【文献】
SHIRATORI TAKAAKI ET AL,"Efficient Large-Scale Point Cloud Registration Using Loop Closures",2015 INTERNATIONAL CONFERENCE ON 3D VISION,IEEE,2015年10月19日,pages 232-240
【文献】
YU FISHER ET AL,"Semantic Alignment of LiDAR Data at City Scale",2015 IEEE CONFERENCE ON COMPUTER VISION AND PATTERN RECOGNITION (CVPR) ,IEEE,2015年 6月 7日,pages 1722-1731
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態を更に詳しく説明する。本発明のいくつかの実施形態が図面に示されているが、本発明は様々な形態で具現化されてもよく、本明細書に記載の実施形態に限定されると解釈されるべきではなく、逆に、これらの実施形態は、本発明をより明確かつ完全に理解するために提供されていることを理解されたい。なお、本発明の図面及び実施形態は例示的なものにすぎず、本発明の保護範囲を限定するものではない。
【0012】
上述したように、自動運転の分野では、従来の地図作成方法は、主に、全地球航法衛星システム(GNSS)/慣性航法装置(SINS)からなるナビゲーションシステムによって提供される高精度全地球測位結果に応じて、地図を作成することであり、当該システムは、遮るもののない高速道路などの場所では確かにセンチメートルレベルの精度を提供することができる。しかしながら、高層ビルが密集している場所やトンネルなどの一般的な都市のシーンでは、GPS信号が弱くなったり完全に欠落したりして、慣性航法エラーが急速に蓄積され、正確なレーザレーダ姿勢を得ることができず、その結果、シーンの再構成精度は自動運転の要求を満たすことができない。加えて、GPS信号の欠失は、特に大規模な都市の道路の場合、点群データフレームのスプライシングにおける高計算量につながり、高い計算効率及び計算精度を達成することが困難である。
【0013】
前記問題について、本発明の実施形態は、3次元シーンを再構成するための技術案を提供する。当該技術案は、3次元シーンを複数の独立した部分に分割し、各部分に対して点群データフレームの姿勢パラメータを最適化する。次に、最適化された各部分を組み合わせる。このようにして、3次元シーンの再構成と高精度地図の作成に関する分散処理を実現することができ、複雑なシーンに対する処理効率や計算精度を向上させることができる。
【0014】
以下、本発明の実施形態に対して、
図1〜
図7を参照しながら具体的に説明する。
【0015】
図1は、本発明の実施形態を実施可能な例示的な環境100を示す概略図である。環境100では、レーザーレーダを搭載した収集エンティティ116(例えば、車両)が道路120上を移動して、収集エンティティ116が配置されているシーン102に関連するデータを収集する。
【0016】
本発明のコンテキストでは、「収集エンティティ」という用語は、点群、データ、及び/又は他の適切なデータを収集可能なエンティティであり、例えば、車両、人、又は他の移動可能なデバイスなどが挙げられる。レーザーレーダは、シングルラインレーザーレーダ、マルチラインレーザーレーダ、3Dレーザーレーダなどであってもよい。上記実施形態は、本発明の単なる例示であり、本発明の実施形態の範囲を限定することを意図しないと理解されるべきである。
【0017】
収集エンティティ116の移動中、レーザーレーダは、収集エンティティ116が配置されているシーン102の3次元情報を記述する点群を取得する。
図1に示すように、シーン102は、収集エンティティ116が現在位置している道路120、収集エンティティ116の両側の木112、及び収集エンティティ116の前の建築物114などを含む。収集された点群データは、道路120、木114、及び建築物114上の各点の空間座標などの3次元情報を記述することが可能である。また、シーン102は、車両118のようないくつかの移動物体をさらに含む。したがって、取得された点群データは、車両118などの移動物体を記述する空間座標などの3次元情報を含んでもよい。
【0018】
マルチラインレーザーレーダを一例として、1回のスキャンによって得られる点群は、一フレームの点群又は1つの点群データフレームという。例えば、64ラインのレーザーレーダが0.1秒で360°スキャンすると、当該レーザーレーダは、1秒間に10フレームの点群を取得することができる。当業者は、レーザーレーダのようなセンサの位置(例えば、3次元座標)及び方向(例えば、姿勢角)をそのようなセンサの姿勢ともいうことを理解するであろう。例えば、センサは、3Dデータを取得するときに姿勢パラメータによって定義される姿勢を有すると考えることができる。例えば、姿勢パラメータは、座標及びピッチ角などの6つのパラメータを含んでもよい。
