特許第6770897号(P6770897)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6770897
(24)【登録日】2020年9月30日
(45)【発行日】2020年10月21日
(54)【発明の名称】輸送用断熱容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 81/38 20060101AFI20201012BHJP
【FI】
   B65D81/38 G
   B65D81/38 E
【請求項の数】8
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2017-257(P2017-257)
(22)【出願日】2017年1月4日
(65)【公開番号】特開2018-108851(P2018-108851A)
(43)【公開日】2018年7月12日
【審査請求日】2019年4月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002440
【氏名又は名称】積水化成品工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091096
【弁理士】
【氏名又は名称】平木 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100102576
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 敏章
(74)【代理人】
【識別番号】100099128
【弁理士】
【氏名又は名称】早川 康
(74)【代理人】
【識別番号】100129861
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 滝治
(72)【発明者】
【氏名】田中 幹彦
(72)【発明者】
【氏名】大野 翔太
【審査官】 武内 大志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−191195(JP,A)
【文献】 特開平2−233383(JP,A)
【文献】 特許第3213454(JP,B2)
【文献】 特開2007−246097(JP,A)
【文献】 特開2015−169372(JP,A)
【文献】 特開2007−195494(JP,A)
【文献】 米国特許第6244458(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 81/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体と、該容器本体の開口部を閉塞する蓋部とを備えた輸送用断熱容器であって、
前記容器本体は、剛性を有する非発泡樹脂を素材とする外壁部と、該外壁部の内側に配置された前記非発泡樹脂を素材とする内壁部と、該内壁部と前記外壁部との間に配置された真空断熱材とを備え、
前記真空断熱材は、前記外壁部の側壁に隣接して配置された側壁用真空断熱材と、前記内壁部の底壁に隣接して配置された底壁用真空断熱材と、を含み、
前記外壁部の内表面および前記真空断熱材を覆う発泡樹脂材を備えることを特徴とする輸送用断熱容器。
【請求項2】
前記容器本体は、矩形箱形の形状を有し、
前記側壁用真空断熱材の周縁部は、前記外壁部の前記側壁の周縁部よりも内側に配置され、
前記容器本体の角部に、前記側壁用真空断熱材が配置されていない緩衝部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の輸送用断熱容器。
【請求項3】
前記緩衝部は、前記外壁部の内側の角と前記内壁部の外側の角との間に形成されていることを特徴とする請求項に記載の輸送用断熱容器。
【請求項4】
前記外壁部と前記内壁部との間の空間は、発泡樹脂材によって埋められていることを特徴とする請求項1から請求項のいずれか一項に記載の輸送用断熱容器。
【請求項5】
前記側壁用真空断熱材の上縁部、下縁部および左右の側縁部は、それぞれ、前記側壁の上縁部、下縁部および左右の側縁部よりも内側に配置されていることを特徴とする請求項1から請求項のいずれか一項に記載の輸送用断熱容器。
【請求項6】
前記蓋部は、前記容器本体の前記開口部を覆う下壁部と、該下壁部の上方側に接合された上壁部と、該上壁部と該下壁部の間で該上壁部に隣接して配置された蓋部用真空断熱材とを有することを特徴とする請求項1から請求項のいずれか一項に記載の輸送用断熱容器。
【請求項7】
前記上壁部と前記下壁部との間の空間を埋める発泡樹脂材を備えることを特徴とする請求項に記載の輸送用断熱容器。
【請求項8】
前記上壁部および前記下壁部の素材は、非発泡樹脂材料であることを特徴とする請求項または請求項に記載の輸送用断熱容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、断熱容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から断熱性の容器本体と、この容器本体の上端開口部を開閉する断熱性の開閉蓋部とを備えた断熱容器が知られている(下記特許文献1を参照)。特許文献1に記載された断熱容器において、容器本体は、略四角形断面に形成された筒状胴部の下端が底蓋部で閉塞され、上端開口部によって上端が開口されている。また、開閉蓋部は、この容器本体の上端部に起伏自在に取付けて設けられている。
【0003】
上記容器本体の筒状胴部は、前後に対向する前壁部と後壁部、および左右に対向する左右の側壁部とを備えている。この容器本体の前壁部、後壁部、左右の側壁部、底蓋部、および開閉蓋部は、三重断熱層を備えている。この三重断熱層は、平板状の真空断熱材で形成した中央断熱層と、この中央断熱層の両面に重合して設けられた平板状の断熱ボードで形成された内側断熱層および外側断熱層とで構成されている。そして、上記底蓋部の内側断熱層は、上記筒状胴部の下端部に適合して嵌入するように構成され、上記開閉蓋部の内側断熱層は、閉蓋時に容器本体の上端開口部に適合して嵌入するように構成されている。
