特許第6771290号(P6771290)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6771290
(24)【登録日】2020年10月1日
(45)【発行日】2020年10月21日
(54)【発明の名称】チューナー回路
(51)【国際特許分類】
   H04B 1/18 20060101AFI20201012BHJP
   H04B 1/10 20060101ALI20201012BHJP
【FI】
   H04B1/18 A
   H04B1/10 A
【請求項の数】8
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-32977(P2016-32977)
(22)【出願日】2016年2月24日
(65)【公開番号】特開2016-163350(P2016-163350A)
(43)【公開日】2016年9月5日
【審査請求日】2019年1月17日
(31)【優先権主張番号】10-2015-0027983
(32)【優先日】2015年2月27日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】513276101
【氏名又は名称】エルジー イノテック カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】ヨン、クン キム
【審査官】 前田 典之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−109799(JP,A)
【文献】 特開2012−186585(JP,A)
【文献】 特開平06−318811(JP,A)
【文献】 米国特許第05054117(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 1/18
H04B 1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
テレビに含まれるチューナー回路において、
アンテナから受信される信号を遮断するため、バイアス電圧に応答してターンオン/オフされるように構成されたスイッチング部と、
前記スイッチング部を通過した信号のうち高周波成分だけを通過させるハイパスフィルター部と、
前記ハイパスフィルター部を通過した信号を増幅して出力する低ノイズ増幅器と、を含み、
前記バイアス電圧は使用者により前記テレビがターンオンされる時に印加され、
前記スイッチング部はダイオード、第1抵抗及び第2抵抗を含み、
前記ダイオードは前記ダイオードのカソードが前記アンテナに向かい、前記ダイオードのアノードが前記ハイパスフィルター部に向かうように配置され、前記第1抵抗は前記ダイオードのカソードとグラウンドとの間に連結され、前記第2抵抗は前記ダイオードのアノードとバイアス電圧との間に連結され、
前記スイッチング部は、
前記テレビがターンオフされて、前記バイアス電圧が印加されないと、前記アンテナから受信された前記信号を前記ハイパスフィルター部に送信することを遮断するように前記ダイオードがターンオフされ、
前記ハイパスフィルター部は前記スイッチング部の後端にのみ位置することを特徴とするチューナー回路。
【請求項2】
テレビに含まれるチューナー回路において、
アンテナから受信される信号を遮断するため、バイアス電圧に応答してターンオン/オフされるように構成されたスイッチング部と、
前記スイッチング部を通過した信号のうち高周波成分だけを通過させるハイパスフィルター部と、
前記ハイパスフィルター部を通過した信号を増幅して出力する低ノイズ増幅器と、を含み、
前記バイアス電圧は使用者により前記テレビがターンオンされる時に印加され、
前記スイッチング部はダイオード及び抵抗を含み、
前記ダイオードのアノードが前記アンテナに向かうように配置され、前記ダイオードのカソードが前記ハイパスフィルター部に向かうように配置され、前記ダイオードのアノードと前記バイアス電圧との間に前記抵抗が連結され
前記スイッチング部は、
前記テレビがターンオフされて、前記バイアス電圧が印加されないと、前記アンテナから受信された前記信号を前記ハイパスフィルター部に送信することを遮断するように前記ダイオードがターンオフされ、
前記ハイパスフィルター部は前記スイッチング部の後端にのみ位置することを特徴とするチューナー回路。
【請求項3】
前記スイッチング部は、
前記テレビがターンオンされて前記バイアス電圧が印加されると、前記アンテナから受信された前記信号を前記ハイパスフィルター部に送信するように前記ダイオードはターンオンされることを特徴とする請求項1または2に記載のチューナー回路。
【請求項4】
前記バイアス電圧は前記第2抵抗に印加されることを特徴とする請求項に記載のチューナー回路。
【請求項5】
前記バイアス電圧は前記抵抗に印加されることを特徴とする請求項に記載のチューナー回路。
【請求項6】
