特許第6770859号(P6770859)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6770859
(24)【登録日】2020年9月30日
(45)【発行日】2020年10月21日
(54)【発明の名称】表示装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/00 20060101AFI20201012BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20201012BHJP
   H05B 33/10 20060101ALI20201012BHJP
   H05B 33/02 20060101ALI20201012BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20201012BHJP
【FI】
   G09F9/00 348A
   H05B33/14 A
   H05B33/10
   H05B33/02
   G09F9/30 330
   G09F9/30 365
   G09F9/00 338
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-181819(P2016-181819)
(22)【出願日】2016年9月16日
(65)【公開番号】特開2018-45188(P2018-45188A)
(43)【公開日】2018年3月22日
【審査請求日】2019年6月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】特許業務法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鶴岡 歴人
【審査官】 川俣 郁子
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第09287329(US,B1)
【文献】 特開2005−024626(JP,A)
【文献】 特開2013−156539(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/161857(WO,A1)
【文献】 特開2016−031499(JP,A)
【文献】 特開2005−049686(JP,A)
【文献】 特開2015−121777(JP,A)
【文献】 特開2016−164633(JP,A)
【文献】 特開2009−289615(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0204183(US,A1)
【文献】 韓国公開特許第10−2016−0028784(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F9/00−9/46
H01L27/32
51/50
H05B33/00−33/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画素の光を出射する表示素子層が形成される表示領域と、配線層が形成され前記表示領域とは重ならない湾曲領域と、を含む構造体を用意する工程と、
前記湾曲領域の境界に沿って伸び、連続して前記湾曲領域を囲う第1の樹脂層を形成する形成工程と、
前記形成工程の後に、前記第1の樹脂層により囲われる領域の内側に、第2の樹脂層を注入する注入工程と、
前記注入工程の後に、前記湾曲領域の1辺に沿って伸び前記第2の樹脂層と重畳する切断線で前記構造体を切断する切断工程と、を含む
ことを特徴とする表示装置の製造方法。
【請求項2】
前記第2の樹脂層の硬化前の粘度は、前記第1の樹脂層の硬化前の粘度よりも低い
ことを特徴とする、請求項1に記載の表示装置の製造方法。
【請求項3】
前記注入される前記第2の樹脂層の厚みは、前記第1の樹脂層の厚みよりも小さい
ことを特徴とする、請求項1又は2に記載の表示装置の製造方法。
【請求項4】
前記形成工程の前に、前記構造体の前記表示領域を覆うフィルムを貼り付ける工程を更に含み、
前記第1の樹脂層は、前記フィルムと接する
ことを特徴とする、請求項1乃至の何れか一項に記載の表示装置の製造方法。
【請求項5】
前記構造体の前記湾曲領域を挟んだ前記表示領域の反対側に、前記配線層と電気的に接続する集積回路を取り付ける工程を更に含み、
