(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施形態を説明する前に、本発明の原理について説明する。
【0012】
(発明の原理)
図1の(a)〜(c)は、本発明のイオン発生装置におけるイオン放出用の風の流れを模式的に示した図である。
【0013】
図2の(a)は、従来のイオン発生装置を保護カバー側から見た平面図であり、(b)は(a)のAA線矢視断面図であり、イオン放出用の風の流れを模式的に示した図である。
【0014】
上述した〔発明が解決しようとする課題〕の欄において説明した通り、従来のイオン発生装置では、
図2の(b)に示すように、保護カバーと回路基板で囲まれた流域部に対して放電電極にて生じる電界が小さい場合、保護カバーの桟を介して導入された風の一部しか当該電界に当たらないため、保護カバーから外部に排出されるイオンの量が少なくなる。例えば、放電電極の先端が保護カバーに近づくように形成されている場合、当該先端部が保護カバーに近づくために、保護カバー内に存在できる電界が小さくなり、保護カバー内での電界の分布に偏りが生じる。
【0015】
これに対して、本発明では、
図1の(a)〜(c)に示すように、保護カバーに送風の上流側から桟を介して導入される風が電界に集約されるように風の流れを整える整流部材(第1整流板、第2整流板、第3整流板)を設けることで、当該保護カバーによって生じる乱流を低減し、且つ、導入される風を効率良く電界に当てている。
【0016】
具体的には、
図1の(a)に示すように、保護カバーの送風方向上流側の桟の外側の回路基板の壁面に近い側に第1整流板を形成し、当該回路基板の内側のイオン発生素子形成面から遠い側に第2整流板を形成する。第1整流板は、保護カバーと回路基板とで囲まれた流域部内に導かれる風のうち、回路基板に近い側の風を当該流域部に導入する前に整流し、第2整流板は、回路基板面から遠い側の風を当該流域部に導入した後で整流することで、それぞれ整流した風を電界に導くようになっている。ここで、第1整流板は、流域部内に導入される風を下向き、すなわち電界側に向けるために必須の構成である。
【0017】
第1整流板は、上側が回路基板まで設けられ、下側が第2整流板と少し重なる位置まで形成されているのが好ましい。これにより、第1整流板で下向きに整流した風を、第2整流板で電界まで適切に導くことができるため、導入される風を効率的に電界に当てることが可能となる。
【0018】
また、
図1の(b)に示すように、
図1の(a)に示す第2整流板の代わりに、保護カバーと回路基板とで囲まれた流域部において、当該保護カバーの、回路基板に対向する位置に桟を経て導入される、第1整流板により下向きに整流された風の流れを整える第3整流板を形成する。第3整流板は、保護カバーの回路基板に対向する位置に送風方向に沿って送風方向上流側の桟から下流側の桟まで延設されたリブ状の部材である。第3整流板は、高さが高ければ高いほど整流効果があるが、高ければ放電電極に近づきすぎ、電界に影響を与えるため、当該電界に影響を与えない程度の高さにするのが好ましい。この第3整流板により、送風方向上流側から下流側まで風の流れを整えることができるという効果を奏する。
【0019】
さらに、
図1の(c)に示すように、
図1の(a)に示す第1整流板、第2整流板と、
図1の(b)に示す第3整流板とを組み合わせてもよい。この場合、第2整流板は、第3整流板の上に形成する。このように組み合わせた場合には、第1整流板及び第2整流板の効果と第3整流板の効果との両方の効果を奏することができるため、電界への送風に損失を生じさせず、且つより多くの風を集約させて電界に当たる風を増やしてやることで、保護カバーから外部に排出されるイオンの量の低減を抑制できる。
【0020】
なお、以下の実施形態では、最初に、
図1の(a)に示すように、保護カバーに第1整流板と第2整流板を設けた例について説明し、次に、実施形態2として、
図1の(b)に示すように、保護カバーに第3整流板のみを設けた例について説明し、さらに、実施形態3として
図1の(c)に示すように、保護カバーに第1整流板、第2整流板、第3整流板を設けた例について説明する。
【0021】
〔実施形態1〕
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明すれば以下の通りである。なお、本実施形態では、本発明のイオン発生装置を空気調和機の一種であるエアコンの室内ユニットに搭載した例について説明する。
【0022】
(エアコンの概要)
図3の(a)は、室内ユニットの正面図、(b)は右側面図である。
図4は、室内ユニットの外観斜視図であり、(a)は吹出方向を上向きにした状態を示し、(b)は吹出方向を下向きにした状態を示した図である。
