特許第6771279号(P6771279)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6771279
(24)【登録日】2020年10月1日
(45)【発行日】2020年10月21日
(54)【発明の名称】超音波プローブ及び超音波画像表示装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/14 20060101AFI20201012BHJP
【FI】
   A61B8/14
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-233631(P2015-233631)
(22)【出願日】2015年11月30日
(65)【公開番号】特開2017-99504(P2017-99504A)
(43)【公開日】2017年6月8日
【審査請求日】2018年11月22日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】300019238
【氏名又は名称】ジーイー・メディカル・システムズ・グローバル・テクノロジー・カンパニー・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100115462
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 猛
(74)【代理人】
【識別番号】100151286
【弁理士】
【氏名又は名称】澤木 亮一
(72)【発明者】
【氏名】磯野 洋
(72)【発明者】
【氏名】大塚 昌昭
【審査官】 佐々木 龍
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−115537(JP,A)
【文献】 特開2009−060501(JP,A)
【文献】 特開2013−066177(JP,A)
【文献】 特開2015−181541(JP,A)
【文献】 特開2010−042093(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/005586(WO,A1)
【文献】 特開2012−015680(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00− 8/15
G01N 29/00−29/52
H04R 1/00−31/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波を送波する超音波振動子と、
該超音波振動子における被検体側とは反対側の面に設けられ、前記超音波振動子から送波される超音波を反射する反射層と、
該反射層における前記超音波振動子側とは反対側に設けられるバッキング層であって、該バッキング層全体が、熱伝導率が100W/(m・K)以上である材料からなり、前記超音波振動子からの超音波を散乱可能な不均一の構造を有するバッキング層と、
前記バッキング層における前記反射層側とは反対側の面の一部分に設けられた熱伝導部材と、
を備えることを特徴とする超音波プローブ。
【請求項2】
前記熱伝導部材が設けられた前記バッキング層における前記一部分の面積は、前記バッキング層における前記反射層側とは反対側の面の全体の面積の三分の一以下であることを特徴とする請求項1に記載の超音波プローブ。
【請求項3】
前記熱伝導部材は、前記バッキング層における前記一部分に沿って延びる第一の部分と、該第一の部分から前記バッキング層とは反対側へ延びる第二の部分とからなり、前記第一の部分と前記第二の部分の間に屈曲部を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の超音波プローブ。
【請求項4】
熱伝導部材は、ヒートパイプであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の超音波プローブ。
【請求項5】
前記バッキング層は、無機材料からなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の超音波プローブ。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の超音波プローブを備えることを特徴とする超音波画像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波の送受信時に生じる熱に対する対策を施した超音波プローブ及び超音波画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波画像表示装置は、被検体に対して超音波のスキャン(scan)を行なって得られたエコー信号に基づく超音波画像を表示する装置である。このような超音波画像表示装置において、超音波のスキャンは、プローブケーブルを介して装置本体と接続された超音波プローブによって行われる。
【0003】
