(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6771284
(24)【登録日】2020年10月1日
(45)【発行日】2020年10月21日
(54)【発明の名称】閉システム・カテーテル・アセンブリ
(51)【国際特許分類】
A61M 25/06 20060101AFI20201012BHJP
A61M 39/06 20060101ALI20201012BHJP
A61M 39/10 20060101ALI20201012BHJP
【FI】
A61M25/06 500
A61M39/06 110
A61M39/10 120
【請求項の数】11
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-541824(P2015-541824)
(86)(22)【出願日】2013年11月1日
(65)【公表番号】特表2015-533612(P2015-533612A)
(43)【公表日】2015年11月26日
(86)【国際出願番号】US2013068151
(87)【国際公開番号】WO2014074417
(87)【国際公開日】20140515
【審査請求日】2016年10月19日
【審判番号】不服2018-15050(P2018-15050/J1)
【審判請求日】2018年11月12日
(31)【優先権主張番号】13/673,975
(32)【優先日】2012年11月9日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505403186
【氏名又は名称】ケアフュージョン 303、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イエー、ジョナサン
(72)【発明者】
【氏名】マンスール、ジョージ
(72)【発明者】
【氏名】ゾーリンガー、クリス
【合議体】
【審判長】
内藤 真徳
【審判官】
関谷 一夫
【審判官】
栗山 卓也
(56)【参考文献】
【文献】
特表2001−522658(JP,A)
【文献】
特表2002−521143(JP,A)
【文献】
特開平10−108910(JP,A)
【文献】
米国特許第5215525(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/06
A61M 39/06
A61M 39/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング(112)と、
前記ハウジングをカテーテル・デバイス(130)に弾性的に連結するためのラッチ(134)であって、該ラッチは前記ハウジングに連結し、前記ハウジングから延在し、前記カテーテル・デバイスのカテーテル・デバイス・ハウジング(132)上にある少なくとも1つの対応する機構にスナップ嵌めされるように構成された外側部分を含み、前記少なくとも1つの対応する機構に柔軟且つ弾性的にスナップ嵌めされるばねラッチであり、該ラッチが前記少なくとも1つの対応する機構と係合しないときは、該ラッチは前記カテーテル・デバイスから切り離されており、前記少なくとも1つの対応する機構は、前記カテーテル・デバイスの突出部又はインデントを含む、前記ラッチ(134)と、
患者に挿入される針(150)であって、前記ハウジング(112)に摺動可能に配設された針コレット(120)に連結された、前記針(150)と、
前記針コレットに連結されたばね(114)であって、前記ラッチは、前記ラッチの内側部分が前記ばねの伸長を防ぐ第1の位置と、前記ばねが弛緩しそれにより前記針を前記ハウジング内に完全に引き込むように前記内側部分が前記ばねを解放して伸長する第2の位置との間を移動可能であり、前記ラッチが前記カテーテル・デバイス・ハウジング(132)により前記第1の位置に保持され、前記ラッチが前記カテーテル・デバイスから弾性的に切り離されると、前記第2の位置へ移動可能なように構成される、前記ばね(114)とを備える、カテーテル挿入デバイス(110)。
【請求項2】
観察チャンバを更に備え、前記ハウジングを通して前記観察チャンバ内の血液を観察することができる、請求項1に記載のカテーテル挿入デバイス。
【請求項3】
前記観察チャンバ内に配設された疎水性フィルタを更に備え、前記疎水性フィルタによって、空気が吐き出され、前記血液を前記観察チャンバ内に閉じ込めることが可能になる、請求項2に記載のカテーテル挿入デバイス。
【請求項4】
前記ハウジング内に軸線方向で摺動可能に配設された前記針コレットは、前記ラッチが前記突出部又はインデントから外されると、前記ばねは前記針コレットを付勢し前記ハウジング内において前記ラッチから離れて摺動させる、請求項1に記載のカテーテル挿入デバイス。
【請求項5】
血液が、前記針を介して前記カテーテル・デバイスを通り抜け、針コレット内に配設された観察チャンバに入る、請求項1に記載のカテーテル挿入デバイス。
【請求項6】
前記カテーテル挿入デバイスが閉システムである、請求項1に記載のカテーテル挿入デバイス。
【請求項7】
ハウジング(112)、
外側部分を含み、前記ハウジングに連結し、前記ハウジングから延在するラッチ(134)、
患者に挿入される針(150)であって、前記ハウジング(112)に摺動可能に配設された針コレット(120)に連結された、前記針(150)、及び、
前記針コレットに連結されたばね(114)を備える、挿入デバイス(110)と、
前記挿入デバイスに連結されるカテーテル・デバイス(130)とを備え、前記カテーテル・デバイスが、
