(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の請求項1に記載の発明は、
被洗浄物を収容し、前記被洗浄物に洗浄水を噴射するノズルを配置するとともに前記被洗浄物の搬入口および搬出口を有する洗浄室と、
前記被洗浄物を前記搬入口から前記搬出口へ向けて前記洗浄室内を移動させる搬送手段と、
洗浄水を所定量貯水する第1貯水槽と、
洗浄水を所定量貯水し、前記第1貯水槽へ流動させる第2貯水槽と、
前記第2貯水槽内の洗浄水を加熱する燃焼装置と、
前記洗浄室内で
、前記洗浄室を構成する壁面に沿って縦方向に伸長して配置され、前記燃焼装置で発生する燃焼排気を前記第2貯水槽内の洗浄水中に吐出する燃焼排気導出管と、
貯水した前記第1貯水槽の洗浄水を、前記燃焼排気導出管の外周表面へ供給する循環手段と、
を備え、
前記燃焼排気導出管の外周表面が前記洗浄室内に臨み、
前記吐出された燃焼排気と前記第2貯水槽に貯水された洗浄水との気液接触により、前記第2貯水槽内の洗浄水を加熱し、
前記加熱された第2貯水槽内の洗浄水を前記第1貯水槽へ流動させ、
前記循環手段により前記燃焼排気導出管の外周表面へ供給された洗浄水は、前記燃焼排気導出管の外周表面を流下することで、前記燃焼排気導出管の外周表面と熱交換して加熱されて、前記第1貯水槽内へ導入される
ことを特徴とする洗浄装置としたものである。
【0026】
これにより、熱交換器である燃焼排気導出管の外周表面を洗浄室内に露出した状態で配置することとなり、清掃時には燃焼排気導出管の外周表面の清掃を容易に行うことができる。すなわち、汚れを除去した状態とすることができるので、高い加熱効率を維持することができる。また、加熱効率の良い気液接触による直接加熱を洗浄水の加熱に適用したものである。
【0027】
これにより、洗浄水を燃焼排気導出管の外周表面に供給して流下させることで、燃焼排気導出管の内部を流動する燃焼装置からの燃焼排気により加熱された燃焼排気導出管によって、洗浄水を間接加熱することができる。
【0028】
前記第2貯水槽内の気液接触による洗浄水の加熱と、燃焼排気導出管の外周表面への流下による洗浄水の加熱と、からなる2種類の加熱によって、洗浄水の加熱をさらに効率的に行うことができる。
【0029】
したがって、熱交換器の清掃を容易に行うことができるとともに、洗浄水の加熱を効率的に行うことができるものである。
【0030】
また、本発明の請求項1に記載の発明においては、
燃焼排気導出管が、洗浄室を構成する壁面に沿って配置されることを特徴とする洗浄装置としている。
【0031】
これにより、洗浄室を構成する壁面に沿って配置されることで、燃焼排気導出管の清掃、交換といったメンテナンスが容易となる。例えば、洗浄室を構成する壁面を取り外すと、熱交換器である燃焼排気導出管に簡単に手が届くこととなり、作業者の清掃の負担を少なくしながら、清掃を容易に行うことができる。したがって、燃焼排気導出管の外周表面を汚れの付着していない状態として維持することができ、高い加熱効率を維持することができる。
【0032】
特に、洗浄室を構成する壁面となる扉は洗浄室を構成する壁面のうち、燃焼排気導出管と対向する部分に、取り外し可能な扉が嵌入されている場合、この扉を取り外すことで、燃焼排気導出管が洗浄室内を縦方向に縦断した状態で露出する。
【0033】
なお、前記「壁面に沿って配置される」とは、壁面の近傍であって、壁面の一部を取り外したときに清掃作業者である成人男性の手が届く範囲内に配置されることを意味する。具体的には壁面から1m以内の範囲に燃焼排気導出管の外周面が位置することをいう。
【0034】
本発明の請求項
2に記載の発明は請求項1に記載の発明において、
気液接触した後の燃焼排気を、洗浄室内に導入し、前記洗浄室内を通過させて前記洗浄室外に排出することを特徴とする洗浄装置としたものである。
【0035】
これにより、洗浄室
内に導入した燃焼排気にて洗浄室の内面や構成部品を効果的に加熱することができる。すなわち、洗浄開始したときの洗浄水の温度低下を軽減でき、洗浄水の加熱はさらに効率的となる。したがって、洗浄水を加熱した後の燃焼排気を有効利用して、燃焼により発生した熱の利用の最大化を図ることができる。
【0036】
また、燃焼排気を洗浄室内に通過させてから洗浄室外に排出させることで、洗浄室の内面や構成部品を効果的に加熱することができる。すなわち、燃焼排気は充分に熱交換されてから洗浄室外に排出されることとなる。したがって、洗浄水を加熱した後の燃焼排気を有効利用するとともに、排出される燃焼排気の温度を下げることができ、良好な作業環境を提供することができる。
【0037】
また、排気用の煙道等を設けることなく、洗浄室を排気通路として利用することができ
るので、装置の簡略化を図ることができる。
【0038】
本発明の請求項
3に記載の発明は請求項
2に記載の発明において、
燃焼排気導出管の外周表面を流下させて加熱した洗浄水を、第2貯水槽に流動させずに直接第1貯水槽へ流動させることを特徴とする洗浄装置としたものである。
【0039】
これにより、外周表面を流下させて一旦加熱された洗浄水の第2貯水槽への流動をなくし、第2貯水槽内の洗浄水の加熱において、燃焼排気と洗浄水との温度差Δtを大きくとることができる。
【0040】
したがって、洗浄水を燃焼排気導出管の外周表面に流下させて加熱しながら、第2貯水槽内の洗浄水の加熱を加熱効率の良いものとすることができる。
【0041】
本発明の請求項
4に記載の発明は請求項
3に記載の発明において、
循環手段により、貯水した第1貯水槽の洗浄水を燃焼排気導出管の外周表面へ供給するとともに、前記貯水した第1貯水槽の洗浄水を第2貯水槽へ供給可能とし、
前記燃焼排気導出管の外周表面へ供給した洗浄水の前記燃焼排気導出管の外周表面を流下させる加熱、および、前記第2貯水槽へ供給した洗浄水の前記燃焼排気導出管から吐出された燃焼排気との気液接触による加熱を併用する前記第1貯水槽から供給した洗浄水の加熱と、
前記燃焼排気導出管の外周表面へ供給した洗浄水の前記燃焼排気導出管の外周表面を流下させる加熱のみによる前記第1貯水槽から供給した洗浄水の加熱と、をいずれかへ切り替える切替手段を備えたことを特徴とする洗浄装置としたものである。
【0042】
これにより、燃焼排気導出管の外周表面を流下させる加熱、および、燃焼排気との気液接触による加熱を併用する第1貯水槽から供給した洗浄水の加熱と、
燃焼排気導出管の外周表面を流下させる加熱のみによる第1貯水槽から供給した洗浄水の加熱と、
を切り替えて使い分けることができ、これら2つの加熱を選択することができる。
【0043】
アルカリ性の水と燃焼排気との気液接触により水がアルカリ性から中性側に変化する現象が知られている。
【0044】
燃焼排気との気液接触により洗浄水が中性側に変化してもよいときは、気液接触による加熱と燃焼排気導出管の外周表面を流下させる加熱とを併用する第1貯水槽から供給した洗浄水の加熱として、2種類の加熱によって洗浄水の加熱を効率的に行うことができる。
【0045】
また、燃焼排気との気液接触により洗浄水をアルカリ性から中性側に変化させたくないときは、燃焼排気導出管の外周表面を流下させる加熱のみによる第1貯水槽から供給した洗浄水の加熱として、中性側への変化を抑制しながら洗浄水の加熱を行うことができる。
【0046】
したがって、アルカリ性洗剤を混入した洗浄水等使用する洗浄水に応じて加熱を選択し、様々な洗浄水に対応することができるとともに、効率的な加熱を行うことができる。
【0047】
本発明の請求項
5に記載の発明は請求項
3または
4に記載の発明において、
第1貯水槽から洗浄水を循環手段により吸引するための第1循環路と、
前記第1循環路により前記第1貯水槽から吸引して前記循環手段により吐出させた洗浄水
を第2貯水槽へ供給するための第2循環路と、
前記第1循環路により前記第1貯水槽から吸引して前記循環手段により吐出させた洗浄水
を燃焼排気導出管の外周表面へ供給するための第3循環路と、を備え、
切替手段は、前記第2循環路および前記第3循環路を併用する前記第1貯水槽の洗浄水の
供給と、前記第3循環路のみによる前記第1貯水槽の洗浄水の供給と、を切り替えること
を特徴とする洗浄装置としたものである。
【0048】
これにより、第1貯水槽の洗浄水を加熱部へ供給するための循環路を切り替えるだけで加
熱を選択することができ、使用する洗浄水に応じて簡単に対応することができる。
【0049】
本発明の請求項
6に記載の発明は請求項
4または
5に記載の発明において、
第1貯水槽の洗浄水にアルカリ性洗剤が混入されており、
前記アルカリ性洗剤を混入した洗浄水をノズルから噴射して被洗浄物の洗浄を行うと共に、
燃焼排気導出管の外周表面を流下させる加熱のみによる前記第1貯水槽から供給した洗浄水の加熱を行うことを特徴とする洗浄装置としたものである。
【0050】
これにより、第1貯水槽の洗浄水にアルカリ性洗剤を混入した状態においては、アルカリ性洗剤を混入した洗浄水を第2貯水槽での燃焼排気との気液接触による加熱をせずに、燃焼排気導出管の外周表面を流下させて加熱することとなり、アルカリ性洗剤を混入した洗浄水の中性側への変化を抑制することができる。
【0051】
したがって、アルカリ性洗剤を混入した洗浄水の加熱を効率的に行いながら、アルカリ性の洗浄水の中性側への変化を抑制することができ、安定した温度および洗剤の持つ洗浄効果を維持して高い洗浄力を発揮することができる。
【0052】
本発明の請求項
7に記載の発明は請求項
4または
5に記載の発明において、
第1貯水槽の洗浄水にアルカリ性洗剤が混入されており、
搬送手段による被洗浄物の移動を停止した状態において、
燃焼排気との気液接触による加熱、および、燃焼排気導出管の外周表面を流下させる加熱を併用する前記第1貯水槽から供給した洗浄水の加熱を行うことを特徴とする洗浄装置としたものである。
【0053】
これにより、第1貯水槽の洗浄水にアルカリ性洗剤を混入した状態における、前記アルカリ性洗剤を混入した洗浄水をノズルから噴射して被洗浄物の洗浄を終了した後の中性化ステップの運転として、第2貯水槽にて燃焼排気とアルカリ性洗剤を混入した洗浄水を気液接触させて液性を中性側に変化させてから、洗浄水を排水することができる。したがって、排水処理施設の負担を軽減し、環境に配慮した洗浄運転を行うことができる。
【0054】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施形態1)
【0055】
本発明の実施形態1の洗浄装置について、
図1〜
図11を参照して説明する。
【0056】
先ず、本発明の実施形態1の洗浄装置の基本的な構成を、
図1〜
図3を参照して説明する。詳細な構成については後述する。
【0057】
図1に示すように、洗浄装置100は主に搬送手段である無端状のコンベア103と、このコンベア103により上下方向に区分され、上方部は上部外郭体101、下方部は下部外郭体102によって外郭を構成している。本発明の実施形態1においては、コンベア103の上に例えば皿、お椀等の被洗浄物である食器類104をうつ伏せ状態にして載せ、
図1中の実線矢印方向に搬送する。
【0058】
洗浄装置100は、上方部の上部外郭体101内に洗浄室105を構成するとともに、食器類104を洗浄室105内に搬入するための搬入口106と、食器類104を洗浄室105内から搬出するための搬出口107を設けている。食器類104はコンベア103により、搬入口106から洗浄室105内に搬入され、洗浄室105内を搬送され、搬出
口107から洗浄室105外に搬出される。
【0059】
洗浄室105は、入口側となる搬入口106側に位置する本洗浄ゾーン200、この本洗浄ゾーン200の後段であり出口側となる搬出口107側に位置する仕上げ洗浄ゾーン300で構成している。なお、洗浄室105の構成は本発明の実施形態1に限定するものではない。
【0060】
本洗浄ゾーン200には、洗浄水を所定量貯水する第1貯水槽201から洗浄ポンプ203によって洗浄水を噴射するノズル管208、209が、マニホールド205から分岐した上部マニホールド206、下部マニホールド207に各々装着されて備えられている。本洗浄ゾーン200の下部に、清水供給管108により供給される清水を洗浄水として所定量貯める第1貯水槽201を備え、洗浄水を噴射するための洗浄ポンプ203が備えられている。洗浄ポンプは、吸込み側を第1貯水槽201に連通するように配管接続され、吐出し側をマニホールド205に連通するように配管接続されている。
【0061】
また、第1貯水槽201の内部に区画された第2貯水槽202を設ける。第1貯水槽201に貯水された洗浄水を所定温度に加熱し維持するように、洗浄装置100の天井上面に燃焼装置401が設けられる。熱交換器である燃焼排気導出管402は、洗浄室105内に天井から第2貯水槽202に掛けて洗浄室内を上下方向に縦断して設けられ、燃焼排気導出管の下端面411が、第2貯水槽202の内部に位置している。さらに、第1貯水槽201に貯水された洗浄水を、第2貯水槽202と燃焼排気導出管402の上部とに循環させる循環手段である循環ポンプ204を備えている。
【0062】
仕上げ洗浄ゾーン300には、清水供給管108により供給される清水を仕上げ洗浄水として噴射するノズル管302、ノズル管303が、マニホールド301に装着されて備えられている。
【0063】
食器類104の搬入口106側であるコンベア103の下方には、食器類104の表面側から落下する残飯、残汁等を受ける受け槽109を位置させ、排出管110より下方に落下させる。
【0064】
また、食器類104の搬出口107側で仕上げ洗浄ゾーン300のコンベア103の下方には、排水受け111を位置させ排水管112より外部に放出し廃棄する。
【0065】
上部外郭体101の正面側と背面側に、本洗浄ゾーン200と仕上げ洗浄ゾーン300を開口できる扉113を各々備え、
図3の実線矢印の方向に取り外すことができる。扉113は、洗浄室の高さ方向全体を亘る板体からなり、洗浄室の正面側と背面側それぞれの開口に嵌入されることで壁面の一部となる。扉が嵌入する開口の形成箇所、すなわち、嵌入された扉113の内面と対向する箇所に、燃焼排気導出管が配置される。この扉を取り外すことで、燃焼排気導出管が洗浄室内を縦方向に縦断した状態で露出する。また、洗浄装置100の天井上面に排気筒403を設け、搬入口106の上部に排気ダクト404を設けている。
【0066】
また、洗浄装置100全体の主な要素系(制御対象)と接続して、基本的な運転動作、操作、表示等の制御を行う制御部(図示なし)を備えている。
【0067】
次に、本発明の実施形態1の洗浄装置の本洗浄ゾーン200の詳細な構成を、
図1〜
図3、
図5を参照して説明する。
【0068】
<マニホールド、ノズル>
図1に示すように、縦方向(略鉛直方向)に設置したマニホールド205には略水平方向に上部マニホールド206、下部マニホールド207を連通させて分岐し、各々に複数の開口(図示なし)を設けている。マニホールド205の下部端を本洗浄水供給管226と連通させている。
【0069】
マニホールド205から分岐した上部マニホールド206、下部マニホールド207の各々の複数の開口(図示なし)には所定の弾性を有するゴム等からなるシールリング(図示なし)を挿入、固定してある。
【0070】
ノズル管208、209は、洗浄水を噴射する複数のノズル(小孔)(図示なし)を形成したものである。さらに、両端のうち一方の端部は開口させ、他方の端部はフタをする。本発明の実施形態1においては、先端を押し潰し板状として閉止しフタをしたものである。
【0071】
上部マニホールド206、下部マニホールド207の各々の複数の開口(図示なし)に固定した弾性を有するシールリング(図示なし)には、ノズル管208、209の開口している一方の端部が挿入され、先端を押し潰し板状として閉止している他方の端部は、洗浄装置100に別途固定した固定板の開口(図示なし)に挿入され、シールリング(図示なし)と固定板の開口(図示なし)によって保持されている。
【0072】
上部マニホールド206に着脱自在に装着した複数のノズル管208は、搬送手段であるコンベア103の上方部に設置し、ノズル管208に形成された複数のノズル(小孔)(図示なし)から下方側に洗浄水を噴射する。これによって、うつ伏せとなっている食器類104の上面側(食器類の裏面側)に洗浄水を噴射し汚れを除去する。
【0073】
