(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6771242
(24)【登録日】2020年10月1日
(45)【発行日】2020年10月21日
(54)【発明の名称】プラグのアタッチメント
(51)【国際特許分類】
H01R 31/06 20060101AFI20201012BHJP
H01R 13/713 20060101ALI20201012BHJP
H01R 13/46 20060101ALN20201012BHJP
H02G 1/14 20060101ALN20201012BHJP
【FI】
H01R31/06 B
H01R13/713
!H01R13/46 301P
!H01R13/46 301Z
!H02G1/14
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2019-189019(P2019-189019)
(22)【出願日】2019年10月15日
(62)【分割の表示】特願2016-87573(P2016-87573)の分割
【原出願日】2016年4月25日
(65)【公開番号】特開2020-17533(P2020-17533A)
(43)【公開日】2020年1月30日
【審査請求日】2019年10月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000109598
【氏名又は名称】テンパール工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】尾原 孝明
(72)【発明者】
【氏名】宮本 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】吉川 良
【審査官】
高橋 学
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭55−116458(JP,U)
【文献】
実開昭61−126556(JP,U)
【文献】
実開平5−6731(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 31/02−31/06
H01R 13/713
H01R 13/46
H02G 1/14
H01R 13/502
H01R 25/00
H01R 27/00
H01R 13/73
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
栓刃を備えた所定面を形成する第一の幅を有したベース部と、第一の幅よりも大きな第二の幅を有してベースに連接されて、負荷機器のプラグを差し込み接続するコンセントと負荷機器の絶縁劣化によって発生する漏電を検知する漏電検知部を収容した内容物収容部と、の幅の違いによって段差部が形成された本体を有するプラグに取付けられて、前記プラグの本体を支持するアタッチメントであって、
前記所定面に当接する基部と、
前記基部の両側から前記栓刃の突出方向とは反対の方向に延設される腕部とを有してアタッチメントの本体が形成されるとともに、
前記腕部の先端部において前記プラグの本体に係合する係合部と、
前記腕部の基部と係合部との間においてプラグの本体の段差部に当接してプラグの本体を支持する本体支持部とが設けられたことを特徴とするプラグのアタッチメント。
【請求項2】
請求項1において、
前記腕部の本体支持部と基部との間には、前記ベース部の前記幅方向の側面を支持するベース部の支持部が設けられたことを特徴とするプラグのアタッチメント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本体に栓刃を備えたプラグのアタッチメントに関する。特に、前記栓刃から得た電力を負荷側電路に供給するコンセントを本体に併せ持つプラグにおけるアタッチメントに関する。
【背景技術】
【0002】
造営材等に配設されたコンセントに栓刃を差し込み接続し、負荷側電路に電力を供給するプラグは周知である。一方、プラグ本体の内部に、負荷側電路への電力供給を選択的に切換えできる機能を内装したプラグは、例えば、特許文献1に開示されるような栓刃付漏電遮断器、特許文献2に開示されるような漏電保護プラグが公知である。また、プラグ本体内部に、コンセントの配線形態に対応して栓刃の数を増減できる機構を備えたプラグは、特許文献3に開示されるような2P3P兼用プラグ(2Pは2極、3Pは2極接地端子付きという)が公知である。
【0003】
特許文献1の栓刃付漏電遮断器は、コンセントと負荷機器とを電気的に繋ぎ、当該負荷機器において漏電が発生した場合にはこれを瞬時に検知して負荷機器への通電を遮断する。特許文献2の漏電保護プラグも、特許文献1と同様のものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭63−079043号公報
