特許第6770764号(P6770764)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6770764-電子部品放熱構造の製造方法 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6770764
(24)【登録日】2020年9月30日
(45)【発行日】2020年10月21日
(54)【発明の名称】電子部品放熱構造の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/36 20060101AFI20201012BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20201012BHJP
   H01L 23/467 20060101ALI20201012BHJP
   H01L 23/473 20060101ALI20201012BHJP
【FI】
   H01L23/36 Z
   H05K7/20 G
   H05K7/20 B
   H05K7/20 P
   H01L23/46 C
   H01L23/46 Z
【請求項の数】2
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2019-152656(P2019-152656)
(22)【出願日】2019年8月23日
【審査請求日】2020年1月31日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】513019863
【氏名又は名称】大分デバイステクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114661
【弁理士】
【氏名又は名称】内野 美洋
(72)【発明者】
【氏名】橋本 博典
【審査官】 河合 俊英
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭57−035048(JP,U)
【文献】 特開2004−193389(JP,A)
【文献】 特開平05−166982(JP,A)
【文献】 特開2009−105325(JP,A)
【文献】 特開2012−151328(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/36
H01L 23/467
H01L 23/473
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品の放熱を行うための電子部品放熱構造の製造方法において、
電子部品の放熱を行うために形成した放熱部に細線金属製のワイヤ又は薄板金属製のリボンの一端をボンディングした後に、ワイヤ又はリボンを上下に蛇行させながらワイヤ又はリボンの中途部を放熱部にボンディングし、さらに、ワイヤ又はリボンの他端を放熱部にボンディングして放熱フィンを形成することを特徴とする電子部品放熱構造の製造方法
【請求項2】
前記放熱フィンの伸延方向と、冷却用の気体又は液体を流動させるためにベース板に形成した流路の伸延方向とを直交させた状態で、ベース板に電子部品を取付けることを特徴とする請求項1に記載の電子部品放熱構造の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品の放熱を行うための電子部品放熱構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、大電流を流すことができる電子部品や高速で処理を行うことができる電子部品などにおいては、電子部品から発生する熱によって誤作動や故障が生じるおそれがあるために、電子部品の放熱を行う必要がある。
【0003】
従来においては、電子部品の放熱のために電子部品を実装した基板に放熱用のフィンを取付けている(たとえば、特許文献1参照。)。
【0004】
この放熱用のフィンは、アルミや鉄などの金属を材料として鋳造や鍛造などによって製造している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−165406号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来の電子部品の放熱では、電子部品とは別に放熱用のフィンを製造する必要があり、また、その放熱用のフィンを電子部品を実装した基板に装着して組み立てる必要がある。
【0007】
