(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6771041
(24)【登録日】2020年9月30日
(45)【発行日】2020年10月21日
(54)【発明の名称】セラミック碍子の製造方法
(51)【国際特許分類】
C04B 37/00 20060101AFI20201012BHJP
H01H 33/66 20060101ALI20201012BHJP
H01B 17/26 20060101ALI20201012BHJP
H01B 19/00 20060101ALI20201012BHJP
【FI】
C04B37/00 Z
H01H33/66 Z
H01B17/26 D
H01B19/00 301
【請求項の数】11
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2018-560510(P2018-560510)
(86)(22)【出願日】2017年4月7日
(65)【公表番号】特表2019-517981(P2019-517981A)
(43)【公表日】2019年6月27日
(86)【国際出願番号】EP2017058352
(87)【国際公開番号】WO2017198391
(87)【国際公開日】20171123
【審査請求日】2019年2月6日
(31)【優先権主張番号】102016208572.7
(32)【優先日】2016年5月19日
(33)【優先権主張国】DE
(31)【優先権主張番号】102016214750.1
(32)【優先日】2016年8月9日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390039413
【氏名又は名称】シーメンス アクチエンゲゼルシヤフト
【氏名又は名称原語表記】Siemens Aktiengesellschaft
(74)【代理人】
【識別番号】100075166
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 巖
(74)【代理人】
【識別番号】100133167
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100169627
【弁理士】
【氏名又は名称】竹本 美奈
(72)【発明者】
【氏名】ベンカート,カトリン
(72)【発明者】
【氏名】ハルトマン,ヴェルナー
(72)【発明者】
【氏名】コレツコ,マルティン
(72)【発明者】
【氏名】コッセ,シルヴィオ
(72)【発明者】
【氏名】ランク,シュテッフェン
(72)【発明者】
【氏名】レッテンマイヤー,トマス
(72)【発明者】
【氏名】ヴェンツェル,ノルベルト
【審査官】
小川 武
(56)【参考文献】
【文献】
特表2004−503904(JP,A)
【文献】
特開昭62−138370(JP,A)
【文献】
特開2000−114355(JP,A)
【文献】
特開平03−254030(JP,A)
【文献】
独国特許出願公開第102012214055(DE,A1)
【文献】
独国特許出願公開第19946343(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B 37/00−37/04
H01H 33/66
H01B 17/26,19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの軸対称セラミック構造要素(6)が対称軸(8)の方向に接合され、構造要素(6)の間に、前記構造要素(6)のセラミック材料よりも高い導電性を有し、軸方向の電界に対して等電位面を形成する等電位層(10)が対称軸に関して垂直に配置される真空遮断器(4)用のセラミック碍子(2)の製造方法であって、前記等電位層(10)の基材を前記セラミック構造要素(6)の間に設置した後、前記セラミック構造要素(6)を焼結工程に供することを特徴とする製造方法。
【請求項2】
前記セラミック構造要素(6)の前記焼結工程において前記構造要素(6)の接合が少なくとも部分的に同時に行なわれることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記等電位層(10)の前記基材が金属箔、金属粉末、金属織物、導電性セラミック又は導電性ガラス形成材料であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記等電位層(10)の前記基材(12)が、グリーン体(14)の状態にある2つの前記セラミック構造要素(6)の間に施されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記等電位層(10)の前記基材(12)が、浸漬被覆により、溶射被覆により、化学的若しくは物理的析出法により、又は箔の形で施されることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
