【実施例】
【0112】
実施例1
フエントキシンIVの設計及び生成
チャイニーズバードスパイダー(オルニソクトヌス・フエナ)(Ornithoctonus huwena)の毒に由来する野生型フエントキシンIV(ECLEIFKACNPSNDQCCKSSKLVCSRKTRWCKYQI:配列番号1)内のすべての非システイン残基にAla、Asp、Glu、Phe、Gly、His、Ile、Lys、Leu、Asn、Pro、Gln、Arg、Ser、Thr、Val、Trp、及びTyrを置換した一位置アミノ酸スキャニングライブラリーを生成した。フエントキシンIV変異体を、以下のN末端からC末端までのフォーマットで、HRV3Cプロテアーゼ切断性ヒト血清アルブミン(HSA)
(配列番号360)融合タンパク質としてコードした。すなわち、His
6−HSA−(GGGGS)
4−HRV3C切断部位−フエントキシンIV変異体
(His6:配列番号361;(GGGGS)4:配列番号269;HRV3C:配列番号270)。すべての変異体ペプチドは、HSAからの切断後、切断部位からの残りのN末端GP、及び内因性のアミド化認識配列であるC末端GKを有していた。一位置変異体を、ベラトリジン誘導膜電位を阻害する各変異体の能力を測定する蛍光スクリーニングアッセイで試験し、Qpatchによる電気生理学手法でヒット化合物を確認した。組み換えにより発現させたフエントキシンIV変異体のC末端GK残基も置換した。
【0113】
天然ペプチドと比較して更に向上した有効性及び選択性プロファイルを有するNav1.7アンタゴニストを生成する目的で、選択された一位置ヒット化合物の相加的効果について試験するためのコンビナトリアルライブラリーを設計した。一方が、E1N、E4R、R26K、Y33W、Q34S、及びG36Iを組み合わせ(ライブラリーNV1D7L5)、他方がN13Q、S19Q、V23R、K27Y、R29K、及びK37Rを組み合わせた(ライブラリーNV1D7L6)ものである2つのコンビナトリアルライブラリーを生成した。
【0114】
発現ベクターの構築
設計したフエントキシンIV変異体ポリペプチドをコードしたcDNAを、米国特許第6,521,427号に述べられる遺伝子アセンブリ技術を使用して生成した。簡単に述べると、設計したペプチド変異体を、ヒト高頻度コドンを用いてDNA配列に逆翻訳した。各変異体遺伝子のDNA配列を、DNAクローニング部位を含むベクターDNAと共に、一部が縮重コドンを含む複数のオリゴヌクレオチドとして合成し、これらを完全長のDNAフラグメントに組み立てた。組み立てられたDNAフラグメントをPCRにより増幅した後、PCR産物をプールとしてクローニングした。プールしたPCR産物を適当な制限酵素で消化し、それぞれの毒素変異体遺伝子がベクターに含まれるシグナルペプチド及び融合パートナーと融合するようにして、設計した発現ベクターにクローニングした。標準的な分子生物学の手法を用いて、それぞれの設計した変異体について陽性クローンを特定した。これらの陽性クローンからのプラスミドを精製し、それぞれのフエントキシンIV変異体を発現させる前に配列を確認した。
【0115】
タンパク質の発現
293 Freestyle(商標)培地(インビトロジェン社(Invitrogen))中で維持したHEK293F細胞に、フエントキシンIV変異体をコードしたプラスミドを、標準的なプロトコールにしたがってFreestyle(商標)トランスフェクション試薬を使用して一過的にトランスフェクトした。トランスフェクトした細胞を、37℃及び8% CO
2に設定した加湿したインキュベーター内に125RPMで振盪しながら4日間置いた5,000Gで10分間遠心することにより細胞から上清を分離し、0.2μmフィルターで濾過し、Amicon超遠心分離機10K(カタログ番号UFC901096)を使用して3,750Gで約10分遠心して10倍及び50倍に濃縮した。
【0116】
タンパク質の精製
分泌されたフエントキシンIV変異体タンパク質を1mlのHisTrapHPカラム(ジー・イー・ヘルスケア社(GE Healthcare))を使用してIMACにより精製した。このクロマトグラフィー法は、AKTA Xpressを使用して行い、イミダゾールの段階的勾配を利用してタンパク質を溶出した。ピーク画分をプールし、HRV3Cプロテアーゼ(EMD社、カタログ番号71493、1単位/100μgタンパク質)により一晩消化した。切断されたペプチドを、C18(2)カラム(フェノメネクス社(Phenomenex)、カタログ番号00G−4252−N0)を使用してRP−HPLCにより精製した。このクロマトグラフィー法は、DionexHPLCシステムで行い、結合したペプチドをアセトニトリルの直線勾配を利用して溶出した。ピーク画分を回収し、プールして凍結乾燥した。
【0117】
凍結乾燥したペプチドをHEPESで緩衝した生理食塩水(pH 7.4)(10mM HEPES、137mM NaCl、5.4mM KCl、5mMグルコース、2mM CaCl
2、1mM MgCl
2)に再懸濁した。(280nmで吸光度を測定し、各ペプチドの消光係数を用いて濃度を計算した。非還元SDS−PAGEによってペプチドを分析した。
【0118】
スケールアップを行うため、タンパク質を5ml HisTrap HPカラム(ジー・イー・ヘルスケア社(GE Healthcare)、カタログ番号17−5248−02)を使用してIMACで精製した。このクロマトグラフィー法は、AKTA Explorer又はFPLCを使用して行い、イミダゾールの段階的勾配を利用してタンパク質を溶出した。ピーク画分をプールし、Amicon Ultra−15遠心濃縮装置(ミリポア社(Millipore)、カタログ番号UFC901096)を使用して濃縮し、ダルベッコリン酸緩衝生理食塩水(pH7.2)(インビトロジェン社(Invitrogen)、カタログ番号14190)を2回交換して一晩透析した。次いで融合タンパク質を、HRV3C(EMD社、カタログ番号71493;1単位/100μgタンパク質)により一晩消化した。切断された融合タンパク質を、5ml HisTrap HPカラムを使用してIMCにより精製した。通過画分中にペプチドを回収した。プールしたペプチドを濃縮し、C18(2)カラム(フェノメネクス社(Phenomenex)、カタログ番号00G−4252−N0)を使用してRP−HPLCにより精製した。このクロマトグラフィー法は、Agilent 1100 HPLCシステムで行い、結合したペプチドをアセトニトリルの直線勾配を利用して溶出した。
【0119】
各ピーク画分は、分析用C18(2)カラム(フェノメネクス社(Phenomenex)、カタログ番号00G−4252−E0)を使用し、アセトニトリルのの直線勾配を利用してRP−HPLCにより分析した。同じ保持時間の画分をプールして凍結乾燥した。凍結乾燥したペプチドをHEPESで緩衝した生理食塩水(pH7.4)(10mM HEPES、137mM NaCl、5.4mM KCl、5mMグルコース、2mM CaCl
2、1mM MgCl
2)に再懸濁した。280nmで吸光度を測定し、各ペプチドの消光係数を用いて濃度を計算した。最終的なペプチドは、Watersシステムにより電気スプレーイオン化質量分析によって分析した。
【0120】
実施例2.フエントキシンIV変異体の特性評価
膜脱分極アッセイ
Nav1.7のアゴニストであるベラトリジン(3−ベラトイルベラセビン;バイオモル社(Biomol)、カタログ番号NA125)により誘導される膜脱分極を阻害する作製されたフエントキシンIV変異体の能力を、FLIPR(登録商標)Tetra上で、DISBAC2(3)(インビトロジェン社(Invitrogen)、K1018)を電子受容体として、PTS18(三ナトリウム8−オクタデシルオキシピレン−1,3,6−トリスルホネート)(シグマ社(Sigma))を供与体として使用し、供与体を390〜420nmで励起し、515〜575nmでFRETを測定することにより、FRETアッセイ(蛍光共鳴エネルギー移動)を用いて測定した。
【0121】
G418(インビトロジェン社(Invitrogen)による選択下で、hNav1.7チャネルを安定的に発現するHEK293細胞を、グルタミン、10% FBS、1% NEAA、及び400μg/mlのG−418を補ったDMEM/F12中で培養した。50μlの収穫した細胞を、ポリリシジンコーティングした384ウェルの黒い透明底プレートに25,000細胞/ウェルとなるように播種した。プレートを室温(RT)で15分間インキュベートした後、37℃で一晩インキュベートした。インキュベーションはすべて、特に断らない限りは暗所で行った。翌日、各ウェルをアッセイ緩衝液で4回洗浄し、25μlのアッセイ緩衝液(137mM NaCl、4mM KCl、2mM MgCl
2、2mM CaCl
2、5mMグルコース、10mM HEPES)に再懸濁した。PTS色素の2倍ストック(6μM)を、DMSOに加えた10%プルロニックF127に色素を1:1の比(v/v比)で懸濁することによって調製した。25μlの2倍PTS18ストックをウェルに加えて細胞を30分間室温で染色した後、色素をアッセイ緩衝液で洗い流した。
【0122】
