特許第6770903号(P6770903)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6770903
(24)【登録日】2020年9月30日
(45)【発行日】2020年10月21日
(54)【発明の名称】距離算出装置及び距離算出方法
(51)【国際特許分類】
   G01C 3/06 20060101AFI20201012BHJP
【FI】
   G01C3/06 130
【請求項の数】9
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-7901(P2017-7901)
(22)【出願日】2017年1月19日
(65)【公開番号】特開2018-115996(P2018-115996A)
(43)【公開日】2018年7月26日
【審査請求日】2019年11月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】特許業務法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】塩田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】山本 修
(72)【発明者】
【氏名】遠部 俊光
【審査官】 櫻井 仁
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−105070(JP,A)
【文献】 特開2010−123012(JP,A)
【文献】 特開平11−105686(JP,A)
【文献】 特開2007−116377(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0243889(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 1/00−15/14
G01B 11/00−11/30
B60R 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の周辺を撮影するカメラで得られた撮影画像について特定の静止物を検出する検出部と、
前記検出部によって前記特定の静止物が検出された時点で前記車両の先端部から前記特定の静止物までの水平距離を前記撮影画像に基づいて測定する測定部と、
異なる位置で撮像された2つの前記撮影画像を用いて移動ステレオ方式により前記車両の所定方向における移動量を推定する推定部と、
前記車両の先端部から前記車両が備えるタイヤの所定位置までの水平距離を予め記憶する記憶部と、
前記測定部の測定結果、前記推定部の推定結果、及び前記記憶部の記憶内容を用いて、前記タイヤの前記所定位置から前記特定の静止物までの前記所定方向における距離を算出する算出部と、を備え、
前記所定方向は、前記検出部によって前記特定の静止物が検出された時点での前記車両の先端部から前記特定の静止物に向かう水平方向であることを特徴とする距離算出装置。
【請求項2】
前記推定部は、前記特定の静止物よりも前記車両から離れている前記撮影画像中の特徴点を用いて、移動ステレオ方式により前記車両の前記所定方向における移動量を推定することを特徴とする請求項1に記載の距離算出装置。
【請求項3】
前記推定部は、前記特定の静止物よりも、前記車両の先端部から前記タイヤの前記所定位置までの水平距離以上、前記車両から離れている前記撮影画像中の特徴点を用いて、移動ステレオ方式により前記車両の前記所定方向における移動量を推定することを特徴とする請求項2に記載の距離算出装置。
【請求項4】
前記算出部によって算出された前記タイヤの前記所定位置から前記特定の静止物までの距離を通知する通知信号を生成する通知信号生成部を備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の距離算出装置。
【請求項5】
前記通知信号は、前記タイヤ及び前記特定の静止物を含む画像を表示させる表示信号であることを特徴とする請求項4に記載の距離算出装置。
【請求項6】
前記検出部が前記特定の静止物を複数検出した場合、前記測定部は、前記検出部によって前記特定の静止物が検出された時点で前記車両の先端部から前記車両の先端部に最も近い前記特定の静止物までの水平距離を前記撮影画像に基づいて測定することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の距離算出装置。
【請求項7】
前記タイヤの予想進路線が前記特定の静止物に当たるか否かを判定する判定部と、
前記タイヤと前記特定の静止物とが接触しないおそれ又は前記タイヤと前記特定の静止物とが接触するおそれのいずれか一方を知らせる警告信号を前記判定部の判定結果に基づいて生成する警告信号生成部と、を備えることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の距離算出装置。
【請求項8】
前記車両の最低地上高の低下を前記撮影画像中の駐車枠の形状に基づいて検出する低下検出部と、
