(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
心肺疾患、敗血症、強皮症、全身性硬化症、後腹膜線維化症、ケロイド形成の抑制、肝
硬変またはインフルエンザ感染による炎症を罹患した患者における心肺疾患、敗血症、強
皮症、全身性硬化症、後腹膜線維化症、ケロイド形成の抑制、肝硬変またはインフルエン
ザ感染による炎症の治療のための医薬組成物であって、
式(I)
【化1】
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(式中、Ar
1はC6アリール環系または6員のヘテロアリール環系、Ar
2はフェニル
、およびAr
3は1,2,4−オキサジアゾール、C6アリール環系または6員のヘテロ
アリール環系であり、;
Ar
1、Ar
2またはAr
3はいずれも各々、独立して、(C1〜C4)アルキル、(
C2〜C4)アルケニル、ハロ、ハロ(C1〜C4)アルキル、OH、モノヒドロキシ(
C1〜C4)アルキル、ジヒドロキシ(C2〜C4)アルキル、モノヒドロキシ(C1〜
C4)アルコキシ、ジヒドロキシ(C2〜C4)アルコキシ、(C1〜C4)アルコキシ
、(C2〜C6)アシル、(C1〜C6)アルコキシカルボニル(CH
2)
0〜2、カル
ボキシ(CH
2)
0〜2、オキソ、シアノ、NR
2(CH
2)
0〜2、NR
2C(=O)
(CH
2)
0〜2、NR
2C(=O)(CH
2)
0〜2O(CH
2)
0〜2、(C1〜C
4)C(=O)N(R)、(C1〜C4)OC(=O)N(R)、C=NOR、(C3〜
C10)シクロアルキル、(5〜10員の)ヘテロシクリル、(C6〜C10)アリール
および(5〜10員の)ヘテロアリールからなる群より選択される3つまでの置換基によ
る一置換型または多置換型であってもよく;
Ar
1およびAr
2は少なくともその4位が置換されており、
ここで、
Ar
1、Ar
2またはAr
3の該シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールまたはヘ
テロアリール置換基はいずれも、それ自体が、(C1〜C4)アルキル、(C2〜C4)
アルケニル、ハロ、ハロ(C1〜C4)アルキル、OH、モノヒドロキシ(C1〜C4)
アルキル、ジヒドロキシ(C2〜C4)アルキル、モノヒドロキシ(C1〜C4)アルコ
キシ、ジヒドロキシ(C2〜C4)アルコキシ、(C1〜C4)アルコキシ、(C2〜C
6)アシル、(C1〜C6)アルコキシカルボニル(CH
2)
0〜2、カルボキシ(CH
2)
0〜2、オキソ、シアノ、NR
2(CH
2)
0〜2、NR
2C(=O)(CH
2)
0
〜2、NR
2C(=O)(CH
2)
0〜2O(CH
2)
0〜2、(C1〜C4)C(=O
)N(R)、(C1〜C4)OC(=O)N(R)およびC=NORからなる群より選択
される3つまでの二次置換基で置換されていてもよく;
各Rは独立して、H、(C1〜C4)アルキル、ヒドロキシ(C2〜C4)アルキル、
シアノもしくは((C1〜C4)アルキル−O)
1〜2(C1〜C4)アルキルであるか
、または2つのR基が、これらがともに連接されている原子と一体となって環を形成して
いてもよく;
各R’は独立して、H、(C1〜C4)アルキル、ヒドロキシ(C2〜C4)アルキル
、(CH
2)
0〜2C(=O)O(C1〜C4)アルキルまたは(C3〜C6)シクロア
ルキルであり;
Xは、−NH−であり;
Lは、C(=O)である)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩を含む、前記医
薬組成物。
【背景技術】
【0003】
スフィンゴシン−1−リン酸受容体(S1PR)のサブタイプ3の拮抗作用は、喘息、慢性閉塞性肺疾患における治療的有用性、ならびに受容体発現および遺伝子欠失の薬理学的拮抗作用の効果に基づいたさらなる治療的有用性を有することが提案されている。スフィンゴシン1−リン酸(S1P)に対する5つの高親和性Gタンパク質共役受容体が同定されており(1)、S1PR
1の結晶構造が解明されている(2)。この受容体クラスターは、非選択的S1PRアゴニストであるフィンゴリモドが、リンパ球の機能を改変することによる再発寛解型多発性硬化症の処置のための有効な経口治療薬であるため医学的に重要である。空間的分布、カップリングおよび機能が異なる種々のS1P受容体サブタイプが、単独または組合せで、動脈媒体の胚形成、血圧調節および心臓機能において複雑な役割を果たし得る。人間のFTY720(フィンゴリモド)は、有意な洞性徐脈、心ブロックおよびQTc間隔の延長と関連している(3,4)。アトロピンによる洞性徐脈の逆転(5)および人間(6)ならびに齧歯類(7)におけるS1PR
1−選択的アゴニストでの洞性徐脈の実証により、洞房(SA)結節効果および心室伝導の変化に起因する事象が明らかに調節されていることが示唆された。S1PR
3欠損マウスは、S1PR
3のアゴニストによってもたらされるさまざまな薬理学的効果、例えば、肺線維症および心臓線維症(8〜10)、心臓不整脈(11)に抵抗性であるとともに、複雑な病態、例えば、サイトカインストームおよび敗血症症候群にも抵抗性である。
【0004】
敗血症症候群は感染の帰結であり、制御不能な全身性の炎症状態を特徴とし、米国では毎年およそ200,000人が死亡している(12,13)。世界的推計によれば、敗血症の発生率は100,000人に140〜240例の範囲であると考えられており、致死率は30%と高い。循環虚脱および末期の臓器不全を伴う場合は、致死率は50〜80%の範囲にとどまる(14,15)。1979〜2000年の疫学的敗血症試験では、米国における敗血症の治療の年間コストは170億と推計され(16)、この値は、現在、保健医療費が上がっているため、おそらく高くなっている。敗血症における早期介入および最新の支持療法実務により、全体的な敗血症の生存率は37〜30%にわずかに上昇している(17〜21)が、この保健医療負担に対処するための新たな治療ストラテジーの開発を必要とする、まだ満たされていない明白な医学的必要性が依然として存在している。
【0005】
病原体負荷量を改変するための手段および集中的な支持療法にもかかわらず、敗血症症候群は高い罹病率、死亡率および有意な費用負担を有し、炎症促進性サイトカインと宿主の防御に必須の炎症要素間の不均衡を反映している(22)。全身性の炎症を調節する鍵となる要素の指標を規定する最近の研究により、治療的介入のための化学的に取り扱い易い新たな標的が規定され、これは動物モデルにおいて遺伝学的に検証される。本発明者らの最近の研究では、宿主の応答およびサイトカインストームを廃絶するのではなく鈍化させることにより、免疫病理からの重要な防御がもたらされるとともに抗ウイルス免疫応答が保持されることが実証されている(23〜25)。細菌感染において、本発明者らは次に、受容体の遺伝的欠失(26)ならびに初期選択的中性アンタゴニストの使用の両方により、樹状細胞(DC)上のS1PR
3を介するS1Pシグナル伝達によって敗血症のストリンジェントモデルにおいて、すなわち、LPS誘発性炎症モデルおよび盲腸結紮穿孔(CLP)モデルの両方において全身性の炎症および致死性が悪化することを実証した。
【0006】
敗血症症候群は、抗菌療法および集中的な支持療法を超える有効な処置選択肢が存在していないため、まだ満たされていない大きな医学的必要性である。この医学的課題の背後には、末期の臓器不全という共通の最終経路に集約される複数の複雑な病理学的終点が存在し、患者サブセットの前向き検出は進行中の研究である。そうはいうものの、まだ満たされていないこの医学的必要性の重要性は、共有された極めて重要な経路に対する新たな機構的洞察と併せると、機構ベースの介入のための新たな機会をもたらす。重度の敗血症の特徴的な病理学的症状としては、著しい炎症、凝固調節不全、組織の微小血管性浮腫、循環虚脱、腎機能障害および最終的には死亡が挙げられる。さらなる長期的帰結は肺線維症である。このような症状は、主に、病原体の侵入に対して反応する宿主の免疫機構の過剰活性化に起因している(27,28)。宿主の免疫の過剰活性化の発生および進行を調節する(1種類または複数種の)因子の理解は、敗血症に対する新規な有効な治療薬の設計に重要である。多くの証拠により、生理機能および疾患における免疫細胞の輸送および心血管機能の制御におけるS1PRの決定的な役割が裏付けられている(29,30)。セラミド経路に由来する循環生物活性リゾリン脂質であるS1P(
図1)は、S1PR
1〜5と称される密接に関連した5種類のGタンパク質共役受容体に結合してこれらを活性化させる。興味深いことに、活性な炎症成分を伴うヒト疾患、例えば、多発性硬化症(MS)、冠動脈アテローム性硬化および狼瘡では、高い血漿S1Pレベルまたは局所S1Pレベルを有する(31〜34)。敗血症の場合、疾患被験体において、主要なS1P担体リポタンパク質であるアポタンパク質Mが血漿中でさらに高く、これは現在、予後不良のリスクファクターである(35,36)。したがって、敗血症ではS1Pシグナル伝達の調子が最終的に改変されている可能性が高い。敗血症の内皮成分の意図された標的であるXigrisの中止(37)のため、および免疫抑制性コルチコステロイド療法が、敗血症において発生する副腎機能障害のため物議をかもす場合があり得るため(38,39)、敗血症に対処するための対策は限定的である。全身性の選択的小分子アンタゴニストを用いて血管平滑筋、冠動脈平滑筋および気管支平滑筋上のDC上のS1PR
3を阻害することは、S1PR
3シグナル伝達が炎症促進性シグナル、線維症および不良な敗血症転帰に寄与していることを示すデータに基づくと、気管支収縮、肺線維症、冠動脈収縮、樹状細胞によるサイトカイン増幅ならびに播種性血管内凝固障害の発生を特徴とする複数の臨床症候群の治療転帰の改善に寄与し得る。
【0007】
先の所見により、S1PR
3欠損DC(S1PR
3ノックアウト体から採取)により、90%致死用量(LD90)のLPSを投与したマウスにおいて、または複数菌による敗血症の盲腸結紮穿孔(CLP)後マウスモデルにおいて生存率が有意に高まることが示された(26)。最も重要なことには、この試験により、Bリンパ球およびTリンパ球を血液から隔離し(40)、局所炎症の動物モデルにおいて炎症を減弱させるのに有用である(41)選択的S1P