【特許文献2】特開2002−216613号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記したように、プラグ本体の内部に電力供給の切り替え機能や、栓刃の数を増減させる機能を備えた、付加機能を備えたプラグにおいては、これら付加機能を構成する部品等を収納させる必要があるために、プラグ本体の大きさが、前記機能を備えないプラグと比較して大きく、また、重量も重くなる傾向にある。
【0006】
このような付加機能を備えたプラグにおいては、本体をコンセントに接続するときに、接続不良にならないようしっかりと接続する必要がある。すなわち、特許文献1、特許文献2に開示されたプラグにおいては、栓刃が配設された面がコンセントに密着し、本体の大きさと重量をサポートするように構成されている。
【0007】
しかしながら、プラグ本体が、よりしっかりとコンセントに接続されるようにするために、接続保持を補助するアタッチメントをプラグ本体に設け、電気的な接続信頼性を向上させることが望まれる。
【0008】
上記の点に鑑み、本発明は、プラグ本体をコンセントに差し込み接続した後も、接続信頼性を維持することができるプラグ本体のアタッチメントを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のプラグ構造は、栓刃を備えた所定面を形成する第一の幅を有したベース部と、第一の幅よりも大きな第二の幅を有してベースに連接されて、負荷機器のプラグを差し込み接続するコンセントと負荷機器の絶縁劣化によって発生する漏電を検知する漏電検知部を収容した内容物収容部と、の幅の違いによって段差部が形成された本体を有するプラグに取付けられて、前記プラグの本体を支持するアタッチメントであって、前記所定面に当接する基部と、前記基部の両側から前記栓刃の突出方向とは反対の方向に延設される腕部とを有してアタッチメントの本体が形成されるとともに、前記腕部の先端部において前記プラグの本体に係合する係合部と、前記腕部の基部と係合部との間においてプラグの本体の段差部に当接してプラグの本体を支持する本体支持部とが設けられたことを特徴としている。
【0010】
これにより、プラグ本体を、アタッチメントの係合部と本体支持部の両方によって支持することができるから、プラグ本体をコンセントに差し込み接続した後も、しっかりと支持することができる。これによって、接続信頼性を維持することができるプラグ本体のアタッチメントを提供することができる。
【0011】
また、前記腕部の本体支持部と基部との間には、前記ベース部の前記幅方向の側面を支持するベース部の支持部が設けられたことを特徴として構成してもよい。
【0012】
これにより、さらに、プラグ本体のベース部の幅方向の側面を支持することができるから、更なに接続信頼性が向上する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、プラグ本体をコンセントに差し込み接続した後も、接続信頼性を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図3】プラグ本体にアタッチメントを装着した場合の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の好ましい実施形態は、本質的に例示にすぎず、本発明、その適用範囲あるいはその用途を制限することを意図するものではない。
【0017】
まず、プラグの概要について説明を行う。本実施形態に係るプラグ10は、造営材等に配設されたコンセント200(区別のために一次側コンセントという)に差し込み接続されて用いられるプラグである。プラグ10の本体には、コンセント31、33(区別のために二次側コンセントという)が配設されており、負荷機器等のプラグをプラグ10の本体のコンセントに差し込み接続することによって、当該負荷機器等に電力を供給する。
【0018】
また、プラグ10の本体には、前記負荷機器や電気配線等の絶縁劣化によって漏電が発生した場合には、これを瞬時に検知して一次側コンセント200からの電力の負荷機器への供給を遮断する漏電検知部と遮断機構を収容しており、プラグ10全体として、プラグ型の漏電遮断器を構成している。特に、プラグ10は、電圧相および中性相に接続される夫々の栓刃と、接地極に接続される栓刃(アースピンという)の全部で3つの栓刃を備えたプラグであり、上記一次側のコンセント200が、アースピン差込穴がある3極コンセントである場合及びアースピン差込穴のない2極コンセントである場合の両方において、使用できるプラグとなっている。
【0019】
なお、以下では、プラグ10が一次側コンセント200に差し込まれた状態において、手前側を向くプラグ10の面を「前面」、コンセントと対向する面を「後面」と呼称する。プラグ10がコンセントに差し込まれた状態を基準に、「上」、「下」、「左」、「右」の各方向を定義する。
【0020】
図1に示すように、プラグ10は、ユーザ(作業者)が片手手指で把持可能な大きさ(例えば110×50×55mm)の略円筒形状のプラグ本体20を備えている。このプラグ本体20の内部に、前記漏電検知部と遮断機構等の内容物を収容している。
【0021】
