に付着防止層40を有することで、粘着力を上記の範囲に調整することが容易となる。また、粘着シート1Cの破断伸度を向上させることができる。
【0050】
粘着シート1Cにおいて、剥離層30および付着防止層40は、上記と同様の構成要素を適用することができる。また、付着防止層形成用組成物として、粘着剤層20よりも粘着性が低い粘着剤層を用いてもよい。
粘着シート1Cは、カーボンナノチューブシート10の第二の面上にも剥離層30を備えていてもよい。
【0051】
また例えば、粘着剤層20の粘着剤が、カーボンナノチューブシート10を通じて、カーボンナノチューブシート10の表面に染み出した粘着シートであってもよい。粘着剤層20の粘着剤がカーボンナノチューブシート10の表面に染み出すことで、両面粘着性のシートとなる。さらに、カーボンナノチューブシート10の第二シート面12に、粘着剤層20とは異なる粘着剤層を設けてもよい。この場合には、カーボンナノチューブシート10の第二シート面12に、粘着剤層20の粘着剤が染み出していない構成であってもよいし、染み出している構成であってもよい。
【0052】
このように、粘着シートは、用途に応じて、片面粘着性または両面粘着性とすることができる。カーボンナノチューブシート10が、ゲスト化合物と複合化されたシートである場合、ゲスト化合物の充填量を調整して粘着剤の染み出しの程度を調整し、カーボンナノチューブシート10表面のタックを制御することによっても、適宜、粘着シートを片面粘着性に制御したり、両面粘着性に設計したりすることが可能である。
【実施例】
【0053】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。本発明はこれらの実施例に何ら限定されない。
【0054】
[実施例1]
<カーボンナノチューブシートの作製>
(カーボンナノチューブフォレストの調製)
キャリアガスとしてアルゴンガス、炭素源としてアセチレンを用いた、3つの炉を備える熱CVD装置を用い、触媒化学気相蒸着法により、分割した6インチシリコンウエハ上に、カーボンナノチューブフォレストを形成した。カーボンナノチューブフォレストの高さは300μmであった。
【0055】
(カーボンナノチューブシートの形成)
カーボンナノチューブフォレストの端部をよじり、ピンセットで引き出すことにより、カーボンナノチューブシートを生成させた。カーボンナノチューブシートを2本の平行な支持棒(銅棒、直径2mm)に自己粘着性により係止し、余剰部を切断して2本の支持棒間に張られたフリースタンディング(自立性)のカーボンナノチューブシートを得た。これを、剥離層としての剥離シート(厚さ25μmの四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体フィルム(AIRTECH社製、A4000W))の面上に移し替えた。当該剥離層としての剥離シート上のカーボンナノチューブシートに、別途準備した、2本の支持棒間に張られたフリースタンディングのカーボンナノチューブシートを重ね合わせた。この手順(積層)を繰り返して、5層のカーボンナノチューブシートが積層された積層カーボンナノチューブシートを得た。積層カーボンナノチューブシートにスプレーでイソプロピルアルコールを噴霧した後、自然に揮発させ、積層カーボンナノチューブシートの高密度化処理を行った。高密度化処理された積層カーボンナノチューブシートの厚さは0.2μmであった。
【0056】
<粘着剤層の作製>
アクリル酸2−エチルヘキシル40質量部、酢酸ビニル40質量部、およびアクリル酸2−ヒドロキシエチル20質量部を共重合して得たアクリル系共重合体の溶液(重量平均分子量:70万、ガラス転移温度:−60℃、濃度:40質量%)100質量部(固形分比、以下同じ)に、トーヨーケム社製のBHS8515の1質量部を架橋剤として添加し、これらを混合して、塗工液を調製した。
剥離層としての剥離シート(リンテック株式会社製SP−PET381031)の一方の面上に、上記の塗工液を塗布し、ナイフコーターを用いて、厚さ8μmの粘着剤層を作製した。
【0057】
<粘着シートの製造>
上記積層カーボンナノチューブシートの露出面(剥離層としての剥離シートと隣接する面とは反対の面)と、上記粘着剤層の露出面(剥離層としての剥離シートと隣接する面とは反対の面)とを貼り合わせ、剥離層を有する粘着シートを得た。粘着シートの剥離層を除いた全厚は8.2μmであった。
【0058】
[比較例1]
<PMMAフィルムの作製>
ポリメチルメタクリレート(PMMA)樹脂(アルドリッチ・シグマ社製、重量平均分子量:150,000)を溶媒としての酢酸エチルとトルエンとの混合溶媒(酢酸エチルとトルエンの質量比が50:50の溶媒)に溶解させ、剥離シートとしての東洋紡社製PET50A−4100の平滑面に塗布し、乾燥して厚さ0.2μmのPMMAフィルムを得た。
【0059】
<粘着剤層の作製>
実施例1と同様にして、粘着剤層を得た。
【0060】
<粘着シートの製造>
上記PMMAフィルムの露出面(剥離シートと隣接する面とは反対の面)と、上記粘着剤層の露出面とを貼り合わせた後、PMMAフィルムに積層されている剥離シートを除去することにより粘着シートを得た。粘着シートの全厚は8.2μmであった。
【0061】
<粘着シートの破断伸度の測定>
実施例1および比較例1で得た粘着シートを幅24mmの長方形に裁断して試験片とし、JIS Z0237:2009の8の試験方法にしたがって、カーボンナノチューブシートを引き出した方向において粘着シートを引っ張り、伸びを測定した。結果を表1に示す。
【0062】
【表1】
【0063】
表1に示すように、実施例1の粘着シートは、比較例1の粘着シートと比べて、全厚が同じであるにも関わらず、強度が高いことが確認できた。