特許第6771005号(P6771005)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6771005
(24)【登録日】2020年9月30日
(45)【発行日】2020年10月21日
(54)【発明の名称】ハニカム構造体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 37/04 20060101AFI20201012BHJP
   B01J 35/04 20060101ALI20201012BHJP
   F01N 3/28 20060101ALI20201012BHJP
   B01D 53/94 20060101ALI20201012BHJP
   B01D 39/20 20060101ALI20201012BHJP
【FI】
   B01J37/04 102
   B01J35/04 301N
   F01N3/28 301P
   B01D53/94 222
   B01D53/94 245
   B01D53/94 280
   B01D39/20 D
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-170620(P2018-170620)
(22)【出願日】2018年9月12日
(65)【公開番号】特開2020-40035(P2020-40035A)
(43)【公開日】2020年3月19日
【審査請求日】2019年9月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】特許業務法人 安富国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】後藤 真之助
(72)【発明者】
【氏名】垣花 大
(72)【発明者】
【氏名】吉田 健
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 宏昌
(72)【発明者】
【氏名】東條 巧
【審査官】 山口 俊樹
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2018/012565(WO,A1)
【文献】 特開平05−345134(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/025283(WO,A1)
【文献】 特表2010−528828(JP,A)
【文献】 特開2009−255047(JP,A)
【文献】 特開平04−145946(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J21/00−38/74
B01D53/73,86−90,94−96
B01D39/00−41/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の貫通孔が隔壁を隔てて長手方向に並設されたハニカム焼成体からなるハニカム構造体の製造方法であって、
セリア−ジルコニア複合酸化物粒子、アルミナ粒子、無機バインダ及び無機繊維を含む原料ペーストを作製する原料混合工程と、
前記原料ペーストを成形することにより、複数の貫通孔が隔壁を隔てて長手方向に並設されたハニカム成形体を作製する成形工程と、
前記成形工程により成形されたハニカム成形体を乾燥する乾燥工程と、
前記乾燥工程により乾燥されたハニカム成形体を焼成することにより、ハニカム焼成体を作製する焼成工程と、を含み、
前記原料混合工程では、前記無機バインダと前記無機繊維を予混合することを特徴とするハニカム構造体の製造方法。
【請求項2】
前記無機バインダはベーマイトである請求項1に記載のハニカム構造体の製造方法。
【請求項3】
前記無機繊維はアルミナ繊維である請求項1又は2に記載のハニカム構造体の製造方法。
【請求項4】
前記原料混合工程における、前記アルミナ粒子に対する前記セリア−ジルコニア複合酸化物粒子の重量比(セリア−ジルコニア複合酸化物粒子/アルミナ粒子)は、1.0〜3.0である請求項1〜3のいずれかに記載のハニカム構造体の製造方法。
【請求項5】
前記ハニカム焼成体に貴金属を担持させる担持工程をさらに含む請求項1〜4のいずれかに記載のハニカム構造体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハニカム構造体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の内燃機関から排出される排ガスには、一酸化炭素(CO)、窒素酸化物(NOx)、炭化水素(HC)等の有害ガス及び粒子状物質(PM)が含まれている。そのような有害ガスを分解する排ガス浄化触媒は三元触媒とも称され、コージェライト等からなるハニカム状のモノリス基材に触媒活性を有する貴金属粒子を含むスラリーをウォッシュコートして触媒層を設けたものが一般的である。