また、下部マニホールド207に着脱自在に装着した複数のノズル管209は、回動するコンベア103の上下間に設置し、ノズル管209に形成された複数のノズル(小孔)(図示なし)から上方側に洗浄水を噴射する。これによって、うつ伏せとなっている食器類104の下面側(食器類の表面側)に洗浄水を噴射し汚れを除去する。
【0074】
マニホールド205、上部マニホールド206、下部マニホールド207は、コンベア103による食器類104の搬送方向と直交方向の一方の片側に配置し、ノズル管208、209は、コンベア103による食器類104の搬送方向と略直交方向に複数列配置している。
【0075】
ノズル管208、209の装着方法は、先ず上部マニホールド206、下部マニホールド207の開口(図示なし)に固定した弾性を有するシールリング(図示なし)に、ノズル管208、209の開口している一方の端部を挿入する。このときノズル管208、209の先端を押し潰し板状として閉止している他方の端部の先端は、固定板(図示なし)よりも上部マニホールド206、下部マニホールド207側になるまで挿入する。一旦挿入後ノズル管208、209を引き戻し、ノズル管208、209の他方の端部の先端を固定板の開口(図示なし)に挿入して固定する。掃除等でノズル管208、209を外すときは、前記固定時と逆の動作を行う。
【0076】
なお、ノズル管208、209は、基本的には同一構成のものを共用し、上部マニホールド206に装着するノズル管208においては複数のノズル(小孔)(図示なし)を下向き方向とし、下部マニホールド207に装着するノズル管209においては複数のノズル(小孔)(図示なし)を上向き方向にして配置するものである。
【0077】
<タンク部分の構造説明>
本洗浄ゾーンの洗浄に用いる洗浄水を貯水する第1貯水槽201と第2貯水槽202は、下部外郭体102内の本洗浄ゾーン200の下部に位置している。第2貯水槽202は、第1貯水槽201の内部に区画して構成している。
【0078】
第1貯水槽201および第2貯水槽202へ清水を洗浄水として供給するための清水供給管108が下部外郭体102の内部に設けられ、区画された第2貯水槽202の底部に第2貯水槽202に連通して配管接続される。清水供給管108には、途中に給水を制御するための開閉用のバルブ221が設けられている。実施形態1においては、バルブ221は、制御部(図示なし)にて制御される電気駆動のバルブとしている。清水供給管108は、洗浄装置100の搬出口107側まで伸ばされて、開閉用のバルブ220を介して水道管(上水道、図示なし)に接続してある。
【0079】
第1貯水槽201の水位を所定の水位(満水位置)に制御するための水位センサー222が、第1貯水槽201の底面に取り付けられている。また、貯水された洗浄水の温度を検出する温度センサー223が、第1貯水槽201の底面に取り付けられている。
【0080】
また、第1貯水槽201の底面には、上下方向に延びるオーバーフロー管224が設けられている。オーバーフロー管224の上端は、所定の水位(満水位置)よりも僅かに高い位置とするものである。第1貯水槽201内の余剰な洗浄水は、オーバーフロー管224の上端からオーバーフロー管224内に流れ込んで外部に排出される。このオーバーフロー管224は、第1貯水槽201に対して取り外し可能に構成されている。オーバーフロー管224を取り外すことで、オーバーフロー管224が差し込まれていた排水口(図示なし)が第1貯水槽201の底面に露出し、第1貯水槽201内の洗浄水を排水することができる。
【0081】
第2貯水槽202は、第1貯水槽201の内部に区画部材229を立設することにより区画して形成される。第2貯水槽202の底面は、第1貯水槽201の底面を共用するので、第1貯水槽201の底面の一部が第2貯水槽202の底面となる。第1貯水槽201と第2貯水槽202は、それぞれ独立した貯水槽となっている。第2貯水槽202に貯水する洗浄水の所定の水位(満水位置)は区画部材229の高さとなる。第2貯水槽202の区画部材229の高さは、第1貯水槽201に貯水する洗浄水の所定の水位(満水位置)よりも高く構成している。すなわち、第2貯水槽202の所定の水位を超える洗浄水は、オーバーフローして第1貯水槽201に落下流動する。
【0082】
区画部材229は、第1貯水槽201の底面に着脱可能に固定され、第1貯水槽201内に区画した第2貯水槽202を形成している。後述する清掃ステップS600において清掃する時には、区画部材229を第1貯水槽201から取り外すことが可能である。なお、
区画部材229を第1貯水槽201から着脱可能としないときには、第2貯水槽202に貯水した洗浄水を排水するための排水手段を別途設ける等して、第2貯水槽202に貯水した洗浄水を排水できるようにしておくことが好ましい。
【0083】
(第2貯水槽から第1貯水槽への洗浄水の流動について)
本実施形態では第1貯水槽と第2貯水槽において、各水面にそれぞれ高低差を設けており、第1貯水槽と第2貯水槽の間に区画部材229を形成することで、区画部材229を超えて落下流動させるものとしている。このほか、各水槽底面及び各水面にそれぞれ高低差を設け、第2貯水槽の水槽壁から第1貯水槽へ落下流動するものとしてもよく、また落下流動の他の形態として、第1貯水槽と第2貯水槽の間に連通管を連通させ、連通管にポンプ等の強制流動手段を介設して、前記強制流動手段による強制流動によって流動させるものでもよい。
【0084】
また、燃焼排気導出管の下端面411が、第2貯水槽202の内部に位置するように構成されている。
【0085】
第2貯水槽202に貯水された洗浄水の水位が第2貯水槽202の所定の水位(オーバーフロー位置)まで達していることを検知するための水位センサー227が、区画した第2貯水槽202内の底面となる第1貯水槽201の底面に取り付けられている。さらに、第2貯水槽202の内部に位置する燃焼排気導出管の下端面411よりも少し上となる下限水位を検知し、いわゆる空焚きを防止するための水位センサー228が、同様に区画した第2貯水槽202内の底面となる第1貯水槽201の底面に取り付けられている。
【0086】
第1貯水槽201と第2貯水槽202のそれぞれの所定の水位における貯水量を比べると、本発明の実施形態1においては第2貯水槽202の貯水量が第1貯水槽201の貯水量より少ない構成としているが、第2貯水槽202の貯水量が第1貯水槽201の貯水量より多い構成としてもよい。
【0087】
<洗浄ポンプ>
洗浄ポンプ203は、下部外郭体102の内部に固定され、吸込み側に第1貯水槽の底部に連通する吸込み管225を設け、吐出し側にマニホールド205に連通する本洗浄水供給管226を設けている。
【0088】
<循環ポンプ>
循環ポンプ(循環手段)204は、下部外郭体102の内部に固定され、吸込み側に第1貯水槽の底部に連通する第1循環路231を設け、吐出し側に第2貯水槽202の底面に連通する第2循環路232と、燃焼排気導出管402の上部に備える流下安定槽405に連通する第3循環路233とを設けている。このうち、第2循環路232には、開閉用のバルブ(切替手段)234を備える。バルブ(切替手段)234は、使用する循環路を、第2循環路および前記第3循環路からなる第1系統と、第3循環路のみからなる第2系統と、のいずれかに相互に切り替える切替手段として機能する。
第1系統は、第2循環路および前記第3循環路を併用して前記第1貯水槽の洗浄水の供給を行う系統であり、燃焼部の燃焼加熱運転によって、燃焼排気導出管の外周表面へ供給した洗浄水の前記燃焼排気導出管の外周表面を流下させる加熱、および、前記第2貯水槽へ供給した洗浄水の前記燃焼排気導出管から吐出された燃焼排気との気液接触による加熱を併用する前記第1貯水槽から供給した洗浄水の加熱を行う系統となっている。
また第2系統は、第3循環路のみによって前記第1貯水槽の洗浄水の供給を行う系統であり、燃焼部の燃焼加熱運転によって、燃焼排気導出管の外周表面へ供給した洗浄水の前記燃焼排気導出管の外周表面を流下させる加熱のみによる前記第1貯水槽から供給した洗浄水の加熱を行う系統となっている。
実施形態1においては、バルブ(切替手段)234は、制御部(図示なし)にて制御される電気駆動のバルブとしている。
【0089】
<燃焼部、熱交換部>
洗浄装置100の天井に燃焼装置401を設け、バーナー409を燃焼部が洗浄室105内に配置されるように洗浄装置100の天井から洗浄室105内に貫通させた状態で固定している。熱交換器である燃焼排気導出管402は、バーナー409の燃焼部を覆うように断面が四角の筒形状を有して、洗浄室105内に上下方向(略鉛直方向)に縦断して配置している。上方端を洗浄室105内の天井面に固定し、下方端となる燃焼排気導出管の下端面411は第2貯水槽202内に開口させている。
【0090】
燃焼装置401は、ガス供給管408、バーナー409、予混合ガス供給手段(図示な
し)等で構成されている。予混合ガス供給手段は、ブロワ、空燃比比例制御装置、空気ガス混合部であるミキサー、エアーフロースイッチ等で構成されている。予混合ガスを燃焼させる際に、一般に用いられるものを利用している。
【0091】
燃焼排気導出管402の上方端の内部には、バーナー409のほかに点火手段である所定の間隔を有した2本のスパークバー(図示なし)および炎検知手段であるフレームロッド(図示なし)を設置している。スパークバー(図示なし)およびフレームロッド(図示なし)の先端部は、バーナー409の燃焼部分に近接して位置させている。
【0092】
スパークバー(図示なし)は高電圧を発生するイグナイター(図示なし)に接続されている。イグナイター(図示なし)によりスパークバー間に火花を発生させ、バーナー409に供給される予混合ガスに点火する。フレームロッド(図示なし)はDC印加電源(図示なし)に接続され、炎検知によって燃焼の有無を検知する。
【0093】
なお、スパークバー(図示なし)の火花方式での点火手段としたが、これに限定するものではなく、赤熱電気ヒータ等の他の手段であってもよい。さらに、ガストーチ等によって手動で点火させてもよい。
【0094】
また、炎検知手段としてフレームロッド(図示なし)によって、燃焼火炎の電気伝導度を検出する燃焼検知手段としたが、熱電対による手段、さらには赤外線検知、紫外線検知等による遠隔検知手段であってもよい。
【0095】
予混合ガス供給手段(図示なし)は、燃焼用空気を供給するブロワ(図示なし)を有し、ブロワ(図示なし)から空気ガス混合部であるミキサー(図示なし)に空気を吐出する。ブロワ(図示なし)からミキサー(図示なし)への空気の供給圧力を、分岐管(図示なし)を介して空燃比比例制御装置(図示なし)に印加する。分岐管(図示なし)の途中には空気の供給圧力を検出するエアーフロースイッチ(図示なし)を設けている。
【0096】
空燃比比例制御装置(図示なし)の入口には、ガスを供給するガス供給管408を接続し、さらに空燃比比例制御装置(図示なし)の出口には、ミキサー(図示なし)へガスを供給するガス管(図示なし)を接続し、ブロワから印加される空気の圧力をもとに、比例制御により最適な空燃比となるようにミキサーへ供給するガス量を制御するように構成されている。
【0097】
ミキサー(図示なし)にてよく混合された空気とガスの予混合ガスを、ガス管(図示なし)を介してバーナー409に供給する。
【0098】
バーナー409は、全体を略円筒形状に構成し、円筒形状の長さ方向を略鉛直方向の姿勢として、バーナー409を燃焼部が洗浄室105内に配置されるように洗浄装置100の天井から洗浄室105内に貫通させた状態で固定している。バーナー409の燃焼部が洗浄室105内に配置され、バーナー409に予混合ガスを供給するガス管(図示なし)を天井より上部で接続するように形成されている。
【0099】
バーナー409の燃焼部は表面燃焼部材として耐熱金属繊維を使用しており、所定の長さで筒状に丸めて円周方向に巻きつけてバーナー409に電気溶接等によりほぼ密着させて固着させている。耐熱金属に覆われた部分に複数のノズル(小孔)を形成し、バーナー409に供給される予混合ガスを表面燃焼部材の表面に噴出して燃焼させる。
【0100】
熱交換器である燃焼排気導出管402は、バーナー409の燃焼部を覆うように断面が四角の筒形状を有して、燃焼排気導出管402の外周表面を洗浄室105内に臨ませて、
洗浄室105内に天井から第2貯水槽202に掛けて洗浄室内を上下方向に縦断して、洗浄室を構成する壁面に沿って略鉛直方向に配置している。また、燃焼排気導出管402はその上方端を洗浄室105内の天井面に固定し、下方端となる燃焼排気導出管の下端面411を第2貯水槽202の内部に開口させている。燃焼排気導出管402の管内面は燃焼排気をバーナー409のある上方から下方へガイドして燃焼排気導出管の下端面411から吐出するように構成している。燃焼排気導出管402の上方端の内部にバーナー409が配置されている。
【0101】
燃焼排気導出管402の上方端側のバーナー409を覆う部分付近に、流下安定槽405を設けている。流下安定槽405には循環ポンプ(循環手段)204の吐出し側に接続された第3循環路233が連通して接続される。流下安定槽405に貯水される洗浄水を検知する水位センサー406が設けられ、燃焼排気導出管402の外周表面に沿って洗浄水を流下させるように流下安定槽の底面に流下開口407が構成されている。
【0102】
流下安定槽405は、循環ポンプ(循環手段)204から供給される洗浄水を所定量貯水しながら、流下開口407から燃焼排気導出管402の外周表面に沿って流下させるように構成されている。
【0103】
さらに、燃焼排気導出管402の下方端側の第2貯水槽202の上部近傍に、燃焼排気導出管402の外周表面に沿って流下する洗浄水を第1貯水槽201にガイドし導入するガイド部材410を設けている。ガイド部材410により、燃焼排気導出管402の外周表面に沿って流下する洗浄水は第2貯水槽202に流動せず、第1貯水槽201へと流動し導入される。
【0104】
ガイド部材410は、燃焼排気導出管402に着脱可能に固定され、後述する清掃ステップS600において清掃する時には、ガイド部材410を燃焼排気導出管402から取り外すことが可能である。ガイド部材410を分割可能として燃焼排気導出管402から取り外せるようにすればよい。また、前記したように第2貯水槽202に固定した区画部材229を取り外した後、燃焼排気導出管の下端面411側から取り外せるようにしてもよい。
【0105】
図1、
図3に示すように排気筒403は、洗浄装置100の天井上面に設けられ本洗浄ゾーン200の洗浄室105と連通した筒形状であり、断面が四角の筒形状としている。排気ダクト404は、搬入口106の上部に設けられ、断面形状を四角とした筒形状としている。
【0106】
図2に示すように、燃焼排気導出管402は、洗浄室105内の、洗浄室105を構成する壁面となる正面側の扉113の近傍に位置する。具体的には、洗浄室105を構成する壁面のうち、コンベア(搬送手段)103による食器類(被洗浄物)104の搬送方向に略直交する方向の正面側であって燃焼排気導出管402と対向する部分に、取り外し可能な扉113が嵌入されている。燃焼排気導出管402は、この扉113の内面に沿って、洗浄室内の高さ方向に伸長して配置される。つまり、正面側の扉113を取り外すと、洗浄室105の外部から、燃焼排気導出管402に簡単に手が届く配置となっている。さらに、燃焼排気が吐出される燃焼排気導出管の下端面411と、燃焼排気を洗浄室105内から外に排出する排気筒403は、洗浄室105内のコンベア103を挟んで対角の位置となるよう配置している。
【0107】
次に、本発明の実施形態1の洗浄装置の仕上げ洗浄ゾーン300の詳細な構成を、
図1、
図3、
図5を参照して説明する。
【0108】
図1に示すように、仕上げ洗浄ゾーン300に縦方向(略鉛直方向)に設置したマニホールド301には上部と下部とに開口(図示なし)を設けている。
図5に示すように、マニホールド301の下部端を、仕上げ洗浄水供給管305と連通させている。仕上げ洗浄水供給管305は、清水供給管108から分岐させて形成し、開閉用のバルブ304を設けている。
【0109】
マニホールド301の各々の開口(図示なし)には所定の弾性を有するゴム等からなるシールリング(図示なし)を挿入、固定してある。
【0110】
ノズル管302、303は、洗浄水を噴射する複数のノズル(小孔)(図示なし)を形成したものである。さらに、両端のうち一方の端部は開口させ、他方の端部はフタをする。本発明の実施形態1においては、先端を押し潰し板状として閉止しフタをしたものである。
