(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記雄型部分が、前記雌型部分の表面の一部の領域に対して前記積層シートをプレスし、前記一部の領域が、前記側面の第1の領域から前記底面を通って前記側面の第2の領域に向かって移動するように、前記第1及び第2の金型が構成される、
請求項7に記載の金型装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本実施形態に係る積層シート成形体8の製造方法及び製造装置について図面を参照して説明する。3層からなる積層シート成形体の例を挙げるが、これに限られたものではない。積層シート成形体8は、複数層からなるものであれば、2層でも4層でもそれ以上でもよい。
【0014】
図1は、本実施形態に係る積層シート成形体8の製造方法を説明するための概略図である。
【0015】
積層シート成形体8の製造装置は、ニップロール4と、金型装置としての成形金型5と、ヒーター10と、打ち抜き金型7a、7b、とを有する。また、当該製造装置には、第1のシートロールとしての金属箔1aがロール状に巻き回されてなる第1のシートロール1と、第2のシートロールとしての樹脂フィルム2aがロール状に巻き回されてなる第2のシートロール2と、第3のシートロールとしての樹脂フィルム3aがロール状に巻き回されてなる第3のシートロール3と、がそれぞれ設置される。
【0016】
金属箔1の厚み及び材質は、特に限定されるものではなく、用途に応じて選択できる。本実施形態では、例えば、アルミニウム又はアルミニウム合金を用いたアルミニウム箔が適用される。例えば、0.035〜0.150mmの厚みのアルミニウム箔を用いてよい。さらには、JIS H4000に規定されるアルミニウム及びアルミニウム合金のうち、5082、5083、8021、8079などをベースとしたアルミニウム箔を用いるのが望ましい。なお、金属箔には、ステンレス箔等の他種の金属箔を用いてもよい。
【0017】
樹脂フィルム2a、3aの材質及び厚みは、特に限定されるものではなく、用途に応じて選択できる。本実施形態では、熱可塑性の合成樹脂フィルムを用いる。具体的には、ポリエチレン、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等の樹脂フィルムが適用される。例えば、ポリエチレン系樹脂またはポリプロピレン樹脂を主成分とした、厚み0.050〜0.100mmの樹脂フィルムを用いるのが望ましい。なお、樹脂フィルム2a及び3aは、同じ材質及び厚みのものを使用してもよいし、それぞれに異なる材質及び厚みのものを使用してもよい。また、樹脂フィルム2a、3aには、その厚み方向に貫通する空気抜き孔が複数形成されていてもよい。また、樹脂フィルム2a、3aの表面は、平坦である必要はなく、凹凸が形成されていてもよい。
【0018】
ニップロール4は、一対のロールを有し、搬送方向に搬送される複数のシート材を相互に重ね合わせた状態で密着させる。本実施形態では、金属箔1a、樹脂フィルム2a、3aは、ニップロール4を通過することで密着し、積層シート11として搬送方向に搬送される。
【0019】
本実施形態では、ニップロール4により重ね合わせた複数のシート材を密着させているが、重ね合わせた複数のシート材間の空気を抜いて密着させるものであれば、数や材質、ロール径などの構成は限定されない。例えば、各ロールは、弾力性を有し、対向するロール間の間隙を複数のシート材の合計の厚みよりもやや狭く設定するようにしてよい。例えば、材質は、硬度が70−90のゴム、ラジアルクラウン形状のものを使用するようにしてもよい。また、ロール間の間隙は、金属箔1a、樹脂フィルム2a、3aの合計厚みより0.010mm〜1.000mm程度狭く設定するようにしてもよい。
【0020】
図2は、成形金型5の模式図である。成形金型5は、積層シート11にカップ形状を成形するための略円柱状の金型セットである。本実施形態では、成形金型5は、ロール基型52と、第1のロール金型51及び第2のロール金型53と、を含む。なお、自身にシート材の搬送機構を設けてもよいし、別の搬送機構を用いてもよい。
【0021】
ロール基型52は、その外周に1つ以上の雌型部分520有する。雌型部分520は、カップ形状を形成するための雌型成形面を含む。雌型成形面は、底面521と、底面521を取り囲む側面522、523とを含む。また、図示例では、ロール基型52には、外周に周方向に略等間隔に4つの雌型部分520が形成されているが、ロール基型52に形成される雌型部分520の数は、これに限定されない。また、成形形状や成形サイズによって、ロール径は変更してもよい。
