(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
[水処理カートリッジ]
本発明の水処理カートリッジは、シャワーヘッド内に収納されるカートリッジ本体内に浄化材が充填された水処理カートリッジである。シャワーヘッド内に収納される水処理カートリッジには、通常、使用時に空間速度(SV)10000〜30000/hrで原水(水道水)が通水される。なお、空間速度(Space velocity)とは、単位時間あたりに原水が浄化材(ろ過層)に接触する時間の逆数で表され、流量(m
3/hr)を浄化材の体積(m
3)で割ることで求められる。
【0012】
本発明においては、カートリッジ本体は、筒状の胴部と、胴部の一方の開口端を閉じるように設けられた第1板部と、胴部の他方の開口端を閉じるように設けられた第2板部と、を備えている。第1板部及び第2板部は、それぞれの中央部が外部側に突き出るように湾曲している。また、第1板部及び第2板部の内壁面には、該内壁面に沿ってフィルタが取り付けられている。浄化材は軟水化処理剤と脱塩素剤とを含んでいる。
【0013】
以下、本発明の水処理カートリッジの一例を示して説明する。本実施形態の水処理カートリッジ100は、
図1〜3に示すように、カートリッジ本体102と、カートリッジ本体102内に充填された浄化材104と、を備えている。水処理カートリッジ100は、シャワーヘッドにおけるヘッド部内に収納される。
【0014】
(カートリッジ本体)
カートリッジ本体102は、円筒状の胴部110と、胴部110の一方の開口端を閉じるように設けられた円板状の第1板部112と、胴部110の他方の開口端を閉じるように設けられた円板状の第2板部114と、を備えている。水処理カートリッジ100がシャワーヘッドのヘッド部内に収納された状態では、第1板部112が一次側を向き、第2板部114が二次側に向いていてもよく、第1板部112が二次側を向き、第2板部114が一次側に向いていてもよい。
【0015】
第1板部112は、第1板部112を外部側から正面視したときの中央部が外部側に突き出るように湾曲した形状になっている。同様に、第2板部114は、第2板部114を外部側から正面視したときの中央部が外部側に突き出るように湾曲した形状になっている。第1板部及び第2板部をこのように湾曲させることで、水処理カートリッジをコンパクト化しつつ、充分な量の浄化材を充填することが容易になる。
【0016】
第1板部112には、第1板部112を外部側から正面視したときの中央部に円形状の窪部115が形成され、その周りに複数の開口116が形成されている。また、第2板部114には、第2板部114を外部側から正面視したときの中央部に円形状の窪部117が形成され、その周りに複数の開口118が形成されている。水処理カートリッジ100をシャワーヘッドのヘッド部内に収納した状態においては、第1板部の開口116又は第2板部114の開口118のいずれか一方から原水が流入し、内部を通過して他方の開口から流出するようになっている。
【0017】
この例の開口116及び開口118の正面視形状は、円形状である。なお、第1板部及び第2板部に形成される開口の正面視形状は、円形状には限定されず、例えば、楕円状、矩形状等であってもよい。
複数の開口116は、第1板部112を外部側から正面視したときに、中央部から径方向の外側に向かって放射状に広がるように複数列に並んで配置されている。同様に、複数の開口118は、第2板部114を外部側から正面視したときに、中央部から径方向の外側に向かって放射状に広がるように複数列に並んで配置されている。なお、開口116及び開口118の数及び配置は、特に限定されず、水の流入又は流出がスムーズに行えるように適宜設定すればよい。第1板部112に形成される開口116の正面視形状、数及び配置と、第2板部114に形成される開口118の正面視形状、数及び配置は、同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0018】
