(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書において言及されるすべての刊行物、特許出願、特許、及びその他の参考文献は、特に示されない限り、完全に説明したかのように、その全体が参照により本明細書に明確に組み込まれる。
【0010】
特に定義しない限り、本明細書において使用されるすべての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されている意味と同じ意味を有する。矛盾が生じる場合には、定義を含めて本明細書に従うものとする。
【0011】
特に明記しない限り、すべてのパーセンテージ、部、比等は、重量によるものである。
【0012】
本明細書において使用される場合、「から作製される」という用語は、「含む」と同義である。本明細書において使用される場合、「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「包含する(includes)」、「包含する(including)」、「有する(has)」、「有する(having)」、「含有する(contains)」、若しくは「含有する(containing)」という用語、又はそれらのその他のいかなる変形も、非排他的な包含を網羅することを意図している。例えば、要素の一覧を含む組成物、プロセス、方法、物品、又は装置は、必ずしもそれら要素のみに限定されず、明確には列挙されていないその他の要素、又はそのような組成物、プロセス、方法、物品、又は装置に固有のその他の要素を包含できる。
【0013】
「からなる」という移行句は、特定されていないあらゆる要素、工程、又は成分を排除する。特許請求の範囲にある場合、こうした句は、通常それらと関連する不純物を除く列挙されたもの以外の材料の包含に対して特許請求の範囲をクローズする(close)であろう。「からなる」という移行句が、プリアンブルの直後ではなく、請求項のボディの条項に現れる場合、その条項に記載された要素のみを限定し、その他の要素は総じて請求項から除外されない。
【0014】
「から本質的になる」という移行句は、文字通り記載されたものに加えて、材料、工程、特徴、部材、又は要素を包含する、組成、方法、又は装置を定義するために使用され、但し、これらの更なる材料、工程、特徴、部材、又は要素が、特許請求される本発明の基本的な及び新規性のある特徴に実質的に影響しないという条件である。「から本質的になる」という用語は、「含む」と「からなる」との間の中間の立場をとる。
【0015】
「含む」という用語は、「から本質的になる」及び「からなる」という用語によって網羅される実施形態を包含することを意図する。同様に、「から本質的になる」という用語は、「からなる」という用語によって網羅される実施形態を包含することを意図する。
【0016】
量、濃度、若しくはその他の値又はパラメーターが、範囲、好ましい範囲、又は好ましい値より高い値及び好ましい値より低い値の一覧として示される場合、これは、範囲を別個に開示しているか否かに関わらず、任意の上限範囲又は好ましい値、及び任意の下限範囲又は好ましい値の任意の対から形成されたすべての範囲を具体的に開示していると理解されたい。例えば、「1〜5」の範囲が列挙される場合、列挙された範囲は、「1〜4」、「1〜3」、「1〜2」、「1〜2及び4〜5」、「1〜3及び5」などの範囲を包含するものとして解釈されなければならない。ある範囲の数値が本明細書において列挙される場合、特に明記しない限り、その範囲は、その終点、並びにその範囲内のすべての整数及び分数を包含することを意図している。
【0017】
「約」という用語が、値又は範囲の終点を記載する際に使用される場合、本開示は、言及される特定の値又は終点を包含することが理解されなければならない。
【0018】
更に、反対の意味で明記されない限り、「又は」は、包含的な「又は」を意味するのであって、排他的な「又は」を意味するのではない。例えば、条件A「又は」Bが満たされるのは、Aが真であり(又は存在し)Bが偽である(又は存在しない)、Aが偽であり(又は存在せず)Bが真である(又は存在する)、且つA及びBの両方が真である(又は存在する)のいずれか1つによってである。
【0019】
「モル(mol)%」又は「モル(mole)%」は、モルパーセントを意味する。
【0020】
本発明を記載及び/又は特許請求することにおいて、「ホモポリマー」という用語は、繰り返し単位の1つの種の重合から誘導されるポリマーを意味する。例えば、「ポリ(p−フェニレンテレフタルアミド)ホモポリマー」という用語は、p−フェニレンテレフタルアミドの繰り返し単位の1つの種から本質的になるポリマーを意味する。
【0021】
本明細書において使用される場合、「コポリマー」という用語は、2つ以上のコモノマーの共重合から得られる共重合単位を含むポリマーを意味する。「ジポリマー」は、2つのコモノマー由来単位から本質的になるポリマーを意味し、且つ「ターポリマー」は、3つのコモノマー由来単位から本質的になるコポリマーを意味する。
【0022】
本明細書において使用される場合、「繊維」という用語は、その長さに対して垂直な断面積の幅に対する長さの比を有する比較的可撓性で細長い物体として定義される。繊維断面は、円形、平面、又は楕円形などの任意の形状であることができるが、典型的には円形である。繊維断面は、中実又は中空であることができるが、好ましくは中実である。本明細書においては、「フィラメント」又は「連続フィラメント」という用語は、「繊維」という用語と相互に交換して使用される。単一繊維は、1つのフィラメントのみから、又は複数のフィラメントから形成されることができる。1つのフィラメントのみから形成される繊維は、本明細書において、「単一フィラメント」繊維、又は「モノフィラメント」繊維と称され、且つ複数のフィラメントから形成される繊維は、本明細書において、「マルチフィラメント」繊維と称される。本明細書において使用される場合、「糸条」という用語は、複数の繊維からなる単一ストランドとして定義される。
【0023】
通常、繊維の直径は、「デニール」又は「dtex」と称される線密度として特徴付けられ、「デニール」は、9000メートルの繊維のグラム重量であり、且つ「dtex」は、10,000メートルの繊維のグラム重量である。
【0024】
本明細書において使用される場合、一般的には、「層」は、熱可塑性フィルム、(コ)ポリマーフィルム(結合層における)、又は布地の平面配列を表す。
【0025】
課題を解決するための手段に記載の本発明の実施形態は、本明細書において記載の任意のその他の実施形態を包含し、任意の方法で組み合わされることができ、且つ実施形態における変数の記載は、本発明の複合材料積層体に関するだけでなく、それから作製された物品にも関する。
【0026】
本発明は、以下、本明細書において詳細に記載される。
【0027】
図1は、本複合材料積層体100の一実施形態の拡大した側面図を示し、これは、(a)上部層11、(b)第1の結合層12、(c)布地層13、(d)第2の結合層14、及び(e)下部層15の層構造を有し、この場合に、布地層13は、第1の表面131及び第2の表面132を有し、第1の結合層12は、上部層11及び布地層13の第1の表面131に結合され、且つ第2の結合層14は、布地層13の第2の表面132、及び下部層15に結合される。
【0028】
熱可塑性フィルム
本発明においては、上部層11又は下部層15としての使用に適切な熱可塑性フィルムは、ポリアミド、ポリカーボネート、及びそれらの混合物を含むか、それから本質的になるか、それからなるか、又はそれから作製される。
【0029】