【0004】
この構成により、真空断熱材の機能と断熱ボードの機能との相乗作用によって優れた断熱効果を発揮すること、真空断熱材の両面に重合した断熱ボードによって真空断熱材が保護されること、および、真空断熱材が損傷すると断熱作用は略ゼロないしゼロに近くなることなどが、特許文献1に記載されている(たとえば同文献、第0011段落から第0016段落等を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013−10524号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記特許文献1は、容器本体が三層構成の断熱層の胴部および底蓋部で構成された断熱容器体を収容するバッグを備える構成を開示している。このバッグは、たとえば繊維製シートの一方の面にアルミを蒸着したアルミ蒸着シートによって作製されるため、柔軟で可撓性を有し、十分な剛性を有しない。また、バッグに収容される断熱容器体の三層構成の断熱層において、内側および外側断熱層を構成する断熱ボードとして、発泡樹脂材などの比較的強度が低い素材が用いられることが、同文献に記載されている。
【0007】
したがって、上記従来の断熱容器では、外部からの衝撃によって断熱ボードとともに真空断熱材が損傷して断熱作用が消滅するおそれがある。また、外部の衝撃から真空断熱材を保護するために外側断熱層を構成する断熱ボードを厚くすると、断熱容器の外表面の面積に対する真空断熱材の設置面積が減少し、断熱容器に外部から熱が伝達されやすくなり、断熱容器の断熱性が低下するおそれがある。
【0008】
本発明は、前記課題に鑑みてなされたものであり、外部の衝撃から真空断熱材をより確実に保護することができ、かつ断熱性を向上させることができる断熱容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成すべく、本発明の断熱容器は、容器本体と、該容器本体の開口部を閉塞する蓋部とを備えた断熱容器であって、前記容器本体は、剛性を有する外壁部と、該外壁部の内側に配置された内壁部と、該内壁部と前記外壁部との間に配置された真空断熱材とを備え、前記真空断熱材は、前記外壁部の側壁に隣接して配置された側壁用真空断熱材を含むことを特徴とする。
【0010】
このような構成により、本発明の断熱容器は、剛性を有する外壁部によって外部からの衝撃を緩和し、外壁部と内壁部との間の空間に配置された真空断熱材の破損を防止することができる。したがって、本発明の断熱容器によれば、従来の断熱容器よりも外部の衝撃から真空断熱材をより確実に保護することができる。
【0011】
なお、外壁部の剛性とは、外部から外壁部に作用する力に対する外壁部の変形のしにくさである。真空断熱材の破損を防止する観点から、外壁部は、真空断熱材の剛性よりも高い剛性を有していることが好ましい。また、外壁部は、真空断熱材の破壊強度よりも高い破壊強度を有していることが好ましい。
【0012】
真空断熱材は、たとえばグラスウールなどの芯材の周囲をラミネートフィルムなどの外装材によって覆い、その外装材の内部を真空状態にした板状の断熱材である。このような側壁用真空断熱材を外壁部の側壁に隣接して配置することで、容器本体の外表面の表面積に対し、側壁用真空断熱材の設置面積を極力大きくすることができ、外壁部の側壁を介した熱の移動を従来よりも広い範囲で遮断することができる。したがって、本発明の断熱容器によれば、従来の断熱容器よりも断熱性を向上させることができる。
【0013】
ここで、側壁用真空断熱材を外壁部の側壁に隣接して配置するとは、次の場合を含む。たとえば、側壁用真空断熱材が、外壁部の側壁に接着剤を介して接合されている場合、外壁部の側壁に接した状態で配置されている場合、および外壁部の側壁と僅かな隙間を介して対向して配置されている場合である。なお、側壁用真空断熱材と外壁部の側壁との間の隙間は、たとえば1mm以下または2mm以下にすることができる。このような隙間を有することで、たとえば、外壁部に外部からの衝撃が加わったときに、衝撃を緩和することができ、側壁用真空断熱材の損傷を防止することができる。
【0014】
前記断熱容器は、前記外壁部の内表面および前記真空断熱材を覆う発泡樹脂材を備えていてもよい。前記内壁部と前記発泡樹脂材が別の部材である場合には、この発泡樹脂材によって、前記外壁部と前記内壁部との間で熱が移動するのを抑制し、断熱容器の断熱性を向上させることができる。また、前記内壁部が前記発泡樹脂材である場合には、この発泡樹脂材からなる内壁部によって断熱容器の断熱性を向上させることができる。また、いずれの場合にも、発泡樹脂材によって真空断熱材を支持し、真空断熱材の破損を防止することができる。したがって、外部の衝撃から真空断熱材をより確実に保護することができ、かつ断熱容器の断熱性を向上させることができる。
【0015】
前記容器本体は、矩形箱形の形状を有し、前記側壁用真空断熱材の周縁部は、前記外壁部の前記側壁の周縁部よりも内側に配置され、前記容器本体の角部に、前記側壁用真空断熱材が配置されていない緩衝部が形成されていてもよい。これにより、たとえば前記容器本体を構成する前記外壁部の角部が障害物に衝突したときに、前記側壁用真空断熱材に衝撃が加わるのを防止することができる。したがって、前記側壁用真空断熱材の破損をより効果的に防止することができる。
【0016】
前記緩衝部は、前記外壁部の内側の角と前記内壁部の外側の角との間に形成されていてもよい。たとえば、前記緩衝部は、前記容器本体の底壁に垂直な方向から見た平面視で、矩形の前記容器本体の対角線上に形成することができる。これにより、容器本体の外壁部の外側の角に衝撃が加わって、外壁部の内側の角と内壁部の外側の角との間の間隔が狭まっても、緩衝部によって衝撃を緩和し、前記側壁用真空断熱材の破損をより確実に防止することができる。
【0017】
