特許第6771007号(P6771007)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6771007
(24)【登録日】2020年9月30日
(45)【発行日】2020年10月21日
(54)【発明の名称】無線通信装置
(51)【国際特許分類】
   H04W 72/08 20090101AFI20201012BHJP
   H04W 16/14 20090101ALI20201012BHJP
   H04W 92/18 20090101ALI20201012BHJP
   H04W 88/02 20090101ALI20201012BHJP
   H04W 4/10 20090101ALI20201012BHJP
   H04M 11/00 20060101ALI20201012BHJP
【FI】
   H04W72/08 110
   H04W16/14
   H04W92/18
   H04W88/02 120
   H04W4/10
   H04M11/00 302
【請求項の数】11
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2018-177839(P2018-177839)
(22)【出願日】2018年9月21日
(65)【公開番号】特開2020-53712(P2020-53712A)
(43)【公開日】2020年4月2日
【審査請求日】2019年5月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000101662
【氏名又は名称】アルインコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(72)【発明者】
【氏名】山之口 敬浩
【審査官】 阿部 圭子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−143032(JP,A)
【文献】 特開平11−154881(JP,A)
【文献】 特開平09−187068(JP,A)
【文献】 特許第5159991(JP,B1)
【文献】 特開2010−034974(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24 − 7/26
H04W 4/00 − 99/00
H04M 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自局グループに属して第1のトーン信号を有する無線信号を第1の無線チャンネルで送受信する自局無線通信装置と、自局グループとは異なる他局グループに属して第2のトーン信号を有する無線信号を前記第1の無線チャンネルで送受信する他局無線通信装置とを含む無線通信システムにおける、前記自局無線通信装置である無線通信装置であって、
前記自局無線通信装置である無線通信装置を制御する制御手段を備え、
前記制御手段は、
前記自局無線通信装置である無線通信装置が使用する前記第1の無線チャンネルで無線信号を受信したときに第1のトーン信号以外の別のトーン信号を受信したか否かを判断し、
前記別のトーン信号を受信したときに当該別のトーン信号の識別子を検出し、
前記検出した別のトーン信号の識別子に基づいて前記自局無線通信装置である無線通信装置のトーン信号の識別子を第1のトーン信号から第2のトーン信号に変更した後、無線チャンネルの変更を促す音声信号を含む無線信号を前記他局無線通信装置に前記第1の無線チャンネルで送信することを特徴とする無線通信装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記無線チャンネルの変更を促す音声信号を含む無線信号を前記他局無線通信装置に前記第1の無線チャンネルで送信した後、前記自局無線通信装置である無線通信装置のトーン信号の識別子を第2のトーン信号から第1のトーン信号に変更することを特徴とする請求項1記載の無線通信装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記別のトーン信号を受信したときに当該別のトーン信号の識別子を検出した後であって、前記検出した別のトーン信号の識別子に基づいて前記自局無線通信装置である無線通信装置のトーン信号の識別子を第1のトーン信号から第2のトーン信号に変更する前に、前記第1の無線チャンネルとは異なる第1の空きチャンネルを検出し、
