【課題を解決するための手段】
【0008】
独国実用新案第202011000755U1号明細書から始まり、本発明は、比較的低コストで入手可能であり、可能な限り単純な構造的手段を使用することによってその取扱いが改善される、外科用クリップアプリケータを提供するという目的に基づく。ここで、1つの目的は、異なるクリップタイプの使用の可能性という観点でクリップアプリケータの柔軟性を向上させることである。さらなる/別の目的は、あり得る最小限のコストで、使い捨て部品として設計されるクリップアプリケータの構成部品を提供することができるということである。
【0009】
この目的は、請求項1の特徴を備えた汎用ハンドグリップ、請求項4の特徴を備えた個別クリップマガジンによるとともに、請求項9の特徴を備えた汎用ハンドグリップおよび個別クリップマガジンを含むクリップアプリケータによって達成される。本発明の有利なさらなる展開は従属請求項に提供されている。
【0010】
本発明の第1態様によれば、外科用クリップアプリケータの汎用ハンドグリップが提案され、それには、圧着ヘッドを備え、かつ、複数の異なるクリップマガジンから任意に選択することができる個別クリップマガジンを、汎用ハンドグリップおよびそれに締結された個別クリップマガジンが、個別クリップを圧着ヘッドにおいて圧着するとともに個別クリップを個別クリップマガジンのクリップ受取部分から個別送り経路を介して圧着ヘッドに向かって搬送するように機械的に相互作用するように、取り付けることができる。この目的で、汎用ハンドグリップは、作動/入力部としての少なくとも1つの手で把持可能なハンドル(ハンドルレバー、鋏ハンドル)と、個別クリップマガジンに対する作動/搬送部としての結合手段とを備える、一体化された力伝達ギアまたはリンケージを備えている。本発明によれば、作動/入力部と作動/搬送部との間に、現時点で取り付けられている個別クリップマガジンの個別送り経路と汎用ハンドグリップの作動/入力部の最大作動距離とのクリップ関連の差を補填、かつ、吸収する適合装置が設けられている。
【0011】
これにより、汎用ハンドグリップに対して、ある一定の最大作動距離/量を提供し、その一定の最大作動距離/量が、これに適したクリップの適用に対して好適である、機械的作動システムを備えることができる。相対的に小さい作動距離/量が必要なクリップを適用しなければならない状況が発生した場合、適合装置は、個別クリップマガジンによって規定される作動距離/量に対して最大作動距離/量の補填または吸収する。これにより、異なるクリップに対して汎用ハンドグリップを使用することも可能になる。
【0012】
適合装置が、好ましくは摺動クラッチまたは解除機構の形態でギアにおける力伝達を遮断する過負荷保護手段を備える場合、有利である。特に、摺動クラッチは、個別クリップをクリップ受取貯蔵部から個別送り経路を介して圧着ヘッドに向かって搬送するために必要な力を超えるとともに、力伝達ギアに過負荷をかける所定作動力未満である滑り値を有するように、調整することができる。このようにすると、力伝達ギアまたはリンケージに対していかなる変更(伝達比変更等)も行う必要がなく、それにより、汎用ハンドグリップの取扱いが全体として簡略化される。
【0013】
本発明の別の態様によれば、外科用クリップアプリケータの汎用ハンドグリップに取り付けられるクリップアプリケータの個別クリップマガジンであって、圧着ヘッドと、クリップ受取部分と、汎用ハンドグリップの手動操作に応じて個別クリップをクリップ受取部分から個別送り経路を介して圧着ヘッドに向かって搬送するクリップ前進手段と、を備える個別クリップマガジンが提案される。ここでは、必要に応じて異なるクリップタイプに対して複数のクリップマガジンから選択することができる個別クリップマガジンは、適用されるクリップタイプに応じて形成される一体化されたコード化(coding)機構を備え、コード化機構により、少なくともそれぞれのクリップタイプに適合された送り経路が規定される。
【0014】