第1板部112の内側には、第1板部112の内壁面112aにおける胴部110の傍から胴部110に沿って立ち上がる円環状の突出部120が設けられている。また、第1板部112の内壁面112aにおける中央部分にも、円環状の突出部121が設けられている。第1板部112の内側においては、突出部120及び突出部121の先端部が溶着された状態で、全ての開口116を覆うように、かつ内壁面112aに沿うようにフィルタ122が取り付けられている。第2板部114の内側にも同様に、第2板部114の内壁面114aにおける胴部110の傍から胴部110に沿って立ち上がる円環状の突出部124と、中央部分から立ち上がる円環状の突出部125が設けられている。第2板部114の内側においても、突出部124及び突出部125の先端部が溶着された状態で、全ての開口118を覆うように、かつ内壁面114aに沿うようにフィルタ126が取り付けられている。
【0019】
この例のように外部側に突き出るように湾曲した第1板部や第2板部の内壁面にフィルタを取り付ける場合、充分な接着力で該内壁面に直接接着させることは難しい。しかし、突出部120,121,124,125のような突出部を設け、それらをフィルタに溶着させることで、第1板部や第2板部の内壁面に充分な接着力でフィルタを接着させることが容易になる。なお、フィルタを取り付ける方法は、溶着には限定されず、例えば、接着剤による接着であってもよい。
【0020】
フィルタとしては、浄化材を通過させずに水を通過させることができるものであればよく、例えば、不織布、多孔質シート等が挙げられる。なかでもフィルタとしては、不織布が好ましい。
【0021】
突出部の高さは、充分な接着力でフィルタを取り付けることができる高さであれば特に限定されず、例えば、0.1〜1mmとすることができる。
突出部の断面形状は、フィルタへの溶着や、接着剤による接着が可能な形状であれば、特に限定さない。この例の突出部の断面形状は、略三角形状の突出部の先端部が溶着によって丸みを帯びた形状になっている。
【0022】
第1板部112の外壁面112bにおける外周縁部には、全周にわたって円環状の凹条からなる段差127が形成されている。同様に、第2板部114の外壁面114bにおける外周縁部には、全周にわたって円環状の凹条からなる段差128が形成されている。これらの段差127,128は、後述のように、シャワーヘッド内に収納した際の水処理カートリッジ100を安定させるために利用される。
【0023】
この例のカートリッジ本体102は、第1部材130と第2部材132に分割できるようになっている。第1部材130は、第1板部112と、胴部110の第1板部112側の部分を形成する側壁部134とで形成された部材である。第2部材132は、第2板部114と、胴部110の第2板部114側の部分を形成する側壁部136とで形成された部材である。
【0024】
第2部材132の側壁部136の先端部分は、径方向の外側から内側に向かって窪むように厚みが薄くなっており、該先端部分の外周面に径方向の外側に向かって突出する凸条138が周方向に全周にわたって設けられている。第1部材130の側壁部134の先端部分は、径方向の内側から外側に向かって窪むように厚みが薄くなっており、該先端部分の内周面に凸条138が嵌まり込む凹条140が周方向に全周にわたって設けられている。
【0025】
凸条138が凹条140に嵌まり込むように第1部材130を第2部材132に装着することで、第1部材130の側壁部134と第2部材132の側壁部136で胴部110が形成され、カートリッジ本体102が形成される。
【0026】
カートリッジ本体の材質としては、特に限定されず、シャワーヘッドに収納される水処理カートリッジに用いられる公知の材料を採用できる。具体的には、例えば、ポリプロピレン、ポリフェニレンエーテル、ポリオキシメチレン、ポリカーボネート、ABS、ASA、PMP等の耐熱性の樹脂等が挙げられる。
不織布の材質としては、特に限定されず、水処理カートリッジに通常使用されるものを使用できる。
【0027】
カートリッジ本体の製造方法は、特に限定されず、射出成形等の公知の成形方法等を採用できる。
【0028】
(浄化材)
浄化材104は、軟水化処理剤と脱塩素剤とを含む。浄化材に軟水化処理剤と脱塩素剤の両方が含まれていることで、原水中の塩素が取り除かれると共に、原水中の金属イオンの少なくとも一部が取り除かれて軟水化される。
