【実施例】
【0023】
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
【0024】
(1)消臭性評価
[実施例1]
竜山石の粉末(粒径250μm以下)100gと、非水溶性メチルセルロース3gと、水100gを混合し、パーティクルボード(30cm角)の片面に塗布し、塗膜を形成した。
上記塗膜を形成したパーティクルボードの塗膜形成面の中央付近に、蓋をした2Lの空ペットボトルを蓋部分が上になるように長手方向を垂直に載置した。上記塗膜を形成したパーティクルボードと空ペットボトルとを、上記空ペットボトルの蓋部分を頂点とし上記ボードを底面とした略ピラミッド状に覆って密封できるように、ポリエチレン袋をセットした。アンモニア水溶液[株式会社金冠堂製キンカン(登録商標)]0.15mLを上記ポリエチレン袋中に滴下して密封した。滴下30分後、2時間後、6時間後および10時間後のポリエチレン袋内のアンモニア濃度を、アンモニア検知管(株式会社ガステック製、No.3D)を使用して測定した。その結果、ポリエチレン袋内のアンモニア濃度はそれぞれ0ppmであった。
【0025】
[実施例2]
実施例1で使用した塗膜を形成したパーティクルボードをそのまま用いて、実施例1を行った2日後に、再度、実施例1と同様にして実験を行い、アンモニア水溶液を滴下30分後、2時間後、6時間後および10時間後の容器内のアンモニア濃度を測定した。その結果、ポリエチレン袋内のアンモニア濃度はそれぞれ0ppmであった。
【0026】
[比較例1]
上記塗膜を形成しなかった以外は実施例1と同様にして実験を行い、アンモニア水溶液を滴下30分後、2時間後、6時間後および10時間後のポリエチレン袋内のアンモニア濃度を測定した。その結果、30分後は200ppm、2時間後以降はアンモニア検知管の測定上限である500ppmを上回った。
【0027】
[実施例3]
竜山石の粉末(粒径250μm以下)100gとアクリル樹脂エマルジョン(トーヨーマテラン株式会社製、タイル接着剤)5gと水20gを混合し、ボール状にした後に乾燥して、成形体を得た。
得られた成形体を200cm×350cm×250cmの水槽に入れ、アンモニア水溶液[株式会社金冠堂製キンカン(登録商標)]0.04mLを滴下し、ポリエチレン袋で密封した。滴下10時間後の容器内のアンモニア濃度を、アンモニア検知管を使用して測定した。その結果、水槽中のアンモニア濃度は0ppmであった。
【0028】
[実施例4]
竜山石の粉末(粒径250μm以下)100gとアクリル樹脂エマルジョン(フジワラ科学株式会社製)10gと水20〜40gを混合し、直径6cmの円筒形の容器に充填し、乾燥して、直径5.5cmで高さ約1cmの円柱状の成形体2個を得た。
得られた成形体2個を200cm×350cm×250cmの水槽に入れ、アンモニア水溶液[株式会社金冠堂製キンカン(登録商標)]0.04mLを滴下し、ポリエチレン袋で密封した。滴下10時間後の容器内のアンモニア濃度を、アンモニア検知管を使用して測定した。その結果、水槽中のアンモニア濃度は0ppmであった。
【0029】
[実施例5]
実施例4において、アクリル樹脂エマルジョンの量を20gに変更した以外は、実施例4と同様にして実験を行った。その結果、アンモニア水溶液滴下10時間後の水槽中のアンモニア濃度は0ppmであった。
【0030】
[実施例6]
実施例4において、アクリル樹脂エマルジョンの量を30gに変更した以外は、実施例4と同様にして実験を行った。その結果、アンモニア水溶液滴下10時間後の水槽中のアンモニア濃度は0ppmであった。
【0031】
<吸水性実験>
実施例4〜6で得られた成形体に霧吹きで水をかけたところ瞬時に吸うことはなかったが表面に水がにじみ少しずつではあるが水分は吸収していた。アクリル樹脂エマルジョンの量が10gの成形体の方が水分の吸収がやや早く、アクリル樹脂エマルジョンの量が20g、30gの成形体ではほぼ同じぐらいであった。
【0032】
<成形体の強度>