グリーン体(14)の状態にある少なくとも2つの前記セラミック構造要素(6)のセラミック基材(18)及び前記等電位層(10)の基材(12)を、プレス型中において上下に積層して積層体(15)とし、次いで、該積層体(15)を多段階焼結プロセスに付すことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記グリーン体(14)の状態にある前記セラミック構造要素(6)のセラミック基材(18)及び前記等電位層(10)の基材(12)が、交互にプレス型(16)に充填され、続いて、前記グリーン体(14)の状態にある前記セラミック構造要素(6)のセラミック基材(18)及び前記等電位層(10)の基材(12)が、圧縮されて多層グリーン体(20)となることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記セラミック構造要素(6)の高さ(22)が対称軸(8)に沿って5mm〜50mmであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
少なくとも2つの軸対称セラミック構造要素(6)を有し、これらの構造要素(6)が対称軸に関して垂直に配置された1つの等電位層(10)であって、該構造要素(6)のセラミック材料よりも高い導電性を有し、軸方向の電界に対して等電位面を形成する等電位層を介して対称軸(8)の方向に接合されている真空遮断器用セラミック碍子であって、前記構造要素(6)の長さが前記対称軸(8)に沿って5mm〜50mmであることを特徴とするセラミック碍子。
【請求項10】
前記構造要素(6)及び前記等電位層(10)が焼結結合を形成していることを特徴とする請求項9に記載のセラミック碍子。
【請求項11】
前記構造要素(6)の長さが前記対称軸(8)に沿って10mm〜35mmであることを特徴とする請求項9〜10のいずれか1項に記載のセラミック碍子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前文に記載のセラミック碍子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば酸化アルミニウムセラミックスなどの固体の絶縁能力は、高電圧の負荷に関しては、一般に極めて高いが、固体の最終的な絶縁耐力によって制限される。このことは、高圧碍子、特に中圧及び高圧の真空遮断器用のセラミック碍子、にも当てはまる。その理由は、碍子内における放電の形成にあり、これは電界方向における欠陥密度によっても影響を受ける。この場合、固体中の絶縁耐力、絶縁破壊電界強度は、碍子の長さに直接的に比例するのではなく、碍子長さの平方根に比例する。この結果、例えば72kVを超える範囲の高電圧領域、特に約100kVを超える高電圧、の真空遮断器に必要な耐電圧を達成するのは、益々難しくなる。従来、この問題は、特に送電及び配電工学における真空遮断器では、比較的長い単一の円筒状の碍子構成部品に代えて、複数の比較的短い構成部品を使用し、これら複数の比較的短い構成部品を適切な真空密で機械的に安定した接合技術、例えば硬ろう付け、により軸方向に互いに結合することにより、解決されてきた。このように比較的短い複数の碍子の複合体は、上述の内部の耐電圧性の物理法則により、同じ長さの一体の碍子よりも高い耐電圧性を有する。しかしながら、この半田付け法は、全体として、極めて経費を要する。何故なら、結合のために、対応する真空密を発生させるのに高い技術的労力が必要であるからである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って、本発明の課題は、高圧及び中圧開閉システム用に、技術的に高い費用対効果比で製造できるセラミック碍子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この課題の解決方法は、請求項1に記載のセラミック碍子の製造方法に、そして請求項9に記載の特徴を有するセラミック碍子に存在する。
【0005】