【0019】
収集エンティティ116は、移動中に収集された点群をクラウドストレージデバイスにアップロードすることができる。当業者であれば、点群をクラウドストレージデバイスに格納することに限定せず、他のストレージデバイスに格納することもできることを理解するであろう。例えば、点群は、例えば収集エンティティ116などに配置可能なハードディスクのような従来のメモリに格納することもできる。
【0020】
コンピューティングデバイス104は、クラウドストレージデバイス又は他のストレージデバイスから、収集エンティティ116によって収集されたデータを取得することができる。コンピューティングデバイス104は、大規模データ処理の計算性能を向上させるための並列計算能力を有する分散型コンピューティングデバイスであってもよい。コンピューティングデバイス104は、点群データを処理し、
図1に示すシーン106のような3次元シーンを再構成して出力することができる。再構成されるシーン106には、道路126、木122、及び建築物124が示される。道路126には、車線の情報が含まれてもよい。再構成されるシーン106は、更に、自動運転などの応用に使用するように高精度地図の作成に利用可能である。
【0021】
なお、
図1に示す様々な構成要素の数、構造、接続関係、及びレイアウトは、限定的なものではなく例示的なものであり、構成要素の一部は所望により選択できる。当業者は、本発明の範囲内で、数、構造、接続関係及びレイアウトなどに関して調整を行うことができる。
【0022】
図2は、本発明のいくつかの実施形態に係る3次元シーンを再構成するための方法200を示すフローチャートである。方法200は、
図1に示すコンピューティングデバイス104によって実行することができる。前述のように、コンピューティングデバイス104は、複数のコンピューティングノードを含む分散型コンピューティングデバイスであってもよい。
【0023】
ブロック202において、コンピューティングデバイス104は、3次元シーンを対象とする点群データフレームセットを取得し、点群データフレームセット内の点群データフレームそれぞれは姿勢パラメータを有する。例えば、点群データフレームセットは、収集エンティティによって都市道路上でレーザーレーダを用いて取得することができる。上述した通り、点群データフレームを取得するとき、レーザーレーダなどのセンサの位置及びポジションは、当該点群データフレームに対応する姿勢パラメータと呼ばれることができる。例えば、姿勢パラメータは、座標及びピッチ角などの6つのパラメータを含んでもよい。収集エンティティは、全地球航法衛星システム(GNSS)及び/又は慣性計測装置(IMU)を更に含んでもよい。GNSSは、全地球測位システム(GPS)、北斗システム、ガリレオシステム、GLONASSなどを含む。
【0024】
ブロック204において、コンピューティングデバイス104は、点群データフレームセットから、3次元シーンの一部に対応するサブセットを確定する。このようにして、3次元シーンを複数の部分に分割することができ、各部は、対応点群データフレームのサブセットに対応する。コンピューティングデバイス104が分散型コンピューティングデバイスである場合、異なるコンピューティングノードが点群データフレームサブセットを並列に処理して計算効率を向上させることができるように、異なる点群データフレームサブセットを異なるコンピューティングノードに送信することができる。これにより、都市の大規模シーンの地図作成の最適化計算に時間がかかるという問題が効果的に解決される。
【0025】
本発明の実施形態によれば、様々な方法により、シーンの確定の部分に対応するサブセットを点群データフレームセットから確定することができる。
図3は、本発明のいくつかの実施形態に係る、点群データフレームサブセットを確定するための方法300を示すフローチャートである。方法300は、
図1に示すコンピューティングデバイス104によって実行されることができる。
【0026】
ブロック302において、コンピューティングデバイス104は、点群データフレームセットに対応する軌跡に基づいて、3次元シーン内の交差点の位置を確定する。点群データフレームセットに対応する軌跡は、点群データフレームの初期姿勢に基づいて確定可能である。例えば、点群データフレームの初期姿勢は、全地球航法衛星システム(GNSS)及び/又は慣性計測装置(IMU)によって確定可能である。いくつかの実施形態では、収集エンティティの開始点に良好なGNSS信号があり、収集エンティティの位置も正確に確定可能である。収集エンティティが移動するにしたがって、GNSS信号は遮蔽されるにより弱まるか又は消える可能性があり、初期姿勢はIMUによって増分的に確定可能である。
【0027】