【0111】
マニホールド301の各々の開口(図示なし)には、ノズル管302、303の開口している一方の端部が挿入され、先端を押し潰し板状として閉止している他方の端部は、洗浄装置100に別途固定した固定板の開口(図示なし)に挿入され、シールリング(図示なし)と固定板の開口(図示なし)によって保持されている。
【0112】
上部の開口(図示なし)に着脱自在に装着したノズル管302は、搬送手段であるコンベア103の上方部に設置し、ノズル管302に形成された複数のノズル(小孔)(図示なし)から下方側に洗浄水を噴射する。これによって、うつ伏せとなっている食器類104の上面側(食器類の裏面側)に洗浄水を噴射し、本洗浄ゾーン200の汚れを含んだ洗浄水や、本洗浄ゾーン200で洗剤を使用した際には洗剤成分を除去する。
【0113】
また、下部の開口(図示なし)に着脱自在に装着したノズル管303は、回動するコンベア103の上下間に設置し、ノズル管303に形成された複数のノズル(小孔)(図示なし)から上方側に洗浄水を噴射する。これによって、うつ伏せとなっている食器類104の下面側(食器類の表面側)に洗浄水を噴射し、本洗浄ゾーン200の汚れを含んだ洗浄水や、本洗浄ゾーン200で洗剤を使用した際には洗剤成分を除去する。
【0114】
マニホールド301は、コンベア103による食器類104の搬送方向と直交方向の一方の片側に配置し、ノズル管302、303は、コンベア103による食器類104の搬送方向と略直交方向に配置している。
【0115】
ノズル管302、303の装着方法は、先ずマニホールド301の開口(図示なし)に固定した弾性を有するシールリング(図示なし)に、ノズル管302、303の開口している一方の端部を挿入する。このときノズル管302、303の先端を押し潰し板状として閉止している他方の端部の先端は、固定板(図示なし)よりもマニホールド301側になるまで挿入する。一旦挿入後ノズル管302、303を引き戻し、ノズル管302、303の他方の端部の先端を固定板の開口(図示なし)に挿入して固定する。掃除等でノズル管302、303を外すときは、前記固定時と逆の動作を行う。
【0116】
なお、ノズル管302、303は、基本的には同一構成のものを共用し、上部の開口(図示なし)に装着するノズル管302においては複数のノズル(小孔)(図示なし)を下向き方向とし、下部の開口(図示なし)に装着するノズル管303においては複数のノズル(小孔)(図示なし)を上向き方向にして配置するものである。
【0117】
なお、被洗浄物を皿、お椀等の食器類104としたが、食器を載せるトレイ、食缶容器でもよく、また、その他の一般容器、板状体、加工製品等であってもよい。さらに、搬送
手段であるコンベア103の上に例えば皿、お椀等の被洗浄物である食器類104をうつ伏せ状態にして載せるようにしたが、例えばコンベア103の構成によってトレイ、板状体、加工製品等を縦方向の姿勢として搬送するようにしてもよい。また、食器類104を専用のカゴに収納して洗浄するカゴごと洗浄としてもよい。
【0118】
なお、図示しないが、コンベア103は格子状、またはネット状等に構成されたものであり、食器類104が落下しない程度の開口を有し、噴射された洗浄水が前記開口を通過して食器類104に十分当接(衝突)するようにしてある。これによって、噴射された洗浄水により食器類104およびコンベア103自体を洗浄することができる。また、無端状のコンベア103はモータ等の駆動手段(図示なし)により回動し上段のコンベア面により食器類104を搬送する。さらに、コンベア103上の食器類104の浮き上がりを防止するため、食器類104の上面に別の押さえコンベアを設置してもよい。
【0119】
なお、図示しないが、第1貯水槽201の底部には第1貯水槽201内の洗浄水の全てを排出するバルブを有する排水管を設けてもよい。
【0120】
なお、ノズル管208、209は複数本、5本としたが限定されるものではない。また、ノズル(小孔)とせず噴射ノズルを装着し、用途に応じた噴射パターン、噴射量を得るようにしてもよい。
【0121】
なお、開閉用のバルブ304は手動操作するものとしたが、電気駆動のバルブとしてコンベア103の運転と連動させて、コンベア103の駆動と同時にバルブを開とするように制御してもよい。
【0122】
なお、本洗浄ゾーン200と仕上げ洗浄ゾーン300の間に、カーテンを設けて洗浄ゾーンを区画してもよい。飛散した洗浄水が隣のゾーンに移動することを防止できる。また、搬出口107側に、低温の仕上げ洗浄ゾーンがあるので、搬出口107の上部に排気ダクトは設けていないが、必要に応じて設けてもよい。また、仕上げ洗浄水は、お湯としてもよい。この場合、排気ダクトを設けるのが好ましい。
【0123】
なお、バーナーの形状は円筒形状でなくてもよく、角柱、円錐、半球状等、用途に合わせて選択すればよい。表面燃焼部材としては、耐熱金属繊維をニット状に編んだメタルニットと、耐熱金属繊維を多孔基材上にランダムに積層し固着したメタルファイバーマットがある。表面燃焼式のバーナーに限らす、予混合ガスの燃焼に用いられるバーナーを適用すればよいものである。
【0124】
第2貯水槽202の底部に接続された清水供給管108から第2貯水槽202へ清水を洗浄水として供給したときや、同じく第2貯水槽202の底部に接続された第2循環路232から第2貯水槽202へ洗浄水を供給したときに、これら洗浄水の流動によりバーナー409の燃焼背圧が変動しないようにすることが好ましい。例えば、燃焼排気導出管の下端面411と対向しない位置から洗浄水を供給する、燃焼排気導出管の下端面411から吐出される燃焼排気に向けて洗浄水を供給しない、等の構成とすればよい。これにより、バーナー409の燃焼背圧を一定とし、安定したバーナー409の燃焼とすることができる。
【0125】
次に、本発明の実施形態1における洗浄装置の運転動作を、
図4(a)、
図5〜
図11を参照して説明する。
【0126】
まず、本発明の実施形態1の洗浄装置の本洗浄ゾーン200にて実施する本洗浄の概要を、
図4(a)を参照して説明する。本洗浄では、
図4(a)に示す各ステップを順次実
行する。各ステップの詳細な運転動作等についてはステップ毎に後述する。
【0127】
最初に、貯水運転ステップS100において、第1貯水槽および第2貯水槽に洗浄水を貯水する。次に、加熱運転ステップS200において、貯水された洗浄水を所定の温度に加熱する。次に、洗浄運転ステップS300において、加熱された洗浄水を噴射して搬送手段であるコンベア103にて搬送される被洗浄物である食器類104を洗浄する。次に、停止ステップS500において、加熱運転、貯水運転を停止する。最後に、清掃ステップS600において、洗浄装置の清掃を行い、本洗浄を終了する。これらのステップは本発明の実施形態1の洗浄装置の基本的な本洗浄の運転方法となるものである。
【0128】
さらに、
図4(a)には、洗浄運転ステップS300と停止ステップS500間に実施し、洗浄終了後に第1貯水槽の洗浄液を中性化処理する中性化運転ステップS400を付加した例として記載している。中性化運転ステップS400については、後述する実施形態4にて詳細に説明する。
【0129】
なお、本発明の実施形態1の洗浄装置の仕上げ洗浄ゾーンにて実施する仕上げ洗浄については、コンベア103の駆動開始に合わせて、ノズル管302、303から仕上げ洗浄水を噴射する。詳細については、後述する洗浄運転ステップS300の動作にて説明する。
【0130】
次に、本発明の実施形態1における洗浄装置の運転動作をより詳細にステップごとに、
図5〜
図11を参照して説明する。
【0131】
先ず、
図5を参照して、第1貯水槽と第2貯水槽とに清水を洗浄水として供給し所定の水位に貯水する貯水運転ステップS100の動作を説明する。
【0132】
制御部(図示なし)への貯水運転の開始指示入力により、貯水運転を開始する。
【0133】
まず、開閉用のバルブ221を開放し、第2貯水槽202の底部に第2貯水槽202に連通して配管接続される清水供給管108から、第2貯水槽202に清水を洗浄水として供給し貯水を開始する。
【0134】
第2貯水槽202に貯水された洗浄水が所定の水位を超えると、洗浄水は第2貯水槽202からオーバーフローし溢流水Waとなって、第1貯水槽201へ落下流動し、第1貯水槽201へ貯水を開始する。このとき、第2貯水槽202の水位センサー227が所定の水位にあることを検知している。
【0135】
第1貯水槽201に貯水される洗浄水が所定の水位に到達し、水位センサー222が所定の水位を検知すると、バルブ221を閉止して洗浄水の供給を止める。清水供給管108から第2貯水槽202への清水の供給が停止し、第2貯水槽202から第1貯水槽201への溢流水Waの落下流動が停止する。第1貯水槽201と第2貯水槽202とに貯水された洗浄水が所定の水位となり、第1貯水槽201の水位センサー222と第2貯水槽202の水位センサー227とが所定の水位を検知した状態となる。
【0136】
以後、後述する停止ステップS500において貯水運転を停止するまで、第1貯水槽201の水位センサー222、第2貯水槽202の水位センサー227のいずれかが、所定の水位に満たないことを検知すると、バルブ221が開放され清水が供給され、第1貯水槽201と第2貯水槽202とがそれぞれ所定の水位を維持するように制御される。
【0137】
次に、
図6を参照して、貯水運転ステップS100において第1貯水槽201と第2貯
水槽202に貯水された洗浄水を所定の温度に加熱する加熱運転ステップS200の動作を説明する。
【0138】
加熱運転ステップS200は、燃焼排気導出管の下端面411が位置する第2貯水槽202と、熱交換部である燃焼排気導出管402の外周表面と、へ第1貯水槽201に貯水された洗浄水の供給を行い、燃焼排気導出管402に覆われたバーナー409を燃焼し燃焼排気Exを燃焼排気導出管402に流動させ吐出させることで、洗浄水を加熱するものである。第2貯水槽202では燃焼排気Exと循環させた洗浄水とが気液接触することで洗浄水の直接加熱を行い、燃焼排気導出管402の外周表面では供給されて流下する洗浄水の間接加熱を行う。さらに、直接加熱後の燃焼排気Exは洗浄室105内に放散され、庫内を加熱する。
【0139】
また、洗浄運転前の初期の貯水後の加熱と、洗浄ステップS300における加熱と、では加熱方法が異なる。洗浄運転ステップS300における加熱の詳細については、後述する洗浄運転ステップS300の動作にて説明する。
【0140】
制御部(図示なし)への加熱運転の開始指示入力により、加熱運転を開始する。貯水運転ステップS100にて、第1貯水槽201の水位と第2貯水槽202の水位とが所定の水位にあることを検知した信号で自動的に加熱運転を開始してもよいし、制御部(図示なし)に設けた操作スイッチで加熱運転を開始してもよい。
【0141】
<洗浄水の循環>
まず、第1貯水槽201に貯水された洗浄水を、加熱部となる第2貯水槽202と燃焼排気導出管402の外周表面とに供給するために、循環ポンプ(循環手段)204を駆動する。循環ポンプ(循環手段)204は、第1貯水槽201に貯水した洗浄水を第1貯水槽の底部に連通する第1循環路231を介して吸込み、第2循環路232と第3循環路233とに吐出する。
【0142】
このとき第2循環路232に備えたバルブ(切替手段)234は開放しており、第2循環路232に吐出された洗浄水は、第2循環路232を流動し第2貯水槽202に供給される。第2貯水槽202からオーバーフローし、第1貯水槽201に溢流水Waとして落下流動され、再び循環ポンプ(循環手段)204へ吸い込まれる循環流動状態となる。
【0143】
また、第3循環路233に吐出された洗浄水は、第3循環路233を流動し燃焼排気導出管402の上部に設けられた流下安定槽405に供給される。流下安定槽405に供給された洗浄水は、流下安定槽405の底面に構成される流下開口407から燃焼排気導出管402の外周表面に供給され、燃焼排気導出管402の外周表面に沿って落下流水Wbとして流下し、ガイド部材410にて第1貯水槽201へ導入され、再び循環ポンプ(循環手段)204へ吸い込まれる循環流動状態となる。
【0144】
前記循環流動状態においては、第2循環路232と第3循環路233とを併用して洗浄水を循環させた状態となる。これにより、第1貯水槽201と第2貯水槽202とに貯水された洗浄水の全体を循環させることができる。
【0145】
また、燃焼排気導出管402の外周表面は洗浄室105内に臨んで配置していることから、外周表面に沿って流下する落下流水Wbは、洗浄室105内に露出して流下することとなる。
【0146】
また、流下安定槽405に供給された洗浄水は、流下安定槽405にある程度貯水された状態として流下開口407から供給できるように、循環され供給される洗浄水の量と、
流下させる洗浄水の量を調整するものである。例えば、循環され供給される水の量を多めにしておき、流下安定槽の上端部からオーバーフローさせてもよい。
【0147】
これにより、流下安定槽405に供給された洗浄水は、流下開口407の全体から均一に安定した状態で燃焼排気導出管402の外周表面に供給される。供給された洗浄水は、燃焼排気導出管402の外周表面に均一に広がった状態で落下流水Wbとして燃焼排気導出管402の外周表面に沿って流下していく。
【0148】
なお、前記した流下安定槽405の上端部からオーバーフローさせた洗浄水を、燃焼排気導出管402の外周表面に流動させて流下させるようにしてもよい。また、流下開口407を設けず、流下安定槽405に貯水した洗浄水をオーバーフローさせて燃焼排気導出管402の外周表面に沿って流下させる構成としてもよい。
【0149】
流下安定槽405から落下流水Wbとして流下させる洗浄水の量は、例えば毎分3〜13リットル程度とするものである。加熱する洗浄水の量、洗浄水の所定の温度、バーナーの燃焼量等によって設定すればよい。
【0150】
また、循環ポンプ(循環手段)204の駆動を開始した際に、第1貯水槽201に貯水された洗浄水が第1循環路231を介して循環ポンプ(循環手段)204に吸い込まれ、第2循環路232と第3循環路233とに吐き出されて、第2貯水槽202と燃焼排気導出管402とに供給されて循環流動するが、流動する洗浄水が吸い込まれて第1貯水槽201に戻るまでに流動する洗浄水の分だけ、第1貯水槽201に貯水された洗浄水が減り水位が下がる。所定の水位より水位が下がったことを水位センサー222にて検知すると、バルブ221が開放され清水供給管108より新たな清水が第2貯水槽202に供給されオーバーフローして第1貯水槽201に供給され、第1貯水槽201に貯水する洗浄水の水位を所定の水位に維持する。
【0151】
洗浄水が循環されて、水位センサー406により流下安定槽405に貯水される洗浄水が所定の水位にあることを検知し、水位センサー227により第2貯水槽202に貯水される洗浄水が所定の水位にあることを検知すれば、洗浄水の循環が安定した状態になっていると判断し、次に燃焼装置401のバーナー409の燃焼を開始する。
【0152】
<バーナー燃焼の説明>
制御部(図示なし)から燃焼開始の信号が出ると、イグナイター(図示なし)に通電し、バーナー409に近接して位置するスパークバー(図示なし)間に放電火花を発生させる。
【0153】
次に予混合ガス供給手段であるブロワ(図示なし)を駆動させて、燃焼用空気をミキサー(図示なし)、バーナー409へ供給を開始する。分岐管(図示なし)からミキサー(図示なし)への供給空気圧力を空燃比比例制御装置(図示なし)に印加するとともにエアーフロースイッチ(図示なし)で供給空気圧力を検出する。
【0154】
次に、燃焼用空気が供給されると、燃焼用のガスがガス供給管408から空燃比比例制御装置、ガス管(図示なし)を介してミキサー(図示なし)に流れ、ガスと燃焼用空気を混合する。さらに、ガスと燃焼用空気を混合した予混合ガスは、ミキサー(図示なし)から予混合を供給するガス管(図示なし)を介してバーナー409へ供給される。
【0155】
このとき、ミキサー(図示なし)へ供給される燃焼用空気量と分岐管(図示なし)から空燃比比例制御装置(図示なし)へ印加する供給空気圧力の相関を把握しておき、この供給空気圧力を空燃比比例制御装置(図示なし)に印加して空燃比(空気とガスの混合比)