ラクタム、アミノカルボキシレートなどの単一反応物から誘導された脂肪族ポリアミド、又はABタイプのポリアミドと称されるこれらの成分のコポリマーとしては、ポリアミド6(ポリ− −カプロアミド)、ポリアミド10(ポリ− −デカノアミド)、ポリアミド12(ポリ− −ドデカノアミド)、及びそれらの混合物又はコポリマーが挙げられる。AABBタイプのポリアミドと称される、ジアミン及び二酸の縮合から調製される脂肪族ポリアミドとしては、ポリアミド66、ポリアミド610(ポリヘキサメチレンセバクアミド)、ポリアミド612(ポリヘキサメチレンドデカンアミド)、ポリアミド46(ポリテトラメチレンアジプアミド)、ポリアミド1010(ポリデカメチレンセバクアミド)、及びポリアミド1212(ポリドデカ−メチレンドデカンアミド)が挙げられる。また、ポリアミドMXD6(ポリ(m−キシレンアジパミド))、ポリアミド6T(ポリヘキサメチレンテレフタルアミド)、ポリアミドDT(ポリ(2−メチルペンタメチレンテレフタルアミド))、ポリアミド6I(ポリヘキサメチレンイソフタルアミド)、又はポリアミドM5I(ポリ(2−メチルペンタメチレンイソフタルアミド))などの、AABBタイプのポリアミドであるその他の半芳香族ポリアミドも適切であることができる。
【0030】
一実施形態においては、本熱可塑性複合材料積層体の上部層11又は下部層15におけるポリアミドフィルムは、ポリアミド6I/6T、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド1010、ポリアミド1012、又はそれらのブレンド物を含む。別の実施形態においては、本熱可塑性複合材料積層体の上部層11又は下部層15におけるポリアミドフィルムは、ポリアミド6I/6Tを含むか、それから本質的になるか、それからなるか、又はそれから作製される。
【0031】
例えば、E.I.du Pont Nemours and Company.Inc.(以下、「DuPont」と略記される)によって製造されるSELAR(登録商標)3462など、本明細書において記載される様々なポリアミドが市販として入手可能である。
【0032】
本発明における上部層11又は下部層15としての使用に適切なポリカーボネートは、ジフェノールとホスゲンとの反応によって、又はジフェノールとジフェニルカーボネートとのエステル交換反応によって生成されるものなど、溶液法又は溶融法においてジフェノール及びカーボネート前駆体から誘導される。様々なジフェノールが使用可能であり、例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(即ち、ビスフェノールA)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロアルカン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)オキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシ−フェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシ−フェニル)ケトン等が挙げられる。また、ヒドロキノン、レソルシノール、カテコール等などのその他のジフェノールが本発明に使用可能である。本明細書に記載のジフェノールが、単独で、又は組み合わされて使用されることができる。本発明に使用するカーボネート前駆体としては、例えば、カルボニルハライド、カルボニルエステル、ハロホルメート、具体的には、ホスゲン、ジフェノールジハロホルメート、ジフェニルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等が挙げられる。
【0033】
適切なポリカーボネートは、BayerのMAKROLON(商標)、SABICのLEXAN(登録商標)、帝人株式会社のPANLITE(登録商標)、DSMのXANTAR(登録商標)、MitsubishiのIUPILON(登録商標)、及びDowのCALIBER(登録商標)など、市販供給先から購入可能である。
【0034】
前述のポリアミド、ポリカーボネート、及びそれらの混合物は、吹付け、キャスト、又は押し出し塗工によって、溶融及び加工されてフィルムを形成することができる。ポリアミドフィルム及びポリカーボネートフィルムのための製造プロセスは、当業者に周知であることから、これらの開示は、簡略さのために本明細書において省略される。
【0035】
一実施形態においては、本熱可塑性複合材料の上部層11及び下部層15における熱可塑性フィルムは同一である。
【0036】
上部層11及び下部層15における熱可塑性フィルムの組み合わせた重量は、熱可塑性複合材料積層体の総重量に基づいて、約5重量%〜約40重量%である。
【0037】
一実施形態においては、上部層11及び下部層15の厚さはそれぞれ独立して、約0.01mm〜約1.5mmである。
【0038】
結合層
本明細書において使用される場合、「結合」層は、上部層11又は下部層15における熱可塑性フィルムと布地13との間に位置し、これらの隣接した層の間の結合強度を強化するポリマー材料の層を意味する。当業者は、隣接した層の材料に基づいて結合層として使用される適切なポリマー材料を選択することができる。
【0039】
本発明においては、第1の結合層12及び第2の結合層14はそれぞれ独立して、エチレン−ビニルアセテートコポリマー(EVA)、化学修飾エチレン−ビニルアセテートコポリマー、エチレン−メタクリレートコポリマー(EMA)、化学修飾エチレン−メタクリレートコポリマー、エチレン−アクリル酸コポリマー(EAA)、化学修飾エチレン−アクリル酸コポリマー、又はそれらの混合物を含むか、それから本質的になるか、それからなるか、又はそれから作製される。
【0040】
本発明においては、「化学修飾」は、エチレン−ビニルアセテートコポリマー、エチレン−メタクリレートコポリマー、又は化学修飾エチレン−メタクリレートコポリマーを、酸、無水物、又はエステルから選択される化学試薬、好ましくはマレイン酸、イタコン酸、及びそれらの無水物によって修飾することを意味する。
【0041】
EVAは、ビニルアセテートの重量パーセントが約10重量%から約40重量%まで変動することができる、エチレンとビニルアセテートとのコポリマーである。EMAは、メタクリル酸又はそのエステルの重量パーセントが約1重量%から約50重量%まで変動することができる、エチレン、及びメタクリル酸又はそのエステルのコポリマーである。メタクリル酸エステルとしては、これらに限定されるものではないが、メチルメタクリレート(MMA)、エチルメタクリレート(EMA)、ブチルメタクリレート(BMA)、2−エチルヘキシルメタクリレート(EHMA)、ラウリルメタクリレート(LMA)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)が挙げられる。EAAは、アクリル酸又はそのエステルの重量パーセントが、約1重量%から約50重量%まで変動することができる、エチレン、及びアクリル酸又はそのエステルのコポリマーである。アクリル酸エステルとしては、これらに限定されるものではないが、メチルアクリレート(MA)、エチルアクリレート(EA)、ブチルアクリレート(BA)、2−エチルヘキシルアクリレート(EHA)、2−ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)が挙げられる。例えば、DuPontにより製造されるBYNEL(登録商標)及びNUCREL(登録商標)など、本明細書に記載の第1の結合層12又は第2の結合層14として使用される様々なポリマー材料が市販として入手可能である。
【0042】