1アゴニストであるAUY954での処置は、同じ試験においてなんら防御は推察されないことが指摘された。同様の導入方法を用いた別の報告では、DCにおけるS1PR
3欠損により、腎虚血/再灌流試験において炎症促進メディエータが有意に鈍化され、マウスにおいて腎臓免疫病理が低減されることが示されただけである(42)。興味深いことに、著者らは、さらに、S1PR
3欠損の有益性の下流メディエータとしてのIL−4シグナル伝達を腎虚血/再灌流と関連付けた。さらに、骨髄由来DC(BMDC)のS1PR
3のsiRNAノックダウンによりトランスウェルDC遊走および腸間膜リンパ節への遊走が大きく低減され(43)、S1PR
3がDC遊走に直接関与していることが示唆された。総合的に、入手可能な証拠により、S1PR
3 DCシグナル伝達を下方モジュレートすることにより(全身性S1PR
3アンタゴニストによるものが提案される)、敗血症症候群における新たな治療の機会が開かれ得ることが強く示唆される。このようなデータにより、S1PR
3アンタゴニストは、敗血症治療の初期マネージメント期間において有益であり得、極めて重要な治療域を特徴とし、生存率を押し上げる可能性を有することが強く示唆される(44)(45)。
【発明を実施するための形態】
【0024】
定義
本明細書および添付の特許請求の範囲で用いる場合、単数形「a」、「an」および「the」は、本文中にそうでないことを明示していない限り、複数の指示対象物を包含している。
【0025】
用語「約」は、本明細書で用いる場合、数値または範囲に言及しているとき、該値または範囲におけるある程度の変動、例えば、記載の値または記載の範囲の限界の10%以内または5%以内の変動を許容するものである。
【0026】
用語「疾患」または「障害」または「異常状態(malcondition)」は互換的に用いており、スフィンゴシン−1−リン酸受容体が該疾患もしくは異常状態またはその(1つもしくは複数の)症状に関与している生化学的機構に役割を果たしている疾患または病状であって、例えば、有効量または有効濃度の本発明の合成リガンドを用いてスフィンゴシン−1−リン酸受容体に対して作用することにより治療上有益な効果が得られ得るような疾患または病状をいうために用いている。スフィンゴシン−1−リン酸受容体「に対して作用すること」またはスフィンゴシン−1−リン酸受容体を「モジュレートすること」には、スフィンゴシン−1−リン酸受容体に結合すること、および/またはスフィンゴシン−1−リン酸受容体の生理活性を阻害すること、および/またはスフィンゴシン−1−リン酸受容体の生理活性をインビボでアロステリック調節することが包含され得る。
【0027】
表現「有効量」は、障害に苦しんでいる個体に対する治療を説明するために用いる場合、スフィンゴシン−1−リン酸受容体が該障害に関与した該個体の組織においてスフィンゴシン−1−リン酸受容体を阻害するか、または該受容体に対して別の様式で作用するのに有効な本発明の化合物の量または濃度であって、かかる阻害または他の作用が有益な治療効果がもたらされるのに充分な程度に起こる量または濃度をいう。
【0028】
「処置する」または「処置」は、本明細書における意味の範囲内で、障害もしくは疾患に伴う症状の緩和、または該症状のさらなる進行もしくは悪化の抑止、または疾患もしくは障害の抑制もしくは予防、または疾患もしくは障害の治癒をいう。同様に、本明細書で用いる場合、本発明の化合物の「有効量」または「治療有効量」は、障害もしくは病状に伴う症状が全部もしくは一部、緩和されるか、または該症状のさらなる進行もしくは悪化が停止もしくは遅滞されるか、または障害もしくは病状が抑制されるか、もしくはその予防がもたらされる該化合物の量をいう。特に、「治療有効量」は、必要な投薬量と期間で所望の治療成果が得られるのに有効な量をいう。また、治療有効量は、本発明の化合物の任意の毒作用または有害効果を、治療上有益な効果が上回るものである。
【0029】
さらに、種々の実施形態の説明で用語「comprising(〜を含む)」を用いている場合、当業者であれば、一部の具体的な場合において、実施形態は、択一的に、「consisting essentially of(本質的に〜からなる)」または「consisting of(〜からなる)」という言葉を用いて記載され得るものであることが理解され得よう。
【0030】
「化学的に実現可能な」により、有機構造の一般的に理解されている規則から外れていない結合の配置または化合物を意図する;例えば、一部の特定の状況において例えば自然界に存在し得ない5価の炭素原子を含むものであり得る請求項の規定内の構造は、該請求項に含まれないことは理解され得よう。本明細書に開示した構造は、そのすべての実施形態において、「化学的に実現可能な」構造のみを包含していることを意図し、例えば、可変的な原子または基を有するように示した構造において、化学的に実現可能でない記載の構造はいずれも、本明細書において開示または請求項に記載されていることを意図しない。
【0031】
置換基が、指定された実体の(1個もしくは複数の)原子「または結合」であると指定されている場合、配置は、該置換基が、指定された置換基の真隣の基が化学的に実現可能な結合の配置で互いに直接連結されている「結合」である場合が言及されている。
【0032】
具体的な立体化学的配置または異性体形態が具体的に示されていない限り、構造のすべての単一エナンチオマー、ジアステレオマー形態およびラセミ形態が意図されている。いくつかの場合において、具体的に請求項に記載された化合物のうちの個々の立体異性体を記載しているが、立体化学的配置の表示は、別の異性体形態があまり好ましくない、望ましくない、または請求項に記載されていないということを示唆するものではない。本発明において使用される化合物には、任意の富化度の任意のまたはすべての不斉原子における富化もしくは分割された光学異性体(図から自明である)が包含され得る。ラセミ混合物およびジアステレオマー混合物ならびに個々の光学異性体はともに、そのエナンチオマーパートナーまたはジアステレオマーパートナーが実質的にないものとなるように単離または合成され得、これらはすべて、本発明の範囲に含まれる。
【0033】
本明細書で用いる場合、用語「安定な化合物」および「安定な構造」は、反応混合物からの有用な度合の純度までの単離および有効な治療用薬剤への製剤化に耐えるのに充分に堅牢な化合物を示していることを意図する。安定な化合物のみが本明細書において想定される。
【0034】
基を記載している場合、該基が構造内で1つより多くの向きで存在し得、1種類より多くの分子構造がもたらされ得る場合、例えば、カルボキサミド基C(=O)NRでは、文脈から分子構造内での該基の向きが明白に限定されない限り、該基は、考えられ得る任意の向き、例えば、X−C(=O)N(R)−YまたはX−N(R)C(=O)−Yで存在し得ることは理解されよう。
【0035】
置換された環基、例えば、置換されたシクロアルキル、アリール、ヘテロシクリルおよびヘテロアリール基は、水素原子との結合が炭素原子との結合または上記に定義した置換基との結合で置き換えられた環および縮合環系もまた包含している。したがって、置換されたシクロアルキル、アリール、ヘテロシクリルおよびヘテロアリール基はまた、アルキル、アルケニルおよびアルキニル基または上記の置換基もしくは当業者に知られた他の置換基で置換されたものであり得る。
【0036】
「環系」により、この用語を本明細書で用いる場合、1、2、3つまたはそれ以上の環を含む部分であって、非環基または他の環系または両方で置換されていてもよく、完全飽和、部分不飽和、完全不飽和または芳香族であり得る部分を意図し、環系が1つより多くの環を含む場合、該環は縮合型、橋架け型またはスピロ環式であってもよい。
【0037】
環系は、上記のような置換基による一置換型であってもよく、独立して多重に置換されていてもよい。「スピロ環式」により、2つの環が単一の第4級(tetrahedral)炭素原子で縮合している類型の構造を意図し、これは当該技術分野でよく知られている。
【0038】
本明細書に記載の任意の基(これは1つ以上の置換基を含む)に関して、もちろん、かかる基は、立体的に非現実的および/または合成的に非実現可能な置換または置換パターンをなんら含むものでないことは理解されよう。また、本開示の主題の化合物は、該化合物の置換により生じるあらゆる立体化学異性体を包含している。
【0039】
基、例えば、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリールなどの炭素原子の数が範囲として指定されている場合、炭素原子の数を表す個々の各整数値が意図されている。例えば、(C
1〜C
4)アルキル基という記載は、アルキル基が、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、イソブチルまたはtert−ブチルのうちの任意のものであり得ることを示す。炭素原子の具体的な数は整数でなければならないことは理解されよう。
【0040】
環内の原子の数が指定されている場合、例えば、3〜9員のシクロアルキルまたはヘテロシクリル環は、該シクロアルキルまたはヘテロシクリル環が3、4、5、6、7、8または9個の任意の数の原子を含むものであり得る。シクロアルキル環は炭素環式であり;ヘテロシクリル環は、炭素に加えて、2つ以上の結合を形成し得る任意の元素の原子、例えば、窒素、酸素、イオウなどを含むものであり得る。環内の原子の数が必然的に整数であることは理解されよう。
【0041】
アルキル基には、1〜約20個の炭素原子、典型的には1〜12個の炭素、または一部の実施形態では1〜8個の炭素原子を有する直鎖および分枝の炭素ベースの基が包含される。直鎖アルキル基の例としては、1〜8個の炭素原子を有するもの、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチルおよびn−オクチル基が挙げられる。分枝アルキル基の例としては、限定されないが、イソプロピル、イソ−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、ネオペンチル、イソペンチルおよび2,2−ジメチルプロピル基が挙げられる。本明細書で用いる場合、用語「アルキル」は、n−アルキル、イソアルキルおよびアンテイソ(anteiso)アルキル基ならびに他の分枝鎖形態のアルキルを包含している。代表的な置換アルキル基は、上記の置換基のうちのいずれか、例えば、アミノ、ヒドロキシ、シアノ、カルボキシ、ニトロ、チオ、アルコキシおよびハロゲン基で1回以上置換されたものであり得る。例示的なアルキル基としては、限定されないが、1〜6、1〜4または1〜3個の炭素原子の直鎖または分枝の炭化水素(本明細書において、それぞれC