前記超音波プローブは、超音波振動子と音響整合層とバッキング層とを有している。より詳細には、前記超音波振動子に対して被検体側に前記音響整合層が設けられ、被検体とは反対側に前記バッキング層が設けられている(例えば、特許文献1参照)。また、前記音響整合層に対して被検体側には被検体と当接する音響レンズが設けられている。前記超音波振動子は、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)などの圧電素子からなり、この超音波振動子に電圧を印加して超音波が送波される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−61112号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、バッキング層は、超音波振動子から被検体とは反対側へ伝搬した超音波を吸収する役割を有する。このような役割を有しているバッキング層を、超音波振動子の音響インピーダンスと近い音響インピーダンスの材質によって形成すると、バッキング層側への音響出力が増大し、超音波の送信効率が悪くなる。そこで、バッキング層は、超音波振動子の音響インピーダンスとは異なる音響インピーダンスを有する材質で形成されている。
【0006】
バッキング層を形成するこのような材質は、熱伝導性が比較的低い材質である。ここで、超音波の送受信時には熱が発生する。バッキング層は、熱伝導率が比較的低いので、超音波の送受信時に発生する熱は、前記バッキング層側ではなく前記音響整合層側、すなわち被検体側へ伝わる。このため、超音波プローブを使用し続けると、前記音響レンズ表面の温度が上昇する。従って、超音波の送受信時には、音響レンズ表面の温度が上昇しすぎないように、前記超音波振動子からの超音波の出力を制限する必要があった。以上のことから、超音波の送受信時に発生する熱を、超音波振動子に対して被検体とは反対側へ逃がすことができる超音波プローブが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の課題を解決するためになされた発明は、超音波を送波する超音波振動子と、この超音波振動子における被検体側とは反対側の面に設けられ、前記超音波振動子から送波される超音波を反射する反射層と、この反射層における前記超音波振動子側とは反対側に設けられ、熱伝導率が100W/(m・K)以上である材料からなるバッキング層と、を備えることを特徴とする超音波プローブである。
【0008】
また、他の観点の発明は、上記観点の発明において、前記バッキング層における前記反射層側とは反対側の面の一部分に設けられた熱伝導部材を備えることを特徴とする超音波プローブである。
【発明の効果】
【0009】
上記観点の発明によれば、超音波振動子とバッキング層との間に反射層が設けられているので、超音波振動子からバッキング層への音響出力が抑制される。従って、従来よりも音響インピーダンスが高い材質によってバッキング層を形成しても、高い送信効率を維持することができる。これにより、熱伝導率が100W/(m・K)以上であり、従来よりも熱伝導率が高い材質により、バッキング層を形成することができるので、超音波の送受信時に発生する熱を、効率よく被検体とは反対側へ逃がすことができる。
【0010】
また、他の観点の発明によれば、熱伝導部材が、バッキング層における反射層とは反対側の面の一部分のみと接触した状態であっても、バッキング層の熱伝導率が100W/(m・K)以上であるため、超音波の送受信時に発生する熱を、効率よく熱伝導部材を介して被検体とは反対側へ逃がすことができる。このように、熱伝導部材が、バッキング層における反射層とは反対側の面の全面ではなく、一部分のみと接触した構造であるため、部品点数の削減や超音波プローブの小型化及び軽量化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係る超音波診断装置の実施の形態の一例を示すブロック図である。
図2】超音波プローブの要部のエレベーション方向における断面図である。
図3】超音波プローブの要部のアジマス方向における断面図である。
図4図3に示された超音波プローブを熱伝導部材側から見た平面図である。
図5】熱伝導部材、シールド部材、筐体部材の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について説明する。図1に示す超音波診断装置100は、本発明における超音波画像表示装置の一例であり、超音波プローブ1とこの超音波プローブ1が接続される装置本体101を有している。
【0013】
前記装置本体101は、送受信ビームフォーマ102、エコーデータ処理部103、表示処理部104、表示デバイス105、操作デバイス106、制御部107及び記憶デバイス108を備える。
【0014】