前記音声信号は、前記第1の空きチャンネルへの変更を促す音声信号であることを特徴とする請求項1又は2記載の無線通信装置。
【請求項4】
前記制御手段は、無線チャンネルの変更を促す音声信号を含む無線信号を前記他局無線通信装置に前記第1の無線チャンネルで送信した後において、自局グループに属して第1のトーン信号を有する複数の自局無線通信装置のうちの子機無線通信装置に対して、前記第1の空きチャンネルとは異なる第2の空きチャンネルへの変更を促す音声信号を含む無線信号を前記第1の無線チャンネルで送信することにより、当該子機無線通信装置の使用チャンネルを当該第2の空きチャンネルに変更させることを特徴とする請求項3記載の無線通信装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記子機無線通信装置に対して、前記第1の空きチャンネルとは異なる第2の空きチャンネルへの変更を事前通知する音声信号を含む無線信号を前記第1の無線チャンネルで送信する前に当該第2の空きチャンネルを検出することを特徴とする請求項4記載の無線通信装置。
【請求項6】
自局グループに属して第1のトーン信号を有する無線信号を第1の無線チャンネルでそれぞれ送受信する複数の自局無線通信装置のうちの子機無線通信装置である無線通信装置であって、
請求項4記載の無線通信装置である親機無線通信装置からの、前記第2の空きチャンネルへの変更を促す音声信号を含む無線信号を前記第1の無線チャンネルで受信し、当該使用チャンネルを当該第2の空きチャンネルに変更することを特徴とする無線通信装置。
【請求項7】
自局グループに属して第1のトーン信号を有する無線信号を第1の無線チャンネルでそれぞれ送受信する複数の自局無線通信装置のうちの子機無線通信装置である無線通信装置であって、
請求項5記載の無線通信装置である親機無線通信装置からの、前記第2の空きチャンネルへの変更を事前通知する音声信号を含む無線信号を前記第1の無線チャンネルで受信し、当該音声信号を復調して出力することを特徴とする無線通信装置。
【請求項8】
自局グループに属して第1のトーン信号を有する複数の自局無線通信装置のうちの親機無線通信装置である無線通信装置であって、
自局グループに属して第1のトーン信号を有する複数の自局無線通信装置のうちの子機無線通信装置に対して、他局グループに属して第2のトーン信号を有する他局無線通信装置で使用するチャンネルとは異なる空きチャンネルへの変更を促す音声信号を含む無線信号を送信することにより、当該子機無線通信装置の使用チャンネルを当該空きチャンネルに変更させることを特徴とする無線通信装置。
【請求項9】
前記子機無線通信装置に対して、前記空きチャンネルへの変更を促す音声信号を含む無線信号を送信する前に、当該空きチャンネルへの変更を事前通知する音声信号を含む無線信号を送信することを特徴とする請求項8記載の無線通信装置。
【請求項10】
自局グループに属して第1のトーン信号を有する複数の自局無線通信装置のうちの子機無線通信装置である無線通信装置であって、
請求項8記載の無線通信装置である親機無線通信装置からの、前記空きチャンネルへの変更を促す音声信号を含む無線信号を受信し、当該使用チャンネルを当該空きチャンネルに変更することを特徴とする無線通信装置。
【請求項11】
自局グループに属して第1のトーン信号を有する複数の自局無線通信装置のうちの子機無線通信装置である無線通信装置であって、
請求項9記載の無線通信装置である親機無線通信装置からの、前記空きチャンネルへの変更を事前通知する音声信号を含む無線信号を受信し、当該音声信号を復調して出力することを特徴とする無線通信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば特定小電力無線機などの無線通信装置であって、混信を防止することができるようにグループ分けすることができる無線通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