一実施形態においては、本熱可塑性複合材料積層体で、第1の結合層12及び第2の結合層14はそれぞれ独立して、無水物修飾エチレン−ビニルアセテートコポリマーを含むか、それから本質的になるか、それからなるか、又はそれから作製される。別の実施形態においては、本熱可塑性複合材料積層体で、第1の結合層12及び第2の結合層14はそれぞれ独立して、エチレン−メタクリル酸コポリマーを含むか、それから本質的になるか、それからなるか、又はそれから作製される。更に別の実施形態においては、本熱可塑性複合材料積層体で、第1の結合層12及び第2の結合層14はそれぞれ独立して、無水物修飾エチレン−アクリレートコポリマーを含むか、それから本質的になるか、それからなるか、又はそれから作製される。更なる実施形態においては、本熱可塑性複合材料積層体の第1の結合層12及び第2の結合層14として使用されるポリマー材料は同一である。
【0043】
一実施形態においては、第1の結合層12及び第2の結合層14の組み合わせた重量は、熱可塑性複合材料積層体の総重量に基づいて、約5重量%〜約30重量%である。
【0044】
一実施形態においては、第1の結合層12及び第2の結合層14の厚さはそれぞれ独立して、約0.01mm〜約0.5mmである。
【0045】
布地層
本明細書において使用される場合、
表面活性化剤で処理する前の布地層13として使用される布地は、「未処理の布地」と称される。
【0046】
本発明においては、未処理の布地は、ポリ(p−フェニレンテレフタルアミド)ホモポリマー、ポリ(p−フェニレンテレフタルアミド)コポリマー、ポリ(m−フェニレンイソフタルアミド)ホモポリマー、ポリ(m−フェニレンイソフタルアミド)コポリマー、ポリスルホンアミドホモポリマー、ポリスルホンアミドコポリマー、及びそれらの混合物から作製される芳香族ポリアミド繊維を含む。
【0047】
ポリ(p−フェニレンテレフタルアミド)ホモポリマーは、p−フェニレンジアミン(PPD)と塩化テレフタロイル(TCl)の等モル重合から得られる。また、ポリ(p−フェニレンテレフタルアミド)コポリマーは、p−フェニレンジアミンと10モル%と同量のその他のジアミンとの、及び塩化テレフタロイルと10モル%と同量のその他の二酸塩化物との組合せから得られ、但し、その他のジアミン及び塩化ジアシルは、重合反応を妨げる反応基を有しないという条件のみにおいてである。p−フェニレンジアミン以外のジアミンの例としては、これらに限定されるものではないが、m−フェニレンジアミン又は3,4’−ジアミノジフェニルエーテル(3,4−ODA)が挙げられる。塩化テレフタロイル以外の塩化ジアシルの例としては、これらに限定されるものではないが、塩化イソフタロイル、塩化2,6−ナフタロイル、塩化クロロテレフタロイル、又は塩化ジクロロテレフタロイルが挙げられる。
【0048】
本明細書において使用される場合、「p−アラミド」という用語は、ポリ(p−フェニレンテレフタルアミド)ホモポリマー及びコポリマーを意味する。
【0049】
ポリ(m−フェニレンイソフタルアミド)ホモポリマーは、m−フェニレンジアミン及び塩化イソフタロイルの等モル重合から得られる。また、ポリ(m−フェニレンイソフタルアミド)コポリマーは、m−フェニレンジアミンと10モル%と同量のその他のジアミンとの、及び塩化イソフタロイルと10モル%と同量のその他の二酸塩化物との組合せから得られ、但し、その他のジアミン及び塩化ジアシルは、重合反応を妨げる反応基を有しないという条件のみにおいてである。m−フェニレンジアミン以外のジアミンの例としては、これらに限定されるものではないが、p−フェニレンジアミン又は3,4’−ジアミノジフェニルエーテルが挙げられる。塩化イソフタロイル以外の塩化ジアシルの例としては、これらに限定されるものではないが、塩化テレフタロイル、塩化2,6−ナフタロイル、塩化クロロテレフタロイル、又は塩化ジクロロテレフタロイルが挙げられる。
【0050】
本明細書において使用される場合、「m−アラミド」という用語は、ポリ(m−フェニレンイソフタルアミド)ホモポリマー及びコポリマーを意味する。
【0051】
ポリスルホンアミドホモポリマーは、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン(p−DDS)又は3,3’−ジアミノジフェニルスルホン(m−DDS)などのジアミンと、塩化テレフタロイル又は塩化イソフタロイルなどの塩化ジアシルとの等モル重合から得られることができる。
【0052】
ポリスルホンアミドコポリマーは、例えば、p−DDSなどのジアミンと、塩化テレフタロイル及びその他の塩化ジアシル(例えば、塩化イソフタロイル)との混合物から得られるコポリマー、並びに塩化テレフタロイルなどの塩化ジアシルと、p−DDS、m−DDS、及び10モル%と同量のその他のジアミン(例えば、p−フェニレンジアミン、又はm−フェニレンジアミン)などのジアミンとの混合物から得られるコポリマーを含む。
【0053】
好ましくは、ポリスルホンアミドコポリマーは、3:1:4のモル比のp−DDS、m−DDS、及び塩化テレフタロイルから誘導される。
【0054】
本明細書において使用される場合、「PSA」という用語は、ポリスルホンアミドホモポリマー及びコポリマーを意味する。
【0055】
前述の芳香属ポリアミドのポリマー又はコポリマーは、ポリマー又はコポリマー用の重合溶媒又は別の溶媒に溶解したポリマー又はコポリマーの溶液を用いて、溶液紡糸を介して繊維に紡糸されることができる。当技術分野において知られているように、繊維の紡糸は、乾式紡糸、湿式紡糸、又は乾燥ジェット湿式紡糸(エアギャップ紡糸としても知られる)によって、多孔紡糸口金を介して実施されて、マルチフィラメント繊維を作製することができる。次いで、従来の技術を使用して必要に応じて、紡糸後のマルチフィラメント繊維における繊維を処理して、繊維を中和、洗浄、乾燥、又は熱処理して、安定且つ有用な繊維を作製することができる。例示的な、乾式、湿式、及び乾燥ジェット湿式紡糸プロセスは、米国特許第3,063,966号明細書、米国特許第3,227,793号明細書、米国特許第3,287,324号明細書、米国特許第3,414,645号明細書、米国特許第3,869,430号明細書、米国特許第3,869,429号明細書、米国特許第3,767,756号明細書、及び米国特許第5,667,743号明細書に開示されている。
【0056】
芳香属ポリアミド繊維を作製する方法は、米国特許第4,172,938号明細書、米国特許第3,869,429号明細書、米国特許第3,819,587号明細書、米国特許第3,673,143号明細書、米国特許第3,354,127号明細書、及び米国特許第3,094,511号明細書に開示されている。PSA繊維又はスルホンアミンモノマーを含むコポリマーを作製する特定の方法は、中国特許出願公開第1389604A号明細書に開示されている。また、例えば、帝人株式会社(日本)のKONEX(登録商標)、TECHNORA(登録商標)、及びTWARON(登録商標)、ユニチカ株式会社のAPIAIRE(登録商標)、DuPontのNOMEX(登録商標)及びKEVLAR(登録商標)、帝人株式会社のTWARON(登録商標)、Kolon Industries,Inc.(韓国)のHERACRON(登録商標)、ロシアのKamensk Volokno JSCのSVM(商標)及びRUSAR(商標)、ロシアのJSC Chim VoloknoのARMOS(商標)などの芳香属ポリアミド繊維が市販されている。PSA繊維は、Shanghai Tanlon Fiber Co.,Ltd.(中国)のTANLON(商標)として市販されている。しかしながら、芳香属ポリアミド繊維は、これらの製品に限定されない。
【0057】
より微細な繊維は、製造及び製織により費用がかかるが、単位重量当たりにおいてより大きい効果を生むことができる。効果及び費用を考慮し、複数の繊維を含むそれぞれの糸条は、約200デニール(220dtex)〜約3,000デニール(3300dtex)、より好ましくは約400デニール(440dtex)〜約2,400デニール(2640dtex)、最も好ましくは約1,000デニール(1100dtex)〜約2,000デニール(2200dtex)の好ましい線密度を有する。