言い換えれば、コード化機構は、異なるクリップマガジンにおいて固定して組み込まれ、それにより、1つの汎用ハンドグリップで、異なるサイズ/取付長を有し、かつ/または異なるクリップタイプを備える、異なるクリップマガジンを使用することができる。これに関して、「送り経路」という用語は、個別クリップのクリップマガジンのクリップ受取部分/クリップ収納手段から圧着ヘッドに向かう搬送経路として理解されるべきである。
【0015】
それぞれのクリップタイプに適合された送り経路を規定するコード化機構がクリップマガジンに組み込まれているという事実により、単一の(汎用)ハンドグリップに複数の異なるクリップマガジンを(着脱可能に)締結し、必要に応じてそれらを交換し、各場合にそこに収納されたクリップを適用することが可能である。実質的にシャフト状の設計であるクリップマガジンは、異なるシャフト長を有してもよい。さらに、異なるクリップマガジンに異なるクリップタイプを蓄えてもよく、これらクリップタイプは、たとえばそれらの形状および/またはサイズおよび/または厚さに関して互いに異なる。これは、同じハンドグリップを維持しながら異なるクリップタイプを適用することができるように、単一の(汎用)ハンドグリップを(たとえば、2つ、3つ、4つ、5つ、またはそれ以上の)複数の異なるクリップマガジンと結合することができることを意味する。
【0016】
したがって、本発明は、クリップアプリケータの取扱いおよび手術室における空間条件を有効に改善し、それは、単にクリップマガジンの適切な選択および交換により、単一のハンドグリップが、単にクリップマガジンを交換することにより、異なるクリップタイプを適用し異なるシャフト長のクリップアプリケータを実現することが可能になるためである。したがって、本発明はまた、手術室において収納されまたは利用可能でなければならない異なるクリップアプリケータの数も低減する。このように、本発明は、手術室における明確さの改善にも寄与する。
【0017】
さらに、それぞれのクリップマガジンに一体化されたコード化機構には、手術の後に滅菌しなければならない再使用可能なハンドグリップの数が低減するという有利な効果がある。
【0018】
好ましくは、コード化機構は、クリップ前進手段を備えており、クリップ前進手段は、クリップ前進手段の長手方向において作用し、かつ送り経路を少なくとも部分的に規定するように意図されている、少なくとも1つの制限止め具を備える。言い換えれば、クリップ前進手段は、コード化機構の第1の必須部であり、個別クリップの送り経路を確保する。例として、クリップ前進手段は、使用者によるハンドグリップの各手動操作とそれによってもたらされる長手方向の移動とにより、常に厳密に1つのクリップがクリップマガジンに蓄えられた複数のクリップから受け取られ、適用器具に向かってかつその中に搬送されるように、配置されまたは構成されるクリップ前進バーとして設計してもよい。特に、クリップ前進手段における少なくとも1つの制限止め具により、クリップ前進手段のハンドグリップのシャフトの長手方向における後方移動および/または前方移動を制限し、それにより、クリップマガジンからの単一クリップの把持と圧着ヘッドに向かうその搬送とを確保することができる。この場合、ハンドグリップ側の適合装置は、制限止め具とぶつかるときに有効になる。これは、ハンドルレバーの追加の作動が、摺動クラッチまたは対応する解除機構の場合に、この作動が個別クリップマガジンに伝達されることなく、可能になることを意味する。
【0019】
本発明の別の、独立したまたは追加の態様によれば、クリップ前進手段が、長手方向またはクリップ前進手段の移動する方向において互いに間隔を開けて配置される2つの制限止め具を備え、これら制限止め具の位置および/または距離が、適用されるクリップタイプに応じて適合され、それにより、送りユニットの後方移動および/または前方移動により、クリップマガジンから厳密に1つのクリップを取り上げ、それを厳密に圧着ヘッドに搬送することが可能になる。制限止め具の位置は、特に、適用されるクリップのサイズおよび/または厚さおよび/または形状とともに、場合によっては、クリップマガジンに収納されるクリップの数および/またはクリップマガジンのシャフト長によって決まる。