【0022】
第1のロール金型51は、ロール基型52に対向するように設置される。第1のロール金型51とロール基型52とは、搬送方向の上流から供給される積層シート11を巻き込んで、下流に搬送する。第1のロール金型51とロール基型52とは、搬送方向に搬送される積層シート11に、段階的に絞り加工を適用して、所望の深さのカップ形状を形成する。
【0023】
具体的には、例えば、第1のロール金型51は、その外周に1つ以上の雄型部分510を有する。雄型部分510は、雌型部分520に嵌合する部分である。可動状態において、第1ロール金型51の1つ以上の雄型部分520は、ロール基型52の1つ以上の雌型部分520に、歯車状に嵌合するように形成される。雄型部分510は、カップ形状を形成するための金型の雄型成形面を含む。雄型成形面は、雌型部分520の雌型成形面の一部の領域に対して積層シートをプレスするように構成される。雄型成形面は、雄型部分510を雌型部分520に嵌合した状態で、底面521に対面する頂面511と、側面522、523に対面する側面512、513とを含む。
【0024】
また、第1のロール金型51は、積層シート11を加熱するためのジャケット機構(図示無し)を有する。加熱のためのジャケット機構は、樹脂フィルム2a、3aが軟化する程度以上の温度に加温されればよい。ジャケット機構の温度は、シート材の材質や室温などに応じてどのように設定されてもよい。なお、嵌合した状態において、雄型部分510と雌型部分520とは、互いの成形面が接触しない程度の(つまり、ある程度の隙間を空けた状態となるような)形状に設定されてもよい。隙間の程度は、積層シート11の厚みにより設定されてよい。
【0025】
第2のロール金型53は、第1のロール金型51よりも搬送方向の下流側であって、ロール基型52に対向するように設置される。第2のロール金型53とロール基型52とは、搬送方向の上流から供給される積層シート11を巻き込んで、下流に搬送する。第2のロール金型53とロール基型52とは、搬送方向に搬送されるカップ形状を有する積層シート11(後述する連続成形体6)を冷却する。
【0026】
具体的には、例えば、第2のロール金型53は、その外周に1つ以上の雄型部分530を有する。雄型部分530は、雌型部分520に嵌合する部分である。雄型部分530は、雌型部分520に嵌合する部分である。可動状態において、第2ロール金型53の1つ以上の雄型部分530は、ロール基型52の1つ以上の雌型部分520に、歯車状に嵌合するように形成される。雄型部分530は、カップ形状を成形するための金型の雄型成形面を含む。雄型成形面は、雌型部分520の雌型成形面の一部の領域に対して積層シートをプレスするように構成される。雄型成形面は、雄型部分510を雌型部分520に嵌合した状態で、底面521に対面する頂面531と、側面522、523に対面する側面532、533とを含む。また、第2のロール金型53は、連続成形体6を冷却するためのジャケット機構(図示無し)を有する。冷却のためのジャケット機構は、積層シートを搬送できる程度にまで冷却されていればよい。ジャケット機構の温度は、シート材の材質や室温などに応じてどのように設定されてもよい。なお、嵌合した状態において、雄型部分530及び雌型部分520とは、互いの成形面が接触しない程度の(つまり、ある程度の隙間を空けた状態となるような)形状に設定されてもよい。隙間の程度は、積層シート11の厚みにより設定されてよい。
【0027】
なお、製造装置については、ロールの配置、径、数量等、供給機構、成形時の脱気機構、冷却機構などを図示おらず、必ずしも実際の配置と合致していない。製造装置の各構成要素の配置は、上記の説明及び図示例のものには限定されない。また、各金型の形状及びサイズは、図示例ものには限定されない。各ロールや金型においても半径は特に限定されない。各シート材を搬送するための機構も、どのようなものであっても良い。連続的に搬送してもよいし、間欠的に搬送してもよい。また、本実施形態では、各構成要素が1つの製造装置に含まれるとして説明していたが、これに限られない。各構成要素は、複数の装置に分割して配置されるものであっても良い。
【0028】
次に、積層シート成形体8の製造方法について、順を追って説明する。第1のシートロール1から金属箔1aが繰り出され、第2のシートロール2から樹脂フィルム2aが繰り出され、第3のシートロール3から樹脂フィルム3aが繰り出され、ニップロール4に供給される。このとき、金属箔1aの上下に樹脂フィルム2a、3aが相互に重ね合わされるように供給される。なお、例えば、第1乃至第3のシートロール1、2、3の繰り出し部分には、図示しないブレーキ機構がもうけられていてもよい。これにより、各シート材1a乃至3aには、張力がかけられて繰り出されるようになる。