前記第1の樹脂層は、前記集積回路と接する
ことを特徴とする、請求項1乃至の何れか一項に記載の表示装置の製造方法。
【請求項6】
前記第1の樹脂層は、平面的に見て、前記集積回路の周縁を連続的に囲う
ことを特徴とする、請求項に記載の表示装置の製造方法。
【請求項7】
前記構造体の前記湾曲領域を挟んだ前記表示領域の反対側に、前記配線層と電気的に接続するフレキシブルプリント基板を取り付ける工程を更に含み、
前記第1の樹脂層は、前記フレキシブルプリント基板と接する
ことを特徴とする、請求項1乃至の何れか一項に記載の表示装置の製造方法。
【請求項8】
前記フレキシブルプリント基板には、導電線が露出する被接続領域と、前記被接続領域から伸びる前記導電線が前記被接続領域に向かうように折り返されている折り返し領域とが形成されており、
前記第1の樹脂層は、前記フレキシブルプリント基板のうちの前記折り返し領域と接する
ことを特徴とする、請求項に記載の表示装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は表示装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、柔軟性を有する表示装置が開示されている。この表示装置の表示領域には、画像を表示するための表示素子層(特許文献1においては、有機エレクトロルミネッセンス発光素子30)が形成されており、表示領域と重ならない位置に、フレキシブルプリント基板(Flexible printed circuits:FPC)と、集積回路(Integrated Circuit:IC)が実装されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−086314号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発明者らは、表示領域の周縁に位置する額縁領域の一部分を曲げることで、表示面側から表示装置を見た場合における見かけ上の額縁領域を狭めることを検討している。例えば、表示領域と、FPCやICが実装される領域との間の領域を曲げることで、FPCやICを表示装置の裏側に隠し、表示領域の視認性を向上させることが可能である。
【0005】
このように額縁領域の一部分を曲げる場合、当該曲げられる部分(以降、湾曲領域とも呼ぶ)に形成される配線層の破損を防ぐため、曲げ時にかかる配線層への応力を軽減する必要がある。その方法の一つとして、湾曲領域に樹脂層を形成し、曲げによる伸縮が最も小さい面である中立面を配線層に近づけることが考えられる。ただし、湾曲領域に形成する樹脂層に凹凸があると、中立面にも凹凸が発生し、湾曲領域の曲げ時に配線層に局所的な応力がかかり、配線層が損傷するという問題がある。
【0006】
本発明の目的の一つは、湾曲領域において表示装置を曲げた際に配線層が損傷することを防止する表示装置の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る表示装置の製造方法は、複数の画素の光を出射する表示素子層が形成される表示領域と、配線層が形成され前記表示領域とは重ならない湾曲領域と、を含む構造体を用意する工程と、前記湾曲領域の境界に沿って伸び、連続して前記湾曲領域を囲う第1の樹脂層を形成する形成工程と、前記形成工程の後に、前記第1の樹脂層により囲われる領域の内側に、第2の樹脂層を注入する注入工程と、を含む。これによれば、湾曲領域において表示装置を曲げた際に配線層が損傷することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係る表示装置の概略を示す上面図である。
図2A】実施形態に係る表示装置の概略を示す断面図である。
図2B】実施形態に係る表示装置の概略を示す断面図である。
図3】実施形態に係る表示装置の湾曲領域を示す断面図である。
図4】製造過程における表示装置の概略を示す上面図である。
図5】第1の変形例に係る表示装置の概略を示す断面図である。
図6A】第2の変形例に係る表示装置の概略を示す上面図である。
図6B】第2の変形例に係る表示装置の概略を示す断面図である。
図7A】第3の変形例に係るFPCの概略を示す上面図である。
図7B】第3の変形例に係る表示装置の概略を示す断面図である。
図8A】第4の変形例に係るFPCの概略を示す上面図である。