1〜6アルキル、C
1〜4アルキルおよびC
1〜3アルキルと称する)が挙げられる。例示的なアルキル基としては、限定されないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、2−メチル−1−ブチル、3−メチル−2−ブチル、2−メチル−1−ペンチル、3−メチル−1−ペンチル、4−メチル−1−ペンチル、2−メチル−2−ペンチル、3−メチル−2−ペンチル、4−メチル−2−ペンチル、2,2−ジメチル−1−ブチル、3,3−ジメチル−1−ブチル、2−エチル−1−ブチル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシルなどが挙げられる。
【0042】
シクロアルキル基は、1つ以上の炭素環式の環を含む基、例えば限定されないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルおよびシクロオクチル基である。一部の実施形態では、シクロアルキル基は3〜約8〜12個の環構成員を有するものであり得るが、他の実施形態では、環内炭素原子の数は3〜4、5、6または7の範囲である。シクロアルキル基には、さらに、多環式のシクロアルキル基、例えば限定されないが、ノルボルニル、アダマンチル、ボルニル、カンフェニル、イソカンフェニルおよびカレニル基、ならびに縮合環、例えば限定されないが、デカリニルなどが包含される。また、シクロアルキル基には、上記に定義した直鎖または分枝鎖のアルキル基で置換されている環も包含される。
【0043】
アルケニル基には、少なくとも1つの二重結合が2個の炭素原子間に存在していること以外は、上記に定義した直鎖および分枝鎖および環状のアルキル基が包含される。したがって、アルケニル基は、2〜約20個の炭素原子、典型的には2〜12個の炭素、または一部の実施形態では2〜8個の炭素原子を有するものである。例としては、限定されないが、とりわけ、ビニル、−CH=CH(CH
3)、−CH=C(CH
3)
2、−C(CH
3)=CH
2、−C(CH
3)=CH(CH
3)、−C(CH
2CH
3)=CH
2、シクロヘキセニル、シクロペンテニル、シクロヘキサジエニル、ブタジエニル、ペンタジエニルおよびヘキサジエニルが挙げられる。例示的なアルケニル基としては、限定されないが、2〜6または3〜4個の炭素原子の直鎖または分枝の基(本明細書において、それぞれC
2〜6アルケニルおよびC
3〜4アルケニルと称する)が挙げられる。例示的なアルケニル基としては、限定されないが、ビニル、アリル、ブテニル、ペンテニルなどが挙げられる。
【0044】
アリール基は、環内にヘテロ原子を含有していない環状の芳香族炭化水素である。芳香族化合物は、当該技術分野でよく知られているように、4n+2個のπ電子(ここで、nは整数である)を含む多重不飽和の環状の系である。したがって、アリール基としては、限定されないが、フェニル、アズレニル、ヘプタレニル、ビフェニル、インダセニル、フルオレニル、フェナントレニル、トリフェニレニル、ピレニル、ナフタセニル、クリセニル、ビフェニレニル、アントラセニルおよびナフチル基が挙げられる。一部の実施形態では、アリール基は、該基の環内の部分に約6〜約14個の炭素を含むものである。アリール基は非置換であってもよく、上記に規定したとおりに置換されていてもよい。代表的な置換アリール基は一置換型であってもよく、1回より多く置換されていてもよく、例えば限定されないが、2−、3−、4−、5−もしくは6−置換型のフェニルまたは2〜8置換型のナフチル基(炭素基または非炭素基、例えば、上記のもので置換されたものであり得る)であってもよい。
【0045】
アラルキル(アリールアルキルとも称される)基は、アルキル基の水素または炭素の結合が上記に定義したアリール基との結合で置き換えられている上記に定義したアルキル基である。代表的なアラルキル基としては、ベンジルおよびフェニルエチル基ならびに縮合(シクロアルキルアリール)アルキル基、例えば、4−エチル−インダニルが挙げられる。アラルケニル基は、アルキル基の水素または炭素の結合が上記に定義したアリール基との結合で置き換えられている上記に定義したアルケニル基である。
【0046】
ヘテロシクリル基または用語「ヘテロシクリル」には、3個以上の環構成員を含み、そのうち1個以上の環内原子はヘテロ原子、例えば限定されないが、N、OおよびSである芳香族および非芳香族の環化合物が包含される。したがって、ヘテロシクリルは、シクロヘテロアルキルもしくはヘテロアリール、または多環式の場合はその任意の組合せであり得る。一部の実施形態では、ヘテロシクリル基は3〜約20個の環構成員を含むものであるが、他のかかる基は3〜約15個の環構成員を有するものである。C
2−ヘテロシクリルと表示されるヘテロシクリル基は、2個の炭素原子と3個のヘテロ原子を有する5環、2個の炭素原子と4個のヘテロ原子を有する6環などであり得る。同様に、C
4−ヘテロシクリルは、1個のヘテロ原子を有する5環、2個のヘテロ原子を有する6環などであり得る。炭素原子の数+ヘテロ原子の数の合計は環内原子の総数である。また、環の大きさは環内の原子の総数によっても表示され得る(例えば、炭素である環内原子と炭素でない環内原子の両方を計数した3〜10員のヘテロシクリル基)。また、ヘテロシクリル環は1つ以上の二重結合を含むものであってもよい。ヘテロアリール環はヘテロシクリル基の一実施形態である。用語「ヘテロシクリル基」には、縮合環種、例えば、縮合芳香族基と非芳香族基を含むものが包含される。例えば、ジオキソラニル環およびベンゾジオキソラニル環系(メチレンジオキシフェニル環系)はともに、本明細書における意味の範囲内のヘテロシクリル基である。また、この用語は、1個以上のヘテロ原子を含む多環式の、例えば、ビシクロ−およびトリシクロ−環系、例えば限定されないがキヌクリジル(quinuclidyl)も包含している。
【0047】
ヘテロシクリル基は非置換であってもよく、上記に論考したとおりに置換されていてもよい。ヘテロシクリル基としては、限定されないが、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、ピロリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、ピリジニル、チオフェニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾフラニル、ジヒドロベンゾフラニル、インドリル、ジヒドロインドリル、アザインドリル、インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、アザベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、イミダゾピリジニル、イソオキサゾロピリジニル、チアナフタレニル、プリニル、キサンチニル、アデニニル、グアニニル、キノリニル、イソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、キノキサリニルおよびキナゾリニル基が挙げられる。代表的な置換ヘテロシクリル基は一置換型であってもよく、1回より多く置換されていてもよい(例えば限定されないが、ピペリジニルまたはキノリニル基)(上記のものなどの基による2−、3−、4−、5−もしくは6−置換型または二置換型である)。
【0048】
ヘテロアリール基は、5個以上の環構成員を含み、そのうちの1個以上がヘテロ原子、例えば限定されないが、N、OおよびSである芳香族環化合物である;例えば、ヘテロアリール環は5〜約8〜12個の環構成員を有するものであり得る。ヘテロアリール基は、4n+2個のπ電子(ここで、nは整数である)を含む多重不飽和の環状の系である芳香族電子構造を有するさまざまなヘテロシクリル基である。C
2−ヘテロアリールと表示されるヘテロアリール基は、2個の炭素原子と3個のヘテロ原子を有する5環(すなわち、5員環)、2個の炭素原子と4個のヘテロ原子を有する6環(すなわち、6員環)などであり得る。同様に、C
4−ヘテロアリールは、1個のヘテロ原子を有する5環、2個のヘテロ原子を有する6環などであり得る。炭素原子の数+ヘテロ原子の数の合計は環内原子の総数である。ヘテロアリール基としては、限定されないが、ピロリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、チオフェニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾフラニル、インドリル、アザインドリル、インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、アザベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、イミダゾピリジニル、イソオキサゾロピリジニル、チアナフタレニル、プリニル、キサンチニル、アデニニル、グアニニル、キノリニル、イソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、キノキサリニルおよびキナゾリニル基などの基が挙げられる。ヘテロアリール基は非置換であってもよく、上記に論考した置換基で置換されていてもよい。代表的な置換ヘテロアリール基は、上記のものなどの独立して選択される基で1回以上置換されたものであり得る。
【0049】