テレビに含まれるチューナー回路において、
アンテナから受信される信号の直流成分を遮断するように構成された直流遮断部と、
スイッチング素子及び複数の抵抗を含み、前記信号を伝送するためバイアス電圧に応答してターンオン/オフされるように構成されたスイッチング部と、
前記スイッチング部を通過した信号のうち高周波成分だけを通過させるハイパスフィルター部と、
前記ハイパスフィルター部を通過した信号を増幅して出力する低ノイズ増幅器と、を含み、
前記バイアス電圧は使用者により前記テレビがターンオンされる時に印加され、
前記スイッチング部は、前記スイッチング素子が前記直流遮断部と前記ハイパスフィルター部との間に直流連結され、前記複数の抵抗のうち一つは前記直流遮断部と前記スイッチング素子との間に接続され、前記複数の抵抗のうち他の一つは前記スイッチング素子と前記ハイパスフィルター部との間に連結され、
前記テレビがターンオフされて、前記バイアス電圧が印加されないと、前記アンテナから受信された前記信号を前記ハイパスフィルター部に送信することを遮断するように前記スイッチング素子がターンオフされ、
前記ハイパスフィルター部は前記スイッチング部の後端にのみ位置することを特徴とするチューナー回路。
【請求項7】
前記スイッチング部は、
前記テレビがターンオンされて前記バイアス電圧が印加されると、前記アンテナから受信された前記信号を前記ハイパスフィルター部に送信するように前記スイッチング素子がターンオンされることを特徴とする請求項に記載のチューナー回路。
【請求項8】
前記スイッチング素子は逆方向に配置され、前記バイアス電圧は前記複数の抵抗のうち他の一つに印加されることを特徴とする請求項6または7に記載のチューナー回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チューナー回路に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、チューナーはアンテナから受信された高周波信号から望む放送チャネルを選択して受信する装置であって、前記チューナーは、受信帯域が数十MHz〜数百MHzに至るVHF帯域と、数百MHz〜数十GHzに至るUHF帯域を選択して受信するようになり、前記VHF帯域はVHF−Lと、VHF−H帯域に区分選択して受信するようになる。
【0003】
しかし、従来のチューナー回路では、電源が遮断された状態でアンテナ(ANT)に受信される高周波信号がグラウンドに漏洩する問題が発生する。
【0004】
また、テレビの場合、EN55030 S4テストを通過すなければならず、S4テストはテレビ電源をオフ(off)した状態でテストを実施するので、インピーダンスマッチングが難しく信号漏洩が発生してS4が弱まる問題点がある。
【0005】
このような問題を解決するためには、テレビアンテナグラウンド補強が必要であるが、グラウンド補強が容易ではなくコストが多くかかる問題点がある。
【0006】
特に、近年はテレビの火災を防止するために外部ケーブルとグラウンドが分離しているのでグラウンド補強がさらに難しい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする技術的課題は、電源が遮断された状態でアンテナに受信される高周波信号がグラウンドに流れることを防止するチューナー回路を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記のような技術的課題を解決するために、本発明の一実施例のチューナー回路は、バイアス電圧によりオン/オフされてアンテナから入力される信号を遮断するスイッチング部と、前記スイッチング部を通過した信号のうち高周波成分だけを通過させるハイパスフィルター部と、前記ハイパスフィルター部を通過した信号を増幅して出力する低ノイズ増幅器と、を含むことができる。
【0009】
前記スイッチング部は、ダイオードを含んでもよい。
【0010】
前記スイッチング部は、バイアス電圧が印加されない時オフされてアンテナで受信された信号が前記ハイパスフィルター部に伝達されるのを遮断することができる。
【0011】
前記ダイオードは順方向または逆方向に配置されてもよい。
【0012】
前記スイッチング部は、カソード側が前記アンテナ側に位置してアノード側が前記フィルター部側に位置するように配置されるダイオードと、前記カソード側ノードに並列に連結される第1抵抗と、前記アノード側ノードに並列に連結される第2抵抗と、を含んでもよい。
【0013】
前記第2抵抗にバイアス電圧が印加されてもよい。
【0014】
前記スイッチング部は、アノード側が前記アンテナ側に位置してカソード側が前記ハイパスフィルター部側に位置するように配置されるダイオードと、前記アノード側ノードに並列に連結される第3抵抗と、を含んでもよい。
【0015】
前記第3抵抗にバイアス電圧が印加されてもよい。
【発明の効果】
【0016】