前記車両の底部と前記特定の静止物とが接触するおそれを知らせる接触警告信号を前記低下検出部の検出結果に基づいて生成する接触警告信号生成部と、を備えることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の距離算出装置。
【請求項9】
車両の周辺を撮影するカメラで得られた撮影画像について特定の静止物を検出する検出工程と、
前記検出工程によって前記特定の静止物が検出された時点で前記車両の先端部から前記特定の静止物までの水平距離を前記撮影画像に基づいて測定する測定工程と、
異なる位置で撮像された2つの前記撮影画像を用いて移動ステレオ方式により前記車両の所定方向における移動量を推定する推定工程と、
前記車両の先端部から前記車両が備えるタイヤの所定位置までの水平距離を読み出す読み出し工程と、
前記測定工程の測定結果、前記推定工程の推定結果、及び前記読み出し工程の読み出し内容を用いて、前記タイヤの前記所定位置から前記特定の静止物までの前記所定方向における距離を算出する算出工程と、を備え、
前記所定方向は、前記検出部によって前記特定の静止物が検出された時点での前記車両の先端部から前記特定の静止物に向かう水平方向であることを特徴とする距離算出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の静止物に関する距離を算出する距離算出技術に関する。
【背景技術】
【0002】
静止物を検出する手法として、1つのカメラで異なる位置で撮影された2つの撮影画像を用いて、画像中の静止物を検出する移動ステレオ方式が知られている(例えば特許文献1参照)。車両に搭載されたカメラを用いた移動ステレオ方式は、車両の移動に伴ってカメラが移動すると、路面上に展開された高さのある静止物の移動量(動きベクトルの大きさ)が路面の移動量よりも大きくなるという特徴を用いて静止物を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−180536号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
移動ステレオ方式は、1つのカメラで異なる位置で撮影された2つの撮影画像を用いて静止物を検出するため、カメラを搭載している車両の停止時には静止物を検出することができないという問題点を有している。
【0005】
また、移動ステレオ方式は、カメラを搭載している車両が移動しているときでも、高さの低い静止物は路面上に展開された静止物の移動量と路面の移動量との差分が小さいために検出が困難であるという問題点も有している。
【0006】
さらに、車両の最低地上高よりも高さの低い静止物(例えばタイヤ止め、縁石等)に車両が衝突する場合、静止物がカメラで撮影できない領域に入ってから車両のタイヤが静止物に衝突することになるので、衝突直前での静止物と車両のタイヤとの距離を撮影画像で認識することができない。このため、車両のドライバーが回避したい衝突が発生するおそれがあった。なお、車両のドライバーが回避したい衝突としては、例えば、車両のタイヤとタイヤ止めとの勢いのよい衝突、車両のタイヤと縁石との衝突等を挙げることができる。
【0007】
本発明は、上記の課題に鑑み、特定の静止物が撮影できない領域に入ってもタイヤから特定の静止物までの距離を算出することができる距離算出技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る距離算出装置は、車両の周辺を撮影するカメラで得られた撮影画像について特定の静止物を検出する検出部と、前記検出部によって前記特定の静止物が検出された時点で前記車両の先端部から前記特定の静止物までの水平距離を前記撮影画像に基づいて測定する測定部と、異なる位置で撮像された2つの前記撮影画像を用いて移動ステレオ方式により前記車両の所定方向における移動量を推定する推定部と、前記車両の先端部から前記車両が備えるタイヤの所定位置までの水平距離を予め記憶する記憶部と、前記測定部の測定結果、前記推定部の推定結果、及び前記記憶部の記憶内容を用いて、前記タイヤの前記所定位置から前記特定の静止物までの前記所定方向における距離を算出する算出部と、を備え、前記所定方向は、前記検出部によって前記特定の静止物が検出された時点での前記車両の先端部から前記特定の静止物に向かう水平方向である構成(第1の構成)である。
【0009】
また、上記第1の構成の距離算出装置において、前記推定部は、前記特定の静止物よりも前記車両から離れている前記撮影画像中の特徴点を用いて、移動ステレオ方式により前記車両の前記所定方向における移動量を推定する構成(第2の構成)であってもよい。
【0010】
また、上記第2の構成の距離算出装置において、前記推定部は、前記特定の静止物よりも、前記車両の先端部から前記タイヤの前記所定位置までの水平距離以上、前記車両から離れている前記撮影画像中の特徴点を用いて、移動ステレオ方式により前記車両の前記所定方向における移動量を推定する構成(第3の構成)であってもよい。
【0011】
また、上記第1〜第3いずれかの構成の距離算出装置において、前記算出部によって算出された前記タイヤの前記所定位置から前記特定の静止物までの距離を通知する通知信号を生成する通知信号生成部を備える構成(第4の構成)であってもよい。