図5は、
図3の(a)のBB線矢視断面図であり、(a)は吹出方向を上向きにした状態を示し、(b)は吹出方向を下向きにした状態を示した図である。
【0023】
室内ユニットは、
図3の(a)(b)に示すように、前面から底面にかけて湾曲面とされるキャビネット1を備えている。キャビネット1は、熱交換器3及び室内ファン4を備え、上面に吸込口5が形成され、湾曲面に吹出口6が形成される。さらに、キャビネット1の湾曲面には、吹出口6を開閉するルーバ2が設けられている。ルーバ2は、
図4の(a)(b)に示すように、上下両開き可能である。ルーバ2が上下両開きする機構については、公知である。なお、例えば特許第4603085号公報(2010年10月8日登録)に記載の導風パネル20の機構や補助ルーバ30を採用することでも実現可能である。
【0024】
キャビネット1の内部には、
図5の(a)(b)に示すように、吸込口5から吹出口6に至る空気通路7が形成され、この空気通路7に熱交換器3と室内ファン4とが配設される。さらに、空気通路7には、吹出口6近傍にイオン発生装置101が着脱可能に配置されている。ユーザによるイオン発生装置101の着脱は、
図4の(b)に示すように、ルーバ2が下開きした状態で行う。
【0025】
イオン発生装置101は、空気通路7に配置されているため、当該空気通路7内の送風により発生したイオンを吹出口6から排出するようになっている。
【0026】
(イオン発生装置の概要)
図6の(a)は、イオン発生装置の上面図、(b)は、イオン発生装置の正面図である。
図7は、
図6の(b)のDD線矢視断面図である。
【0027】
イオン発生装置101は、回路基板16が蓋11と保護カバー12とで形成された保護ケース内に収納された構造となっている。回路基板16は、正イオン発生用のイオン発生素子10a、負イオン発生用のイオン発生素子10b及び図示しないが他に高圧トランス、高電圧回路、電源回路等を有している。なお、上記保護カバー12は、回路基板16のイオン発生素子10a、10bの放電電極13をユーザが直接触れないようにガードするためのカバーである。
【0028】
イオン発生素子10a、10bそれぞれは、例えばコロナ放電により正イオン及び負イオンを発生させるために、放電電極13と誘電電極(図示せず)を有している。ここで、放電電極13は、空気の通流方向と略直交する方向に離隔して配置されている。放電電極13は、先端がブラシ状の電極である。なお、放電電極13は、回路基板16の壁面から離れた位置に先端が位置するものであれば、他の電極であってもよい。
【0029】
イオン発生素子10aが有する放電電極13は、正イオンを発生する正側放電電極であり、イオン発生素子10bが有する放電電極13は、負イオンを発生する負側放電電極である。
【0030】
従って、回路基板16では、高電圧を発生させる昇圧トランスを備えた図示しない高圧発生回路からイオン発生素子10a及びイオン発生素子10bの放電電極13に高電圧が印加されると、放電電極13の針先でコロナ放電が発生し、イオンが生成される。生成されたイオンは、これらイオン発生素子10a及びイオン発生素子10bを収容する保護カバー12の開口部である桟12aを通して排出される。
【0031】
このイオンの発生量を多くするために、上記構成のイオン発生装置101では、保護カバー12が放電電極13を覆ったときに形成される流域部(保護カバー12と回路基板16とで囲まれた領域)に、上記桟12aが形成された開口部を介して導入される風を、上記放電電極13によって生じる電界に向かわせる整流部材を設けている。この整流部材は、上記桟12aが形成された開口部を通過した風を、上記放電電極13の先端と上記保護カバー12との間の領域(電界15が発生した領域)に向かわせる。本実施形態では、保護カバー12に、整流部材としての第1整流板12b、第2整流板12cを形成した例について説明する。なお、整流部材は、保護カバー12に設けてもよいし、回路基板16に設けてもよい。
【0032】
以下に、保護カバー12の詳細について説明する。
【0033】
(保護カバーの詳細説明)
図8、9は、保護カバーを内側から見た外観斜視図である。
図10は、
図6の(a)のCC線矢視断面図である。
図8〜10に記載の矢印は、図示しない送風機によって送風される風の向き(送付方向)を示す。
【0034】
保護カバー12には、
図8に示すように、風が通り抜けるように複数の桟12aが、送風方向の上流側及び下流側に形成されており、送風方向上流側の桟12aの外側に第1整流板(整流部材)12bが形成されると共に、
図9に示すように、上記桟12aの内側に第2整流板(整流部材)12cが形成されている。
【0035】
第1整流板12bは、