チャンバ(133)及び前記挿入デバイスの前記ラッチの前記外側部分にスナップ嵌めされるように構成された少なくとも1つの機構を含むハウジング(132)であって、前記ラッチはカテーテル・デバイスのハウジングの外部に係合され、前記ラッチは前記カテーテル・デバイスのハウジングの外部の突出部又はインデントと柔軟且つ弾性的にスナップ嵌めされるように移動可能であり、該ラッチが前記突出部又はインデントと係合しないときは、前記カテーテル・デバイスのハウジングから切り離されるように移動可能であるばねラッチであり、前記カテーテル・デバイスが前記カテーテル挿入デバイスから離れる前に、該ラッチは前記カテーテル・デバイスから切り離されるように移動可能である、前記ハウジング(132)、及び、
前記チャンバ内に配設されるシール(136)を備え、前記シールが、前記針が前記シールから引き抜かれると再封止して、血液が前記チャンバ内に閉じ込められるように構成され、また、前記ラッチは、前記ラッチの内側部分が前記ばねの伸長を防ぐ第1の位置と、前記ばねが弛緩しそれにより前記針を前記挿入デバイスの前記ハウジング内に完全に引き込むように前記内側部分が前記ばねを解放して伸長する第2の位置との間を移動可能であり、前記ラッチが前記カテーテル・デバイスの前記ハウジング(132)により前記第1の位置に保持され、前記ラッチが前記カテーテル・デバイスから切り離されると、前記第2の位置へ移動可能なように構成される、カテーテル・システム(100)。
【請求項8】
前記カテーテル・デバイスが前記挿入デバイスに連結され、前記ラッチが前記第1の位置に移動すると、前記ばねが圧縮される、請求項7に記載のカテーテル・システム。
【請求項9】
前記挿入デバイスは、血液が、前記針を介して前記カテーテルを通り抜け、前記針コレット内に配設された観察チャンバに入るように構成される、請求項7に記載のカテーテル・システム。
【請求項10】
前記シールが、伸長セットによって穿刺され、それによって前記血液が前記チャンバを出て前記伸長セットに入ることができるように構成される、請求項7に記載のカテーテル・システム。
【請求項11】
前記針コレットが前記挿入デバイスの前記ハウジング内に軸線方向で摺動可能に配設され、前記ラッチが前記第2のへ移動すると、前記ばねが前記針コレットを前記ラッチから離れた前記ハウジング内へ摺動させる、請求項7に記載のカテーテル・システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(背景技術)
一般的に、血液の漏れも防ぎながらカテーテルを延長デバイスに連結するのは困難なことがある。
【図面の簡単な説明】
【0002】
【
図1】ある状態のカテーテル・システムの一実施例を示す図である。
【
図2】ある状態のカテーテル・システムの一実施例を示す図である。
【
図3】ある状態のカテーテル・システムの一実施例を示す図である。
【
図4】ある状態のカテーテル・システムの一実施例を示す図である。
【
図5】ある状態のカテーテル・システムの一実施例を示す図である。
【
図6A】ある状態のカテーテル・システムの一実施例を示す図である。
【
図6B】ある状態のカテーテル・システムの一実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0003】
本明細書において参照する図面は、具体的に言及される場合を除いて、縮尺通りに描かれていないものと理解すべきである。
【0004】
以下、添付図面に実例が例示される、本発明の技術の実施例について詳細に参照する。技術については様々な実施例と併せて記載するが、本発明の技術をこれらの実施例に限定しようとするものではないことが理解されるであろう。反対に、本発明の技術は、添付の特許請求の範囲によって定義される様々な実施例の趣旨及び範囲に含むことができる、代替物、修正、及び均等物を包含するものとする。
【0005】
更に、実施例の以下の記載では、本発明の技術についての完全な理解を提供するために、多数の具体的な詳細が説明される。しかし、本発明の技術はこれらの具体的な詳細なしに実施することができる。他の例では、周知の方法、手順、及び構成要素は、本発明の実施例の態様を無用に不明瞭にしないように、詳細には記載されていない。
【0006】
図1は、挿入前状態のカテーテル・システム100(又はカテーテル・アセンブリ)の一実施例を示す。
図2は、挿入前状態のカテーテル・システム100の断面図を示す。挿入前状態とは、カテーテルを患者に挿入する前のカテーテル・システム100の状態である。
【0007】
カテーテル・システム100は、カテーテル・デバイス130に連結されたカテーテル挿入デバイス110を含む。カテーテル挿入デバイス110は、ラッチ134を介してカテーテル・デバイス130に弾性的に連結される。一実施例では、ラッチ134は、カテーテル・デバイス130のハウジング132上にある任意の物理的機構(例えば、突出部、インデント等)と柔軟且つ弾性的に係合する(例えば、スナップ嵌めされる)ばねラッチである。カテーテル挿入デバイス110は、ねじ込みカップリングを要することなく、カテーテル・デバイス130に連結されることが認識されるべきである。
【0008】
対照的に、従来のカテーテル・システムでは、カテーテル・デバイスはねじを介して挿入デバイスに連結される。そのため、挿入デバイスをカテーテル・デバイスに連結する/そこから切り離すには、挿入デバイスを回転させなければならない。
【0009】
一実施例では、ラッチ134は、カテーテル・デバイス130の内部機構に弾性的に連結される。別の実施例では、ラッチ134は、カテーテル・デバイス130に弾性的に連結されたとき、カテーテル・デバイス130に対して回転可能である。