を所定値範囲になるようにミキサー(図示なし)に供給するガス量を空燃比比例制御装置(図示なし)で制御する。
【0156】
バーナー409でのガスの燃焼量の設定は、空燃比比例制御装置(図示なし)へ印加する供給空気圧力に追従してガスの流量を制御して設定する。ガスの燃焼量の変化はブロワ(図示なし)の回転数の制御によって行う。
【0157】
バーナー409へ供給された予混合ガスは、バーナー409の表面燃焼部材に覆われた部分に形成する複数のノズル(小孔)から噴出し、表面燃焼部材(図示なし)内を拡がり表面部から噴出する。この噴出した予混合ガスはスパークバー(図示なし)間に形成された放電火花によって着火し表面燃焼部材(図示なし)の全体で燃焼を開始する。バーナー409が燃焼開始後、スパークバー(図示なし)の放電火花を停止させる。また、フレームロッド(図示なし)により燃焼を確認し動作を継続する。
【0158】
バーナー409の燃焼中に、流下安定槽405に設けられた水位センサー406により、流下安定槽405の水位が所定の水位より低下したことを検知すると、燃焼排気導出管402の外周表面に沿って流下する洗浄水である落下流水Wbの量が不足していると判断し、異常加熱を防止するためにバーナー409の燃焼を停止させる。さらに、第2貯水槽202の内部に取り付けられている水位センサー228により、第2貯水槽202の水位が内部に位置する燃焼排気導出管の下端面411よりも少し上となる下限水位より低下したことを検知すると、第2貯水槽202内で気液接触させる洗浄水の量が不足している判断し、バーナー409の燃焼を停止させる。水位センサー406、228は安全装置として機能している。
【0159】
そのほかにも、第1貯水槽201、第2貯水槽202の水位の低下や循環ポンプ(循環手段)204の駆動が停止した際に燃焼を停止させる等の基本的なインターロック回路を備えている。また、貯水運転が停止していると加熱運転が開始できないようにインターロック回路を備えてもよい。さらに、洗浄室105内に過昇温防止の温度センサー(図示なし)を設け、洗浄室105内の温度が上昇しすぎた際にバーナー409の燃焼を停止させてもよい。
【0160】
<燃焼排気Exの流動>
図6の破線の矢印で示すように、予混合ガスの燃焼によって生じる燃焼排気Exは、燃焼排気導出管402の管内面にガイドされ、燃焼排気導出管402の内部をバーナー409側から燃焼排気導出管の下端面411側に向かって上から下に流動する。燃焼排気導出管の下端面411は第2貯水槽202に貯水された洗浄水中に水没した状態で位置するので、下端面には水圧が掛かっているが、この水圧に抗して燃焼排気Exは燃焼排気導出管の下端面411面から洗浄水中に吐出される。洗浄水中に吐出された燃焼排気Exは、洗浄水中を浮上し第2貯水槽202に貯水された洗浄水の水面から洗浄室105内に放散され導入される。
【0161】
前記燃焼排気Exの洗浄水中への吐出は、いわゆる液中燃焼法による加熱であり、燃料をバーナーで燃焼させて得られる高温の燃焼排気Exを直接液中に噴出させて、気液接触することで直接加熱を行う方法として知られており、高い加熱効率が得られる加熱方法として知られている。本発明の実施形態1においては、この加熱効率の良い気液接触による直接加熱を行う液中燃焼法を洗浄水の加熱に適用したものである。
【0162】
(燃焼排気の洗浄室導入)
第2貯水槽の上部の空間は洗浄室内と連通される。これにより、気液接触した後の燃焼排気は、前記洗浄室内に導入され、洗浄室を通過してから前記洗浄室外に排出されるよう
になっている。
例えば実施形態において、第2貯水槽は、洗浄室内であって搬送方向下流側寄りにて上方に開放され、第2貯水槽に貯水された洗浄水は洗浄室内の一端側を臨む。また、洗浄室内であって搬送方向上流側寄りには排気ダクトの排気口が設けられ、排気ダクトの排気口は、洗浄室内の他端側を臨む。すなわち、洗浄室内の一端側の下部に第2貯水槽が配置され、前記一端側と反対側である、洗浄室内の他端側の上部に排気ダクトが配置されている。
第2貯水槽において気液接触した後の燃焼排気Exは、洗浄室105内に放散して導入され、洗浄室105の一端側から他端側へ向かって洗浄室内を流動し通過して、主に排気筒403に導かれて洗浄室105外に排出される。また前記燃焼排気Exは、同様に洗浄室105内を流動し通過して、搬入口106から排出され排気ダクト404に導かれて、上部に排出される燃焼排気Exもある。上部に導かれた燃焼排気Exは、別途設ける排気フード(図示なし)等により回収されて洗浄装置100を設置している建物の外部に排出される。
【0163】
第2貯水槽202の貯水量を第1貯水槽201の貯水量より少ない構成とし、さらに第2貯水槽202に清水を直接供給することができるので、第2貯水槽202は所定の水位に保ち易く安定したものとなり、燃焼排気導出管の下端面411にかかる水圧を一定に保つことができる。これにより、バーナー409の燃焼背圧が一定となり、バーナー409の燃焼が安定したものとなる。液中燃焼方式でありながら安定した燃焼の実現を可能とする構成としている。
【0164】
<洗浄水の加熱について>
洗浄水が循環流動状態となり、バーナー409が燃焼することで、洗浄水の加熱が始まる。
【0165】
<気液接触による直接加熱>
バーナー409の燃焼部を覆うように配置される断面が四角の筒形状の燃焼排気導出管の下端面411は、第2貯水槽202に貯水された洗浄水中に水没した状態であり、バーナー409の燃焼排気Exは熱交換器である燃焼排気導出管402内をバーナー409から燃焼排気導出管の下端面411に向かって流動し、燃焼排気導出管402の下端面411から第2貯水槽202に貯水された洗浄水中に吐出される。洗浄水中に吐出された燃焼排気Exと洗浄水とが気液接触することで洗浄水を直接加熱する。
【0166】
循環ポンプ(循環手段)204により洗浄水が循環していることから、第2貯水槽202内で気液接触することにより直接加熱された洗浄水は第2貯水槽202からオーバーフローして第1貯水槽201へ溢流水Waとして流下される。
【0167】
また、従来の洗浄装置のように、貯水され循環していない洗浄水の一部を局所的に加熱し全体に熱伝導させるのではなく、洗浄水全体を循環させて流動させながら洗浄水の全体を加熱するものである。洗浄水を循環させることにより、少しでも温度の低い洗浄水を燃焼排気Exと気液接触させて直接加熱することができ、加熱において温度差Δtを大きくとることができる。
【0168】
これにより、加熱効率の良い気液接触による直接加熱を洗浄水の加熱に適用した上に、温度差Δtを大きくとることができるので、第2貯水槽202における気液接触による直接加熱の加熱効率をより高めた状態で循環させた洗浄水を加熱することができる。温度の低い洗浄水を循環させて、高い加熱効率のもとで加熱することができ、洗浄水の所定の温度への加熱時間を短縮することができる。
【0169】
<落下流水Wbの間接加熱>
燃焼排気導出管402の内部で燃焼するバーナー409の燃焼炎と下方へ流動する燃焼排気Exとにより、燃焼排気導出管402は熱せられており、この熱せられた燃焼排気導出管402の外周表面に沿って流下する洗浄水である落下流水Wbを間接加熱する。
【0170】
このとき、流下安定槽405に貯水しながら燃焼排気導出管402の外周表面へ流下させているので、燃焼排気導出管402の外周表面の略全体に沿って落下流水Wbが流下していく。よって熱せられた燃焼排気導出管402の外周表面全体で間接加熱することができ、効率の良い加熱が可能となる。
【0171】
加熱されながら流下する洗浄水である落下流水Wbは、燃焼排気導出管402の下部に設けられたガイド部材410により、第2貯水槽202には流動せず第1貯水槽201へ流動され導入される。
【0172】
ガイド部材410は、第2貯水槽202の上部に位置し、第2貯水槽202に貯水された洗浄水の水面から放散された燃焼排気Exにより熱せられている。また、燃焼排気Exを導出することにより熱せられた燃焼排気導出管402と当接して取り付けられていることから、燃焼排気導出管402からの熱伝導によってもガイド部材410は熱せられている。
熱せられたガイド部材410に沿って流動する落下流水Wbはさらに加熱されることとなる。ガイド部材410に沿って流動することで加熱された落下流水Wbが、第1貯水槽201に導入され、再び循環ポンプ(循環手段)204へ吸い込まれ、循環流動状態となり加熱を繰り返していく。
【0173】
燃焼排気導出管402は熱伝導体からなり、バーナー409の燃焼排気Exを内部流動させ、燃焼排気導出管402の下端面411から吐出するようにガイドするとともに、洗浄室の高さ方向に亘って真直ぐ伸長して配置される。この配置によって、燃焼排気導出管402の外周表面が前記洗浄室内を縦方向に臨むこととなる。燃焼排気導出管402の内部に燃焼装置からの燃焼排気Exが流動することで、燃焼排気導出管402を熱伝導体として、洗浄室105内をその高さ方向に亘って加温するものとなっている。また、燃焼排気管402の内部に燃焼排気を流動させると共に、循環手段によって、第1貯水槽の洗浄水を燃焼排気導出管402の外周表面へ供給する。この燃焼排気導出管402の外周表面に洗浄水を流下させる際に、燃焼排気導出管402の外周表面と、洗浄水である流下中の落花流水Wbとが熱交換することで、洗浄水が間接加熱される。
【0174】
以上のように、第2循環路232と第3循環路233とを併用して洗浄水を循環させることにより、第2貯水槽202内に供給された洗浄水の直接加熱と、燃焼排気導出管402の外周表面に供給された洗浄水の間接加熱との2種類の加熱を併用して洗浄水の加熱を効率的に行うことができ、加熱時間の短縮化を図ることができる。
【0175】
また、従来の洗浄装置においては、熱交換部付近の洗浄水の流動が弱く洗浄水がそこにとどまっていることが多く、熱交換部付近での局所的な加熱となることが多かった。本発明の実施形態1の洗浄装置において、洗浄ポンプ203の駆動を停止している際の加熱中は、燃焼排気導出管402の外周表面に沿って落下流水Wbを流下させる循環流動と第2貯水槽202への循環流動とを併用することにより、第1貯水槽201と第2貯水槽202とに貯水された洗浄水の全体の循環が活発になり、第1貯水槽201と第2貯水槽202とに貯水した洗浄水の全体を温度差なく均一に加熱することができる。
【0176】
燃焼排気導出管402は、略水平の搬送方向と交差する鉛直縦方向に沿って、洗浄室105の高さ方向に亘って真直ぐ縦断するように伸長して配置されることで、燃焼排気導出
管402の外周表面が前記洗浄室105内を縦方向に臨むこととなる。燃焼排気導出管402の内部を燃焼排気Exが流動することで外周表面が加熱され、また、循環手段によって、燃焼排気導出管402の外周表面へ洗浄水を供給することで、流下中の洗浄水を加熱すると共に、洗浄室105内を加温するものとしている。
【0177】
なお、燃焼排気導出管402は、少なくとも一部が洗浄室105内の高さ方向に伸長していればよい。例えば、燃焼排気導出管402の他の実施形態として、洗浄室105内を斜め下方向に伸長するものでもよく、或いはさらに他の実施形態として、燃焼排気導出管402が洗浄室105内で屈曲して洗浄室105内の鉛直方向に伸長するもの、例えば階段状に屈曲して伸長するものでもよい。
【0178】
また、燃焼排気導出管402の下方端側にガイド部材410を設けない構成としてもよい。この場合には、燃焼排気導出管402の外周表面に沿って流下し間接加熱された落下流水を、第2貯水槽202に流動させることとなり、さらに第2貯水槽202内で燃焼排気Exと気液接触することで直接加熱され、第2貯水槽202からオーバーフローして第1貯水槽201へ溢流水Waとして落下流動することとなる。
また、詳しくは後述するが、アルカリ洗剤を混入する場合には、液性の変化を抑制するためにガイド部材を設けることが好ましい。
【0179】
<庫内加熱>
燃焼排気導出管の下端面411から吐出された燃焼排気Exは、第2貯水槽202に貯水された洗浄水と気液接触することで洗浄水を直接加熱しながら洗浄水中を浮上し、第2貯水槽202に貯水された洗浄水の水面から洗浄室105内に放散され導入される。
【0180】
洗浄室105内に放散され導入された燃焼排気Exは、洗浄水と気液接触し熱交換し加熱した後であっても、比較的高い温度を維持していることが多く、洗浄室105内を流動し通過しながら、洗浄室105の内面や、洗浄室105内のマニホールドやノズル管、洗浄室内部に位置する搬送手段であるコンベア103等の構成部品と接触し、上部外郭体101や構成部品を加熱する。
【0181】
このとき、
図2に示すように、第2貯水槽202と排気筒403は、洗浄室105の対角に位置していることにより、第2貯水槽202の水面から放散されてから排気筒403により排気されるまでの距離を長くとり、洗浄室105内に燃焼排気Exをできるだけ長く流動させ通過させて、洗浄室105の内面や構成部品を効果的に加熱する。したがって、燃焼排気を有効利用し、燃焼により発生した熱の利用の最大化を図ることができる。
【0182】
また、排気用の煙道等を設けることなく、洗浄室105を排気通路として利用することができるので、装置の簡略化を図ることができる。
【0183】
燃焼排気Exは洗浄室105内を流動し通過しながら洗浄室105の内面や構成部品を加熱した後、排気筒403に導かれて洗浄室105外に排出されたり、搬入口106から排出され排気ダクト404に導かれて上部に排出されたりする。燃焼排気は充分に熱交換されて洗浄室外に排出されることとなる。したがって、洗浄水を加熱した後の燃焼排気を有効利用するとともに、排出される燃焼排気の温度を下げることができ、良好な作業環境を提供することができる。
【0184】
さらに、燃焼排気導出管402の外周表面に沿って流下する落下流水Wbは洗浄室105内に露出して流下していることから、熱交換器である燃焼排気導出管402の外周表面にて加熱された落下流水Wbの熱の一部が洗浄室105内に放出されることにより、洗浄室105内は加熱されることとなる。
【0185】
放出された熱は、燃焼排気Exと同様に、洗浄室105の内面や、洗浄室105内のマニホールドやノズル管、洗浄室内部に位置する搬送手段であるコンベア103等の構成部品と接触し、上部外郭体101や構成部品を加熱することとなる。
【0186】
上部外郭体101や構成部品を加熱することの効果については、後述する洗浄運転ステップS300の動作にて説明する。
【0187】
<加熱停止制御>
洗浄水を循環し、バーナーを燃焼することで洗浄水を加熱することにより、洗浄水の温度が上昇していく。第1貯水槽201に備えた温度センサー223が所定の温度に達したことを検知すると、バーナー409の燃焼を停止する。このときの状態を示すのが
図7であり、次のステップである洗浄運転ステップS300を開始できる状態となる。
【0188】
バーナー409の燃焼停止後、後述する停止ステップS500において加熱運転を停止するまでは、洗浄水の温度が低下し、温度センサー223にて所定の温度より低下したことを検知すると、バーナー409の燃焼を開始し再加熱が始まり、洗浄水は所定の温度に維持するように制御される。バーナー409の燃焼を停止しても、循環ポンプ(循環手段)204は駆動したままとしており、洗浄水を循環させている。
【0189】
仮にバーナー409の燃焼の停止に合わせて循環ポンプ(循環手段)204の駆動を停止すると、第3循環路233中に循環されている洗浄水が第1貯水槽201にリターンされ、第1貯水槽201水位が所定の水位よりも高くなりオーバーフロー管224より排出されることとなる。
その後、洗浄水の温度が低下し所定の温度より低くなり再加熱を始めるとき、まず停止した循環ポンプ(循環手段)204の駆動が始まる。その際に、循環ポンプ(循環手段)204が吸い込む洗浄水の分だけ第1貯水槽201の水位が下がり、その分清水が供給され、清水が供給されたことで洗浄水の温度が下がる。使用水量が増えるとともに、加熱に要するエネルギーがより多く必要となる。
【0190】
バーナー409の燃焼を停止するが、循環ポンプ(循環手段)204は駆動したままとしていることにより、使用水量や加熱に要するエネルギーを減らすことができるとともに、再加熱に掛かる時間を短縮することができる。さらに、循環ポンプ(循環手段)204の再駆動を待たずに燃焼を開始できるので、再加熱するときの応答性が良いものとなる。
【0191】