テレビのアンテナグラウンド補強のために追加的な部品を使用しなくてもアンテナ信号が漏洩することを防止することができる。
【0017】
また、十分なマージン確保で量産時、偏差による不良率を低くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】チューナー回路を示した回路図。
図2】本発明の一実施例に係るチューナー回路を示した回路図。
図3】本発明の他の一実施例に係るチューナー回路を示した回路図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、多様な変更を加えることができ、様々な実施例を持つことができ、特定実施例を図面に例示して詳細な説明に詳細に説明する。しかし、これは本発明を特定の実施形態に対して限定しようとするものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれるすべての変更、均等物ないし代替物を含むものと理解されなければならない。
【0020】
以下、添付された図面を参照して本発明の一実施例のチューナー回路について詳細に説明する。
【0021】
図1は、チューナーを示したもので、直流遮断キャパシタ(C1)、ハイパスフィルター部11、及び低ノイズ増幅器12を含む。
【0022】
前記のような構成によって、アンテナ(ANT)を介して入力される高周波信号(RF)のうち直流成分は直流遮断キャパシタ(C1)により遮断されて、直流遮断キャパシタ(C1)を通過した高周波信号は、ハイパスフィルター部11で低周波成分はフィルタリングされて高周波成分だけ低ノイズ増幅器12に入力されて増幅された後出力される。
【0023】
前記のような回路構成では、テレビのオフ状態で、アンテナ(ANT)を介して入力される高周波信号が漏洩する現象が発生するのでこれを解決する必要がある。
【0024】
図2は、本発明の一実施例に係るチューナー回路を示した回路図である。
【0025】
図面に示されたとおり、本発明の一実施例のチューナー回路20は、スイッチング部22、ハイパスフィルター部24、及び低ノイズ増幅器26を含んでもよい。
【0026】
アンテナ(ANT)と前記スイッチング部22との間には、直流遮断キャパシタ(C1)が配置されてもよく、前記ハイパスフィルター部24と低ノイズ増幅器26との間には静電気放電素子(D2、Electrostatic Discharge、ESD)が配置されてもよい。
【0027】
但し、これはチューナー回路の入力端子だけを簡略に表示したものであって、前記構成の他に構成要素をさらに含んでもよいことが、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者には自明な事項である。
【0028】
前記直流遮断キャパシタ(C1)は、アンテナ(ANT)から受信される高周波信号(Radio Frequency、RF)で直流成分を遮断する。
【0029】
前記スイッチング部22は、前記直流遮断キャパシタ(C1)を通過した信号がハイパスフィルター部24に伝達されるのを遮断する機能をする。スイッチング部22は、ダイオード(D1)、第1抵抗、及び第2抵抗を含んでもよい。この時、前記ダイオード(D1)は、前記直流遮断キャパシタ(C1)に逆方向に連結される。すなわち、ダイオード(D1)のカソード方向が直流遮断キャパシタ(C1)方向に向かうように配置されている。前記第1抵抗(R1)は、ダイオード(D1)のカソード側ノード(N1)に並列連結されて、前記第2抵抗(R2)は、ダイオード(D1)のアノード側ノード(N2)に並列連結されている。尚、前記第1抵抗(R1)の一側は、グラウンド(GND)されて、第2抵抗(R2)の一側は、バイアス電圧(V)と連結されて、バイアス電圧が印加される場合には、ダイオード(D1)がオンされて、バイアス電圧が印加されない時にはオフされてアンテナ信号を遮断することができる。前記バイアス電圧としては3.3Vが使用されてもよい。
【0030】
前記のような構成によってバイアス電圧が印加される時、すなわち、テレビがつく時にはダイオード(D1)がオンされて、アンテナに受信された高周波信号がハイパスフィルター部24に伝達されるが、バイアス電圧が印加されない時、すなわち、テレビがオフされる時にはダイオード(D1)がオフされてアンテナに受信された高周波信号がハイパスフィルター部24に伝達されることが遮断されて、結果的にグラウンドに高周波信号が流れるのを遮断することができる。
【0031】
前記ハイパスフィルター部24は、前記スイッチング部22を通過した信号のうち低周波成分はフィルタリングして高周波成分だけを通過させる。一般に、50MHz以下の信号を減殺してそれ以上の高域だけを通過させる。ハイパスフィルター部24は、図示されたとおり、キャパシタ(C2)が前記スイッチング部22と連結されて、キャパシタの両端にインダクター(L1)及び直列連結されたキャパシタ(C3)とインダクター(L2)が各々並列連結されている。