【0012】
また、上記第4の構成の距離算出装置において、前記通知信号は、前記タイヤ及び前記特定の静止物を含む画像を表示させる表示信号である構成(第5の構成)であってもよい。
【0013】
また、上記第1〜第5いずれかの構成の距離算出装置において、前記検出部が前記特定の静止物を複数検出した場合、前記測定部は、前記検出部によって前記特定の静止物が検出された時点で前記車両の先端部から前記車両の先端部に最も近い前記特定の静止物までの水平距離を前記撮影画像に基づいて測定する構成(第6の構成)であってもよい。
【0014】
また、上記第1〜第6いずれかの構成の距離算出装置において、前記タイヤの予想進路線が前記特定の静止物に当たるか否かを判定する判定部と、前記タイヤと前記特定の静止物とが接触しないおそれ又は前記タイヤと前記特定の静止物とが接触するおそれのいずれか一方を知らせる警告信号を前記判定部の判定結果に基づいて生成する警告信号生成部と、を備える構成(第7の構成)であってもよい。
【0015】
また、上記第1〜第7いずれかの構成の距離算出装置において、前記車両の最低地上高の低下を前記撮影画像中の駐車枠の形状に基づいて検出する低下検出部と、前記車両の底部と前記特定の静止物とが接触するおそれを知らせる接触警告信号を前記低下検出部の検出結果に基づいて生成する接触警告信号生成部と、を備える構成(第8の構成)であってもよい。
【0016】
本発明に係る距離算出方法は、車両の周辺を撮影するカメラで得られた撮影画像について特定の静止物を検出する検出工程と、前記検出工程によって前記特定の静止物が検出された時点で前記車両の先端部から前記特定の静止物までの水平距離を前記撮影画像に基づいて測定する測定工程と、異なる位置で撮像された2つの前記撮影画像を用いて移動ステレオ方式により前記車両の所定方向における移動量を推定する推定工程と、前記車両の先端部から前記車両が備えるタイヤの所定位置までの水平距離を読み出す読み出し工程と、前記測定工程の測定結果、前記推定工程の推定結果、及び前記読み出し工程の読み出し内容を用いて、前記タイヤの前記所定位置から前記特定の静止物までの前記所定方向における距離を算出する算出工程と、を備え、前記所定方向は、前記検出部によって前記特定の静止物が検出された時点での前記車両の先端部から前記特定の静止物に向かう水平方向である構成(第9の構成)である。
【発明の効果】
【0017】
本発明の距離算出技術によれば、特定の静止物が撮影できない領域に入ってもタイヤから特定の静止物までの距離を算出することができる。この算出された距離は、例えば車両のドライバーが回避したい衝突の発生を防止するために役立てることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】第1実施形態に係る距離算出装置の構成を示す図
図2】移動物及び静止物の検出可否を示す図
図3】特定の静止物が検出された時点での車両と特定の静止物との位置関係を示す模式図
図4】後輪タイヤ及び特定の静止物を含むアニメーション画像を示す図
図5】第1実施形態に係る距離算出装置の動作例を示すフローチャート
図6】複数の特定の静止物が検出された時点での車両と特定の静止物との位置関係を示す模式図
図7】仮想視点画像の生成手法について説明するための図
図8】車両の車体を透過させた画像を示す図
図9】第2実施形態に係る距離算出装置の構成を示す図
図10】タイヤの進路予想線を含む画像を示す図
図11】第3実施形態に係る距離算出装置の構成を示す図
図12】駐車枠を含む画像を示す図
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の例示的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。以下の説明では、車両の直進進行方向であって、運転席からステアリングに向かう方向を「前方向」と呼ぶ。また、車両の直進進行方向であって、ステアリングから運転席に向かう方向を「後方向」と呼ぶ。また、車両の直進進行方向及び鉛直線に垂直な方向であって、前方向を向いている運転手の右側から左側に向かう方向を「左方向」と呼ぶ。また、車両の直進進行方向及び鉛直線に垂直な方向であって、前方向を向いている運転手の左側から右側に向かう方向を「右方向」と呼ぶ。
【0020】
<<1.第1実施形態>>
<1−1.画像処理装置及び距離算出装置の構成>
図1は、第1実施形態に係る距離算出装置の構成を示す図である。図1に示すバックカメラ100、画像処理装置200、及び表示装置300は車両に搭載される。画像処理装置200の一部が距離算出装置212(第1実施形態に係る距離算出装置)を構成している。
【0021】
バックカメラ100は、車両の後端部に設けられ、車両の後方向を撮影する。バックカメラ100の取付位置は、車両の左右中央であることが望ましいが、左右中央から左右方向に多少ずれた位置であってもよい。バックカメラ100は、撮影画像を画像処理装置200に出力する。
【0022】
表示装置300は、車両のドライバーが表示装置300の表示画面を視認できる位置に設けられ、画像処理装置200から出力される画像を表示する。