大型ショッピングセンターでは、多くの店舗のユーザがいわゆる「特小」と呼ばれる特定小電力無線機を使用している。ここで、既存店舗のユーザが複数の特定小電力無線機(以下、自局グループ無線機という)を使用している場合において、新規店舗のユーザが仕事の効率化のために複数の特定小電力無線機(以下、他局グループ無線機という。)を購入したとする。後から参入した他局グループ無線機のユーザは、特定小電力無線機のどのチャンネル(本明細書では、無線チャンネルをチャンネルという。)で使用すれば良いか分からずに、つまり、空きチャンネルが分からずに、とりあえず、購入したままのデフォルトの初期チャンネル(例えばチャンネル1)で運用することになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−187068号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、すでに自局グループ無線機が初期チャンネル(チャンネル1)を使用していたために、他局グループ無線機との間で混信が発生することになるという問題点があった。
【0005】
例えば特許文献1では、複数のグループが一台のレピータを用いる無線中継システムにおいて、面倒な操作と、レピータ及び子機の複雑な構成とを必要とすることなく、各グループ別の交信が可能となる無線中継システムを提供するために、以下の無線中継システム等が提案されている。
【0006】
この従来例にかかる無線中継システムは、無線中継装置である親機と、それに無線接続する複数の子機とを備えて構成される。子機はトーン信号に応じたデジタル信号を送信毎にトーン信号と通話信号に先立って送出し、親機の中継制御部のトーン信号は、デジタル信号抽出部によって受信信号から抽出されたデジタル信号に基づいて自動的に設定されるように構成し、トーン信号とデジタル信号とを複数のグループ別に設定する。これにより、互いの混信を防止して一台のレピータを複数のグループが使用できる。
【0007】
しかしながら、従来例にかかる無線中継システムでは、親機である無線中継装置を配置する必要があり、システム構成が複雑になるという問題点があった。
【0008】
本発明の目的は以上の問題点を解決し、複数の無線通信装置を備えた無線通信システムにおいて提供される無線通信装置において、無線通信しない複数のグループ間で混信を防止することができる無線通信装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の発明にかかる無線通信装置は、自局グループに属して第1のトーン信号を有する無線信号を第1の無線チャンネルで送受信する自局無線通信装置と、自局グループとは異なる他局グループに属して第2のトーン信号を有する無線信号を前記第1の無線チャンネルで送受信する他局無線通信装置とを含む無線通信システムにおける、前記自局無線通信装置である無線通信装置であって、
前記自局無線通信装置である無線通信装置を制御する制御手段を備え、
前記制御手段は、
前記自局無線通信装置である無線通信装置が使用する前記第1の無線チャンネルで無線信号を受信したときに第1のトーン信号以外の別のトーン信号を受信したか否かを判断し、
前記別のトーン信号を受信したときに当該別のトーン信号の識別子を検出し、
前記検出した別のトーン信号の識別子に基づいて前記自局無線通信装置である無線通信装置のトーン信号の識別子を第1のトーン信号から第2のトーン信号に変更した後、無線チャンネルの変更を促す音声信号を含む無線信号を前記他局無線通信装置に前記第1の無線チャンネルで送信することを特徴とする。
【0010】
前記無線通信装置において、前記制御手段は、前記無線チャンネルの変更を促す音声信号を含む無線信号を前記他局無線通信装置に前記第1の無線チャンネルで送信した後、前記自局無線通信装置である無線通信装置のトーン信号の識別子を第2のトーン信号から第1のトーン信号に変更することを特徴とする。
【0011】
また、前記無線通信装置において、前記制御手段は、前記別のトーン信号を受信したときに当該別のトーン信号の識別子を検出した後であって、前記検出した別のトーン信号の識別子に基づいて前記自局無線通信装置である無線通信装置のトーン信号の識別子を第1のトーン信号から第2のトーン信号に変更する前に、前記第1の無線チャンネルとは異なる第1の空きチャンネルを検出し、
前記音声信号は、前記第1の空きチャンネルへの変更を促す音声信号であることを特徴とする。
【0012】
さらに、前記無線通信装置において、前記制御手段は、無線チャンネルの変更を促す音声信号を含む無線信号を前記他局無線通信装置に前記第1の無線チャンネルで送信した後において、自局グループに属して第1のトーン信号を有する複数の自局無線通信装置のうちの子機無線通信装置に対して、前記第1の空きチャンネルとは異なる第2の空きチャンネルへの変更を促す音声信号を含む無線信号を前記第1の無線チャンネルで送信することにより、当該子機無線通信装置の使用チャンネルを当該第2の空きチャンネルに変更させることを特徴とする。
