特許第6770531号(P6770531)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6770531家具用の組立式引き出し及びその引き出しの組立方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6770531
(24)【登録日】2020年9月29日
(45)【発行日】2020年10月14日
(54)【発明の名称】家具用の組立式引き出し及びその引き出しの組立方法
(51)【国際特許分類】
   A47B 88/90 20170101AFI20201005BHJP
   F16B 12/32 20060101ALI20201005BHJP
【FI】
   A47B88/00 C
   F16B12/32 B
【請求項の数】9
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-556882(P2017-556882)
(86)(22)【出願日】2016年4月27日
(65)【公表番号】特表2018-520716(P2018-520716A)
(43)【公表日】2018年8月2日
(86)【国際出願番号】EP2016059373
(87)【国際公開番号】WO2016174069
(87)【国際公開日】20161103
【審査請求日】2019年4月8日
(31)【優先権主張番号】MI2015A000617
(32)【優先日】2015年4月30日
(33)【優先権主張国】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】517220911
【氏名又は名称】アルトゥーロ・サリチェ・ソチエタ・ペル・アツィオーニ
【氏名又は名称原語表記】ARTURO SALICE S.P.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100100158
【弁理士】
【氏名又は名称】鮫島 睦
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100113170
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 和久
(72)【発明者】
【氏名】ルチアーノ・サリチェ
【審査官】 下井 功介
(56)【参考文献】
【文献】 英国特許出願公告第01522598(GB,A)
【文献】 米国特許第03901572(US,A)
【文献】 特開2004−301288(JP,A)
【文献】 独国実用新案第20007411(DE,U1)
【文献】 米国特許第05163774(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B67/04〜88/994
F16B12/00〜12/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の側壁(2,3)と、後壁(4)と、底部(5)と、フロントパネル(6)とを備える家具用の組立式引き出し(1)であって、
前記側壁(2,3)及び前記後壁(4)には、端部開口(7,8)が設けられ、
前記端部開口(7,8)は、結合手段(10,11)の結合を可能にするように適合され、
前記結合手段(10,11)は、可動係合手段(25,26,27,28)によって前記端部開口(7,8)内にロックされるように適合され、
前記可動係合手段(25,26,27,28)は、前記側壁(2,3)及び前記後壁(4)の前記端部開口(7,8)内において、前記可動係合手段の押しつけ結合又は形状結合のために移動可能であ
移動可能な前記可動係合手段は、少なくとも1つの偏心係合要素(25,30)を有し、
前記偏心係合要素(25,30)は、前記後壁及び前記側壁の前記端部開口(7,8)内における前記可動係合手段の押しつけ結合又は形状結合のために用いられる、
ことを特徴とする、組立式引き出し。
【請求項2】
前記側壁(2,3)及び前記後壁(4)には、その延伸の長手方向の軸のそれぞれに沿って延在する側面が設けられている組立式引き出しにおいて、前記側壁(2,3)及び前記後壁(4)の前記側面には、開口及び/又は機械加工を有しないことを特徴とする、請求項1に記載の組立式引き出し。
【請求項3】
前記結合手段(10,11)は、一対の後部コーナーコネクタ(10)と、一対のフロントコネクタ(11)とを有し、
前記後部コーナーコネクタ(10)は、前記側壁(2,3)と前記後壁(4)との間の結合に用いられ、
前記フロントコネクタ(11)は、前記フロントパネル(6)を前記側壁(2,3)に結合させるために用いられる、