【0029】
軟水化処理剤としては、イオン交換樹脂、イオン交換繊維、キレート繊維等が挙げられる。軟水化処理剤としては、硬度除去性能及び取扱い性より、イオン交換樹脂が好ましく、陽イオン交換樹脂がより好ましい。
陽イオン交換樹脂としては、例えば、スルホン酸基等の強酸基を有する強酸性陽イオン交換樹脂、カルボキシ基等の弱酸基を有する弱酸性陽イオン交換樹脂等が挙げられる。なかでも、強酸性陽イオン交換樹脂が好ましい。陽イオン交換樹脂としては、市販品を使用してもよい。市販品としては、例えば、オルガノ株式会社製「アンバージェット」、「アンバーライト」;三菱化学株式会社製「ダイヤイオン」等が挙げられる。
軟水化処理剤としては、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0030】
脱塩素剤としては、特に限定されず、例えば、亜硫酸カルシウム、アスコルビン酸、活性炭等が挙げられる。なかでも、脱塩素剤としては、塩素除去性能及び取扱い性より、亜硫酸カルシウムが好ましい。脱塩素剤としては、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0031】
浄化材には、軟水化処理剤及び脱塩素剤に加えて、公知の機能付加材を含有させてもよい。機能付加材としては、例えば、臭気除去剤(ジビニルベンセン系ポリマー等)、保湿剤(植物エキス、ヒアルロン酸、コラーゲン等)、清涼剤(メントール、ミョウバン等)、芳香剤(ローズウッド、ジャスミン、ラベンダー等)等が挙げられる。
機能付加材としては、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0032】
水処理カートリッジ内の浄化材の充填量は、10〜20gが好ましく、13〜17gがより好ましい。浄化材の充填量が下限値以上であれば、充分な脱塩素化効果及び軟水化効果が得られやすい。浄化材の充填量が上限値以下であれば、水処理カートリッジのコンパクト化が容易になる。
水処理カートリッジ内の軟水化処理剤の充填量は、原水の硬度が30%以上低下する量であることが好ましい。
【0033】
浄化材における軟水化処理剤と脱塩素剤との質量比は、1:0.05〜1:0.3が好ましく、1:0.07〜1:0.25がより好ましく、1:0.1〜1:0.2がさらに好ましい。前記質量比が前記範囲内であれば、充分な脱塩素化効果と軟水化効果を両立させやすい。
【0034】
以上説明した本発明の水処理カートリッジは、シャワーヘッドに収納されるコンパクトなものであるため、カートリッジ交換やメンテナンスが容易である。また、カートリッジ本体の第1板部及び第2板部はそれぞれの中央部が外部側に突き出るように湾曲し、それらの内側に内壁面に沿ってフィルタが取り付けられているため、水処理カートリッジをコンパクト化しつつ充分な量の浄化材を充填することができる。また、浄化材として脱塩素剤が充填されているため、充分な脱塩素化効果が得られる。加えて、シャワーヘッド内に収納される程度の量でも、浄化材として軟水化処理剤が充填されていることで、使用者が充分に満足できる軟水化効果が得られる。
【0035】
なお、本発明の水処理カートリッジは、前記した水処理カートリッジ100には限定されない。例えば、カートリッジ本体の胴部は円筒状には限定されず、四角筒状等であってもよい。
また、本発明の水処理カートリッジは、シャワーヘッドのグリップ部に収納されるものであってもよい。
【0036】
[シャワーヘッド]
本発明のシャワーヘッドは、本発明の水処理カートリッジが収納されたシャワーヘッドである。本発明のシャワーヘッドは、本発明の水処理カートリッジが収納されている以外は、公知の態様を採用できる。
以下、本発明のシャワーヘッドの一例として、前記した水処理カートリッジ100が収納されたシャワーヘッドを示して説明する。
【0037】
本実施形態のシャワーヘッド1は、
図4に示すように、シャワーヘッド本体10と、シャワーキャップ12と、水処理カートリッジ100と、パッキン16と、を備えている。
【0038】
シャワーヘッド本体10は、グリップ18と、グリップ18の先端に設けられたヘッド部20とを備えている。