【0013】
ここで、前記制御手段は、前記子機無線通信装置に対して、前記第1の空きチャンネルとは異なる第2の空きチャンネルへの変更を事前通知する音声信号を含む無線信号を前記第1の無線チャンネルで送信する前に、当該第2の空きチャンネルを検出することを特徴とする。
【0014】
第2の発明に係る無線通信装置は、自局グループに属して第1のトーン信号を有する無線信号を第1の無線チャンネルでそれぞれ送受信する複数の自局無線通信装置のうちの子機無線通信装置である無線通信装置であって、
前記無線通信装置である親機無線通信装置からの、前記第2の空きチャンネルへの変更を促す音声信号を含む無線信号を前記第1の無線チャンネルで受信し、当該使用チャンネルを当該第2の空きチャンネルに変更することを特徴とする。
【0015】
ここで、前記無線通信装置は、自局グループに属して第1のトーン信号を有する無線信号を第1の無線チャンネルでそれぞれ送受信する複数の自局無線通信装置のうちの子機無線通信装置である無線通信装置であって、
請求項5記載の無線通信装置である親機無線通信装置からの、前記第2の空きチャンネルへの変更を事前通知する音声信号を含む無線信号を前記第1の無線チャンネルで受信し、当該音声信号を復調して出力することを特徴とする。



【0016】
第3の発明に係る無線通信装置は、自局グループに属して第1のトーン信号を有する複数の自局無線通信装置のうちの親機無線通信装置である無線通信装置であって、
自局グループに属して第1のトーン信号を有する複数の自局無線通信装置のうちの子機無線通信装置に対して、他局グループに属して第2のトーン信号を有する他局無線通信装置で使用するチャンネルとは異なる空きチャンネルへの変更を促す音声信号を含む無線信号を送信することにより、当該子機無線通信装置の使用チャンネルを当該空きチャンネルに変更させることを特徴とする。
【0017】
ここで、前記無線通信装置は、前記子機無線通信装置に対して、前記空きチャンネルの変更を促す音声信号を含む無線信号を送信する前に、当該空きチャンネルへの変更を事前通知する音声信号を含む無線信号を送信する。
【0018】
第4の発明に係る無線通信装置は、自局グループに属して第1のトーン信号を有する複数の自局無線通信装置のうちの子機無線通信装置である無線通信装置であって、
請求項8記載の無線通信装置である親機無線通信装置からの、前記空きチャンネルへの変更を促す音声信号を含む無線信号を受信し、当該使用チャンネルを当該空きチャンネルに変更することを特徴とする。
【0019】
ここで、前記無線通信装置において、自局グループに属して第1のトーン信号を有する複数の自局無線通信装置のうちの子機無線通信装置である無線通信装置であって、
請求項9記載の無線通信装置である親機無線通信装置からの、前記空きチャンネルへの変更を事前通知する音声信号を含む無線信号を受信し、当該音声信号を復調して出力することを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
従って、本発明に係る無線通信装置によれば、複数の無線通信装置を備えた無線通信システムにおいて提供される無線通信装置において、従来技術に比較して構成が簡単であり、互いに無線通信しない複数のグループ間で混信を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】実施形態1に係る無線通信装置100の構成例を示すブロック図である。
図2図1の無線通信装置100の「お願いコール機能」の処理を示す機能ブロック図である。
図3A】実施形態1において自局装置100Aにより実行される通信制御処理の第1の部分を示すフローチャートである。
図3B】実施形態1において自局装置100Aにより実行される通信制御処理の第2の部分を示すフローチャートである。
図4】実施形態1において他局装置100Bにより実行される通信制御処理を示すフローチャートである。
図5】実施形態2に係る無線通信装置100の「逃げコール機能」を用いた、自局親機装置100Cにより実行される通信制御処理を示すフローチャートである。
図6】実施形態2に係る無線通信装置100の「逃げコール機能」を用いた、自局子機装置100Dにより実行される通信制御処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の各実施形態において、同様の構成要素については同一の符号を付している。
【0023】
実施形態1.