フエントキシンIVペプチドを、バックグラウンドの蛍光を抑制するため、10μMのDISBAC2(3)及び400μMのVABSC−1を含むアッセイ緩衝液(シグマ社(Sigma)、カタログ番号201987)中に最終濃度の3倍の濃度で懸濁した。25μl/ウェルの懸濁したフエントキシンIVペプチドを、各ウェルに加え、室温で60分間インキュベートした。最終濃度25μMのベラトリジン(25μl/ウェルの75mM(3倍)ストック溶液を加えることによる)により脱分極を誘導し、FRET色素蛍光の平均強度の低下をアゴニストを添加した30秒後に測定した。慣例により、ベラトリジンを加えた後、それぞれの測定したフエントキシンIVペプチドを1.3倍に希釈し、FLIPR(登録商標)Tetraアッセイの開始時の濃度を報告した。テトラカイン、TTX、プロトキシンII、及びフエントキシンIVは、確立されたナトリウムチャネル遮断薬であり、各実験群においてコントロールとして使用した。
ネガティブコントロール(アゴニストであるベラトリジン単独に対する反応)及びポジティブコントロール(10μMのテトラカインの存在下でのベラトリジンに対する反応)にシグナルを標準化することにより、各ウェルの蛍光カウントを阻害率(%)に変換した。
【0123】
測定を行うため、FLIPR(登録商標)Tetraの「空間均一度補正(spatial uniformity correction)」(すべての蛍光トレースを平均の初期開始強度に標準化する)及び「バイアス値を減ずる(subtract bias value)」(初期開始強度を各トレースから減ずる)を、オンにした。
【0124】
スクリーニングモードでは、平均化は行わず、それぞれの未アップロードのデータポイントは個々のウェル内での反応を表している。
【0125】
濃度反応モードでは、個々のデータポイントのすべてを非線形最小二乗法で用い、Originソフトウェア(マイクロカル社(Microcal))を使用してヒル関数(Hill function)に最もよく当てはまる曲線を見つけた。得られた近似曲線からIC
50値を外挿した。
【0126】
ポジティブ(P±dP)及びネガティブ(N±dN)コントロールの平均及び標準偏差を用いて、反応(R)を有するウェル内の遮断(B)の量を以下のように計算した。
【化1】
【0127】
スクリーニング窓(データ品質の尺度)は下記のように定義される。
【化2】
【0128】
アッセイプレートは、(1)コントロールに基づくスクリーニング窓がz’>0.5であり、かつ(2)その日のコントロールアンタゴニストの有効性がアンタゴニストの履歴の平均の±0.5log単位の範囲内にあれば、可とした。
【0129】
フエントキシンIV変異体の選択性を、約8.35μMのベラトリジンの最終濃度(25μl/ウェルの25μM(3倍)ストック溶液を加えることによる)により脱分極を誘導した点以外は、Nav1.7について述べたようにG418(インビトロジェン社(Invitrogen))による選択下でhNav1.2チャネルを安定的に発現しているHEK293細胞を使用してNav1.2誘導膜脱分極を阻害する変異体の能力により評価した。選択性を、IC
50(Nav1.2)/IC
50(Nav1.7)の比として測定した。
【0130】
QPatchアッセイ
ヒトNav1.7を安定的に発現しているHEK293細胞を、10%ウシ胎児血清、400μg/mLジェネティシン、及び100μMのNEAA(試薬はすべてインビトロジェン社(Invitrogen)より入手)を補ったDMEM/F−12培地(1:1)中で培養した。細胞は37℃で5% CO
2内に維持し、約70〜90%コンフルエンスに達した時点でアッセイを行った。QPatch(ソフィオン社(Sophion))で試験するのに先立って、細胞を最初に0.05%トリプシン(37℃で5分間)を使用して解離させ、CHO−S−SFM培地(ライフ・テクノロジーズ社(Life Technologies))に再懸濁し、穏やかに粉砕して細胞塊をバラバラにした。細胞密度を同じ培地により1〜2×10
6/mlに調整し、細胞をQPatch HTの細胞「ホテル」に移し、数時間にわたって実験に使用した。
【0131】
ギガオームシール形成及びホールセル(全細胞)パッチクランプ記録用に、細胞外液は、137mM NaCl、5.4mM KCl、1mM MgCl
2、2mM CaCl
2、5mMグルコース、及び10mM HEPES(pH=7.4、浸透圧モル濃度=315mOsm)を含むものとした。細胞内液は、135mM CsF、10mM CsCl、5mM EGTA、5mM NaCl及び10mM HEPES(pH=7.3、浸透圧モル濃度=290mOsm)を含むものとした。
【0132】
アッセイで用いた電圧プロトコールは以下のとおりである。−75mVの保持電位から、細胞を最初に−120mVに2秒間過分極させてから、0mVに5ミリ秒間脱分極させた後、保持電位(−75mV)に戻した。このプロトコールを、液体供給時に60秒毎に1回繰り返した(下記参照)。それ以外は、上記の電圧プロトコールが実行されない場合、細胞を−75mVに保持した。
【0133】
ホールセル記録用コンフィギュレーションが確立された時点で、全部で5つの細胞外液の供給(いずれも0.1%ウシ血清アルブミン(BSA)を含み、試験化合物を含むか又は含まないもの、1μMのTTXを含みBSAを含まない最後の供給を除く)を、記録される細胞に行った。最初の供給は、コントロール緩衝液のみを含むものとした(5μl)。供給の5秒後、電圧プロトコールを10回(全体で10分間の長さ)行った。次の3つの供給(各5μL)は、試験化合物を含むもの(3つの供給すべてについて同じ化合物を同じ濃度で)か又はコントロール緩衝液とした(コントロール細胞のみ)。これらの供給のそれぞれの5秒後、電圧プロトコールを再び10回行った(やはり毎分1回)。最後の供給は1μMのTTXを含むもの(それぞれ2秒間離れた、3つの10μlの小供給からなるもの)とし、その5秒後に同じ電圧プロトコールを2回行ってベースライン電流を得た。
【0134】
電流を25kHzでサンプリングし、8極Bessleフィルターにより5kHzでフィルタリングした。直列抵抗の補償レベルを80%に設定した。各細胞について最初に、最初の4つの供給の各電流トレースの0mVにおけるピーク電流振幅を、TTXの存在下の最後のトレースのピーク電流振幅から減じて、次いで最初の供給(コントロール緩衝液)の最後のトレースのピーク電流振幅に対して阻害率(%)として正規化した。電流のランダウン(rundown)について調整するため、試験化合物の存在下における各細胞のこの(阻害率(%)の)値を、同じ実験中のコントロール(通常5〜6個の)細胞の平均の阻害率(%)の値に対して更に正規化した。最後の化合物の供給の最後の2つのこうした値の平均の値(すなわち試験化合物の各濃度について補正された阻害率(%)の値)を、濃度反応計算に使用した。実験はすべて、室温(約22℃)で行った。データは平均±SEとして表した。
【0135】
参照化合物では、このプロトコールを用いてQPatchから得られた結果(例えば有効性/動態)は、マニュアルのパッチクランプより得られる結果とよく一致していた。
【0136】
結果
1置換変異体及びFLIPR(登録商標)Tetraによる脱分極アッセイを用いて得られたNav1.7に対する各変異体のIC
50値のライブラリーマトリックスを
図1に示す。1置換変異体及びFLIPR(登録商標)Tetraによる脱分極アッセイを用いて得られたNav1.2に対する各変異体のIC
50値のライブラリーマトリックスを
図2に示す。一置換変異体のNav1.7について得られたIC
50に対するNav1.2について得られたIC
50の比として測定される選択性を、
図3に示す。
図4及び5は、Nav1.7(
図4)又は選択性(
図5)に対する有効性により評価した変異体の配列を示す。
【0137】
選択した変異体についてホールセルパッチクランプ実験で試験した。組み換えフエントキシンIV及びフエントキシンIV変異体を、上記に述べたQPatchアッセイを用いてHEK293細胞で安定的に発現しているNav1.7及びNav1.2に対して試験した。ホールセルパッチクランプ法を用いて、Nav1.7及びNav1.2に対して各フエントキシンIV変異体について得られたIC
50値を
図6に示す。フエントキシンIVの選択性を、ホールセルパッチクランプ実験より得られたIC
50値を用いて上記に述べたようにして計算した。
【0138】
フエントキシンIVを開始点として使用し、向上した有効性又は選択性を有する変異体を特定するための一位置アミノ酸スキャニングライブラリーを設計した。興味深い性質を有する選択した一位置変異体をコンビナトリアルライブラリーに含めた。コンビナトリアルライブラリーの設計に使用した一位置変異体には、E1N、E4R、R26K、Y33W、Q34S、G36I、N13Q、S19Q、V23R、K27Y、R29K、及びK37R(残基の番号付けは配列番号267に基づく)が含まれ、これらはいずれも有効性、選択性、又はその両方が向上していた。向上した性質を示す更なる一位置変異体には、R26W(配列番号72)、K27W(配列番号57)、Q34F(配列番号6)、及びR29W(配列番号55)が含まれる。更に、コンビナトリアルライブラリーより特定された変異体(E1N,E4R,R26K,Q34S)(配列番号5)、(E1N,E4R,R26K,Q34S,G36I)(配列番号16)、(E4R,R26K,Y33W,G36I)(配列番号48)、(E1N,Y33W,Q34S,G36I)(配列番号83)、(N13Q,R29K,K37R)(配列番号137)、(E1N,R26K,Q34S,G36I)(配列番号192)及び(R26K,Y33W)(配列番号46)は向上した有効性及び/又は選択性を示した。
【0139】
実施例3.ラットにおける足底投与後のフエントキシンIVの鎮痛活性