【0058】
本発明においては、布地層13として使用される布地は、織布、複数の撚りの一方向性布地、又は不織布である。本明細書において使用される場合、「不織布」という用語は、フェルト、マット、及びその他の構造物を含む、複数のランダムに配向した繊維から形成された任意のその他の布地構造を意味する。
【0059】
本発明の一実施形態においては、布地層13として使用される布地は、織布、一方向性布地、又は不織布である。本発明の別の一実施形態においては、布地層13として使用される布地は、織布である。
【0060】
一般的には、織布は、機械方向において縦に走る複数の縦糸、及び縦糸に対して実質的に垂直に走る(即ち、機械に対する直交方向において)複数の横糸を有する。例えば、平織、綾織、朱子織り、バスケット織等などの、任意の織構造又はパターンを使用することができる。
【0061】
本発明に適切な織布には、織りのきつさに対して特定の要求はないが、織りの厳しさから生じる糸条繊維の損傷を回避するために、極端にきつい織りは避ける。
【0062】
未処理の布地の目付は、約20g/m
2〜約660g/m
2、好ましくは約40g/m
2〜約300g/m
2、より好ましくは約60g/m
2〜約200g/m
2の範囲である。
【0063】
本発明においては、層13の布地として使用される布地は、
表面活性化剤を更に含む。前述の
表面活性化剤は、布地13と、上部層11又は下部層15の熱可塑性フィルムとの間の結合強度を強化する。適切な
表面活性化剤は、シラン、エポキシド、又はイソシアネートから選択される。
【0064】
本発明における適切なシランは、以下に示す一般式を有する。
G
x−((CH
2)
ySi(OR
1)
m(OR
2)
n)
k、又はSi(OR
3)
4
式中、Gは、ビニル、メタクリル酸、脱水グリセロールエーテル、エポキシシクロヘキシル、メルカプト、オクタノイルチオ、硫黄、ハロゲン、アミノ、エチレンジアミン、イソブチルアミノ、アニリン、尿素、又はイソシアネートであり、
xは、1〜4の整数であり、
yは、0〜6の整数であり、
R
1は、1〜4の炭素原子を含むアルキル基又はエーテル基であり、
R
2及びR
3はそれぞれ独立して、1〜3の炭素原子を含むアルキル基であり、且つ
m、n、及びkは、1〜3の整数である。
【0065】
例えば、Momentive Performance Material Co.によって製造されるγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(SILQUEST(登録商標)A−174)、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(SILQUEST(登録商標)A−187)、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(SILQUEST(登録商標)A−186)、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(SILQUEST(登録商標)A−189)、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン(SILQUEST(登録商標)A−1120)、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン(SILQUEST(登録商標)A−1524)、又はγ−イソシアナトプロピルトリメトキシシラン(SILQUEST(登録商標)A−link 35)など、本明細書に記載の様々なシランが市販として入手可能である。
【0066】
本発明に適切なエポキシドとしては、これらに限定されるものではないが、フェノールグリシジルエーテル、芳香族グリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、グリシジルアミン、及び脂環式エポキシドが挙げられる。
【0067】
例えば、DENACOL(登録商標)EX−313の商標名でNagase Chemicalによって製造される1,3−グリシジルグリセロールエーテルなど、本明細書に記載の様々なエポキサイドが市販として入手可能である。
【0068】
本発明に適切なイソシアネートとしては、これらに限定されるものではないが、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、2,4−トルエンジイソシアネート(2,4−TDI)、2,6−トルエンジイソシアネート(2,6−TDI)、及び4,4’−メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)が挙げられる。
【0069】
例えば、PAPI(商標)27の商標名でDow Chemicalによって製造されるMDIなど、本明細書に記載の様々なイソシアネートが市販として入手可能である。
【0070】
一実施形態においては、本発明の布地層13として使用される布地は、γーメタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルトリメトキシシラン、フェノールグリシジルエーテル、芳香族グリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、グリシジルアミン、脂環式エポキシド、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、及び4,4’−メチレンジフェニルジイソシアネートからなる群から選択される
表面活性化剤を含む。
【0071】
一実施形態においては、布地層13として使用される布地は、i)未処理の布地に対して被覆組成物を塗布して湿潤布地を得る工程と、ii)周囲温度から約220℃までの範囲の温度で、約1分〜約60分間にわたり湿潤布地を乾燥させる工程とを含む方法によって調製され、この場合に、
表面活性化剤の量は、被覆組成物の総重量に基づいて、約1重量%〜約20重量%である。
【0072】
本発明において使用される被覆組成物は、
表面活性化剤及び溶媒を含み、この場合に、溶媒は、水、有機溶剤、又はそれらの混合物であることができる。適切な有機溶剤の例としては、メタノール、エタノール、2−ブトキシエタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、2−ブタノール、エチルエーテル、n−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ギ酸、酢酸、トルエン、及びキシレンが挙げられる。
【0073】
未処理の布地に対して被覆組成物を塗布する適切な処理方法としては、これらに限定されるものではないが、浸漬、含浸、及び吹付けが挙げられる。
【0074】
一実施形態においては、布地層13における布地は、
表面活性化剤及び溶媒を含む被覆組成物において未処理の布地を含浸する工程と、周囲温度で乾燥させて溶媒のほとんどを蒸発させる工程と、任意選択的に、高い温度のオーブンで更に乾燥させる工程とを含む方法によって調製される。
【0075】
未処理の布地が被覆組成物において完全に含浸される限り、含浸時間に対する特別な制限はない。一実施形態においては、含浸時間は、約0.05時間〜約18時間、又は約0.1時間〜約12時間、又は約0.2時間〜約8時間である。含浸温度は、約10℃〜約40℃、好ましくは周囲温度である。
【0076】
オーブン乾燥温度は、約50℃〜約250℃、又は約70℃〜約150℃である。オーブン乾燥時間は、約0.5分〜約1.5時間、又は約1分〜約1時間である。
【0077】