いくつかの実施形態では、一部の道路上で複数回の点群データ収集が実行された可能性があるので、これらの道路は複数の軌跡を有する可能性がある。したがって、軌跡画像を拡大処理することで、複数の軌跡に対応する道路を1本の線に結合することができる。例えば、1本の道路は10本の軌跡線を有することが可能であり、これらの10本の軌跡線を拡大することで1本の線に結合することができる。拡大処理後の画像に対して、コーナー検出法により交差点のコーナー点を確定することができる。当業者であれば、交差点のコーナー点は、現在知られているか又は将来開発されるコーナー検出法によって確定可能であり、本発明はここで限定しないことを理解するであろう。コーナー検出法により、1つの交差点に対応する1つ以上のコーナー点を検出可能である。例えば、1つの交差点で2つの点又は4つの点を検出可能である。1つの交差点で複数のコーナー点が検出された場合、当該交差点の位置はクラスタリング法によって確定可能である。当該位置のグローバル座標系における平面座標は、画像の画素から逆算可能である。
【0028】
ブロック304において、交差点の位置に基づいて、交差点を接続する接続図を作成する。例えば、軌跡の接続性に応じて、確定された交差点を接続して交差点の接続図を形成することができる。
【0029】
ブロック306において、接続図に基づいて閉経路を3次元シーンの前記一部として決定することができる。例えば、抽出された交差点と、レーザーレーダによって収集された軌跡のシーケンスとを通じて、各交差点の座標の相互接続性が得られ、各閉経路(閉ループ又はループバックともいう)が確定される。この場合、誤差のドリフトを減らし、最適化の精度を向上させるために、閉ループ検出(ループバック検出ともいう)は点群のスプライシングプロセス中に実行されてもよい。当業者は、閉ループ検出が現在知られているか又は将来開発される任意の適切な閉ループ検出法によって実行されることを理解するであろう。
【0030】
ここで、
図2を再び参照し、ブロック206において、サブセット内の点群データフレームの姿勢パラメータを調整して、調整後のサブセットを取得する。調整後のサブセットは、マッチするオーバーラップ部分を有する少なくとも2つの点群データフレームを含む。例えば、各点群データフレームのオーバーラップ部分のゴーストを減らすために、点群データフレームサブセット内の各点群データフレームをスプライシングすることが可能である。
【0031】
姿勢パラメータは、様々な方法で調整可能である。
図4は、本発明のいくつかの実施形態に係る姿勢パラメータを調整するための方法400を示すフローチャートである。方法400は、コンピューティングデバイス104によって実行されることができる。例えば、コンピューティングデバイス104が分散型コンピューティングデバイスである場合、方法400は、分散型コンピューティングデバイスのうちの1つのコンピューティングノードによって実行可能である。更に、
図4は、方法400が複数のステップを順に含むことを示すが、本発明の範囲から逸脱しない限り、これらのステップのうちの1つまたは複数が省略可能であり、しかもこれらのステップの順序が適切に調整可能であることを当業者は理解するであろう。
【0032】
ブロック402において、コンピューティングデバイス104は、動的オブジェクトに関連付けられたデータ点を、点群データフレームサブセットの点群データフレームから削除する。
図1に示すように、3次元シーン102は、車両118、歩行者(図示せず)などのような動的オブジェクトを含んでもよい。3次元シーン102の再構成について、動的オブジェクトはノイズと見なされてもよい。したがって、動的オブジェクトの影響を排除するために、まず、動的オブジェクトを表すデータ点を点群データフレームから削除することができる。
【0033】
いくつかの実施形態では、地面検出及びバウンディングボックスに基づく方法によって、動的オブジェクトを検出することができる。この方法では、点群データフレームから地面を抽出可能である。例えば、ランダムサンプルコンセンサス(RANSAC)、平面フィッティングなどの方法を用いて地面を抽出することができる。当業者は、現在知られているか又は将来開発される画像処理方法によって、地面を抽出することが可能であり、本発明はここで限定しないことを理解するであろう。地面が抽出された後、地面を表すデータ点を点群データフレームから削除することができる。
【0034】
実際の適用シナリオでは、非地上データ点は、建築物の壁、植物(例えば、木)などを含んでもよい。地面を表すデータ点が除去された後、地面による接続がないので、これらのオブジェクトの空間分布は、離散性と不連続性を示す可能性がある。このような状況において、オブジェクトを表すデータ点は、クラスタリングによって複数のグループに分割されることができ、各グループは、対応するオブジェクトを表すことができる。例えば、各車両、木などをグループにクラスタリングすることができる。
【0035】