【0003】
一方、特許文献1には、セリア−ジルコニア複合酸化物粒子(以下、CZ粒子ともいう)、アルミナ粒子、無機ファイバ(無機繊維)及び無機バインダを含む原料ペーストを押出成形して得られる押出成形体を乾燥、焼成することによりハニカム構造体を製造する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2018/012565号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、ハニカム構造体の機械的強度が充分ではないという問題があった。
【0006】
発明者が上記問題について鋭意検討した結果、ハニカム構造体を三点曲げにて破損させた場合に破断面において、無機繊維が引き抜かれた跡があることから、補強材として添加されている無機繊維と他の材料との結合強度が低いことが原因であることが推察された。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされた発明であり、本発明の目的は、機械的強度に優れたハニカム構造体の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のハニカム構造体の製造方法は、複数の貫通孔が隔壁を隔てて長手方向に並設されたハニカム焼成体からなるハニカム構造体の製造方法であって、セリア−ジルコニア複合酸化物粒子、アルミナ粒子、無機バインダ及び無機繊維を含む原料ペーストを作製する原料混合工程と、上記原料ペーストを成形することにより、複数の貫通孔が隔壁を隔てて長手方向に並設されたハニカム成形体を作製する成形工程と、上記成形工程により成形されたハニカム成形体を乾燥する乾燥工程と、上記乾燥工程により乾燥されたハニカム成形体を焼成することにより、ハニカム焼成体を作製する焼成工程と、を含み、上記原料混合工程では、上記無機バインダと上記無機繊維を予混合することを特徴とする。
【0009】
無機バインダ及び無機繊維を他の材料と一度に混合してしまうと、比表面積の大きいCZ粒子やアルミナ粒子の表面に無機バインダが優先的に付着してしまい、無機繊維の表面に無機バインダが付着しにくくなる。そのため、無機繊維と無機バインダとの結合が充分ではなく、無機繊維の結合強度が低下すると考えられる。
これに対して、本発明のハニカム構造体の製造方法では、原料混合工程において、無機バインダと無機繊維とを予混合する。
無機バインダと無機繊維とを予混合することによって、無機繊維の表面に存在する無機バインダの量を増加させることができるため、無機繊維と他の材料との結合強度を増加させることができると考えられる。
なお、無機繊維とは、アスペクト比が5以上のものをいう。
【0010】
本発明のハニカム構造体の製造方法においては、上記無機バインダはベーマイトであることが望ましい。
ベーマイトは、AlOOHの組成で示されるアルミナ1水和物であり、水等の媒体に良好に分散するので、本発明のハニカム構造体の製造方法では、ベーマイトを無機バインダとして用いることが望ましい。
【0011】
本発明のハニカム構造体の製造方法においては、上記無機繊維はアルミナ繊維であることが望ましい。
無機繊維がアルミナ繊維であると、ハニカム構造体の耐熱性が向上する。
【0012】
本発明のハニカム構造体の製造方法においては、上記原料混合工程における、上記アルミナ粒子に対する上記セリア−ジルコニア複合酸化物粒子の重量比(セリア−ジルコニア複合酸化物粒子/アルミナ粒子)は、1.0〜3.0であることが望ましい。
上記重量比(セリア−ジルコニア複合酸化物粒子/アルミナ粒子)が1.0〜3.0であると、セリア−ジルコニア複合酸化物粒子の含有率が高く、このセリア−ジルコニア複合酸化物粒子は、助触媒として使用されるものであるので、排ガスの浄化性能が向上する。
【0013】
本発明のハニカム構造体の製造方法は、上記ハニカム焼成体に貴金属を担持させる担持工程をさらに含むことが望ましい。
ハニカム焼成体に貴金属を担持させることにより、排ガス浄化用途に使用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本発明のハニカム構造体の製造方法により得られるハニカム構造体の一例を模式的に示す斜視図である。
図2図2は、実施例1に係るハニカム構造体の破壊断面のSEM画像である。
図3図3は、比較例1に係るハニカム構造体の破壊断面のSEM画像である。