【0020】
このように比較的低コストで提供することができるクリップマガジンを提供するためには、少なくとも1つの制限止め具が、切取部および/または曲げ部としてクリップ前進手段に組み込まれる場合に、有利であることが分かった。例として、送りユニットは、シートメタル等から低コストで製造することができる種類のクリップ前進バーであってもよい。そして、少なくとも1つの制限止め具は、必要な場合は、シートメタルに打ち抜き加工をして折り曲げることができる。また、これに代えて、制限止め具が一体化されたプラスチック部品としてクリップ前進手段を実現することも考えられる。
【0021】
本発明の別の、場合によっては独立したまたは追加の態様によれば、クリップマガジンのコード化機構はまた、適用されるクリップタイプに適合されている圧着ヘッド(ジョー部)も備える。言い換えれば、それぞれのクリップタイプに意図的に適合された圧着ヘッドは、クリップの適用中にクリップを閉鎖する正確なプロセスを確保するために、クリップマガジンのコード化機構の必須部であり得る。これは、クリップ前進手段に形成された制限止め具の代わりとしてまたはそれに加えて、コード化機構はまた、適用されるクリップタイプに一致する圧着ヘッドも備えていてもよいことを意味する。これにより、(汎用)ハンドグリップ部のいかなる適合もなしに、確実にかつ安全に異なるクリップサイズ、厚さまたは形状を適用し閉鎖し、かつ/またはシャフト長を使用することができる。この場合、マガジン内に設けられかつ圧着ヘッドを開閉するように意図された機械的システムは、ハンドグリップを介して作動されるように、同様に対応して適合される。ここでは、圧着ヘッドに関連付けられかつマガジン内に設けられた機械的作動システムが、すべての異なるマガジンに対して一様な作動距離/量を必要とし、それにより、結合された汎用ハンドグリップによるそれらの作動が個別送り手段の場合と同様にいかなる適合装置も必要としない場合に、有利である。
【0022】
本発明の特に有利な実施形態では、圧着ヘッドは、開閉プロセスを制御する案内手段を備え、その位置および/または幾何学的形状は、適用されるクリップタイプにかつ/またはクリップマガジンのシャフト長に適合される。例として、案内手段は、比較的大型のクリップでの圧着ヘッドの閉鎖移動が比較的小型のクリップでの圧着ヘッドの閉鎖移動とは異なるように、圧着ヘッドに配置されまたは幾何学的に形成されてもよい。そして、圧着ヘッドに関連付けられかつマガジンに配置される機械的作動システムを標準化することができる。
【0023】
クリップマガジンの圧着ヘッドが、クリップ前進手段の後方移動および/または前方移動を制限するために、クリップ前進手段の少なくとも1つの制限止め具と接触するように適合される場合、有利であることが分かった。言い換えれば、クリップマガジンの圧着ヘッドおよびクリップマガジンのクリップ前進手段は、クリップマガジンから常に厳密に1つのクリップが取り出され、適用器具に向かって搬送されるという意味で、協働することができる。
【0024】
本発明のさらなる、場合によっては独立したまたは追加の態様により、ハンドグリップは、クリップマガジンのコード化機構と協働する上述した過負荷保護手段を備え、この過負荷保護手段は、ハンドグリップおよび/またはそれに締結されたクリップマガジンが、ハンドグリップの手動操作による過剰に高い作動力のために損傷してしまうのを防止する。これは、(機械的)過負荷保護手段がハンドグリップに固定して組み込まれているという措置により、汎用的に使用可能なハンドグリップ部の柔軟な取扱いがさらに改善されることを意味する。
【0025】
本発明の特に費用効率の高い実施形態では、ハンドグリップを再使用可能部品として設計してもよい。これは、異なるクリップマガジンと汎用的に使用することができるハンドグリップを、滅菌後に数回の手術において繰返し使用することができることを意味する。