図8に示すように、保護カバー12の送風方向上流側の桟12aの外側に形成された、上記保護カバー12と回路基板16との間に形成される流域部に平行な面を有する板状の部材である。これにより、第1整流板12bは、保護カバー12と回路基板16に囲まれた流域部内に導かれる風を当該流域部に導入する前に整流し、整流した風を電界に導くようになっている。つまり、第1整流板12bによって整流された風は、流体の特性により、流域部に導入された後、回路基板16側で風速が遅くなり、回路基板16から遠ざかる方向(電界15が形成されている方向)に導かれる。
【0036】
なお、保護カバー12は、ユーザが直接放電電極13に触れるのを防止するために、上述のように放電電極13を覆うとしているが、厳密には放電電極13によって生じる電界15を覆うのが好ましい。この電界15は、送風による移動対象となるイオンが発生する電界強度を有する領域を示している。従って、以下の説明では、保護カバー12は、電界15を覆うものとして説明する。
【0037】
また、第1整流板12bは、上記桟12aに沿って、当該桟12aの上端まで形成されている。さらに、上記第1整流板12bは、送風方向上流側の端部から上記桟12aまでの距離が、当該桟12aの上端から下端に向かって徐々に短くなる形状となっている。このように、保護カバー12と回路基板16(の流域部面と平行な面)との間の流域部において、流体の特性上、風の流れが悪くなる、回路基板16付近に、第1整流板12bが形成されることで、整流した風を流すことになる。これにより、回路基板16側の風速をより遅く、回路基板16から遠ざかるにつれて風速が早くなるので、流域部に導入された風は、回路基板16から遠ざかる方向(電界15の位置)に集約することが可能となる。
【0038】
上記第1整流板12bは、送風方向上流側の端部から上記桟12aまでの距離が、当該桟12aの上端から下端に向かって徐々に短くなる形状になっているため、上述のように風速の分布を偏らせる効果以外に、放電電極13に対しての左右方向での整流効果も奏する。
【0039】
第2整流板12cは、
図9に示すように、保護カバー12の送風方向上流側の桟12aの内側に形成された、当該送風方向に平行な面を有する板状の部材である。これにより、特に乱流が発生し易い、保護カバー12の送風方向上流側の桟12aの内側に第2整流板12cが形成されていることで、乱流をより効果的に低減することが可能となる。
【0040】
また、第2整流板12cは、桟12aに沿って、当該桟12aの下端まで形成されている。さらに、第2整流板12cは、送風方向下流側の端部から桟12aまでの距離が、当該桟12aの下端から上端に向かって徐々に短くなる形状となっている。このように、流体の特性上、風の流れが悪くなる、回路基板16から離れた風速が安定している位置に第2整流板12cを形成することで整流した風を導くことができる。これにより、電界15全体に風が当たるようになり、保護カバー12から外部に排出されるイオンの量をさらに増加させることができるという効果を奏する。
【0041】
上記第2整流板12cは、送風方向下流側の端部から上記桟12aまでの距離が、当該桟12aの下端から上端に向かって徐々に短くなる形状になっているため、上述のように風速の分布を偏らせる効果以外に、放電電極13に対しての左右方向での整流効果も奏する。
【0042】
ところで、放電電極13の電圧印加による生じる電界15に対してより均一に風を当てるには、第2整流板12cを電界15にできるだけ近づくように形成する必要があるが、第2整流板12cが電界15に近づきすぎると当該電界15の発生を適切に行うことができない。そこで、
図10に示すように、上記第2整流板12cの高さと送風方向の長さを、上記放電電極13の電圧印加により生じる電界15に影響を与えない長さに設定している。これにより、電界15に影響を与えず、且つ、電界15に対してより均一に風を当てることができる。本実施形態では、この効果を奏するための、放電電極13の先端から第2整流板12cの送風方向端部までの距離を10mmとなるように、第2整流板12cの送風方向の長さを設定している。但し、この距離は、電界15の大きさなどに合わせて適宜変更されるものであり、限定されるものではない。
【0043】
また、第1整流板12bの下端側と第2整流板12cの上端側は桟12aを介して重なっていてもよいし、重なっていなくてもよい。
【0044】
(効果)