グリップ18としては、特に限定されず、把持可能な筒状で、下端部をシャワーホース等と接続できるようになっているものが挙げられる。
【0039】
ヘッド部20は、正面視形状が円形状で、グリップ18に対して正面側に突き出るように設けられている。ヘッド部20の内部には、グリップ18内の流路18aと連通する空洞部分からなる、水処理カートリッジ100を収納する収納部22が形成されている。
【0040】
ヘッド部20内の収納部22よりも背面側には、収納部22に収納された水処理カートリッジ100に当接して支持する板状の支持部24が複数設けられている。複数の支持部24は、ヘッド部20を正面視したときの内周壁沿いに中心に向かって突出するように、内周壁に沿って間隔を空けて設けられている。収納部22に水処理カートリッジ100が収納された状態では、支持部24におけるヘッド部20の正面側の先端部が水処理カートリッジ100に当接するようになっている。
なお、支持部の形状は、板状には限定されない。また、支持部の数は、特に限定されず、適宜決定することができる。例えば、ヘッド部20内の収納部22よりも背面側において、ヘッド部20を正面視したときの内周壁沿いに全周にわたって連続して形成された1つの支持部が設けられていてもよい。
【0041】
ヘッド部20における正面側の先端部28は、円筒状の第1周壁部30と、第1周壁部30を囲う円筒状の第2周壁部32とからなり、全周にわたって二重構造となっている。すなわち、ヘッド部20の先端部28は、ヘッド部20を正面視したときに、内側から第1周壁部30と第2周壁部32がこの順に設けられた二重構造になっている。第1周壁部30と第2周壁部32とは互いに離間して設けられ、それらの間に隙間が形成されている。
【0042】
内側の第1周壁部30の外壁面には、周方向に延びる複数の凸条34が部分的に設けられている。また、第1周壁部30の外壁面における凸条34よりも先端側には、全周にわたって溝36が設けられている。溝36には、Oリング38が装着されている。
【0043】
シャワーキャップ12は、円筒状の側壁部40と、側壁部40の先端開口部を閉じるように設けられた円板状の散水板42とを備えている。側壁部40における散水板42と反対側の後端側部分における内壁面には、ヘッド部20の第1周壁部30に設けられた複数の凸条34にそれぞれ対応する複数の凹部44が部分的に設けられている。側壁部40の内壁面を正面視したときの凹部44の形状は、側壁部40における散水板42と反対側の縁から散水板42に向かって延び、さらに周方向に垂直に屈曲した形状になっている。
【0044】
側壁部40における散水板42と反対側の後端側部分は、シャワーキャップ12がヘッド部20の正面側に装着される際に、ヘッド部20の第1周壁部30と第2周壁部32の間に挿入される。このとき、ヘッド部20の第1周壁部30に設けられた凸条34が凹部44に嵌まるように側壁部40の後端側部分を第1周壁部30と第2周壁部32の間に挿入する。そして、シャワーキャップ12を周方向に回転させ、凸条34を凹部44における周方向に延びる部分の奥側へと移動させる。このように凸条34が凹部44に嵌まり込むことで、シャワーキャップ12がヘッド部20に装着された状態でロックされる。
また、この状態では、シャワーキャップ12の側壁部40とヘッド部20の第1周壁部30との間がOリング38によって水密に封じられる。
【0045】
本発明では、シャワーキャップのヘッド部への装着構造は、この例のようなバヨネット式であることが好ましい。シャワーキャップの装着構造がバヨネット式であれば、螺合による装着に比べてシャワーキャップの装着及び取り外しが容易になる。そのため、カートリッジ交換の際に手に石鹸やシャンプー等が付着していても、容易にシャワーキャップを取り外してカートリッジ交換を行うことができる。
【0046】
散水板42には、複数の散水孔42aが形成されている。散水板42における散水孔42aの数は特に限定されず、適宜決定できる。また、散水板42における散水孔42aの分布パターンも特に限定されず、公知のパターンを採用できる。
【0047】