方法
この実験では、体重が300gよりも大きい雄性Sprague−Dawley(CD)系ラット(チャールズ・リバー社(Charles River)、サンディエゴ)を使用した。実験に使用されていない動物を、試験日に先立って2日間訓練した(反応のばらつきを小さくするため)。訓練は、各動物に対して実際の試験を、各ラットにつき約1時間の長さにわたって複数回行うことにより行った。最初に、常に足の同じ部位を試験することができるように、マジックペンで、動物の左足の背面の中心の爪先にすぐ隣接する位置にマークを付けた。次いでラットを後足が覆われないように緩くタオルで包み、左後足を、最大閾値を500gに設定したランダール・セリット装置(Ugo−Basileランダール・セリット装置、無痛覚計)内に、マジックペンのマークが、足と接触する試験装置のコーンの先端の真下となるようにして置き、動物が反応するまで、フットコントロールによる電子的傾斜によって一定速度で圧力を増大させた。訓練用の「反応」は、試験日と同じ基準にしたがい、以下の内のいずれか1つからなるものとした。すなわち、1)装置から後足を引き抜く、2)明らかに足を引き抜こうとする、又は3)鳴き声をあげる。ラットは、100g又はそれ以上の閾値に対して反応するまで連続して3回まで試験した。訓練の時間/日にわたり、各ラットについて、1〜3回の連続した試験を、5〜20分間隔で行った。
【0140】
化合物試験では、訓練した、無傷のラットを、化合物投与前閾値について1回試験した。各動物を、ペプチド処理群又は溶媒処理群に、同等の投与前閾値平均を与えるように振り分けた。実験は可能な場合には処理群に対して盲検で行った。注射後の各時点(5、10、20、30、45、60分)で1回の試験を行い、記録した。
【0141】
材料の調製及び後足への局所投与
アミド化フエントキシンIV(ペプタイズ・インターナショナル社(Peptides International)、ケンタッキー州ルイヴィル)を、凍結乾燥された形で入手し、HEPES緩衝生理食塩水で戻し、アリコートに等分してー20℃で凍結した。左後足背面に投与する直前にアリコートを解凍し、HEPES緩衝生理食塩水を希釈剤として使用して適当な濃度にまで希釈した。取り扱い及び足への注射に関連したストレス自体によって、足への圧力の閾値が高くなることから(ストレス誘発鎮痛作用)、ラットは注射を行うためにイソフランで軽く麻酔した(5%で誘導、2〜3%で維持)。動物の足の背面に、針の先端が足の背面中心の、爪先に隣接する位置でマジックペンのマークの真下となるように、中心線の左側にくるぶしに向かって針を挿入して、皮下注射を行った(100μLのペプチド溶液又は溶媒)。
【0142】
データ分析
グラム(g)の閾値を記録し、Prism 5.01(グラフパッド・ソフトウェア社(Graphpad Software Inc.)、カリフォルニア州ラホーヤ)に入力してグラフ化し、曲線下面積(AUC)値及び統計分析を生成した。時間に対するグラム(g)値を比較するため、2元配置分散分析(ANOVA)をp<0.05の有意水準で用いた。平均のAUC値を生成するため、ペプチド群の各ラットのAUCを個々に得て、溶媒群の平均のAUCをそこから引いた。各ペプチド処理動物の、溶媒値を減じたAUCを平均化し、それぞれp<0.05の有意水準で行ったスチューデントT検定又は1元配置分散分析(ANOVA)のいずれかにより比較した。
【0143】
結果
足の背面に局所投与したフエントキシンIVは、ランダール・セリット試験における足の圧力閾値を容量依存的に増大させた。3及び30nmolのフエントキシンIVは、溶媒処理群の動物で認められた閾値よりも有意に閾値を増大させたが、0.3nmolでは有意な増大は認められなかった(
図7)。AUCは、3つのペプチド処理群すべての間で有意に異なった(各動物のAUCから平均の溶媒AUCを減じた)(
図8)。フエントキシンIVの各用量の投与後に幾らかの局所的浮腫が更に認められた。溶媒を注射したラットでは同様の浮腫は認められなかった。
【0144】
実施例4.フエントキシンIVのNav1.7との相互作用の分子モデリング
NMRによる構造決定
すべてのNMR実験は、Bruker Avance 600、700、又は950MHz分光計を使用して行った。ペプチドを、10% D
2Oを含む水性緩衝液に溶解した。緩衝液は、20mMリン酸塩、0.1mMのdEDTA、及び0.002% NaN
3を用いてpHを6.7に維持した。特に断らない限り、スペクトルはすべて298Kで得た。個々の残基のスピン系は、TOCSY(Bax and Davis,Mag.Reson.1985,65,355〜360)を用い、スピンロック(MLEV)を混合時間75msで用いて割り当てた。混合時間150msで得られたNOESY(Jeener et al.,J.Chem.Phys.1979,71,4546〜4553;Kumar et al.,Biochem.Biophys.Res.Commun.1980,95,1〜6)実験より、連続的な残基の割り当てを行った。更に、
15N−HSQC(Bodenhausen et al.,Chem.Phys.Lett.1980,69,185〜189)実験により割り当てを促し、システイン酸化状態を通常の方法(Cavanagh et al.,Protein NMR Spectroscopy:Principles and Practice 1995 Academic Press)を用いて
13C−HSQCスペクトルにより調べた。シフトしたサインベル2乗重み付け及びゼロフィリングを適用した後、データ処理においてNMRPipe(Delaglio et al.,J.Biomol.NMR 6,277〜293,1995)を用いてフーリエ変換を行った。
【0145】
NOESYスペクトルで認められたスルースペース相互作用より陽子間距離の拘束を導出し、CYANA(Guntert et al.,J.Mol.Biol.273,283〜298,1997)により自動的に割り当てた。更に、隣接アミノ酸に対して有意な(>0.2ppm)環電流異方性を示したW32を含むペプチドには、芳香族側鎖の拘束を適用した。アプリケーションとしてPREDITOR(Berjanskii et al.,Nuc.Acid.Res.2006,34,W63−W69)及びDANGLE(Cheung et al.,J.Mag.Reson.202,223〜233,2010)を使用して化学シフトのデータに基づいて角φ及びψの範囲を予測した。バックボーンの角ωの拘束を180°に設定した。NOESY及び
13C−HSQC実験より導出されたデータに基づき、C9〜C24、C2〜C17、及びC16〜C31の間のジスルフィド結合を固定した。
【0146】
ペプチドの相同性モデルをCYANAへの入力(サイクル1)として用いた後、6サイクルの複合自動NOESY割り当て及び構造計算を行った。各サイクルにおいて、コンフォーマー1つ当たり10000回のねじれ角ダイナミクスステップの後、5000回のエネルギー最小化ステップを行い、標準的なシミュレーテッドアニーリングスケジュールを用いて1000個のコンフォーマーを計算した。次いで最も低い標的関数値を有する20個のコンフォーマーのアンサンブルを、MOE(ケミカル・グルーピング・コンピューティング社(Chemical Computing Group Inc.)www://_chemcomp_com)を使用してエクスプリシット水で距離拘束された最小化リファインメントルーチンに入力した。
【0147】
分子動力学
天然HwTx−IVのNMR構造(Protein Data Bank http://_www_rcsb_org/pdb/home/home_do;pdb 1MB6からの構造)を、分子動力学シミュレーションを使用してHwTxーIVの安定性の特性評価を行うための開始点として用いた。天然のHwTx−IVのシミュレーション以外に、3つのジスルフィド結合のそれぞれの重要度を識別し、1個のアラニンの点突然変異によるペプチドの安定性の変化を測定するため、シミュレーションを行った。3つのジスルフィド結合の重要度を特性評価するため、C2〜C17、C9〜C24、C16〜C31、C2〜C17/C9〜C24、C2〜C17/C16〜C31、C9〜C24/C16〜C31及びC2〜C17/C9〜C24/C16〜C31のシステインを個々のシステイン残基に変換し、別々の分子動力学シミュレーション(全部で7つのシミュレーション)を行った。1個のアラニンの点突然変異の影響を調べるため、インシリコで分子動力学アラニンスキャン(すべての非システイン位置の)を行った(全部で28のシミュレーション)。
【0148】
それぞれの分子ダイナミクスシミュレーションで、HwTxーIVをエクスプリシット水(最小で12オングストロームのパッディング)に溶媒和させ、0.1M NaClに中和した。NAMD 2.8(James et al.,Journal of Computational Chemistry,26:1781〜1802,2005)を使用してタンパク質を最小化し、50nsで平衡化した。CHARMM 22 CMAP(MacKerell,Jr.et al.,J Comput Chem 25:1400〜1415,2004)パラメータを、静電気を評価するための複数回ステッピングアルゴリズムによりシミュレーションに使用し、結合相互作用を1fs毎に計算し、短距離の非結合相互作用を2fs毎に計算し、長距離の相互作用を4fs毎に計算した。長距離の静電気力は、格子間隔を1オングストローム未満とした粒子メッシュのEwald合計法を用いて評価した。温度は、Langevin動力学を用いて27℃(300K)に維持し、Nose−Hoover Langevinピストンを用いて0.1MPa(1atm)の一定圧力を維持した。周期的境界条件を仮定し、非結合相互作用を、シフティングを8オングストロームで開始し、完全なカットオフを12オングストロームとして、スケーリングした1〜4排除演算を用いて計算した。シミュレーションの後、分子動力学軌道を、主鎖のα炭素原子(CA)に基づいて整列させ、残基当たりの2乗平均偏差(RMSD)を、Visual Molecular Dynamics(VMD)(Humphrey et al.,J.Molec.Graphics,1996,vol.14,pp.33〜38)を使用して初期NMR構造に対してシミュレーション全体にわたって計算した。