車両などのオブジェクトの属性(例えば、幾何学的特性)に基づいて動的オブジェクトをマッチング及び抽出することができる。例えば、バウンディングボックス法によって動的オブジェクトをマッチング及び抽出することができる。例えば、車両を例として、車両のサイズ(例えば、長さ、幅、高さ)とマッチするバウンディングボックスを使用して車両を検出することができる。動的オブジェクトが抽出された後、動的オブジェクトを表すデータ点を点群データフレームから削除し、地面を表すデータ点を追加することができる。
【0036】
異なる点群データフレームにおける動的オブジェクトの位置が異なるので、点群スプライシング中で誤差が発生する。点群データフレームから動的オブジェクトを表すデータ点を削除することで、このような誤差の発生が低減、又は排除し、マッチング精度及び安定性を向上させることができる。以上、地面検出及びバウンディングボックスに基づく方法を参照しながら動的オブジェクトに対する処理を説明した。しかしながら、当業者は、ルールに基づく検出、学習に基づく検出などのような、現在知られているか又は将来開発される他の検出方法によって、動的オブジェクトを除去することが可能であることを理解するであろう。
【0037】
ブロック404では、コンピューティングデバイス104は、点群データフレームから静的オブジェクトを抽出することができ、例えば、点群データフレーム内の平面(地面、壁など)及び柱状物(トランク、街灯など)を抽出し、強く構造化された情報を有するデータのみを残して、その後のマッチング精度を向上するようにする。コンピューティングデバイス104は、平面特徴及び/又は線形特徴を抽出することができる。例えば、ポイントクラウドライブラリ(PCL)を用いて地面などの平面を抽出することができ、領域成長法を使用してトランクなどの柱状物を抽出することができる。当業者であれば、静的オブジェクトを抽出するために現在知られているか又は将来開発される任意の適切な方法を使用できることを理解するであろう。
【0038】
ブロック406において、コンピューティングデバイス104は、オーバーラップを有する点群データフレーム内の対応オブジェクト間の特徴距離に基づいて、姿勢パラメータを調整することができる。例えば、2つの点群データフレームに対して共通領域がスキャンされた場合、これらの2つの点群データフレームは、オーバーラップを有する点群データフレームを形成することができる。例えば、第1の点群データフレームと第2の点群データフレームがオーバーラップを有する場合、第1の点群データフレームと第2の点群データフレームにおける対応オブジェクト間の特徴距離を確定することができ、当該特徴距離に基づいて姿勢パラメータを調整可能である。オブジェクトは、ブロック404で確定された平面特徴(例えば、地面又は壁など)又は線形特徴(例えば、トランク又は街灯など)であってもよい。点群データフレームサブセット内のこれらすべてのオブジェクト間の特徴距離を合計することができ、特徴距離の和を最小化することによって姿勢パラメータを調整することができる。例えば、最小二乗法を使用して求解することができ、現在知られているか又は将来開発される任意の適切な方法を使用して求解することができることを当業者は理解するであろう。
【0039】
上述したように、点群データを収集する際に、道路上で複数回の収集を行ってもよい。例えば、各道路上で5回往復で収集を行ってもよい。したがって、点群データフレームに対して、当該点群データフレームとオーバーラップを有する点群データフレームは、時間的に連続して収集された1つまたは複数の点群データフレームと、当該位置(例えば、当該位置から一定の距離以内に)が何度も通過するときに収集された点群データフレームとを含んでもよい。したがって、1つの点群データフレームを複数の点群データフレームとペアにすることができる。
【0040】
点群データフレームサブセット内のすべての点群データフレームの姿勢パラメータを最適化することは、大量の計算を必要とするので、独立した計算ノードで処理する場合、より有利である。また、平面特徴及び線形特徴を抽出し、平面特徴及び線形特徴に基づいてマッチングを実行することによって、ノイズが低減され、マッチング精度及び計算効率が向上可能である。
【0041】
いくつかの実施形態では、抽出された平面及び円柱体(円柱体は、中心を通る直線と見なすことができる)に対して、
と表すことができる。ここで、
は中心座標を表し、
は平面の法線ベクトル又は直線の方向を表す。点群がマッチする場合、P点から平面特徴までの特徴距離は、式(1)に従って計算され、P点から直線特徴までの特徴距離は、式(2)に従って算出されることができる。
【0044】
レーザーレーダの事前姿勢は、
であり、2つのフレームのレーザ点群は、それぞれ
(上記の抽出された平面特徴及び法線ベクトルを含む)である。点群をマッチングする目的は、
をマッチングすることによって最適な姿勢差