ことを特徴とする、請求項1又は2に記載の組立式引き出し。
【請求項4】
前記後部コーナーコネクタ(10)には、前記可動係合手段を収容するシート(2)が設けられていることを特徴とする、請求項に記載の組立式引き出し。
【請求項5】
前記フロントコネクタ(11)には、前記可動係合手段を収容するシート(28)が設けられていることを特徴とする、請求項に記載の組立式引き出し。
【請求項6】
前記後部コーナーコネクタ(10)及び前記フロントコネクタ(11)の前記可動係合手段は、前記側壁(2,3)及び/又は前記後壁(4)内に係合可能なネジ手段(25)を有することを特徴とする、請求項に記載の組立式引き出し。
【請求項7】
付加的な接続手段(16)を備え、
前記接続手段(16)は、前記側壁(2,3)と前記組立式引き出しの前記後壁(4)との結合を可能にするように適合されている、
ことを特徴とする、請求項に記載の組立式引き出し。
【請求項8】
前記フロントパネル(6)に固定可能であり、前記フロントコネクタ(11)と嵌合可能な第1フロント結合手段(12)を備えることを特徴とする、請求項に記載の組立式引き出し。
【請求項9】
組立式引き出しの一対の側壁(2,3)と、後壁(4)と、底部(5)と、フロントパネル(6)とから開始し、前記組立式引き出しの前記側壁(2,3)と前記後壁(4)とを結合させるため、結合手段(1011)を前記側壁および前記後壁の端部開口(7,8)内に結合させるステップと、
可動係合手段(25,30)によって前記結合手段を適当な位置にロックし、前記可動係合手段(25,30)は、前記結合手段(10,11)と、前記側壁(23)および前記後壁(4)の前記端部開口(7,8)との間の押しつけ結合又は形状結合を可能にするように適合された、前記可動係合手段(25,30)によって前記結合手段を適当な位置にロックするステップと、
前記底部(5)を前記側壁(2,3)に取り付けるステップと、
前記フロントパネル(6)に向かうように適合された前記側壁(2,3)の端部に配置された前記結合手段(11)に、前記フロントパネル(6)を固定するステップと、を含み、
移動可能な前記可動係合手段は、少なくとも1つの偏心係合要素(25,30)を有し、
前記偏心係合要素(25,30)は、前記後壁及び前記側壁の前記端部開口(7,8)内における前記可動係合手段の押しつけ結合又は形状結合のために用いられることを特徴とする、
組立式引き出しの組立方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家具用の組立式引き出し及びその引き出しの組立方法に関する。
【背景技術】
【0002】
知られているように、家具分野において、組立式引き出しが利用されている。このタイプの引き出しは、金属材料製の後壁及び側壁と、木材又は他の材料製の底面及びフロントパネルとを有する。
【0003】
側壁を引き出しのフロントパネル及び後壁に接続するため、通常、それぞれフロントコネクタとコーナーコネクタとが用いられ、フロントコネクタ及びコーナーコネクタは、結合用部品を有し、これらの結合用部品は、引き出しを構成する部品の簡単且つ迅速の組立を可能にするように後壁及び側壁の対応する端部開口に挿入することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
コネクタと引き出しの壁との間の接続は、部品を簡単に押し込んで結合することによって行うことができる。しかしながら、特に引き出しが詰まっているとき、高い応力が生じる場合に、このようなタイプの押しつけ結合又は係合は、引き出しを安定な組立状態に維持するには不十分の可能性がある。
【0005】
実質的に、引き出しを構成するいくつかの要素が脱離する可能性がある。
【0006】
前述した問題を克服するため、コネクタには、タブ又は他の弾性保持手段を設けることができる。当該タブ又は他の弾性保持手段は、スナップアクションによって、引出しの側壁及び後壁の側部に設けられ、適合させた開口に係合することができる。
【0007】
しかしながら、前記解決法は、引き出しを組立状態に保持するという観点から見れば有効であるが、側方開口を規定するために引き出しの側壁及び後壁に多数の機械加工を施す必要がある。更に、そのような側方開口の存在は審美的に好ましくないものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の目的は、金属材料製の後壁及び側壁を有しているが、側方開口を有しない組立式引き出しを考案することであって、それによって、それらの壁に追加的な機械加工を施す必要がなくなる。その結果、引き出しの全体的な美的外観に不利な影響を及ぼさないとともに、高い応力の場合でも引き出しを安定に組み立てることができる。