シャワーヘッド本体10及びシャワーキャップ12の材質としては、特に限定されず、シャワーヘッドに用いられる公知の材質を採用できる。具体的には、例えば、ポリプロピレン、ポリフェニレンエーテル、ポリオキシメチレン、ポリカーボネート、ABS、ASA、PMP等の軟化点が80℃以上の耐熱性の樹脂や、ステンレス等の金属等が挙げられる。
シャワーヘッド本体10及びシャワーキャップ12の製造方法は、特に限定されず、公知の成形方法等を採用できる。
【0048】
この例では、ヘッド部20内の収納部22に、第1板部112が一次側に向くように水処理カートリッジ100が収納されている。また、この状態では、ヘッド部20内に設けられた支持部24の先端部が段差127に嵌まるように水処理カートリッジ100に当接されることで、水処理カートリッジ100が支持されている。
本発明では、このように、水処理カートリッジにおけるヘッド部内で一次側に向けられる側の外面に段差を設け、前記ヘッド部内に設けた支持部を該段差に当接させて水処理カートリッジを支持するようにすることが好ましい。これにより、ヘッド部内で水処理カートリッジが安定して保持される。
【0049】
この例の水処理カートリッジ100では、第2板部114が一次側に向くように水処理カートリッジ100をヘッド部20内に収納した場合でも、支持部24が段差128に嵌まるように当接することで、水処理カートリッジ100が安定して保持される。
【0050】
パッキン16は、環状で、内側に平面部が形成されたパッキンである。パッキン16は、ヘッド部20内における水処理カートリッジ100の一次側と二次側を水密に隔離する役割を果たす。
この例のパッキン16は、円環状で、円環に垂直な断面形状が五角形状になっている。このように、パッキン16は、5つの平面部を有し、そのうちの内側の2つの平面部16a,16bが断面においてV字状に突き出すように形成されているV型パッキンである。なお、パッキンの断面形状は、内側に平面部が形成されたものであれば、五角形状には限定されず、例えば、四角形状や六角形状等であってもよい。
【0051】
パッキン16は、この例では、シャワーキャップ12側の平面部分が、シャワーキャップ12における散水板42の周縁に形成されたフランジ部に密着するように固定されている。また、水処理カートリッジ100がヘッド部20内に収納された状態でシャワーキャップ12が装着されたときには、パッキン16は、その内側における背面側の平面部16aが水処理カートリッジ100における胴部110の第2板部114寄りに密着するように、全周にわたって圧着される。これにより、ヘッド部20内における水処理カートリッジ100の一次側と二次側とが水密に隔離され、ヘッド部20内で原水が水処理カートリッジ100の外側を通って散水板42側に回り込むことが防止される。
この例では、パッキン16における背面側の平面部にヘッド部20の第1周壁部30の先端部がめり込むように圧着されている。そのため、ヘッド部20とシャワーキャップ12の隙間から水が漏れることがより安定して抑制されている。
【0052】
このように、シャワーヘッド1においては、グリップ18の流路18aを通じてヘッド部20内まで流入してきた原水の全量が水処理カートリッジ100内に流入して浄化され、散水板42の散水孔42aからシャワー状に散水される。本発明では、この例のように、シャワーヘッド内に流入してきた原水の全量が水処理カートリッジの内部を通過すように、水処理カートリッジがシャワーヘッド内に収納されることが好ましい。これにより、水処理カートリッジの周囲に、原水の一部を一次側から二次側に流通させるバイパス流路を設ける従来のシャワーヘッド(例えば特許文献1)に比べて、散水板から散水される浄化水の残留塩素濃度を一様に低くすることができる。
【0053】
また、パッキン16は、Oリングに比べて剛性が高いため、カートリッジ交換の際にねじれにくく、また耐摩耗性に優れているため摩耗や損傷等も生じにくい。そのため、パッキン16は、水処理カートリッジを繰り返し交換しても、ヘッド部内における水処理カートリッジの一次側と二次側との隔離の水密性を充分に確保することができる点で有利である。
【0054】