アリールおよびヘテロアリール基のさらなる例としては、限定されないが、フェニル、ビフェニル、インデニル、ナフチル(1−ナフチル、2−ナフチル)、N−ヒドロキシテトラゾリル、N−ヒドロキシトリアゾリル、N−ヒドロキシイミダゾリル、アントラセニル(1−アントラセニル、2−アントラセニル、3−アントラセニル)、チオフェニル(2−チエニル、3−チエニル)、フリル(2−フリル、3−フリル)、インドリル、オキサジアゾリル、イソオキサゾリル、キナゾリニル、フルオレニル、キサンテニル、イソインダニル、ベンズヒドリル、アクリジニル、チアゾリル、ピロリル(2−ピロリル)、ピラゾリル(3−ピラゾリル)、イミダゾリル(1−イミダゾリル、2−イミダゾリル、4−イミダゾリル、5−イミダゾリル)、トリアゾリル(1,2,3−トリアゾル−1−イル、1,2,3−トリアゾル−2−イル 1,2,3−トリアゾル−4−イル、1,2,4−トリアゾル−3−イル)、オキサゾリル(2−オキサゾリル、4−オキサゾリル、5−オキサゾリル)、チアゾリル(2−チアゾリル、4−チアゾリル、5−チアゾリル)、ピリジル(2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル)、ピリミジニル(2−ピリミジニル、4−ピリミジニル、5−ピリミジニル、6−ピリミジニル)、ピラジニル、ピリダジニル(3−ピリダジニル、4−ピリダジニル、5−ピリダジニル)、キノリル(2−キノリル、3−キノリル、4−キノリル、5−キノリル、6−キノリル、7−キノリル、8−キノリル)、イソキノリル(1−イソキノリル、3−イソキノリル、4−イソキノリル、5−イソキノリル、6−イソキノリル、7−イソキノリル、8−イソキノリル)、ベンゾ[b]フラニル(2−ベンゾ[b]フラニル、3−ベンゾ[b]フラニル、4−ベンゾ[b]フラニル、5−ベンゾ[b]フラニル、6−ベンゾ[b]フラニル、7−ベンゾ[b]フラニル)、2,3−ジヒドロ−ベンゾ[b]フラニル(2−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[b]フラニル)、3−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[b]フラニル)、4−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[b]フラニル)、5−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[b]フラニル)、6−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[b]フラニル)、7−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[b]フラニル)、ベンゾ[b]チオフェニル(2−ベンゾ[b]チオフェニル、3−ベンゾ[b]チオフェニル、4−ベンゾ[b]チオフェニル、5−ベンゾ[b]チオフェニル、6−ベンゾ[b]チオフェニル、7−ベンゾ[b]チオフェニル)、2,3−ジヒドロ−ベンゾ[b]チオフェニル,(2−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[b]チオフェニル)、3−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[b]チオフェニル)、4−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[b]チオフェニル)、5−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[b]チオフェニル)、6−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[b]チオフェニル)、7−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[b]チオフェニル)、インドリル(1−インドリル、2−インドリル、3−インドリル、4−インドリル、5−インドリル、6−インドリル、7−インドリル)、インダゾール(1−インダゾリル、3−インダゾリル、4−インダゾリル、5−インダゾリル、6−インダゾリル、7−インダゾリル)、ベンゾイミダゾリル(1−ベンゾイミダゾリル、2−ベンゾイミダゾリル、4−ベンゾイミダゾリル、5−ベンゾイミダゾリル、6−ベンゾイミダゾリル、7−ベンゾイミダゾリル、8−ベンゾイミダゾリル)、ベンゾオキサゾリル(1−ベンゾオキサゾリル、2−ベンゾオキサゾリル)、ベンゾチアゾリル(1−ベンゾチアゾリル、2−ベンゾチアゾリル、4−ベンゾチアゾリル、5−ベンゾチアゾリル、6−ベンゾチアゾリル、7−ベンゾチアゾリル)、カルバゾリル(1−カルバゾリル、2−カルバゾリル、3−カルバゾリル、4−カルバゾリル)、5H−ジベンズ[b,f]アゼピン(5H−ジベンズ[b,f]アゼピン−1−イル、5H−ジベンズ[b,f]アゼピン−2−イル、5H−ジベンズ[b,f]アゼピン−3−イル、5H−ジベンズ[b,f]アゼピン−4−イル、5H−ジベンズ[b,f]アゼピン−5−イル)、10,11−ジヒドロ−5H−ジベンズ[b,f]アゼピン(10,11−ジヒドロ−5H−ジベンズ[b,f]アゼピン−1−イル、10,11−ジヒドロ−5H−ジベンズ[b,f]アゼピン−2−イル、10,11−ジヒドロ−5H−ジベンズ[b,f]アゼピン−3−イル、10,11−ジヒドロ−5H−ジベンズ[b,f]アゼピン−4−イル、10,11−ジヒドロ−5H−ジベンズ[b,f]アゼピン−5−イル)などが挙げられる。
【0050】
窒素を含む任意のヘテロシクリルまたはヘテロアリールは、そのN−オキシドまたはN−メト塩または他のN−4級化塩であってもよく;カチオン性のN−4級化塩が存在する場合、荷電平衡のためのアニオンの対イオンが存在していることは理解されよう。イオウを含む任意のヘテロシクリルまたはヘテロアリールは、そのスルホキシドもしくはスルホンまたはS−メト塩もしくは他のS−アルキル化塩であってもよく;カチオン性のS−アルキル化塩が存在する場合、荷電平衡のためのアニオンの対イオンが存在していることは理解されよう。
【0051】
用語「アルコキシ」または「アルコキシル」は、酸素原子が上記に定義したアルキル基(例えばシクロアルキル基)に連結されているものをいう。線状アルコキシ基の例としては、限定されないが、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、n−ブトキシ、n−ペンチルオキシ、n−ヘキシルオキシなどが挙げられる。分枝アルコキシの例としては、限定されないが、イソプロポキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、イソペンチルオキシ、イソヘキシルオキシなどが挙げられる。例示的なアルコキシ基としては、限定されないが、1〜6または2〜6個の炭素原子のアルコキシ基(本明細書において、それぞれC
1〜6アルコキシおよびC
2〜6アルコキシと称する)が挙げられる。例示的なアルコキシ基としては、限定されないが、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシなどが挙げられる。
【0052】
アルコキシ基は、酸素原子に結合している1〜約12〜20個の炭素原子を含むものであり得、さらに二重結合または三重結合を含むものであってもよく、また、ヘテロ原子を含むものであってもよい。例えば、アリルオキシ基は、本明細書における意味の範囲内のアルコキシ基である。また、メトキシエトキシ基も本明細書における意味の範囲内でのアルコキシ基であり、構造の隣接している2つの原子が置換されている状況のメチレンジオキシ基もそうである。
【0053】
用語「ハロ」または「ハロゲン」または「ハライド」は単独で、または別の置換基の一部として、特に記載のない限り、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素原子、好ましくはフッ素、塩素または臭素を意味する。
【0054】
「ハロアルキル」基には、モノ−ハロアルキル基、ポリ−ハロアルキル基(このとき、すべてのハロ原子が同じであってもよく異なっていてもよい)、およびパー−ハロアルキル基(このとき、すべての水素原子は同じまたは異なるハロゲン原子、例えばフッ素および/または塩素原子で置き換えられている)が包含される。ハロアルキルの例としては、トリフルオロメチル、1,1−ジクロロエチル、1,2−ジクロロエチル、1,3−ジブロモ−3,3−ジフルオロプロピル、パーフルオロブチルなどが挙げられる。
【0055】
「アシル」基は、この用語を本明細書で用いる場合、カルボニル部分を含む基であって、該基がカルボニル炭素原子を介して結合されるものをいう。また、カルボニル炭素原子は、アルキル、アリール、アラルキル シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル基などの一部であり得る別の炭素原子に結合されている。カルボニル炭素原子が水素原子に結合している特別な場合では、この基は「ホルミル」基であり、これも、本明細書において定義した用語であるアシル基の一例である。アシル基は、カルボニル基に結合している0〜約12〜20個のさらなる炭素原子を含むものであってもよい。アシル基は、本明細書における意味の範囲内の二重結合または三重結合を含むものであってもよい。アクリロイル基は、二重結合含有アシル基の一例である。また、アシル基は、本明細書における意味の範囲内のヘテロ原子を含むものであってもよい。ニコチノイル基(ピリジル−3−カルボニル)基は、本明細書における意味の範囲内のアシル基の一例である。他の例としては、アセチル、ベンゾイル、フェニルアセチル、ピリジルアセチル、シンナモイルおよびアクリロイル基などが挙げられる。カルボニル炭素原子に結合している炭素原子を含む基がハロゲンを含有している場合、この基は「ハロアシル」基と称される。一例はトリフルオロアセチル基である。
【0056】
用語「アミン」には、例えば、式N(基)
3(式中、各基は独立して、Hまたは非H、例えばアルキル、アリールなどであり得る)を有する第1級、第2級および第3級アミンが包含される。アミンとしては、限定されないが、R−NH
2(式中、Rは炭素ベースの部分である)、例えば、アルキルアミン、アリールアミン、アルキルアリールアミンである;R
2NH(式中、各Rは独立して、選択された炭素ベースの部分である)、例えば、ジアルキルアミン、ジアリールアミン、アラルキルアミン、ヘテロシクリルアミンなど;およびR