【0149】
Nav1.7の相同性モデリング及びHwTx−IVのドッキング
Nav1.7のドメイン2(DII)のセグメントS1〜S4の相同性モデルを、Discovery Studio 3.1(アクセルリス社(Accelrys))のModellerコンポーネントを使用し、NavAb構造(アルコバクター・ブツレリ(Arcobacter
butzleri)由来の電位依存性Na(+)チャネル;構造は、Protein Data
Bank http://_www_rcsb_org/pdb/home/home_do;pdb 3RVYにある。)をテンプレートとして構築した。次いでこのモデルを、更にリファインして静止状態のNav1.7の構造を生成した。S4をマニュアルで静止状態のコンフィギュレーションに動かし、S1−S2及びS3−S4ループを再形成して、モデル全体のエネルギーを最小化した。天然のHwTx−IVを、Nav1.7に対するHwTx−IV阻害のアラニンスキャンの結果、及びHwTx−IVの結合を生じる、文献に開示されるNav1.7突然変異(Xiao et al.,J Biol Chem.286:27301〜10,2011.Epub 2011 Jun 9.)に基づき、マニュアルでNav1.7相同性モデルにドッキングさせた。
【0150】
マニュアルでのドッキング後、HwTx−IVシステムがドッキングされたNav1.7 DII S1〜S4全体を最小化し、インプリシットな膜分子動力学シミュレーションを、CHARMm力場を使用し、Generalized Born Implicit Membrane(Discovery Studio(Spassov et al.,J.Phys.Chem.B,106,8726〜8738,2002)により行って、ドッキングした構造を更にリファインした。
【0151】
結果
分子動力学シミュレーション
毒素の構造的変化のみに基づく活性(F6A、P11A、D14A、L22A、S25A、W30A、K32A、Y33A)又はチャネル選択性(K18A、R26A及びK27A)の顕著な喪失につながるHwTx−IV突然変異の活性の変化の分子的機序の理解を助けるため、一連の分子動力学シミュレーションを行った。上記で生成したHwTx−IVのNMR構造(pdbコード1MB6)を、異なるアラニン突然変異ペプチドを構築するためのテンプレートとして用い、それぞれの毒素変異体に50nsの分子動力学シミュレーションを行った。
【0152】
天然のHwTx−IVペプチドの平均のCA RMSDはわずかに1.007オングストロームであり、非常に安定したペプチドであることを示している。分子動力学シミュレーションは、W30A(
図9g)、F6A(
図9b)(通常、π−π相互作用を形成する)、及びL22A(
図9e)のみが、HwTx−IVのコア安定性に影響することを示した。他のすべての機能喪失型突然変異は、コア安定性にほとんど又はまったく影響しなかった。これに対して、すべての機能喪失型突然変異、並びにNav1.7及びNav1.1に異なる程度で影響する突然変異は、ループ領域の柔軟性に影響を及ぼした。例えば、W30A(
図9g)、F6A(
図9b)及びL22A(
図9e)は、ループ3及び4の柔軟性を増大させ、K32A(
図9h)は、ループ3の柔軟性を増大させ、D14A(
図9d)及びP11A(
図9c)は、ループ2の柔軟性の顕著な増大を示した。K27A(
図10c)及びR26A(
図10b)は、ループ4の柔軟性を増大させることが判明した。K18A(
図10a)及びS25A(
図9f)突然変異は、いずれのループの柔軟性にも影響しなかった。
【0153】
NMR
HwTx−IVの構造的特徴の更なる知見を得るため、また、分子動力学シミュレーションの主な予測の一部を直接テストするため、本発明者らは、組み換えWT(野生型)HwTx−IVのNMR構造を決定し、これをW30A及びK32Aの構造と比較した。
QPatch及び結合アッセイで測定された活性の完全な喪失にも関わらず(分子動力学シミュレーションとは概ね一致したが)、W30A及びK32Aは、WT組み換えフエントキシンIVと同様の全体的構造を示した。陽子間NOESY及び主鎖化学シフト値は、W30A、K32A、及び野生型ペプチドは、極めてよく似た折り畳み及び構造を有しているものの、ねじれたβシートの溶媒接触面の近くに局所的な差異が認められた。これらの差異には、K32A及び野生型ペプチドのW30の半径5オングストローム内に強い環電流異方性が認められることが含まれる。F6及びT28に最も大きく影響するこうした異方性は、βターンのコンフォメーション/動力学及び側鎖の向きに影響しうる近接した空間相互作用があることを示している。解構造は、側鎖のジオメトリーに基づく別の局所的な差異として、K32のプロトン化されたアミンと、W30A及び野生型ペプチドに利用可能なY33の電子との間の潜在的なカチオン−π相互作用を示唆している。これらの局所的な差異に関与する5つの残基F6、T28、W30、K32、Y33の側鎖は、すべて互いに近接して位置しており、上記の分子内相互作用につながると同時に、Nav1.7と分子間相互作用するための潜在的な「ファーマコフォア」を形成する。
【0154】
相同性モデリング及びドッキング
HwTx−IVとNav1.7チャネルとの間で生じる特異的相互作用を調べるため、Nav1.7ドメインII(DII)の電圧センサードメイン(VSD;セグメントS1〜S4)の相同性モデルを、NavABをテンプレートとして構築した。取得可能なSARデータ及び文献に開示されるチャネル突然変異のデータ(Xiao et al.,Biol Chem.286:27301〜10,2011.Epub 2011 Jun 9.)を用いて、このモデルを更にリファインすることにより、HwTx−IVペプチドをマニュアルでドッキングさせるための静止状態の構造を生成した。
【0155】
文献に開示されるチャネル突然変異のデータは、HwTx−IVが、S1−S2及びS3−S4ループと(詳細には残基E753、E811、D816及びE818と)の相互作用によってDII電圧センサードメイン内に結合することを示唆している。得られたドッキングした構造を
図12に示すものであり、疎水性パッチが、W30及びF6と、Nav1.7のS1−S2ループ及びS3−S4ループによって形成される溝の内部を向いた塩基性のK32残基とから構成されている。ドッキングしたモデルでは、W30及びF6の疎水性パッチが、対応する疎水性残基M750を有するチャネル溝と相互作用することになる。S1−S2ループ及びS3−S4ループの端に沿った荷電相互作用により、HwTx−IVは結合部位内でそれ自体で配向することができる。詳細には、S1−S2ループ上で、HwTx−IV及びNav1.7チャネルのK7−E753及びE4−K762間でそれぞれ電荷−電荷相互作用が生じる。同様に、HwTx−IVとS3−S4 Nav1.7ループとの間で一連の電荷−電荷相互作用、すなわち、R26−D816、K27−818、及びK32−E811も生じる。
【0156】
実施例5
更なるフエントキシンIV変異体の設計及び生成
得られたフエントキシンIV変異体NV1G387(E1N、R26K、Q34S、G36I;NV1D2168、配列番号92)及びNV1G327(E1N、E4R、Y33W、Q34S;NV1D2163、配列番号3)に基づいて2つのグラフティングライブラリーを生成した。
【0157】
実施例2に述べたようにしてペプチドを組み換えにより発現させ、実施例2に述べたようにしてFLIPR(登録商標)Tetra及びQPatchを使用してIC50値を測定した。両方の方法を用いて電圧依存性ナトリウムチャネルNav1.1、Nav1.2、Nav1.3、Nav1.4、Nav1.5、及びNav1.7に対する選択性を評価した。
【0158】
変異体NV1G387(NV1D2168)が、Nav1.7に対して高い選択性を示し(
図5)、元のフエントキシンIVにおいて高い有効性についてスキャンする置換でグラフトした(Nav1.7 IC50>0.05μM)。NV1G387のライブラリー設計を表1に示す。
表1は配列番号267を開示する。
【0159】
【表1】
【0160】
変異体NV1G327(NV1D2163)は、高い有効性を示し(
図4)、元のフエントキシンIVにおいて高い選択性についてスキャンする置換でグラフトした(この実験ではNav1.2と比較して5倍よりも高い選択性として定義されるか又は定義されない)。NV1G327のライブラリー設計を表2に示す。
表2は配列番号267を開示する。
【0161】
【表2】
【0162】
図13Aは各配列を示し、