【0023】
画像処理装置200は、バックカメラ100から出力される撮影画像を処理し、処理後の画像を表示装置300に出力する。
【0024】
画像処理装置200は、ASIC(application specific integrated circuit)やFPGA(field-programmable gate array)等のハードウェア、或いは、ハードウェアとソフトウェアの組み合わせによって構成することができる。ソフトウェアを用いて画像処理装置200を構成する場合、ソフトウェアにて実現される部位についてのブロック図は、その部位の機能ブロック図を表すことになる。ソフトウェアを用いて実現される機能をプログラムとして記述し、当該プログラムをプログラム実行装置上で実行することによって、その機能を実現するようにしてもよい。プログラム実行装置としては、例えばCPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、及びROM(Read Only Memory)を備えるコンピュータを挙げることができる。
【0025】
画像処理装置200は、画像取得部201と、背景差分方式処理回路202と、移動ステレオ方式処理回路203と、パターンマッチング処理回路204と、特定パターン記憶用メモリ205と、画像出力部206と、を備える。
【0026】
画像取得部201は、バックカメラ100からアナログ又はデジタルの撮影画像を所定の周期(例えば、1/30秒周期)で時間的に連続して取得する。そして、取得した撮影画像がアナログの場合には、画像取得部201は、そのアナログの撮影画像をデジタルの撮影画像に変換(A/D変換)する。画像取得部201は、取得した撮影画像、或いは、取得及び変換した撮影画像を、背景差分方式処理回路202、移動ステレオ方式処理回路203、パターンマッチング処理回路204、及び画像出力部206に出力する。画像取得部201から出力される1つの撮影画像が1つのフレーム画像となる。
【0027】
背景差分方式処理回路202は、2つのフレーム画像間の差分を画素毎に算出し、差分が大きい領域を移動物として検出する。
【0028】
移動ステレオ方式処理回路203は、車両の移動に伴ってバックカメラ100が移動すると、路面上に展開された高さのある静止物の移動量(動きベクトルの大きさ)が路面の移動量よりも大きくなるという特徴を用いて静止物を検出する。
【0029】
パターンマッチング処理回路204は、特定の静止物に関する特定パターンを用いて、パターンマッチング処理によって特定の静止物を検出する。特定の静止物は、移動ステレオ方式処理回路203では検出が困難又は不可能な高さの低い静止物であって、例えばタイヤ止めや縁石等を挙げることができる。特定の静止物に関する特定パターンは、特定パターン記憶用メモリ205に予め記憶されている。例えばタイヤ止めをパターンマッチング処理回路204が検出できるようにする場合、タイヤ止めそれぞれに関する特定パターンを1つのみ特定パターン記憶用メモリ205に予め記憶させてもよいが、タイヤ止めには種々の形状のものが存在するので、代表的な複数種類の形状のタイヤ止めそれぞれに関する特定パターンを特定パターン記憶用メモリ205に予め記憶させることが望ましい。
【0030】
画像出力部206は、画像取得部201の出力、背景差分方式処理回路202の出力、移動ステレオ方式処理回路203の出力、パターンマッチング処理回路204の出力、及び後述する通知信号生成部211の出力の少なくとも1つに基づくフレーム画像を表示装置300に出力する。例えば、画像取得部201の出力、背景差分方式処理回路202の出力、移動ステレオ方式処理回路203の出力、及びパターンマッチング処理回路204の出力に基づくフレーム画像としては、画像取得部201から出力されたフレーム画像に、背景差分方式処理回路202によって検出された移動物を囲む検出枠、移動ステレオ方式処理回路203によって検出された静止物を囲む検出枠、及びパターンマッチング処理回路204によって検出された静止物を囲む検出枠を重畳した画像を挙げることができる。
【0031】
本実施形態のようにパターンマッチング処理回路204を設けることで、車両移動時及び車両停止時のいずれにおいても、高さの低い静止物の検出が可能となる(図2参照)。これに対して、パターンマッチング処理回路204を設けなければ、車両移動時及び車両停止時のいずれにおいても、高さの低い静止物の検出が困難又は不可能となる(図2参照)。なお、高さの高い静止物に関する特定パターンを特定パターン記憶用メモリ205に予め記憶させれば、車両停止時であっても高さの高い静止物をパターンマッチング処理回路204によって検出することが可能となる。
【0032】
画像処理装置200は、推定部207と、測定部208と、距離記憶用メモリ209と、算出部210と、通知信号生成部211と、をさらに備える。推定部207、測定部208、距離記憶用メモリ209、算出部210、及び通知信号生成部211は、上述した移動ステレオ方式処理回路203、パターンマッチング処理回路204、及び特定パターン記憶用メモリ205とともに、距離算出装置212を構成する。
【0033】