3N(式中、各Rは独立して、選択された炭素ベースの部分である)、例えば、トリアルキルアミン、ジアルキルアリールアミン、アルキルジアリールアミン、トリアリールアミンなどが挙げられる。また、用語「アミン」は、本明細書で用いる場合、正電荷を有する(カチオン性の)形態、例えば、アミン塩および4級化アミンも包含している。
【0057】
「アミノ」基は、形態−NH
2、−NHR、−NR
2または−NR
3+の置換基(ここで、各Rは、独立して選択される炭素ベースの基である)および−NR
3+(これはプロトン化され得ない)以外の各々のプロトン化形態である。したがって、アミノ基で置換されている化合物はいずれもアミンとみなされ得る。本明細書における意味の範囲内の「アミノ基」は、第1級、第2級、第3級または第4級アミノ基であり得る。「アルキルアミノ」基には、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノおよびトリアルキルアミノ(トリアルキルアンモニウム)基が包含される。
【0058】
「アンモニウム」イオンとしては非置換アンモニウムイオンNH
4+が挙げられるが、特に指定のない限り、これには、アミンの任意のプロトン化形態または4級化形態も包含される。したがって、トリメチルアンモニウム塩酸塩およびテトラメチルアンモニウムクロリドはともに、本明細書における意味の範囲内のアンモニウムイオンおよびアミンである。
【0059】
用語「アミド(amide)」(または「amido」)には、C−アミド基およびN−アミド基、すなわち、それぞれ−C(O)NR
2および−NRC(O)R基が包含される。したがって、アミド基としては、限定されないが、第1級カルボキサミド基(−C(O)NH
2)およびホルムアミド基(−NHC(O)H)が挙げられる。「カルボキサミド」基は、式C(O)NR
2(式中、RはH、アルキル、アリールなどであり得る)の基である。
【0060】
化学基には、当該技術分野でよく知られているものなどの標準的な略号を用いている;例えば、Me=メチル、Et=エチル、i−Pr=イソプロピル、Bu=ブチル、t−Bu=tert−ブチル、Ph=フェニル、Bn=ベンジル、Ac=アセチル、Bz=ベンゾイルなど。
【0061】
「塩」は、当該技術分野でよく知られているように、対イオンとの結合状態のイオン形態の有機化合物、例えば、カルボン酸、スルホン酸またはアミンが挙げられる。例えば、アニオン形態の酸は、カチオン、例えば金属カチオン、例えば、ナトリウム、カリウムなど;アンモニウム塩、例えば、NH
4+もしくは種々のアミンのカチオン、例えば、テトラアルキルアンモニウム塩、例えば、テトラメチルアンモニウム、または他のカチオン、例えば、トリメチルスルホニウムなどと塩を形成し得る。「薬学的に許容され得る」または「薬理学的に許容され得る」塩は、イオンにより形成された、ヒトによる消費が承認されている塩であり、一般的に無毒性の、例えば塩化物塩またはナトリウム塩である。「両性イオン」は、分子内で形成され得るものなどの、少なくとも2つのイオン性基を有する(一方がアニオンを形成し、他方がカチオンを形成し、これらは互いを平衡にする機能を果たしている)分子内塩である。例えば、グリシンなどのアミノ酸は両性イオン形態で存在し得る。「両性イオン」は、本明細書における意味の範囲内の塩である。本発明の化合物は塩の形態であり得る。用語「塩」は、本発明の化合物である遊離酸または遊離塩基の付加塩を包含している。塩は、「薬学的に許容され得る塩」であり得る。用語「薬学的に許容され得る塩」は、有する毒性プロフィールが医薬用途において有用性がもたらされる範囲内である塩をいう。そうはいうものの、薬学的に許容され得るものでない塩が高い結晶性などの特性を有している場合があり得、これは、本発明の実施における有用性、例えば、本発明の化合物の合成、精製または製剤化の方法などにおける有用性を有する。
【0062】
「薬学的または薬理学的に許容され得る」とは、分子実体および組成物が、適宜、動物またはヒトに投与されたときに有害反応、アレルギー反応または他の不要な反応をもたらさないことを包含している。ヒトへの投与のためには、調製物は、滅菌性、パイロジェン性、ならびにFDAのOffice of Biologicsの基準によって求められる一般的な安全性および純度の基準を満たすものであるのがよい。
【0063】
好適な薬学的に許容され得る酸付加塩は、無機酸または有機酸から調製され得る。無機酸の例としては、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、炭酸、硫酸およびリン酸が挙げられる。適切な有機酸は、脂肪族、脂環式、芳香族、芳香脂肪族、複素環式のカルボン酸類型およびスルホン酸類型の有機酸から選択され得、その例としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、グルコン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、グルクロン酸、マレイン酸、フマル酸、ピルビン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、安息香酸、アントラニル酸、4−ヒドロキシ安息香酸、フェニル酢酸、マンデル酸、エンボン酸(パモ酸)、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、パントテン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、スルファニル酸、シクロヘキシルアミノスルホン酸、ステアリン酸、アルギン酸、β−ヒドロキシ酪酸、サリチル酸、ガラクタル酸およびガラクツロン酸が挙げられる。薬学的に許容され得るものでない酸付加塩の例としては、例えば、過塩素酸塩およびテトラフルオロホウ酸塩が挙げられる。
【0064】
変数の値(これは必然的に整数である)、例えば、アルキル基の炭素原子の数または環上の置換基の数が範囲、例えば0〜4として記載されている場合、意図されていることは、該値が、0と4(両端を含む)の間の任意の整数、すなわち、0、1、2、3または4であり得るということである。
【0065】
種々の実施形態において、化合物または化合物の組(例えば、本発明の方法に使用されるもの)は、上記の実施形態の任意の組合せおよび/または部分的組合せのいずれか1つであり得る。
【0066】
種々の実施形態において、本実施例のいずれかに示す化合物または例示的な化合物のうちの化合物を提供する。但し書きの規定は、本開示のカテゴリーまたは実施形態のいずれにも適用され得、ここで、その他の上記に開示した実施形態または種のいずれか1つまたはそれ以上はかかるカテゴリーまたは実施形態から除外され得る。
【0067】
本明細書に記載の化合物は、いくつかの様式で、本明細書に含めた教示および当該技術分野で知られた合成手順に基づいて調製され得る。後述する合成方法の説明において、提案した反応条件、例えば、溶媒、反応雰囲気、反応温度、実験の持続期間および作業手順の選択はすべて、特に記載のない限り、その反応に標準的な条件となるように選択され得ることは理解されよう。有機合成の当業者には、分子の種々の部分に存在する官能部が、提案した試薬および反応と適合性であるべきであることが理解されよう。反応条件と適合性でない置換基は当業者に自明であり、したがって別の方法が示唆される。実施例の出発材料は、市販されているか、または標準的な方法によって既知の材料から容易に調製されるかのいずれかである。市販の化学薬品はすべて、Aldrich、Alfa Aesare、Wako、Acros、Fisher、Fluka、Maybridgeなどから入手し、記載している場合以外はさらに精製せずに使用した。乾燥溶媒は、例えば、これを活性アルミナカラムに通すことにより得られる。
【0068】
本発明は、さらに、単離された本発明の化合物を包含している。表現「単離された化合物」は、本発明の化合物の調製物または本発明の化合物の混合物であって、該(1種類または複数種の)化合物の合成中に使用された試薬および/または形成された副生成物から単離された化合物が分離されているものをいう。「単離された」とは、調製物が技術的に純粋(均質)であることを意味するのではなく、化合物が治療的に使用され得る形態になるまで充分に純粋なことである。好ましくは、「単離された化合物」は、本発明の化合物の調製物または本発明の化合物の混合物であって、本発明の指定の化合物または化合物の混合物を総重量の少なくとも10重量パーセントの量で含有しているものをいう。好ましくは、該調製物は、指定の化合物または化合物の混合物を総重量の少なくとも50重量パーセント;より好ましくは総重量の少なくとも80重量パーセント;最も好ましくは該調製物の総重量の少なくとも90重量パーセント、少なくとも95重量パーセントまたは少なくとも98重量パーセントの量で含有しているものである。
【0069】
本発明の化合物および中間体は、その反応混合物から、標準的な手法、例えば、濾過、液−液抽出、固相抽出、蒸留、再結晶またはクロマトグラフィー、例えばフラッシュカラムクロマトグラフィーもしくはHPLCによって単離および精製され得る。
【0070】
互変異性
本発明の範囲内において、式(I)の化合物またはその塩は、互変異性の現象を示す場合があり得ることは理解されよう。互変異性は、2つの原子間で水素原子が交換され、該2つの原子のいずれかと該水素原子が共有結合を形成することによって容易に相互変換し得る2種類の化学物質化合物によるものである。互変異性体化合物は、互いに動的平衡の状態で存在するため、同じ化合物の異なる異性体形態とみなされ得る。本明細書における式の図は、考えられ得る互変異性体形態のうちの1つだけを表したものであり得ることは理解されよう。しかしながら、また、本発明は任意の互変異性体形態を包含しており、式の図において使用したいずれか1つの互変異性体形態だけに限定されないことも理解されよう。本明細書における式の図は、考えられ得る互変異性体形態のうちの1つだけを表したものであり得、本明細書には、本明細書において便宜的に図式的に示している形態だけでなく、図示した化合物の考えられ得るすべての互変異性体形態が包含されていることは理解されよう。例えば、互変異性は、波線で図示のように結合されるピラゾリル基によって示され得る。どちらの置換基も4−ピラゾリル基と称され得るが、各構造において異なる窒素原子が水素原子を担持していることは明白である。
