(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6770911
(24)【登録日】2020年9月30日
(45)【発行日】2020年10月21日
(54)【発明の名称】無人機輸送用飛しょう体及び無人航空機の輸送方法
(51)【国際特許分類】
B64D 5/00 20060101AFI20201012BHJP
B64C 39/02 20060101ALI20201012BHJP
B64D 1/02 20060101ALI20201012BHJP
B64D 17/80 20060101ALI20201012BHJP
【FI】
B64D5/00
B64C39/02
B64D1/02
B64D17/80
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-31696(P2017-31696)
(22)【出願日】2017年2月23日
(65)【公開番号】特開2018-135025(P2018-135025A)
(43)【公開日】2018年8月30日
【審査請求日】2019年11月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 豊
(72)【発明者】
【氏名】阪口 晃敏
(72)【発明者】
【氏名】友永 行信
【審査官】
長谷井 雅昭
(56)【参考文献】
【文献】
特開平09−315393(JP,A)
【文献】
特開2013−040744(JP,A)
【文献】
中国特許出願公開第105431352(CN,A)
【文献】
特開昭60−015514(JP,A)
【文献】
米国特許第06322021(US,B1)
【文献】
特開2011−235793(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64D 5/00
B64C 39/02
B64D 1/02
B64D 17/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無人航空機を輸送する無人機輸送用飛しょう体であって、
前記無人航空機を収容するとともに、当該無人航空機が挿通可能な開口部を有する収容部材と、
当該無人機輸送用飛しょう体が飛行しているときに前記収容部材を減速させる減速手段と、
前記減速手段により前記収容部材が減速された後に、前記開口部を鉛直方向下方向きに開口させて、前記無人航空機を当該開口部から前記収容部材外に落下させる開口制御手段と、
を備え、
前記減速手段は、前記収容部材のうち前記開口部の周縁に連結された第一連結部と、前記収容部材のうち前記開口部とは反対側の端部に連結された第二連結部とを有し、
前記開口制御手段は、前記減速手段により前記収容部材が減速された後に前記第一連結部の連結を解除して、前記第二連結部により前記端部が前記減速手段に吊支されて前記開口部が鉛直方向下方向きに開口した状態に前記収容部材の姿勢を変化させることを特徴とする無人機輸送用飛しょう体。
【請求項2】
前記減速手段は、前記収容部材内に収容されるとともに、当該無人機輸送用飛しょう体が飛行しているときに前記開口部から前記収容部材外に放出されて当該収容部材を減速させ、
前記開口制御手段は、前記減速手段により前記収容部材が減速された後に、前記開口部が鉛直方向下方向きに開口するように前記収容部材の姿勢を変化させることを特徴とする請求項1に記載の無人機輸送用飛しょう体。
【請求項3】
前記減速手段は、
傘体を広げて前記収容部材を減速させるドラッグシュートであり、
前記収容部材を減速させた後に、前記開口部を鉛直方向上方に向けた状態で前記第一連結部により当該収容部材を吊支しつつ降下させ、
前記開口制御手段は、
前記減速手段により前記収容部材が降下しているときに、前記第一連結部の連結を解除して、前記第二連結部により前記端部が前記減速手段に吊支された状態に前記収容部材の姿勢を変化させる連結解除手段を有することを特徴とする請求項2に記載の無人機輸送用飛しょう体。
【請求項4】
前記開口制御手段は、前記無人航空機を当該開口部から前記収容部材外に自由落下させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の無人機輸送用飛しょう体。
【請求項5】
前記開口部を閉塞しつつ、前記収容部材に分離可能に結合された蓋部材と、
前記蓋部材を前記収容部材から分離させて前記開口部を開口させる分離手段と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の無人機輸送用飛しょう体。
【請求項6】