ここで、高圧又は中圧開閉システム用セラミック碍子を製造するための請求項1に記載の本発明方法は、少なくとも2つの軸対称セラミック構造要素が、その対称軸に沿って、即ち対称軸の方向に接合され、構造要素間に導電性の等電位層が配置されるという形をとる。対称軸に沿って又は対称軸の方向にとは、この場合、実際、予備形成されたグリーン体を使用する場合には、これらの端面が互いに接合されるということを意味する。更に、構造要素は、軸対称から偏移した形をとることもでき、それ故、対称軸という用語は、特別の場合においては対称面を意味することもある。従って、楕円体又は多角体も好都合である。この方法の特徴は、等電位層の基材がセラミック構造要素の焼結プロセスに先立って既にこれらのセラミック構造要素間に設置されることにある。
【0006】
構造要素という用語は、自立性のセラミック材料を意味し、この材料は、いわゆるグリーン体から出発し、これに焼結プロセスが施される。この場合、グリーン体と呼ばれるのは未焼結状態のセラミック予備成形体であり、これはまだ容易に加工可能である。グリーン体は、例えば、場合によっては結合剤を混合してセラミック粉末を圧縮することにより、泥漿鋳込み成形により又は押出法により、製造される。焼結プロセスでは、微粒状のセラミック又は金属材料が、場合によっては圧力を高めて、加熱されるが、しかし温度は主成分の融点温度以下に留まるので、被加工材の形態又は形状は(通常のいわゆる焼結縮みは別として)ほぼ維持される。この場合、一般に縮みが生じ、出発材料の粒子は圧縮され、孔空間は充填される。この場合、固相焼結と液相焼結とが区別され、固相焼結では、主として個々の粒子間の拡散プロセスにより、いわゆる焼結ネックが形成され、これは堅固な最終的にモノリシックな結合を生じる。同一のプロセスは、液相の関与のもとでも行なわれ、このようにして以前のグリーン体の粒子間にモノリシックな結合が作られる。焼結プロセス中の拡散プロセス及び溶融工程は、グリーン体の相の組成次第では一緒に並列的に1つの基体に行なうことができる。焼結プロセスは、熱処理として温度を高めて、通常は500°〜1,500°で、行なわれ、これは使用されるセラミック基材の態様に又は金属の焼結時にはグリーン体の製造に利用される金属基材の態様に、大きく関係する。
【0007】
この場合、等電位層とは、セラミック構造要素間の導電層を意味し、これは構造要素のセラミック材料よりも高い導電性を有し、対称軸に対して垂直方向に配置され、軸方向の電界に対していわゆる等電位面を形成する。これにより、セラミックは、内部で電気的に短い軸方向片に区分され、これにより部分区間並びに碍子全体の絶縁耐力が高められる。等電位層の製造は、焼結プロセスに先立って未焼成の構造要素間に等電位層を直接挿入する上述の方法により、特に真空密及び電気絶縁に対する高い要求の観点から、製造技術的に著しく簡略化され、斯くして、碍子全体の経費的に有利な製造が達成される。
【0008】
特に有利なのは、セラミック構造要素の焼結工程及び構造要素の接合工程が、等電位層の材料の関与のもとに少なくとも部分的に同一工程で行なわれることである。この場合、同一工程とは、構造要素のグリーン体からなる予め接合された碍子粗材がこのグリーン体の間に配置された等電位層用の基材と一緒に温度処理に掛けられることである。基本的には、構造要素の焼結に関しては、等電位層の形成よりも高い又は低い温度が必要とされてよい。これにより、プロセス全体は、2段階又は多段階なものと解釈でき、基本的には種々の雰囲気が支配するようにすることもでき、その間に冷却工程が行なわれてもよい。これらの連続的に進行する部分工程は、その間に材料の機械的加工は行なわれないので、この場合には同一工程と解釈される。
【0009】
等電位層の基材が金属箔、金属粉末、金属織物、導電性セラミック又は導電性のガラス発生材料であると好都合である。また、上述の物質から成る混合物も使用することができ、このとき、最終的には用途に関して計算上必要とされる導電性に対して、まさにこの導電性が所期のとおりに調整されるように適切な材料組成が選ばれる。この場合、等電位層の基材の選択にあたっては、材料の導電性のほかに、基材の等電位層と構造要素との間の焼結挙動又は接合挙動も考慮される。
【0010】
等電位層の基材は、セラミック構造要素の2つのグリーン体間に導入されると有利である。この実施態様では、先ず1つのグリーン体が上述の古典的なセラミック賦形法で作られ、これが構造要素の予備成形体として用いられる。等電位層の基材が、このようなグリーン体の少なくとも2つの間に導入され、このように形成された基体が焼結プロセスに導かれる。このようにして、焼結プロセスも行なわれる熱処理中に、直接的に且つ同時に、構造要素間の接合が等電位層を形成しながら実行される。この場合、接合法及び焼結法は、ほぼ同時に、有利には同一工程で行なわれ、この工程は上述のように多段階で行なうことができる。