前記外壁部および前記内壁部の素材は、非発泡樹脂材料であり、前記外壁部と前記内壁部との間の空間は、発泡樹脂材によって埋められていてもよい。これにより、前記外壁部および前記内壁部に対して、所望の剛性および機械的強度を付与することができる。また、前記外壁部と前記内壁部とを、たとえば熱溶着により接合して一体化することができる。さらに、発泡樹脂材によって、前記外壁部と前記内壁部との間で熱が移動するのを抑制し、断熱容器の断熱性を向上させることができるだけでなく、前記外壁部の内表面と前記内壁部の内表面を内側から支持して強度を向上させることができる。
【0018】
前記真空断熱材は、前記内壁部の底壁に隣接して配置された底壁用真空断熱材を含んでいてもよい。この場合、前記外壁部の底壁を介した容器本体の内部と外部との間の熱の移動を抑制することができ、断熱容器の断熱性を向上させることができる。また、前記底壁用真空断熱材を前記外壁部の底壁から離隔させて配置することができる。そのため、たとえば前記外壁部の底壁に注入孔を形成し、この注入孔を介して前記外壁部と前記内壁部との間の空間に発泡樹脂材を充填し、この空間を発泡樹脂材で埋めることができる。
【0019】
前記蓋部は、前記容器本体の前記開口部を覆う下壁部と、該下壁部の上方側に接合された上壁部と、該上壁部と該下壁部の間で該上壁部に隣接して配置された蓋部用真空断熱材とを有してもよい。
【0020】
このように、蓋部用真空断熱材を上壁部に隣接して配置することで、蓋部用真空断熱材を下壁部に隣接して配置する場合と比較して、蓋部用真空断熱材を前記蓋部の外表面の面積に近いより広い面積に配置することができる。したがって、蓋部用真空断熱材によって、蓋部の上壁部を介した断熱容器の内部と外部との間の熱の移動をより効果的に遮断し、断熱容器の断熱性をより向上させることができる。
【0021】
前記上壁部と前記下壁部との間の空間を埋める発泡樹脂材を備えてもよい。この発泡樹脂材によって、前記上壁部と前記下壁部との間の熱の移動を抑制し、断熱容器の断熱性を向上させることができる。また、発泡樹脂材によって蓋部用真空断熱材を支持し、蓋部用真空断熱材の破損を防止することができる。したがって、外部の衝撃から蓋部用真空断熱材をより確実に保護することができ、かつ断熱容器の断熱性を向上させることができる。
【0022】
前記上壁部および前記下壁部の素材は、非発泡樹脂材料であってもよい。これにより、前記上壁部および前記下壁部に対して、所望の剛性および機械的強度を付与することができる。また、前記上壁部と前記下壁部とを、たとえば熱溶着により接合して一体化することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、外部の衝撃から真空断熱材をより確実に保護することができ、かつ断熱性を向上させることができる断熱容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の一実施形態に係る断熱容器の断面図。
図2図1に示す断熱容器のII−II線に沿う断面図。
図3図1に示す断熱容器の製造方法の一例を示すフロー図。
図4A図3に示す断熱材接合工程の説明図。
図4B図3に示す型内配置工程および発泡樹脂充填工程の説明図。
図4C図3に示す容器接合工程の説明図。
図5図1に示す断熱容器の製造方法の他の一例を示すフロー図。
図6A図5に示す発泡樹脂成形工程の説明図。
図6B図5に示す断熱材接合工程の説明図。
図6C図5に示す容器配置工程および容器接合工程の説明図。
図7】本発明の実施例に係る断熱容器の模式的な断面図。
図8】比較例に係る断熱容器の模式的な断面図。
図9】実施例と比較例の断熱容器の断熱性試験の結果を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して本発明に係る断熱容器の一実施形態を説明する。
【0026】
図1は、本発明の一実施形態に係る断熱容器100の上下方向に沿う断面図である。図2は、図1に示すII−II線に沿う断熱容器100の断面図である。
【0027】
本実施形態の断熱容器100は、たとえば、断熱性を有する容器本体10と、この容器本体の上部の開口部10aを閉塞する断熱性を有する蓋部20とを備えている。
【0028】
容器本体10は、たとえば、全体としておおむね直方体の形状を有する矩形の箱形に形成されている。容器本体10は、おおむね長方形板状の底壁10bと、この底壁10bの各辺に立設された側壁10cとを有し、上部が開放されている。すなわち、容器本体10は、上端部に側壁10cによって画定されたおおむね長方形の開口部10aを有している。なお、容器本体10の形状は、特に限定されず、たとえば、円筒状、楕円筒状、多角形柱状など、任意の形状に形成することができる。容器本体10は、外壁部11と内壁部12と真空断熱材30とを備えている。
【0029】
外壁部11は、たとえば、硬質の非発泡樹脂によって製作されている。外壁部11の素材である非発泡樹脂としては、たとえば、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂を用いることができる。外壁部11は、たとえば0.5mm以上かつ5mm以下の厚さを有し、一定の剛性および機械的強度を有している。外壁部11の剛性および機械的強度は、たとえば、真空断熱材30の剛性および機械的強度よりも高くされている。すなわち、外壁部11は、真空断熱材30よりも外力に対して変形しにくく、耐久性、突き刺し強度(JIS Z1707:1997)、および耐衝撃性などに優れている。
【0030】
内壁部12は、外壁部11の内側に配置されている。内壁部12は、たとえば外壁部11と同様の素材によって製作されている。図示の例において、内壁部12は、上端部にフランジ部12aを有している。フランジ部12aは、内壁部12の上端部から、容器本体10の開口部10aの外方へ向けて張り出している。フランジ部12aの周縁部は、たとえば熱溶着によって、外壁部11の上端部に全周にわたって接合されている。
【0031】
真空断熱材30は、たとえばグラスウールなどの断熱材をアルミ蒸着が施されたラミネートフィルムなどの外装材で覆い、この外装材の内部を真空状態にした板状の断熱材である。真空断熱材30は、容器本体10の外壁部11と内壁部12との間の空間に配置されている。すなわち、本実施形態の断熱容器100において、容器本体10は、外壁部11と内壁部12によって構成された中空の側壁10cおよび底壁10bの内部に、真空断熱材30を備えている。