図13Bは、NV1G387(NV1D2168)スカフォールドに基づいた突然変異体の特性を示す。値はすべて、単一点アッセイのみを行った場合を除き、nMで表したIC
50である。単一点アッセイのみの場合、与えられたペプチド濃度で得られた阻害率(%)を示した。
【0163】
図14Aは各配列を示し、
図14Bは、NV1G327(NV1D2163)スカフォールドに基づいた突然変異体の特性を示す
図14Bの値は、
図13Bと同様である。
【0164】
双方向グラフティングライブラリーからのフエントキシンIV変異体は、向上した選択性を示し、かつ/又は以下の変異体を含む。
【0165】
>NV1G559
GPNCLEIFKACNPSNDQCCKSSFLVCSKKTRWCKYSIIK(配列番号277)
(E1N,R26K,Q34S,G36IをK21Fでグラフトした)
【0166】
>NV1G566
GPNCLEIFKACNPSNDQCCKSNKLVCSKKTRWCKYSIIK(配列番号278)
(E1N,R26K,Q34S,G36IをS20Nでグラフトした)
【0167】
>NV1G611
GPNCLRIFKACNPSNDQCCKSSKLVCSDKTRWCKWSIGK(配列番号279)
(E1N,E4R,Y33W,Q34SをR26Dでグラフトした)
【0168】
>NV1G612
GPNCLRIFKACNPSNDQCCKSSKLVCSRHTRWCKWSIGK(配列番号280)
(E1N,E4R,Y33W,Q34SをK27Hでグラフトした)
【0169】
実施例6.Nav1.7阻害剤の局所投与は、ラット侵害受容性疼痛モデルにおいて鎮痛作用を与える
3種類のNav1.7遮断ペプチドの鎮痛作用を急性侵害受容性疼痛のラット及びマウスモデルで評価した。評価したペプチドは、フエントキシンIV(HwTx−IV)(Peng et al.,J Biol Chem 277:47564〜71,2002)、プロトキシンII(Middleton et al.,Biochemistry 41:14734〜47,2002)及びコノトキシンKIIIA(Zhang et al.,J Biol Chem.2007 282(42):30699〜706)である。HwTx−IV及びKIIIAは複数の電位依存性ナトリウムチャネルのアイソフォームを遮断し、全身投与した場合に重い副作用を誘発することが予想されることからこれらのペプチドは局所投与した。これら3種類のペプチドのNav1.7遮断の強さの順序は、ProTX−II>HwTX−IV>KIIIAである。
【0170】
動物.雄性Sprague−Dawley(CD)系ラット(チャールズ・リバー社(Charles River)、サンディエゴ)を、約190〜200gで注文し、300gよりも大きくなった時点で使用した。
【0171】
材料の調製及び後足への局所投与.アミド化したフエントキシンIV(ペプチド・インターナショナル社(Peptides International)、ケンタッキー州ルイビル)、プロトキシンII(株式会社ペプチド研究所、日本)又はKIIIAを凍結乾燥された形で入手し、HEPES緩衝生理食塩水で戻し、アリコートに等分して−20℃で凍結した。左後足背面に投与する直前にアリコートを解凍し、HEPES緩衝生理食塩水を希釈剤として使用して適当な濃度にまで希釈した。取り扱い及び足への注射に関連したストレス自体によって、足への圧力の閾値が高くなることから(ストレス誘発鎮痛作用)、ラットは注射を行うためにイソフランで軽く麻酔した(5%で誘導、2〜3%で維持)。動物の足の背面に、針の先端が足の背面の中心の、爪先に隣接する位置に消えないマジックペンでつけたマークの真下となるように、中心線の左側にくるぶしに向かって針を挿入して、皮下注射を行った(100μLのペプチド溶液又は溶媒)。
【0172】
ランダール・セリット試験
Ugo−Basileランダール・セリット装置(無痛覚計)を、最大閾値を500gに設定して使用した。
【0173】
訓練.文献に広く報告されているように、天然の動物を試験日に先立って2日間訓練した(反応のばらつきを小さくするため)。訓練は、各動物に対して実際の試験を、各ラットにつき約1時間の長さにわたって複数回行うことにより行った。最初に、常に足の同じ部位を試験することができるように、消えないマジックペンで、動物の左足の背面の中心の爪先にすぐ隣接する位置にマークを付けた。次いでラットを後足が覆われないように緩くタオルで包み、左後足を、ランダール・セリット装置内に、消えないマークが、足と接触する試験装置のコーンの先端の真下となるようにして置き、動物が反応するまで、フットコントロールによる電子的傾斜によって一定速度で圧力を増大させた。訓練用の「反応」は、試験日と同じ基準にしたがい、以下の内のいずれか1つからなるものとした。すなわち、1)装置から後足を引き抜く、2)明らかに足を引き抜こうとする、又は3)鳴き声をあげる。ラットは、100g又はそれ以上の閾値に対して反応するまで連続して3回まで試験した。訓練の時間/日にわたり、各ラットについて、1〜3回の連続した試験を、5〜20分間隔で行った。
【0174】
試験.ペプチド又は溶媒の投与に先立って、訓練した、無傷のラットを、化合物投与前閾値について1回試験した。各動物を、ペプチド処理群又は溶媒処理群に、同等の投与前閾値平均を与えるように振り分けた。実験は可能な場合には、処理群に対して盲検で行った(すなわち、新たなペプチド又は新たな用量で試験を開始する際)。注射後の各時点(5、10、20、30、45、60、及び120分)で1回の試験を行い、記録した。反応は、訓練の際の反応と同様に定義した(上記の訓練の項を参照)。
【0175】
データ分析.グラム(g)の閾値を紙に記録し、Prism 5.01(グラフパッド・ソフトウェア社(Graphpad Software Inc.)、カリフォルニア州ラホーヤ)に入力してグラフ化し、曲線下面積(AUC)値及び統計分析を生成した。時間に対するグラム(g)値を比較するため、2元配置分散分析(ANOVA)をp<0.05の有意水準で用いた。平均のAUC値を生成するため、ペプチド群の各ラットのAUCを個々に得て、溶媒群の平均のAUCをそこから減じた。次に、各ペプチド処理動物の、溶媒値を減じたAUCを互いに平均化し、それぞれp<0.05の有意水準で行ったスチューデントt検定又は1元配置分散分析(ANOVA)のいずれかにより比較した。120分における反応は示しておらず、AUCの計算には含めなかった。代わりに投与前、及び5〜60分の値(Pre)を用いた。
【0176】
結果.足の背面に局所投与したフエントキシンIVは、ランダール・セリット試験における足の圧力閾値を容量依存的に増大させた。3nmol(
図15A)及び30nmol(
図15B)のフエントキシンIVは、溶媒処理群の動物で認められた閾値よりも有意に閾値を増大させたが、0.3nmolでは有意な増大は認められなかった(図示せず)。曲線下面積(AUC)(
図15C)は、3つのペプチド処理群すべての間で有意に異なった(各動物のAUCから平均の溶媒AUCを減じた)。
【0177】
足の背面に局所投与したプロトキシンIIは、ランダール・セリット試験における足の圧力閾値を容量依存的に増大させた。0.3nmol(
図16A)、3nmol(
図16B)、及び30nmol(
図16C)のペプチドのそれぞれの用量は、溶媒処理群の動物で認められた閾値よりも有意に閾値を増大させた。AUCは0.3nmolと3nmol用量との間を除いて有意に異なった(各動物のAUCから平均の溶媒AUCを減じた)(
図2D)。
【0178】
両方の用量(3及び30nmol)で足の背面に局所投与されたKIIIAでは、ランダール・セリット試験において、足の圧力閾値が増大する傾向が認められたが、統計的に有意ではなかった。2つの用量から得られたAUCの間に有意差は認められなかった(図示せず)。
【0179】
この実験の結果は、ProTx−II及びHwTx−IVが急性侵害受容性疼痛のラットモデルにおいて局所投与後に有意な鎮痛作用を示したことを示すものである。KIIIAは鎮痛活性に向かう傾向を示したが、統計的に有意な水準には達しなかった。疼痛アッセイにおける活性の順序(ProTX−II>HwTX−IV>KIIIA)は、インビトロでのNav1.7遮断の順序と一致し、このことは、Nav1.7遮断が鎮痛活性に寄与した可能性を示唆するものである。
【0180】
実施例7.ProTx−IIの局所投与は、ラット炎症性疼痛モデルにおいて鎮痛作用を与える
動物試験開始時点において体重240〜295g(平均/標準誤差:280.2±3.3)の雄性Sprague−Dawley(CD)系ラット。
【0181】
行動試験
接触性アロディニア試験
特別に作製した金網の観察ケージを通して、後足の足底に対してフィラメントがわずかに曲がるだけの充分な力で垂直に加えて5〜7秒間保持した8段階の刺激(フォンフライ(von Frey)式フィラメント:0.4、0.6、1.0、2.0、4.0、6.0、8.0、及び15.0g;ストールティング社(Stoelting)、イリノイ州ウッドデール)から罹患した肢を引っ込めた閾値の中央値を測定することによって機械的(接触性)アロペディアを評価した。刺激の間又は刺激の除去の直後に足が引っ込められた場合を陽性反応とした。50%足引っ込め閾値(PWT)を、刺激強度を連続的に増大及び減少させ、(Chaplan et al.,1994)に述べられるディクソンアップダウン法(Dixon,1980)を適合した方法を用いて引っ込め値のデータを分析することによって求めた。ラットは、試験に先立って10分間、金網に慣らした。完全フロイントアジュバント(CFA)の注射の前及び注射後の異なる数日に触覚閾値を評価した。