推定部207は、異なる位置で撮像された2つの撮像画像を用いて移動ステレオ方式により車両の所定方向における移動量を推定する。なお、所定方向は、図3に示すように、パターンマッチング処理回路204によって特定の静止物が検出された時点での車両の後端部E1から特定の静止物O1に向かう水平方向DIR1である。具体的には、推定部207は、移動ステレオ方式処理回路203によって検出される2つのフレーム画像内の路面上に位置する特徴点(例えば、路面に描かれた白線のエッジ、路面上のヒビ、路面上のシミ、路面上の砂利等)の移動量(動きベクトルの大きさ)を車両の移動量として、車両の所定方向における移動量を推定する。
【0034】
なお、推定部207が、特定の静止物よりも車両から離れている特徴点を用いて、車両の所定方向における移動量を推定することが望ましい。特定の静止物と車両と特徴点との位置関係にもよるが、特徴点が特定の静止物よりも車両から離れていると、特定の静止物がバックカメラ100で撮影できない領域に入っても特徴点はバックカメラ100で撮影できる領域に残っている可能性が高くなるからである。
【0035】
また、推定部207が、特定の静止物よりも、車両の後端部から後輪タイヤの所定位置までの水平距離以上、車両から離れている特徴点を用いて、車両の所定方向における移動量を推定することがより望ましい。特定の静止物と車両と特徴点との位置関係にもよるが、特徴点が特定の静止物よりも、車両の後端部から後輪タイヤの所定位置までの水平距離以上、車両から離れていると、特定の静止物と後輪タイヤの所定位置が接触した状態においても特徴点はバックカメラ100で撮影できる領域に残っている可能性が高くなるからである。
【0036】
上述したように、推定部207が特定の静止物よりも車両から離れている特徴点を用いる場合、特定の静止物よりも車両から離れている特徴点のみを用いて車両の所定方向における移動量を推定してもよく、特定の静止物より車両から離れていない特徴点も合わせて用いて車両の所定方向における移動量を推定してもよい。
【0037】
測定部208は、パターンマッチング処理回路204によって特定の静止物が検出された時点で車両の後端部から特定の静止物までの水平距離を、画像取得部201からパターンマッチング処理回路204に出力されたフレーム画像に基づいて測定する。具体的には、測定部208は、当該フレーム画像における特定の静止物の位置に基づいて、図3に示す車両の後端部E1から特定の静止物O1までの水平距離L1を測定する。
【0038】
距離記憶用メモリ209は、図3に示す車両の後端部E1から後輪タイヤの所定位置P1までの水平距離L2を予め記憶する。なお、図3に示す所定位置P1は、車両が特定の静止物O1に向かって後進した場合に特定の静止物O1に最初に接触することが想定される後輪タイヤの部分位置である。特定の静止物の高さは1つに定まらないので、例えば想定される全ての種類における平均高さを求めて、その平均高さに基づいて所定位置を定めてもよく、また例えば最も出現頻度が高いと考えられる特定の静止物の高さに基づいて所定位置を定めてもよい。
【0039】
算出部210は、推定部207の推定結果、測定部208の測定結果、及び距離記憶用メモリ209の記憶内容を用いて、後輪タイヤの所定位置から特定の静止物までの所定方向における距離を算出する。具体的には、算出部210によって算出される距離は、図3に示す水平距離L1と水平距離L2とを加算した距離から推定部207によって推定された移動量を引いた値となる。上記の算出手法によると、推定部207の推定結果、測定部208の測定結果、及び距離記憶用メモリ209の記憶内容を用いているため、特定の静止物がバックカメラ100で撮影できない領域に入っても後輪タイヤの所定位置から特定の静止物までの距離を算出することができる。また、上記の算出手法によると、車両の移動量を把握するために距離算出装置212が車速情報やステアリングの舵角情報等を取得する必要がなく、画像処理のみで後輪タイヤの所定位置から特定の静止物までの距離を算出することができる。
【0040】
通知信号生成部211は、算出部210によって算出された距離を通知する通知信号を生成する。これにより、車両のドライバーが後輪タイヤと特定の静止物との距離を把握できるようになる。これにより、後輪タイヤとタイヤ止め(特定の静止物の一例)との勢いのよい衝突や後輪タイヤと縁石(特定の静止物の一例)との衝突等を回避する運転が車両のドライバーにとって可能となる。なお、距離の通知は、定性的な通知でもよく、定量的な通知でもよく、両者を合わせた通知であってもよい。
【0041】
本実施形態では、通知信号生成部211によって生成される通知信号は、後輪タイヤ及び特定の静止物を含む画像を表示させる表示信号である。後輪タイヤ及び特定の静止物を含む画像(例えば図4に示すようなアニメーション画像)を表示装置300に表示させることで、車両のドライバーが後輪タイヤと特定の静止物との距離を直感的に把握できるようになる。これにより、後輪タイヤとタイヤ止め(特定の静止物の一例)との勢いのよい衝突や後輪タイヤと縁石(特定の静止物の一例)との衝突等を回避する運転が車両のドライバーにとって容易になる。
【0042】