【0032】
本実施形態の断熱容器100は、たとえば、複数の真空断熱材30を備えている。真空断熱材30は、たとえば、側壁用真空断熱材31と底壁用真空断熱材32を含むことができる。真空断熱材30は、必ずしも底壁用真空断熱材32を含む必要はないが、断熱容器100の断熱性を向上させる観点から、底壁用真空断熱材32を含むことが好ましい。本実施形態の断熱容器100は、真空断熱材30として、容器本体10に側壁用真空断熱材31と底壁用真空断熱材32を備えている。
【0033】
本実施形態の断熱容器100は、外壁部11の側壁11cに隣接して配置された側壁用真空断熱材31を備える点に最大の特徴を有している。より具体的には、側壁用真空断熱材31は、たとえば外壁部11の側壁11cに接着剤を介して接合されている。また、側壁用真空断熱材31は、たとえば外壁部11の側壁11cに接した状態で支持されていてもよいし、たとえば0.1mmから2mm程度の微小な隙間を介して外壁部11の側壁11cと対向して配置されてもよい。
【0034】
底壁用真空断熱材32は、側壁用真空断熱材31と同様に、たとえば内壁部12の底壁12bに接着剤を介して接合されている。また、底壁用真空断熱材32は、側壁用真空断熱材31と同様に、たとえば内壁部12の底壁12bに接した状態で支持されていてもよいし、たとえば0.1mmから2mm程度の微小な隙間を介して内壁部12の底壁12bと対向して配置されてもよい。
【0035】
また、断熱容器100は、たとえば、容器本体10の外壁部11の内表面および真空断熱材30を覆う発泡樹脂材40を備えることができる。発泡樹脂材40としては、たとえばビーズ法発泡ポリプロピレン(expanded polypropylene:EPP)、ビーズ法発泡スチロール(expanded polystyrene:EPS)、ポリウレタン系樹脂の発泡体などを用いることができる。図示の例において、発泡樹脂材40は、容器本体10の外壁部11の内表面、ならびに側壁用真空断熱材31の外壁部11に対向する外面を除く上面、下面、および側面を覆い、外壁部11と内壁部12との間の空間を埋めている。
【0036】
発泡樹脂材40は、たとえば、容器本体10の外壁部11と内壁部12に接合されていてもよいし、外壁部11と内壁部12との間にぴったりとはめ込まれていてもよい。後者の場合、発泡樹脂材40は、外壁部11と内壁部12との間の寸法に対応し、所定の負の寸法公差を有する厚さに設定され、外壁部11と内壁部12に接するかまたはこれらに微小な隙間を介して対向してもよい。さらに、内壁部12を省略して、発泡樹脂材40を容器本体10の内壁部として用いてもよい。この場合、容器本体10の内表面に、発泡樹脂材40が露出した状態になる。
【0037】
図1および図2に示すように、断熱容器100の容器本体10が矩形箱形の形状を有する場合に、容器本体10の外壁部11と内壁部12の間で外壁部11に隣接して配置された側壁用真空断熱材31の周縁部は、外壁部11の側壁11cの周縁部よりも内側に配置することができる。これにより、容器本体10の角部10dに、側壁用真空断熱材31が配置されていない緩衝部10eが形成されている。ここで、容器本体10の角部10dとは、容器本体10の側壁10cと側壁10cの間または側壁10cと底壁10bの間に形成されるとがった部分である。
【0038】
容器本体10の角部10dの緩衝部10eは、図2に示すように、たとえば容器本体10の外壁部11の内側の角11eと内壁部12の外側の角12dとの間に形成されていてもよい。また、緩衝部10eは、たとえば、容器本体10の底壁10bに垂直な方向から見た平面視で、矩形の容器本体10の対角線DL上に形成することができる。外壁部11の内側の角11eは、図1に示す外壁部11の底壁11bから、この底壁11bに垂直な方向に沿って、外壁部11の側壁11cの上端まで延在している。同様に、内壁部12の外側の角12dは、図1に示す内壁部12の底壁12bから、この底壁12bに垂直な方向に沿って、内壁部12の側壁12cの上端まで延在している。
【0039】
また、図1に示すように、容器本体10の底壁10bに垂直な方向において、外壁部11の内寸H1に対する緩衝部10eの内寸H2は、たとえば、以下の式(1)を満たす。
また、図2に示すように、容器本体10の底壁10bに沿う方向において、外壁部11の縦横の内寸L1、L2に対する緩衝部10eの縦横の内寸L3,L4は、たとえば、以下の式(2)および(3)を満たす。
【0040】
0.04≦(H2×2)/H1≦0.15 (1)
0.04≦(L3×2)/L1≦0.15 (2)
0.04≦(L4×2)/L2≦0.15 (3)
【0041】
すなわち、図1に示すように、容器本体10の底壁10bに垂直な高さ方向において、外壁部11の側壁11cの両端部に形成された緩衝部10eの内寸H2の合計は、外壁部11の高さ方向の内寸H1の4%以上かつ15%以下であることが好ましい。また、図2に示すように、容器本体10の底壁10bに沿う平断面において、矩形の外壁部11の縦方向に沿う側壁11cの両端部に形成された緩衝部10eの内寸L3の合計は、外壁部11の縦方向の内寸L1の4%以上かつ15%以下であることが好ましい。また、容器本体10の底壁10bに垂直な平面視で、矩形の外壁部11の横方向に沿う側壁11cの両端部に形成された緩衝部10eの内寸L4の合計は、外壁部11の横方向の内寸L2の4%以上かつ15%以下であることが好ましい。
【0042】
蓋部20は、たとえば、容器本体10の開口部10aを覆う下壁部21と、この下壁部21の上方側に接合された上壁部22と、この上壁部22と下壁部21の間で上壁部22に隣接して配置された蓋部用真空断熱材33とを有することができる。蓋部20は、平板状に形成され、容器本体10の開口部10aに係合する凸部を有することができる。上壁部22および下壁部21の素材は、前述の容器本体10の外壁部11および内壁部12と同様の非発泡樹脂材料を用いることができる。