本発明の一実施形態においては、布地層13として使用される布地は、布地の総重量に基づいて、約0.5重量%〜約15重量%の量の
表面活性化剤を含む。
【0078】
一実施形態においては、布地層13の重量は、熱可塑性複合材料積層体の総重量に基づいて、約30重量%〜約90重量%である。
【0079】
一実施形態においては、本熱可塑性複合材料積層体の布地層13の厚さは、約0.05mm〜約1.0mmである。
【0080】
熱可塑性複合材料積層体の調製
本発明の熱可塑性複合材料積層体100は、(a)上部層11と、(b)第1の結合層12と、(c)布地層13と、(d)第2の結合層14と、(e)下部層15とを順に含み、この場合に、
図1に示すように、布地層13は、第1の表面131及び第2の表面132を有し、第1の結合層12は上部層11及び布地層13の第1の表面131に結合され、且つ第2の結合層14は、布地層13の第2の表面132及び下部層15に結合される。
【0081】
本明細書において使用される場合、複合材料積層体の構造を記載するために、「/」は、その中に隣接した層を有するそれぞれの個別の層を分けるために使用される。従って、本熱可塑性複合材料積層体100又は200の構造はそれぞれ、
図1における11/12/13/14/15として、又は
図2における21/22/23/24/25として表されることができる。
【0082】
本発明の熱可塑性複合材料積層体を調製する方法に対する特別な制限はなく、且つこれはこの分野における任意の従来の公知の方法であることができる。
【0083】
本熱可塑性複合材料積層体を調製するための適切な方法としては、ホットプレス、熱圧縮成形、オートクレーブ成形、及びダブルベルトホットメルトプレスが挙げられる。
【0084】
一般的には、本熱可塑性複合材料積層体を調製するための温度、圧力、及び時間などのプロセスパラメーターは、熱可塑性フィルムの材料、結合層、及び布地、並びに調製方法による。当業者は、それに応じて適切なプロセスパラメーターを決定することができる。
【0085】
一実施形態においては、本熱可塑性複合材料積層体は、ホットプレスによって調製される。
【0086】
典型的には、結合層12及び14におけるポリマー材料の融点より少なくとも高く、且つ上部層11及び下部層15における熱可塑性材料の融点を20℃以下だけ上回る温度で、ホットプレスが行われることができる。
【0087】
一実施形態においては、ホットプレスは、約100℃〜約250℃、好ましくは約125℃〜約225℃、より好ましくは約150℃〜約200℃の範囲の温度で、約0.2MPa〜約17.4MPa、好ましくは約0.のMPa〜約5MPaの範囲の圧力で、且つ約0.5分〜約40分、好ましくは約1分〜約20分間にわたって行われる。
【0088】
一般的には、ホットプレス後の本熱可塑性複合材料積層体は、約0.1mm〜約5mm、好ましくは約0.5mm〜約3mmの総厚さを有する。本熱可塑性複合材料積層体の総厚さは、上部層11及び下部層15として使用される熱可塑性フィルム、並びに様々な厚さの布地層13として使用される布地を使用することによって容易に調整されることができる。
【0089】
熱可塑性複合材料積層体の上部層11又は下部層15における熱可塑性フィルムが、ポリアミドフィルムである場合、本熱可塑性複合材料積層体の結合強度は、布地層13と上部層11との間、又は布地層13と下部層15との間の平均剥離強度によって評価される。ポリカーボネートフィルムは、脆過ぎるために剥離強度試験を維持できないことから、熱可塑性複合材料積層体の上部層11又は下部層15における熱可塑性フィルムが、ポリカーボネートフィルムである場合、本熱可塑性複合材料積層体の結合強度は、布地層13と上部層11との間、又は布地層13と下部層15との間の平均剪断強度によって評価される。より大きい強度が、隣接した層を剥離又は剪断するのに必要とされる場合、これは、これらの層の間の結合強度がより高いことを意味する。剥離プロセスの間、隣接した結合層12又は14は、上部層11若しくは下部層15の熱可塑性フィルムに、又は布地層13に接着することができることから、本明細書において使用される場合、「平均剥離強度」という用語は、隣接した結合層12又は14の有無にかかわらず、布地層13から上部層11又は下部層15を剥離することによって、ASTM D6862に従って測定される平均強度を意味する。剪断プロセスの間、隣接した結合層12又は14は、上部層11若しくは下部層の熱可塑性フィルムに、又は布地層13に接着することができることから、本明細書において使用される場合、「平均剪断強度」という用語は、隣接した結合層12又は14の有無にかかわらず、布地層13から上部層11又は下部層15を剪断することによって、GB7124に従って測定される平均強度を意味する。
【0090】
製造の費用及び容易さを考慮すると、本発明においては、好ましくは上部層11及び下部層15における熱可塑性フィルムは同一であり、且つ第1の結合層12及び第2の結合層14におけるポリマー材料も同一である。従って、熱可塑性複合材料積層体の剥離強度試験は、布地層13の一方の側のみに実施されることができる。
【0091】
布地層13として使用される未処理の布地を有し、且つ結合層12及び14が欠如している比較の積層体のものと比較して、本発明の熱可塑性複合材料積層体は、平均結合強度において25%以上の増加を示す。本発明の熱可塑性複合材料積層体は、好ましくは、比較の積層体のものと比較して、平均結合強度において、30%、又は50%、又は75%、又は100%の増加を示す。
【0092】
任意選択的に、更なる層は、本熱可塑性複合材料積層体に適用されることができ、例えば、紫外線保護材料の層が、上部層11の上に適用されることができる。
【0093】
物品は、その優れた中間層結合強度のため、高い構造保全を有する本発明の熱可塑性複合材料積層体を含むか、それから本質的になるか、それからなるか、又はそれから作製される。更に、本発明の熱可塑性複合材料積層体は、熱硬化性複合材料積層体と比較して、短縮されたサイクル時間(即ち、費用節約)を介してプロセス効率を改善させるだけでなく、後の用途のために必要に応じて再処理する機会を与える。
【0094】
本発明の物品は、携帯電子機器のためのハウジング又は保護カバーとして有用であり、好ましくは、これは、65N/25.4mm、若しくは85N/25.4mm、若しくは100N/25.4mm以上の平均剥離強度を有し、又は好ましくは、4MPa、若しくは5MPa、若しくは5.5MPaを超える平均剪断強度を有する。携帯電子機器の例としては、携帯型コンピューター、タブレット型コンピューター、携帯電話、電子書籍端末、携帯用ゲーム装置、携帯メディアプレーヤー、又はディジタルカメラが挙げられる。携帯電話の例としては、これらに限定されるものではないが、折りたたみ型電話、スライド式携帯電話、無線電話、携帯電話、多機能電話等が挙げられる。
【0095】
更なる精緻化をすることなく、前記の記述を使用して、当業者は、最大限に本発明を利用することができると考えられる。従って、以下の実施例は、あくまで例示的なものとして解釈されるものであり、いかなる意味においても本開示を限定するものとして解釈してはならない。
【実施例】
【0096】
「実施例」を表す省略形「E」、及び「比較例」を表す省略形「CE」の後には、熱可塑性複合材料積層体がいずれの例で調製されるかを示す数が続く。実施例及び比較例はすべて、同様の方法で調製及び試験した。
【0097】
材料
熱可塑性フィルム(A1):SELAR(登録商標)PA3426、DuPontをキャストすることによって作製されたポリアミド6I/6Tフィルム、フィルムは、50cmの幅、約0.16mmの厚さ、及び250℃の融点を有する。
【0098】
熱可塑性フィルム(A2):商標名LEXAN(登録商標)8B35でSABICから購入されたポリカーボネートフィルム、フィルムは、100cmの幅、約0.175mmの厚さ、及び160℃のビカット軟化温度を有する。