図1は実施形態1に係る無線通信装置100の構成例を示すブロック図である。また、図2図1の無線通信装置100の「お願いコール機能」の処理を示す機能ブロック図である。
【0024】
従来技術における問題点を解決するために、実施形態1では、他局グループ無線機のユーザに対して「トーンスケルチ」におけるトーン信号番号の変更をお願いしてその設定変更により自局グループ無線機と他局グループ無線機との間の混信を防止する「お願いコール機能」を提案する。ここで、自局グループに属して第1のトーン信号(実施形態1では、25番)を有する自局グループ無線機を自局装置100Aとし、自局グループに属して第2のトーン信号(実施形態1では、47番)を有する他局グループ無線機を他局装置100Bとし、各装置は、図1の無線通信装置100で構成される。
【0025】
図1において、無線通信装置100は、アンテナ1と、送受信スイッチ2と、受信復調部3と、スピーカ4と、トーン信号検出部5と、マイクロホン6と、音声データメモリ7mを有する音声発生部7と、信号加算器8と、変調送信部9と、制御データメモリ10mを有する制御部10と、操作部11と、表示部13とを備えて構成される。
【0026】
ここで、制御部10は、制御データメモリ10m内の制御データに基づいて、各部を制御することで、当該無線通信装置100の送信及び受信を制御する。制御部10には、PTT(Push To Talk)キー12を有する操作部11と、所定のデータを表示する表示部13とが接続される。ユーザは、送信時にPTTキー12をオンする一方、受信時にそれを離してオフする。
【0027】
アンテナ1により受信された無線信号は、制御部10により制御される送受信スイッチ2を介して受信復調部3に入力される。受信復調部3は入力される無線信号を低雑音増幅した後、例えばベースバンド信号に変換し、所定の復調方式で音声信号を復調する。送受信スイッチ2は受信時に制御部10により接点a側に切り替えられる一方、送信時に制御部10により接点b側に切り替えられる。復調された音声信号はスピーカ4に出力されて当該音声信号の音声が出力されるとともに、トーン信号検出部5に出力される。トーン信号検出部5は、音声信号内のトーン信号(後述する「トーンスケルチ」のための信号)の周波数を検出し、当該周波数に対応するトーン信号番号を制御部10に通知する。なお、音声信号においてトーン信号がないときはその旨を制御部10に通知する。
【0028】
マイクロホン6からの送信する音声は、信号加算器8を介して変調送信部9に出力される。また、制御部10からの制御信号に応答して、音声発生部7は、制御信号に対応する音声データメモリ7m内の音声データを音声信号に合成変換した後、信号加算器8を介して変調送信部9に出力する。変調送信部9は入力される音声信号に従って、無線信号を所定の変調方式で変調した後、変調された無線信号を送受信スイッチ2を介してアンテナ1に出力することで、無線信号の電波がアンテナ1から放射される。
【0029】
「お願いコール機能」では、自局グループ無線機に「トーンスケルチ」を設定しておく。ここで、「トーンスケルチ」は、同一チャンネルを使用し、同一のトーン信号(一般に番号で識別する;アナログのトーンスケルチ型では、音声信号内のトーン信号の周波数で識別し、デジタルトーンスケルチ型では、デジタルコードで識別する。)を設定している同一のグループからの電波を受信したときには、受信音声が聞こえ、同一のトーン信号を設定していない電波の音声は聞こえないようにする機能であり、送信するときに、変調信号内でトーン信号を加算する一方、受信するときに当該トーン信号を識別することで、同一のグループ以外のグループからの電波にフィルタをかけて無音状態にする。
【0030】
以下、図2を参照して、「お願いコール機能」について説明する。図2において、自局グループ無線機として自局装置100Aがあり、他局グループ無線機として他局装置100Bがある。なお、自局グループ無線機として複数の無線通信装置100が存在するときは、そのうちの1つに「お願いコール機能」を付与する設定することが好ましい。また、図2では、各装置100A,100Bがそれぞれ、図示の周波数、チャンネル、トーン信号番号を使用しているものとする。
【0031】