【0182】
熱性アロディニア試験
CFA投与の前後に熱足刺激装置(Hargreave装置、カリフォルニア州立大学サンディエゴ校麻酔科、カリフォルニア州サンディエゴ)を使用して放射熱に対する足閾値反応を評価した。ナイーブなラットを使用し、足を引っ込めるまでのラットの反応が約8〜12秒の潜時の範囲(平均約10秒)となるように放射熱の利得及び強度を設定した。カットオフ値は、装置により20秒に設定した。各時点で、同じ足について3つの別々の測定値を、各動物で約5分間隔で得て、互いに平均化した。
【0183】
単関節炎モデル誘発
完全フロイントアジュバント(CFA;シグマ・アルドリッチ社(Sigma-Aldrich)、ミズーリ州セントルイス)のエマルションを、CFAと0.9%生理食塩水が1:1の比となるように調製した。動物をイソフルランで麻酔し(導入5%、維持2〜5%)、100μLのエマルションを左後足に皮下注射した。CFA注射後12日目に、同側の足に、100μLのHEPES緩衝生理食塩水に加えた30nmolプロトキシンII(ペプタイズ・インターナショナル社(Peptides International)、ケンタッキー州ルイヴィル)又は溶媒(100μLのHEPES緩衝生理食塩水)のいずれかを注射した。
【0184】
データ分析.データは、平均±標準誤差として表した。グラム(g)閾値(触覚)及び熱による足引っ込めまでの潜時を紙に記録し、Prism 5.01(グラフパッド・ソフトウェア社(Graphpad Software Inc.)、カリフォルニア州ラホーヤ)に入力してグラフ化し、統計分析を行った。時間に対する閾値を比較するため、2元配置分散分析(ANOVA)及びボンフェローニポストホック(Bonferroni post hoc)検定をp<0.05の有意水準で用いた。
【0185】
結果
接触性アロディニアの閾値(
図17A)及び熱性アロディニアの潜時(
図17B)は、50%足底内CFAによりラットに誘発させた単関節炎の動物モデルでは有意に低下した。足底内投与したプロトキシンIIでは、注射後30及び60分後に、溶媒注射動物と比較して触覚閾値が有意に増加した。
【0186】
実施例8.ProTx−IIの局所投与は、マウス炎症性疼痛モデルにおいて鎮痛作用を与える
動物.試験開始時点において体重24〜31g(平均/標準誤差:27.5±0.3)の雄性C57/bl6マウスを使用した。
【0187】
行動試験
接触性アロディニア試験
特別に作製した金網の観察ケージを通して、後足の足底中心に対してフィラメントがわずかに曲がるだけの充分な力で垂直に加えて約3秒間保持した7段階の刺激(フォンフライ(von Frey)式フィラメント:0.07、0.16、0.4、0.6、1.0、2.0及び4.0g;ストールティング社(Stoelting)、イリノイ州ウッドデール)から、罹患した足を引っ込めた閾値の中央値を測定することによって機械的(接触性)アロペディアを評価した。刺激の間又は刺激の除去の直後に足が引っ込められた場合を陽性反応とした。50%足引っ込め閾値(PWT)を、刺激強度を連続的に増大及び減少させ、(Chaplan et al.,1994)に述べられるディクソンアップダウン法(Dixon,1980)を適合した方法を用いて引っ込め値のデータを分析することによって求めた。マウスは、試験に先立って1日につき約1時間、2日間にわたり、更に、各試験日には試験に先立って30分間、金網の試験条件に慣らした。完全フロイントアジュバント(CFA)の注射の前及び注射後の異なる数日に触覚閾値を評価した。
【0188】
単関節炎モデル誘発
50%完全フロイントアジュバント(CFA;シグマ・アルドリッチ社(Sigma-Aldrich)、ミズーリ州セントルイス)に対して、CFAと0.9%生理食塩水が1:1の比となるようにエマルションを調製した(溶媒処理群には0.9%生理食塩水のみを投与した)。100% CFAについては動物が販売業者から届いた時点で希釈しないCFAを注射し、コントロール動物には0.9%生理食塩水を注射した。動物をイソフルランで麻酔し(導入5%、維持2〜5%)、50μLハミルトン注射器及び25ゲージの針を使用して20μLを左後足に皮下注射した。
【0189】
処理
実験はすべて、処理に対して盲検で行った。CFA注射後3日目に、ガバペンチン(150mg/kg,n=6)又は溶媒(滅菌水;n=6)のいずれかを、このモデルにおいて周知の抗アロディニア作用を有するポジティブコントロールとして経口投与(4mL/kg)し、触覚閾値の変化について評価した。6日間のウォッシュアウト期間の後(CFA後9日目)、同じ動物を、3nmolプロトキシンII(ペプタイズ・インターナショナル社(Peptides International)、ケンタッキー州ルイヴィル)又は溶媒(HEPES緩衝生理食塩水)を左のCFA処理した足の足底内に投与して試験した。
【0190】
データ分析
データは、平均±標準誤差として表した。グラム(g)閾値(触覚)及び熱による足引っ込めまでの潜時を紙に記録し、Prism 5.01(グラフパッド・ソフトウェア社(Graphpad Software Inc.)、カリフォルニア州ラホーヤ)に入力してグラフ化し、統計分析を行った。時間に対する閾値を比較するため、2元配置分散分析(ANOVA)及びボンフェローニポストホック(Bonferroni post hoc)検定をp
6/mlに調整し、細胞をQPatchHTの細胞「ホテル」に移し、数時間にわたって実験に使用した。
【0191】
アッセイで用いた電圧プロトコールは以下のとおりである。−75mVの保持電位から、細胞を最初に−120mVに2秒間過分極させてから、0mVに5ミリ秒間脱分極させた後、保持電位(−75mV)に戻した。このプロトコールを、液体供給時に60秒毎に1回繰り返した(下記参照)。それ以外は、上記の電圧プロトコールが実行されない場合、細胞を−75mVに保持した。
【0192】
ギガオーム(GΩ)シール形成用に、細胞外液は、137mM NaCl、5.4mM
KCl、1mM MgCl
2、2mM CaCl
2、5mMグルコース、及び10mM HEPES(pH=7.4、浸透圧モル濃度=315mOsm)を含むものとした。細胞内液は、135mM CsF、10mM CsCl、5mM EGTA、5mM NaCl及び10mM HEPES(pH=7.3、浸透圧モル濃度=290mOsm)を含むものとした。
【0193】
ホールセルパッチクランプの記録用には、コントロールマウス又は試験マウス(溶媒又はペプチド投与したもの)から得た血漿を最初に上記の細胞外液で希釈し(10〜1000倍)、これらの血漿含有緩衝液をこの後、細胞外液として使用した。細胞内液は上記と同じものとした。
【0194】
ホールセル記録用コンフィギュレーションが確立された時点で、全部で5つの血漿含有細胞外液の供給(血漿を含まない細胞外液に1μMのTTXを含む最後の供給を除く)を、記録されるそれぞれの細胞に行った。最初の供給(5μl)は、コントロール血漿のみを含むものとした(血漿含有緩衝液)。供給の5秒後、電圧プロトコールを10回(全体で10分間の長さ)行った。次の3つの供給(各5μL)は、溶媒又はペプチド投与したマウスから得た血漿(コントロール血漿の最初の供給と同じ倍率で希釈した)か、又はコントロール細胞では、最初の供給と同じコントロール緩衝液とした。ポジティブコントロールとして、既知濃度(300μM)の合成プロトキシンIIを10倍に希釈したコントロール血漿含有緩衝液に加え(スパイク)、これを更に連続希釈して他の血漿含有緩衝液(すなわち30、100、300及び1000倍に希釈した血漿含有緩衝液)中でコントロールペプチドのより低い濃度(すわち3、10、30、及び100倍希釈濃度)を得た。これら3つの供給のそれぞれの5秒後、電圧プロトコールを再び10回行った(やはり毎分1回)。最後の供給は1μMのTTXを含むもの(それぞれ2秒間離れた3つの10μlの小適用からなるもの)とし、その5秒後に同じ電圧プロトコールを2回行ってベースライン電流を得た。
【0195】
電流を25kHzでサンプリングし、8極Bessleフィルターにより5kHzでフィルタリングした。直列抵抗の補償レベルを80%に設定した。各細胞について最初に、最初の4つの供給の各電流トレースの0mVにおけるピーク電流振幅を、TTXの存在下の最後のトレースのピーク電流振幅から引き、次いで最初の供給(コントロール緩衝液)の最後のトレースのピーク電流振幅に対して阻害率(%)として標準化した。電流のランダウン(rundown)について調整するため、試験血漿含有緩衝液の存在下における各細胞のこの(阻害率(%)の)値を、同じ実験中のコントロール(通常5〜6個の)細胞(試験血漿と同じ倍率で希釈したコントロール血漿のみを含む緩衝液で試験したもの)の平均の阻害率(%)の値に対して更に正規化した。最後(すなわち全体の4番目)の血漿の供給の最後の2つのこうした値の平均の値を、濃度反応計算に使用した。連続希釈した血漿(ProTx−II投与マウスから得たもの)緩衝液の存在下でのチャネル阻害のレベルを、ProTx−IIのスパイクした(既知の)濃度の存在下での(希釈した)コントロール血漿から得られたチャンネル阻害のレベルと比較することによって、希釈していない血漿中のProTx−II濃度を計算した。実験はすべて、室温(約22℃)で行った。データは平均±標準誤差として表した。
【0196】
結果のまとめ