なお、後輪タイヤ及び特定の静止物を含む画像の表示に代えて又は加えて、算出部210によって算出された距離の値を表示するようにしてもよく、また、表示に代えて又は加えて音声によって算出部210によって算出された距離に関する情報を通知してもよい。例えば、算出部210によって算出された距離に応じて音声のリズムや音量を変えることによって、算出部210によって算出された距離に関する情報を音声通知することができる。
【0043】
<1−2.距離算出装置の動作>
図5は、距離算出装置212の動作例を示すフローチャートである。距離算出装置212の動作開始イベントが発生すると、距離算出装置212は図5に示すフローチャートの動作を開始する。距離算出装置212の動作開始イベントとしては、例えば、車両のシフトレバーの位置がリバースレンジに切り替わったこと等を挙げることができる。
【0044】
まず、パターンマッチング処理回路204が特定の静止物の検出を試みる(ステップS1)。パターンマッチング処理回路204によって特定の静止物が検出された時点で測定部208が車両の後端部から特定の静止物までの水平距離を測定する(ステップS2)。
【0045】
なお、パターンマッチング処理回路204が特定の静止物を複数検出した場合、測定部208は、パターンマッチング処理回路204によって特定の静止物が検出された時点で車両の後端部から車両の後端部に最も近い特定の静止物までの水平距離を測定する。これにより、例えば図6に示す状態のように駐車枠F1に対して車両V1が斜めに進入している場合でも、車両V1の後輪タイヤが特定の静止物であるタイヤ止めに勢いよく衝突することを防止することができる。図6に示す状態においてパターンマッチング処理回路204が特定の静止物O1及びO1’を検出した場合、測定部208は、車両V1の後端部E1から車両V1の後端部E1に最も近い特定の静止物O1までの水平距離L1を測定する。車両V1の後端部E1から車両V1の後端部E1に最も近い特定の静止物O1までの水平距離L1は、例えば図6に示すように車両V1の後端部E1から特定の静止物O1の幅方向の略中央までの水平距離とすることができる。これ以外に、例えば車両V1の後端部E1から特定の静止物O1の幅方向の最も車両中央寄りの位置P2(図6参照)までの水平距離を水平距離L1としてもよく、また例えば車両V1の後端部E1から特定の静止物O1の幅方向の最も車両中央から離れた位置P3(図6参照)までの水平距離を水平距離L1としてもよい。
【0046】
次に、算出部210が車両の後端部から後輪タイヤの所定位置までの水平距離を距離記憶用メモリ209から読み出す(ステップS3)。
【0047】
次に、推定部207が車両の所定方向における移動量を推定する(ステップS4)。それから、算出部210が後輪タイヤの所定位置から特定の静止物までの所定方向における距離を算出する(ステップS5)。そして、距離算出装置212は、距離算出装置212の動作終了イベントが発生しているか否かを確認する(ステップS6)。距離算出装置212の動作終了イベントとしては、例えば、車両のシフトレバーの位置がリバースレンジから他のレンジに切り替わったこと等を挙げることができる。
【0048】
距離算出装置212の動作終了イベントが発生していなければ、ステップS4に戻る。これにより、推定部207によって推定される移動量及び算出部210によって算出される距離が車両の移動に伴って更新される。一方、距離算出装置212の動作終了イベントが発生していれば、距離算出装置212は図5に示すフローチャートの動作を終了する。
【0049】
なお、ステップS6を実施する代わりに、距離算出装置212の動作終了イベントが発生しているか否かを距離算出装置212がフローチャートの動作中常時監視し、距離算出装置212の動作終了イベントが発生すれば直ちにフローチャートの動作を終了するようにしてもよい。この場合、ステップS5の処理が終わるとステップS4に戻るようにすればよい。
【0050】
<1−3.変形例>
上述した実施形態とは異なり、算出部210によって算出された距離の通知を行わないようにし、算出部210によって算出された距離に基づく車両の自動介入制御(例えば自動ブレーキ等)を行って、後輪タイヤとタイヤ止め(特定の静止物の一例)との勢いのよい衝突や後輪タイヤと縁石(特定の静止物の一例)との衝突等を車両の自動介入制御によって回避してもよい。
【0051】
上述した実施形態では、距離算出装置212は、バックカメラ100から出力される撮影画像を用いて後輪タイヤの所定位置から特定の静止物までの所定方向における距離を算出したが、その算出に代えて又は加えて、車両の前端部に設けられるフロントカメラから出力される撮影画像を用いて前輪タイヤの所定位置から特定の静止物までの所定方向における距離を算出してもよい。
【0052】
また、俯瞰画像を生成する仮想視点画像生成部を画像処理装置200に追加して、通知信号生成部211が俯瞰画像に基づく通知信号を生成するようにしてもよい。
【0053】