そのため、従来の電子部品の放熱では、放熱用のフィンの製造に要するコストの増加や放熱用のフィンの組立作業に要する労力や時間の増加や電子部品の放熱構造の大型重量化を招いていた。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで、請求項1に係る本発明では、電子部品の放熱を行うための電子部品放熱構造の製造方法において、電子部品の放熱を行うために形成した放熱部に細線金属製のワイヤ又は薄板金属製のリボンの一端をボンディングした後に、ワイヤ又はリボンを上下に蛇行させながらワイヤ又はリボンの中途部を放熱部にボンディングし、さらに、ワイヤ又はリボンの他端を放熱部にボンディングして放熱フィンを形成することにした。
【0009】
また、請求項2に係る本発明では、前記請求項1に係る本発明において、前記放熱フィンの伸延方向と、冷却用の気体又は液体を流動させるためにベース板に形成した流路の伸延方向とを直交させた状態で、ベース板に電子部品を取付けることにした。
【発明の効果】
【0011】
そして、本発明では、以下に記載する効果を奏する。
【0012】
すなわち、本発明では、電子部品の放熱を行うための電子部品放熱構造において、電子部品の放熱を行うために形成した放熱部にワイヤ又はリボンの一端をボンディングして放熱フィンを形成することにしているために、電子部品の放熱構造の構築に要するコストや労力や時間を低減させることができるとともに電子部品の放熱構造の小型軽量化を図ることができる。
【0013】
特に、放熱部にワイヤ又はリボンの他端及び中途部もボンディングして中空部を有する放熱フィンを形成した場合には、放熱フィンの放熱面積(表面積)を増加させることができ放熱効果を増大させることができる。
【0014】
また、放熱フィンに形成した中空部に冷却用の気体又は液体を流動させることにした場合には、中空部で放熱を促進させることができより一層放熱効果を増大させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に係る電子部品放熱構造を示す断面図。
図2】同裏側斜視図。
図3】水冷又は空冷を用いた電子部品放熱構造を示す断面図。
図4】本発明に係る電子部品放熱構造を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明に係る電子部品放熱構造の具体的な構成について図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明では、放熱が必要な電子部品としてパワー半導体素子を基板に実装したパワー半導体モジュールについて説明しているが、本発明はこれに限られず、放熱が必要な各種の電子部品を基板に実装したものに適用できる。
【0017】
図1に示すように、パワー半導体モジュール1は、基板2の上面の回路パターン3にパワー半導体素子(電子部品)4の下面をダイアタッチ材5を用いてダイボンディングで接続するとともに、回路パターン3とパワー半導体素子4の上面とを配線素材6を用いてワイヤーボンディングで接続し、さらに、回路パターン3に端子7を接続し、全ての接続部分を樹脂8で封止している。
【0018】
このパワー半導体モジュール1では、基板2の上面の回路パターン3にパワー半導体素子4を実装するとともに、パワー半導体素子4の直下方に位置する基板2の下面の回路パターン9を封止した樹脂8から外部に露出させている。
【0019】
外部に露出させた基板2の下面の回路パターン9には、パワー半導体素子(電子部品)4の放熱を行うために複数の放熱フィン10を間隔をあけて並べて設けている。なお、基板2の下面の回路パターン9は、パワー半導体素子(電子部品)4の放熱を行うために形成された放熱部として機能している。
【0020】
放熱フィン10は、図1及び図2に示すように、基板2の下面の回路パターン9に薄板金属製のリボンを用いており、リボンの一端(始端)を回路パターン9にボンディングして接続するとともに、リボンを上下に蛇行させながらリボンの中途部を一定間隔をあけて回路パターン9にボンディングして接続し、さらに、リボンの他端(終端)を回路パターン9にボンディングして接続している。
【0021】
ここで、放熱フィン10は、熱伝導性を有する素材であればよく、薄板金属製のリボンに限られず、細線金属製のワイヤでもよい。
【0022】
また、放熱フィン10は、少なくとも一端を基板2にボンディングしていればよく、複数のワイヤ又はリボンの一端(上端)を基板2にボンディングして他端(下端)を凸状に垂下させた構造にしてもよく、ワイヤ又はリボンの一端及び他端だけを基板2にボンディングした構造でもよく、ワイヤ又はリボンの一端と中途部と他端を基板2にボンディングした構造でもよい。ワイヤ又はリボンを蛇行させて中途部を基板2にボンディングした場合には、ワイヤ又はリボンの蛇行した部分に基板2との間に隙間を有する複数の中空部11が形成される。なお、ワイヤ又はリボンは、既存のボンディング装置で配線素材6と同様に基板2にボンディングすることができ、ボンディングする位置や基板2との間の間隔を任意に設定することができる。