ポンプ埋め込み後の異なる時点における各用量群の血漿濃度を表3に示す。血漿濃度は、2つのより低い用量ではすべての時点で検出限界(約5nM)を下回った。血漿濃度は、より高い用量では50〜83nMであり、これらの用量群内ではすべての時点で同様であった(2日間以内に安定状態に達したことを示唆する)。すべての用量はよく忍容され、すべの用量又は時点で異常な挙動は認められなかった。
【0197】
【表3】
【0198】
ProTx−IIは、マウスにおいて最大で45.6ug/日まで、7日間にわたってよく耐容された。この実験では最大耐容用量は特定されなかったことから、本発明者らは、疼痛実験において5倍高い用量(228μg/日)を評価することとした。
【0199】
実施例10.ミニポンプを使用したProTx−IIの投与は、マウス炎症性疼痛モデルにおいて抗アロディニア作用を与える
動物.この実験では、チャールズ・リバー社(Charles River)より注文した雄性C57Bl/6系マウスを使用した。
【0200】
行動試験
接触性アロディニア試験
特別に作製した金網の観察ケージを通して、後足の足底に対してフィラメントがわずかに曲がるだけの充分な力で垂直に加えて約3秒間保持した7段階の刺激(フォンフライ(von Frey)式フィラメント:0.07、0.16、0.4、0.6、1、2及び4g;ストールティング社(Stoelting)、イリノイ州ウッドデール)から、罹患した足を引っ込めた閾値の中央値を測定することによって機械的(接触性)アロペディアを評価した。刺激の間又は刺激の除去の直後に足が引っ込められた場合を陽性反応とした。足引っ込め閾値(PWT)を、刺激強度を連続的に増大及び減少させ、(Chaplan et al.,1994)に述べられるディクソンアップダウン法(Dixon,1980)を適合した方法を用いて引っ込め値のデータを分析することによって求め、グラム(g)で記録した。マウスは、試験に先立って30分間、金網に慣らした。100%完全フロイントアジュバント(CFA)の注射の前及び注射後の異なる数日に触覚閾値を評価した。行動試験を完全に盲検で行った。試験を行う者とは別の研究者によって、予備閾値を統合してベースライン試験に先立って閾値を均一化した。
【0201】
熱性(ハーグリーブズ(Hargreaves))アロディニア試験
改変したハーグリーブズボックスを使用して熱性アロディニアを測定した(Hargreaves et al.,1988,Pain,32:77〜88;Dirig et al.,1997,J Neurosci.Methods,76:183〜191)。この箱は、一定温度(28℃)に維持されたせり上がったガラス底を有するプレキシグラスチャンバーからなるものである。熱侵害受容性刺激は、ガラス表面の下の映写用電球から与えられ、刺激は、カットオフ時間20秒で後足の片方ずつに別々に与えた。実験全体を通して一定のアンペア数を使用することで、5分間隔で計測した3つの計測値について平均した場合に約8〜12秒の試験前足引っ込め潜時が得られた。動物を10分間、硝子表面上で慣らしてから足引っ込めまでの潜時(PWL)を秒単位で記録した。
【0202】
CFA
動物をイソフルランで麻酔し(導入5%、維持2〜5%)、20μLの100%完全フロイントアジュバント(CFA;シグマ・アルドリッチ社(Sigma-Aldrich)、ミズーリ州セントルイス)を、1mL注射器に取り付けた25ゲージの針を使用して左後足に皮下注射した。
【0203】
試験化合物
プロトキシンII(ペプタイズ・インターナショナル社(Peptides International))をDPBS中(カルシウム及びマグネシウムを含まないもの)で9.5mg/mLのストック濃度で配合した。
【0204】
ミニポンプ
アルゼット(Alzet)マイクロ浸透圧ミニポンプ(デュレクト社(Durect Corporation)モデル1003D)を使用した。これらのポンプにより、試験化合物及び溶媒を、マウス体内への移植後、3日間にわたって1.0μl/時で投与した。ポンプ及びその流量調節要素(フローモデレーター)を最初に秤量し、次いで27ゲージの先の丸い針が取り付けられた1mLのシリンジによって充填した。ポンプが直立した状態で、ポンプを充填し、流量調節要素を挿入して再び秤量した。重量(空の重さ及び充填時の重さ)を記録して、アルゼットポンプの使用説明書で指定されている平均充填体積の90%を充填体積が超えるようにした(使用説明書によれば92μL)。次いでポンプを、0.9%生理食塩水で充填した15mL円錐チューブに入れ、埋め込みに先立って37℃に5〜6時間置いた。
【0205】
ミニポンプの埋め込み
マウスに20μlの0.3mg/mlブプレネックスを投与した後、イソフルランにより麻酔(誘導5%、維持2%)を施した。マウスの背中を剃毛し、イソプロピルアルコール及びポビドンヨードで拭き、肩甲骨の間に小さい切開を行った。ヘモスタットを使用し、皮下結合組織を広げて剥離することによって小さなポケットを形成した。各ポンプの内容物は医師にも実験操作者にも分からないようにした。この後、7mmのステープルを使用して皮膚の切開を閉じ、動物を飼育ケージ内で回復させた。
【0206】
データ分析
データは、平均±標準誤差として表した。グラム(g)閾値(接触性)及び平均の潜時(熱的)を紙に記録し、Prism 5.01(グラフパッド・ソフトウェア社(Graphpad Software Inc.)、カリフォルニア州ラホーヤ)に入力してグラフ化し、統計分析を行った。時間に対する閾値を比較するため、2元配置分散分析(ANOVA)及びボンフェローニポストホック(Bonferroni post hoc)検定をp<0.05の有意水準で用いた。
【0207】
手順
動物を、フォンフライ(Von Frey)スタンド及びハーグレーブズ(Hargreaves)ボックスで、試験の前の週の火曜日、水曜日、及び木曜日に訓練した。動物をスタンド/ボックス上に腰をつけさせて装置の上に居ることに慣れさせた。金曜日に動物の試験前閾値を接触性(フォンフライスタンド)及び熱性(ハーグレーブズ)の両方で試験した。試験前閾値を試験した時点で動物を軽く麻酔し、20μLの100%CFAを左後足に注射した。動物を回復させ、飼育ケージに戻した。翌週の月曜日にマウスを接触性及び熱性の両方でベースライン測定値について試験して、CFAが動物の閾値を低下させるだけの充分な炎症を引き起こしたことを確認した。この後、マウスを麻酔し、ミニポンプを埋め込んで動物を回復させた。火曜日、水曜日、及び木曜日に「1日目」、「2日目」、及び「3日目」の接触性及び熱性閾値を測定した。3日目の終わりに動物を屠殺し、最終的な血液試料を得た。
【0208】
血漿ProTx−IIを実施例9で述べたようにして決定した。ProTx−IIの平均濃度は224μMであった。
【0209】
結果
ProTx−IIは、浸透圧ミニポンプによる228μg/日の持続的投与後、炎症性疼痛のマウスモデルにおいて統計的に有意な有効性を示した。接触性閾値(
図19A)及び熱閾値(
図19B)は、ProTx−II処理動物において有意に増加した。これらの観察結果は、2つの独立した完全な盲検試験において再現可能であった。ProTx−IIは、この有効な用量で明らかな運動障害は生じなかった。文献に開示されている報告(Schmalhofer et al.,Mol Pharm 74:1476〜1484,2008;Hacker et al.,Proc Natl Acad Sci USA 109:E2018−27)と対照的に、これらのデータは、Nav1.7選択的ペプチドに対する持続的な曝露による全身投与は、炎症性疼痛において明らかな効果を与えることを示すものである。
【0210】
ミニポンプにより投与したProTx−IIの効果を、神経因性疼痛のモデルである神経部分損傷を有するマウスにおいて接触性(フォンフライ)疼痛アッセイで評価した。ProTx−IIは、浸透圧ミニポンプによるProTx−IIの228μg/日の持続的投与後、この神経因性疼痛のマウス神経部分損傷モデルでは有効性を示さなかった。
【0211】
本願発明は、以下の態様を包含し得る。
[1] 配列:
X1CX2X3X4FX5X6CX7X8X9X10X11X12CCX13X14X15X16X17X18CX19X20X21X22X23X24CKX25X26IX27X28(配列番号265)を有する単離されたフエントキシンIV変異体であって、配列中、
a)X1、X2、X3、X4、X5、X6、X7、X8、X9、X10、X11、X12、X13、X14、X15、X16、X17、X18、X19、X20、X21、X22、X23、X24、X25、及びX26は、任意のアミノ酸であり、
b)X27及びX28は任意のアミノ酸であるか又は欠失しており、そして、
c)前記フエントキシンIV変異体が、配列番号1に示される配列を有するポリペプチドではないという条件で、前記フエントキシンIV変異体のヒトNav1.7(配列番号263)に対するIC50値が約300×10-9M以下である、単離されたフエントキシンIV変異体。
[2] a)X4が、Y、V又はIであり、
b)X8が、P又はVであり、
c)X11が、D、P又はWであり、
d)X19が、S又はIであり、
e)X21が、Y、W、A、K又はHであり、
f)X22が、T又はVであり、
g)X24が、W又はKであり、そして、
h)X25が、W、T、I又はYである、上記[1]に記載の単離されたフエントキシンIV変異体。
[3] 配列番号277、278、192、279、280、又は3の前記アミノ酸配列を有する、上記[2]に記載の単離されたフエントキシンIV変異体。
[4] a)X1が、K、R、H、D、Y、F、N、Q、S、T、G、L、I、P又はEであり、