前記開口部が前記収容部材の飛行方向とは反対向きに開口していることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の無人機輸送用飛しょう体。
【請求項7】
無人機輸送用飛しょう体に無人航空機を輸送させる無人航空機の輸送方法であって、
前記無人機輸送用飛しょう体は、
前記無人航空機を収容するとともに、当該無人航空機が挿通可能な開口部を有する収容部材と、
当該無人機輸送用飛しょう体が飛行しているときに前記収容部材を減速させる減速手段と、
前記開口部の位置又はその開閉を制御する開口制御手段と、
を備え、
前記減速手段は、前記収容部材のうち前記開口部の周縁に連結された第一連結部と、前記収容部材のうち前記開口部とは反対側の端部に連結された第二連結部とを有し、
前記減速手段が前記収容部材を減速させた後に、前記開口制御手段が、前記第一連結部の連結を解除して、前記第二連結部により前記端部が前記減速手段に吊支されて前記開口部が鉛直方向下方向きに開口した状態に前記収容部材の姿勢を変化させ、前記無人航空機を当該開口部から前記収容部材外に落下させることを特徴とする無人航空機の輸送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無人航空機を輸送する技術に関し、特に、無人航空機を目標空域まで高速で輸送して好適に飛行開始させるのに有用な技術である。
【背景技術】
【0002】
一般に、一定時間の滞空が可能な無人航空機は、軽量化等のために高動圧環境に耐え得る構造強度を有していない。そのため、この種の無人航空機は飛行速度が比較的に遅く、目標空域までの進出に時間を要してしまう。
他方、高速飛行が可能な無人航空機は、短時間で目標空域に到達可能ではあるが、高重量等のために目標空域での滞空時間が短くなってしまう。
つまり、無人航空機自体の飛行性能では、目標空域への短時間での進出と目標空域での一定時間の滞空とを両立させることが難しい。
【0003】
この問題に対しては、人工衛星などのペイロードをロケット打ち上げ時にフェアリングで保護する構造(例えば、特許文献1参照)を応用することが考えられる。
すなわち、一定時間滞空可能な無人航空機をフェアリングで保護した状態で高速輸送し、目標空域に到達した時点でフェアリングを分割・分離させて無人航空機を露出させたうえで、当該無人航空機を輸送体から離脱させればよい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−235793号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このフェアリング構造を適用した場合、ロケットでの運用と異なりフェアリングの分割・分離が大気圏内で行われるため、分離させたフェアリングが無人航空機と衝突するおそれがある。また、フェアリングの分割機構を必要とするため構造が煩雑になるといったデメリットもある。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、簡便な構成で好適に無人航空機を輸送して飛行開始させることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、無人航空機を輸送する無人機輸送用飛しょう体であって、
前記無人航空機を収容するとともに、当該無人航空機が挿通可能な開口部を有する収容部材と、
当該無人機輸送用飛しょう体が飛行しているときに前記収容部材を減速させる減速手段と、
前記減速手段により前記収容部材が減速された後に、前記開口部を鉛直方向下方向きに開口させて、前記無人航空機を当該開口部から前記収容部材外に落下させる開口制御手段と、
を備え
、
前記減速手段は、前記収容部材のうち前記開口部の周縁に連結された第一連結部と、前記収容部材のうち前記開口部とは反対側の端部に連結された第二連結部とを有し、
前記開口制御手段は、前記減速手段により前記収容部材が減速された後に前記第一連結部の連結を解除して、前記第二連結部により前記端部が前記減速手段に吊支されて前記開口部が鉛直方向下方向きに開口した状態に前記収容部材の姿勢を変化させることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の無人機輸送用飛しょう体において、
前記減速手段は、前記収容部材内に収容されるとともに、当該無人機輸送用飛しょう体が飛行しているときに前記開口部から前記収容部材外に放出されて当該収容部材を減速させ、
前記開口制御手段は、前記減速手段により前記収容部材が減速された後に、前記開口部が鉛直方向下方向きに開口するように前記収容部材の姿勢を変化させることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の無人機輸送用飛しょう体において、