【0043】
また、蓋部用真空断熱材33としては、前述の容器本体10の真空断熱材30と同様のものを用いることができる。なお、蓋部20は、たとえばブロー成形などにより、下壁部21と上壁部22とを同時に一体成形することによって製作してもよい。この場合、蓋部20は、内部に蓋部用真空断熱材33を有しなくてもよい。
【0044】
蓋部用真空断熱材33は、前述の側壁用真空断熱材31と同様に、たとえば上壁部22に接着剤を介して接合されている。また、蓋部用真空断熱材33は、側壁用真空断熱材31と同様に、たとえば上壁部22に接した状態で支持されていてもよいし、たとえば0.1mmから2mm程度の微小な隙間を介して上壁部22と対向して配置されてもよい。
【0045】
また、蓋部20は、前述の容器本体10と同様に、上壁部22と下壁部21との間の空間を埋める発泡樹脂材50を備えてもよい。発泡樹脂材50としては、前述の容器本体10の発泡樹脂材40と同様のものを用いることができる。また、前述の容器本体10の発泡樹脂材40と同様に、発泡樹脂材50は、たとえば、蓋部20の上壁部22と下壁部21に接合されていてもよいし、上壁部22と下壁部21との間にぴったりとはめ込まれていてもよい。後者の場合、発泡樹脂材50は、上壁部22と下壁部21との間の寸法に対応し、所定の負の寸法公差を有する厚さに設定され、上壁部22と下壁部21に接するかまたはこれらに微小な隙間を介して対向してもよい。
【0046】
以下、本実施形態の断熱容器100の作用について説明する。
【0047】
本実施形態の断熱容器100は、たとえば、容器本体10の開口部10aを介して保温または保冷を要する物品を容器本体10に収容し、容器本体10の開口部10aを蓋部20によって閉塞することで、物品が収容された内部空間を周囲の環境から隔離して断熱することができる。
【0048】
断熱容器100の内部に収容される物品は、たとえば、清涼飲料、菓子類、鮮魚等の魚介類、ハムやソーセージ等の加工食品、各種枝肉や精肉、チーズ等の乳製品、ワクチンやアンプルなどの医薬品、米飯や惣菜、青果等、比較的に重量が大きいものが多い。断熱容器100の内部に重量の大きい物品が収容されると、たとえば断熱容器100を落下させたり、障害物にぶつけたりしたときに、外部から断熱容器100に作用する衝撃が大きくなりやすい。そのため、断熱容器100は、高い耐衝撃性、耐久性、および緩衝性が要求される。
【0049】
ここで、本実施形態の断熱容器100において、容器本体10は、剛性を有する外壁部11と、この外壁部11の内側に配置された内壁部12と、この内壁部12と外壁部11との間に配置された真空断熱材30とを備えている。また、真空断熱材30は、外壁部11の側壁11cに隣接して配置された側壁用真空断熱材31を含んでいる。換言すると、容器本体10は、真空断熱材30として、外壁部11の側壁11cに隣接して配置された側壁用真空断熱材31を備えている。
【0050】
これにより、たとえば、断熱容器100の輸送時などに、断熱容器100に障害物が衝突して容器本体10に外部から衝撃が加わった場合でも、剛性を有する外壁部11によって衝撃を緩和し、真空断熱材30を保護して破損を防止することができる。さらに、剛性を有する外壁部11によって容器本体10の強度が確保され、たとえば、断熱容器100の輸送時や保管時などに複数の断熱容器100を積み重ねることが可能になる。
【0051】
また、外壁部11と内壁部12との中間や、内壁部12の側壁12cに隣接して側壁用真空断熱材31を配置する場合と比較して、容器本体10の側壁10cの外表面の表面積に対する側壁用真空断熱材31の設置面積を拡大することが可能になる。これは、内壁部12の側壁12cの表面積よりも外壁部11の側壁11cの表面積の方が大きいためである。
【0052】
このように、側壁用真空断熱材31の設置面積を従来よりも拡大することで、側壁用真空断熱材31によって、外壁部11の側壁11cを介した容器本体10の内部と外部との間の熱の移動を、より広い範囲で遮断することができる。したがって、本実施形態の断熱容器100によれば、従来の断熱容器100よりも、外部の衝撃から真空断熱材30をより確実に保護することができ、かつ断熱性を向上させることができる。
【0053】
また、前述のように、側壁用真空断熱材31が外壁部11の側壁11cに接合され、または接している場合には、容器本体10の側壁10cを介して容器本体10の内部へ伝わる熱の伝達経路は、次のようになる。まず、外気の熱が容器本体10の外壁部11の側壁11cに伝わる。さらに、この外壁部11の側壁11cから、順次、側壁用真空断熱材31、発泡樹脂材40、および内壁部12の側壁12cを介して、容器本体10の内部に熱が伝わる。
【0054】
ここで、各部材の熱伝導率は、たとえば、外壁部11が約0.17W/(m・K)から約0.19W/(m・K)程度、真空断熱材30が約0.004W/(m・K)程度、発泡樹脂材40が約0.022W/(m・K)から約0.033W/(m・K)程度、内壁部12が外壁部11と同程度である。このように、比較的に熱伝導率が高い外壁部11の側壁11cに隣接して、容器本体10の外方側に側壁用真空断熱材31を配置することで、容器本体10のより外方側で熱の伝達を効果的に遮断し、容器本体10の断熱性を向上させることができる。
【0055】
より具体的には、外壁部11の側壁11cから外壁部11と内壁部12との間の発泡樹脂材40や空気等に伝わる熱を、側壁用真空断熱材31によって遮断することで、発泡樹脂材40や空気を介して内壁部12に伝わる熱を減少させることができる。したがって、容器本体10において、より高い断熱効果を得ることができる。また、容器本体10の外表面の結露を防止できる。
【0056】
さらに、容器本体10は、外壁部11の側壁11cと側壁用真空断熱材31との間に隙間を有する場合がある。この場合、外壁部11の側壁11cと側壁用真空断熱材31との間の空気によって断熱層が形成される。空気の熱伝導率は、たとえば0.026W/(m・K)程度であり、外壁部11の熱伝導率よりも低い。したがって、外壁部11から側壁用真空断熱材31へ伝わる熱を空気の断熱層によって減少させ、容器本体10の断熱性を向上させることができる。