【0015】
(発明の詳細な説明)
[ハニカム構造体]
まず、本発明のハニカム構造体の製造方法により得られるハニカム構造体について説明する。
【0016】
図1は、本発明のハニカム構造体の製造方法により得られるハニカム構造体の一例を模式的に示す斜視図である。
図1に示すハニカム構造体10は、複数の貫通孔12が隔壁13を隔てて長手方向(図1中、両矢印Lで示す方向)に並設された単一のハニカム焼成体11を備えている。ハニカム焼成体11は、CZ粒子とアルミナ粒子とを含み、押出成形体の形状を有している。
図1に示すように、ハニカム構造体10が単一のハニカム焼成体11からなる場合、ハニカム構造体10はハニカム焼成体そのものでもある。
【0017】
ハニカム構造体において、ハニカム焼成体は、CZ粒子、アルミナ粒子、無機バインダ及び無機繊維からなる。
後述するように、ハニカム焼成体は、CZ粒子、アルミナ粒子、無機バインダ及び無機繊維を含む原料ペーストを押出成形した後、焼成することにより作製されている。
本発明のハニカム構造体がCZ粒子とアルミナ粒子を有しているか否かについては、X線回折(XRD)にて確認できる。
【0018】
ハニカム構造体は、単一のハニカム焼成体を備えていてもよいし、複数個のハニカム焼成体を備えていてもよく、複数個のハニカム焼成体が接着剤により結合されていてもよい。
【0019】
ハニカム構造体において、ハニカム焼成体の外周面には、外周コート層が形成されていてもよい。
【0020】
ハニカム構造体において、上記ハニカム焼成体の気孔率は、45〜70体積%であることが望ましい。
ハニカム焼成体の気孔率が45〜70体積%であると、高い機械的強度と排ガス浄化性能を両立させることができる。
【0021】
上記ハニカム焼成体の気孔率が45体積%未満であると、隔壁のうち内部へのガス拡散に寄与することができる気孔の割合が少なくなり、排ガス浄化性能が低下してしまうことがある。一方、上記ハニカム焼成体の気孔率が70体積%を超えると、気孔率が高くなりすぎるため、ハニカム構造体の機械的特性が劣化し、ハニカム構造体を使用中、クラックや破壊等が発生し易くなる。
【0022】
ハニカム焼成体の気孔率は、以下に説明する重量法により測定することができる。
(1)ハニカム焼成体を10セル×10セル×10mmの大きさに切断して、測定試料とする。この測定試料をイオン交換水及びアセトンを用いて超音波洗浄した後、オーブンを用いて100℃で乾燥する。なお、10セル×10セル×10mmの測定試料とは、貫通孔が縦方向に10個、横方向に10個並んだ状態で、最も外側の貫通孔とその貫通孔を構成する隔壁を含み、長手方向の長さが10mmとなるように切り出した試料を指す。
(2)測定顕微鏡(ニコン製Measuring Microscope MM−40 倍率:100倍)を用いて、測定試料の断面形状の寸法を測定し、幾何学的な計算から体積を求める(なお、幾何学的な計算から体積を求めることができない場合は、飽水重量と水中重量とを実測して体積を測定する)。
(3)計算から求められた体積及びピクノメータで測定した測定試料の真密度から、測定試料が完全な緻密体であると仮定した場合の重量を計算する。なお、ピクノメータでの測定手順は(4)に示す通りとする。
(4)ハニカム焼成体を粉砕し、23.6ccの粉末を準備する。得られた粉末を200℃で8時間乾燥させる。その後、Micromeritics社製 Auto Pycnometer1320を用いて、JIS R 1620(1995)に準拠して真密度を測定する。排気時間は40分とする。
(5)測定試料の実際の重量を電子天秤(A&D製 HR202i)で測定する。
(6)以下の式から、ハニカム焼成体の気孔率を求める。
(ハニカム焼成体の気孔率)=100−(測定試料の実際の重量/測定試料が完全な緻密体であると仮定した場合の重量)×100[%]
なお、本発明のハニカム構造体に貴金属を直接担持させた場合であっても、貴金属担持によるハニカム焼成体の気孔率の変化は無視できるほど小さい。
【0023】
ハニカム構造体を構成するアルミナ粒子は、θ相のアルミナ粒子であることが望ましい。
アルミナ粒子がθ相のアルミナ粒子であると耐熱性が高いため、貴金属を担持させ、長時間使用した後であっても高い排ガス浄化性能を発揮することができる。
【0024】
無機バインダの含有割合は、0.1〜10重量%であること望ましく、無機繊維の含有割合は、10〜40重量%であることが望ましい。
【0025】
ハニカム構造体の形状としては、円柱状に限定されず、角柱状、楕円柱状、長円柱状、丸面取りされている角柱状(例えば、丸面取りされている三角柱状)等が挙げられる。
【0026】