【0099】
EVAフィルム(B1):BYNEL(登録商標)30E671、DuPontをキャストすることによって作製された無水物修飾エチレン−ビニルアセテートコポリマーフィルム、フィルムは、50cmの幅、約0.06mmの厚さ、及び99℃の融点を有する。
【0100】
EMAフィルム(B2):NUCREL(登録商標)599、DuPontをキャストすることによって作製されたエチレン−メタクリル酸コポリマーフィルム、フィルムは、コモノマーである10重量%のメタクリル酸、50cmの幅、約0.06mmの厚さ、及び98℃の融点を有する。
【0101】
EAAフィルム(B3):BYNEL(登録商標)21E533、DuPontをキャストすることによって作製された無水物修飾エチレン−アクリレートコポリマーフィルム、フィルムは、50cmの幅、約0.06mmの厚さ、及び83℃の融点を有する。
【0102】
未処理の布地(U1):縦糸と横糸において、1200デニール(1334dtex)のポリ(m−フェニレンテレフタルアミド)糸条から作製された綾織布地(DuPontから入手可能なNOMEX(登録商標)white)、サイズ:9×9エンド/cm
2、約245g/m
2の目付、Chomarat Co.から購入。
【0103】
未処理の布地(U2):縦糸と横糸として1500デニール(1670dtex)のポリ(p−フェニレンテレフタルアミド)糸条から作製された平織り布地(DuPontから入手可能なKELVAR(登録商標))、サイズ:7×7エンド/cm
2、目付:200g/m
2、Jiangsu Tianniao High Tech.Co.から購入。
【0104】
表面活性化剤(S1):γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(CAS番号2530−83−8)、SILQUEST(登録商標)A−187、Momentive Performance Material Co.から購入。
【0105】
表面活性化剤(S2):グリセロールポリグリシジルエーテル(CAS番号13236−02−7)、DENACOL(登録商標)EX−313、Nagase Chemicalから購入。
【0106】
表面活性化剤(S3):4,4’−メチレンジフェニルジイソシアネート(CAS番号9016−87−9)、PAPI(商標)27、Dow Chemicalから購入。
【0107】
被覆組成物(CC1):25.3gの
表面活性化剤(S1)、2.5gの酢酸、及び225gの水から作製される溶液。
【0108】
被覆組成物(CC2):8.8gの
表面活性化剤(S2)、1.52gの2−ブトキシエタノール、2.24gのスルホコハク酸ジオクチルナトリウム、及び387.3gの水から作製される溶液。
【0109】
被覆組成物(CC3):158gの
表面活性化剤(S3)、及び285gのトルエンから作製される溶液。
【0110】
E1〜E7及びCE1〜CE9の熱可塑性複合材料積層体を作製する手順
工程A:布地処理
未処理の布地片(15cm×15cm)を、周囲温度で約30分間にわたり被覆組成物(約250mL〜約450mL)に浸漬し、次いで被覆組成物から取り除いた。周囲温度で約30秒間にわたり、液体が滴らなくなるまで湿潤布地を吊ることによって、過剰な被覆組成物を取り除き、且つ/又は終夜、乾燥状態に置き、大部分の溶媒を蒸発させ、高温度で、表1で定められた期間にわたり更にオーブン乾燥した。
【0111】
【表1】
【0112】
工程B:ホットプレス
ステンレス鋼型(2つの35cm×35cm×1.5cmのステンレス鋼板から構成される)を成形に利用した。ホットプレス機(PHIによって製造)の温度を175℃に設定した。型を175℃までホットプレス機において予熱した。型をホットプレス機から取り出し開放した。次いで、剥離紙(Jiangsu TianNiao high tech. Co.により提供、35cm×35cm)を型の台板に置き、ホットプレスの後、型からの調製した積層体の最終的な除去を容易にした。
【0113】
上部層11及び下部層15における熱可塑性フィルム、第1の結合層12及び第2の結合層14として使用されるフィルムを、15cm×15cmの正方形に切断し、布地13として使用される工程Aから得られた処理した布地を以下の方法で積み重ねた。
【0114】
初めに、上部層11として使用される熱可塑性フィルムを、第1の剥離紙にわたり且つ型の中央に敷設した。その後、第1の結合層12として使用されるフィルム、布地層13として使用される布地、第2の結合層フィルム14として使用されるフィルム、及び下部層15として使用される熱可塑性フィルムを順番に敷設して、表2〜5で定められた様々な積層体試料の異なる層を形成した。
【0115】
比較例を調製する場合、結合層12及び14の両方を除き、且つ布地層13として使用される布地を未処理の布地と置き換えるか、又は結合層12及び14の両方を除くか、又は布地層13として使用される布地を未処理の布地と置き換えた。プレフォームを得るためにこれらの異なる層を適所に敷設した後、第2の剥離紙(35cm×35cm)をプレフォームにわたって置き、型を閉じた。
【0116】
剥離強度試料を調製する場合、プレフォームを得た後、剥離紙片(幅2.54cm及び長さ20cm)を、上部層11と第1の結合層12との間に且つ一端部に沿って置き、試験機に対して、試験片の簡単な取り付けのための小さい非積層領域を残した。
【0117】
プレフォームの組み立ての後、型を閉じ、ホットプレス機に戻した。熱可塑性フィルム(A1)(即ち、E1〜E5、E7、及びCE1〜CE6)を含む試料の場合、1MPaの圧力にて175℃で10分間にわたってホットプレスし、熱可塑性フィルム(A2)(即ち、E6、及びCE7〜CE9)を含む試料の場合、1MPaの圧力にて190℃で10分間にわたってホットプレスした。ホットプレスの後、型をホットプレス機から取り出し、蓋を型から取り除き、その後、第2の剥離紙を取り除いた。熱可塑性複合材料積層体を型から取り除き、第1の剥離紙から離し、周囲温度まで冷却した。
【0118】
試験方法
厚さ測定:積層体試料の厚さをノギスで求めた。それぞれの試験片を、異なる点で6〜10回にわたって測定し、結果を平均化し、表2〜5に報告した。
【0119】
剥離強度試験:それぞれの積層体試料を、レーザー切断機(Han’s Laser Technology Industry Group Co.Ltd.から購入、モデル:P060)によって切断して、5つの試験片(即ち、127.0mm×25.4mmの長方形)を得た。
図2は、剥離強度試験のために使用される、本複合材料積層体試料200の拡大斜視図を示す。これは、(a)上部層21、(b)第1の結合層22、(c)布地層23、(d)第2の結合層24、及び(e)下部層25の層構造を有し、且つ一端部に沿って、上部層21と第1の結合層22との間に置かれた1片の剥離紙26を有する。平行した破線は、試験片における切目線を示す。
【0120】
それぞれの試験片を、90°の剥離強度試験において熱硬化性エポキシテープの補助を用いて、160mm(L)×120mm(W)のサイズのスチール板である試料ホルダーに固定した。試験片の上部層21は、エポキシテープと接触し、120℃で1時間にわたってホットプレスして、エポキシ樹脂を硬化した。インストロン(登録商標)材料試験機(Instron(登録商標)companyによって製造、モデル:5567)を使用して、試験試料が貼り付けられている試料ホルダーを、適所に置き、積層体試料の開口端部における層(b)〜(e)(即ち、
図2の組成物積層体試料200の層22〜25)をクロスヘッドに固定した。90°の剥離強度を、ASTM D6862に従って、100mm/分のクロスヘッド速度、及び60mm距離における5kNの荷重で測定した。5つの試験片の剥離強度データを平均化し、N/25.4mmの単位で記録し、表2〜3及び表5に列挙した。