ここで、俯瞰画像を含む仮想視点画像の生成手法について説明する。図7は、仮想視点画像の生成手法について説明するための図である。なお、以下の説明では4つのカメラから取得される4つの撮影画像に基づいて仮想視点画像を生成する手法について説明するが、カメラと撮影画像の数は4つに限られることはない。一例として、各カメラの水平方向の画角が比較的広い場合は、4つよりも少ない3つのカメラから取得される3つの撮影画像に基づき、仮想視点画像を生成してもよい。さらに、別の例として、各カメラの水平方向の画角が比較的狭い場合は、4つよりも多い5つのカメラから得られる5つの撮影画像に基づき、仮想視点画像を生成してもよい。
【0054】
上記の仮想視点画像生成部は、仮想的な三次元空間における仮想投影面1の第1領域R1に撮影画像PT1を投影して、撮影画像PT1を第1の投影画像に変換する。同様に、上記の仮想視点画像生成部は、仮想投影面1の第2〜第4領域R2〜R4それぞれに撮影画像PT2〜PT4を投影して、撮影画像PT2〜PT4それぞれを第2〜第4の投影画像に変換する。なお、撮影画像PT1は、フロントカメラの撮影画像であり、撮影画像PT4は、バックカメラの撮影画像である。また、撮影画像PT2は車両の左サイドミラーに設けられ車両の左サイドを撮影する左サイドカメラの撮影画像であり、撮影画像PT3は車両の右サイドミラーに設けられ車両の右サイドを撮影する右サイドカメラの撮影画像である。
【0055】
仮想投影面1は、例えば略半球状(お椀形状)をしている。仮想投影面1の中心部分(お椀の底部分)は、車両2が存在する位置として定められている。このように仮想投影面1が曲面を含むようにすることで、車両2から離れた位置に存在する物体の像の歪みを少なくすることができる。また、第1〜第4領域R1〜R4それぞれは、隣接する他の領域と重複する部分を有している。このような重複部分を設けることで、領域の境界部分に投影される物体の像が投影画像から消失することを防止することができる。
【0056】
上記の仮想視点画像生成部は、第1〜第4の投影画像を仮想投影面1の第1〜第4領域R1〜R4に仮想的に貼り付ける。
【0057】
また、上記の仮想視点画像生成部は、車両2の三次元形状を示すポリゴンのモデルを仮想的に構成する。この車両2のモデルは、仮想投影面1が設定される仮想的な三次元空間において、車両2が存在する位置として定められた位置(仮想投影面1の中心部分)に配置される。
【0058】
さらに、上記の仮想視点画像生成部は、仮想投影面1が設定される仮想的な三次元空間において、仮想視点VPを設定する。仮想視点VPは、視点位置及び視野方向によって規定される。仮想投影面1の少なくとも一部が視野に入る限り、仮想視点VPの視点位置及び視野方向は、任意の視点位置及び任意の視野方向に設定することができる。
【0059】
上記の仮想視点画像生成部は、設定した仮想視点VPに応じて、仮想投影面1における必要な領域(仮想視点VPからみえる領域)の画像を仮想的に切り出す。また、上記の仮想視点画像生成部は、設定した仮想視点VPに応じて、ポリゴンのモデルに関してレンダリングを行い、車両2のレンダリング像を生成する。そして、上記の仮想視点画像生成部は、切り出した画像に対して車両2のレンダリング像を重畳して仮想視点VPからみた仮想視点画像CPを生成する。
【0060】
例えば、視点位置が車両2の位置の略中央の直上で、視野方向が直下方向とした仮想視点VPaを設定した場合は、上記の仮想視点画像生成部は、車両2の略直上から車両2を見下ろすように車両2及び車両2の周辺の領域を示す仮想視点画像CPaを生成する。この仮想視点画像CPaが俯瞰画像である。また例えば、視点位置が車両2の位置の左後方で、視野方向が車両2における略前方向とした仮想視点VPbを設定した場合は、上記の仮想視点画像生成部は、車両2の左後方からその周辺全体を見渡すように車両2及び車両2の周辺の領域を示す仮想視点画像CPbを生成する。
【0061】
通知信号生成部211は、上述した車両2のレンダリング像の代わりに、図8に示す車両2の車体を透過させた画像を用いる。この場合も図4に示すようなアニメーション画像と同様に、車両のドライバーが車両2のタイヤと特定の静止物との距離を直感的に把握できるようになる。特定の静止物がカメラで撮影できない領域に入っていない場合は図8(a)に示すような車両2の車体内にタイヤT1〜T4を含む画像になり、特定の静止物がカメラで撮影できる領域に残っていない場合は図8(b)に示すような車両2の車体内にタイヤT1〜T4並びに特定の静止物O1及びO1’を含む画像になる。
【0062】
<<2.第2実施形態>>
図9は、第2実施形態に係る距離算出装置の構成を示す図である。画像処理装置200’の一部が距離算出装置212’(第2実施形態に係る距離算出装置)を構成している。画像処理装置200’及び距離算出装置212’は、判定部213及び警告信号生成部214を距離算出装置内に設けている点で、第1実施形態において説明した画像処理装置200及び距離算出装置212と異なっており、それ以外の点では画像処理装置200及び距離算出装置212と同一である。以下、第1実施形態との相違点について説明する。
【0063】