を確定することである。このようにして、レーザーレーダの事後姿勢は、
として導出され得る。
【0045】
上述のように、オーバーラップ領域を有する点群データフレームの対応する特徴(例えば、平面特徴及び/又は線形特徴)が確定されることができ、それらの特徴に対して線間距離及び平面間距離が計算され、オーバーラップ領域を有する全ての点群データフレームの線間距離及び平面間距離を最適化対象関数として合計し、式(3)に示すように、前記対象関数を最小化することによって、最適な姿勢差
を求める。
【0047】
ここで、i及びjは2つの点群データフレームを表し、kはデータ点を表す。
【0048】
以上、式(1)〜(3)を参照しながら本発明のいくつかの実施形態による姿勢パラメータ最適化方法を説明した。上記の式を提供する目的は、本発明の実施形態をより明確に説明することであり、限定することではないことを当業者は理解するであろう。
【0049】
現在、
図2を再び参照し、コンピューティングデバイス104は、調整されたサブセットを使用して、点群データフレームセットを更新する。各部分は別々に最適化されるので、グローバルの姿勢調整は、共同参加の姿勢の制約を通して実行される。例えば、点群データフレームサブセット内の全ての点群データフレームの姿勢パラメータを全体的に最適化することができる。具体的には、3次元シーンの他の部分を確定することができ、他の部分は3次元シーンの一部と重なる。例えば、2つの閉経路が部分的に重なり合う経路を有する可能性がある。3次元シーンの他の部分に対して、他の部分に対応する点群データフレームサブセットを確定することができ、これはブロック206または
図3に示す方法300によって処理されたものであってもよい。2つのサブセットの点群データフレームの姿勢パラメータを調整することによって、3次元シーンのオーバーラップ部分の対応する点群データフレームは互いに重なり合うか、または対応する点群データフレームの姿勢パラメータは等しくなる。
【0050】
例えば、各点群データフレームサブセットは、例えば回転行列A及び並進ベクトルbなどの対応する姿勢調整パラメータを有する。例えば、第iのシーン部分と第jのシーン部分とにオーバーラップがある場合、オーバーラップ部分に対して、点群データフレームが繰り返して使用されたので、対応する点群データフレームの姿勢パラメータは、同等のものである必要がある。例えば、対応する点群データフレームは、関係A
iS
i+b
i=A
jS
j+b
jを満たす必要がある。ここで、A
i、b
i、A
j、b
jは、第iの点群データフレームサブセット及び第jの点群データフレームサブセットの回転行列と並進ベクトルをそれぞれ表す。点群データフレームサブセットの姿勢は、点群データフレームのうちの1つの姿勢として定義することができ、当該サブセット内の他の点群データフレームの姿勢は、当該点群データフレームの姿勢の相対姿勢として理解することができる。例えば、2つのシーン部分で繰り返して使用される点群データフレームの姿勢は、対応するサブセットの姿勢として定義することができる。
【0051】
いくつかの実施形態では、GNSS(例えば、GPS)が信頼度を提供し得る場合、全体的なレーザーレーダ姿勢を最適化するために、GNSS信号が良質である姿勢を固定することができる。例えば、対応する点群データフレームの姿勢パラメータはGNSSによって確定されてもよく、点群データフレームセットは当該点群データフレームの姿勢パラメータに基づいて更新される。例えば、A
i*S
Hi+b
i=^S
Hの場合、GNSSの信頼度の高い姿勢(S
H)は最適化の前後で変化しない。例えば、点群データフレームサブセット内の1つの点群データフレームが、良好なGNSS信号に対応する場合、当該点群データフレームの姿勢パラメータは、ブロック206で最適化された後に元の姿勢パラメータから外れる可能性があり、元の姿勢パラメータは、信頼度の高いGNSS信号によって確定されるものである。したがって、当該点群データフレームの姿勢パラメータを元の姿勢パラメータに変更することができ、当該点群データフレームのサブセット内の他の点群データフレームの姿勢パラメータも同様に調整される。高い信頼度を有するGNSS信号によって、点群のスプライシングの精度を更に向上させることができる。
【0052】
図5は、本発明のいくつかの実施形態に係る3次元シーンを再構成するための装置500を示すブロック図である。装置500は、
図1のコンピューティングデバイス104内に含まれ、又はコンピューティングデバイス104として実現されてもよい。