前記減速手段は、
傘体を広げて前記収容部材を減速させるドラッグシュートであ
り、
前記収容部材を減速させた後に、前記開口部を鉛直方向上方に向けた状態で前記第一連結部により当該収容部材を吊支しつつ降下させ、
前記開口制御手段は、
前記減速手段により前記収容部材が降下しているときに、前記第一連結部の連結を解除して、前記第二連結部により前記端部が前記減速手段に吊支された状態に前記収容部材の姿勢を変化させる連結解除手段を有することを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の無人機輸送用飛しょう体において、
前記開口制御手段は、前記無人航空機を当該開口部から前記収容部材外に自由落下させることを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の無人機輸送用飛しょう体において、
前記開口部を閉塞しつつ、前記収容部材に分離可能に結合された蓋部材と、
前記蓋部材を前記収容部材から分離させて前記開口部を開口させる分離手段と、
をさらに備えることを特徴とする。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載の無人機輸送用飛しょう体において、
前記開口部が前記収容部材の飛行方向とは反対向きに開口していることを特徴とする。
【0013】
請求項7に記載の発明は、請求項1に記載の無人機輸送用飛しょう体と同様の特徴を具備する無人航空機の輸送方法である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、収容部材内に無人航空機を収容した当該無人機輸送用飛しょう体が飛行しているときに、減速手段により当該収容部材が減速される。そして、収容部材が減速された後に、収容部材の開口部が鉛直方向下方向きに開口して、無人航空機が当該開口部から収容部材外に落下する。
これにより、無人航空機を収容部材内に保護した状態で安全に輸送したうえで、この収容部材を分割させることなく、下方向きの開口部から落下させて無人航空機を収容部材から離脱させることができる。
したがって、フェアリング構造を適用した場合と異なり、簡便な構成で好適に無人航空機を輸送して飛行開始させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】実施形態における無人機輸送用飛しょう体を示す図であって、(a)がドラッグシュートをキャニスタ内に収容した状態を示す図であり、(b)がドラッグシュートを放出した状態を示す図である。
【
図2】実施形態における無人機輸送用飛しょう体の概略の制御構成を示すブロック図である。
【
図3】実施形態における無人機輸送用飛しょう体の動作を説明するための図である。
【
図4】実施形態における無人機輸送用飛しょう体の動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0017】
[無人機輸送用飛しょう体の構成]
まず、本実施形態における無人機輸送用飛しょう体(以下、単に「輸送用飛しょう体」という。)1の構成について説明する。
図1は、輸送用飛しょう体1を示す図であって、(a)が後述のドラッグシュート4をキャニスタ2内に収容した状態を示す図であり、(b)がドラッグシュート4を放出した状態を示す図である。なお、
図1では、キャニスタ2を断面で図示している。
【0018】
図1(a)に示すように、輸送用飛しょう体1は、無人機UAVを高速輸送するためのものである。無人機UAVは、自律飛行可能な無人航空機であり、特に限定はされないが、低速での一定時間の滞空飛行が可能な機体である。
具体的に、輸送用飛しょう体1は、キャニスタ2と、蓋部材3と、ドラッグシュート(パラシュート)4とを備えている。
【0019】
キャニスタ2は、略円錐状に形成された収容部材であり、その内部が無人機UAVを収容する収容室2aとなっている。収容室2a内には、無人機UAVが翼を折り畳んで機体後方をキャニスタ2の先端側に向けた状態で収容されている。このキャニスタ2は、先端側を飛行方向前側として、その飛行方向に対応した翼を有するとともに、高速での飛行に耐える十分な強度を有している。
また、キャニスタ2の底部(後端部)には、主に無人機UAVを収容室2aに収容及び取出すための後方向きの開口部21が、当該底部の略全面に亘って形成されている。ただし、この開口部21は、少なくとも無人機UAVが挿通可能な大きさであればよい。
なお、以下の説明では、輸送用飛しょう体1(キャニスタ2)の向きについて、その飛行方向と対応させて、キャニスタ2の先端側を「前(前側)」、底部側を「後(後側)」と記載する。