図8B】第4の変形例に係る表示装置の概略を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明を実施するための形態(以下、実施形態と呼ぶ)について説明する。ただし、本明細書の開示は本発明の一例にすぎず、本発明の主旨を保った適宜変更であって当業者が容易に想到し得るものは本発明の範囲に含まれる。また、図で示す各部の幅、厚さ及び形状等は、模式的に表されるものであり、本発明の解釈を限定するものではない。本明細書と各図において、既出の図に関して説明したものと同様の機能を備えた要素には、同一の符号を付して、重複する説明を省略することもある。
【0010】
また、本発明において、「上に」又は「下に」と表記する場合、特に断りの無い限りは、ある構造体に接するように直上又は直下に他の構造体を配置する場合と、ある構造体の上方又は下方に他の構造体を介して他の構造体を配置する場合との両方を含むものとする。
【0011】
図1は、本実施形態に係る表示装置1の概略を示す上面図である。図2Aは、表示装置1の概略を示す断面図であり、その切断面は図1のIIA−IIA線で示されている。図2Bは、曲げられた状態の表示装置1の概略を示す断面図である。図3は、表示装置1の湾曲時における中立面について説明するための図であり、図2BのIII線で囲った領域を拡大した図である。図4は、表示装置1の製造工程を説明するための図である。以下の説明では、各構成の位置関係を、X軸(X1方向、X2方向)、Y軸(Y1方向、Y2方向)、Z軸(Z1方向、Z2方向)の座標を用いて説明する。
【0012】
[1.表示装置の構成]
図1に示すように、本実施形態に係る表示装置1は、画像を表示するための領域である表示領域A1と、表示装置1が曲げられる領域である湾曲領域A2とを有している。表示領域A1と湾曲領域A2とは、互いに重ならない位置に設けられており、湾曲領域A2は、表示領域A1のY1方向側に設けられている。また、湾曲領域A2の表示領域A1が配置される側(Y2方向側)とは反対側(Y1方向側)に、集積回路(Integrated Circuit:IC)50と、フレキシブルプリント基板(Flexible Printed Circuit:FPC)60とが取り付けられている。
【0013】
本実施形態では、湾曲領域A2は、矩形状に設けられている。より具体的には、湾曲領域A2のX1方向側の境界とX2方向側の境界とは、表示装置1のX1方向側の端部とX2方向側の端部とにそれぞれ設けられている。また、湾曲領域A2のY2方向側の境界とY1方向側の境界は、何れもX軸方向に沿って伸びている。
【0014】
図1及び図2Aに示すように、表示装置1は、フレキシブル基板10を含んでいる。フレキシブル基板10は、柔軟性を有するシート基材11(図3参照)と、表示領域A1において画像の表示を実現するための表示素子層(図示せず)と、Y軸方向において湾曲領域A2を亘って伸びる配線層12(図3参照)とを有している。
【0015】
シート基材11は、例えば、ポリイミドなどの樹脂材料から形成され、平面的に見て表示装置1の略全域に亘って形成されている。
【0016】
表示素子層は、表示領域A1において複数の画素の光を出射するものであり、本実施形態では、シート基材11の上(より具体的には、Z2方向側)に形成され、表示領域A1の全域を覆っている。ただし、表示素子層は、湾曲領域A2を覆わない。表示素子層は、例えば、薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor:TFT)、TFTと電気的に接続する下部電極、下部電極の上に形成される上部電極、下部電極と上部電極との間に形成される有機層を含む。有機層は、少なくとも発光層を含み、電子輸送層と正孔輸送層と電子注入層と正孔注入層とのうち少なくとも一層を更に含んでよい。なお、表示素子層の上には、所定波長の光を透過するカラーフィルタ層やオーバーコート層を含む対向基板が設けられてもよい。この場合、対向基板とシート基材11との間には、透明な充填剤が設けられてもよい。
【0017】
配線層12は、シート基材11の上に形成されており、湾曲領域A2に亘って伸びている。配線層12には、Y軸方向に沿って伸び湾曲領域A2を横断する配線が形成されている。配線層12に含まれる配線は、表示領域A1において表示素子層に含まれるTFTと、IC50又はFPC60とを電気的に接続している。
【0018】