【0009】
前記目標内において、本発明の1つの目的は、簡単且つ迅速な方法で組み立てることができる家具用の組立式引き出しを考案することである。
【0010】
本発明の別の目的は、信頼性が高く、容易かつ実用的に実施され、低コストである家具用の組立式引き出しを考案することである。
【0011】
この目的及び以下でより明らかになるこれら及び他の目的は、家具用の組立式引き出しによって達成される。当該組立式引き出しは、
一対の側壁と、後壁と、フロントパネルとを備える組立式引き出しであって、
前記側壁及び前記後壁には、端部開口が設けられ、
前記端部開口は、結合手段の結合を可能にするように適合され、
前記結合手段は、係合手段によって前記端部開口内にロックされるように適合され、
前記係合手段は、前記側壁及び前記後壁の前記端部開口内において、前記可動係合手段の押しつけ結合又は形状結合のために移動可能である、
ことを特徴とする組立式引き出しである。
【0012】
本発明のさらなる特徴及び利点は、添付の図面における限定されない例によって示される。本発明に係る組立式引き出しの好ましいが限定的ではない実施形態の説明からより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係る組立式引き出しの斜視図である。
図2図1の組立式引き出しの部分分解斜視図である。
図3図1及び図2の分解斜視図である。
図4】本発明に係る組立式引き出しのコーナー結合要素の詳細斜視図である。
図5】本発明に係る組立式引き出しの別のフロント結合要素の詳細斜視図である。
図6】本発明に係る組立式引き出しの2つのコーナー要素の結合の分解斜視図である。
図7】本発明に係る組立式引き出しの2つのフロント要素の結合の分解斜視図である。
図8】第1挿入位置にある、図7に示された2つの要素の斜視図である。
図9】第2結合位置にある、図7に示された2つの要素の別の斜視図である。
図10】本発明に係る組立式引き出しの部分断面側視図である。
図11】可動係合手段が非係合位置にある、本発明に係る引き出しの側壁の断面図である。
図12】本発明に係る引き出しの後壁の断面図である。
図13】係合手段が回転結合位置にある、図11の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図面を参照すれば、全体的に参照符号1で示されている本発明に係る引き出しは、一対の側壁2,3と、後壁4と、底部5と、前壁6とを備えている。
【0015】
好適的には、側壁は、端部開口又はキャビティを規定する中空の断面を有する金属材料製のプロフィール壁(profiled walls)である。しかしながら、代替的に壁がプラスチック材料、木材などの他の材料で作製される可能性は排除されない。
【0016】
端部開口は、側壁2,3及び後壁4に設けられている。
【0017】
図面において、側壁の端部開口は参照符号7で示され、後壁の端部開口は参照符号8で示されている。
【0018】
側壁2,3及び後壁4は、それぞれの長手方向軸に沿って延在する側面を有し、本発明によれば、これらの面には開口及び/又は機械加工を有していない。具体的には、壁全体の長手方向軸に対して直角的に伸びる軸を有する開口又は突起部は設けられていない。
【0019】
側壁を後壁4及び前壁6に相互に結合させるため、結合手段が設けられている。当該結合手段は、側壁2,3と後壁4との間の結合部に設けられたコーナー要素10と、側壁2及び3を前壁6に結合させるために設けられたフロントコネクタ11とを備えている。
【0020】
フロントコネクタ11は、フロントパネル6の壁と一体的に配置された前部結合手段12によって係合されている。
【0021】
好適的には、側壁2及び3は、引き出しの底部5の結合を可能にするように適合された溝15を有する。
【0022】
好ましくは、壁2,3及び後壁4が非常に高いとき、後部コーナーコネクタ10は、コーナー要素16に結合される。コーナー要素16は、後壁4の端部キャビティ8及び側壁2及び3の端部キャビティ18内に挿入される。
【0023】
対照的に、コーナーコネクタ10は、一方の側において、本発明に係る引き出しの側壁2及び3の端部開口7に挿入され、且つ本発明に係る引き出しの後壁4の中央溝20に挿入される。
【0024】
連結手段(すなわち、コーナー要素10およびフロント要素11)をロックするために、本発明に係る引き出しは、例えば、スクリュードライバー用の溝付き頭の形態の制御要素を有する可動係合手段を有する。
【0025】