以上の構成の保護カバー12を回路基板16に取り付ければ、当該保護カバー12の外部から送風された風は、流域部に導入される前、桟12aの外側に形成された第1整流板12bによって整流され、流域部に導入された後、桟12aの内側に形成された第2整流板12cによって整流される。これにより、第1整流板12bによって整流された風は、流域部内で回路基板16から遠ざかるように流れ、第2整流板12cによって整流された風は、流域部内を真っ直ぐ流れるので、保護カバー12の底面側に集約される。従って、回路基板16の放電電極13によって形成された電界15が保護カバー12の底面側に存在していれば、第1整流板12b及び第2整流板12cによって整流された風を増やして当該電界15に当てることが可能となるため、保護カバー12から排出されるイオンの量を大幅に増加させることができる。
【0045】
従って、上記構成の保護カバー12を用いることにより、当該保護カバー12から外部に排出されるイオンの量の低減を抑制できるという効果を奏する。これにより、本実施形態に係るイオン発生装置101を搭載したエアコンの室内ユニットから排出されるイオン量を増加させることができるという効果を奏する。
【0046】
なお、本実施形態では、保護カバー12内に第1整流板12bと第2整流板12cの両方を形成した例について説明したが、整流効果が得られ、且つ、電界15に風を集約させるためには、整流部材として、保護カバー12に第1整流板12bのみを形成してもよく、また、保護カバー12に第2整流板12cのみを形成してもよい。
【0047】
また、
図8,9では、一部の桟12aに第1整流板12b及び第2整流板12cが形成された例を示しているが、必要な箇所のみに形成してもよいし、全ての桟12aに形成してもよい。
【0048】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、詳細に説明すれば以下の通りである。なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
【0049】
本実施形態に係るイオン発生装置は、前記実施形態1で説明したイオン発生装置とほぼ同じ構成をしている。以下では、本実施形態に係るイオン発生装置と前記実施形態1で説明したイオン発生装置と相違している点について説明する。
【0050】
(イオン発生装置の概要説明)
図11は、本実施形態に係るイオン発生装置102の概略断面図である。
【0051】
イオン発生装置102は、前記実施形態1の
図10に示すイオン発生装置101とほぼ同じ構成であり、第2整流板12cが形成されておらず、新たに第3整流板12dが形成されている点で異なる。つまり、イオン発生装置102では、整流部材として第1整流板12b、第3整流板12dを用いている。
【0052】
第3整流板12dは、
図11に示すように、保護カバー12の回路基板16に対向する面に、上記送風方向に平行な面を有するリブ状の部材である。これにより、保護カバー12に導入される風を、送風方向に平行な面を有するリブ状の第3整流板12dに沿って排出させることができるので、保護カバー12から排出されるイオンの量を多くすることができる。
【0053】
また、上記第2整流板12cは、保護カバー12の送風方向上流側の桟12a形成位置から下流側の桟12a成位置まで延設されている。これにより、第2整流板12cが、保護カバー12の送風方向上流側の桟12a形成位置から下流側の桟12a形成位置まで延設されていることで、保護カバー12で覆われた電界15に対して風を効率よく導くことができる。これにより、電界15に対して効率よく風が当たるようになり、保護カバー12から外部に排出されるイオンの量をさらに増加させることができるという効果を奏する。
【0054】
ところで、電界に対してより均一に風を当てるには、第3整流板12dのリブの高さを電界15にできるだけ近づくように形成する必要があるが、第3整流板12dが電界15に近づきすぎると当該電界15の発生が適切に行うことができない。そこで、上記第3整流板12dのリブの高さを、上記放電電極13の電圧印加により生じる電界15に影響を与えない高さに設定している。これにより、電界に影響を与えず、且つ、電界に対してより効率的に風を当てることができる。本実施形態では、この効果を奏するための、放電電極13の先端から第3整流板12dのリブの先端までの距離を10mmとなるように、第3整流板12dのリブの高さを設定している。但し、この距離は、電界15の大きさなどに合わせて適宜変更されるものであり、限定されるものではない。
【0055】
〔実施形態3〕
本発明のさらに他の実施形態について、詳細に説明すれば以下の通りである。なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
【0056】
本実施形態に係るイオン発生装置は、前記実施形態1で説明したイオン発生装置とほぼ同じ構成をしている。以下では、本実施形態に係るイオン発生装置と前記実施形態1で説明したイオン発生装置と相違している点について説明する。