フレキシブル基板10の上には、保護フィルム20が設けられている。より具体的には、保護フィルム20は、フレキシブル基板10に含まれる表示素子層の上に貼り付けられ、表示領域A1を覆い、湾曲領域A2を覆わない。保護フィルム20は、例えば、PETを材料として形成されてよく、図示しない両面粘着シートを介してフレキシブル基板10の表面に張り付けられてもよいし、表面に粘着剤が塗布されて貼り付けられてもよい。なお、フレキシブル基板10の上には、偏光板が設けられてもよい。偏光板は、保護フィルム20の表面に貼り付けられてもよいし、保護フィルム20に代えてフレキシブル基板10の表面に貼り付けられてもよい。この場合、表示領域A1を覆い、湾曲領域A2を覆わないように偏光板を貼り付ければよい。
【0019】
また、フレキシブル基板10の上には、第1の樹脂層30a,30bと、第2の樹脂層40が形成されている。第2の樹脂層40は、湾曲領域A2の全域を覆うが、表示領域A1を覆わない。また、第1の樹脂層30a,30bは、湾曲領域A2と重ならない位置に設けられている。より具体的には、第1の樹脂層30aは第2の樹脂層40のY2方向側の端部に形成され、第1の樹脂層30bは第2の樹脂層40のY1方向側の端部に形成されている。第1の樹脂層30a,30bは、X軸方向に沿って途切れることなく設けられ、表示装置1を横断している。
【0020】
図2Bに示すように、表示装置1は、湾曲領域A2において、Y軸方向に対して湾曲可能である。このように、表示装置1の湾曲領域A2を湾曲させることで、表示領域A1の外側の領域(いわゆる額縁領域)を見かけ上狭めることができ、IC50及びFPC60を表示装置1の裏側に隠すことができる。
【0021】
図3に示すように、湾曲領域A2において、フレキシブル基板10の配線層12は、シート基材11の上に形成されており、且つ、配線層12はシート基材11よりも薄い。このため、仮に第2の樹脂層40が存在しない場合では、曲げによる伸縮が最も小さい面となる中立面R0は、配線層12内にではなく、シート基材11内に形成されることとなる。この場合に表示装置1が曲げられた際、配線層12に引張による応力がかかり、配線層12が損傷し、配線層12に含まれる配線が破断する可能性がある。
【0022】
そこで、本実施形態では、湾曲領域A2におけるフレキシブル基板10の上に、第2の樹脂層40が形成されている。これにより、曲げによる伸縮が最も小さい面となる中立面R1を、配線層12内に形成することができ、表示装置1の曲げ時に配線層12にかかる応力を低減することが可能となる。ただし、湾曲領域A2に形成される第2の樹脂層40に凹凸があると、中立面R1にも凹凸が発生し、配線層12に局所的な応力がかかり配線層12が損傷する可能性がある。このため、第2の樹脂層40は、均一な厚みで表面が平坦となるように形成されることが望ましい。
【0023】
[2.表示装置の製造方法]
以下では、本実施形態に係る表示装置1の製造方法について説明する。表示装置1の製造工程は、フレキシブル基板10を用意する工程と、フレキシブル基板10に第1の樹脂層30を生成する形成工程と、フレキシブル基板10に第1の樹脂層30a〜30dを形成する工程と、第2の樹脂層40を注入する注入工程と、切断線L1,L2でフレキシブル基板10を切断する切断工程と、を含む。
【0024】
[2−1.製造段階におけるフレキシブル基板の構成]
本実施形態に係る表示装置1の製造工程では、始めに、表示領域A1と湾曲領域A2とを含む構造体であるフレキシブル基板10を用意する。先述したように、フレキシブル基板10の表示領域A1には、複数の画素の光を出射する表示素子層が形成されており、湾曲領域A2には、配線層12が形成されている。また、フレキシブル基板10の上には、事前に表示領域A1を覆う保護フィルム20(又は、偏光板)が貼り付けられており、フレキシブル基板10の湾曲領域A2を挟んだ表示領域A1の反対側(Y1方向側)には、IC50及びFPC60が取り付けられている。配線層12は、Y軸方向に沿って湾曲領域A2を横断し、表示領域A1に含まれるTFTと、IC50又はFPC60とを電気的に接続している。
【0025】
表示装置1の製造段階におけるフレキシブル基板10は、最終製品となる表示装置1よりもX軸方向に広く設けられており、ここでのフレキシブル基板10は、矩形状の湾曲領域A2のX1方向側とX2方向側とにも形成されている。別の言い方をすると、フレキシブル基板10は、平面的に見て、湾曲領域A2を内包している。
【0026】
[2−2.第1の樹脂層30を形成する形成工程]