【0011】
この場合、等電位層の基材は、浸漬被覆法、溶射法、例えばプラズマ溶射又はコールドガススプレーなど、更には、例えばいわゆる化学蒸着法などの化学的又は物理的析出法、により施すことができる。更に、箔、特に金属箔、金属焼結体又はグリーン体の形の金属粗材の使用も可能である。
【0012】
或いは、等電位層の基材は、プレス型の充填中にグリーン体のセラミック基材間に導入し、共通の賦形プロセスが特に圧縮により行なわれるようにすることもできる。従って、構造要素の基材及び等電位層の基材が、圧縮されて共通の多層のグリーン体を形成する。続いて、このグリーン体も、一方では接合プロセスを他方では焼結プロセスを有する熱処理法に導かれ、接合プロセスでは、焼結プロセスにおけると同様な物理的現象が、例えば拡散及び溶融接合の形で、起こり得る。
【0013】
本発明の別の対象は、少なくとも2つの軸対称セラミック構造要素を備え、これらの構造要素が等電位層を介して結合される高圧又は中圧開閉システム用のセラミック碍子である。このセラミック碍子は、構造要素の長さがその対称軸に沿って15〜35mmであることを特徴とする。セラミック碍子材料の絶縁耐力とセラミック構造要素の長さとの相関が平方根の形状の経過を取るということに基づき、個々の構造要素の長さを著しく増大しても絶縁耐力の著しい増大は起こらない。複数の接合層、従って等電位層、を必要とする複数の構造要素を使用しつつ、構造要素を著しく短縮し、対応して構造要素間に導電性等電位層を取り付けることにより、碍子をより短く構成しても、より高いか又は少なくとも同等の絶縁耐力を得ることができる。本発明によれば、15mm〜35mm、特に20mm〜30mm、の長さの構造要素を使用することにより、約80mmの長さの構造要素を有する従来の碍子に対して著しく短縮された碍子が得られることが判明している。この場合、短縮化と、技術的に労力を要し経費的に高価な等電位層の使用と、の間の最適化が達成される。
【0014】
この構成は、構造要素と少なくとも1つの等電位層との間にモノリシック結合が存在し、このモノリシック結合が、有利には、例えば構造要素の焼結のため及び焼結プロセスによる等電位層によるこれらの構造要素の接合のための共通の熱処理工程において等電位層用基材の個々の粒子と構造要素のセラミック基材の粒子との間に、生じるときに、特に好都合である。特にモノリシック結合は、焼結結合
であると有利である。
【0015】
本発明の実施形態及び特徴を以下の実施例に基づき詳述する。これは、例示的な実施形態であり、保護範囲を限定するものではない。この場合、種々の実施形態における同一の特徴部分は同一の符号を付されている。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、セラミック碍子を備えた真空遮断器の断面図を示す。
【
図2】
図2は、等電位層の予備成形体と共に積層された構造要素のグリーン体の構成を示す。
【
図3】
図3は、その中で多層のグリーン体が形成される賦形装置を示す。
【
図4】
図4は、セラミック碍子の絶縁破壊電界強度と碍子の長さとの放物線的な関係を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、セラミック碍子2を有する開閉システム4を示し、セラミック碍子2は、等電位層10により互いに分離された2つ以上のセラミック構造要素6を有している。これらの等電位層10は、従来技術では、ろう層又は金属製リングであり、これらは構造要素6の間に、はんだ付けされる。多くの場合、等電位層10又は金属製の結合層は遮蔽板28も有しており、この遮蔽板は、構造要素6のセラミック表面を電界線から遮蔽し、対応して電界線を等電位層に導くものである。構造要素6又はセラミック碍子2は、対称軸8に沿って軸対称的に構成されており、この場合、構造要素は、典型的には回転対称的に示されている。原理的には開閉システム全体は、典型的には、種々の断面半径で回転対称的に形成されている。この場合、セラミック碍子2は、開閉システム4の全体ケーシング26の構成部材である。開閉システム4には、真空開閉室30内に開閉接触子24が配置されており、これらの接触子24は、対称軸8に沿って可動的に形成されており、その動きにより開閉システム4内の電気接触を形成又は遮断できるようになっている。