【化8】
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【0071】
かかる互変異性はまた、置換ピラゾール、例えば、3−メチル、5−メチルまたは3,5−ジメチルピラゾールなどでも生じ得る。互変異性の別の例は、アミド−イミド(環状の場合はラクタム−ラクチム)互変異性、例えば、環内窒素原子に隣接する環内酸素原子を担持している複素環式化合物においてみられるものである。例えば、平衡:
【化9】
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【0072】
が互変異性の一例である。したがって、本明細書において一方の互変異性体として図示している構造は、他方の互変異性体もまた包含していることを意図する。
【0073】
光学異性
本発明の化合物が1つ以上のキラル中心を含むものである場合、該化合物は、1種類の実質的に純粋なエナンチオマー形態もしくはジアステレオマー形態またはラセミ混合物で存在するものであり得、該形態または該混合物として単離され得ることは理解されよう。したがって、本発明は、本発明の化合物の考えられ得る任意のエナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ化合物またはその混合物を包含している。
【0074】
本発明の化合物または本発明の方法の実施に使用される化合物は、1つ以上のキラル中心を含むものであり、したがって立体異性体として存在するものであってもよい。用語「立体異性体」は、本明細書で用いる場合、すべてのエナンチオマーまたはジアステレオマーからなる。このような化合物は、ステレオジェン炭素原子のまわりの置換基の配置に応じて記号「(+)」、「(−)」、「R」または「S」で表示され得るが、当業者には、構造がキラル中心が黙示的に示されたものであり得ることが認識されよう。本発明は、このような化合物の種々の立体異性体およびその混合物を包含している。エナンチオマーまたはジアステレオマーの混合物は、命名において「(±)」と表示され得るが、当業者には、構造はキラル中心が黙示的に示されたものであり得ることが認識されよう。
【0075】
本開示の化合物は、1つ以上の二重結合を含むものであり、したがって、炭素−炭素二重結合のまわりの置換基の配置によって生じる幾何異性体として存在するものであってもよい。記号
【化10】
[この文献は図面を表示できません]
【0076】
は、本明細書に記載のように単結合であっても二重結合であっても三重結合であってもよい結合を表す。炭素−炭素二重結合のまわりの置換基は「Z」または「E」配置であると表示しており、この場合、該用語「Z」および「E」はIUPAC基準に従って用いている。特に指定のない限り、二重結合が示された構造は「E」と「Z」の両方の異性体を包含している。炭素−炭素二重結合のまわりの置換基は、択一的に、「シス」または「トランス」と称され得、ここで、「シス」は置換基が二重結合に対して同じ側にあることを表し、「トランス」は、置換基が二重結合に対して反対側にあることを表す。
【0077】
本発明の化合物または本発明の方法の実施に使用される化合物は、炭素環式または複素環式の環を含むものであり、したがって、環のまわりの置換基の配置によって生じる幾何異性体として存在するものであってもよい。炭素環式または複素環式の環のまわりの置換基の配置は「Z」または「E」配置であると表示しており、この場合、該用語「Z」および「E」はIUPAC基準に従って用いている。特に指定のない限り、炭素環式または複素環式の環が示された構造は「Z」と「E」の両方の異性体を包含している。また、炭素環式または複素環式の環のまわりの置換基は「シス」または「トランス」とも称され得、ここで、用語「シス」は、置換基が環平面に対して同じ側にあることを表し、用語「トランス」は、置換基が環平面に対して反対側にあることを表す。置換基が環平面に対して同じ側に配置されている場合と反対側に配置されている場合の両方である化合物の混合物は「シス/トランス」と表示される。
【0078】
想定した化合物の個々のエナンチオマーおよびジアステレオマーは、不斉中心またはステレオジェン中心を含む市販の出発材料から合成により、またはラセミ混合物の調製後、当業者によく知られた分割方法によって調製され得る。このような分割方法は、(1)エナンチオマーの混合物のキラル助剤への結合、得られたジアステレオマー混合物の再結晶もしくはクロマトグラフィーによる分離および助剤からの光学的に純粋な生成物の遊離、(2)光学活性な分割剤を用いた塩の形成、(3)光学的エナンチオマー混合物のキラル液体クロマトグラフィーカラムでの直接分離または(4)立体選択的な化学試薬もしくは酵素試薬を用いた速度論的分割が例示される。また、ラセミ混合物をその成分エナンチオマーに、よく知られた方法、例えば、キラル相液体クロマトグラフィーまたは化合物のキラル溶媒中での晶出によって分割することもできる。新たな立体中心の作製中、または既存のものの変換中に単一の反応体が立体異性体の不等混合物を形成する化学反応または酵素反応である立体選択的合成は当該技術分野でよく知られている。立体選択的合成は、エナンチオ選択的変換およびジアステレオ選択的変換の両方を包含しており、キラル助剤の使用を伴うものであり得る。例えば、Carreira and Kvaerno,Classics in Stereoselective Synthesis,Wiley−VCH:Weinheim,2009を参照のこと。
【0079】
キラル中心の存在により生じる異性体は、「エナンチオマー」と称される1対の重ね合わせられない異性体を含む。純粋な化合物の単一エナンチオマーは光学活性である、すなわち、直線偏光面を回転させ得るものである。単一エナンチオマーは、カーン・インゴルド・プレローグシステムに従って表示される。置換基の順位は原子量に基づいてつけられ、原子量が大きいほど(系統的な手順による測定時)、高い順位づけを有する。4つの基の順位づけが決定したら、分子を、最も低い順位の基が、見ている人から遠くになるように向ける。次いで、その他の基の順位の降順が時計回りである場合、該分子は(R)絶対配置を有すると表示され、その他の基の降順が反時計回りである場合、該分子は(S)絶対配置を有すると表示される。以下のスキームの例では、カーン・インゴルド・プレローグ順位をA>B>C>Dとする。最も低い順位の原子Dを、見ている人から遠くになるように向ける。実線の楔形は、このように結合している原子が見ている人に向かって紙面から突出していることを示し、点線の楔形は、このように結合している原子が見ている人に対して紙面、すなわち、以下に示す(R)配置の原子A、Cおよびキラル炭素原子によって画定される「紙の」平面の外側に突出していることを示す。
【化11】
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【0080】
上記に示したA−D原子を有する炭素原子は「キラル」炭素原子として知られるものであり、分子内のかかる炭素原子の位置は「キラル中心」と称される。本発明の化合物は1つより多くのキラル中心を含むものであってもよく、各キラル中心における配置は同じ様式で記載される。
【0081】
実線の楔形と点線の楔形を用いてキラル構造を図示する種々の表示法が存在する。例えば、上記に示した(R)配置について、以下の2つの描写は等価である:
【化12】
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【0082】
本発明は、ジアステレオマー、ならびにそのラセミ形態ならびに分割されたジアステレオマー的に純粋な形態およびエナンチオマー的に純粋な形態ならびにその塩を包含していることを意図する。ジアステレオマーのペアは、既知の分離手法、例えば、順相および逆相クロマトグラフィーならびに晶出によって分割され得る。
【0083】
「単離された光学異性体」または「単離されたエナンチオマー」は、同じ式の対応する(1種類または複数種の)光学異性体から実質的に精製されている化合物を意味する。好ましくは、単離された異性体は、少なくとも約80%、より好ましくは少なくとも90%エナンチオマー的に純粋であり、さらにより好ましくは少なくとも98%エナンチオマー的に純粋であり、最も好ましくは少なくとも約99%エナンチオマー的に純粋である(重量基準で)。「エナンチオマー的純度」により、化合物の光学異性体のエナンチオマー混合物中の過半量のエナンチオマーのパーセントを意図する。純粋な単一エナンチオマーは100%のエナンチオマー純度を有する。
【0084】
単離された光学異性体はラセミ混合物から、よく知られたキラル分離手法によって精製され得る。かかる方法の一例によれば、本発明の化合物のラセミ混合物またはそのキラル中間体は、適当なキラルカラム、例えば、一連のDAICEL(登録商標)CHIRALPAK(登録商標)系列のカラム(株式会社ダイセル,東京,日本)の1つを用いたHPLCによって、99%(wt.%)純粋な光学異性体に分離される。カラムは、製造業者の使用説明書に従って操作する。
【0085】
個々の実質的に純粋な光学異性体を得る別のよく知られた方法は古典的分割であり、この場合、イオン化官能基、例えば、プロトン化されたアミンまたはカルボン酸基を含むキラルラセミ化合物が、反対の電荷のイオン化キラル非ラセミ添加剤とジアステレオマー塩を形成する。得られたジアステレオマー塩形態は次いで、標準的な物理的手段(例えば、溶解度の差)によって分離され得、次いで、キラル非ラセミ添加剤に、標準的な化学的手段による別の対イオンでの除去もしくは交換のいずれかが行なわれ得るか、または択一的に、ジアステレオマー塩形態は、治療用薬剤もしくは治療用薬剤の前駆物質として使用される塩として保持され得る。
【0086】
本発明の一実施形態の別の態様により、本発明の化合物単独の組成物または別の医薬との組合せでの組成物を提供する。本明細書に示したように、本発明の化合物は、その立体異性体、互変異性体、溶媒和物、プロドラッグ、薬学的に許容され得る塩および混合物を包含している。本発明の化合物を含む組成物は、例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,第19版,1995またはその後続版(引用により本明細書に組み込まれる)に記載されているような慣用的な手法によって調製され得る。該組成物は、慣用的な形態、例えば、カプセル剤、錠剤、エーロゾル剤、液剤、懸濁剤または経表面適用物の外観であり得る。