図5に示すように、装置500は、3次元シーンを対象とする点群データフレームセットを取得するように配置される点群取得モジュール502を備え、点群データフレームセット内の点群データフレームそれぞれは、姿勢パラメータを有する。装置500は、点群データフレームセットから、3次元シーンの一部に対応するサブセットを確定するように配置されるサブセット確定モジュール504を更に備える。装置502は、サブセット内の点群データフレームの姿勢パラメータを調整して、調整後のサブセットを取得するように配置される姿勢調整モジュール506を更に備え、調整後のサブセットは、マッチするオーバーラップ部分を有する少なくとも2つの点群データフレームを含む。また、装置500は、調整後のサブセットを使用して、点群データフレームセットを更新するように配置される点群更新モジュール508を更に備える。
【0053】
いくつかの実施形態では、サブセット確定モジュール504は、点群データフレームセットに対応する軌跡に基づいて、3次元シーン内の交差点の位置を確定するように配置される交差点確定モジュールと、交差点の位置に基づいて、交差点を接続する接続図を形成するように配置される接続図形成モジュールと、接続図に基づいて3次元シーンの一部として閉経路を確定するように配置される部分確定モジュールとを備える。
【0054】
いくつかの実施形態では、交差点確定モジュールは、軌跡を拡大することによって、道路を表す経路を決定するように配置される経路確定モジュールと、経路に基づいて交差点内の少なくとも1つの点を確定するように配置されるコーナー点確定モジュールと、交差点内の少なくとも1つの点に基づいて交差点の位置を確定するように配置される位置確定モジュールと、を備える、
【0055】
いくつかの実施形態では、姿勢調整モジュール506は、サブセット内の点群データフレームから動的オブジェクトに関連するデータ点を削除して、サブセットを更新するように配置される動的オブジェクト除去モジュールと、更新されたサブセット内の点群データフレームの姿勢パラメータを調整するように配置される第1の姿勢パラメータ調整モジュールと、を備える。
【0056】
いくつかの実施形態では、動的オブジェクト除去モジュールは、点群データフレームから、地面を表すデータ点を削除するように配置される地面除去モジュールと、点群データフレーム内の動的オブジェクトを識別するように配置される動的オブジェクト識別モジュールと、点群データフレームから動的オブジェクトを表すデータ点を削除するように配置されるデータ点削除モジュールと、地面を表すデータ点を点群データフレームに追加するように配置される地面追加モジュールと、を備える。
【0057】
いくつかの実施形態では、動的オブジェクト識別モジュールは、点群データフレーム内の点群データフレームをクラスタリングして、点群データフレーム内で複数のグループを決定するように配置されるクラスタリングモジュールと、複数のグループから動的オブジェクトの属性にマッチするグループを確定するように配置されるマッチングモジュールと、を備える。
【0058】
いくつかの実施形態では、姿勢調整モジュール506は、複数の点群データフレームから静的オブジェクトを表すデータ点を抽出して、サブセットを更新するように配置されるデータ点抽出モジュールと、更新されたサブセット内の点群データフレームの姿勢パラメータを調整するように配置される第1の姿勢パラメータ調整モジュールと、を備える。
【0059】
いくつかの実施形態では、少なくとも2つの点群データフレームは、第1の点群データフレームと第2の点群データフレームとを含み、姿勢調整モジュール506は、第1の点群データフレームと第2の点群データフレーム内の対応するオブジェクト間の特徴距離を確定するように配置される特徴距離確定モジュールと、特徴距離に基づいて姿勢パラメータを調整するように配置される第2の姿勢パラメータ調整モジュールと、を備える。
【0060】
いくつかの実施形態では、点群更新モジュール508は、3次元シーンの一部と重なる3次元シーンの他の部分を確定するように配置される他の部分確定モジュールと、点群データフレームセットから、3次元シーンの他の部分に対応する他のサブセットを確定するように配置されるサブセット確定モジュールと、サブセット内の第3の点群データフレームが他のサブセット内の第4の点群データフレームと重なるように、サブセット及び他のサブセット内の点群データフレームの姿勢パラメータを調整するように配置される第3の姿勢パラメータ調整モジュールと、を備える。
【0061】
いくつかの実施形態では、点群更新モジュール508は、全地球航法衛星システムによって一部における第5の点群データフレームの姿勢パラメータを確定するように配置される姿勢パラメータ確定モジュールと、第5の点群データフレームに基づいて点群データフレームセットを更新するように配置される点群データ更新モジュールと、を備える。
【0062】
図6は、本発明の実施形態を実施するために使用可能な装置600を示す概略ブロック図である。装置600は、