さらに、燃焼排気導出管402の外周表面に沿って落下流水Wbを流下させることによる循環流動と第2貯水槽202への循環流動とにより、第1貯水槽201と第2貯水槽202とに貯水された洗浄水の全体の循環が活発になり、第1貯水槽201と第2貯水槽202とに貯水された洗浄水の全体を温度差のない均一な温度に維持することができる。
【0192】
ただし、バーナー409は燃焼していないのに長時間循環ポンプ(循環手段)204が駆動されていることとなり、節電という側面からみると好ましくなく、ポンプの運転時間が増えることによるポンプの耐久性への影響も考慮すべきであるという見方もできる。
【0193】
バーナー409の燃焼の停止後、タイマー等で制御して循環ポンプ(循環手段)204を所定の時間駆動させてから停止してもよい。燃焼排気導出管402の残熱を洗浄水に熱交換して燃焼排気導出管402の温度を下げるように、所定の時間を設定すればよい。さらに、バーナー409の燃焼の停止と同時に、循環ポンプ(循環手段)204の駆動を停止するように制御してもよい。いずれの制御を選択するのかは、運転条件等により選択すればよいものである。
【0194】
ただし、前記したように使用水量や加熱に要するエネルギーを減らすことができる点、循環ポンプ(循環手段)204の駆動を待たずにバーナー409の燃焼を開始できる点、第1貯水槽201と第2貯水槽202とに貯水された洗浄水の全体を温度差のない均一な温度に維持する点で、バーナー409の燃焼を停止した際に、循環ポンプ(循環手段)204を駆動させておくことが好ましい。
【0195】
また、一旦洗浄水を所定の温度まで加熱し、洗浄水の温度が多少低下したとしても所定の温度に維持するために再加熱を行わず、洗浄運転を開始する直前に再加熱運転してもよいという場合もある。この場合、作業者が制御部(図示なし)を介して加熱運転そのものを停止しておけばよい。
【0196】
供給される清水は、水道水であれば通常10〜25℃くらいであり、洗浄に適した温度、例えば60〜80℃程度にまで加熱するものである。なお洗浄水の所定の温度は、所定の温度に対して適当なすきま値をもって制御すればよく、厳密に所定の温度になっているわけではない。すきま値は例えば所定の温度に対して±3℃程度に設定すればよい。
【0197】
また、貯水運転ステップS100と加熱運転ステップS200を実施し、所定の水位および所定の温度となり次の洗浄運転ステップS300を開始できる状態になったことを表示ランプ(図示なし)等で作業者にお知らせするようにしてもよい。
【0198】
<洗浄運転ステップ>
次に、
図8〜
図11を参照して、加熱された洗浄水を噴射して搬送手段であるコンベア103にて搬送される被洗浄物である食器類104の汚れを除去する洗浄運転ステップS300の動作を説明する。
【0199】
図8、
図9を参照して洗浄運転ステップS300の概略を説明する。
【0200】
洗浄運転ステップS300を開始すると、
図8に示すように本洗浄ゾーン200の洗浄ポンプ203を駆動してノズル管208、209から洗浄水を噴射し、さらに搬送手段であるコンベア103を駆動し、仕上げ洗浄ゾーン300では、バルブ304を開放しノズル管302、303から仕上げ洗浄水を噴射する。洗浄ポンプ203の駆動を開始したとき、貯水された洗浄水は洗浄ポンプ203に吸い込まれて水位低下するが、その洗浄水の分だけ清水供給管108より新たな清水を洗浄水として供給し、この洗浄水の供給により第1貯水槽201に貯水された洗浄水の温度が低下するので加熱している状態となる。
【0201】
つぎに
図9に示すように、第1貯水槽201が所定の水位になると清水の供給が停止し、所定の温度になるとバーナー409の燃焼が停止した状態となり、搬送手段であるコンベア103により食器類104を搬送し、噴射される洗浄水により食器類104に付着した汚れを除去する。
【0202】
洗浄運転ステップS300は、洗浄水の所定の水位への貯水と所定の温度への加熱が完了した状態で、本洗浄ゾーン200の洗浄ポンプ203を駆動してノズル管208、209から洗浄水を噴射し、搬送手段であるコンベア103を駆動し、搬入口106から被洗浄物である食器類104を投入し、投入した食器類104をコンベア103で搬送しながら噴射される洗浄水、仕上げ洗浄水で洗浄し、搬出口107から食器類104を排出し、洗浄ポンプ203の駆動を停止し、コンベア103の駆動を停止するものである。
【0203】
洗浄運転ステップS300においても、前記した貯水運転と加熱運転とは継続されており、第1貯水槽201に貯水される洗浄水の所定の水位と所定の温度は維持されている。
つまり、洗浄運転ステップにおいても、第1貯水槽201の水位センサー222、第2貯水槽202の水位センサー227のいずれかが、所定の水位に満たないことを検知すると、清水供給管108から清水の供給が開始され、所定の水位を維持するように制御され、また、洗浄水の温度が低下し所定の温度より低くなったとき、バーナー409の燃焼を開始し加熱が始まり、洗浄水は所定の温度に維持するように制御される。
【0204】
洗浄運転ステップS300について、順を追って詳細に説明していく。
【0205】
まず、制御部(図示なし)への洗浄運転の開始指示により、洗浄ポンプ203を駆動した際の動作を、
図8を参照して説明する。洗浄ポンプ203は駆動を開始すると、第1貯水槽201に所定の水位で所定の温度に貯水された洗浄水を第1貯水槽201の底部に連通する吸込み管225を介して吸込む。洗浄ポンプ203に吸い込まれた洗浄水は、本洗浄水供給管226を介して、上部マニホールド206、下部マニホールド207へ流動する。上部マニホールド206と下部マニホールド207に流動した洗浄水は、上部マニホールド206に装着されたノズル管208と、下部マニホールド207に装着されたノズル管209とに形成されたノズル(小孔)(図示なし)から洗浄水を噴射する。噴射された洗浄水は、食器類の汚れの除去に供されて第1貯水槽201に回収され、再び洗浄ポンプ203へ吸い込まれる洗浄流動状態となる。
【0206】
洗浄ポンプ203を駆動すると、洗浄水の循環流動の経路を変更することにより、洗浄水の加熱方法が変わることについて説明する。
【0207】
洗浄運転ステップS300を開始するまでの加熱運転における循環流動の経路は、第2貯水槽202への供給および燃焼排気導出管402の外周表面への供給を併用した循環経路とし、洗浄水は直接加熱と間接加熱とを併用して加熱される。
一方、洗浄運転ステップS300における加熱運転の循環流動の経路は、第2貯水槽202への循環供給をせずに、燃焼排気導出管402の外周表面への供給のみとし、供給された洗浄水は燃焼排気導出管402の外周表面で間接加熱されることとなる。
【0208】
洗浄ポンプ203を駆動すると、第2循環路232に備えた開閉用のバルブ(切替手段)234を閉止する。これにより、循環ポンプ(循環手段)204から吐出される洗浄水は、第3循環路233のみを流動し、流下安定槽405に供給され、流下安定槽405の流下開口407から燃焼排気導出管402の外周表面に沿って流下し、ガイド部材410により、第1貯水槽201へと流動し導入される。
【0209】
第2貯水槽202には、洗浄水が供給されなくなる。第2貯水槽202に貯水されている洗浄水は所定の水位である水位センサー227の検知位置で維持するように制御されている。また、第1貯水槽201の洗浄水の水位が所定の水位より低下したときは、バルブ221が開放され、清水が第2貯水槽202に供給され、第2貯水槽202からオーバーフローし、第1貯水槽201に溢流水Waとして落下流動し、第1貯水槽201へ貯水される。
【0210】
洗浄ポンプ203を駆動したときに、循環流動の経路を変更することの作用、効果について
図8を参照して説明する。
【0211】
洗浄ポンプ203の駆動を開始すると、第1貯水槽201に貯水した洗浄水が洗浄ポンプ203に吸い込まれ、本洗浄水供給管226に吐出されて、ノズル管208と209とに形成されたノズル(小孔)(図示なし)から噴射される。そして、第1貯水槽201に回収され再び洗浄ポンプ203へ吸い込まれる洗浄流動状態となる。
【0212】
このとき、洗浄流動する洗浄水が洗浄ポンプ203に吸い込まれて第1貯水槽201に回収されるまでに流動する洗浄水の分だけ、第1貯水槽201に貯水された洗浄水が減り水位が下がる。水位が下がったことを水位センサー222にて検知すると、バルブ221が開放され清水供給管108より新たな清水が洗浄水として第2貯水槽202に供給され、第2貯水槽202から溢流水Waとして落下流動し第1貯水槽201に供給され、第1貯水槽201に貯水する洗浄水の水位を所定位置に維持する。
【0213】
従来の洗浄装置においては、ポンプの駆動を開始した際に貯水した洗浄水の水位が下がると、その分温度の低い清水が給水され、洗浄水全体の温度が低下して所定の温度にリカバリーするのに時間がかかるという課題があった。また、貯水された洗浄水の温度が低下した後、所定の温度での洗浄を開始するために、所定の温度に達するまで長時間待たなければいけない煩わしさがあった。
【0214】
本発明の実施形態1においても、新たに温度の低い清水が供給されるが、清水は区画部材229により区画して形成された第2貯水槽202を介して第1貯水槽201に溢流水Waとして落下流動し供給される。このとき、第2貯水槽202には加熱ステップS200ですでに加熱された洗浄水が貯水されており、そこに温度の低い清水が供給されるので、加熱された洗浄水と温度の低い清水が混ざり、清水の温度が高められた状態で第1貯水槽201に溢流水Waとして落下流動し供給される。
【0215】
この溢流水Waは、第1貯水槽201に貯水する洗浄水の所定の温度より低いが、それでも温度の低い清水よりも温度の高い洗浄水として第1貯水槽201に落下流動し供給されるので、洗浄水全体の温度は低下しにくい。
【0216】
第1貯水槽201に落下流動し供給された洗浄水は所定の温度より低いので、温度センサー223にて検知し、バーナー409を燃焼させて加熱運転を開始する。このとき、前記したように洗浄運転ステップにおける加熱運転時の循環流動の経路は、第2貯水槽202への循環をさせずに、燃焼排気導出管402の外周表面への循環のみとしている。
【0217】
貯水運転に加えて加熱運転を開始すると、燃焼排気導出管402の外周表面では循環ポンプ(循環手段)204にて供給する洗浄水の間接加熱を行うとともに、第2貯水槽202では循環ポンプ(循環手段)204にて洗浄水を供給せず、供給される清水の気液接触による直接加熱を行う。
【0218】
第1貯水槽201に貯水している洗浄水は、循環ポンプ(循環手段)204にて燃焼排気導出管402の外周表面に供給され落下流水Wbとして流下し間接加熱され、さらに熱せられたガイド部材410により第1貯水槽201へ導入される際にも加熱される。
【0219】
区画部材229により区画して形成された第2貯水槽202では、貯水された洗浄水は循環ポンプ(循環手段)204による循環流動させず、供給される温度の低い清水は、すぐに気液接触することにより直接加熱されて温度が高められ、第1貯水槽201に溢流水Waとして落下流動し供給される。これにより、第1貯水槽201への清水の供給による温度低下に伴う洗浄水の所定の温度へのリカバリーを従来の洗浄装置より早く完了することができる。
【0220】
第1貯水槽201に貯水される洗浄水が所定の水位に到達し、水位センサー222が所定の水位を検知すると、バルブ221を閉止して洗浄水の供給を止める。清水供給管108から第2貯水槽202への清水の供給が停止し、第2貯水槽202から第1貯水槽201への溢流水Waの落下流動が停止する。第1貯水槽201と第2貯水槽202とに貯水された洗浄水が所定の水位となり、第1貯水槽201の水位センサー222と第2貯水槽
202の水位センサー227が所定の水位を検知した状態となる。
【0221】
また、第1貯水槽201に備えた温度センサー223が所定の温度に達したことを検知すると、バーナー409の燃焼を停止する。所定の水位に到達して清水の供給を停止し、所定の温度に到達しバーナーの燃焼を停止すると、
図9に示す洗浄水の循環流動状態、および、洗浄流動状態となる。なお、
図9は後述する食器類104が搬送される状態を含めた図となっている。
【0222】
また、従来の洗浄装置においては、洗浄運転の開始前に洗浄水を加熱運転しても洗浄室が温められておらず、洗浄運転の開始後に洗浄水が噴射され温められていない洗浄室に触れて回収されるので、洗浄水の温度が低下するという課題があった。また、貯水された洗浄水の温度が低下した後、所定の温度での食器類の洗浄を開始するために、所定の温度に達するまで長時間待たなければいけない煩わしさがあった。
【0223】
本発明の実施形態1の洗浄装置によれば、加熱運転ステップS200で説明したように、洗浄室105内に放散され導入された燃焼排気Exは、洗浄室105内を流動しながら、洗浄室105の内面や、洗浄室105内のマニホールドやノズル管、洗浄室内部に位置する搬送手段であるコンベア103等の構成部品と接触し、上部外郭体101や構成部品を加熱し、洗浄室を通過して排気筒403に導かれて洗浄室105外に排出されたり、搬入口106から排出され排気ダクト404に導かれて上部に排出されたりする。
【0224】
さらに燃焼排気導出管402の外周表面に沿って流下する落下流水Wbの熱の一部が洗浄室105内に放出されることによって、間接的に洗浄室105内は加熱されている。
【0225】
上部外郭体101や構成部品が温められているので、洗浄ポンプ203を駆動し洗浄水を噴射したとき、洗浄室105内に噴射された洗浄水は加熱された上部外郭体101や構成部品に触れても温度の低下を最小限に留めて、第1貯水槽201に回収することができる。これにより、貯水した洗浄水の温度の低下を最小限とし、食器類の洗浄を開始するまでの加熱時間を短縮することができる。
【0226】
また、洗浄ポンプ203を駆動している際の加熱中は燃焼排気導出管402の外周表面に沿って落下流水Wbを流下させることにより、第1貯水槽201に貯水された洗浄水の全体の循環が活発になり、第1貯水槽201に貯水した洗浄水の全体を温度差なく均一に加熱することができる。これにより常に均一な温度の洗浄水の噴射が可能であり、安定した洗浄が可能となる。また、効果的な加熱により、洗浄水の温度のリカバリーが早く、所定の温度に達するまでの時間を短縮できる。
【0227】
洗浄ポンプ203の駆動とともに、搬送手段であるコンベア103を駆動する。
【0228】
また、仕上げ洗浄ゾーン300では、コンベア103の駆動開始と同時に、仕上げ洗浄水供給管305に設けたバルブ304を開放し、マニホールド301を介してノズル管302、303から仕上げ洗浄水を噴射する。バルブ304を電気駆動のバルブとして、制御部(図示なし)にてコンベア103と連動して動作するように制御してもよい。
【0229】
洗浄ポンプ203とコンベア103を駆動するタイミングは同時でもよいし、コンベア103の駆動が先でも良く、食器類104を洗浄装置に投入する時に洗浄ポンプ203が駆動されノズル管208、209から洗浄水が噴射されていればよい。
【0230】
次に、被洗浄物である食器類104を搬入口106側よりコンベア103上に投入する。食器類104は、食器の開口面側を下にしてうつ伏せの状態にしてコンベア103上に
投入する。このとき、洗浄水の温度が所定の温度に達していることを確認してから食器類104を投入することが好ましい。
【0231】
図9に示すように、搬入口106側よりコンベア103上に投入された食器類104は、コンベア103によって洗浄室105内に搬送され、まず本洗浄ゾーン200に移動し、本洗浄される。本洗浄ゾーン200のノズル管208、209に形成されたノズル(小孔)(図示なし)から噴射される洗浄水が、食器類に付着している汚れを除去する。
【0232】
コンベア103の上方部に設置した複数のノズル管208は、ノズル管208に形成された複数のノズル(小孔)(図示なし)から下方側に洗浄水を噴射し、うつ伏せとなっている食器類104の上面側(食器類の裏面側)に洗浄水を噴射し汚れを除去する。
【0233】
回動するコンベア103の上下間に設置した複数のノズル管209は、ノズル管209に形成された複数のノズル(小孔)(図示なし)から上方側に洗浄水を噴射し、うつ伏せとなっている食器類104の下面側(食器類の表面側)に洗浄水を噴射し汚れを除去する。
【0234】
洗浄運転中、本洗浄にて食器類104に付着していた汚れは、洗浄水の噴射により除去され、洗浄水とともに第1貯水槽201に回収される。回収された洗浄水は、再び洗浄ポンプ203にて吸い込まれて噴射される。