【0087】
本発明の化合物は、異常状態のかかる処置、予防、解消、緩和または改善を必要とする哺乳動物、特にヒトに投与され得る。かかる哺乳動物にはまた、飼育用動物(例えば、家で飼うペット、家畜用動物)および非飼育用動物(野生生物など)のどちらの動物も包含される。
【0088】
本発明の化合物は、広い投薬量範囲にわたって有効である。例えば、成人ヒトの処置では、約0.05〜約5000mg、好ましくは約1〜約2000mg、より好ましくは約2〜約2000mg/日の投薬量が使用され得る。典型的な投薬量は約10mg〜約1000mg/日である。患者に対するレジメンの選択において、多くの場合、高投薬量で開始し、病状がコントロールされるようになったら投薬量を減らすことが必要であり得る。厳密な投薬量は、化合物の活性、投与様式、所望される治療、投与される形態、処置対象の被験体および処置対象の被験体の体重、ならびに担当する医師または獣医の採択および経験に依存する。
【0089】
一般的に、本発明の化合物は、単位投薬量あたり約0.05mg〜約1000mgの活性成分を薬学的に許容され得る担体と一緒に含む単位投薬形態で施薬される。
【0090】
通常、経口、経鼻、経肺または経皮投与に適した投薬形態は、約125μg〜約1250mg、好ましくは約250μg〜約500mg、より好ましくは約2.5mg〜約250mgの該化合物を、薬学的に許容され得る担体または希釈剤と混合された状態で含むものである。
【0091】
投薬形態は、1日1回、または1日1回より多く、例えば1日2回もしくは3回で投与され得る。あるいはまた、処方する医師が賢明であると思う場合は、投薬形態を1日1回より少ない頻度で、例えば、1日おきまたは週1回で投与してもよい。
【0092】
評価
本明細書において開示し、請求項に記載した任意の化合物を、スフィンゴシン−1−リン酸受容体の阻害における有効性および種々の細胞アッセイにおける有効性について、上記の手順または科学文献にみられる手順を用いて評価することは、通常の技能の範囲内である。したがって、当業者は、必要以上に実験を行なうことなく、請求項に記載の任意の化合物を調製し、評価することができよう。
【0093】
スフィンゴシン−1−リン酸受容体の有効なインヒビターであることがわかった化合物はいずれも、同様に、動物モデルおよびヒト臨床試験において、投薬量および処置レジメンの選択が手引きされる治験担当医の技能および経験を用いて試験され得る。
【0094】
種々の実施形態において、該化合物は、以下の表1、2または3に示すもののいずれかである。かかる化合物は、本明細書に開示した合成方法を、有機合成の技術分野の当業者の知識、例えば、適切に選択された前駆物質、中間体、試薬および反応機構の使用と併せることによって調製され得る。
【0095】
本発明を、当業者がこれを作製および使用するのに充分に詳細に説明し、例示したが、種々の択一例、修正例および改善が、特許請求の範囲の趣旨および範囲から逸脱することなく当業者に自明となろう。
【0096】
本明細書において言及した特許および刊行物はすべて、引用により、個々の各刊行物があたかも具体的に個々に示されて引用によりその全体が組み込まれているのと同程度に本明細書に組み込まれる。
【0097】
使用している用語および表現は説明の用語として用いており、限定の用語として用いているのではなく、かかる用語および表現の使用において、図示および記載した特色またはその一部分の任意の均等物を排除する意図はないが、請求項に記載の発明の範囲内で種々の修正例が考えられ得ることは認識されよう。したがって、本発明を好ましい実施形態および任意選択的な特色によって具体的に開示したが、本明細書に開示した思想の修正例および変形例が当業者に想到され得ること、ならびにかかる修正例および変形例は、添付の特許請求の範囲によって規定される本発明の範囲に含まれるとみなされることを理解されたい。
【0098】
記
公開されたツール化合物は有益な概念実証をもたらすものであるが、アミノリン酸エステルであるスフィンゴ脂質アナログは、一般に、最適な有用性に必要な速度論および安定性を有していない。本発明者らの最近の刊行物には、S1PR
1をS1PR
3結合ポケットから分離する鍵となる態様が記録されている(7,46)。S1PR
1モジュレーターの全身性「免疫抑制性」作用は、理論的には、局所環境における炎症、例えば、EAEにおけるCNSの炎症またはインフルエンザ感染による肺の炎症を減弱させるのに有用であり得る(25,47)が、S1PR
1アゴニストは、徐脈(6,7)およびその肺の微小血管透過性を増大させる可能性(48)(49)のため敗血症のリスクをもたらす可能性があり得る。したがって、敗血症における全身性の炎症を、S1P
1親和性のない選択的S1PR
3アンタゴニストにより減弱させることが望ましい。
【0099】
最近(Jo et al,2012およびこれに記載の参考文献)、本発明者は、非常に類似したS1PR
1サブタイプの本発明者らの公開されたX線構造に基づいたS1PR
3モデルを報告した(2)。部位特異的変異誘発、リガンド競合結合、機能アッセイおよび分子モデリングの組合せを使用し、本発明者らは、内因性pan−S1P受容体アゴニストであるS1Pが、予測どおり、オルソステリック部位に結合すること(50)、新規なS1PR
3選択的アゴニストCYM−5541がアロステリック部位に結合し、したがってアロステリックアゴニストであること、およびS1PR
3選択的アンタゴニストSPM−242が、オルソステリック部位とアロステリック部位の両方との結合について競合し、「バイトピック型」であるといえることを実証した。SPM−242およびCYM−5541のS1PR
3選択性は、S1P受容体ファミリーのあまり保存されていない(非オルソステリックな)領域との結合によるものであると結論付けた。薬物様S1PR
3アンタゴニストに対する本発明者らの探求において、本発明者らは、アロステリックアゴニストCYM−5541の使用を本発明者らの出発点として選択した。本発明者らは、他の「薬物フレンドリーな」官能基(−OH、−NR2など)を比較的低分子量のCYM−5541の骨格に結合させることにより、本発明者らは、該受容体上の付属の結合基、例えば、ペプチド主鎖またはその付近の側鎖、例えば、Asn−95、Ser−99、Gln−281、Glu−115およびArg−114との水素結合をピックアップできるはずであり、結果は、向上した溶解度特性を有する新しいバイトピック型リガンドであるという仮説をたてる。
【表1】
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【0100】
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[実施例]
スフィンゴシン−1−リン酸受容体(S1P−R)の(1つまたは複数の)作用を選択的に修飾し、したがって、心血管系および/または肺系の疾患または障害の(1種類または複数種の)処置薬の可能性を有する化合物を示す。このような疾患/障害としては、限定されないが:
心血管疾患、高血圧(例えば、悪性高血圧)、アンギナ、心筋梗塞、心臓不整脈、鬱血性心不全、冠状動脈性心臓病、アテローム性動脈硬化、狭心症、律動異常、心筋症(例えば、肥大型心筋症)、心不全、心停止、気管支炎、喘息、慢性閉塞性肺疾患、嚢胞性線維症、クループ、気腫、胸膜炎、肺線維症、肺炎、肺動脈塞栓、肺高血圧症、中皮腫、心室伝導異常、完全心ブロック 成人呼吸窮迫症候群および敗血症症候群、特発性肺線維症、強皮症、全身性硬化症、後腹膜線維化症、ケロイド形成の抑制、肝硬変が挙げられる。
【0101】
以下の本発明の化合物は、既知のスフィンゴシン−1−リン酸受容体の1種類以上のアンタゴニスト/アゴニストとしての活性を、10マイクロモル濃度未満のIC
50/EC
50値で示すことが示されたものである。代表例を以下の表2および3に示す。
【表2】
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【表3】
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【0102】
Boc=t-ブトキシカルボニル
Ph=フェニル
Rac=ラセミ化合物;図示した化合物はすべて、特に記載のない限り、すべての立体異性体を包含している。
【0103】
異性体1,異性体2;は、構造の分離された立体異性体を示すが、絶対配置は記載していない。
【0104】
一般合成スキーム:
【化13】
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【0105】
密封チューブ内のI、IIおよびTi(OEt)
4の混合物を70℃で30分間加熱した。この混合物をEtOAcに溶解させ、ブラインで洗浄した。有機相を無水Na
2SO
4上で乾燥させ、減圧濃縮した。生成物IIIをさらに精製せずに使用した。IIIのTHF溶液(−78℃)にアリールマグネシウムブロミドIVをゆっくり添加し、反応液を2時間撹拌した。混合物を飽和塩化アンモニウム溶液でクエンチし、生成物をEtOAcで抽出した。有機相を無水Na
2SO
4上で乾燥させ、真空濃縮した後、カラムクロマトグラフィー(CC)(ヘキサン/EtOAcを使用)による生成物Vの精製を行なった。VのMeOH溶液に、ジオキサン中HClの4M溶液を添加し、反応液を室温(rt)で30分間撹拌した。混合物を減圧濃縮し、生成物VIをさらに精製せずに使用した。VI、適切なカルボン酸、EDCI、HOBtおよびDIPEAをジクロロメタン中に含む溶液を室温で2時間撹拌した。混合物を減圧濃縮し、生成物VIIをHPLCによって精製した。
【化14】
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【0106】
適切な塩化アリール(VIIIまたはX)、VIおよびDIPEAのEtOH中の混合物を、マイクロ波照射により130℃で30分間加熱し、対応する生成物(IXまたはXI)を得、これをHPLCによって精製した。
【化15】