【0057】
また、本実施形態の断熱容器100は、前述のように、真空断熱材30が内壁部12の底壁12bに隣接して配置された底壁用真空断熱材32を含んでいる。換言すると、容器本体10は、真空断熱材30として、内壁部12の底壁12bに隣接して配置された底壁用真空断熱材32を備えている。
【0058】
この底壁用真空断熱材32によって、内壁部12の底壁12bを介した容器本体10の内部と外部との間の熱の移動を抑制することができ、断熱容器100の断熱性を向上させることができる。より具体的には、底壁用真空断熱材32によって、たとえば断熱容器100の内部に収容された物品の熱が、内壁部12の底壁12bから外壁部11の底壁11bへ伝わるのを抑制し、物品の熱を外部に逃げにくくして、物品を効果的に保温することができる。
【0059】
より詳細には、断熱容器100に収容された物品は、容器本体10の内壁部12の底壁12bの上に配置される。そのため、保温を要する物品から断熱容器100の外部への熱の伝達経路は、内壁部12の底壁12b、底壁用真空断熱材32、内壁部12と外壁部11との間の発泡樹脂材40または空気、および外壁部11の底壁11bとなる。しかし、内壁部12の底壁12bに隣接して底壁用真空断熱材32を配置することで、断熱容器100に収容された物品から内壁部12の底壁12bに伝わった熱が内壁部12と外壁部11との間の発泡樹脂材40または空気に伝わるのを抑制することができる。
【0060】
一方、断熱容器100に収容された保冷を要する物品には、最終的に内壁部12の底壁12bから熱が伝わる。そのため、内壁部12の底壁12bに隣接して底壁用真空断熱材32を配置することで、外壁部11の底壁11bおよび外壁部11と内壁部12との間の発泡樹脂材40または空気を介して内壁部12の底壁12bに伝わる熱を遮断することができる。したがって、容器本体10の外部から内壁部12の底壁12bへ伝わる熱を減少させ、容器本体10の断熱性を向上させることができる。
【0061】
また、断熱容器100の内部に外気温よりも温度の高い物品を収容する場合に、内壁部から外壁部11へ伝わる熱を、真空断熱材30によって遮断することで、内壁部12の温度の低下を抑制して、断熱容器100の内表面の結露を防止することができる。この場合、内壁部12の底壁12bに隣接して底壁用真空断熱材32を配置することで、内壁部12の底壁12bの熱が内壁部12と外壁部11との間の発泡樹脂材40または空気に伝わるのをより効果的に抑制して、内壁部12の底壁12bの温度低下を抑制し、底壁12bの内表面の結露をより効果的に防止できる。
【0062】
また、断熱容器100の内部に外気温よりも温度の低い物品を収容する場合に、外壁部11から断熱容器100の内部の物品へ伝わる熱を、真空断熱材30によって遮断することができる。これにより、外壁部11の温度低下を抑制して、断熱容器100の外表面の結露を防止することができる。この場合、外壁部11の側壁11cに隣接して側壁用真空断熱材31を配置することで、外壁部11の側壁11cの熱が外壁部11と内壁部12との間の発泡樹脂材40または空気に伝わるのを効果的に抑制して、外壁部11の側壁11cの内表面の結露をより効果的に防止できる。
【0063】
また、本実施形態の断熱容器100は、前述のように、容器本体10の底壁用真空断熱材32を内壁部12の底壁12bに隣接して配置している。これにより、容器本体10の底壁用真空断熱材32を外壁部11の底壁11bから離隔させて配置することができる。そのため、たとえば後述する断熱容器100の製造方法M1(図3参照)において、容器本体10の外壁部11の底壁11bに注入孔11d(図4A参照)を形成し、この注入孔11dを介して外壁部11と内壁部12との間の空間に発泡樹脂材40を注入するときに、底壁用真空断熱材32が工程の妨げになるのを防止できる。
【0064】
また、本実施形態の断熱容器100は、前述のように、容器本体10の外壁部11の内表面および真空断熱材30を覆う発泡樹脂材40を備えている。この場合、容器本体10の発泡樹脂材40によって、容器本体10の外壁部11と内壁部12との間の熱の移動を抑制し、断熱容器100の断熱性を向上させることができる。また、容器本体10の発泡樹脂材40によって、容器本体10の真空断熱材30を支持して破損を防止することができる。したがって、本実施形態の断熱容器100によれば、容器本体10の発泡樹脂材40によって、外部の衝撃から真空断熱材30をより確実に保護することができ、かつ断熱容器100の断熱性を向上させることができる。
【0065】
また、本実施形態の断熱容器100は、前述のように、容器本体10が矩形箱形の形状を有している。そして、側壁用真空断熱材31の周縁部が、容器本体10を構成する外壁部11の側壁11cの周縁部よりも内側に配置されている。そして、容器本体10の角部10dに、側壁用真空断熱材31が配置されていない緩衝部10eが形成されている。これにより、たとえば断熱容器100の輸送時などに、容器本体10の角部10dに障害物が衝突したときに、側壁用真空断熱材31に衝撃が加わるのを防止することができる。したがって、本実施形態の断熱容器100によれば、側壁用真空断熱材31の破損をより効果的に防止することができる。
【0066】
また、本実施形態の断熱容器100は、前述のように、容器本体10の角部10dの緩衝部10eが容器本体10の外壁部11の内側の角11eと内壁部12の外側の角12dとの間に形成されている。これにより、たとえば容器本体10の角部10dすなわち外壁部11の外側の角に衝撃が加わって、外壁部11の内側の角11eの近傍の部分と内壁部12の外側の角12dの近傍の部分との間の間隔が狭まっても、緩衝部10eによって衝撃を緩和し、側壁用真空断熱材31の破損をより確実に防止することができる。なお、真空断熱材30は、断熱容器100の外部から視認することができないため、このように外部の衝撃から真空断熱材30を保護して破損させないことが、極めて重要である。