【0235】
前記したように洗浄ポンプ203が駆動すると、循環ポンプ(循環手段)204は駆動しているもののバルブ(切替手段)234が閉止され、第2貯水槽202への供給をしていないが、燃焼排気導出管402の外周表面へは第1貯水槽201の洗浄水を供給している。
【0236】
つまり、循環ポンプ(循環手段)204により燃焼排気導出管402の外周表面に沿って流下している循環させた洗浄水も汚れ成分を含んでいることとなる。
【0237】
洗浄水が汚れを含んだ状態で循環していても、落下流水Wbとして流下した状態で燃焼排気導出管402の外周表面を流下しているので、熱交換器である燃焼排気導出管402の外周表面に汚れが付着しにくい。
【0238】
本洗浄ゾーン200を通過した食器類104は仕上げ洗浄ゾーン300に移動し、仕上げ洗浄される。ノズル管302、303に形成されたノズル(小孔)(図示なし)から噴射される仕上げ洗浄水が、本洗浄ゾーン200の汚れを含んだ洗浄水や、本洗浄ゾーン200で洗剤を使用した際には洗剤成分を除去する。
【0239】
コンベア103の上方部に設置したノズル管302は、ノズル管302に形成された複数のノズル(小孔)(図示なし)から下方側に仕上げ洗浄水を噴射し、うつ伏せとなっている食器類104の上面側(食器類の裏面側)に仕上げ洗浄水を噴射し汚れを除去する。
【0240】
回動するコンベア103の上下間に設置したノズル管303は、ノズル管303に形成された複数のノズル(小孔)(図示なし)から上方側に仕上げ洗浄水を噴射し、うつ伏せとなっている食器類104の下面側(食器類の表面側)に仕上げ洗浄水を噴射し汚れを除去する。
【0241】
仕上げ洗浄ゾーン300においては、仕上げ洗浄に使用した仕上げ洗浄水は、仕上げ洗浄ゾーン300のコンベア103の下方に位置する排水受け111に回収され、排水管112から廃棄される(
図1参照)。
【0242】
仕上げ洗浄を終えた被洗浄物である食器類104が搬出口107から洗浄室105外に排出される。排出された食器類104は、カゴ等に収納され、つぎの喫食に備えて保管される。
【0243】
次に、洗浄運転中の貯水運転、加熱運転について説明する。
【0244】
洗浄運転中、本洗浄ゾーン200において食器類104に付着した洗浄水や、ノズル管208、209のノズル(小孔)から食器類104に噴射され飛散した洗浄水が、本洗浄ゾーン200外に移動し、移動した洗浄水の分だけ第1貯水槽201に貯水された洗浄水が減少し、第1貯水槽201の水位が下がる。水位センサー222にて所定の水位に満たないことを検知すると、バルブ221が開放され清水の供給が開始され所定の水位を維持するように制御される。
【0245】
また、洗浄運転中、前記した洗浄水の移動により水位が下がり清水が供給されると洗浄水の温度が低下する。さらに、加熱された洗浄水が温度の低い食器類104に接触し熱を奪われたり、上部外郭体101の表面から放熱したりすることで貯水された洗浄水の温度が低下する。温度センサー223にて所定の温度に満たないことを検知すると、バーナー409の燃焼が開始され、所定の温度に維持するように制御される。
【0246】
洗浄運転中の貯水運転、加熱運転は、それぞれが単独に運転を実施することもある。洗浄運転中に、加熱運転を伴わずに貯水運転のみ実施する場合、貯水運転を伴わずに加熱運転のみ実施する場合がある。また、貯水運転と加熱運転とを同時に実施することもある。
【0247】
貯水運転が単独で始まり、続いて貯水運転と並行して加熱運転がはじまり、最後に加熱運転が単独で実施というパターンになることが多い。食器類104を連続して洗浄しているときは、常に前記した本洗浄ゾーン200外への洗浄水の移動が起こり、第1貯水槽201に貯水している洗浄水が減少する。この洗浄水の減少分を補うために清水を供給する貯水運転が短い間隔で継続して必要であり、この貯水運転をベースにして洗浄水の温度が低下したときに加熱運転を同時に実施することが多い。
【0248】
まず、洗浄運転中に、加熱運転を伴わずに貯水運転のみ実施する場合について、
図10を参照して説明する。
【0249】
前記したように洗浄ポンプ203が駆動するとバルブ(切替手段)234が閉止され、第2貯水槽202の洗浄水は循環ポンプ(循環手段)204による循環流動をされておらず、所定の温度に加熱された洗浄水が所定の水位(満水位置)に貯水された状態となる。この状態の第2貯水槽202に清水供給管108から温度の低い清水を供給し、第1貯水槽201へ溢流水Waとして落下流動し供給されるが、加熱された洗浄水と温度の低い清水とが混ざり、第1貯水槽201に落下流動し供給される溢流水Waは、供給される清水よりも温度が高められた状態となる。
【0250】
このように、第1貯水槽201に温度の低い清水をそのまま供給するのではなく、第2貯水槽202の加熱された洗浄水と混ぜることで温度を上げて供給することにより、洗浄水は所定の温度よりも低下することを最小限に留めながら、所定の水位を回復することができる。加熱運転の機会を減らすことができる。したがって、所定の温度を維持した状態で洗浄運転を実施でき、安定した洗浄効果を発揮するものである。
【0251】
例えば、貯水運転を実施した際に供給する清水の量が少なく、洗浄水が所定の温度を維持できていれば、加熱運転は実施されない。貯水運転を実施しているときに、洗浄水が所定の温度よりも低下すると、加熱運転が開始される。貯水運転と加熱運転とを同時に実施
する場合については、後述する。
【0252】
また、第1貯水槽201の水位が低下すると第2貯水槽202から溢流水Waとして落下流動させて洗浄水の供給が開始されるが、第2貯水槽202が所定の水位に貯水された状態であるので、溢流水Waの落下流動に遅れが生じることはなく、すぐに第1貯水槽201に洗浄水を供給することができる。
【0253】
次に、洗浄運転中に、貯水運転を伴わずに加熱運転のみ実施する場合について、
図11を参照して説明する。
【0254】
洗浄運転中に、洗浄水の温度が所定の温度より低下したことを第1貯水槽201に備えた温度センサー223が検知すると、バーナー409の燃焼が開始され洗浄水の加熱が開始される。
図11に示すように、燃焼排気導出管402の外周表面での循環させた洗浄水の間接加熱と、第2貯水槽202での循環させていない洗浄水の燃焼排気Exとの気液接触による直接加熱が始まる。
【0255】
第1貯水槽201に貯水している洗浄水は、循環ポンプ(循環手段)204にて燃焼排気導出管402の外周表面に循環され落下流水Wbとして流下し間接加熱され、さらに熱せられたガイド部材410により第1貯水槽201へ導入される際にも加熱される。
【0256】
第2貯水槽202に貯水している洗浄水は、循環ポンプ(循環手段)204による循環流動をさせずに、燃焼排気導出管の下端面411から第2貯水槽202に貯水された洗浄水中に吐出される燃焼排気Exによる気液接触により直接加熱されている。
【0257】
この第2貯水槽202に貯水された洗浄水は、循環していないことから所定の温度を超えて加熱されることもある。このように、第2貯水槽201に貯水された洗浄水が所定の温度を超えた状態であれば、第2貯水槽202を形成する区画部材229の外表面から第1貯水槽201に貯水された洗浄水に熱交換し加熱することができる。
【0258】
これにより、第1貯水槽201に貯水された洗浄水を加熱することができ、洗浄水を所定の温度の維持(保温)することができ、安定した洗浄効果に寄与する。
【0259】
第1貯水槽201に備えた温度センサー223が、洗浄水の温度が所定の温度に達したことを検知すると、バーナー409の燃焼を停止し、洗浄水の加熱を停止する。
【0260】
洗浄ポンプ203を駆動している際の加熱中は、燃焼排気導出管402の外周表面に沿って落下流水Wbを流下させることにより、第1貯水槽201に貯水された洗浄水の全体の循環が活発になり、第1貯水槽201に貯水した洗浄水の全体を温度差なく均一に加熱することができる。これにより常に均一な温度の洗浄水の噴射が可能であり、安定した洗浄が可能となる。
【0261】
前記した第2貯水槽202に貯水された洗浄水が所定の温度を超えた状態において、第1貯水槽201の水位が下がると、清水供給管108から温度の低い清水を第2貯水槽202に供給し、第1貯水槽201へ溢流水Waとして落下流動し供給するが、所定の温度を超えた洗浄水と温度の低い清水とが混ざり、供給される清水よりも温度が高められ所定の温度に近い状態で第1貯水槽201に溢流水Waとして落下流動し供給されることとなる。
【0262】
つまり、洗浄中の洗浄水を燃焼排気導出管402の外周表面で間接加熱しながら、第2貯水槽202の洗浄水を燃焼排気Exと気液接触することにより直接加熱し、次の貯水運
転するときに備えて、第2貯水槽202の洗浄水の温度を上げておくことができる。これにより、温度の低い清水が供給されても、所定の温度に達するまでの加熱時間を短くすることができ、安定した洗浄効果に寄与する。
【0263】
第1貯水槽201に貯水され洗浄水として洗浄流動する洗浄水とは別に、区画した第2貯水槽202に加熱した洗浄水を貯水し、そこに清水を供給することによる効果的な加熱により、洗浄水の温度のリカバリーを早くすることができ、洗浄水の温度が下がった状態での洗浄を短くすることができる。
【0264】
貯水運転を伴わずに加熱運転のみ実施すると、第2貯水槽202に貯水された洗浄水が燃焼排気Exと気液接触することによる直接加熱をされているので洗浄水が蒸発し、第2貯水槽202の水位が所定の水位(オーバーフロー位置)よりも低下することがある。第2貯水槽202の底面に取り付けられた水位センサー227が、第2貯水槽202に貯水された洗浄水の水位が所定の水位(オーバーフロー位置)より低下していることを検知すると、バルブ221を開放して清水供給管108から清水を第2貯水槽202に供給し、第2貯水槽202の水位を所定の水位(オーバーフロー位置)に維持する。
【0265】
また、貯水運転を伴わずに加熱運転のみ実施する場合に限らず、第2貯水槽202の水位が所定の水位(オーバーフロー位置)よりも低下したときには、第1貯水槽201の水位が所定の水位であってもバルブ221を開放して清水供給管108から清水を第2貯水槽202に供給する。
【0266】
また、洗浄運転中、洗浄水の噴射により除去された食器類104に付着していた汚れが、洗浄水とともに第1貯水槽201に回収され、再び洗浄ポンプにて吸い込まれて噴射されていることにより、汚れ成分を含んだ洗浄水が、燃焼排気導出管402の外周表面に沿って流下しながら間接加熱されていることになる。
【0267】
洗浄水が汚れを含んだ状態で循環していても、落下流水Wbとして流下した状態で燃焼排気導出管402の外周表面で熱交換し加熱しているので、熱交換器である燃焼排気導出管402の外周表面に汚れが付着しにくい。
【0268】
次に、洗浄運転中に、貯水運転と加熱運転とを同時に実施する場合について説明する。
【0269】
洗浄運転中に、貯水運転と加熱運転とを同時に実施すると、
図8に示す洗浄水の循環流動状態、および、洗浄流動状態となる。ただし、
図8は前記したように洗浄ポンプ203の駆動を開始した直後の状態であり、食器類104が搬送される前の状態を示す図となっている。
【0270】
貯水運転と加熱運転とを同時に実施する場合というのは、貯水運転を実施しているときに、洗浄水が所定の温度よりも低下して加熱運転が開始される場合と、加熱運転を実施しているときに、洗浄水の水位が低下して貯水運転が開始される場合とがある。また、貯水運転と加熱運転とがほぼ同時に開始される場合もある。
【0271】
動作については、前記した貯水運転のみ実施する場合と、加熱運転のみ実施する場合とで、説明しているのでここでは省略する。
洗浄運転中に給水運転と加熱運転とを同時に実施する場合、第2貯水槽202に温度の低い清水を供給しながら、燃焼排気導出管の下端面411から第2貯水槽202に貯水された洗浄水中に吐出される燃焼排気Exと気液接触させることにより直接加熱するので、加熱において燃焼排気Exと洗浄水との温度差Δtを大きくとれる。
【0272】
これにより、第2貯水槽202における燃焼排気Exとの気液接触による直接加熱の加熱効率をより高めた状態で洗浄水を加熱することができる。供給される温度の低い清水を、高い加熱効率のもとで加熱しながら第1貯水槽201に溢流水Waとして落下流動させ供給することができ、洗浄水の温度低下を最小限として、安定した洗浄効果に寄与する。
【0273】
従来の洗浄装置では、貯水槽の水位が低下すると清水を供給し、温度の低い清水を供給することにより洗浄水の温度が低下するので加熱運転を実施し、その際に、清水の温度が低いので貯水槽の温度低下幅が大きくなり、所定の温度まで加熱するのが遅れてしまう。そのため、この間は所定の温度よりも低い温度の洗浄水で洗浄することとなり、安定した洗浄効果が得られなくなっていたと考えられる。
【0274】
本発明の実施形態1においては、第1貯水槽201に貯水され洗浄流動する洗浄水を間接加熱しながら、区画した第2貯水槽202に加熱した洗浄水を貯水し、水位が低下した際に第2貯水槽202に清水を供給し、第1貯水槽201へ溢流水Waとして落下流動させ供給する。
【0275】
これにより、第1貯水槽201に温度の低い清水をそのまま供給するのではなく、第2貯水槽202の加熱された洗浄水と混ぜることで温度を上げるとともに、温度の低い清水を気液接触による直接加熱してから溢流水Waとして落下流動させ供給することができる。したがって、洗浄運転中の貯水運転による温度低下を減らして、加熱運転の機会を減らすとともに、加熱にかかる時間を短くすることができる。また、貯水運転による温度低下に対するリカバリーが速く、所定の温度を維持した状態で洗浄運転を実施でき、安定した洗浄効果を発揮するものである。
【0276】
投入した食器類104が洗浄され搬出口107からすべて排出されたら、制御部(図示なし)への洗浄運転の停止指示入力により、搬送手段であるコンベア103の駆動を停止し、洗浄ポンプ203の駆動を停止する。
【0277】
洗浄ポンプ203とコンベア103の駆動を停止するタイミングは同時でもよい。洗浄ポンプ203の駆動の停止が先でも良く、投入された食器類104が洗浄装置から搬出されたことを確認し、コンベア103の駆動と洗浄ポンプ203の駆動とを停止すればよい。
【0278】
また、仕上げ洗浄ゾーン300では、コンベア103の駆動の停止と同時に、仕上げ洗浄水供給管305に設けたバルブ304を閉止し、ノズル管302、303からの仕上げ洗浄水の噴射を停止する。
【0279】
洗浄ポンプ203の駆動を停止すると、洗浄水の循環流動の経路を変更することにより、洗浄水の加熱方法が変わる。洗浄ポンプ203を駆動するときとは逆に、洗浄ポンプ203の駆動を停止すると、第2循環路232に備えた開閉用のバルブ(切替手段)234を開放し、
図7に示す循環流動状態となる。すなわち、第2循環路232と第3循環路233とを併用する洗浄水の循環となる。
【0280】
循環ポンプ(循環手段)204は、第1貯水槽201に貯水した洗浄水を第1貯水槽の底部に連通する第1循環路231を介して吸込み、第2循環路232と第3循環路233とに吐出する。
第2循環路232に吐出された洗浄水は、第2循環路232を流動し第2貯水槽202に供給され、第2貯水槽202からオーバーフローして第1貯水槽201に溢流水Waとして落下流動され、再び循環ポンプ(循環手段)204へ吸い込まれる循環流動状態となる。
【0281】
また、第3循環路233に吐出された洗浄水は、第3循環路233を流動し燃焼排気導出管402の上部に設けられた流下安定槽405に供給され、流下安定槽405に供給された洗浄水は、流下安定槽405の底面に構成される流下開口407から燃焼排気導出管402の外周表面に供給され、燃焼排気導出管402の外周表面に沿って落下流水Wbとして流下し、ガイド部材410にて第1貯水槽201へ導入され、再び循環ポンプ(循環手段)204へ吸い込まれる循環流動状態となる。
【0282】
これにより、第1貯水槽201と第2貯水槽202とに貯水された洗浄水の全体を循環させ、第1貯水槽201と第2貯水槽202とに貯水された洗浄水の全体を温度差のない均一な温度に維持することができる。
【0283】
洗浄ポンプ203の駆動を停止して洗浄運転を終了すると、前記した噴射した洗浄水の本洗浄ゾーン200外への移動がなくなり、第1貯水槽201に貯水された洗浄水は所定の水位で安定し、第2貯水槽202への清水の供給が不要となる。このため、洗浄運転中のように第2貯水槽202に貯水された洗浄水を所定の温度より高くしておくことによる効果がなくなる。
