【実施例】
【0035】
以下、本発明に係る実施例について図面を参照しつつさらに詳しく説明する。ただし、以下の実施例は本発明を限定するものではない。なお、実施例における各物性値は、下記の方法により測定した。
【0036】
(1)抗スナッグ性
両面丸編地の表面側の抗スナッグ性を、JIS L 1096−2013のスナッグ試験A法(ICI形メース試験機法)により測定した。
【0037】
(2)厚み
JIS L 1096−2013に準じて、試験片の厚さを測定した。測定には、ダイアルシックネスゲージ((株)尾崎製作所 製「型式 H−30」)を用いた。
【0038】
(3)破裂強度
JIS L 1018−2013 8.17.1 A法(ミューレン形法)に基づき破裂強度(MPa)を測定した。
【0039】
(4)目付
JIS L 1096−2013に基づき、試験片の単位面積あたりの質量(g/m
2)を測定した。
【0040】
(5)嵩高性
(2)に示した厚みの方法で測定した厚みと、(4)に示した目付の方法で測定した目付の値を元に下記計算式にしたがって算出した。
K = H / M × 1000
K:嵩高性(cm
3/g)
H:厚み(mm)
M:目付(g/m
2)
【0041】
[実施例1]
図1は、本発明の実施例1に係る両面丸編地10の概略断面を示す模式図である。後述する実施例2及び3に係る両面丸編地も、両面丸編地10と同様の概略断面を有している。
図1に示されるように、実施例1に係る両面丸編地10は、リブ糸11と編み糸12、13から構成されている。両面丸編地10は、編み糸12が針位置a1〜a8でニット編み目14を、編み糸13が針位置a1、a3、a5、a7で二重ニット編み目15を形成し、ニット編み目14と二重ニット編み目15が含まれた構造を有している。また、リブ糸11が針位置b1〜b7でニット編み目を、針位置a1、a3、a5、a7でタック編み目16を形成し、タック編み目16が編み糸13のみに引っ掛かった構造を有している。
【0042】
実施例1では、リブ糸11としてポリエステル84dtex、72フィラメントの仮撚加工糸を、編み糸12としてポリエステル84dtex、36フィラメントの仮撚加工糸を、編み糸13としてポリエステル33dtex、12フィラメントの仮撚加工糸を用いた。
【0043】
これらのリブ糸11、編み糸12、13を22ゲージのダブル丸編機に給糸して、
図1に示される両面丸編地10を1コース編成した。さらに、編み糸12が針位置a1〜a8でニット編み目14に相当するニット編み目を、編み糸13が針位置a2、a4、a6、a8で二重ニット編み目15に相当する二重ニット編み目を、リブ糸11が針位置b1〜b7でニット編み目を、針位置a2、a4、a6、a8でタック編み目16に相当するタック編み目を有する1コースを形成した。これらを合わせた合計2コースで、1完全編組織の両面丸編地を編成した。
【0044】
このようにして得られた生地を通常の染色加工法に従い精練、染色、ヒートセットし、目付200g/m
2の編地を得た。
【0045】
実施例1に係る両面丸編地10は、このような構成を有するため、タック編み目16が表面に出ない。このため、タック編み目16が表面において引っ掛かることがなく、抗スナッグ性に優れている。また、両面丸編地10は、ダブルニット編地であることから、厚みを容易に出すことができる。さらに、ダブルニット編地であることから、生地としての強度にも優れたものとなる。本実施例1に係る両面丸編地10を評価した結果を、表1に示す。
【0046】
[実施例2]
上記実施例1に係る両面丸編地10を起毛加工してヒートセットし、目付200g/m
2の本実施例2に係る両面丸編地を得た。実施例2に係る両面丸編地を評価した結果を表1に示す。
【0047】
[実施例3]
さらに、上記実施例1に係る両面丸編地において、リブ糸11をカチオン可染ポリエステル84dtex、72フィラメントの仮撚加工糸に、編み糸12をナイロン78dtex、48フィラメントの仮撚加工糸に、編み糸13をナイロン44dtex、36フィラメントの仮撚加工糸に変更し、22ゲージのダブル丸編機に給糸して、両面丸編地を編成した。
【0048】
このようにして得られた生地を通常の染色加工法に従い精練、染色、ヒートセットし、起毛加工、ヒートセットし、目付206g/m
2の実施例3に係る両面丸編地を得た。このとき、ナイロンとカチオン可染ポリエステルは別の色で染色加工したが、二重ニット編み目15側の面はナイロンの色、リブ糸11側の面はカチオン可染ポリエステルの色しか見えず、染め分けされたリバーシブル素材となった。実施例3に係る両面丸編地10を評価した結果を、表1に示す。