【0121】
剥離強度(△P)の向上:平均剥離強度の向上を、以下で示される方程式によって算出した。
△P%=[(P
n−P
0)/P
0]×100
式中、P
0は、参照例の平均剥離強度であり、且つP
nは、比較例の平均剥離強度である。
【0122】
剪断強度試験:それぞれの積層体試料を、レーザー切断機(Han’s Laser Technology Industry Group Co.Ltd.から購入、モデル:P060)によって切断して、5つの試験片を得た(即ち、127.0mm×25.4mmの長方形)。
図2は、剪断強度試験における積層体試料を例示した。
【0123】
それぞれの試験片を、剪断強度試験において熱硬化性エポキシテープの補助を用いて、100mm(L)×25mm(W)のサイズの2つのスチール板を有する試料ホルダーに固定した。試験片の上部層21及び下部層25を、エポキシ樹脂で2つのスチール板に別々に結合し、エポキシ樹脂を少なくとも24時間にわたって硬化した。インストロン(登録商標)材料試験機(Instron(登録商標)companyによって製造、モデル:5567)を使用して、試験試料が貼り付けられている試料ホルダーを、上下のクランプ(2716−015)の間に係止し、堅固に固定した。上部クランプは、GB7124に従って、2mm/分の速度、及び30kNの荷重で移動し、層を剪断する剪断強度を測定しN/25.4mmの単位で記録した。5つの試験片の剪断強度データを平均化し、表4〜5に列挙した。
【0124】
剪断強度(△S)の向上:平均剪断強度の向上を、以下で示される方程式によって算出した。
△S%=[(S
n−S
0)/S
0]×100
式中、S
0は、参照例の平均剪断強度であり、且つS
nは、比較例の平均剪断強度である。
【0125】
【表2】
a「
*」は、比較例が剥離強度向上計算に使用した参照例であることを示す。
b「/」は、隣接した層を有するそれぞれの異なる層を分けるために使用され、且つ「-」は、対応する結合層22又は24が除かれることを表す。
【0126】
表2の結果から、以下のことが明らかである。
【0127】
CE2及びCE1の平均剥離強度データ間の比較では、両方とも、結合層22及び24を有さず構築され、布地層23における処理した布地(F1)を有するCE2の積層体は、布地層23における未処理の布地(U1)を有するCE1の積層体と比較して本質的に向上しない。芳香族ポリアミド繊維から構成される布地における
表面活性化剤での簡易的な処理は、布地と熱可塑性フィルムとの間の結合強度が向上しないことを結果は示唆している。
【0128】
更に、CE1の積層体構造と比較して、CE3は、更なる結合層22及び24を有し、CE3の積層体が、布地と上部層21の熱可塑性フィルムとの間の結合強度のいくらかの向上を示すことを予想した。しかしながら、CE3は、CE1の積層体のものより平均剥離強度において20%の予想外の減少をもたらす。また、布地と熱可塑性フィルムとの間の更なる結合層を有することは、所望の結合強度の向上を得ることに失敗したことを結果は示唆している。
【0129】
驚くべきことに、E1〜E4の熱可塑性複合材料積層体は、CE1〜CE3の積層体のものと比較して、更なる結合層(即ち、B1又はB2)を組み込むことによって、且つ布地層23における
表面活性化剤で処理した布地(即ち、F1、F2、又はF3)を使用することによって、平均剥離強度における著しい向上をもたらす。本発明の熱可塑性複合材料積層体(E1〜E4)によりもたらされる著しい結合強度の向上は、
表面活性化剤で処理した布地と結合層のポリマー材料との間の共同効果に起因することができる。
【0130】
本発明の一実施形態においては、熱可塑性複合材料積層体は、
(a)少なくとも1つの熱可塑性フィルムから構成される上部層と、
(b)第1の結合層と、
(c)芳香族ポリアミド繊維と
表面活性化剤とを含む布地から構成される布地層と、
(d)第2の結合層と、
(e)少なくとも1つの熱可塑性フィルムから構成される下部層と
を順に含み、
布地層13は、第1の表面及び第2の表面を有し、
第1の結合層12は、上部層11及び布地層13の第1の表面に結合され、且つ第2の結合層14は、布地層13の第2の表面及び下部層15に結合され、
熱可塑性フィルムは、ポリアミドを含むか、又はそれから作製され、
第1の結合層12及び第2の結合層14はそれぞれ独立して、化学修飾エチレン−ビニルアセテートコポリマー又はエチレン−メタクリル酸コポリマーを含み、
芳香族ポリアミド繊維は、ポリ(m−フェニレンイソフタルアミド)ホモポリマー、ポリ(m−フェニレンイソフタルアミド)コポリマー、又はそれらの混合物から作製され、且つ
表面活性化剤は、シラン、エポキシド、又はイソシアネートである。
【0131】
【表3】
a「
*」は、比較例が剥離強度向上計算に使用した参照例であることを示す。
b「/」は、隣接した層を有するそれぞれの異なる層を分けるために使用され、且つ「-」は、対応する結合層22又は結合層24が除かれることを表した。
【0132】
表3の結果から、以下が明らかである。
【0133】
CE5及びCE4の平均剥離強度データ間の比較では、芳香族ポリアミド繊維から構成され、且つ布地層23において使用された布地(即ち、F4)における
表面活性化剤での簡易処理は、布地と熱可塑性フィルムとの間の結合強度が向上しないことを結果は示唆している。
【0134】
更に、CE4の積層体構造に更なる結合層(b)及び(d)を挿入して、CE6の積層体を形成することによって、布地と熱可塑性フィルムとの間の結合強度が適度に増加(即ち、17%)したことがわかった。
【0135】
対照的に、本発明の実施形態であるE5の積層体は、CE4〜CE6の積層体のものと比較して、更なる結合層22及び24(即ち、B1)を挿入することによって、且つ布地層23における
表面活性化剤で処理した布地(即ち、F4)を使用することによって、平均剥離強度が非常に高く向上する(約77%)。本発明の熱可塑性複合材料積層体(E5)がもたらす著しい結合強度の向上は、
表面活性化剤処理した布地及び結合層のポリマー材料の間の共同効果に起因することができる。より詳細には、E5における著しい向上は、処理した布地F4に存在するシランと結合層における無水物修飾エチレンビニルアセテートコポリマーとの間の共同効果に起因することができる。
【0136】
本発明の一実施形態においては、熱可塑性複合材料積層体は、
(a)少なくとも1つの熱可塑性フィルムから構成される上部層と、
(b)第1の結合層と、
(c)芳香族ポリアミド繊維と
表面活性化剤とを含む布地から構成される布地層と、
(d)第2の結合層と、
(e)少なくとも1つの熱可塑性フィルムから構成される下部層と
を順に含み、
布地層13は、第1の表面及び第2の表面を有し、
第1の結合層12は、上部層11及び布地層13の第1の表面に結合され、且つ第2の結合層14は、布地層13の第2の表面及び下部層15に結合され、
熱可塑性フィルムは、ポリアミドを含むか、又はそれから作製され、
第1の結合層12及び第2の結合層14はそれぞれ独立して、化学修飾エチレン−ビニルアセテートコポリマーを含み、
芳香族ポリアミド繊維は、ポリ(p−フェニレンテレフタルアミド)ホモポリマー、ポリ(p−フェニレンテレフタルアミド)コポリマー、又はそれらの混合物から作製され、且つ
表面活性化剤は、シランである。
【0137】
本発明の一実施形態においては、化学修飾エチレン−ビニルアセテートコポリマーは、マレイン酸、イタコン酸、及びそれらの無水物から選択される化学物質によって修飾される。
【0138】
【表4】
a「
*」は、比較例が剪断強度向上計算に使用した参照例であることを示す。