図2において、自局装置100A及び他局装置100Bがともに受信状態であり、キャリアセンスを行っている(S100)。次いで、他局装置100Bの無線信号が自局装置100Aに入感してきた場合(S101)、自局装置100Aは当該無線信号のトーン信号番号を検出して判別する(S102)。その結果、受信した無線信号のトーン信号番号が、自局グループ無線機のトーン信号と不一致のとき(又は他局グループ無線機のトーンスケルチがオフであるとき)、自局グループ無線機のトーン信号を一時的に、他局グループ無線機のトーン信号に変更した後(S103)、特定のチャンネルへのチャンネル変更を促す「チャンネル1は現在使用中です。恐れ入りますが、チャンネル9をご使用ください。」という音声ガイダンスを他局装置100Bに対して自動的に送信し(S104)、他局装置100Bでは、当該音声ガイダンスがスピーカから出力される(S105)。これに対して、他局装置100Bのユーザは自局のチャンネルを変更することになる。
【0032】
つまり、自局グループ無線機の使用チャンネルに、他局グループ無線機が知らずに入ってきた場合に、自動的に退去(チャンネル変更)をお願いするものであり、これにより、自局グループ無線機と他局グループ無線機との間での混信を防止することができる。
【0033】
なお、ステップS104において、特定のチャンネルへのチャンネル変更を促す音声ガイダンスを出力しているが、本発明はこれに限らず、変更後のチャンネルを特定せずに、現在のチャンネルから別のチャンネルへの変更を促す音声ガイダンスであってもよい。
【0034】
次いで、無線通信装置100の通信制御処理について以下に説明する。なお、チャンネル、周波数、トーン信号番号については一例であり、異なるものについては、異なるように設定することを示す。
【0035】
図3A及び図3Bは実施形態1において自局装置100Aにより実行される通信制御処理を示すフローチャートである。
【0036】
図3AのステップS1において、422MHz帯のチャンネル1とトーン信号25番(トーン周波数:156.7Hz)で無線信号の受信を待ち受けする。次いで、ステップS2において、422MHz帯のチャンネル1で無線信号を受信したか否かが判断され、YESのときはステップS3に進む一方、NOのときはステップS1に進む。ステップS3において、トーン信号25番の無線信号を受信したか否かが判断され、YESのときはステップS4に進む一方、NOのときはステップS5に進む。ステップS4では、通常の受信状態になり、ステップS1に戻る。ステップS5では、受信した無線信号から他局装置100Bのトーン信号の周波数を検出してトーン信号番号を識別する(ここで、トーン信号番号は47番とする)。次いで、ステップS6において、識別した他局装置100Bのトーン信号番号は自局装置100Aの設定値と異なり正常であるか否かが判断され、YESのときは図3BのステップS7に進む一方、NOのときはステップS5に戻る。
【0037】
図3BのステップS7において、空きチャンネルを検出し、ステップS8において空きチャンネルは自局装置100Aの設定値と異なり正常であるか否かが判断され、YESのときはステップS9に進む一方、NOのときはステップS7に戻る。ステップS9では、他局装置100Bのためのトーン信号番号を47番に設定し、ステップS10では、他局装置100Bのための音声情報(現在の設定チャンネル及び空きチャンネルX)を設定して制御データメモリ10mに格納する。次いで、ステップS11では、422MHz帯のチャンネル1でキャリアセンスをし、キャリアがなければ、チャンネル変更を促す「音声ガイダンス」を含む無線信号を自動的に送信する。ここで、送信内容は、キャリア、トーン信号47番、音声ガイダンスを含む。さらに、ステップS12では、送信後において、初期に設定したトーン信号番号を25番に戻すように設定して制御データメモリ10mに格納し、当該処理を終了する。
【0038】
図4は実施形態1において他局装置100Bにより実行される通信制御処理を示すフローチャートである。
【0039】