図1のコンピューティングデバイス104を実施するために使用可能である。図に示すように、装置600は、読み出し専用メモリ(ROM)602に記憶されているコンピュータプログラム命令又は記憶ユニット608からランダムアクセスメモリ(RAM)603にロードされたコンピュータプログラム命令によって様々な適当な動作及び処理を実行することができる中央処理装置(CPU)601を備える。RAM603には、装置600の動作に必要な様々なプログラム及びデータが更に記憶されることが可能である。CPU601、ROM602及びRAM603は、バス604を介して互いに接続されている。入力/出力(I/O)インターフェース605もバス604に接続されている。
【0063】
装置600内の複数の構成要素は、キーボード、マウスなどの入力ユニット606と、様々なタイプのディスプレイ、スピーカなどの出力ユニット607と、磁気ディスク、光ディスクなどの記憶ユニット608と、ネットワークカード、モデム、無線通信送受信機などの通信ユニット609とを備えるI/Oインターフェース605に接続されている。通信ユニット609は、装置600がインターネットなどのコンピュータネットワーク及び/又は様々な電気通信ネットワークを介して他の装置と情報/データを交換することを可能にする。
【0064】
上述の様々なプロセス及び処理は、例えば方法200〜400など、処理ユニット601によって実行可能である。例えば、いくつかの実施形態では、方法200〜400は、記憶ユニット608などの機械可読媒体に有形に実施されるコンピュータソフトウェアプログラムとして実現されてもよい。いくつかの実施形態では、コンピュータプログラムの一部又は全部は、ROM602及び/又は通信ユニット609を介して装置600にロード及び/又はインストールされてもよい。コンピュータプログラムがRAM603にロードされ、CPU601によって実行されると、上述の方法200〜400のうちの1つまたは複数のステップを実行可能である。あるいは、他の実施形態では、CPU601は、他の任意の適切な手段によって(例えば、ファームウェアによって)方法200〜400を実行するように配置されてもよい。
【0065】
本発明は、方法、装置、システム、及び/又はコンピュータプログラム製品であってもよい。コンピュータプログラム製品は、本発明の各態様を実行するためのコンピュータ可読プログラム命令がロードされたコンピュータ可読記憶媒体を含んでもよい。
【0066】
コンピュータ可読記憶媒体は、命令実行装置によって使用される命令を保持し格納することが可能な有形の装置であってもよい。コンピュータ可読記憶媒体は、例えば、電気記憶装置、磁気記憶装置、光記憶装置、電磁記憶装置、半導体記憶装置、又はこれらの任意の適切な組み合わせであることができるが、これらに限定されない。コンピュータ可読記憶媒体のより具体的な例(非網羅的リスト)には、ポータブルコンピュータディスク、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、消去可能プログラマブル読み取り専用メモリ(EPROM又はフラッシュメモリ)、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、携帯用コンパクトディスク読み取り専用メモリ(CD−ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、メモリースティック、フロッピーディスク、機械的符号化装置、例えば命令が格納されたパンチカード又はスロットの凸起構造及び上記の任意の適切な組み合わせが含まれる。本明細書で使用されるコンピュータ可読記憶媒体は、例えば、電波又は他の自由に伝搬する電磁波、導波路又は他の伝送媒体を介して伝搬する電磁波(例えば、光ファイバケーブルを通る光パルス)、又は電線を介して伝送する電気信号などの過渡信号自体として解釈されるべきではない。
【0067】
本明細書に記載のコンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータ可読記憶媒体から様々なコンピューティング/処理装置にダウンロードすること、又はインターネット、ローカルエリアネットワーク、ワイドエリアネットワーク、及び/又は無線ネットワークなどのネットワークを介して外部コンピュータ又は外部記憶装置にダウンロードすることが可能である。ネットワークは、銅線伝送ケーブル、光ファイバ伝送、無線伝送、ルータ、ファイアウォール、スイッチ、ゲートウェイコンピュータ及び/又はエッジサーバを含んでもよい。各コンピューティング/処理装置内のネットワークアダプタカード又はネットワークインタフェースは、ネットワークからコンピュータ可読プログラム命令を受信し、各コンピューティング/処理装置内のコンピュータ可読記憶媒体に格納するために該コンピュータ可読プログラム命令を転送する。
【0068】