b「/」は、隣接した層を有するそれぞれの異なる層を分けるために使用され、且つ「-」は、対応する結合層22又は結合層24が除かれることを表した。
【0139】
表4の結果から、以下が明らかである。
【0140】
CE7及びCE8の平均剪断強度データ間の比較では、芳香族ポリアミド繊維から構成され、且つ布地層23において使用された布地(即ち、F4)における
表面活性化剤での簡易処理は、布地と熱可塑性フィルムとの間の結合強度が向上しないことを結果は示唆している。
【0141】
更に、CE7の積層体構造に更なる結合層22及び2を挿入して、CE9の積層体を形成することによって、布地と熱可塑性フィルムとの間の結合強度が適度に増加(即ち、28%)することがわかった。
【0142】
それにもかかわらず、本発明の実施形態であるE6の積層体は、CE7〜CE9の積層体のものと比較して、更なる結合層22及び24(即ち、B3)を挿入することによって、且つ布地層23における
表面活性化剤で処理した布地(即ち、F4)を使用することによって、平均剪断強度が非常に高く向上する(約58%)。同様に、E6における著しい向上は、処理した布地F4に存在するシランと、結合層における無水物修飾エチレン−アクリル酸コポリマーとの間の共同効果に起因することができる。
【0143】
本発明の一実施形態においては、熱可塑性複合材料積層体は、
(a)少なくとも1つの熱可塑性フィルムから構成される上部層と、
(b)第1の結合層と、
(c)芳香族ポリアミド繊維と
表面活性化剤とを含む布地から構成される布地層と、
(d)第2の結合層と、
(e)少なくとも1つの熱可塑性フィルムから構成される下部層と
を順に含み、
布地層13は、第1の表面及び第2の表面を有し、
第1の結合層12は、上部層11及び布地層13の第1の表面に結合され、且つ第2の結合層14は、布地層13の第2の表面及び下部層15に結合され、
熱可塑性フィルムは、ポリカーボネートを含むか、又はそれから作製され、
第1の結合層12及び第2の結合層14はそれぞれ独立して、化学修飾エチレン−アクリル酸コポリマーを含み、
芳香族ポリアミド繊維は、ポリ(p−フェニレンテレフタルアミド)ホモポリマー、ポリ(p−フェニレンテレフタルアミド)コポリマー、又はそれらの混合物から作製され、且つ
表面活性化剤は、シランである。
【0144】
本発明の一実施形態においては、化学修飾エチレン−アクリル酸コポリマーは、無水物修飾エチレン−アクリレートコポリマーである。
【0145】
剥離強度試験及び剪断強度試験が比較可能であることを実証するために、剥離強度試験及び剪断強度試験の両方を用いて、E5及びE7の熱可塑性複合材料積層体を試験し、N/25.4mmの単位での平均剥離強度データ、及びMPaの単位での平均剪断強度データを記録し、表5に列挙した。
【0146】
【表5】
a「/」は、隣接した層を有するそれぞれの異なる層を分けるために使用され、且つ「-」は、対応する結合層22又は結合層24が除かれることを表した。
【0147】
表5の結果から、以下のことが明らかである。
【0148】
E5及びE7の平均剥離強度データ間の比較では、E5の平均剥離強度データは、E7のものより大きく、E7のものの約1.3倍である。E5及びE7の平均剪断強度データ間の比較では、同様に、E5の平均剪断強度データは、E7のものより大きく、E7のものの約1.3倍である。結果は、剥離強度及び剪断強度試験が比較可能であることを示唆している。
【0149】
典型的な実施形態において本発明を例示及び説明してきたが、本発明の趣旨から逸脱することなく様々な修正形態及び置換形態が可能であることから、本発明は以上の詳細に限定されない。即ち、本明細書に開示した本発明の修正形態及び均等物が日常の実験以上のものを要することなく当業者には明かであり、すべてのかかる修正形態及び均等物は以下の特許請求の範囲に記載の本発明の趣旨及び範囲に属すると考えられる。
本発明のまた別の態様は、以下のとおりであってもよい。
〔1〕(a)少なくとも1つの熱可塑性フィルムから構成される上部層と、
(b)第1の結合層と、
(c)芳香族ポリアミド繊維と界面活性剤とを含む布地から構成される布地層と、
(d)第2の結合層と、
(e)少なくとも1つの熱可塑性フィルムから構成される下部層と
を順に含む熱可塑性複合材料積層体であって、
前記布地層は、第1の表面及び第2の表面を有し、
前記第1の結合層は、前記上部層、及び前記布地層の前記第1の表面に結合され、且つ前記第2の結合層は、前記布地層の前記第2の表面、及び前記下部層に結合され、
前記上部又は下部層の前記熱可塑性フィルムは、ポリアミド、ポリカーボネート、又はそれらの混合物を含むか、又はそれから作製され、
前記第1の結合層及び前記第2の結合層はそれぞれ独立して、エチレン−ビニルアセテートコポリマー、化学修飾エチレン−ビニルアセテートコポリマー、エチレン−メタクリレートコポリマー、化学修飾エチレン−メタクリレートコポリマー、エチレン−アクリル酸コポリマー、化学修飾エチレン−アクリル酸コポリマー、又はそれらの混合物を含み、 前記芳香族ポリアミド繊維は、ポリ(p−フェニレンテレフタルアミド)ホモポリマー、ポリ(p−フェニレンテレフタルアミド)コポリマー、ポリ(m−フェニレンイソフタルアミド)ホモポリマー、ポリ(m−フェニレンイソフタルアミド)コポリマー、ポリスルホンアミドホモポリマー、ポリスルホンアミドコポリマー、又はそれらの混合物から作製され、
前記界面活性剤は、シラン、エポキシド、又はイソシアネートであり、且つ
前記熱可塑性複合材料積層体は、前記布地層の未処理の布地を有し、且つ前記第1の結合層及び前記第2の結合層が欠如している比較の積層体のものと比較して、平均結合強度において25%以上の増加を有する、熱可塑性複合材料積層体。
〔2〕前記熱可塑性フィルムは、ポリアミドを含む、前記〔1〕に記載の熱可塑性複合材料積層体。
〔3〕前記熱可塑性複合材料積層体の総厚さは、約0.1mm〜約5mmである、前記〔1〕に記載の熱可塑性複合材料積層体。
〔4〕前記界面活性剤は、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルトリメトキシシラン、フェノールグリシジルエーテル、芳香族グリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、グリシジルアミン、脂環式エポキシド、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、及び4,4’−メチレンジフェニルジイソシアネートからなる群から選択される、前記〔1〕に記載の熱可塑性複合材料積層体。
〔5〕前記布地層の前記布地は、i)未処理の布地に対して被覆組成物を塗布して湿潤布地を得る工程と、ii)周囲温度から約220℃までの範囲の温度で、約1分〜約60分間にわたり前記湿潤布地を乾燥させる工程とを含む方法によって作製され、前記界面活性剤の量は、前記被覆組成物の総重量に基づいて、約1重量%〜約20重量%である、前記〔1〕に記載の熱可塑性複合材料積層体。
〔6〕前記未処理の布地に対して前記被覆組成物を塗布する方法は、浸漬、含浸、及び吹付けを含む、前記〔5〕に記載の熱可塑性複合材料積層体。
〔7〕前記未処理の布地の目付は、約20g/m2〜約660g/m2である、前記〔5〕に記載の熱可塑性複合材料積層体。
〔8〕前記布地層の前記布地は、前記布地の総重量に基づいて、約0.5重量%〜約15重量%の量の界面活性剤を含む、前記〔1〕に記載の熱可塑性複合材料積層体。
〔9〕ホットプレス、熱圧縮成形、オートクレーブ成形、及びダブルベルトホットメルトプレスから選択される方法によって製造される、前記〔1〕に記載の熱可塑性複合材料積層体。
〔10〕前記〔1〕に記載の熱可塑性複合材料積層体を含む物品であって、携帯電子機器のためのハウジング又は保護カバーである、物品。