【0049】
[実施例4]
図2は、実施例4に係る両面丸編地20の概略断面を示す模式図である。後述する実施例5に係る両面丸編地も、両面丸編地20と同様の概略断面を有している。
図2に示されるように、実施例4に係る両面丸編地20は、リブ糸21と、編み糸22及び23から構成されている。両面丸編地20は、編み糸22が針位置c1〜c8でニット編み目24を、編み糸23が針位置c1、c3、c5、c7で二重ニット編み目25を形成し、ニット編み目24と二重ニット編み目25が含まれた構造となっている。また、リブ糸21が針位置d2、d4、d6、d8でニット編み目を、針位置c1、c3、c5、c7でタック編み目26を形成し、タック編み目26が編み糸23のみに引っ掛かった構造となっている。
【0050】
本実施例4では、リブ糸21としてポリエステル110dtex、96フィラメントの仮撚加工糸を、編み糸22として表側にポリエステル84dtex、36フィラメントの仮撚加工糸、裏側にポリウレタン33dtexを、編み糸23としてポリエステル33dtex、12フィラメントの仮撚加工糸を用いた。
【0051】
これらのリブ糸21、編み糸22及び編み糸23を22ゲージのダブル丸編機に給糸して、
図2に示される両面丸編地20を1コース編成した。さらに、編み糸22が針位置c1〜c8でニット編み目24に相当するニット編み目を、編み糸23が針位置c2、c4、c6、c8で二重ニット編み目25に相当する二重ニット編み目を形成し、リブ糸21が針位置d1、d3、d5、d7でニット編み目を、針位置c2、c4、c6、c8でタック編み目26に相当するタック編み目を形成した1コースを有する1コースを形成した。これらを合わせた合計2コースで、1完全編組織の両面丸編地を編成した。
【0052】
このようにして得られた生地を通常の染色加工法に従い精練、染色、ヒートセットし、起毛加工、ヒートセットし目付258g/m
2の編地を得た。実施例4に係る両面丸編地20を評価した結果を、表1に示す。
【0053】
[実施例5]
実施例5では、
図2におけるリブ糸21としてポリエステル84dtex、72フィラメントの仮撚加工糸を、編み糸22としてポリエステル84dtex、36フィラメントの仮撚加工糸を、編み糸23としてポリエステル33dtex、12フィラメントの仮撚加工糸を用いた。
【0054】
これらのリブ糸21、編み糸22、編み糸23を28ゲージのダブル丸編機に給糸して、
図2に示される両面丸編地20に相当する両面丸編地を1コース編成した。また、編み糸22が針位置c1〜c8でニット編み目を形成した両面丸編地を1コース編成した。さらに、編み糸22が針位置c1〜c8でニット編み目を、編み糸23が針位置c2、c4、c6、c8でニット編み目を、リブ糸21が針位置d1、d3、d5、d7でニット編み目を、針位置d2、d4、d6、d8でタック編み目を形成した両面丸編地を1コース編成した。また、編み糸22がc1〜c8でニット編み目を形成した1コースを編成した。これらを合わせた合計4コースで、1完全編組織の両面丸編地を編成した。
【0055】
このようにして得られた生地を通常の染色加工法に従い精練、染色、ヒートセットし、起毛加工、ヒートセットし目付180g/m
2の編地を得た。本実施例5に係る両面丸編地を評価した結果を、表1に示す。
【0056】
[実施例6]
図3は、実施例6に係る両面丸編地30の概略断面を示す模式図である。
図3に示されるように、実施例6に係る両面丸編地30は、リブ糸31a、31bと、編み糸32及び33から構成されている。両面丸編地30は、編み糸32及び33が針位置e1〜e8で二重ニット編み目34を形成し、二重ニット編み目34のみの構造となっている。また、リブ糸31aが針位置f1、f3、f5、f7でニット編み目を、針位置e2、e4、e6、e8でタック編み目36を形成し、リブ糸31bが針位置f2、f4、f6、f8でニット編み目を、針位置e1、e3、e5、e7でタック編み目36を形成し、タック編み目36が編み糸33のみに引っ掛かった構造となっている。
【0057】
実施例6では、編み糸32としてポリエステル84dtex、36フィラメントの仮撚加工糸を、編み糸33としてポリエステル33dtex、12フィラメントの仮撚加工糸を、リブ糸31a、31bとしてポリエステル84dtex、72フィラメントの仮撚加工糸を用いた。
【0058】