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【0107】
XII、XIIIおよび触媒量のギ酸のEtOH中の混合物を60℃で一晩加熱した。粗製物を濃縮し、CC(ヘキサン/EtOAcを使用)によって精製した。XIVのTHF溶液(0℃)にXVのEt
2O溶液を滴下し;反応混合物を室温で一晩撹拌した。混合物を飽和塩化アンモニウム溶液でクエンチし、生成物をEtOAcで抽出した。有機相を無水Na
2SO
4上で乾燥させ、減圧濃縮した。生成物XVIをCC(ヘキサン/EtOAcを使用)またはHPLCによって精製した。
【化16】
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【0108】
マイクロ波バイアル内で、XVIIのジオキサン中の撹拌溶液をHOBtとEDCIで室温にて処理した。反応液を10分間撹拌した後、XVIIIを添加した。反応液を室温でさらに30分間撹拌し、次いで、マイクロ波照射下で110℃まで30分間加熱した。この反応液にブラインを添加し、生成物をEtOAcで抽出した(3回)。有機相を無水Na
2SO
4上で乾燥させ、減圧濃縮した。生成物XIXをCC(ヘキサン/EtOAcを使用)によって精製した。XIXのジクロロメタン溶液をTFAとともに室温で20分間撹拌した。混合物を減圧濃縮し、生成物をさらに精製せずに使用した。TFA塩、適切なカルボン酸、EDCI、HOBtおよびDIPEAのジクロロメタン中の溶液を室温で2時間撹拌した。混合物を減圧濃縮し、生成物XXをHPLCによって精製した。
一態様に、本発明は以下を提供する。
[項目1]
式(I)
【化1】
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(式中、Ar1、Ar2およびAr3の各々は独立して、選択された(C6〜C10)アリール環系または(5〜10員の)ヘテロアリール環系であり、ここで、Ar1、Ar2またはAr3の該アリールまたはヘテロアリール環系はいずれも、シクロアルキルまたはヘテロシクリル環と縮合していてもよく;
Ar1、Ar2またはAr3の該アリールまたはヘテロアリールはいずれも各々、独立して、(C1〜C4)アルキル、(C2〜C4)アルケニル、ハロ、ハロ(C1〜C4)アルキル、OH、モノヒドロキシ(C1〜C4)アルキル、ジヒドロキシ(C2〜C4)アルキル、モノヒドロキシ(C1〜C4)アルコキシ、ジヒドロキシ(C2〜C4)アルコキシ、(C1〜C4)アルコキシ、(C2〜C6)アシル、(C1〜C6)アルコキシカルボニル(CH2)0〜2、カルボキシ(CH2)0〜2、オキソ、シアノ、NR2(CH2)0〜2、NR2C(=O)(CH2)0〜2、NR2C(=O)(CH2)0〜2O(CH2)0〜2、(C1〜C4)C(=O)N(R)、(C1〜C4)OC(=O)N(R)、C=NOR、(C3〜C10)シクロアルキル、(5〜10員の)ヘテロシクリル、(C6〜C10)アリールおよび(5〜10員の)ヘテロアリールからなる群より選択される3つまでの置換基による一置換型または多置換型であってもよく;ここで、
Ar1、Ar2またはAr3の該シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールまたはヘテロアリール置換基はいずれも、それ自体が、(C1〜C4)アルキル、(C2〜C4)アルケニル、ハロ、ハロ(C1〜C4)アルキル、OH、モノヒドロキシ(C1〜C4)アルキル、ジヒドロキシ(C2〜C4)アルキル、モノヒドロキシ(C1〜C4)アルコキシ、ジヒドロキシ(C2〜C4)アルコキシ、(C1〜C4)アルコキシ、(C2〜C6)アシル、(C1〜C6)アルコキシカルボニル(CH2)0〜2、カルボキシ(CH2)0〜2、オキソ、シアノ、NR2(CH2)0〜2、NR2C(=O)(CH2)0〜2、NR2C(=O)(CH2)0〜2O(CH2)0〜2、(C1〜C4)C(=O)N(R)、(C1〜C4)OC(=O)N(R)およびC=NORからなる群より選択される3つまでの二次置換基で置換されていてもよく;
各Rは独立して、H、(C1〜C4)アルキル、ヒドロキシ(C2〜C4)アルキル、シアノもしくは((C1〜C4)アルキル−O)1〜2(C1〜C4)アルキルであるか、または2つのR基が、これらがともに連接されている原子と一体となって環を形成していてもよく;
各R’は独立して、H、(C1〜C4)アルキル、ヒドロキシ(C2〜C4)アルキル、(CH2)0〜2C(=O)O(C1〜C4)アルキルまたは(C3〜C6)シクロアルキルであり;
Xは、結合、(CH2)1〜2、(CH2)0〜2N(R)(CH2)0〜2、(CH2)0〜2O(CH2)0〜2、(CH2)0〜2N(R)C(=O)(CH2)0〜2、(CH2)0〜2C(=O)N(R)(CH2)0〜2、(CH2)0〜2N(R)C(=O)O(CH2)0〜2または(CH2)0〜2OC(=O)N(R)(CH2)0〜2であり;
Lは、結合、NR、C(=O)、SO2、C(=NR)、C(=O)CR2、C(=O)CH(N(R)C(=O)(C1〜C4)アルキル、C(=O)CH(N(R)C(=O)O(C1〜C4)アルキル、C(=O)CH(NR2)、C(=O)CR(ハロ)であるか、または
【化2】
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(式中、波線は結合点を示す)である)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩。
[項目2]
式(IA)
【化3】
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(式中、Ar1、Ar2およびAr3の各々は独立して、選択されたアリールであり;X、L、RおよびR’は項目1に規定したとおりである)の項目1に記載の化合物。
[項目3]
XがNRであり、Lが結合であるか、またはC(=O)である、項目2に記載の化合物。
[項目4]
Ar1、Ar2およびAr3の各々がフェニルである、項目2に記載の化合物。
[項目5]
式(IB)
【化4】
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(式中、Ar1およびAr2は独立して、選択されたアリールであり、Ar3はヘテロアリールであり;X、L、RおよびR’は項目1に規定したとおりである)の項目1に記載の化合物。
[項目6]
XがNRであり、Lが結合であるか、またはC(=O)である、項目5に記載の化合物。
[項目7]
Ar3がピリジルまたはキノリルである、項目5に記載の化合物。
[項目8]
Ar1とAr3がフェニルである、項目5に記載の化合物。
[項目9]
式(IC)
【化5】
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(式中、Ar1はアリールであり、Ar2およびAr3は独立して、選択されたヘテロアリールであり;X、L、RおよびR’は項目1に規定したとおりである)の項目1に記載の化合物。
[項目10]
XがNRであり、Lが結合であるか、またはC(=O)である、項目9に記載の化合物。
[項目11]
Ar1がフェニルであるか、Ar2がピリジルもしくはキノリルであるか、Ar3がピリジルもしくはキノリルであるか、またはその任意の組合せである、項目9に記載の化合物。
[項目12]
式(ID)
【化6】
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(式中、Ar1およびAr3は独立して、選択されたアリールであり、Ar2はヘテロアリールであり;X、L、RおよびR’は項目1に規定したとおりである)の項目1に記載の化合物。
[項目13]
XがNRであり、Lが結合であるか、またはC(=O)である、項目12に記載の化合物。
[項目14]
Ar1およびAr3がフェニルであるか、Ar2がピリジルもしくはキノリルであるか、またはその任意の組合せである、項目12に記載の化合物。
[項目15]
式(IE)
【化7】
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(式中、Ar1およびAr3は独立して、選択されたヘテロアリールであり、Ar2はアリールであり;X、L、RおよびR’は項目1に規定したとおりである)の項目1に記載の化合物。
[項目16]
XがNRであり、Lが結合であるか、またはC(=O)である、項目15に記載の化合物。
[項目17]
Ar2がフェニルであるか、Ar1がピリジルもしくはキノリルであるか、Ar3がピリジルもしくはキノリルであるか、またはその任意の組合せである、項目15に記載の化合物。
[項目18]
項目1に記載の化合物および薬学的に許容され得る賦形剤を含む医薬組成物。
[項目19]
項目1に記載の化合物を含む、心肺疾患をこれに罹患している患者において処置するための医薬組成物。
[項目20]
表1の化合物を含む、心肺疾患をこれに罹患している患者において処置するための医薬組成物。
[項目21]
表2または3の化合物を含む、心肺疾患をこれに罹患している患者において処置するための医薬組成物。
[項目22]
前記疾患が喘息または慢性閉塞性肺疾患である、項目19に記載の医薬組成物。
[項目23]
前記疾患が敗血症を含む、項目19に記載の医薬組成物。
[項目24]
前記疾患が冠動脈アテローム性硬化である、項目19に記載の医薬組成物。
[項目25]
前記疾患が、気管支収縮、肺線維症、冠動脈収縮、樹状細胞によるサイトカイン増幅または播種性血管内凝固障害の発生を特徴とする臨床症候群を含む、項目19に記載の医薬組成物。
[項目26]
前記疾患がインフルエンザ感染による炎症を含む、項目19に記載の医薬組成物。
[項目27]
前記疾患が心血管疾患、高血圧(例えば、悪性高血圧)、アンギナ、心筋梗塞、心臓不整脈、鬱血性心不全、冠状動脈性心臓病、アテローム性動脈硬化、狭心症、律動異常、心筋症(例えば、肥大型心筋症)、心不全、心停止、気管支炎、喘息、慢性閉塞性肺疾患、嚢胞性線維症、クループ、気腫、胸膜炎、肺線維症、肺炎、肺動脈塞栓、肺高血圧症、中皮腫、心室伝導異常、完全心ブロック、成人呼吸窮迫症候群、敗血症症候群、特発性肺線維症、強皮症、全身性硬化症、後腹膜線維化症、ケロイド形成の抑制または肝硬変である、項目19に記載の医薬組成物。