そこで、第1貯水槽201と第2貯水槽202とに貯水された洗浄水の全体を温度差のない均一な温度に維持するために、洗浄水の加熱方法を変更するものである。
【0284】
この時点で、循環ポンプ(循環手段)204を駆動し、第1貯水槽201と第2貯水槽202とに貯水された洗浄水の全体を循環させた状態としながら、貯水運転と加熱運転は維持されており、第1貯水槽201と第2貯水槽202とに貯水している洗浄水を所定の水位と所定の温度に維持している。すなわち、貯水している洗浄水が蒸発等により所定の水位よりも低下すればバルブ221が開放され清水が供給され、放熱等により所定の温度よりも低下すればバーナー409の燃焼が開始される。この後、食器類104を追加で洗浄する際は、再度洗浄運転ステップS300を実施すればよい。
【0285】
また、食器類104の洗浄後であることから、洗浄運転中に洗浄水の噴射により除去された食器類104に付着していた汚れ成分を含んだ洗浄水が循環流動している。洗浄水が汚れを含んだ状態であっても、バルブ(切替手段)234を開放し燃焼排気導出管402の外周表面と第2貯水槽202とに洗浄水を循環させ洗浄水全体を流動させていることにより、第2貯水槽202の内部や、熱交換器である燃焼排気導出管402の外周表面に汚れが付着しにくい。
【0286】
<停止ステップ>
次に、加熱運転と貯水運転を停止して洗浄装置の運転を停止する停止ステップS500の動作を説明する。
【0287】
洗浄運転ステップS300において食器の洗浄運転がすべて終了しても、貯水運転と加熱運転は維持されているので、停止ステップS500において加熱運転と貯水運転を停止する。
【0288】
まず、制御部(図示なし)への加熱運転の停止指示入力により、加熱運転を停止する。バーナー409が燃焼中の場合は、燃焼を停止し、その後、循環ポンプ(循環手段)204の駆動を停止し、加熱運転を停止する。また、バーナー409が燃焼していない場合は、循環ポンプ(循環手段)204の駆動を停止し、加熱運転を停止する。
【0289】
循環ポンプ(循環手段)204の駆動が停止した際には、配管内を流動する洗浄水が第1貯水槽201に戻り所定の水位を超えることになるが、所定の水位を超えた分の洗浄水
はオーバーフロー管224の上端から外部に排出される。
【0290】
なお、燃焼排気導出管402の残熱を取り温度を下げるために、バーナー409の燃焼の停止後、タイマー等で制御して循環ポンプ(循環手段)204を所定の時間駆動させ、燃焼排気導出管402の外周表面に洗浄水をしばらく循環させてから、循環ポンプ(循環手段)204の駆動を停止し、加熱運転を停止してもよい。
【0291】
また、このとき、燃焼排気導出管402の温度をより効果的に下げるために、第2貯水槽202に清水供給管108から温度の低い清水を強制的に供給しながら循環し、余剰な洗浄水をオーバーフロー管224の上端から外部に排出させてもよい。洗浄に使用した温度の高い汚れ成分を含む洗浄水が、新たに供給した温度の低い清水と入れ替わっていくことで、洗浄水の温度が徐々に低下し、さらに汚れ成分も徐々に減っていく。
【0292】
これにより、燃焼排気導出管402の外周表面、循環ポンプ(循環手段)204、第1循環路231、第2循環路232、第3循環路233、第1貯水槽201、第2貯水槽202、流下安定槽405の温度を下げながら、燃焼排気導出管402の外周表面、循環ポンプ(循環手段)204の内部、第1循環路231、第2循環路232、第3循環路233の管内面の汚れ成分を除去する効果も得られる。
【0293】
その際に、洗浄ポンプを一時的に駆動させれば、洗浄ポンプ203の内部、吸込み管225、本洗浄水供給管226の管内面、洗浄室105内のマニホールド205やノズル管208、209の管内面、洗浄室105の内面、洗浄室105内に位置する搬送手段であるコンベア103等の構成部品の温度を下げながら、汚れ成分を除去する効果を得ることができる。
【0294】
次に、制御部(図示なし)への貯水運転の停止指示入力により、貯水運転を停止する。清水を供給するためのバルブ221を開放している場合は、バルブ221が閉止して清水の供給が停止し、貯水運転を停止する。
【0295】
<清掃ステップ>
次に、洗浄装置100の主に洗浄室105内部の清掃を行う清掃ステップS600について説明する。
【0296】
洗浄運転中に食器類に付着していた汚れが洗浄水の噴射によって除去されて洗浄室内に飛散したり、汚れ成分を含んだ洗浄水が飛散したりすることにより、上部外郭体101の内面やマニホールド205、ノズルパイプ208、209の管外面、コンベア103等の構成部品に汚れが付着している。
そのまま清掃せずに放置すると、付着した汚れは固着し、さらには固着した汚れが蓄積し不衛生である。特に、燃焼排気導出管402の外周表面に汚れが付着していると、不衛生なだけでなく落下流水Wbとの熱交換が悪くなり、洗浄水の加熱効率が悪くなる。
【0297】
これらの汚れを除去するために、清掃ステップS600において、上部外郭体101の内面や構成部品に付着した汚れを、ホース等により散水しながらスポンジやタワシ等で擦ったり、タオル等で拭き取ったりしながら清掃する。
【0298】
洗浄室105内の清掃を開始するために、上部外郭体101の正面側と背面側に備えた扉113を取り外す。次に、第1貯水槽201に備えられたオーバーフロー管224を外し、第1貯水槽201内に貯水されている洗浄水を外部に排水する。第2貯水槽202に貯水されている洗浄水は、第2貯水槽202を構成する区画部材229を第1貯水槽201から取り外すことにより、洗浄水が第1貯水槽201に流動し、第1貯水槽201から
外部に排水される。
【0299】
第1貯水槽201と第2貯水槽202の洗浄水の排水が完了したら、洗浄室105内の取り外すことのできる構成部品を取り外していく。すでに取り外したオーバーフロー管224、第2貯水槽202を形成する区画部材229、扉113のほかに、ノズル管208、209、302、303、ガイド部材410等を洗浄装置から取り外す。取り外した構成部品は、別の場所で水洗い等を行い清掃してもよく、清掃後に所定の位置に取り付けして次回の運転に備える。
【0300】
取り外せる構成部品を取り外した後、上部外郭体101の内面、燃焼排気導出管402の外周表面、第1貯水槽201の内面、洗浄室105内に有する水位センサー、温度センサー、コンベア等の構成部品を散水しながら擦ったり、拭き取ったりしながら清掃していく。
【0301】
熱交換器である燃焼排気導出管402は、洗浄室105内の正面側に洗浄室に臨ませて上下方向に配置されており、扉113を取り外すだけで、容易に汚れの確認ができるとともに直接手が届き、燃焼排気導出管402の外周表面に付着した汚れを容易に清掃することができる。本発明の実施形態1においては、燃焼排気導出管402を断面が四角の筒形状としているので、擦ったり、拭き取ったりしやすく、容易に汚れを除去することができる。
【0302】
ガイド部材410は着脱可能であり、取り外すことによりガイド部材410の清掃が容易となる。また、ガイド部材410を取り外すことにより、燃焼排気導出管402の外周表面や、第1貯水槽201に手が届きやすくなり、清掃が容易となる。
【0303】
洗浄運転中は汚れ成分を含んだ洗浄水を燃焼排気導出管402の外周表面を流下させて加熱しているが、燃焼排気導出管402を上下方向に配置することにより、落下流水Wbの流速は早く、安定しており、洗浄水がとどまることがないので、燃焼排気導出管402の外周表面に汚れ成分が付着しにくい。その上に、清掃しやすいので、燃焼排気導出管402の外周表面を汚れ成分の付着していない状態に保つことができる。
【0304】
さらに、従来技術のように貯水槽の内部に熱交換器が複雑に構成されていないことから、第1貯水槽201はシンプルな構造であるとともに、貯水容量を少なくすることができコンパクトで清掃する面積も狭くなり、この点においても清掃性が良いものである。また、貯水容量を少なくできることから、使用する水量を少なくし、加熱時間を短くすることができ、節水性、省エネルギー性を向上させることができる。
【0305】
また、次回の運転まで、扉113を取り外した状態として庫内を開放しておけば、庫内の乾燥を促進させることができ、庫内をより衛生的に保つことができる。次回運転時は、扉113を取り付けてから運転を開始する。
【0306】
従来の洗浄装置においては、熱交換部付近の洗浄水の流動が弱く洗浄水がとどまっていることが多く、汚れ成分が熱交換部に付着しやすい構造であった。また、熱交換部は貯水槽の奥にあるので汚れ付着の確認ができない上に手が届かず、清掃性が非常に悪いものであった。そのため、熱交換部に付着した汚れ成分の除去が困難であり、洗浄水の加熱効率が悪くなっていた。
【0307】
一方で、本発明の実施形態1の洗浄装置においては、前記したように、熱交換器である燃焼排気導出管402の外周表面に汚れ成分が付着しにくく、しかも簡単に清掃できることにより、付着した汚れは拭き取るだけで簡単に除去でき、洗浄水の良好な加熱効率を維
持することができる。また、扉113を取り外すだけで容易に手が届くところに燃焼排気導出管402が配置されているので、清掃する作業者の負担が少ない。
【0308】
これにより、作業者の清掃の負担を少なくしながら、熱交換器である燃焼排気導出管402の清掃を容易に行うことができ、汚れの付着していない状態を維持することができるので、高い加熱効率を維持することができる。
【0309】
以上のように、本発明の実施形態1においては、極めて効率の良い気液接触による直接加熱を洗浄水の加熱に適用したものであり、洗浄水を直接加熱するとともに、燃焼排気Exを洗浄室内に導入して洗浄室の内面や構成部品を加熱した後に洗浄室外に排出される。
また、庫内に露出して設けた燃焼排気導出管402の外周表面を流下させるというシンプルな構造をもって洗浄水を間接加熱し、加熱された洗浄水の熱の一部が放出されることにより、洗浄室105内は加熱されることとなる。
さらに、燃焼排気導出管402は洗浄室内に臨んで露出して配置されるので、外周表面に汚れ成分が付着しても、容易に除去することができる。したがって、熱交換器の清掃を容易に行うことができるとともに、洗浄水の加熱を効率的に行うことができるものである。
【0310】
(実施形態2)
次に、本発明の実施形態2について、
図4(b)、
図12を参照して説明する。
【0311】
本発明の実施形態2の洗浄装置については、実施形態1と同一であるので、説明を省略する。実施形態1と異なるのは運転動作で、
図4(b)に示すように実施形態1の貯水運転ステップS100と加熱運転ステップS200との代わりに、貯水加熱運転ステップS150としたことである。実施形態1においては、貯水運転ステップS100完了後に加熱運転ステップS200を開始したが、実施形態2においては、貯水加熱運転ステップS150として貯水しながら加熱を行う。
【0312】
本発明の実施形態2の貯水加熱運転ステップS150の運転動作を、
図12を参照して説明する。
【0313】
制御部(図示なし)への貯水加熱運転の開始指示入力により、貯水加熱運転を開始する。
【0314】
まず、実施形態1の貯水ステップS100と同様に、開閉用のバルブ221を開放し、第2貯水槽202の底部に第2貯水槽202に連通して配管接続される清水供給管108から、第2貯水槽202に清水を洗浄水として供給し貯水を開始する。
【0315】
第2貯水槽202に貯水された洗浄水が所定の水位になると、洗浄水は第2貯水槽202からオーバーフローし、第1貯水槽201へ溢流水Waとして落下流動し、第1貯水槽201へ貯水を開始する。このとき、第2貯水槽202の水位センサー227が所定の水位にあることを検知している。
【0316】
第1貯水槽201に貯水される洗浄水が、循環ポンプ(循環手段)204を運転してもエア噛みしないくらいの水位まで貯水された時点で、貯水運転を続けながら実施形態1の加熱ステップS200の動作を開始する。加熱ステップS200の動作を開始するタイミングの制御は、水位センサー(図示なし)を設けてエア噛みしないくらいの水位を検知して制御してもよいし、貯水運転開始からの時間を計測しタイマーにて制御してもよい。
【0317】
実施形態1の加熱ステップS200と同様に、循環ポンプ(循環手段)204にて燃焼
排気導出管の下端面411が位置する第2貯水槽202への供給と、熱交換部である燃焼排気導出管402の外周表面への供給とを併用して洗浄水の循環を行う。そして、燃焼排気導出管402に覆われたバーナー409を燃焼し燃焼排気Exを燃焼排気導出管402に流動し燃焼排気導出管の下端面411から吐出することで、第2貯水槽202内における洗浄水の直接加熱と、燃焼排気導出管402の外周表面における洗浄水の間接加熱との2種類の加熱を併用して洗浄水を加熱する。実施形態1と異なるのは、貯水運転により第1貯水槽201が所定の水位になるのを待たずに加熱運転を開始することであり、貯水運転と加熱運転が並行して行われる。
【0318】
貯水運転と加熱運転が並行して行われることにより、清水供給管108より第2貯水槽202に供給された温度の低い清水は、第2貯水槽202内の燃焼排気導出管の下端面411から吐出される燃焼排気Exと気液接触することにより直接加熱されてから、第2貯水槽202から第1貯水槽201へ溢流水として落下流動し供給され貯水される。このように加熱されてから第1貯水槽201に貯水された洗浄水は、さらに循環ポンプ(循環手段)204により燃焼排気導出管402の外周表面を流下させて間接加熱されたり、第2貯水槽202でさらに燃焼排気Exとの気液接触による直接加熱されたりして所定の温度まで加熱される。
【0319】
貯水運転と加熱運転が並行して続けられ、第1貯水槽201に貯水する洗浄水が所定の水位になれば貯水運転を停止し、第1貯水槽201に貯水する洗浄水が所定の温度に到達すれば加熱運転が停止する。
【0320】
以後、前記したように停止ステップS500において貯水運転と加熱運転とを停止するまで、貯水された洗浄水が所定の水位に満たないことを検知すると、再度清水の供給を開始して所定の水位を維持するよう制御され、貯水された洗浄水が所定の温度より低下したことを検知すると、再度加熱運転を開始して所定の温度に維持するよう制御される。
【0321】
貯水加熱運転ステップS150においては、第2貯水槽202に給水される温度の低い清水を、第2貯水槽202中に吐出される燃焼排気Exと気液接触することにより直接加熱してから、第1貯水槽201に溢流水Waとして落下流動し供給し貯水するので、直接加熱において温度差Δtを大きくとれる。これにより、第2貯水槽202における気液接触することによる直接加熱の加熱効率をより高めた状態で洗浄水を加熱することができる。効率の良い加熱が可能となり、貯水加熱運転を開始してから所定の水位、所定の温度に達するまでの時間を短くすることができる。したがって、洗浄運転ステップS300を開始するまでの時間を短縮でき、効率的な作業が行うことができる。
【0322】
貯水運転ステップS100と加熱運転ステップS200とをそれぞれ単独で実施する場合と比べて、貯水加熱運転ステップS150として実施することにより、貯水槽に水張りしていないところから、所定の水位、所定の温度に到達するまで(いわゆる洗浄準備である初期の水張り加熱)の時間を短縮することができる。
【0323】
(実施形態3)
次に、本発明の実施形態3について、
図13を参照して説明する。
【0324】
実施形態1と異なるのは、
図5〜
図11における燃焼排気導出管402の上部に設けた流下安定槽405を削除し、
図13に示すように噴射ノズル420を設け、燃焼排気導出管402の外周表面に向けて循環流動する洗浄水を噴射するように配置したことである。
【0325】
燃焼排気導出管402の断面形状が、例えば四角の筒形状であれば、4面それぞれにノズルを配置することが熱交率を良くするうえで好ましい。また、円筒形状であれば、燃焼
排気導出管402の外周表面全体に流下させることができるように、均等に2か所、好ましくは4か所、より好ましくは6か所配置するものである。
【0326】
本発明の実施形態3によれば、流下安定槽405を設けずに、よりシンプルな構造としながら洗浄水である落下流水Wbを燃焼排気導出管402の外周表面に均一に流下させることができ、清掃性をより容易とすることができる。