送受信ビームフォーマ102は、超音波プローブ1から所定のスキャン条件で超音波を送信するための電気信号を、制御部107からの制御信号に基づいて超音波プローブ1に供給する。また、送受信ビームフォーマ102は、超音波プローブ1で受信したエコー信号について、A/D変換、整相加算処理等の信号処理を行なう。
【0015】
エコーデータ処理部103は、送受信ビームフォーマ102から出力されたエコーデータに対し、超音波画像を作成するための処理を行なう。例えば、エコーデータ処理部103は、対数圧縮処理、包絡線検波処理等のBモード処理を行ってBモードデータを作成する。
【0016】
表示処理部104は、エコーデータ処理部103から入力されたデータをスキャンコンバータ(Scan Converter)によって走査変換して超音波画像データを作成し、この超音波画像データに基づく超音波画像を表示デバイス105に表示させる。表示処理部104は、例えばBモードデータに基づいてBモード画像データを作成し、Bモード画像を表示デバイス105に表示させる。
【0017】
表示デバイス105は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)やCRT(Cathode Ray Tube)などで構成される。操作部106は、操作者が指示や情報を入力するためのスイッチ、キーボード及びポインティングデバイス(図示省略)などを含んで構成されている。
【0018】
制御部107は、特に図示しないがCPU(Central Processing Unit)を有して構成される。この制御部107は、記憶デバイス108に記憶された制御プログラムを読み出し、超音波診断装置100における各部の機能を実行させる。
【0019】
記憶デバイス108は、HDD(Hard Disk Drive:ハードディスクドライブ)や、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等の半導体メモリ(Memory)などである。
【0020】
超音波プローブ1について、図2図5に基づいて説明する。図2図5は、超音波プローブ1の要部のみを示す。超音波プローブ1は、被検体に対して超音波のスキャンを行なう。また、超音波プローブ1は、超音波のエコー信号を受信する。
【0021】
超音波プローブ1は、音響整合層2、超音波振動子3、反射層4、フレキシブル(flexible)基板5、バッキング(backing)層6、熱伝導部材7を備えている。Y軸方向に長い直方体の形状を有する音響整合層2、超音波振動子3及び反射層4は、超音波の照射方向に沿った方向であるZ軸方向に積み重ねられて積層体8を構成する。そして、この積層体8が、X軸方向に複数配列されている。
【0022】
ちなみに、X軸方向は、アジマス(azimuth)方向であり、Y軸方向は、エレベーション(elevation)方向である。
【0023】
音響整合層2は、超音波振動子3における超音波照射方向側(被検体側)の板面に接着されている(接着層は図示省略)。音響整合層2の超音波照射方向側には図示しない音響レンズ部が設けられている。音響整合層2は、超音波振動子3と音響レンズ部の中間の音響インピーダンスを有する。また、音響整合層2は、透過する超音波の中心周波数の概ね1/4波長の厚さを有し、音響インピーダンスの異なる境界面での反射を抑制する。また、音響整合層2は、本例では1層の例が図示されているが、2層或いは多層になっていてもよい。
【0024】
超音波振動子3は、圧電体9と導電層10とで構成される。圧電体9は、PZT等であり、超音波を送波する。この圧電体9の表面にスパッタ(spatter)等によって導電層10が形成されている。超音波振動子3は、本発明における超音波振動子の実施の形態の一例である。
【0025】
導電層10は、信号電極11及び接地電極12を有している。信号電極11は、圧電体9における後述の掘削孔13,13の間の部分9aに形成されている。また、接地電極12は、圧電体9の端部9b,9bにおいて、信号電極11と掘削孔13,13を隔てて同一面に形成された第一の部分12a,12aと、圧電体9において第一の部分12a,12aが形成された面と反対側の面に形成された第二の部分12bと、直方体の超音波振動子3において第一の部分12a,12aと第二の部分12bの間の側面に形成された第三の部分12c,12cとからなっている。信号電極11は、接地電極12における第一の部分12a,12aに挟まれるようにして形成されており、両電極11,12は、掘削孔13,13によって電気的に絶縁されている。
【0026】
超音波振動子3は、図示しない接着層を介して反射層4と接着されている。超音波振動子3及び前記接着層を合わせた厚さは、超音波振動子3の振動により生じる超音波の中心周波数の概ね1/4である。具体的には、超音波振動子3及び前記接着層を合わせた厚さは、数100μm程度の厚さである。
【0027】
反射層4は、超音波振動子3における被検体とは反対側(音響整合層2とは反対側)の面に、エポキシ樹脂接着剤等からなる前記接着層によって接着されている。反射層4は、信号電極11及び第一の部分12a,12aと接着されている。