【0029】
樹脂フィルム2a、金属箔1a、樹脂フィルム3aが相互に重ね合わされ、ニップロール4により圧されながら通過することにより、シート間の空気が抜かれ積層シート11が形成される。なお、シート材の材質等により、金属箔1aと樹脂フィルム2a、3aとの間に、それぞれ接着剤等を塗布させてもよいし、単に金属箔1a、樹脂フィルム2a及び3aを重ね合わせただけでもよい。
【0030】
積層シート11は、ヒーター10により予備加熱され、成形金型5に供給される。各ヒーター10は、樹脂フィルム2a、3aを加工しやすい状態に軟化させることが可能な温度に設定される。各ヒーター10の温度は、樹脂フィルムの種類によって異なるものでありどのように設定されてもよい。例えば、ポリエチレン系又はポリプロピレン系の樹脂を主成分にする樹脂であれば、70〜90℃前後に設定されるのが望ましい。
【0031】
第1のロール金型51及びロール基型52間において、積層シート11にカップ形状が成形される。具体的には、積層シート11は、ロール基型52の雌型部分520と、第1のロール金型51の雄型部分510とにより、加熱されて軟化した樹脂フィルム2a、3aが金属箔1aの上下面に接着されて3層が一体化されるとともに、搬送方向の上流側から下流側にかけて段階的に絞り加工が適用される。
【0032】
図3は、成形金型5による各工程を説明するための図である。まず、第1のロール金型51の雄型部分510及びロール基型52の雌型部分520によるカップ形状の成形工程を説明する。この工程においては、雄型部分510の雄型成形面が、雌型部分520の雌型成形面の一部の領域に対して積層シートをプレスする。そして、この一部の領域が、搬送方向の下流側の側面512aから底面521を通って、搬送方向上流型の側面512bへ移動する。以下、具体的に説明する。
【0033】
積層シート11は、第1のロール金型51及びロール基型52の間に供給される(a)。例えば、積層シート11は、搬送方向の上流側及び搬送方向に垂直な方向に張力をかけられた状態で、供給されてよい。そして、搬送方向の下流側の側面512a及び522aにより、積層シート11が徐々にプレスされる(b)。次いで、頂部511及び底面521により、積層シート11が徐々にプレスされる(c)。次いで、搬送方向の上流側の側面512b及び522bにより、積層シート11が徐々にプレスされる(d)。
【0034】
これにより、搬送方向の下流側から上流側にかけて、積層シート11が徐々に圧延されて積層シート11にカップ形状が成形されていく。なお、(a)〜(d)の工程において、雄型部分510及び雌型部分520の両側面513、523により、積層シート11におけるカップ形状の搬送方向に垂直な両側面も徐々にプレスされ成形されていく。
【0035】
このように、第1のロール金型51の雄型部分510及びロール基型52の雌型部分520により、搬送方向の下流から上流にかけて積層シート11が徐々にプレスされる。これにより、金属箔1aによる金属層の内側及び外側に、樹脂フィルム2a及び3aが相互に接着された積層シート11による成形体(積層シート成形体8)が順次生成される。この工程で形成される複数の積層シート成形体8が連なった成形体を、ここでは連続成形体6という(
図4)。
【0036】
成形金型5の搬送速度は、積層シート11の材質や加熱温度によってどのように設定されてもよい。例えば、本実施形態では、積層シート11は、100〜300mm/secの速度で搬送されるものとする。
【0037】
また、第1のロール金型51及びロール基型52間の線圧も積層シート11の材質や加熱温度により調整可能である。成形可能であればどのように設定されてもよい。例えば、本実施形態では、300〜380kg/cmの線圧でプレスされるものとする。
【0038】
連続成形体6は、第2のロール金型53及びロール基型52間に供給される。具体的には、第1のロール金型51及びロール基型52により成形された連続成形体6が、ロール基型52の雌型部分520に乗せられたまま搬送され、第2のロール金型53により冷却される。
【0039】
冷却の工程における第2のロール金型53及びロール基型52の動きは、第1のロール金型51及びロール基型52によるものと同様である。つまり、雄型部分530の雄型成形面が、雌型部分520の雌型成形面の一部の領域に対して積層シートをプレスする。詳細な説明は、