実施例3〜6で得られた成形体は、強度にも優れていた。特に、実施例4〜6で得られた成形体は、サイディング・レンガ・タイル等の建材用組成物として十分使用できる強度を有していた。
【0033】
[実施例7]
実施例3における、竜山石の粉末とアクリル樹脂エマルジョンと水からなる成形体を、竜山石の青石原板100gに変更した以外は、実施例3と同様にして実験を行った。その結果、アンモニア水溶液滴下10時間後の水槽中のアンモニア濃度は20ppmであった。
【0034】
[比較例2]
水槽中に成形体を入れない以外は実施例3〜6と同様にして実験を行った。その結果、アンモニア水溶液滴下10時間後の水槽中のアンモニア濃度は25ppmであった。
【0035】
[実施例8]
床面積約25m
2の部屋の床全面に床コンパネを2枚重ね貼りし、仕上げに樹脂床材とクッションフロアを半々に貼り付けた。床材用接着剤は、東リ株式会社製エコAR600を使用した。さらに、部屋の壁面および天井に、接着剤でパーティクルボードを貼り付けた。接着剤は、ホルムアルデヒド法規制対象外のFフォースター品を使用した。
施工2、3、4、5日後に、室内のホルムアルデヒド濃度をホルムアルデヒド検知管(株式会社ガステック製、No.91D)で調べた結果、何れも2ppmであった。
その後、壁面および天井のパーティクルボードに竜山石粉末(粒径250μm以下)を含むスラリー[塗り壁材、竜山石含有量500g/m
2、バインダー:非水溶性メチルセルロース(竜山石100gに対し3g)]を塗布し、塗り壁を形成した。塗り壁形成1日後に、室内のホルムアルデヒド濃度をホルムアルデヒド検知管で調べた結果、0ppmであった。
【0036】
[実施例9]
竜山石の粉末(粒径500μm以下)100gとチタンアパタイト(太平化学産業株式会社製)3gを、非水溶性メチルセルロース3g及び水100gと混合した。この混合液は、分離することなく、均一に混ざっていた。この混合液をパーティクルボード(30cm角)の片面にコテで塗布し、塗膜を形成した。塗膜は、ひび割れすることなく、きれいな塗り壁となった。この塗り壁は、優れた消臭効果ならびに耐カビ性を有し、霧吹きで水をかけたところ、十分な吸水性を有していた。さらに、空気浄化、水浄化、汚れ分解、抗菌、殺菌等の機能を付与できた。
【0037】
実施例1〜9に示すように、流紋岩質溶結凝灰岩を含むことで、アンモニアやホルムアルデヒドといった臭いを吸収する、優れた消臭効果を有した耐カビ消臭剤とすることが出来た。ペット臭についても同様である。実施例1に示すように、本発明の耐カビ防臭剤では、30分後〜長時間経過後も消臭効果が持続され、驚異的な消臭効果、臭い分解効果が判明した。また、実施例2に示すように、本発明の耐カビ消臭剤は大量の臭いの消臭が可能であり、消臭効果が持続する。このため、臭いを分解していると考えられる。さらに、実施例3〜6に示すように、流紋岩質溶結凝灰岩粉末にポリマー系の接着剤を混合して成形体にした場合でも、臭いを吸収する効果が実証された。
【0038】
(2)耐カビ性評価
[実施例10]
竜山石の粉末を塗布したパーティクルボードの表面に米と黒カビを配置し、水30gが入ったコップに入れて、湿度が50〜80%以上となる状態で樹脂製フィルムで密封し、21日間放置した。この結果、
図1に示すように、表面に黒カビが繁殖した。
繁殖した黒カビをティッシュペーパーで拭き取り、表面の状態を目視で確認した。
図2に示すように、黒カビを簡単に拭き取ることができた。
【0039】
[比較例3]
竜山石の粉末を塗布したパーティクルボードに代えて、何も塗布していないパーティクルボードとした以外は、実施例10と同様にして、パーティクルボードの表面に米と黒カビを配置し21日間放置した。この結果、
図3に示すように、表面に黒カビが繁殖した。
繁殖した黒カビをティッシュペーパーで拭き取り、表面の状態を目視で確認した。
図4に示すように、黒カビが定着していたため拭き取ることが出来なかった。
【0040】
実施例10に示すように、流紋岩質溶結凝灰岩を含むことで、耐カビ性の高い耐カビ消臭剤とすることが出来た。また、竜山石の粉末自体には、カビは発生しなかった。