【0327】
(実施形態4)
次に、本発明の実施形態4について、
図14を参照して説明する。
【0328】
本発明の実施形態4の洗浄装置については、実施形態1と略同一であるので同一である部分の説明は省略する。実施形態1と異なるのは、本洗浄の洗浄水に洗浄効果を高めるアルカリ性洗剤を投入する洗剤供給装置(図示なし)を設けることである。
【0329】
まず、本発明の実施形態4の実施形態1と異なる構成について説明する。アルカリ性洗剤を本洗浄の洗浄水に投入するための洗剤供給装置(図示なし)を、例えば洗浄装置100の天井部等に設ける。洗剤供給装置(図示なし)は、洗剤タンク(図示なし)に貯留されたアルカリ性洗剤を、第1貯水槽201に貯水している洗浄水に供給するためのベローズポンプ(図示なし)を備えている。また、第1貯水槽201に備えられ接続されたセンサー(図示なし)により洗浄水中のアルカリ性洗剤濃度を検知し、ベローズポンプ(図示なし)の駆動を制御する制御部(図示なし)を備えている。
【0330】
制御部への信号に応じてベローズポンプ(図示なし)は動作し、接続された洗剤タンク(図示なし)内のアルカリ性洗剤を吸い込んで、第1貯水槽201へアルカリ性洗剤を投入して所定の洗剤濃度に維持する。ベローズポンプ(図示なし)と第1貯水槽201とは、ホース等の配管で接続されているものである。
【0331】
アルカリ性洗剤の濃度を検知するほかに、例えばPH値を検知して制御してもよい。あるいは、洗浄水が所定の濃度となるように、洗浄水の全体量に対して一定量の洗剤を投入するように制御してもよい。また、被洗浄物の処理量が少ない場合は、洗剤供給装置を用いず、洗浄運転開始前に第1貯水槽201に貯水された洗浄水に、所定の洗剤濃度となるように直接アルカリ性洗剤を手投入してもよい。
【0332】
洗浄ポンプ203を駆動するのと同時に、洗剤供給装置(図示なし)の運転が開始されるように制御部(図示なし)によって制御される。
【0333】
次に、本発明の実施形態4の実施形態1と異なる動作について説明する。
【0334】
図4(a)および(b)に示すように、洗浄運転ステップS300と停止ステップS500との間に、中性化運転ステップS400を実施する。洗浄運転ステップS300までは、実施形態1および実施形態2と同じであり、洗浄運転ステップS300においてアルカリ性洗剤を投入し、洗浄運転ステップS300の終了後に中性化運転ステップS400を実施する。中性化運転ステップS400の終了後に実施する停止ステップS500と清掃ステップS600とは、実施形態1と同じである。
【0335】
また、アルカリ性洗剤を混入した水と燃焼排気Exとの気液接触により液性がアルカリ性から中性側に変化する現象が知られており、本発明の実施形態4においてはこの現象を活かして中性化運転ステップS400を実施することを前置きしておく。
【0336】
まず、洗浄運転ステップS300において、第1貯水槽201に貯水された洗浄水にア
ルカリ性洗剤を投入する。洗浄ポンプ203を駆動するのと同時に、洗剤供給装置(図示なし)の運転が開始され、所定の洗剤濃度になるまでアルカリ性洗剤を供給し維持する。洗浄ポンプ203が駆動していることから、第1貯水槽201に貯水された洗浄水は洗浄流動状態となり、供給されたアルカリ性洗剤は洗浄水全体に拡散し均一な洗剤濃度の洗浄水となる。
【0337】
また、アルカリ性洗剤を投入する際に洗浄水の温度が低い(例えば30℃程度)と、洗浄ポンプ203を駆動して洗浄流動状態としたときに、洗浄水が発泡して洗浄ポンプ203がエア噛みを起こす恐れがある。低発泡性の洗剤を選択したり、所定の温度に加熱してから洗剤を投入したりすることが好ましい。
【0338】
所定の洗剤濃度となると、アルカリ性洗剤の供給を停止する。以後、給水運転により清水が供給される等、洗剤濃度が低下すると所定の洗剤濃度に維持するように洗剤を供給する。
【0339】
以後の洗浄運転ステップS300の動作は、実施形態1の洗浄運転ステップS300において洗浄ポンプ203を駆動させた後の動作と同じとなる。洗浄水にアルカリ性洗剤を混入することで、食器類に付着した汚れをより効果的に除去することができる。
【0340】
実施形態1で説明したように、洗浄ポンプ203を駆動すると、第2循環路232に備えた開閉用のバルブ(切替手段)234が閉止する。これにより、循環ポンプ(循環手段)204から吐き出される洗浄水は、第3循環路233を流動し、流下安定槽405に供給され、流下安定槽405の流下開口407から燃焼排気導出管402の外周表面に沿って落下流水Wbとして流下し、ガイド部材410により、第1貯水槽201へと流動し導入される。第2貯水槽202へは洗浄水が循環されなくなる。
【0341】
したがって、洗浄ポンプを駆動した後の加熱運転時には、アルカリ性洗剤を混入した洗浄水が第2貯水槽202での気液接触による直接加熱をされず、燃焼排気導出管402の外周表面での間接加熱をされることとなる。また、熱せられたガイド部材410に沿って流動する際にもさらに加熱されることとなる。
【0342】
これにより、燃焼排気導出管402の外周表面を流下させて間接加熱した洗浄水を燃焼排気Exと気液接触による直接加熱を行う第2貯水槽202へ導入しないこととなり、洗浄水の中性側への変化を抑制することができる。したがって、洗浄水の加熱を効率的に行いながら、アルカリ性の洗浄水の中性側への変化を抑制して洗剤の持つ洗浄効果を維持し、安定した洗浄力を発揮することができる。
【0343】
なお、アルカリ性洗剤を混入した洗浄水が第2貯水槽202に導入されないようにしているが、洗浄ポンプ203から噴射された洗浄水の飛散等により、アルカリ性洗剤を混入した洗浄水が第2貯水槽202に少量導入される場合もある。第2貯水槽202の上部にガイド部材410を位置させていることにより、アルカリ性洗剤を混入した洗浄水が第2貯水槽202に大量に導入されることはないので、洗浄水全体のアルカリ性である液性に影響を及ぼすことはない。
【0344】
(切替手段の実施形態例)
以上のように、本実施形態においては、第1貯水槽から洗浄水を循環手段により吸引するための第1循環路と、
前記第1循環路により前記第1貯水槽から吸引して前記循環手段により吐出させた洗浄水を第2貯水槽へ供給するための第2循環路と、
前記第1循環路により前記第1貯水槽から吸引して前記循環手段により吐出させた洗浄水
を燃焼排気導出管の外周表面へ供給するための第3循環路と、を備え、さらに、
前記第2循環路および前記第3循環路を併用して前記第1貯水槽の洗浄水の供給を行う第1系統と、
前記第2循環路を用いずに第3循環路のみにより前記第1貯水槽の洗浄水の供給を行う第2系統と、
のいずれかを相互に切り替える切替手段(図示なし)を備える。
【0345】
このうち第1系統は、第2循環路と第3循環路とを併用することで、第1貯水槽から吸引した洗浄水を第2貯水槽へ供給すると共に、燃焼排気導出管の外周表面への供給を介して第1貯水槽へも直接供給する系統となっている。
また第2系統は、第2循環路を用いることなく第3循環路のみを用いることで、第1貯水槽から吸引した洗浄水を第2貯水槽へ供給することなく、第1貯水槽へのみ直接供給する系統となっている。
【0346】
前記切替手段によって、洗浄運転中はアルカリ性洗剤の液性変化を防止するために第2系統に切り替えることができ、洗浄終了後にはあえてアルカリ性洗剤の液性変化を促すためにアルカリ性洗剤を中和させるために第1系統に切り替えることができる。
【0347】
(洗浄運転における第2系統への切り替え)
アルカリ性の水と燃焼排気との気液接触により水がアルカリ性から中性側に変化する現象が知られている。この現象の発生によってアルカリ性の洗浄水に燃焼排気との気液接触を用いた場合には、アルカリ性の洗浄水の液性が変化してしまうことが考えられる。そこで、このような液性の変化を防止するため、第1貯水槽の洗浄水にアルカリ性洗剤を混入した状態においては、切替手段によって第1系統から第2系統に切り替えて洗浄運転し、洗浄水を第2貯水槽へ供給することなく、第1貯水槽に直接供給し、燃焼排気導出管の外周表面を流下させる加熱のみによる洗浄水の加熱を行うものとしてもよい。
【0348】
すなわち本発明の洗浄装置による洗浄方法として、第1貯水槽の洗浄水にアルカリ性洗剤を混入した状態において、洗浄運転における第1貯水槽の洗浄水の供給を前記第1系統から前記第2系統に切り替えるように制御するものとしてもよい。切替手段によって第1系統を第2系統に切り替えることで、燃焼排気導出管の外周表面を流下させる加熱のみによって、第2貯水槽内へアルカリ性洗剤を混入させることなく、前記第1貯水槽から供給した洗浄水の加熱を行うことができる。この洗浄方法によって、アルカリ性洗剤を混入した洗浄水の加熱を効率的に行いながら、アルカリ性の洗浄水の中性側への変化を抑制することができ、安定した温度および洗剤の持つ洗浄効果を維持して高い洗浄力を発揮することができる。
【0349】
なお、前記洗浄方法における切替手段の切替動作を自動的に実行するための実施形態として、第1貯水槽内の洗浄水にアルカリ性洗剤が用いられることを検知する液性検知手段(図示なし)をさらに具備し、前記切替手段は、前記液性検知手段によるアルカリ性洗剤の検知によって、洗浄運転における第1貯水槽の洗浄水の供給を前記第1系統から前記第2系統に切り替えるように制御するものとしてもよい。
【0350】
次に、本発明の実施形態4の中性化運転ステップS400の運転動作を、
図14を参照して説明する。
【0351】
洗浄運転ステップS300が終了した後に、中性化運転ステップS400を実施する。中性化運転ステップS400では、第2貯水槽202内で、アルカリ性洗剤を混入した洗浄水と、燃焼排気導出管の下端面411から吐出された燃焼排気Exとを気液接触させて、液性を中性側に変化させる。
【0352】
実施形態1で説明したように洗浄運転ステップS300が終了し洗浄ポンプ203の駆動を停止すると、バルブ(切替手段)234を開放して循環ポンプ(循環手段)204を駆動した状態となり、燃焼排気導出管の下端面411が位置する第2貯水槽202と、熱交換部である燃焼排気導出管402の外周表面とへ実施形態4ではアルカリ性洗剤を混入した洗浄水が供給される。実施形態1の
図7に示す循環状態となる。
【0353】
制御部(図示なし)への洗浄運転(洗浄運転ステップS300)の停止指示入力、中性化運転(中性化運転ステップS400)の開始指示入力等により、洗浄ポンプ203の駆動を停止し中性化運転を開始すると、燃焼排気導出管402に覆われたバーナー409を燃焼し、燃焼排気Exを燃焼排気導出管402に流動し燃焼排気導出管の下端面411から第2貯水槽202に貯水されたアルカリ性洗剤を混入した洗浄水に吐出する。
図14に示す状態となる。
【0354】
これにより、第2貯水槽202内では燃焼排気Exとアルカリ性洗剤を混入した洗浄水とが気液接触することで、アルカリ性洗剤を混入した洗浄水は中性側へ変化する。その際に、燃焼排気導出管402の外周表面を落下流水Wbとして流下する洗浄水の間接加熱が行われ、また、直接加熱後の燃焼排気Exは洗浄室105内に放散され、庫内を加熱している。
【0355】
洗浄運転(洗浄運転ステップS300)における、洗浄水を所定の温度に維持するための加熱運転の制御とは異なり、洗浄水の所定の温度と関係なくバーナー409を中性化のための燃焼をさせる必要がある。一般的に、洗浄水の温度が所定の温度である60〜80℃を超えると加熱効率が一気に悪くなる。このことから、中性側への変化のために所定の温度を超えて加熱を続けても90℃以上に達することはない。ただし、安全上、万が一85〜90℃まで加熱された時点でバーナー409の燃焼を一度停止することが好ましい。
【0356】
このように、アルカリ性洗剤を混入した洗浄水を第2貯水槽202に供給して燃焼排気Exと気液接触させることで洗浄水の中性側への変化が可能であるが、実施形態4においては、さらに、洗浄ポンプ203も駆動させている。洗浄運転の場合と異なり、中性化運転においては洗浄ポンプ203を駆動してもバルブ(切替手段)234は開放したままとする。
【0357】
中性化運転(中性化運転ステップS400)において洗浄ポンプを駆動させることで、本洗浄水供給管226、上部マニホールド206、下部マニホールド207、ノズル管208、209等の内部に残るアルカリ性洗剤を混入した洗浄水を循環させることができて、第2貯水槽202内で燃焼排気Exと気液接触することでアルカリ性洗剤を混入した洗浄水を中性側に変化させることができる。
【0358】
中性化運転を開始してから例えば20〜30分程度の一定時間の中性化運転を実施する、あるいは、中性化した洗浄水のPH値が所望のPH値となっているかを確認し、洗浄水の中性化を確認すると、バーナー409の中性化のための燃焼を停止し、洗浄ポンプ203の駆動を停止して、中性化運転ステップS400を終了する。なお、循環ポンプ(循環手段)204は停止ステップS500にて加熱運転が停止されるまで駆動している。中性化運転ステップS400を終了すると、
図7に示すような第2貯水槽202と熱交換部である燃焼排気導出管402の外周表面とへ洗浄水の供給を行う状態となる。
【0359】
中性化運転ステップS400の後、停止ステップS500を経て清掃ステップS600を実施する際に貯水された洗浄水を排水することになるが、中性化運転により第2貯水槽202にて燃焼排気Exと気液接触させて液性を中性に変化させた洗浄水を排水すること
ができる。したがって、排水処理施設の負担を軽減し、環境に配慮した洗浄運転を行うことができる。
【0360】
さらに、洗浄水の中性化が終了し、バーナー409の燃焼を停止した後、中性化された洗浄水にバルブ221を開いて清水を供給しながら、所定の水位を超えた分の洗浄水をオーバーフロー管224から排水することで、洗浄水を少しずつ入れ替えることも可能である。
【0361】
これにより、洗浄運転時に食器類から除去した汚れ成分を含んで循環する洗浄水を少しずつ浄化することができ、洗浄水の循環経路であるポンプや配管等の清浄化を図ることができる。その際に、供給する清水の量を増やせば、洗浄水の温度を徐々に下げていくことも可能で、清掃時に洗浄装置の温度が低下しているのですぐに清掃可能となる。
【0362】
洗浄水の温度が低下すると混入している洗剤が発泡しやすくなることがあるが、清水を供給しながら、所定の水位を超えた分の洗浄水を排水することで洗浄水を入れ替えて温度を低下させる過程で、洗浄水に混入している洗剤成分を徐々に減らしていくことになるので発泡することはない。
【0363】
中性化運転ステップS400は、洗浄運転ステップS300を停止してから実施する。すなわち、洗浄ポンプ203の駆動を停止してから実施するが、洗浄運転ステップS300を停止する際に、洗浄ポンプ203を駆動したままとして引き続き中性化運転ステップS400を実
施してもよい。
【0364】
以上のように、本発明の実施形態4においては、洗浄運転中はアルカリ性洗剤を混入した洗浄水の中性側への変化を抑制できるとともに、洗浄運転終了後にはアルカリ性洗剤を混入した洗浄水の中性化処理ができる。
【0365】
<洗浄後における中性化のための加熱>
以上のように、本実施形態における、前記アルカリ性洗剤を混入した洗浄水のノズル噴射による洗浄を終了した後の中性化運転として、
前記アルカリ性洗剤を混入した洗浄水のノズル噴射による洗浄を停止した状態において、アルカリ性洗浄液の中性化のための加熱を行うことができる。
【0366】
すなわち、本発明の洗浄装置による洗浄方法においては、第1貯水槽の洗浄水にアルカリ性洗剤を混入した状態において、前記アルカリ性洗剤を混入した洗浄水をノズルから噴射して被洗浄物の洗浄を終了した後に、切替手段によって洗浄時の第2系統から洗浄後の第1系統に切り替えることで、
燃焼排気との気液接触による加熱、および、燃焼排気導出管の外周表面を流下させる加熱を併用する前記第1貯水槽から供給した洗浄水の加熱を行うことができる。
【0367】
なお、前記洗浄方法における切替手段の切替動作を自動的に実行するための実施形態として、
第1貯水槽内の洗浄水にアルカリ性洗剤が用いられることを検知する液性検知手段(図示なし)と、
第1貯水槽の洗浄水による洗浄運転の終了を検知する洗浄終了検知手段(図示なし)と、をさらに具備し、
前記切替手段は、前記洗浄終了検知手段による洗浄運転の終了の検知、および、前記液性検知手段によるアルカリ性洗剤の検知によって、前記第2系統を前記第1系統に切り替えることを特徴とする洗浄装置とすることができる。