ハニカム構造体において、ハニカム焼成体の貫通孔の形状としては、四角柱状に限定されず、三角柱状、六角柱状等が挙げられる。
【0027】
ハニカム構造体において、ハニカム焼成体の長手方向に垂直な断面の貫通孔の密度は、31〜155個/cmであることが望ましい。
【0028】
ハニカム構造体において、ハニカム焼成体の隔壁の厚さは、0.05〜0.50mmであることが望ましく、0.10〜0.30mmであることがより望ましい。
【0029】
ハニカム構造体において、ハニカム焼成体の外周面に外周コート層が形成されている場合、外周コート層の厚さは、0.1〜2.0mmであることが望ましい。
【0030】
ハニカム構造体は、単一のハニカム焼成体を備えていてもよいし、複数個のハニカム焼成体を備えていてもよく、複数個のハニカム焼成体が接着剤により結合されていてもよい。
【0031】
ハニカム構造体において、上記ハニカム焼成体に貴金属が担持されていることが望ましい。
上記ハニカム構造体において、上記ハニカム焼成体に触媒として機能する貴金属が担持されていると、排ガス浄化用のハニカム触媒としても使用することができる。
貴金属としては、例えば、白金、パラジウム、ロジウム等が挙げられる。
【0032】
ハニカム構造体において、貴金属の担持量は、0.1〜15g/Lであることが望ましく、0.5〜10g/Lであることがより望ましい。
本明細書において、貴金属の担持量とは、ハニカム構造体の見掛けの体積当たりの貴金属の重量をいう。なお、ハニカム構造体の見掛けの体積とは、空隙の体積を含む体積であり、外周コート層及び/又は接着層の体積を含むこととする。
【0033】
[ハニカム構造体の製造方法]
次に、本発明のハニカム構造体の製造方法について説明する。
本発明のハニカム構造体の製造方法は、複数の貫通孔が隔壁を隔てて長手方向に並設されたハニカム焼成体からなるハニカム構造体の製造方法であって、セリア−ジルコニア複合酸化物粒子、アルミナ粒子、無機バインダ及び無機繊維を含む原料ペーストを作製する原料混合工程と、上記原料ペーストを成形することにより、複数の貫通孔が隔壁を隔てて長手方向に並設されたハニカム成形体を作製する成形工程と、上記成形工程により成形されたハニカム成形体を乾燥する乾燥工程と、上記乾燥工程により乾燥されたハニカム成形体を焼成することにより、ハニカム焼成体を作製する焼成工程と、を含み、上記原料混合工程では、上記無機バインダと上記無機繊維を予混合することを特徴とする。
【0034】
(原料混合工程)
原料混合工程では、CZ粒子、アルミナ粒子、無機バインダ及び無機繊維を含む原料ペーストを作製するが、このとき、無機バインダと無機繊維を予混合する。
【0035】
無機繊維を構成する材料としては、特に限定されないが、例えば、アルミナ、シリカ、炭化ケイ素、シリカアルミナ、ガラス、チタン酸カリウム、ホウ酸アルミニウム等が挙げられ、二種以上併用してもよい。これらの中では、アルミナが望ましい。
【0036】
無機バインダは、特に限定されないが、アルミナゾル、シリカゾル、チタニアゾル、水ガラス、セピオライト、アタパルジャイト、ベーマイト等に含まれる固形分が挙げられ、これらの無機バインダは、二種以上併用してもよい。これらのなかでは、ベーマイトが望ましい。
【0037】
ベーマイトは、AlOOHの組成で示されるアルミナ1水和物であり、水等の媒体に良好に分散するので、本発明のハニカム構造体の製造方法では、ベーマイトをバインダとして用いることが望ましい。
【0038】
無機バインダと無機繊維との予混合は、ミキサー、アトライタ等を用いてもよく、ニーダー等を用いてもよい。また、必要に応じて分散媒を添加してもよい。分散媒としては、特に限定されないが、水、ベンゼン等の有機溶媒、メタノール等のアルコール等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
その他、界面活性剤等の助剤を添加してもよい。
【0039】
無機バインダと無機繊維とを予混合した後、さらにCZ粒子及びアルミナ粒子を混合して原料ペーストを得る。
【0040】
アルミナ粒子として、その平均粒子径が1〜30μmのものを使用することが望ましい。
また、CZ粒子として、その平均粒子径が1〜10μmのものを使用することが望ましい。
さらに、使用するアルミナ粒子の平均粒子径は、CZ粒子の平均粒子径よりも大きいことが望ましい。
なお、CZ粒子及びアルミナ粒子の平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置(MALVERN社製 MASTERSIZER2000)により求めることができる。
【0041】