図4のステップS21において、PTT12をオンして、422MHz帯のチャンネル1でキャリアセンスをし、キャリアがなければ、422MHz帯のチャンネル1の音声信号と、トーン信号47番(トーン信号周波数:199.5Hz)に従って変調した無線信号を送信する。次いで、ステップ22においてPTTキー12がオフされたか否かが判断され、YESのときはステップS23に進む一方、NOのときはステップS21に戻る。ステップS23において、422NHz帯のチャンネル1とトーン信号47番の無線信号の送信を停止する。次いで、ステップS24において、422NHz帯のチャンネル1で無線信号を受信したか否かが判断され、YESのときはステップS25に進む一方、NOのときはステップS24に戻る。さらに、ステップS25では、スピーカ4から音声ガイダンスを出力する。ここで、音声ガイダンスは、例えば「チャンネル1は現在使用中です。恐れ入りますが、チャンネル9に変更して使用ください。」である。これに応答して、他局装置100Bのユーザは、使用する無線チャンネルを変更する操作をすることになる。
【0040】
以上説明したように、本実施形態によれば、「お願いコール機能」を備えたので、自局グループ無線機の使用チャンネルに、他局グループ無線機が知らずに入ってきた場合に、自動的に退去(チャンネル変更)をお願いするものであり、これにより、自局グループ無線機と他局グループ無線機との間での混信を防止することができる。
【0041】
以上の実施形態1においては、自局装置100Aと他局装置100Bとの間で、トーン信号番号が異なる場合を想定しているが、本発明はこれに限らず、トーン信号番号が同じである場合や他局装置100Bのトーンスケルチがオフにおいても適用することができ、この場合、トーン信号番号の変更等の処理が不要になる。
【0042】
以上の実施形態1においては、ステップS7及びS8において、空きチャンネルを検出して判定しているが、本発明はこれに限らず、ステップS10の音声情報に空きチャンネルを設定せず、ただ単にチャンネル変更をお願いする場合は、ステップS7及びS8の処理を省略してもよい。
【0043】
実施形態2.
実施形態2の無線通信装置100は、実施形態1の構成(図1)と同様の構成を有するが、通信制御処理が図5及び図6に変更になる。実施形態2の無線通信装置100は、「お願いコール機能」に代えて「逃げコール機能」を備えたことを特徴とする。実施形態2に係る無線通信システムは、複数の自局グループ無線機のうちの自局親機装置100Cと、それに無線接続される少なくとも1つ(1つ又は複数)の自局子機装置100Dとを備えて構成される。ここで、自局親機装置100Cと自局子機装置100Dは自局グループに属する。
【0044】
実施形態1に係る「お願いコール機能」の通信制御処理を試みたにも関わらず混信が続く場合、自局親機装置100Cは自局子機装置100Dに対して自動的にチャンネル変更をさせることを特徴としている。具体的には、自局親機装置100Cから「チャンネル1は混信しています、そのためチャンネル9へ自動変更します」というような音声ガイダンスを送信します。その後続けて、チャンネルコード(変更先チャンネル情報であって、チャンネルの識別子である)を自局子機装置100Dに対して送信する。自局子機装置100Dは受信した情報をもとに検出して判別し、自動的にチャンネル変更する。この「逃げコール機能」が無線ネットワーク内で広がっていけば、自動的に無線チャンネルの区画整理が行われ、従来例の既存店舗、新規店舗ともにお互いに電波干渉(混信)することなく快適な通信が可能となる。
【0045】
図5は実施形態2に係る無線通信装置100の「逃げコール機能」を用いた、自局親機装置100Cにより実行される通信制御処理を示すフローチャートである。なお、図5及び図6において、周波数、チャンネル、トーン信号番号は一例であり、異なるものについては、異なるように設定することを示す。
【0046】
図5のステップS31において、自局装置100Aの通信制御処理(図3A及び図3B)が実行済みであり、チャンネル1及び9とは異なる空きチャンネルを検出し、422MHz帯のチャンネル1とトーン信号25番(トーン信号周波数:156.7Hz)で無線信号の受信を待ち受けする。次いで、ステップS32で、音声情報(現在の設定チャネル及び異なる空きチャンネル)を設定して制御データメモリ10mに格納する。ステップS33において、422MHz帯のチャンネル1でキャリアセンスをし、キャリアがなければ、チャンネル変更を事前通知する「音声ガイダンス」を含む無線信号を自動的に送信する。ここで、送信内容は、例えばキャリア、トーン信号25番、音声ガイダンスを含む。次いで、ステップS34では、音声ガイダンスを出力した後に送信キャリアを保持したまま、トーン信号の変調をオフにする。ステップS35では、変更後のチャンネルを示すチャンネルコード(例えば、所定のデジタル変調でリザーブされたデータ空スロットを利用し、例えば異なるチャンネル9のチャンネルコードである)を含む無線信号を送信する。さらに、ステップS36では、送信を停止し、422MHz帯のチャンネル12に設定変更して制御データメモリ10mに格納し、トーン信号変調をオンに戻す。