シャワーヘッド1においては、水処理カートリッジ100がシャワーヘッド本体10のヘッド部20内に収納されているため、シャワーキャップ12を取り外すことでカートリッジ交換やメンテナンスを容易に行うことができる。また、コンパクトな水処理カートリッジ100であっても充分な量の浄化材104が充填されている。また、浄化材104として脱塩素剤と軟水化処理剤が充填されているため、使用者が充分に満足できる脱塩素効果と軟水化効果が得られる。
【0055】
なお、本発明のシャワーヘッドは、前記したシャワーヘッド1には限定されない。例えば、ヘッド部20内の背面側の内壁面を正面視したときの中心部から正面に向かって突出する支柱を設け、該支柱の先端部が水処理カートリッジ100の窪部115に嵌まり込んで水処理カートリッジ100を支持するようにしてもよい。
また、シャワーヘッド1におけるパッキン16の代わりにOリングを用いたシャワーヘッドであってもよい。
【実施例】
【0056】
以下、参考例及び実施例を示して本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の記載によっては限定されない。
[例1(参考例)]
軟水化処理剤である強酸性イオン交換樹脂(製品名「アンバージェット1220Na」、オルガノ社製)13.5g(水分保持率5%以下)をカラム(内径φ35mm)に充填し、水処理カートリッジを得た。
【0057】
[例2(参考例)]
軟水化処理剤の充填量を25.0gに変更した以外は、例1と同様にして水処理カートリッジを得た。
【0058】
[硬度除去率]
各例の水処理カートリッジをシャワーヘッドの一次側に取り付け、硬度成分濃度を50±5mg/Lに調整した水(水温40±3℃)を流量8L/分で通水し、通水後の水中に含まれる硬度成分濃度をカルマガイド比色法によって測定し、硬度除去率を算出した。結果を
図5に示す。
図5に示すように、例1の水処理カートリッジでは硬度除去率が30%程度であるのに対し、例2の水処理カートリッジでは60%程度であった。
【0059】
[軟水化の満足度評価]
各例の水処理カートリッジを一次側に取り付けたシャワーヘッドを用いて身体及び頭髪を洗ったときの使用感や肌及び髪の仕上がりに関して、モニター11名が判定した。結果を
図6及び
図7に示す。
【0060】
図6及び
図7に示すように、硬度除去率が30%程度の例1の水処理カートリッジは、該除去率が60%程度の例2の水処理カートリッジに比べて、使用後の満足度がわずかに劣るものの、その差はそれほど大きくなく充分な満足度が得られた。
【0061】
[実施例1]
軟水化処理剤である強酸性イオン交換樹脂(製品名「アンバージェット1220Na」、オルガノ社製、水分保持率5%以下)13.8gと、脱塩素剤である亜硫酸カルシウム(製品名「亜硫酸カルシウム(細粒)」、富田製薬社製)1.7gとを、
図1〜3に例示したカートリッジ本体内に充填し、水処理カートリッジを得た。
【0062】
[実施例2]
強酸性イオン交換樹脂の充填量を12.6g、亜硫酸カルシウムの充填量を1.5gに変更した以外は、実施例1と同様にして水処理カートリッジを得た。
【0063】
[評価方法]
各例で得たカートリッジを2〜3回振とうして浄化材を撹拌した後、第1板部がヘッド部の背面側、第2板部が散水板側を向くようにシャワーヘッド内に収納した。シャワーヘッドの散水板を下向きにして流量2〜3L/分で2秒間通水した後、2秒以上止水した。その後、流量を8L/分に一定にして通水を行い、硬度除去率と遊離残留塩素除去率を測定した。硬度除去率は、通水後の水中に含まれる硬度成分濃度をカルマガイド比色法によって測定して算出した。遊離残留塩素除去率は、通水後の水中に含まれる遊離残留塩素濃度をDPD吸光光度法にて測定して算出した。原水としては、硬度50±5mg/L、遊離残留塩素濃度1±0.1mg/L、水温40±3℃に調整した水を用いた。
結果を
図8及び
図9に示す。
【0064】
図8及び
図9に示すように、浄化材が軟水化処理剤と脱塩素剤とを含む実施例1、2の水処理カートリッジでは、いずれも100L通水した間に硬度除去率が30%以上に維持され、かつ遊離残留塩素除去率が50%以上(JWPAS J.210 2010規定の合格ライン)に維持された。