【0020】
蓋部材3は、キャニスタ2後端部の開口部21を閉塞するとともに、飛行時におけるキャニスタ2後流の空気の流れを整流するためのものである。この蓋部材3は、後述の分離機構11を介すことにより、キャニスタ2から分離可能なようにキャニスタ2に結合されている。
【0021】
ドラッグシュート4は、飛行する輸送用飛しょう体1(キャニスタ2)を減速させるための減速手段である。このドラッグシュート4は、未使用時には折り畳まれた状態で収容室2a内の後部に収容されており、
図1(b)に示すように、使用時には後述の放出機構12により開口部21からキャニスタ2外に放出され、キャノピー(傘体)41を広げてキャニスタ2を減速させる。
【0022】
また、ドラッグシュート4は、キャニスタ2の互いに異なる部分と連結された第一ライザー42及び第二ライザー43を有している。
このうち、第一ライザー42は、キャニスタ2の後端部(開口部21の周縁)に連結されている。この第一ライザー42は、後述の連結解除機構13により、キャニスタ2の後端部との連結が解除されるようになっている。
一方、第二ライザー43は、キャニスタ2の外側を周って当該キャニスタ2の先端部(前端部)に連結されている。この第二ライザー43は、ドラッグシュート4未使用時には、キャニスタ2の外面に沿わせた状態で開口部21から収容室2a内に引き込まれている。また、第二ライザー43は第一ライザー42よりも長尺に設けられており、ドラッグシュート4による減速荷重がキャニスタ2の前端部には作用せずに後端部のみに作用するようになっている。
【0023】
続いて、輸送用飛しょう体1の制御構成について説明する。
図2は、輸送用飛しょう体1の概略の制御構成を示すブロック図である。
【0024】
この図に示すように、輸送用飛しょう体1は、分離機構11と、放出機構12と、連結解除機構13と、制御部15とを備えている。
【0025】
分離機構11は、蓋部材3をキャニスタ2から分離する機構である。
放出機構12は、ドラッグシュート4をキャニスタ2の収容室2a内から開口部21を通じて放出する機構である。
連結解除機構13は、第一ライザー42を切断するなどして、ドラッグシュート4とキャニスタ2の後端部との連結を解除する機構である。
なお、これらの各種機構には、従来より公知の技術を適用することができる。例えば、分離機構11及び連結解除機構13には、火薬や爆発ボルト、セパレーションナットなどが適用できる。また、放出機構12には、キャニスタ2から分離された蓋部材3にドラッグシュート4を引き出させる構造や、ガス噴射構造などが適用できる。
【0026】
制御部15は、上記各種機構の動作を制御する。具体的に、制御部15は、例えばタイマーを備えるシーケンサなどであり、後述するように、上記各種機構を所定の順序で個別に動作させる。
なお、制御部15に代えて、収容室2a内の無人機UAVの飛行制御部(図示省略)に上記各種機構の動作を制御させてもよい。また、上記各種機構として機械的に動作タイミングを制御できるものを適用した場合には、当該機構は制御部15に動作制御させなくともよい。
【0027】
[無人機輸送用飛しょう体の動作]
続いて、無人機UAVを高速輸送する際の輸送用飛しょう体1の動作について説明する。
図3及び
図4は、この輸送用飛しょう体1の動作を説明するための図である。
【0028】
図3(a)に示すように、まず輸送用飛しょう体1は、例えば高速で飛行する航空機APによって所定の飛行軌道に投入されることにより、高速での飛行(飛しょう)を開始する。
【0029】
そして、輸送用飛しょう体1が所定の減速ポイントに到達するなどした後に、制御部15は、
図3(b)に示すように、分離機構11を動作させて蓋部材3をキャニスタ2から分離させる。これにより、キャニスタ2後端部の開口部21が後方向きに開口する。
【0030】
開口部21を開口させた後、制御部15は、
図3(c)に示すように、放出機構12を動作させてドラッグシュート4を開口部21からキャニスタ2後方へ放出させる。
すると、
図3(d)に示すように、ドラッグシュート4はキャノピー41を広げて輸送用飛しょう体1(キャニスタ2)を減速させていく。そして、キャニスタ2が十分に減速されると、
図4(a)に示すように、キャニスタ2は後端の開口部21を上方(鉛直方向上方)に向けた状態で、ドラッグシュート4の第一ライザー42により吊支されつつ降下していく。
なお、本実施形態において「ドラッグシュート4による輸送用飛しょう体1(キャニスタ2)の減速」とは、航空機APによる投入後の飛行方向に対する速度低減を指し、その後の降下時におけるものを含まないこととする。
【0031】
その後、制御部15は、