【0028】
ここで、反射層4における超音波振動子3側の表面には、鏡面研磨が施されている。また、超音波振動子3における信号電極11及び第一の部分12a,12aの表面にも鏡面研磨が施されている。これにより、反射層4における超音波振動子3側の表面と、超音波振動子3における信号電極11及び第一の部分12a,12aの表面は、凹凸が数μm程度に抑えられている。よって、前記接着層の厚さを数μm程度の厚さとすることができ、できるだけ薄く均一な厚さにすることができる。
【0029】
このように、前記接着層の厚さは、信号電極11の表面の凹凸、第一の部分12a,12aの表面の凹凸、反射層4の表面の凹凸と同程度の大きさになっている。従って、前記接着層は、エポキシ樹脂接着剤を含む絶縁体であるにもかかわらず、信号電極11及び第一の部分12a,12aと反射層4とは、表面の凹凸部分において部分的に接触し導通している。
【0030】
反射層4は、超音波振動子3の振動によって反射層4側へ送波される超音波を被検体の方向へ反射する固定端として機能する。反射層4で反射する超音波により、被検体に入射される超音波パワーが増加する。反射層4は、本発明における反射層の実施の形態の一例である。反射層4は、超音波振動子3からの超音波を反射するという目的から、圧電体14よりも音響インピーダンスが高い材質で形成される。例えば、反射層4は、タングステン(tungsten)である。
【0031】
また、反射層4を構成するタングステンは導電性を有しているので、反射層4は、フレキシブル基板5の後述する第一銅箔層14及び第二銅箔層15と、超音波振動子3の信号電極11及び接地電極12とを電気的に接続する機能を有している。これにより、第一銅箔層14及び第二銅箔層15から供給される電圧が、反射層4を介して超音波振動子3に印加されるようになっている。
【0032】
反射層4及び超音波振動子3の長さ方向における両端部には、掘削孔13,13が形成されている。この掘削孔13,13は、例えば超音波振動子3及び反射層4を前記接着層によって接着した後、反射層4側からダイヤモンド(diamond)砥石等を用いた切削加工によって形成される。
【0033】
反射層4における超音波振動子3との接着面とは反対側の面には、バッキング層6との間にフレキシブル基板5が接着剤を用いて接着されている(接着層は図示省略)。そして、フレキシブル基板5は、バッキング層6の厚み方向側面に沿って引き出され、超音波プローブ1と装置本体101とを接続する接続ケーブル(図示省略)と接続されている。
【0034】
フレキシブル基板5の構成について説明すると、このフレキシブル基板5は、第一銅箔層14、第二銅箔層15、第一ポリイミド(polyimide)膜層16及び第二ポリイミド膜層17の4層からなる。第一銅箔層14及び第二銅箔層15は、第一ポリイミド膜層16によって互いに絶縁されている。第一銅箔層14は、反射層4に接着された状態において、掘削孔13,13よりも反射層4における両端部側に位置するように形成されている。また、第二銅箔層15は、第一ポリイミド膜層16及び第二ポリイミド膜層17の間に積層されるとともに、掘削孔13,13よりも反射層4における中央部側においては、スルーホール(through hole)Hを介して、第一銅箔層14と同一面にも存在している。同一面に存在する第一銅箔層14及び第二銅箔層15は、分割溝18により互いに絶縁されている。この分割溝18は、フレキシブル基板5が反射層4に接着された状態において、掘削孔13,13の位置になるように形成されている。これにより、第一銅箔層14は、導電性を有する反射層4における掘削孔13,13よりも端部側と電気的に接続され、一方で第二銅箔層15は、反射層4における掘削孔13,13の間の中間部と電気的に接続される。従って、第一銅箔層14は、超音波振動子3における接地電極12の第一の部分12a,12aと反射層4を介して電気的に接続され、また第二銅箔層15は、超音波振動子3の信号電極11と反射層4を介して電気的に接続される。
【0035】
ちなみに、接地電極12と接続される第一銅箔層14は、フレキシブル基板5の表面一面に形成されており(第二銅箔層15が形成された部分を除く)、X軸方向に配列された全ての超音波振動子3の接地電極12の導通が共通して図られている。一方、第二銅箔層15は、図示しない銅箔分割溝によってX軸方向に複数に分割され、フレキシブル基板5内に形成された図示しない銅箔パターンを複数有している。この銅箔パターンは、X軸方向に複数配列された積層体8ごとに形成されている。
【0036】
バッキング層6は、フレキシブル基板5における反射層4とは反対側の面と接着され、或いはフレキシブル基板5における反射層4とは反対側の面に直接形成されて、このフレキシブル基板5を保持する。従って、バッキング層6は、反射層4に対して超音波振動子3とは反対側に設けられている。バッキング層6は、本発明におけるバッキング層の実施の形態の一例である。
【0037】