【0067】
また、本実施形態の断熱容器100は、前述のように、容器本体10の外壁部11の内寸H1,L1,L2と緩衝部10eの内寸H2,L3,L4が、前記式(1)から(3)の関係を満たしている。これにより、緩衝部10eによって衝撃を緩和して側壁用真空断熱材31の破損をより確実に防止することができるだけでなく、側壁用真空断熱材31の設置面積を確保して断熱容器100の断熱性を向上させることができる。
【0068】
また、本実施形態の断熱容器100は、前述のように、容器本体10の外壁部11および内壁部12の素材が非発泡樹脂材料である。この場合、外壁部11および内壁部12に対して所望の剛性および機械的強度を付与することができる。また、外壁部11と内壁部12とを、たとえば熱溶着により接合して一体化することができる。また、容器本体10の外壁部11および内壁部12の素材を非発泡樹脂材料とすることで、断熱容器100の耐衝撃性および耐久性を向上させ、洗浄等を行って繰り返し使用することが可能になる。さらに、外壁部11と内壁部12との間の空間が発泡樹脂材40によって埋められているので、発泡樹脂材40の断熱性と弾性によって、容器本体10の断熱性と強度をより向上させることが可能になる。
【0069】
また、本実施形態の断熱容器100は、前述のように、蓋部20が、容器本体10の開口部10aを覆う下壁部21と、この下壁部21の上方側に接合された上壁部22と、この上壁部22と下壁部21の間で上壁部22に隣接して配置された蓋部用真空断熱材33とを有している。このように、蓋部用真空断熱材33を上壁部22に隣接して配置することで、蓋部用真空断熱材33を下壁部21に隣接して配置する場合と比較して、蓋部用真空断熱材33を蓋部20の外表面の面積に近いより広い面積に配置することができる。したがって、蓋部用真空断熱材33によって、蓋部20の上壁部22を介した断熱容器100の内部と外部との間の熱の移動をより効果的に抑制し、断熱容器100の断熱性をより向上させることができる。
【0070】
また、本実施形態の断熱容器100は、前述のように、蓋部20が上壁部22と下壁部21との間の空間を埋める発泡樹脂材50を備えている。この蓋部20の発泡樹脂材50によって、下壁部21と上壁部22との間の熱の移動を抑制し、断熱容器100の断熱性を向上させることができる。また、蓋部20の発泡樹脂材50によって蓋部用真空断熱材33を支持し、蓋部用真空断熱材33の破損を防止することができる。したがって、本実施形態の断熱容器100によれば、外部の衝撃から蓋部用真空断熱材33をより確実に保護することができ、かつ断熱容器100の断熱性を向上させることができる。
【0071】
また、本実施形態の断熱容器100は、前述のように、上壁部22および下壁部21の素材が非発泡樹脂材料である。これにより、上壁部22および下壁部21に対して、所望の剛性および機械的強度を付与することができる。また、上壁部22と下壁部21とを、たとえば熱溶着により接合して一体化することができる。
【0072】
以上説明したように、本実施形態の断熱容器100によれば、従来の断熱容器100よりも外部の衝撃から真空断熱材30をより確実に保護することができ、かつ断熱性を向上させることができる。
【0073】
以下、本実施形態の断熱容器100の製造方法について説明する。
【0074】
図3は、図1に示す断熱容器100の製造方法M1の一例を示すフロー図である。この製造方法M1は、たとえば、断熱材接合工程S11と、型内配置工程S12と、発泡樹脂充填工程S13と、容器接合工程S14と、を有することができる。
【0075】
図4Aは、図3に示す断熱材接合工程S11の説明図である。断熱材接合工程S11は、容器本体10を構成する接合前の外壁部11と内壁部12に、それぞれ真空断熱材30を接合する工程である。より具体的には、外壁部11の各側壁11cの内表面に、各側壁11cの周縁部を露出させた状態で、たとえば接着剤を介して側壁用真空断熱材31を接合する。また、内壁部12の底壁12bの下面に、たとえば接着剤を介して底壁用真空断熱材32を接合する。
【0076】
なお、内壁部12の底壁12bの下面に対向する底壁用真空断熱材32の面積は、内壁部12の底壁12bの下面の面積に等しくてもよい。また、外壁部11の底壁11bに、発泡樹脂を充填するための注入孔11dを形成することができる。この注入孔11dは、たとえば外壁部11の成形時にあらかじめ形成しておくことができる。
【0077】
図4Bは、図3に示す型内配置工程S12および発泡樹脂充填工程S13の説明図である。型内配置工程S12は、側壁用真空断熱材31が接合された外壁部11の内側に、底壁用真空断熱材32が接合された内壁部12を配置した状態で、外壁部11と内壁部12とを金型D内に配置する工程である。
【0078】
発泡樹脂充填工程S13は、たとえば、金型D内に配置された外壁部11と内壁部12との間に、外壁部11の底壁11bの注入孔11dを介して樹脂材料を充填して発泡させ、発泡樹脂材40を形成する工程である。この工程により、発泡樹脂材40を外壁部11と内壁部12に接合することができる。また、発泡樹脂材40の形成後に、外壁部11の注入孔11dに、たとえば栓を溶着することで、注入孔11dを閉塞することができる。
【0079】
図4Cは、図3に示す容器接合工程S14の説明図である。容器接合工程S14は、金型Dから取り出した外壁部11と内壁部12とを接合して、容器本体10を得る工程である。具体的には、たとえば熱溶着によって、内壁部12のフランジ部12aの周縁部と外壁部11の側壁11cの上端部とを全周にわたって接合し、外壁部11と内壁部12とを一体化する。以上により、図1に示す断熱容器100の容器本体10を得ることができる。なお、図1に示す蓋部20は、この製造方法M1と同様の工程によって、容器本体10と同様に製造することができる。
【0080】
図5は、図1に示す断熱容器100の製造方法の他の一例を示すフロー図である。この製造方法M2は、たとえば、発泡樹脂成形工程S21と、断熱材接合工程S22と、容器配置工程S23と、容器接合工程S24と、を有することができる。