図3において説明した通りであるので省略する。また、第2のロール金型53及びロール基型52間の線圧も積層シート11の材質や冷却温度によってどのように設定されてもよい。例えば、本実施形態では、積層シート11は、200〜300kg/cmの線圧で圧縮成形されるものとする。なお、ここでは、冷却されればよいため、第2のロール金型53の雄型部分531とロール基型52の雌型部分520によってプレスされることは、必須の要素ではない。
【0040】
連続成形体6は、搬送方向に垂直な方向の両端をピンチさせた状態で、順次打ち抜き金型7a、7b間に供給され、プレスにより個々の積層シート成形体8を切り出すための余剰な部分(いわゆる耳)が分離される。そして、ノズル9より多量の圧縮空気が噴射されることで異物が取り除かれ、積層シート成形体8が得られる。打ち抜き金型7a、7bにおける、打ち抜き加工の圧力は、連続成形体6から積層シート成形体8を打ち抜き可能であれば、どのような値に設定されてもよい。例えば、打ち抜き加工は、100kgf/mm
2程度の圧力で行われるのが望ましい。
【0041】
打ち抜き加工は、例えば、打ち抜き仮想線21に従い行われる。なお、打ち抜き仮想線21は実在しなくてもよい。この場合、打ち抜き仮想線21は、連続成形体6を打ち抜き金型7a、7b間に供給したときに、積層シート成形体8に打ち抜かれる位置に形成されていると想定されるものである。なお、打ち抜き金型7a、7bから積層シート成形体8及び耳部を除去する操作は、人手により行ってもよいし、機械的に行ってもよい。また、打ち抜き加工では、加工方法は特に限定されず、打ち抜き金型を、ビク型、彫刻型、ピナクル型などで代用してもよい。
【0042】
本実施形態に係る積層シート成形体8は、カップ形状に成形された収容部30aに被収容物が収容された後、周縁部30bにアルミニウム箔を含む密閉シートをヒートシールすることにより気密にシールされる。これにより、被収容物の防湿性、耐候性、遮光性等を保持できる。
【0043】
上記の製造方法によれば、異なる種類のシート材を重ね合わせた積層シート11から、所望の深さの収容部30aを有する積層シート成形体8を成形できる。
【0044】
1枚の積層シートを所望の深さまで加工をするとすれば、異なる素材による延性等の材料加工性の差によって、いずれかの層を破断するおそれがある。特に、金属層及び樹脂層を含む積層シートを用いて、ある程度以上の深さのカップ形状を成形しようとする場合には、金属層が破断してしまう場合がある。さらに、カップ形状を成形する一対の金型(雄型及び雌型)を用いて絞り加工を適用する場合、積層シートが下方に一気にプレスされるため、積層シートの各層にかかる負荷が大きく、破断する可能性が高い。
【0045】
一方、本実施形態にかかる積層シート成形体8の製造方法は、第1のロール金型51の雄型部分510が、ロール基型52の雌型部分520の側面522aから底面521を通って側面522bに向かうように、積層シート11を徐々にプレスすることで、各層が徐々に圧延されるため、異なる材質の差による各層の破断を防止することができる。特に、延性の少ない金属層の破断を防止することが可能となる。
【0046】
また、積層シートに絞り加工を適用することでカップ形状の収容部を有する積層シート成形体を生成する方法であっても、金属箔の厚みを増すことより加工性を向上させることは可能となる。しかし、積層シート自体が厚くなってしまうため、成形性やコストの点での課題が残る。また、厚みのある金属箔は、材料の展性から巻き取りが難しい。このため、金属箔のシートロールのコアを大きくすることで対応は可能であるが、巻長さを長くすると、外径が大きくなり、ハンドリング性が悪化するとともに、装置も大型化が必要となる。また、厚みが厚いほど、コアの中心部で段差が生じ、弾性変形体でないことから、巻ロールの中心側は、部分的に不良が発生しやすい。一方で、巻長さを短くすれば、生産効率が悪くなる。このように、積層シートに絞り加工を適用してカップ形状を成形する方法は、製品及び製造の両面での課題がある。
【0047】
特に、厚さ(t)0.100〜0.400mm程度の積層シートを加工する場合、金属層の破断を防ぐためには、比較的浅い絞り加工(例えば、5mm以内の深さ(h))を行わなければならず、これ以上の深さでの絞り加工は困難である。しかし、上述の本実施形態に係る製造方法によれば、積層シート11を段階的にプレスすることで、ある程度の深さ(例えば、5mm以上の深さ(h))の収容部30aを有する積層シート成形体8を形成することができる。
【0048】
これにより、積層シート成形体8において、積層シートの厚さ(t)、積層シート成形体8の深さ(h)及び積層シート成形体側壁の角度(θ)を比較的自由に設計できる(