【0057】
(イオン発生装置の概要説明)
図12は、本実施形態に係るイオン発生装置103の概略断面図である。
【0058】
イオン発生装置103は、前記実施形態1の
図10に示すイオン発生装置101とほぼ同じ構成であり、前記実施形態2で説明した第3整流板12dをさらに形成されている点で異なる。つまり、イオン発生装置103は、整流部材として第1整流板12b、第2整流板12c、第3整流板12dを用いている。なお、第1整流板12b、第2整流板12c、第3整流板12dは、前記の実施形態1,2において既に説明しているので詳細は省略する。
【0059】
従って、イオン発生装置103では、3つの整流板それぞれにより整流された風が流域部内に形成された電界15に当たるようになり、保護カバー12から外部に排出されるイオンの量をさらに増加させることができるという効果を奏する。
【0060】
なお、前記の各実施形態においては、流域部内に形成される電界15が比較的保護カバー12側の底面に偏っている場合に有効である。
【0061】
また、前記の各実施形態では、第1整流板12b、第2整流板12c及び第3整流板12dの断面形状については特に限定せずに説明したが、以下の実施形態4では、第1整流板12b、第2整流板12c及び第3整流板12dの断面形状について説明する。
【0062】
〔実施形態4〕
本発明のさらに他の実施形態について、詳細に説明すれば以下の通りである。なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
【0063】
(保護カバーの詳細説明)
図13は、前記実施形態1の
図8に示す保護カバー12の要部を拡大した図である。
【0064】
図14、
図15は、前記実施形態2の
図9に示す保護カバー12の要部を拡大した図である。
【0066】
第1整流板12b、第2整流板12cは、乱流抑制という観点から、送風方向または送風方向とは逆方向に向かって先細りになる構成が好ましい。従って、第1整流板12b、第2整流板12cの断面形状は、例えば
図15の(a)に示すように、先端までは平行な壁面を有し、先端部が断面三角形状であってもよく、
図15の(b)に示すように、送風方向の先端部を頂点とする断面三角形状であってもよく、
図15の(c)に示すように、先端までは平行な壁面を有し、先端部が断面略半円形状であってもよい。
【0067】
なお、第1整流板12b、第2整流板12c、第3整流板12dの断面形状については、
図15の(a)〜(c)に示す形状に限定されるものではなく、他の形状であってもよい。
【0068】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係るイオン発生装置は、電圧印加により電界15を生じる放電電極13が配置された回路基板16と、上記回路基板16に配置された上記放電電極13を覆い、当該電界に風を通過させる開口部を有し、上記開口部に少なくとも1本の桟12aが形成された保護カバー12と、上記保護カバー12が放電電極13を覆ったときに形成される、当該保護カバー12と上記回路基板16との間の流域部に、上記桟12aが形成された開口部を介して導入される風を、上記電界15に向かわせる整流部材(第1整流板12b、第2整流板12c、第3整流板12d)とを備えていることを特徴とする。
【0069】
上記構成によれば、流域部内の電界に風を集約させ、当該電界全体に当たる風を増やして、保護カバーから外部に排出されるイオンの量を増加させることができる。
【0070】
本発明の態様2に係るイオン発生装置は、上記態様1において、上記整流部材は、上記桟が形成された開口部を通過した風を、上記放電電極の先端と上記保護カバーとの間の領域に向かわせるようにしてもよい。
【0071】
上記構成によれば、流域部内の電界に風を集約させ、当該電界全体に当てる風を増やすことが可能となり、この結果、保護カバーから外部に排出されるイオンの量を増加させることができる。
【0072】
本発明の態様3に係るイオン発生装置は、上記態様1または2において、上記整流部材は、上記保護カバー12の送風方向上流側の上記桟12aの外側に形成された、上記流域部の送風方向に平行な面を有する板状の第1整流板12bを含んでいてもよい。
【0073】
上記の構成によれば、第1整流板によって、流域部に導入される前の風を整流することができるので、当該流域部内には整流された風が導入されることになる。整流された風は、流域部内の回路基板に遠い側では風速が衰えないため真っ直ぐに流れる。
【0074】
これにより、流域部内に導入された風は、当該流域部内の回路基板から遠い位置に集約されることになる。この回路基板から遠い位置に電界が形成されていれば、当該電界全体に当たる風を増やすことが可能となるため、保護カバーから外部に排出されるイオンの量を増加させることができる。