上記原料ペーストを調製する際に使用する上記アルミナ粒子に対する上記セリア−ジルコニア複合酸化物粒子の重量比(セリア−ジルコニア複合酸化物粒子/アルミナ粒子)は、1.0〜3.0であることが望ましい。
上記重量比(セリア−ジルコニア複合酸化物粒子/アルミナ粒子)が1.0〜3.0であると、セリア−ジルコニア複合酸化物粒子の含有率が高く、このセリア−ジルコニア複合酸化物粒子は、助触媒として使用されるものであるので、排ガスの浄化性能が向上する。
【0042】
原料ペーストを調製する際に用いるアルミナ粒子としては、θ相のアルミナ粒子が望ましい。
【0043】
原料ペーストを調製する際に用いる他の原料としては、有機バインダ、造孔剤、成形助剤、分散媒等が挙げられる。
【0044】
有機バインダとしては、特に限定されないが、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリエチレングリコール、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
【0045】
分散媒としては、特に限定されないが、水、ベンゼン等の有機溶媒、メタノール等のアルコール等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
【0046】
上記造孔剤としては、例えば、アクリル樹脂、でんぷん、カーボン等が挙げられる。
造孔剤の平均粒子径は特に限定されないが、10〜60μmであることが望ましい。
造孔剤の平均粒子径は、アルミナ粒子及びCZ粒子の平均粒子径と同様に、レーザー回折式粒度分布測定装置(MALVERN社製 MASTERSIZER2000)を用いて測定することができる。
【0047】
成形助剤としては、特に限定されないが、エチレングリコール、デキストリン、脂肪酸、脂肪酸石鹸、ポリアルコール等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
【0048】
上記した原料としてCZ粒子、アルミナ粒子、無機繊維及び無機バインダを使用した際、これらの配合割合は、原料中の焼成工程後に残存する全固形分に対し、CZ粒子:40〜60重量%、アルミナ粒子:15〜35重量%、無機繊維:10〜40重量%、無機バインダ:0.1〜10重量%が望ましい。
【0049】
上述した原料ペーストの乾燥体積に占める造孔剤の乾燥体積の割合は45〜70体積%とすることが望ましい。
【0050】
また、原料ペーストを調製する際に使用するアルミナ粒子に対するCZ粒子の重量比(CZ粒子/アルミナ粒子)は、1.0〜3.0であることが望ましい。
【0051】
重量比(CZ粒子/アルミナ粒子)が1.0〜3.0であると、CZ粒子の含有率が高く、このCZ粒子は、助触媒として使用されるものであるので、担持される触媒の触媒作用を強化することができ、ハニカム触媒としての性能をより高めることができる。
【0052】
原料ペーストを調製する際には、混合混練することが望ましく、ミキサー、アトライタ等を用いて混合してもよく、ニーダー等を用いて混練してもよい。
【0053】
(成形工程)
成形工程では、原料混合工程によって得られた原料ペーストを成形することにより、複数の貫通孔が隔壁を隔てて長手方向に並設されたハニカム成形体を作製する。
原料ペーストは例えば、押出成形等の方法により成形することができる。
具体的には、所定の形状の金型を通過させることにより、所定の形状の貫通孔を有するハニカム成形体の連続体を形成し、所定の長さにカットすることにより、ハニカム成形体とする。
【0054】
(乾燥工程)
本発明のハニカム構造体の製造方法では、上記成形工程により成形された成形体を乾燥する。
この際、マイクロ波乾燥機、熱風乾燥機、誘電乾燥機、減圧乾燥機、真空乾燥機、凍結乾燥機等の乾燥機を用いて、ハニカム成形体を乾燥し、ハニカム乾燥体を作製することが望ましい。
【0055】
本明細書においては、焼成工程を行う前のハニカム成形体及びハニカム乾燥体をまとめてハニカム成形体とも呼ぶ。
【0056】
(焼成工程)
焼成工程では、乾燥工程により乾燥された成形体を焼成することにより、ハニカム焼成体を作製する。なお、この工程は、ハニカム成形体の脱脂及び焼成が行われるため、「脱脂・焼成工程」ということもできるが、便宜上「焼成工程」という。
【0057】
焼成工程の温度は、800〜1300℃であることが望ましく、900〜1200℃であることがより望ましい。また、焼成工程の時間は、1〜24時間であることが望ましく、3〜18時間であることがより望ましい。焼成工程の雰囲気は特に限定されないが、酸素濃度が1〜20%であることが望ましい。
【0058】
以上の工程により、本発明のハニカム構造体を製造することができる。