【0081】
図6Aは、図5に示す発泡樹脂成形工程S21の説明図である。発泡樹脂成形工程S21は、容器本体10を構成する外壁部11と内壁部12との間の空間を埋める発泡樹脂材40を成形する工程である。より具体的には、図示を省略する成形金型を用いて、外壁部11と内壁部12との間の空間の形状に対応する形状の発泡樹脂材40を成形する。この工程において、発泡樹脂材40の側壁の外面に側壁用真空断熱材31を収容する凹部41を形成し、発泡樹脂材40の底壁の上面に底壁用真空断熱材32を収容する凹部42を形成することができる。
【0082】
図6Bは、図5に示す断熱材接合工程S22の説明図である。断熱材接合工程S22は、発泡樹脂材40に真空断熱材30を接合する工程である。真空断熱材30は、たとえば、成形後の発泡樹脂材40の凹部41,42に接着剤を介して接合することができる。また、前述の発泡樹脂成形工程S21において、成形金型内に真空断熱材30を配置して、発泡樹脂材40の成形とともに発泡樹脂材40と真空断熱材30とを接合してもよい。この場合、発泡樹脂成形工程S21と断熱材接合工程S22を同時に完了させることができる。
【0083】
図6Cは、図5に示す容器配置工程S23および容器接合工程S24の説明図である。容器配置工程S23は、外壁部11の内側に真空断熱材30が接合された発泡樹脂材40を配置するとともに、発泡樹脂材40の内側に内壁部12を配置する工程である。これにより、外壁部11と内壁部12との間の空間を埋めるように発泡樹脂材40を配置するとともに、側壁用真空断熱材31を外壁部11の側壁11cに隣接して配置し、底壁用真空断熱材32を内壁部12の底壁12bに隣接して配置することができる。
【0084】
容器接合工程S24は、外壁部11と内壁部12とを接合して、容器本体10を得る工程である。具体的には、たとえば熱溶着によって、内壁部12のフランジ部12aの周縁部と外壁部11の側壁11cの上端部とを全周にわたって接合し、外壁部11と内壁部12とを一体化する。以上により、図1に示す断熱容器100の容器本体10を得ることができる。なお、図1に示す蓋部20は、この製造方法M2と同様の工程によって、容器本体10と同様に製造することができる。
【0085】
以上、図面を用いて本発明の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があっても、それらは本発明に含まれるものである。
【0086】
以下、本発明の断熱容器の実施例とその比較対象としての比較例について説明する。
【0087】
[実施例]
図7は、本発明の実施例に係る断熱容器100Aの模式的な断面図である。実施例の断熱容器100Aとして、蓋部20が真空断熱材30を有しない以外は、図1に示す前述の実施形態の断熱容器100と同様の構成を有する断熱容器100Aを用意した。容器本体10の長手方向に沿って配置された側壁用真空断熱材31の寸法は、340mm×150mm×15mmであった。容器本体10の短手方向に沿って配置された側壁用真空断熱材31の寸法は、275mm×150mm×15mmであった。底壁用真空断熱材32の寸法は、340mm×150mm×15mmであった。
【0088】
各真空断熱材30は、熱伝導率が0.002W/(m・K)以上かつ0.006W/(m・K)以下のものを用いた。また、発泡樹脂材40は、熱伝導率が0.02W/(m・K)以上かつ0.08W/(m・K)以下のものを用いた。また、容器本体10の外壁部11および内壁部12ならびに蓋部20の上壁部22および下壁部21の素材として、ポリプロピレンを用い、これらの厚さを約1mmから約2.5mmの範囲とした。
【0089】
[比較例]
図8は、比較例に係る断熱容器100Zの模式的な断面図である。比較例の断熱容器100Zとして、側壁用真空断熱材31が内壁部12の側壁12cに隣接して配置され、底壁用真空断熱材32が外壁部11の底壁11bに隣接して配置されている以外は、図7に示す実施例の断熱容器100Aと同様の構成を有する断熱容器100Zを用意した。比較例1の断熱容器100Zの各側壁用真空断熱材31は、実施例1の断熱容器100Aの各側壁用真空断熱材31と比較して、容器本体10の内側に配置されている。そのため、比較例1の断熱容器100Zの各側壁用真空断熱材31の寸法は、実施例1の断熱容器100Aの各側壁用真空断熱材31と比較して、10%程度小さくなった。
【0090】
[断熱性試験]
実施例の断熱容器100Aの断熱性と、比較例の断熱容器100Zの断熱性を比較する断熱性試験を行った。具体的には、各断熱容器100A,100Zに、約25℃の水をそれぞれ2Lずつ収容したふたつの容器Cと、容器C内の水の温度を測定するための温度計を収容した。その後、各断熱容器100A,100Zを、気温が5℃の環境に10時間にわたって放置して、容器C内の水の温度を測定した。
【0091】
図9は、横軸を時間[h]、縦軸を水の温度[℃]として、実施例および比較例の断熱容器100A,100Zの断熱性試験の結果を示すグラフである。図9に示すように、比較例の断熱容器100Zは、10時間後の容器C内の水の温度が約6℃以上低下して19℃未満になった。これに対し、実施例の断熱容器100Aは、10時間後の容器C内の水の温度の低下を約5℃に抑制することができ、水の温度を約20℃に維持することができた。以上の結果から、実施例の断熱容器100Aは、比較例の断熱容器100Zよりも高い断熱性を有していることが明らかになった。
【符号の説明】
【0092】
10 容器本体
10a 開口部
10d 角部
10e 緩衝部
11 外壁部
11c 側壁
11e 内側の角
12 内壁部
12b 底壁
12d 外側の角
20 蓋部
21 下壁部
22 上壁部
30 真空断熱材
31 側壁用真空断熱材
32 底壁用真空断熱材
33 蓋部用真空断熱材
40 発泡樹脂材
50 発泡樹脂材
100 断熱容器
100A 断熱容器
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5
図6A
図6B
図6C
図7
図8
図9