バッキング層6は、熱伝導率が100W/(m・K)以上である材料からなる。例えば、バッキング層6は、熱伝導率が100W/(m・K)以上300W/(m・K)以下である材料からなっていてもよい。ただし、バッキング層6は、熱伝導率が100W/(m・K)以上であればよく、300W/(m・K)以下である必要はない。
【0038】
バッキング層6は、無機材料であり、例えばグラファイト(graphite)やアルミニウム(aluminium)からなる。また、バッキング層6は、超音波振動子3からの超音波を散乱可能な不均一の構造を有する。より具体的には、バッキング層6は、超音波振動子3から送波される超音波の波長レベルで不均一の構造を有し、例えば数十μmから1mmの大きさの不均一の構造を有する。このような不均一の構造を有することにより、吸音性能を確保することができる。
【0039】
熱伝導部材7は、バッキング層6における反射層4とは反対側の面6aに設けられている。超音波の送受信時に発生する熱は、反射層4、フレキシブル基板5及びバッキング層6を介して、熱伝導部材7へ伝わる。
【0040】
熱伝導部材7についてもう少し詳しく述べる。熱伝導部材7は、バッキング層6のアジマス方向における長さよりも小さい幅を有し、図3及び図4に示すように、バッキング層6における面6aの一部分Pに接触した状態で設けられている。一部分Pは、面6aにおけるアジマス方向の一部分である。一部分Pの面積は、面6aの全体の面積の三分の一以下である。
【0041】
ちなみに、熱伝導部材7は、図4では後述の第二の部分7b、7b(図4では符号省略)が断面で示されている。
【0042】
熱伝導部材7は、本例では密閉した容器に冷媒を封入したヒートパイプである。熱伝導部材7は、図2及び図5に示すように、略U字状に形成されている。より具体的には、熱伝導部材7は、第一の部分7aと第一の部分7aの両端から立ち上がる第二の部分7b、7bを有する。第一の部分7aと第二の部分7bとの間には屈曲部7cが形成されている。第一の部分7aは、バッキング層6に固定される。第一の部分7aは、バッキング層6に固定された状態において、このバッキング層6における一部分Pに沿ってエレベーション方向に延びている。第二の部分7bは、熱伝導部材7がバッキング層6に固定された状態において、第一の部分7aからバッキング層6とは反対側へ延びている。
【0043】
第二の部分7bは、図5に示す一対のシールド部材19a,19bと接触している(接触部分については図示省略)。シールド部材19a,19bは、一対の筐体部材20a,20b内において筐体部材20a,20bに沿って設けられる。従って、超音波の送受信時に発生する熱は、第二の部分7bからシールド部材19a,19bに拡散し、さらに筐体部材20a,20bから外部へ放射される。
【0044】
ちなみに、一対の筐体部材20a,20b同士が接合されてプローブ筐体20が構成される。また、このプローブ筐体20内において、シールド部材19a,19b同士が接合されてシールド体19が構成される。
【0045】
本例によれば、反射層4によって超音波振動子3からの超音波が被検体側へ反射するので、超音波振動子3からバッキング層6への音響出力が抑制される。従って、バッキング層6が、従来よりも音響インピーダンスが高い材質によって形成されていても、高い送信効率を維持することができる。
【0046】
ここで、反射層4を有しない超音波プローブにおいては、送信効率を確保するために、超音波振動子からの超音波を十分に吸収することができる材質でバッキング層を形成する必要がある。このような材質は、熱伝導率が例えば0.1W/(m・K)〜1.0W/(m・K)である。一方、本例によれば、上述のように反射層4によって高い送信効率を維持することができるので、従来よりも音響インピーダンスが高く、吸音性が低い材質でバッキング層6を形成することが可能となり、熱伝導率が100W/(m・K)以上と、従来よりも熱伝導率が高い材質によってバッキング層6を形成することができる。
【0047】
このように従来よりも熱伝導率が高い材質によってバッキング層6を形成することができるので、熱伝導部材7が、バッキング層6における面6aの全体の三分の一以下の面積である一部分Pのみと接触した状態であっても、超音波の送受信時に発生する熱を、効率よく熱伝導部材7を介して被検体とは反対側へ逃がすことができる。このように、熱伝導部材7が、バッキング層6における反射層4とは反対側の面の全面ではなく、一部分Pのみと接触した構造であるため、部品点数の削減や超音波プローブ1の小型化及び軽量化を図ることができる。
【0048】
しかも、熱伝導部材7は、ヒートパイプであるので、より高効率で熱を伝達することができる。
【0049】
以上、本発明を前記実施形態によって説明したが、本発明はその主旨を変更しない範囲で種々変更実施可能なことはもちろんである。
【符号の説明】
【0050】
1 超音波プローブ
3 超音波振動子
4 反射層
6 バッキング層
7 熱伝導部材
100 超音波診断装置
図1
図2
図3
図4
図5