b)X2が、R、F、W、N、S又はLであり、
c)X3が、R、H、D、Y、N、Q、L、I、P又はEであり、
d)X5が、R、W、Q、S又はKであり、
e)X6が、R、E、Y、F、V又はAであり、
f)X7が、K、R、E、Y、F、S、V又はNであり、
g)X9が、R、F、Q、V又はSであり、
h)X10が、H、D、Y、W、Q、S、T、G、A、V、L、I、P又はNであり、
i)X12が、K、R、D、E、Y、W、N、T、A、L又はQであり、
j)X13が、R、Y、Q、S、T、G、L、I、P又はKであり、
k)X14が、K、R、Y、F、N、Q、G、A、V、L、I、P又はSであり、
l)X15が、R、H、D、Y、W、N、Q、T、V、I、P又はSであり、
m)X16が、R、H、D、F、W、N、Q、S、T、G、A、L又はKであり、
n)X17が、K、R、Y、F、W、P又はLであり、
o)X18が、K、R、T、A、L又はVであり、
p)X20が、K、W、G、A、I、R又はDであり、
q)X23が、K、H、W、N、G、A、L又はRであり、
r)X26が、K、R、Y、F、S、T、G、A、V、L、I又はQであり、
s)X27が、K、R、H、F、W、V、L、I、Gであるか又は欠失しており、そして、
t)X28が、R、H、Y、F、W、N、G、V、P、Kであるか又は欠失している、上記[2]に記載の単離されたフエントキシンIV変異体。
[5] 前記フエントキシンIV変異体のヒトNav1.7に対するIC50が約160×10-9M未満である、上記[4]に記載の単離されたフエントキシンIV変異体。
[6] 前記フエントキシンIV変異体が配列番号3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、241、242、243、244、245、246、247、248、249、250、251、252、253、277、278、279又は280の前記ポリペプチド配列を有する、上記[5]に記載の単離されたフエントキシンIV変異体。
[7] 配列:
X1CX2X3X4FX5X6CX7X8X9X10X11X12CCX13X14X15X16X17X18CX19X20X21X22X23X24CKX25X26IX27X28(配列番号265)を有する単離されたフエントキシンIV変異体であって、配列中、
a)X1、X2、X3、X4、X5、X6、X7、X8、X9、X10、X11、X12、X13、X14、X15、X16、X17、X18、X19、X20、X21、X22、X23、X24、X25、及びX26は、任意のアミノ酸であり、
b)X27及びX28は任意のアミノ酸であるか又は欠失しており、そして
c)前記フエントキシンIV変異体が、配列番号1に示される配列を有するポリペプチドではないという条件で、前記フエントキシンIV変異体がNav1.7を選択的に阻害する、単離されたフエントキシンIV変異体。
[8] 前記フエントキシンIV変異体が、配列番号5、7、12、13、16、21、25、45、46、48、55、57、58、60、61、72、74,76、78、82、83、96、109、111、113、122、127、131、134、137、141、142、149、164、165、172、175、177、178、180、182、188、189、192、198、202、204、213、215、219、223、224、225、226、227、228、229、230、231、232、233、234、235、236、237、238、239又は240の前記ポリペプチド配列を有する、上記[7]に記載の単離されたフエントキシンIV変異体。
[9] 配列番号3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、224、225、226、227、228、229、230、231、232、233、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245、246、247、248、249、250、251、252、253、277、278、279、280、281、282、283、284、285、286、287、288、289、290、291、292、293、294、295、296、297、298、299、300、301、302、303、304、305、306、307、308、309、310、311、312、313、314、315、316、317、318、319、320、321、322、323、324、325、326、327、328、329、330、331、332、333、334、335、336、337、338、339、340、341、342、343、344、345、346、347、348、349、350、351、352、353、354又は355に示される前記ポリペプチド配列を有する、単離されたフエントキシンIV変異体。
[10] 配列番号3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、224、225、226、227、228、229、230、231、232、233、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245、246、247、248、249、250、251、252、253、277、278、279、280、281、282、283、284、285、286、287、288、289、290、291、292、293、294、295、296、297、298、299、300、301、302、303、304、305、306、307、308、309、310、311、312、313、314、315、316、317、318、319、320、321、322、323、324、325、326、327、328、329、330、331、332、333、334、335、336、337、338、339、340、341、342、343、344、345、346、347、348、349、350、351、352、353、354又は355の前記フエントキシンIV変異体をコードした単離されたポリヌクレオチド。
[11] 上記[10]に記載の前記単離されたポリヌクレオチドを含むベクター。
[12] 上記[11]に記載のベクターを含む宿主細胞。
[13] 上記[12]に記載の前記宿主細胞を培養することと、前記宿主細胞による前記フエントキシンIV変異体を回収することと、を含む、単離されたフエントキシンIV変異体を生成する方法。
[14] 上記[9]に記載の前記単離されたフエントキシンIV変異体及び薬学的に許容される賦形剤を含む、医薬組成物。
[15] 被験対象の疼痛を治療する方法であって、疼痛を治療するために上記[9]に記載の前記フエントキシンIV変異体の有効量を前記被験対象に末梢投与することを含む、方法。
[16] 治療法に使用するための、上記[9]に記載のフエントキシンIV変異体。
[17] Nav1.7介在性疼痛を緩和する方法であって、治療を要する被験対象に、前記Nav1.7介在性疼痛を緩和するのに充分な時間にわたって、Nav1.7のペプチド阻害剤の治療上の有効量を末梢投与することによる、方法。
[18] 前記Nav1.7介在性疼痛が、慢性痛、急性痛、神経因性疼痛、侵害受容性疼痛、内臓痛、背部痛、術後痛、熱性疼痛、幻肢痛、又は、炎症状態、原発性皮膚紅痛症(PE)、発作性激痛症(PEPD)、変形性関節症、関節リウマチ、腰椎椎間板切除、膵炎、線維筋痛症、有痛性糖尿病性ニューロパチー(PDN)、帯状疱疹後ニューロパチー(PHN)、三叉神経痛(TN)、脊髄損傷、若しくは多発性硬化症に伴う疼痛を含む、上記[17]に記載の方法。
[19] 前記被験対象がヒトである、上記[18]に記載の方法。
[20] 前記Nav1.7のペプチド阻害剤が、関節、脊髄、手術創、傷害又は外傷の部位、末梢神経線維、泌尿生殖器、又は炎症組織に局所投与される、上記[19]に記載の方法。
[21] 前記Nav1.7のペプチド阻害剤が、ミニポンプを使用して投与される、上記[19]に記載の方法。
[22] 前記Nav1.7のペプチド阻害剤が、プロトキシンII(配列番号356)、フエントキシンIV(配列番号1)、プロトキシンII変異体、又はフエントキシンIV変異体である、上記[19]に記載の方法。
[23] 前記フエントキシンIV変異体が、配列番号3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、224、225、226、227、228、229、230、231、232、233、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245、246、247、248、249、250、251、252、253、277、278、279、280、281、282、283、284、285、286、287、288、289、290、291、292、293、294、295、296、297、298、299、300、301、302、303、304、305、306、307、308、309、310、311、312、313、314、315、316、317、318、319、320、321、322、323、324、325、326、327、328、329、330、331、332、333、334、335、336、337、338、339、340、341、342、343、344、345、346、347、348、349、350、351、352、353、354又は355に示される前記ポリペプチド配列を有する、上記[22]に記載の方法。