図4(b)に示すように、連結解除機構13を動作させてドラッグシュート4の第一ライザー42とキャニスタ2の後端部との連結を解除する。
すると、キャニスタ2は、後端部の支持を失って、第二ライザー43により前端部がドラッグシュート4に吊支された状態に、姿勢が変化する。つまり、キャニスタ2は、上下反転するように姿勢が変化して、開口部21を下方(鉛直方向下方)向きに開口させた状態となる。
【0032】
その結果、
図4(c)に示すように、キャニスタ2が第二ライザー43によってドラッグシュート4に吊支される一方で、無人機UAVは支持を失って開口部21からキャニスタ2外に自由落下する。
これにより、無人機UAVは、独立して飛行可能な状態となり、折り畳んでいた翼を展開させて自律飛行を開始する。
【0033】
[効果]
以上のように、本実施形態によれば、キャニスタ2内に無人機UAVを収容した輸送用飛しょう体1が飛行しているときに、ドラッグシュート4により当該キャニスタ2が減速される。そして、キャニスタ2が減速された後に、キャニスタ2の開口部21が下方向きに開口して、無人機UAVが当該開口部21からキャニスタ2外に落下する。
これにより、無人機UAVをキャニスタ2内に保護した状態で安全に輸送したうえで、このキャニスタ2を分割させることなく、下方向きの開口部21から落下させて無人機UAVをキャニスタ2から離脱させることができる。
したがって、フェアリング構造を適用した場合と異なり、簡便な構成で好適に無人機UAVを輸送して飛行開始させることができる。ひいては、一定時間滞空可能な無人機UAVを、高速で目標空域まで輸送することができる。
【0034】
また、ドラッグシュート4によりキャニスタ2が減速された後に、当該ドラッグシュート4を放出させた開口部21が下方向きに開口するように、キャニスタ2の姿勢が変化される。
したがって、キャニスタ2の姿勢を変化させることで、開口部21をドラッグシュート4放出用と無人機UAV落下用とに兼用させることができる。
【0035】
また、ドラッグシュート4は、キャニスタ2のうち開口部21の周縁に連結された第一ライザー42と、開口部21とは反対側の前端部に連結された第二ライザー43とを有している。このドラッグシュート4は、キャニスタ2を減速させた後に、開口部21を上方に向けた状態で第一ライザー42により当該キャニスタ2を吊支しつつ降下させる。そして、この降下時に、連結解除機構13により第一ライザー42の連結が解除されて、第二ライザー43により前端部がドラッグシュート4に吊支された状態にキャニスタ2の姿勢が変化する。
したがって、ドラッグシュート4とキャニスタ2との連結部とその連結解除手段を利用することで、キャニスタ2の姿勢を好適に変化させて、無人機UAVをキャニスタ2から離脱させることができる。
【0036】
また、無人機UAVが自由落下によりキャニスタ2から離脱するため、例えば無人機UAVを押し出して離脱させる場合等と異なり、この離脱に伴う荷重を無人機UAVに作用させることがない。
したがって、離脱時の破損等を防いで無人機UAVを安全に輸送することができる。
【0037】
[変形例]
なお、本発明を適用可能な実施形態は、上述した実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0038】
例えば、上記実施形態では、キャニスタ2を姿勢変化させることにより、開口部21を鉛直方向下方に向けて無人機UAVを落下させることとした。しかし、当該開口部21は、キャニスタ2が減速された後に、鉛直方向下方向きに開口して無人機UAVをキャニスタ2外に落下させるものであれば、その構成は特に限定されない。したがって、例えば開閉可能な開口部を無人機UAVの下方に設け、キャニスタ2の減速後に当該開口部を開口させるように開閉制御してもよい。また、当該開口部は、ドラッグシュート4放出用と無人機UAV落下用とで別のものであってよいし、キャニスタ2のうち後端部以外の部分に設けられていてもよい。
【0039】
また、無人機UAVは、開口部21からキャニスタ2外に落下して離脱すれば、その落ち方は自由落下でなくともよく、例えば無人機UAVを収容室2a内から押し出す機構などをキャニスタ2に設けてもよい。
【0040】
また、本発明に係る減速手段は、収容部材(キャニスタ2)を減速可能なものであればよく、ドラッグシュート(パラシュート)に限定されない。
【符号の説明】
【0041】
1 無人機輸送用飛しょう体
2 キャニスタ(収容部材)
21 開口部
3 蓋部材
4 ドラッグシュート(減速手段)
42 第一ライザー(第一連結部)
43 第二ライザー(第二連結部)
11 分離機構(分離手段)
12 放出機構
13 連結解除機構(連結解除手段)
15 制御部
UAV 無人機