【0032】
前記低ノイズ増幅器26は、ハイパスフィルター部24を通過した高周波成分を増幅して出力する。
【0033】
前記ハイパスフィルター部24と前記低ノイズ増幅器26との間には、回路を保護するための素子として静電気放電素子(ESD)が配置されてもよく、図示されたようにダイオード(D2)の一側がグラウンドされて静電気を放電させて回路を保護することができる。
【0034】
以下では、前記チューナー回路20の動作について説明する。
【0035】
前記チューナー回路20のアンテナ(ANT)に高周波信号が受信されると、直流遮断キャパシタ(C1)によって直流成分は遮断されて交流成分の信号だけがスイッチング部22に入力される。スイッチング部22は、バイアス電圧が印加される時にはオン(ON)されてアンテナに受信された高周波信号をパスさせて、バイアス電圧が印加されない時にはオフ(off)されてアンテナに受信された高周波信号が伝達されるのを遮断する。スイッチング部22がオンされる場合、アンテナで受信された信号は、ハイパスフィルター部24に入力されて低周波成分は弱まって高周波成分だけが低ノイズ増幅器26に入力されて増幅された後出力される。
【0036】
前記のような構成によってテレビがオフになっている場合には、スイッチング部22がオフされてアンテナに受信された信号がグラウンドに漏洩するのを防止することができる。
【0037】
図3は、本発明の他の一実施例を図示したものである。
【0038】
本実施例によるチューナー回路30もスイッチング部32、ハイパスフィルター部34、及び低ノイズ増幅器36を含む。
【0039】
アンテナ(ANT)と前記スイッチング部32との間には直流遮断キャパシタ(C1)が配置されてもよく、前記ハイパスフィルター部34と低ノイズ増幅器36との間には静電気放電素子(D2、Electrostatic Discharge、ESD)が配置されてもよい。
【0040】
前記直流遮断キャパシタ(C1)は、アンテナ(ANT)から受信される高周波信号(Radio Frequency、RF)で直流成分を遮断する。
【0041】
前記スイッチング部32は、前記直流遮断キャパシタ(C1)を通過した信号が、ハイパスフィルター部に伝達されるのを遮断する。前記スイッチング部32は、ダイオード(D1)及び第3抵抗(R3)を含んでもよい。前記ダイオード(D1)は、前記直流遮断キャパシタ(C1)に順方向に連結される。すなわち、ダイオード(D1)のアノード方向が直流遮断キャパシタ(C1)方向に向かうように配置されている。前記第3抵抗(R3)は、ダイオード(D1)のカソード側ノードに並列連結されて、前記第3抵抗(R3)の一側は、バイアス電圧(V)と連結される。したがって、バイアス電圧が印加される場合には、ダイオード(D1)がオンされてアンテナで受信された高周波信号をパスさせて、バイアス電圧が印加されない時にはオフされてアンテナで受信された信号が伝達されるのを遮断することができる。前記バイアス電圧としては3.3Vが使用されてもよい。
【0042】
前記のような構成によってバイアス電圧が印加される時、すなわち、テレビがつく時にはダイオード(D1)がオンされてアンテナ信号がハイパスフィルター部34に伝達されるが、バイアス電圧が印加されない時、すなわち、テレビがオフされる時にはダイオード(D1)がオフされてアンテナ信号がハイパスフィルター部34に伝達されるのが遮断されて、結果的にアンテナで受信された高周波信号がグラウンドに流れるのを遮断することができる。
【0043】
前記ハイパスフィルター部34は、前記スイッチング部32を通過した信号のうち低周波成分はフィルタリングして高周波成分だけを通過させる。一般に、50MHz以下の信号を減殺してそれ以上の高域だけを通過させる。ハイパスフィルター部34は、図示されたとおりキャパシタ(C2)が前記スイッチング部32と連結されていて、キャパシタの両端にインダクター(L1)及び直列連結されたキャパシタ(C3)とインダクター(L2)が各々並列連結されている。
【0044】
前記低ノイズ増幅器36は、ハイパスフィルター部34を通過した高周波成分を増幅して出力する。
【0045】
前記ハイパスフィルター部34と前記低ノイズ増幅器36との間には、回路を保護するための素子として静電気放電素子(ESD)が配置されてもよく、図示されたようにダイオード(D2)の一側がグラウンドされて静電気を放電させて回路を保護することができる。
【0046】
以上、本発明に係る実施例が説明されたが、これは例示的なものに過ぎず、当該分野で通常の知識を有する者ならば、これらから多様な変形及び均等な範囲の実施例が可能である点を理解するであろう。したがって、本発明の真の技術的保護範囲は、次の特許請求範囲によって定まらなければならない。
【符号の説明】
【0047】
22、32:スイッチング部
24、34:ハイパスフィルター部
26、36:低ノイズ増幅器
図1
図2
図3