【0047】
図6は実施形態2に係る無線通信装置100の「逃げコール機能」を用いた、自局子機装置100Dにより実行される通信制御処理を示すフローチャートである。
【0048】
図6のステップS41において、422MHz帯のチャンネル1と、トーン信号25番(トーン信号周波数:156.7Hz)で無線信号の受信を待ち受けする。次いで、ステップS42において、422MHz帯のチャンネル1で無線信号を受信したか否かが判断され、YESのときはステップS43に進む一方、NOのときはステップS42に戻る。ステップS43において、スピーカ4から音声ガイダンスを出力した後、トーンスケルチをオフする。ここで、音声ガイダンスは、例えば「チャンネル1は混信しています。そのため、チャンネル12へ自動変更します。」である。そして、ステップS44において、トーンスケルチの判定がオフになったか否かが判断され、YESのときはステップS45に進む一方、NOのときはステップS44に戻る。ステップS45では、変更後のチャンネルを示すチャンネルコードを検出し、ステップS46では、検出したチャンネルコードが示すチャンネルが現在の設定値と異なり正常であるか否かが判断され、YESのときはステップS47に進む一方、NOのときはステップS46に戻る。さらに、ステップS47では、チャンネルコードを判別した後、422MHz帯のチャンネル12に設定変更して制御データメモリ10mに格納し、当該処理を終了する。
【0049】
以上説明したように、本実施形態によれば、実施形態1に係る「お願いコール機能」の通信制御処理を試みたにも関わらず混信が続く場合、自局親機装置100Cは自局子機装置100Dに対して自動的にチャンネル変更をさせる「逃げコール機能」を備えたので自動的に無線チャンネルの区画整理が行われ、従来例の既存店舗、新規店舗ともにお互いに電波干渉(混信)することなく快適な通信が可能となる。
【0050】
以上の実施形態2では、実施形態1の「お願いコール機能」を実行した後に、実施形態2に係る「逃げコール機能」を実行しているが、本開示はこれに限らず、「お願いコール機能」を実行せずに、実施形態2に係る「逃げコール機能」を実行してもよい。
【0051】
以上の実施形態2では、ステップS43において事前通知の音声ガイダンスを出力しているが、本発明はこれに限らず、事前通知の音声ガイダンスなしにチャンネルの自動変更を行ってもよい。また変更後のチャンネルを示すチャンネルコードを送信せず、事前通知の音声ガイダンスを出力するだけであってもよい。
【0052】
なお、実施形態1及び2において用いるトーン信号は、以下の表1の例に示すように、アナログのトーンスケルチ型であってもよいし、デジタルコードスケルチ型であってもよい。ここで、トーン信号の識別のためのパラメータである識別子は、周波数、トーン信号番号、コード、コード番号等を含む。
【0053】
【表1】
【産業上の利用可能性】
【0054】
以上詳述したように、本発明に係る無線通信装置によれば、複数の無線通信装置を備えた無線通信システムにおいて提供される無線通信装置において、従来技術に比較して構成が簡単であり、互いに無線通信しない複数のグループ間で混信を防止することができる。
【符号の説明】
【0055】
1 アンテナ
2 送受信スイッチ
3 受信復調部
4 スピーカ
5 トーン信号検出部
6 マイクロホン
7 音声発生部
7m 音声データメモリ
8 信号加算器
9 変調送信部
10 制御部
10m 制御データメモリ
11 操作部
12 PTTキー
13 表示部
100,100A〜100D 無線通信装置
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6