その次に、図4に示すように、湾曲領域A2の境界に沿って伸び、連続して湾曲領域A2を囲う第1の樹脂層30a〜30dを形成する。より具体的には、Y2方向側の境界に沿って伸びる第1の樹脂層30aと、Y1方向側の境界に沿って伸びる第1の樹脂層30bと、X1方向側の境界に沿って伸びる第1の樹脂層30cと、X2方向側の境界に沿って伸びる第1の樹脂層30dと、を形成する。第1の樹脂層30c,30dは、第1の樹脂層30a,30bに繋がり、第1の樹脂層30a〜30d(以下では、単に第1の樹脂層30とも呼ぶ)で1つの枠を構成している。
【0027】
本実施形態では、図4図2Aに示すように、保護フィルム20(又は、偏光板)と接するように第1の樹脂層30aを形成している。また、IC50と接するように、第1の樹脂層30bを形成している。このようにすることで、保護フィルム20及びIC50に対する接着性を高め、保護フィルム20の剥がれやIC50の外れを防止することができる。
【0028】
[2−3.第2の樹脂層40を注入する注入工程]
その次に、図4に示すように、第1の樹脂層30により囲われる領域の内側に、第2の樹脂層40を注入する。このようにすることで、第2の樹脂層40は、第1の樹脂層30が構成する枠の内側に溜り、この枠の外側には広がらないため、平坦且つ均一な厚みで、第2の樹脂層40を形成することが可能である。
【0029】
このように注入される第2の樹脂層40は、第1の樹脂層30が構成する枠の高さを超えない必要がある。このため、図2Aに示すように、注入される第2の樹脂層40のZ軸方向の厚みは、第1の樹脂層30の厚みよりも小さくなる。なお、第2の樹脂層40の厚みは、樹脂材料の種類(より具体的には、樹脂材料のヤング率や引張弾性率)に応じて適宜設定すればよい。ここでは、曲げ時の中立面R1が配線層12内に形成されるように、適切な第2の樹脂層40の厚みを設定すればよい(図3を参照)。
【0030】
第2の樹脂層40は、表示装置1の曲げ時に局所的な応力がかかることを防ぐため均一な厚みで表面が平坦となるように形成される必要がある。このため、本実施形態では、第2の樹脂層40の硬化前の粘度は、第1の樹脂層30の硬化前の粘度よりも低くなっている。
【0031】
また、第2の樹脂層40の注入後、第1の樹脂層30と、第2の樹脂層40とを硬化させる。硬化の方法は、樹脂層30、樹脂層40の材料に応じて適宜選択すればよく、例えば、時間経過、溶媒の揮発、UV等の光、熱による反応やこれらの組み合わせによるものであってもよい。
【0032】
[2−5.フレキシブル基板10を切断する切断工程]
その次に、図4に示すように、第2の樹脂層40と重畳する切断線L1,L2でフレキシブル基板10を切断する。切断線L1,L2は、湾曲領域A2の境界の1辺に沿って伸びている。即ち、切断線L1,L2は、Y軸方向に沿って伸び、切断後の表示装置1において、X1方向側の縁と、X2方向側の縁とを構成する。このようにすることで、第1の樹脂層30のうち、特にY軸方向に沿って伸びる第1の樹脂層30c,30dを切り落とし、表示装置1の曲げられる領域内に平坦性のない第1の樹脂層30を残さないようにすることができる。即ち、表示装置1の曲げを阻害しないようにすることができる。
【0033】
以上のように、本実施形態に係る表示装置1の製造工程では、連続して湾曲領域A2を囲う第1の樹脂層30を形成し、この内側に、第2の樹脂層40を注入する。このようにすることで、湾曲領域A2に平坦且つ均一な厚みで第2の樹脂層40を形成することができ、湾曲領域A1において表示装置1を曲げた際に配線層12が損傷することを防止することができる。
【0034】
[3.変形例]
本発明は以上説明した実施形態に限られず、種々の変更がなされてよい。以下では、本発明を実施するための他の形態の例(変形例)について説明する。
【0035】
[3−1.第1の変形例]
図5は、第1の変形例に係る表示装置100の概略を示す断面図である。図5に示すように、湾曲領域A2のY2方向側に形成される第1の樹脂層130aは、保護フィルム20(又は、偏光板)のY1方向側の端部に載り、当該端部を覆ってもよい。これと同様に、湾曲領域A2のY1方向側に形成される第1の樹脂層130bは、IC50のY2方向側の端部を覆ってもよい。このようにすることで、フレキシブル基板10に対する保護フィルム20、IC50の接着性を向上させることが可能である。
【0036】
[3−2.第2の変形例]