【0018】
図2は、積層体15を示し、この積層体15は、セラミック構造要素6の予備成形体であるグリーン体14及び等電位層10の基材12を有する。この場合、少なくとも2つのグリーン体14及び基材12は、上下に積層されており、図の実施形態では、グリーン体14は既に別々のプロセスで相応して回転対称的に賦形されている。この場合には、例えば泥漿鋳込み成形法又は軸方向若しくは非軸方向のプレス法が適用される。
図2に示した積層体15は、次いで熱処理プロセスに付される。熱処理プロセスは、この場合、多段階で行なわれ、個々の基材12又はグリーン体14のセラミック基材18の形態及び物理的/化学的挙動に合わせられる。ある熱処理プロセスでは、セラミック基材18が焼結の上述のメカニズムで圧縮されるように、焼結工程が行なわれる。同時に同じ物理的現象に基づく同様のプロセスが行なわれ、この場合にも、場合によって、拡散プロセス及び/又は溶融プロセスにより圧縮が行なわれるが、これは焼結とも呼ばれる。このプロセス後に、基材12が最終的に等電位層10になり、これが既に設置されている構造要素6の間で、真空密で少なくとも部分的に導電性の層を形成する。
【0019】
代替的なやり方では、
図3に示すように、全体を結合するグリーン体20のための成形装置内に、構造要素6のグリーン体14の基材18及び続いて等電位層10の基材12が、交互に、注入される。この注入は、泥漿鋳込み成形法又は粉末埋込み法により行なわれる。続いて圧縮が行なわれるが、図示しない相応するプレス打ち抜き器によるプレス型16の例で示された圧縮は簡略化のため示されていない。この場合言及すべきことは、空洞を発生させ又は環状若しくは円筒状のセラミック碍子を形成するために、プレス型16の中央に芯押し軸17が配置されていることである。種々の基材12、18の交互の注入は矢印32、32′で示されている。
【0020】
このようにして作られた多層のグリーン体20は、既に
図2の構成に関して述べたのと同様の熱処理に供せられる。この場合同様に、構造要素6内又は等電位層10内及び構造要素6と等電位層10間の接合範囲において、個々の粒子間の焼結又は焼結ネックの形成に至る。従って、この場合、
図3のグリーン体20には、
図2のグリーン体と同様に、構造要素6と等電位層10との間のモノリシック結合が形成される。
【0021】
図4は、絶縁破壊電圧34と構造要素6の長さ又は高さ22との関係を示している。上述の値の平方根の形の関係を示す曲線自体は、符号36を付けられている。曲線36の平方根の形のお陰で、構造要素6の長さが増大しても絶縁破壊電圧34の著しい増大は生じないことが判る。碍子が、極めて高い電圧、即ち450kVの範囲の電圧、用に供されなければならない場合には、複数の個々の構造要素が上下に置かれ、経費の掛かるはんだ付け法、特に硬はんだ付けにより真空密に互いに接合される。このような溶融ろうの使用は、一般に高価な銀化合物を必要とし、それ故はんだ付け法は技術的に労力と経費が掛かる。450kV設備に対しては、この場合、通常従来技術では80mmの高さの3つの構造要素がはんだ付け法に従って労力を掛けて互いに繋ぎ合わされる。セラミック碍子全体は従来技術では240mmの長さに達する。
【0022】
上述の方法による配置は、はんだ付け法に比して明らかに費用的に良好である。何故なら、構造要素の繋ぎ方及び焼結の仕方は、一つの工程又は少なくとも部分的に一つの工程で、すなわちインサイチュで、行なわれるからである。これにより、製造時のプロセスに要する労力は著しく簡略化される。このようにして構造要素6又はそのグリーン体14の高さは、15mm〜35mm、有利には20mm〜30mm、となり、同じ450kVの耐電圧性を要求される場合でも4つの構造要素を必要とするだけであることが判明している。これらは3つの連結ジョイントにより互いに繋ぎ合わされ、3つの等電位層10を有する。このようにして等電位層10の数がもう1つの等電位層だけ増えることにより碍子の全長は80mm、即ち、従来技術で公知の碍子の約3分の1、に短縮される。これに対しもう1つの等電位層があるが、これはしかしながら、上述の方法により従来技術で使用されるはんだ付け法よりも明らかに費用的に良好に製造することができる。
【符号の説明】
【0023】
2 セラミック碍子
4 開閉システム
6 構造要素
8 対称軸
10 等電位層
12 基材
14 グリーン体
15 積層体
16 プレス型
17 芯出し軸
18 基材
20 グリーン体
22 長さ又は高さ
32 矢印
32´ 矢印
34 絶縁破壊電圧
36 曲線