本発明の動作を実施するためのコンピュータプログラム命令は、アセンブリ命令、命令セットアーキテクチャ(ISA)命令、機械命令、機械関連命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、又は、1種以上のプログラミング言語の任意の組み合わせで書かれたソースコード又はターゲットコードであってもよい。前記プログラミング言語は、オブジェクト指向プログラミング言語(例えば、Smalltalk及びC++)並びに一般的手続き型プログラミング言語(例えば、「C」言語又は同様のプログラミング言語)を含む。コンピュータ可読プログラム命令は、完全にユーザのコンピュータ上で実行され、部分的にユーザのコンピュータ上で実行され、独立したソフトウェアパッケージとして実行され、一部がユーザのコンピュータ上で一部がリモートコンピュータ上で実行され、又は完全にリモートコンピュータ又はサーバ上で実行されてもよい。リモートコンピュータに関わる場合、リモートコンピュータは、ローカルエリアネットワーク(LAN)又はワイドエリアネットワーク(WAN)を含む任意の種類のネットワークを介してユーザのコンピュータに接続されることができ、又は外部のコンピュータに接続されることができる(例えば、インターネットサービスプロバイダによりインターネットで接続される)。いくつかの実施形態では、コンピュータ可読プログラム命令の状態情報を使用することによって、電子回路(例えば、プログラマブルロジック回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)又はプログラマブルロジックアレイ(PLA))がカスタマイズされる。該電子回路は、コンピュータ可読プログラム命令を実行することによって本発明の各態様を実施することができる。
【0069】
ここでは、本発明の各態様は、本発明の実施形態による方法、装置(システム)及びコンピュータプログラム製品のフローチャート及び/又はブロック図を参照しながら説明された。フローチャート及び/又はブロック図の各ブロック、並びにフローチャート及び/又はブロック図内の各ブロックの組み合わせは、いずれもコンピュータ可読プログラム命令によって実施可能であることを理解されよう。
【0070】
これらのコンピュータ可読プログラム命令が汎用コンピュータ、特殊用途コンピュータ、又は他のプログラマブルデータ処理装置の処理ユニットに提供されることによって、機械を構成することができ、それによって、これらの命令がコンピュータまたは他のプログラマブルデータ処理装置の処理ユニットによって実行されると、フローチャート及び/又はブロック図の1つ以上のブロックで規定されている機能/動作を実施するためのデバイスを形成可能である。これらのコンピュータ可読プログラム命令がコンピュータ可読記憶媒体に記憶されてもよく、これらの命令によって、コンピュータ、プログラマブルデータ処理装置及び/又は他の装置が確定の方法で動作可能となり、それによって、命令が記憶されているコンピュータ可読媒体は、フローチャート及び/又はブロック図の1つ以上のブロックで規定されている機能/動作を実施するための様々な態様の命令を含む製品を備える。
【0071】
コンピュータ実施プロセスを達成するために、コンピュータ可読プログラム命令を、コンピュータ、他のプログラマブルデータ処理装置又は他の装置にロードすることで、コンピュータ、他のプログラマブルデータ処理装置又は他の装置が一連の動作ステップを実行することができ、それによって、コンピュータ、他のプログラマブルデータ処理装置又は他の装置上で実行される命令は、フローチャート及び/又はブロック図の1つ以上のブロックで規定されている機能/動作を実施する。
【0072】
図面におけるフローチャート及びブロック図は、本発明の複数の実施形態に係るシステム、方法及びコンピュータプログラム製品により実現可能なアーキテクチャ、機能及び動作を示す。ここで、フローチャート又はブロック図における各枠は、1つのモジュール、プログラムセグメント又は命令の一部を表してもよく、前記モジュール、プログラムセグメント、又は命令の一部は、規定されたロジック機能を達成するための1つ以上の実行可能な命令を含む。いくつかの代替実施態様において、枠内に示された機能は、図面に示された順番とは異なるもので実行されてもよい。例えば、2つの連続枠は、実際には関連する機能に応じて、ほぼ並行に実行されてもよく、逆の順番で実行されてもよい。なお、ブロック図及び/又はフローチャートにおける各枠、並びに、ブロック図及び/又はフローチャートにおける枠の組み合わせは、規定された機能又は動作を実行する、ハードウェアに基づく専用システムで実現されてもよく、又は、専用ハードウェアとコンピュータ命令との組み合わせで実行されてもよい。
【0073】
以上、本発明の各実施形態について説明したが、上記の説明は例示的なものであって網羅的なものではなく、開示された各実施形態に限定されるものではない。当業者には、説明された各実施形態の範囲及び精神から逸脱することなく行われた多数の補正及び変更が明らかであろう。本明細書で使用される用語の選択は、各実施形態の原理、実際の用途、又は市場における技術の改善を最もよく説明すること、又は他の当業者が本明細書で開示される各実施形態を理解できるようにすることを意図する。