判定部213は、タイヤの予想進路線が特定の静止物に当たるか否かを判定する。タイヤの予想進路線は、移動ステレオ方式処理回路203によって検出される2つのフレーム画像内の路面上に位置する特徴点(例えば、路面に描かれた白線のエッジ、路面上のヒビ、路面上のシミ、路面上の砂利等)の移動方向(動きベクトルの方向)を車両の移動方向を求め、その移動方向に基づいて生成されることが望ましい。これにより、車両の移動方向を把握するために距離算出装置212’が車速情報やステアリングの舵角情報等を取得する必要がなく、画像処理のみでタイヤの予想進路線を生成することができる。なお、車速情報やステアリングの舵角情報等を取得してタイヤの予想進路線を生成する構成であってもよい。
【0064】
警告信号生成部214は、判定部213の判定結果に基づいて警告信号を生成する。例えば特定の静止物がタイヤ止めである場合には、警告信号生成部214は、タイヤと特定の静止物とが接触しないおそれがあるときにその旨を知らせる警告信号を生成する。例えば図10(a)及び図10(b)に示すようにタイヤの予想進路線LN1及びLN1’が特定の静止物O1及びO1’が接触しない場合に、タイヤと特定の静止物とが接触しないおそれがあると判断すればよい。また例えば特定の静止物が縁石である場合には、警告信号生成部214は、タイヤと特定の静止物とが接触するおそれがあるときにその旨を知らせる警告信号を生成する。
【0065】
警告信号生成部214が生成する警告信号によって、タイヤと特定の静止物(例えばタイヤ止め)とが接触しないことやタイヤと特定の静止物(例えば縁石)とが接触することを回避しやすくなる。なお、警告信号は、例えば画像によって警告する信号であってもよく、また例えば音声によって警告する信号であってもよい。
【0066】
上述した第1実施形態において説明した変形例は本実施形態についても適用可能である。
【0067】
<<3.第3実施形態>>
図11は、第3実施形態に係る距離算出装置の構成を示す図である。画像処理装置200”の一部が距離算出装置212”(第3実施形態に係る距離算出装置)を構成している。画像処理装置200”及び距離算出装置212”は、低下検出部215及び接触警告信号生成部216を距離算出装置内に設けている点で、第1実施形態において説明した画像処理装置200及び距離算出装置212と異なっており、それ以外の点では画像処理装置200及び距離算出装置212と同一である。以下、第1実施形態との相違点について説明する。
【0068】
低下検出部215は、車両の最低地上高の低下を前記撮影画像中の駐車枠の形状に基づいて検出する。車両の搭乗人数や積載荷物が多い場合、車両の最低地上高が低くなり、車両に搭載しているバックカメラ100の高さが低くなる。車両の最低地上高及びバックカメラ100の高さが高い場合、バックカメラ100によって撮影される駐車枠F1は撮影画像の水平方向において狭くなる(図12(a)参照)。すなわち、撮影画像の上部における駐車枠F1の長辺と短辺とが成す角度θが狭くなる。一方、車両の最低地上高及びバックカメラ100の高さが低い場合、バックカメラ100によって撮影される駐車枠F1は撮影画像の水平方向において広くなる(図12(b)参照)。すなわち、撮影画像の上部における駐車枠F1の長辺と短辺とが成す角度θが広くなる。したがって、低下検出部215は、例えば撮影画像の上部における駐車枠F1の長辺と短辺とが成す角度θが所定値より大きくなった場合に、車両の最低地上高の低下を検出するようにすればよい。
【0069】
接触警告信号生成部216は、低下検出部215の検出結果に基づいて接触警告信号を生成する。具体的には、接触警告信号生成部216は、車両の底部と特定の静止物とが接触するおそれがあるときにその旨を知らせる接触警告信号を生成する。
【0070】
接触警告信号生成部216が生成する接触警告信号によって、車両の底部と特定の静止物とが接触することを回避しやすくなる。なお、接触警告信号は、例えば画像によって警告する信号であってもよく、また例えば音声によって警告する信号であってもよい。
【0071】
上述した第1実施形態において説明した変形例は本実施形態についても適用可能である。また、本実施形態は上述した第2実施形態と組み合わせて実施することも可能である。
【0072】
<<4.留意事項>>
本明細書中に開示されている種々の技術的特徴は、上記実施形態のほか、その技術的創作の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。すなわち、上記実施形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきであり、本発明の技術的範囲は、上記実施形態の説明ではなく、特許請求の範囲によって示されるものであり、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。
【符号の説明】
【0073】
203 移動ステレオ方式処理回路
204 パターンマッチング処理回路
205 特定パターン記憶用メモリ
207 推定部
208 測定部
209 距離記憶用メモリ
210 算出部
211 通知信号生成部
212、212’、212” 距離算出装置
213 判定部
214 警告信号生成部
215 低下検出部
216 接触警告信号生成部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12