【0075】
本発明の態様4に係るイオン発生装置は、上記態様3において、上記第1整流板12bは、上記桟12aに沿って、当該桟12aの上端まで形成されていてもよい。
【0076】
上記の構成によれば、第1整流板が桟に沿って当該桟の上端まで形成されていることで、保護カバーと上記回路基板との間に形成される流域部において、第1整流板は、回路基板により近い側に導入される風の整流を行うことができる。これにより、保護カバーよりも上流側の風速の遅い風が回路基板から遠い側に流れ込むようになる。
【0077】
本発明の態様5に係るイオン発生装置は、上記態様1〜4の何れか1態様において、上記整流部材は、上記保護カバー12の送風方向上流側の上記桟12aの内側に形成された、当該送風方向に平行な面を有する板状の第2整流板12cを含んでいてもよい。
【0078】
上記構成によれば、第2整流板によって、流域部に導入された風を整流することができるので、整流された風は、流域部内で真っ直ぐに流れる。
【0079】
これにより、流域部内に導入された風は、この流域部に形成された電界に当たることになるため、保護カバーから外部に排出されるイオンの量を増加させることができる。
【0080】
本発明の態様6に係るイオン発生装置は、上記態様5において、上記第2整流板12cは、上記桟12aに沿って、当該桟12aの下端まで形成されていてもよい。
【0081】
上記構成によれば、第2整流板が桟の下端まで形成されていることで、桟による乱流の発生を効果的に抑制できるので、流域部に導入された風は、流域部に形成された電界に効率よく当たることになるため、保護カバーから外部に排出されるイオンの量を増加させることができる。
【0082】
本発明の態様7に係るイオン発生装置は、上記態様5または6において、上記第2整流板12cの送風方向の長さは、上記放電電極13の電圧印加により生じる電界15に影響を与えない長さに設定されていてもよい。
【0083】
上記の構成によれば、電界に対してより均一に風を当てるには、第2整流板を電界にできるだけ近づくように形成する必要があるが、第2整流板が電界に近づきすぎると当該電界の発生を適切に行うことができない。そこで、上記の構成のように、第2整流板の送風方向の長さを、放電電極の電圧印加により生じる電界に影響を与えない長さに設定することで、電界に影響を与えず、且つ、電界に対してより均一に風を当てることができる。
【0084】
本発明の態様8に係るイオン発生装置は、上記態様1〜7の何れか1態様において、上記整流部材は、上記保護カバー12の上記回路基板16に対向する面に形成された、送風方向に平行な面を有するリブ状の第3整流板12dを含んでいてもよい。
【0085】
上記構成によれば、保護カバーに導入される風を、送風方向に平行な面を有するリブ状の第3整流板に沿って排出させることができるので、保護カバーから排出されるイオンの量を多くすることができる。
【0086】
本発明の態様9に係るイオン発生装置は、上記態様8において、上記第3整流板12dは、上記保護カバー12の送風方向上流側の桟12a形成位置から下流側の桟12a形成位置まで延設されていてもよい。
【0087】
上記構成によれば、第3整流板が、保護カバーの送風方向上流側の桟形成位置から下流側の桟形成位置まで延設されていることで、保護カバーで覆われた電界に対して風を効率よく導くことができる。これにより、電界に対して効率よく風が当たるようになり、保護カバーから外部に排出されるイオンの量をさらに増加させることができるという効果を奏する。
【0088】
本発明の態様10に係るイオン発生装置は、上記態様8または9において、上記第3整流板12dのリブの高さは、上記放電電極13の電圧印加により生じる電界15に影響を与えない高さに設定されていてもよい。
【0089】
電界に対してより均一に風を当てるには、第3整流板のリブの高さを電界にできるだけ近づくように形成する必要があるが、第3整流板が電界に近づきすぎると当該電界の発生が適切に行うことができない。そこで、上記の構成のように、第3整流板のリブの高さを、放電電極の電圧印加により生じる電界に影響を与えない高さに設定することで、電界に影響を与えず、且つ、電界に対してより均一に風を当てることができる。
【0090】
本発明の態様11に係る空気調和機は、上記態様1〜10の何れか1態様のイオン発生装置を備えたことを特徴としている。
【0091】
上記構成によれば、空気調和機からのイオンの発生を安定化させることができ、結果として、イオンの発生量を増加させることができる。
【0092】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。