【0023】
放熱フィン10を蛇行させて基板2と放熱フィン10との間に中空部11を形成した場合には、放熱フィン10の表面積を広くすることができ、放熱効果を向上させることができる。さらに放熱効果を向上させるために、図3に示すように、中空部11に冷却用の気体や液体などの熱媒体12を流動(通過)させる構造とすることもできる。
【0024】
ここでは、一方向(図3において前後方向)に伸延する溝状の流路13を形成したベース板14をパワー半導体モジュール1の下部に取付けている。放熱フィン10は、流路13に位置させるとともに、放熱フィン10の伸延方向と流路13の伸延方向とを直交させて放熱フィン10の中空部11が流路13の伸延方向に沿って貫通した状態としている。流路13には、冷却用の気体や液体などの熱媒体12を流動させている。これにより、空冷式又は水冷式の冷却機構を形成することができる。
【0025】
放熱フィン10は、パワー半導体素子(電子部品)4を実装した基板2に形成した場合に限られず、パワー半導体素子(電子部品)18の放熱を行うために形成された放熱部に形成すればよい。
【0026】
たとえば、図4に示すパワー半導体モジュール15では、基板16の上面の回路パターン17にパワー半導体素子(電子部品)18の下面をダイアタッチ材19を用いてダイボンディングで接続するとともに、パワー半導体素子18の上面と樹脂パッケージ20に埋設された端子21とを配線素材22を用いてワイヤーボンディングで接続し、さらに、基板16の下面に形成した回路パターン23を樹脂パッケージ20に覆設された金属製のベース板24に接続している。この金属製のベース板24の下面に放熱フィン25を形成している。なお、この場合には、基板16の下面の回路パターン23に接続されたベース板24が、パワー半導体素子(電子部品)18の放熱を行うために形成された放熱部として機能する。
【0027】
以上に説明したように、上記した電子部品4の放熱を行うための電子部品放熱構造では、放熱部(回路パターン9、ベース板24)にワイヤ又はリボンの一端をボンディングして放熱フィン10,25を形成した構成となっている。
【0028】
そのため、上記構成の電子部品放熱構造では、従来の鋳造等されたフィンを電子部品に取付ける構造に比べて、電子部品4の放熱構造の構築に要するコストや労力や時間を低減させることができるとともに電子部品4の放熱構造の小型軽量化を図ることができる。
【0029】
また、上記電子部品放熱構造は、放熱部(回路パターン9、ベース板24)にワイヤ又はリボンの他端及び中途部もボンディングして中空部11を有する放熱フィン10,25を形成した構成となっている。
【0030】
そのため、上記構成の電子部品放熱構造では、放熱フィン10,25の剥離を防止することができるとともに、放熱フィン10,25の放熱面積(表面積)を増加させることができ放熱効果を増大させることができる。
【0031】
また、上記電子部品放熱構造は、放熱フィン10,25に形成した中空部11に冷却用の気体又は液体を流動させる構成となっている。
【0032】
そのため、上記電子部品放熱構造では、中空部11で放熱を促進させることができより一層放熱効果を増大させることができる。
【符号の説明】
【0033】
1,15 パワー半導体モジュール 2,16 基板
3,17 回路パターン 4,18 パワー半導体素子
5,19 ダイアタッチ材 6,22 配線素材
7,21 端子 8 樹脂
9,23 回路パターン 10,25 放熱フィン
11 中空部 12 熱媒体
13 流路 14 ベース板
20 樹脂パッケージ 24 ベース板
【要約】
【課題】電子部品の放熱構造の構築に要するコストや労力や時間を低減させるとともに電子部品の放熱構造の小型軽量化を図ること。
【解決手段】本発明では、電子部品(4,18)の放熱を行うための電子部品放熱構造において、電子部品(4,18)の放熱を行うために形成された放熱部(9,24)にワイヤ又はリボンの一端をボンディングして放熱フィン(10,25)を形成することにした。また、本発明では、前記放熱部(回路パターン9、ベース板24)に前記ワイヤ又はリボンの他端及び中途部もボンディングして中空部(11)を有する放熱フィン(10,25)を形成することにした。さらに、本発明では、前記放熱フィン(10,25)に形成した中空部(11)に冷却用の気体又は液体を流動させることにした。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4