【0059】
(その他の工程)
本発明のハニカム構造体の製造方法は、必要に応じて、上記ハニカム焼成体に貴金属を担持させる担持工程をさらに含んでいてもよい。
ハニカム焼成体に貴金属を担持する方法としては、例えば、貴金属粒子もしくは錯体を含む溶液にハニカム焼成体又はハニカム構造体を浸漬した後、引き上げて加熱する方法等が挙げられる。
ハニカム構造体が外周コート層を備える場合、外周コート層を形成する前のハニカム焼成体に貴金属を担持してもよいし、外周コート層を形成した後のハニカム焼成体又はハニカム構造体に貴金属を担持してもよい。
【0060】
本発明のハニカム構造体の製造方法において、上記担持工程で担持した貴金属の担持量は、0.1〜15g/Lであることが望ましく、0.5〜10g/Lであることがより望ましい。
【0061】
本発明のハニカム構造体の製造方法において、ハニカム焼成体の外周面に外周コート層を形成する場合、外周コート層は、ハニカム焼成体の両端面を除く外周面に外周コート層用ペーストを塗布した後、乾燥固化することにより形成することができる。外周コート層用ペーストとしては、原料ペーストと同じ組成のものが挙げられる。
【0062】
(実施例)
以下、本発明をより具体的に開示した実施例を示す。なお、本発明は、以下の実施例のみに限定されるものではない。
【0063】
[評価用サンプルの作製]
(実施例1)
まずアルミナ繊維(平均繊維径:3μm、平均繊維長:60μm)を10.6重量%、無機バインダとしてベーマイトを2.8重量%とイオン交換水10.0重量%とを10分間予混合した。
続いて、CZ粒子(平均粒子径:2μm)を16.9重量%、γアルミナ粒子(平均粒子径:2μm)を8.5重量%、有機バインダとしてメチルセルロースを3.9重量%、造孔剤として、アクリル樹脂(平均粒子径:32μm)を28.1重量%、成形助剤として界面活性剤であるポリオキシエチレンオレイルエーテルを2.9重量%及びイオン交換水を16.2重量%を添加してさらに混合混練して、原料ペーストを調製した。
【0064】
なお、γアルミナ粒子、CZ粒子及び造孔剤の平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置(MALVERN社製 MASTERSIZER2000)を用いて測定した。
【0065】
押出成形機を用いて、原料ペーストを押出成形して、円柱状のハニカム成形体を作製した。そして、減圧マイクロ波乾燥機を用いて、ハニカム成形体を出力1.74kW、減圧6.7kPaで12分間乾燥させた後、1100℃で10時間脱脂・焼成することにより、ハニカム焼成体を作製した。ハニカム焼成体は、直径が103mm、長さが80mmの円柱状であり、貫通孔の密度が77.5個/cm(500cpsi)、隔壁の厚さが0.127mm(5mil)であった。
【0066】
(比較例1)
原料ペーストを調製する原料をすべて一度に混合したほかは、実施例1と同様の手順で比較例1に係るハニカム構造体を製造した。
【0067】
[3点曲げ強度の測定及び破壊断面の観察]
まず、3点曲げ強度測定用サンプルとして、実施例1及び比較例1と同じ配合で混合、混練した原料ペーストを直方体に成形して、同条件で脱脂、焼成後に6mm×6mm×40mmに加工した部材を10本準備し、3点曲げ強度測定用サンプル(以下、サンプル)とした。サンプルの主面(サンプルの外周面のうち広い方の面)に対して垂直な方向に荷重を印加し、破壊荷重(サンプルが破壊した荷重)を測定した。10本の3点曲げ強度測定用サンプルについて破壊荷重を測定し、その平均値を曲げ強度とした。3点曲げ強度試験は、JIS R 1601を参考に、インストロン5582を用い、スパン間距離:30mm、スピード1mm/minで行った。3点曲げ強度は、実施例1で6.9MPa、比較例1で5.2MPaであった。
さらに、破壊により露出したサンプルの表面(破壊断面)をSEMで観察した。結果を図2及び図3に示す。図2は、実施例1に係るハニカム構造体の破壊断面のSEM画像であり、図3は、比較例1に係るハニカム構造体の破壊断面のSEM画像である。
【0068】
図2及び図3の結果より、実施例1に係るサンプルでは、破壊断面においてアルミナ繊維が基材から引き抜かれていないのに対して、比較例1に係るサンプルでは、破壊断面においてアルミナ繊維が引き抜かれた様子が確認できた。そのため、本発明のハニカム構造体の製造方法により得られるハニカム構造体は、アルミナ繊維と他の材料との接合性が良好で、優れた機械的強度を示すことがわかる。
【符号の説明】
【0069】
10 ハニカム構造体
11 ハニカム焼成体
12 貫通孔
13 隔壁
図1
図2
図3