【0026】
衛生上の理由で、複数のクリップマガジンの各々を使い捨て部品として形成してもよい。
【0027】
本発明のさらなる、場合によっては独立したまたは追加の態様により、ハンドグリップおよび/またはクリップマガジンは、適用されるクリップタイプに適合され、かつ汎用ハンドグリップと現時点で使用することができるクリップマガジンを視覚化するように意図されている、色ベースおよび/または記号ベースのコーディングを備えていてもよい。例として、クリップマガジンのハウジングを、特定のクリップタイプに関連する色で着色してもよい。クリップマガジンをそれとともに使用することができるハンドグリップに明確に関連付ける目的で、ハンドグリップに、対応して関連付け可能なカラーコード化手段を設けてもよい。クリップアプリケータの2つの結合可能な必須部のこのカラーコード化手段により、クリップアプリケータの特に直観的な使用が可能になる。
【0028】
要約すると、本発明により、外科用クリップアプリケータは、ハンドグリップとクリップマガジンとから構成される。クリップマガジンは、ハンドグリップとは別個でありかつ必要に応じてそれに着脱可能に締結し/取り付けることができる構成部品として製造され/提供され、ハンドグリップおよびそれに締結されるクリップマガジンは、個別クリップの適用のための器具を形成し、かつ個別クリップのクリップ収納手段からマガジンの圧着ヘッドに向かうクリップ搬送のための固定送り経路を画定するために協働する。本発明によれば、それぞれに異なるクリップタイプに対して複数の異なるクリップマガジンから必要に応じて選択することができるクリップマガジンは、適用されるクリップタイプに応じて実現される一体化されたコード化機構を備えており、このコード化機構は、少なくともそれぞれのクリップタイプに適合された送り経路を規定する。
【0029】
ハンドグリップは、クリップマガジンが少なくとも部分的に挿入され、必要な場合は適所にスナップ留めすることも可能である、一体化シャフトを備えていてもよい。複数のクリップマガジンの中の各クリップマガジンには、一定数のクリップを配置するかまたは蓄えてもよい。クリップ収納手段に収納される個別クリップの数は、およそ5個から40個のクリップ、好ましくは20個から30個のクリップであってもよい。複数のクリップマガジンの中の個別クリップマガジンは、サイズ(取付長)が異なるために異なる数のクリップを受け取ることができるという点で互いに異なる。個別クリップマガジンのさらに際立った特徴としては、それぞれのクリップマガジンに受け取ることができる、そこに収納される個別クリップのサイズ/幅、デザイン(U字型またはV字型)および厚さ(caliperまたはthickness)が挙げられる。例として、識別のためのこれらの異なるクリップは、「小型」、「中型」、「中大型」または「大型」と呼ぶことができる。複数のクリップマガジンの中のクリップマガジンはまた、達成されるそれらのシャフト長に関して、または、たとえば240mm、290mmまたは340mmとなり得るアプリケータ長全体に関しても異なっていてもよい。
【0030】
汎用ハンドグリップは、たとえば、サイズが「小型」の20個のクリップを保持し、組み合わされた、すなわち組み立てられた状態で、アプリケータ長が240mmになるクリップマガジンと組み合わされるように構成してもよい。同じハンドグリップを、サイズが「中型」の20個のクリップを保持し組み合わされた状態でアプリケータ長が240mmになるクリップマガジンと組み合わされるように構成してもよい。
【0031】
この組合せ方式によれば、少なくともかつ/またはたとえば、クリップアプリケータのアセンブリに対してそれぞれのクリップマガジンとの汎用ハンドグリップの以下の表で示す組合せが考えられる。
【0032】
【表1】
【0033】
本発明について、以下に添付の図を参照して好ましい例示的な実施形態に基づいて詳細に説明する。