これらのリブ糸31a、31b、編み糸32及び33を22ゲージのダブル丸編機に給糸して、両面丸編地30を1コース編成した合計1コースで1完全編組織の両面丸編地を編成した。
【0059】
このようにして得られた生地を通常の染色加工法に従い精練、染色、ヒートセットし、起毛加工、ヒートセットし目付232g/m
2の両面丸編地を得た。本実施例6に係る両面丸編地30を評価した結果を、表1に示す。
【0060】
[比較例1]
図4は、比較例1の両面丸編地110の概略断面を示す模式図である。
図4に示されるように、比較例1の両面丸編地110は、リブ糸111と、編み糸113から構成されている。両面丸編地110は、編み糸113が針位置g1〜g8でニット編み目115を形成し、ニット編み目115のみの構造となり、リブ糸111が針位置h1〜h7でニット編み目を、針位置g1、g3、g5、g7でタック編み目116を形成し、タック編み目116が編み糸113に引っ掛かった構造となっている。
【0061】
比較例1では、編み糸113としてポリエステル84dtex、36フィラメントの仮撚加工糸を、リブ糸111としてポリエステル110dtex、96フィラメントの仮撚加工糸を用いた。これらのリブ糸111及び編み糸113を22ゲージのダブル丸編機に給糸して、
図4に示される両面丸編地110を2コース編成した。また、編み糸113が針位置g1〜g8でニット編み目115に対応するニット編み目を形成し、リブ糸111が針位置h1〜h7でニット編み目を、針位置g2、g4、g6、g8でタック編み目116に対応するタック編み目を形成した1コースを2回繰り返して2コースを編成した。これらの合計4コースで、1完全編組織のハニカム組織の両面丸編地を編成した。
【0062】
このようにして得られた生地を通常の染色加工法に従い精練、染色、ヒートセットし、目付204g/m
2の編地を得た。比較例1の両面丸編地110を評価した結果を、表1に示す。
【0063】
[比較例2]
比較例2では、比較例1の両面丸編地110を起毛加工してヒートセットし、目付200g/m
2の編地を得た。比較例2の両面丸編地を評価した結果を、表1に示す。
【0064】
[比較例3]
図5は、比較例3のシングル丸編地120の概略断面を示す模式図である。
図5に示されるように、比較例3のシングル丸編地120は、インレイ糸121と、編み糸122及び123とから構成されている。シングル丸編地120は、編み糸122及び123が針位置i1〜i8で二重ニット編み目124を形成し、二重ニット編み目124のみの構造となっている。インレイ糸121が針位置i1、i4、i7でタック編み目126を形成し、タック編み目126が編み糸123のみに引っ掛かった構造となっている。
【0065】
比較例3では、編み糸122としてポリエステル84dtex、72フィラメントの仮撚加工糸を、編み糸123としてポリエステル84dtex、72フィラメントの仮撚加工糸を、インレイ糸121としてポリエステル167dtex、144フィラメントの仮撚加工糸を用いた。
【0066】
これらの編み糸122及び123、インレイ糸121を28ゲージのシングル丸編機に給糸して、編み糸122及び123が針位置i1〜i8で二重ニット編み目124に相当する二重ニット編み目を、インレイ糸121が針位置i2、i5、i8でタック編み目126に相当するタック編み目を有する1コースを編成した。さらに、編み糸122及び123が針位置i1〜i8で二重ニット編み目124に相当する二重ニット編み目を、インレイ糸121が針位置i3、i6でタック編み目126に相当するタック編み目を有する1コースを編成した。これらの2コースに
図5に示される構成を合わせた合計3コースで、1完全編組織の裏毛組織のシングル丸編地を編成した。
【0067】
このようにして得られた生地を通常の染色加工法に従い精練、染色、ヒートセットし、起毛加工、ヒートセットし目付219g/m
2の編地を得た。比較例3のシングル丸編地120を評価した結果を、表1に示す。
【0068】
【表1】
【0069】
以上、本発明の実施形態及び実施例について説明したが、本発明は上記の実施形態及び実施例によって限定されるものではない。
【0070】
すなわち、本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施形態及び変形が可能とされるものである。上述した実施形態及び実施例は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。