プラグ10の本体外形は、所定面に栓刃を備えたベース部20b2と、ベース部20b2に連接された内容物収容部20b1および20aとから形成される略円筒形状をしている。
【0022】
ベース部20b2は、栓刃を備える程度の幅(例えば30mm)を有して形成されている。また、ベース部20b2に連接する内容物収容部20b1はベース部20b2よりも大きな幅(例えば50mm)を有して形成されている。
【0023】
これらの幅の違いによって、プラグ10の本体20には、段差部20b3が形成される。この段差部20b3によって、手指の掛かり部を本体に外形形状として設けることができ、略円筒形状をした内容物収容部20a、20bの形状と相まって、プラグ10の本体20の把持部が形成される。
【0024】
一方、段差部20b3には、栓刃の突出方向において、前記本体20を把持する手指を収納するための手指収納部20b4が備えられる。手指収納部20b4は、ベース部20b2の左右側面部分と、内容物収容部20bとの左右側面部分との凹部にて形成される。
【0025】
内容物収容部20における左右方向の幅の大きさに対して、ベース部20b2の左右側面の幅が小さく形成されているため、内容物収容部20の周囲を手指で掴んだ時に、前記凹部に手指が収納される。ベース部20b2の左右側面に指先が位置し、本体20をしっかりと掴むことができるとともに、指先がベース部20b2の後面にまで回り込むことを抑制する。
【0026】
また、プラグ本体20の左右側面には、内容物収容部20bの一部を切欠いて形成した20b5で図示する凹部が形成される。図中において、凹部20b5は左側のものが図示されているが、右側についても上下方向、前後方向において同様の位置に凹部が形成されている。
【0027】
プラグ本体20は、前後方向の中央部分で前後に分離可能であり、
図5ではプラグ本体20が前後に分離された状態を示している。
【0028】
プラグ本体20は、前半分を構成する前カバー20aと後半分を構成する後カバー20bとからなる。前カバー20aは後側に、また後カバー20bは前側にそれぞれ開口した有底箱状とされている。また、前カバー20aの左端部に係合爪部20cが設けられ、後カバー20bには、係合爪部20cと対応する位置に係合爪部20cに係合可能な係合凹部20dが設けられている。そして、両カバー20a,20bを各々の開口同士を突き合わせた状態で、前カバー20aの係合爪部20cと、後カバー20bの係合凹部20dとを係合させる。これにより、両カバー20a,20bが一体的に組み付けられてプラグ本体20となり、その内部に閉空間が形成されるようになっている。上記組み付け後、前カバー20aと後カバー20bとは、図示しないタッピングねじにより、後カバー20bの後面側の4隅においてねじ止め固定される。
【0029】
以下、単にプラグ本体20という場合には、上記のねじ止め固定後のプラグ本体を指すものとする。すなわち、このねじ止め固定後のプラグ本体20は、前カバー20aの底壁からなる前壁部と、この前壁部の後側に配置され、後カバー20bの底壁からなる後壁部と、前カバー20a及び後カバー20bの双方の周囲壁からなり、前壁部及び後壁部を接続する四周の側壁部とを有する。上記側壁部は、上下及び左右の壁部で構成されている。なお、覆い壁部は、前壁部及び四周の側壁部からなる。
【0030】
漏電保護部50は、図示しないが、漏電を検出する漏電検出部と、漏電検出部が過電流・漏電を検出したときにプラグの入出力間の接続を遮断する接続遮断部とを備えている。漏電保護部及び接続遮断部の構成は、従来技術の適用が可能であり、ここではその詳細な説明を省略する。
【0031】
プラグ本体20の後壁部において、上端寄りの位置には、2本の電極プラグ29,29及びアースプラグ27からなる差し込みプラグ25が突設されている。また、同じ後壁部の左下隅角部には、プラグ10のアース端子の機能を有する圧着端子26が設けられている。プラグ10は、差し込みプラグ25がコンセントに差し込まれ、かつ後述する3極コンセント部31,31に負荷機器のプラグが差し込まれることで、コンセントと負荷機器とを電気的に繋ぐものである。
【0032】
プラグ本体20の前壁部において、上下左右方向の中間位置には、プッシュ式のONボタン23及びテストボタン24が記載順に上から並べられて設けられている。ONボタン23は、商用電力の負荷機器への供給をオンさせる(接続状態にする)スイッチである。テストボタン24は、プラグ10が正常動作するか(即ち、漏電発生の際に負荷機器への商用電力の供給が遮断されるか)を確かめるために、商用電力の負荷機器への供給をオフ状態(遮断状態)にするスイッチである。
【0033】
また、プラグ本体20の前壁部において、テストボタン24の下側には、負荷機器等のプラグを挿入するための1つの差込口31(3極プラグ対応)が設けられている。図示しないが、プラグ本体20の側壁部の一部である下壁部の中央にも同様の1つの差込口が設けられている。プラグ本体20内の下部には、両差込口31から差し込まれた負荷機器等の電源プラグ及びアースプラグが嵌められる共通の刃受金具32が設けられている。