制御要素を有する可動係合手段は、好ましくは、偏心係合要素25を備え、偏心係合要素25は、回転的に移動可能である。また、フロントコネクタ11及び側壁2,3の開口7に挿入されるコーナーコネクタ10の部品について、偏心係合要素25は、例えば、三つ葉ネジのようなネジ手段25’の形態である。ネジ手段25’は、締め付けられたときに、部品のより堅固な結合を得るように引っ張り力を発生する。ヘッド26は、コーナーコネクタ10(ここでは参照符号27で示す)及びフロントコネクタ11(ここでは参照符号28で示す)に規定され、適合されたシート内で回転するように適合され、また、係合手段の回転に対してストローク制限止め(stroke limiting stop)を規定するように、例えば、半径方向の突起部又はくぼみ26’を有するように便利に成形されている。
【0026】
ヘッド26は、このようなシート27及び28内で回転するように適合されており、それらの形状によって、ネジ手段25’は、コーナーコネクタ10及びフロントコネクタ11に対して、端部開口7の内側輪郭に噛み合う。
【0027】
後壁4と係合するコーナーコネクタ10の部品に対して、可動係合手段25は、好ましくは、ねじ切りを有してもよく、有しなくてもよい偏心係合面30を有する。偏心係合面30は、後壁4の中央溝20の上面20’に係合することができる。この場合にも、ヘッド26は、係合手段の回転に対してストローク制限止めを規定するために、例えば、半径方向の突起部又はくぼみ26’を有するように便利に輪郭成形されている。
【0028】
フロントパネル6の結合手段12は、例えば、フロントパネル6に予め取り付け可能な要素の形態であり、一旦フロントコネクタ11が側壁2及び3に結合されると、フロントコネクタ11内に結合することが可能なように適合されている。
【0029】
好ましくは、長手方向において保持するように、結合要素12は、横溝12’を有する。当該横溝12’は、図8及び図9に示された頂部から下向きへの摺動運動によってフロントコネクタ11の内部突起11’に係合するように垂直に伸びている。更に、結合要素12は、後方側において、弾性保持歯部(elastic retainer tooth)12’’を有し、弾性保持歯部12’’は、フロントコネクタ11内の横方向リブ11’’に係合することができる。このようにして、部品を堅固に保持し、プリセット(preset)及びフロントパネル6に非常に大きな上向きの応力が加えられた場合のみに、脱離が可能になる。
【0030】
実質的に、本発明に係る組立式引き出しは、以下のように組み立てられる。まず、作業者は、引き出しの側壁2,3と、後部パネル又は後壁4と、フロントパネル6と、底部5とを配置する。この時点で、作業者は、これらの壁内の連結手段を可動係合手段25’及び30に締め付けることによって、後部コーナーコネクタ10及びフロントコネクタ11の形態の連結手段を側壁2,3内に結合させる。
【0031】
可動係合手段は、側壁2,3の端開口部内に、及び後壁4の中央溝20内に、押しつけ結合及び/又は形状結合による係合を発生させる。
【0032】
続いて、操作者は、底部パネル5を溝15に挿入し、底部パネル5を側壁に取り付ける。最後に、フロントコネクタ11内にフロント結合手段12を結合させることによってフロントパネル6を取り付ける。
【0033】
実際には、本発明に係る引き出しは、簡単且つ迅速に組み立てることを可能にし、側壁における横方向の開口を必要とすることなく、代わりにユーザに実質的に見えない端部開口を利用する点で、設定された目標及び目的を完全に達成したことが明らかになっている。
【0034】
このようにして考案された組立式引き出しは、多数の修正及び変形が可能であり、それらの全ては、添付の特許請求の範囲内に含まれる。更に、全ての詳細は、技術的に同等の要素によって代えてもよい。
【0035】
実際に、使用される材料、及び不特定の寸法と形状とは、要求及び技術水準に応じて任意に採用されてもよい。
【0036】
本出願は、イタリア特許出願番号第MI2015A000617(102015902347515)の開示に基づいて優先権を主張し、その全体の内容が参照により本明細書に組み込まれる。
【0037】
特許請求の範囲に記載された技術的特徴の後に参照符号が付されている場合、それらの参照符号は、特許請求の範囲の明瞭性を高めるためのみに含まれている。したがって、そのような参照符号は、例としてそのような参照符号によって識別される各要素の解釈にいかなる限定的な影響も及ぼさないものである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13