図6Aは、第2の変形例に係る表示装置200の概略を示す上面図である。図6Bは、第2の変形例に係る表示装置200を示す断面図であり、その切断面は図6AのVIB−VIB線で示されている。図6A図6Bに示すように、湾曲領域A2のY1方向側に形成される第1の樹脂層230bは、平面的に見て、IC50の周縁を連続的に囲い、IC50の周縁と接している。より具体的には、第1の樹脂層230bは、IC50のX1方向側の縁と、X2方向側の縁と、Y1方向側の縁と、Y2方向側の縁とに連続して接している。このようにすることでも、IC50の接着性を向上させることが可能である。
【0037】
[3−3.第3の変形例]
図7Aは、第3の変形例に係るFPC360の概略を示す上面図である。図7Bは、第3の変形例に係る表示装置300の概略を示す断面図である。図7Bに示すように、本変形例に係るFPC360には、第1の導電線361と、第2の導電線362と、IC363が配置されている。第1及び第2の導電線361,362は、IC363に繋がっている。
【0038】
図7Aに示すように、FPC360のZ1方向側の面には、第1の導電線361が露出する部分である被接続領域361aと、第2の導電線362が露出する部分である被接続領域362aが形成されている。より具体的には、複数の第1の導電線361により構成される複数の被接続領域361aがX軸方向に沿って一列に並んでおり、複数の第2の導電線362により構成される複数の被接続領域362aが同じくX軸方向に沿って並んでいる。被接続領域361aは、X軸方向において被接続領域362aとは異なる位置に配置され、複数の被接続領域361a,362aが千鳥状に位置するように構成されている。また、本変形例では、IC363は、FPC360のZ1方向側の面に設けられている。
【0039】
また、図7Bに示すように、FPC360には、第1の導電線361が、被接続領域361aからY2方向に向かって伸び、さらにその伸びた先から被接続領域361aに向かうように折り返されている折り返し領域A30が形成されている。
【0040】
ここで、FPC360は、フレキシブル基板10の湾曲領域A2を挟んだ表示領域A1の反対側に取り付けられ、FPC360に含まれる第1及び第2の導電線361,362は、フレキシブル基板10に含まれる配線層と電気的に接続する。そして、本変形例では、第1の樹脂層330bは、FPC360のうちの折り返し領域A30と接している。このように、FPC360の折り返し領域A30と接するように第1の樹脂層330bを形成することで、Z2方向において第1の樹脂層330bがFPC360を覆い、FPC360の接着性を向上させることが可能である。
【0041】
[3−4.第4の変形例]
図8Aは、第4の変形例に係るFPC460の概略を示す上面図である。図8Bは、第4の変形例に係る表示装置400の概略を示す断面図である。図8A及び図8Bに示すように、本変形例に係るFPC460は、第1の導電線461と、第2の導電線462と、IC463とを有し、FPC460のZ1方向側の面には、第1及び第2の導電線461,462がそれぞれ露出することで、被接続領域461a,462aが形成されている。
【0042】
本変形例では、FPC460に実装されるIC463は、被接続領域461a,462aが露出する側とは反対側の面(即ち、Z1方向側の面)に取り付けられている。しかし、本変形例でも、被接続領域361aから伸びる第1の導電線361が被接続領域361aに向かうように折り返されている部分である折り返し領域A40が形成されている。ここで、FPC460の折り返し領域A40と接するように第1の樹脂層430bを形成することで、第3の変形例と同様に、第1の樹脂層430bがFPC460を覆い、FPC460の接着性を向上させることが可能である。
【符号の説明】
【0043】
1,100,200,300 表示装置、10 フレキシブル基板、11 シート基材、12 配線層、20 保護フィルム、30,130,230,330,430 第1の樹脂層、40 第2の樹脂層、50,363,463 IC、60,360,460 FPC、361,461 第1の導電線、362,462 第2の導電線、361a,362a,461a,462a 被接続領域、A1 表示領域、A2 湾曲領域、A30,A40 折り返し領域、L1,L2 切断線。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B