【0034】
プラグ本体20の前壁部において、ONボタン23上側の左端寄り位置には電源表示部21が、また右端寄りの位置には極数表示部22がそれぞれ互いに同じ高さ位置になるように設けられている。
【0035】
電源表示部21は、例えばLEDで構成されており、ONボタン23を押してコンセントに差し込まれたことが検知されると、すなわち、プラグ10を介してコンセントと負荷機器等との間における通電が可能な状態になると点灯する。これにより、プラグ10を使用するユーザは、商用電力と負荷機器とが正常に導通されていることを把握することができる。一方で、電源表示部21は、過電流や漏電を検知した漏電保護部50により遮断動作が行われた場合等、プラグ10が通電不可の状態になると消灯する。これにより、ユーザは、過電流または漏電が生じたこと、又は、テストが正常に行われたことを把握することができる。
【0036】
過電流または漏電が生じた後、及びテストボタン24によるプラグ10の動作確認が終了した後は、ONボタン23が再度押されることにより、プラグ10は再び漏電検知遮断器として使用することが可能となる。
【0037】
極数表示部22は、差し込みプラグ25の極数の状態を表すものであり、プラグ本体20の前壁部に貫通形成された極数表示窓22aと、極数表示窓22aの後側のプラグ本体20内に配された後述する色表示部46aとからなる。換言すると、極数表示部22は、極数表示窓22aを通して色表示部46aの表示色が見えるように構成されている。
【0038】
プラグ本体20の左側壁部において、上端寄りの位置には、断面円弧状の周囲壁部を有する円形の凹部28aが形成されている。凹部28aの底部から前端にかけて、矩形状のボタン挿通孔28bが左側壁部を貫通するように形成されている。ボタン挿通孔28bには、操作手段としてのプッシュ式の解除ボタン41が移動可能に挿通されている。解除ボタン41は、右方向に延びるロッド部41cを有していて、その先端部(左端部)がプラグ本体20外に突出した位置(以下、ボタン基準位置ともいう)でプラグ本体20に抜け止めされている。この解除ボタン41は、ロッド部41c周りの解除ボタンばね42(
図2参照)によって常時突出方向に付勢されている。すなわち、解除ボタン41は、操作力が与えられたときにプラグ本体20内に押し込まれ、その操作力が解除されると、突出位置に復帰するように構成されている。
【0040】
次に、アタッチメントについて説明を行う。アタッチメントの本体300は、プラグの本体における栓刃が突設する所定面に当接する平板上の基部301と、基部301の両側から前記栓刃の突出方向とは反対の方向に延設される腕部302とを備えている。
【0041】
基部301と腕部302とは、プラグ本体の上下方向に沿って高さを持って平板形状に形成されており、基部301の高さに対して、腕部302の高さは約2分の1に形成されている。
【0042】
前記腕部302は、その先端部において前記プラグの本体20の側面に形成された凹部20b5に係合する係合部を備えている。係合部は、端部が鍵爪状に形成されており、腕部同士の対向方向に返し部が形成されている。この返し部によって、前記凹部の凹み部に係りやすくなっている。
【0043】
また、腕部302の基部301と係合部302aとの間においてプラグの本体20の段差部20b3に当接してプラグの本体を支持する本体支持部302bとが設けられている。本体支持部302bは、略円筒形状をしたプラグ本体の外郭に沿って曲線状に形成されており、当接する面積が増加するように形成している。
【0044】
また、腕部302の本体支持部302bと基部301との間には、前記ベース部20b2の前記幅方向の側面を支持するベース部20b2の支持部302cが設けられている。ベース部の支持部302cは、腕部302同士が対向する方向にリブを突設させて形成している。腕部302は平板状に形成しているから、腕部302同士が対向する方向に対しては、弾力的に変位が可能であり、腕部302に設けられた係合部302a、本体s時事分岐開閉器302b、ベース部の支持部302cによって、プラグ本体20を両側面からしっかりと支持することができる。
【0045】
基部301によって、プラグ本体20と造営材等に配設されたコンセントへの当接性を向上させて、プラグ本体をコンセントに差し込み接続した後も、接続信頼性を維持することができる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、栓刃から得た電力を負荷側電路に供給するコンセントを本体に併せ持つプラグの略円筒形状に形成された本体をしっかりと支持することができる。それ故、本発明は、漏電検知機能や遮断機能等を内部に備えた差込プラグ形の漏電遮断器のほか、他の機能を備えたプラグに対しても幅広く適用され有用である。
【符号の説明】
【0047】
10 プラグ
20 本体
20a 内容物収容部
20b 内容物収容部
20b2 ベース部
20b3 段差部
300 アタッチメント
301 基部
302 腕部
302a 係合部
302b 本体支持部
302c ベース部の支持部