図6参照)。具体的には、厚さ(t)0.100〜0.400mm程度の積層シートであれば、絞り加工により10mm以上の深さ(h)の積層シート成形体を成形することができる。より好ましくは、絞り加工により、h=10mm〜20mm(さらに好ましくは、10mm〜18mm)、θ=10°以下、t=135〜350μmの積層シート成形体を成形できる。
【0049】
上記の製造方法による積層シート成形体8は、防湿性、耐候性、遮光性等を有するとともに、所望の深さのカップ形状の収容部30aを有することができる。これにより、立体的な被収容物(縦方向及び横方向の長さに対して高さのある被収容物)をコンパクトに収容できる。
【0050】
さらに密閉シートによりヒートシールされた積層シート成形体8は、開封後は廃棄される。この観点からすれば、立体的な被収容物をピロー包装などの成形体に収容する場合に比べて、積層シート成形体8のほうが、1つの被収容物にかかるシート材の面積を少なくすることができる。これにより、使用後の廃棄物の削減や輸送時の排出ガス削減など環境へのメリットも期待できる。
【0051】
なお、上述の積層シート成形体8の製造方法では、製造装置を用いて自動的に処理する場合を説明した。しかし、上述した一部又は全部の工程は、手動で行われてもよい。また、各工程が間欠的に行われても良い。各工程の制御はもっとも律速となる単位操作を基準とし、各工程を動作させるようにしてよい。
【0052】
また、本実施形態では、金属層を中間層として、その内側層及び外側層に樹脂層を有する積層シート成形体8の製造方法を説明したが、これに限定されるものではない。積層シート成形体8は、金属層の内側層又は外側層のいずれかに樹脂層を有するものであってもよい。また、本実施形態では1層の金属層を有する積層シート成形体の製造方法を説明したが、金属層は複数層あってもよいし、樹脂層も3層以上であってもよい。
【0053】
なお、上記の説明及び図示例は、本実施形態を説明するための一例であり、収容部30aの形状(カップ形状)は、図示例のものに限られない。なお、成形するカップ形状に応じて各成形金型51、52、53の雌型部分及び雄型部分の形状は当然に変更される。例えば、積層シート11の破断をさらに防止するために、カップ形状の底面又は全体が曲線状に形成されるようするように、各成形金型の雄型部分、雌型部分を形成してもよいし、カップ形状の側部に複数の段部を形成するように各成形金型の雄型部分、雌型部分を形成してもよい。
【0054】
なお、第1のロール金型51の内部には、加熱のためのジャケット機構への熱媒が通過する流路が設けられている(図示なし)。また、第2のロール金型53の内部には、冷却のためのジャケット機構への冷媒が通過する流路が設けられている(図示なし)。
【0055】
しかし、第1のロール金型51又は第2のロール金型53を加熱又は冷却するための機構は、必ずしもジャケット機構である必要性はなく、どのようなものでもよい。たとえば、ジャケット機構の代わりにペルチェ素子、面状発熱体などを用いてもよい。これらは、短時間で温度変動を可能にでき、ロール金型と積層シート成型体との離型性を容易にできる。
【0056】
さらに、各成形金型51、52、53からの積層シート成形体8の離型性を向上するため、表面材料としてシリコーン系やフッ素系材料を用いてもよい。
【0057】
また、ヒーター10は必須の構成要素ではない。第1のロール金型51及びロール基型52における、積層シート成形体8の成形速度を調整することで、予備加熱を省略することもできる。
【0058】
また、第2のロール金型53も必須の構成要素ではない。第1のロール金型51及びロール基型52において加熱された積層シート成形体8を冷却する機構があれば、どのような構成を用いてもよい。
【0059】
また、本実施形態では、ロール基型52に雌型部分520を設け、第1及び第2のロール金型51(53)にそれぞれ雄型部分510(530)を設けるようにしていたが、これに限られない。ロール基型52に雄型部分を設け第1及び第2のロール金型51(53)にそれぞれ雌型部分を設けるようにしてもよい。
【0060】
成形金型5は、積層シートを段階的なプレスを適用できるものであれば、どのような構造であってもよい。例えば、上述の成形金型5は、ロール基型52と第1のロール金型51のいずれか一方が、平板状の金型であってもよい。また、
図8に示すように、ロール状の成形金型5に代えて、一対の成形金型(雄形)50a及び(雌型)50bを用いて積層シート11に絞り加工を適用してもよい。この場合、例えば、積層シート11は、段階的に(複数回に分けて)プレスされ、徐々にカップ形状が成形される。