【0010】
針150は、針コレット(needle collet)120によって保持される。針150の端部は、観察チャンバ(viewing chamber)122内に配設される。挿入前状態のとき、針150は、カテーテル・デバイス130を通ってその外まで延在し、また、カテーテル140内に配設される。
【0011】
更に、挿入前状態では、ばね114は圧縮され、針コレット120に当接する。
【0012】
挿入中、針150及びカテーテル140が患者の静脈に挿入される。適切に挿入されると、血液が針150内を観察チャンバ122まで移動する。特に、カテーテル挿入デバイス110がカテーテル・デバイス130に連結されていると、血液はカテーテル・デバイス130のいずれの内表面(例えば、チャンバ133)とも接触しない。
【0013】
血液が観察チャンバ122内に供給されると、ハウジング112及び針コレット120を通して血液を観察して、針150及びカテーテル140が静脈に適切に挿入されていることを視覚的に示すことができる。そのため、ハウジング112及び針コレット120は両方とも、半透明又は透明である。
【0014】
血液は、フィルタ124によって観察チャンバ内に閉じ込められる。一実施例では、フィルタ124は疎水性フィルタである。特に、血液が観察チャンバ122に入ると、空気がフィルタ124を通り抜け、通気孔126から周囲に出る。しかし、血液はフィルタ124を通り抜けることができない。
【0015】
針150を静脈から引き抜くために、カテーテル挿入デバイス110がカテーテル・デバイス130から引き抜かれる。しかし、ラッチ134はまだカテーテル・デバイス130と接触したままであり、ハウジング132上の機構を介してカテーテル・デバイス130に連結されている。引抜きの間、針150もまた、(静脈内に残っている)カテーテル140を通して引き抜かれる。
【0016】
一旦ラッチ134がカテーテル・デバイス130から完全に切り離されると(例えば、ラッチ134がハウジング132上にある保定機構と係合していない)、ばね114は解放されてその弛緩状態となる。その際に、ばね114は針コレット120を付勢し、それによって針コレット120がチャンバ116内において軸線方向で摺動する。その結果、針150は、カテーテル・デバイス130を通って完全に引き抜かれ、
図3に示されるように、完全にハウジング112内に配設される。換言すれば、ラッチ134がハウジング132から切り離されると、針150は、静脈からカテーテル・デバイス130を通って自動的に引き抜かれる。カテーテル・デバイス130に対する連結が外されると、カテーテル挿入デバイス110は適切に廃棄されてもよい。
【0017】
一旦針150がシール136を通って引き抜かれると、シール136は再封止する。そのため、カテーテル140を介してチャンバ133に入る血液は、血液の損失を防ぐためにチャンバ133内で閉じ込められる。したがって、血液がチャンバ133内でしっかり閉じ込められるので、カテーテル・デバイス130は閉システムでもある。一実施例では、シール136はシリコーン・ディスクである。別の実施例では、デバイス(例えば、針150)の挿入/引抜きを容易にするため、シール136は予めスリットが入れられている。
【0018】
図4は、カテーテル・デバイス130に連結された延長セット180の一実施例を示す。
図5は、カテーテル・デバイス130に連結された延長セット180の断面図を示す。
【0019】
延長セット180をカテーテル・デバイス130に連結するために、ユーザは基部182を把持し、連結機構190及び191(例えば、尖枝(tines))がハウジング132の関連する連結機構と機械的に連結する(例えば、スナップ嵌めされる)まで、カニューレ188をシール136に挿入する。連結は、ユーザの片手を使用してもたらされてもよい。
【0020】
対照的に、従来のシステムでは、延長セットは、ねじを介してカテーテルに回転可能に連結される。更に、ユーザは、カテーテルを延長セットに連結するのに両手を使用しなければならない。例えば、ユーザは、カテーテルをしっかりと保持し、他方の手を使用して延長セットを握り、カテーテルに対して回転させなければならない。
【0021】
適切に連結されると、血液がチューブ186を通って、ルアー・アクセス・デバイス184に流れることができる。任意の互換性がある使い捨てセット又は延長セットが、カテーテル・デバイス130に連結されてもよいことが認識されるべきである。
【0022】
図6A〜Bは、カテーテル・デバイス630の一実施例を示す。カテーテル・デバイス630は、第2の区画634に接合された第1の区画632を含む。接合は、超音波溶接、接着、スナップ嵌め等であることができるが、それらに限定されない。シール136は、接合前に第1の区画632と第2の区画634との間に配置され、接合部638で区画が接合されると、第1の区画632と第2の区画634との間にしっかりと収まる。
【0023】
一実施例では、第2の区画634は、組立て中にカテーテル・デバイス630を通して針150を案内するのを容易にするファンネル636を含み、それによって針150が、シール136を穿刺するのに適切に位置合わせされる。
【0024】
本明細書に記載されるような実施例は、単独で若しくは互いに組み合わせて利用又は実施することができることが認識されるべきである。本発明について特定の実施例に記載してきたが、本発明はかかる実施例によって限定されるものと解釈されるべきではなく、それよりもむしろ、以下の特許請求の範囲にしたがって解釈されることが認識されるべきである。