特許第6771315号(P6771315)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6771315編地および非多孔性フィルムを備える合成プロテーゼ、ならびにそれを形成する方法
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  • 特許6771315-編地および非多孔性フィルムを備える合成プロテーゼ、ならびにそれを形成する方法 図000004
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6771315
(24)【登録日】2020年10月1日
(45)【発行日】2020年10月21日
(54)【発明の名称】編地および非多孔性フィルムを備える合成プロテーゼ、ならびにそれを形成する方法
(51)【国際特許分類】
   A61L 27/18 20060101AFI20201012BHJP
   A61L 27/44 20060101ALI20201012BHJP
   A61L 27/56 20060101ALI20201012BHJP
   A61L 27/58 20060101ALI20201012BHJP
   A61L 31/06 20060101ALI20201012BHJP
   A61L 31/12 20060101ALI20201012BHJP
   A61L 31/14 20060101ALI20201012BHJP
   B32B 27/12 20060101ALI20201012BHJP
   B32B 27/36 20060101ALI20201012BHJP
   D04B 21/12 20060101ALI20201012BHJP
【FI】
   A61L27/18
   A61L27/44
   A61L27/56
   A61L27/58
   A61L31/06
   A61L31/12 100
   A61L31/14 400
   A61L31/14 500
   B32B27/12
   B32B27/36
   D04B21/12
【請求項の数】18
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2016-108408(P2016-108408)
(22)【出願日】2016年5月31日
(65)【公開番号】特開2017-6645(P2017-6645A)
(43)【公開日】2017年1月12日
【審査請求日】2019年4月26日
(31)【優先権主張番号】15305947.2
(32)【優先日】2015年6月19日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】597147278
【氏名又は名称】ソフラディム・プロダクション
(73)【特許権者】
【識別番号】512269650
【氏名又は名称】コヴィディエン リミテッド パートナーシップ
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【弁理士】
【氏名又は名称】大塩 竹志
(72)【発明者】
【氏名】ジュリー ルキュイーヴル
(72)【発明者】
【氏名】ニコラス プロスト
(72)【発明者】
【氏名】マシュー プレスコット
(72)【発明者】
【氏名】ニコラス マイオリーノ
(72)【発明者】
【氏名】トーマス コルソ
【審査官】 佐々木 大輔
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2012/0179176(US,A1)
【文献】 特表2014−514037(JP,A)
【文献】 特表2013−535244(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 15/00−33/18
B32B 27/00−27/42
D04B 21/00−21/20
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/WPIDS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織補強のための合成プロテーゼ(1)であって:
・合成生体適合性材料のモノフィラメント(3)から作製された多孔性編地(2)であって、該編地は、2つの反対側の面、すなわち、第一の面(4)および第二の面(5)を規定する、多孔性編地、
・少なくともε−カプロラクトンのコポリマーを少なくとも含む合成非多孔性生体分解性フィルム(8)であって、該フィルムは、該第一の面の少なくとも一部分を覆う合成非多孔性生体分解性フィルム、ならびに
・該フィルムを該第一の面に結合する合成生体分解性結合剤(9)であって、該結合剤は、少なくともε−カプロラクトンのポリマーを含む、合成生体分解性結合剤
を備え、
該結合剤は、該フィルムと該第一の面との間に、不連続層の形態で存在し
該多孔性編地の該第二の面は、細胞のコロニー形成のために覆われないままにされ
該プロテーゼは、合成生体分解性材料から作製されたマーキング(10)を少なくとも備え、そして
該マーキングを形成する該合成生体分解性材料は、少なくともε−カプロラクトンのポリマーを含む、合成プロテーゼ。
【請求項2】
前記合成生体適合性材料はポリプロピレンである、請求項1に記載のプロテーゼ(1)。
【請求項3】
前記編地は、1mmより大きい直径を有する複数の細孔を備える、請求項1または2に記載のプロテーゼ(1)。
【請求項4】
前記複数の細孔は、約35%〜約70%の範囲の、前記編地の有効多孔度を規定する、請求項3に記載のプロテーゼ(1)。
【請求項5】
前記合成非多孔性生体分解性フィルムは、グリコリドと、ε−カプロラクトンと、トリメチレンカーボネートと、ラクチドとのランダムコポリマーからなる組成物の押し出しによって得られるフィルムである、請求項1〜4のいずれか1項に記載のプロテーゼ(1)。
【請求項6】
前記合成非多孔性生体分解性フィルムは、約15μm〜約25μmの範囲の厚さを示す、請求項1〜5のいずれか1項に記載のプロテーゼ(1)。
【請求項7】
前記結合剤は、ε−カプロラクトンのポリマー、特に、約80,000g/molの分子量を有するε−カプロラクトンのポリマーからなる、請求項1〜6のいずれか1項に記載のプロテーゼ(1)。
【請求項8】
前記結合剤は、前記フィルムと前記第一の面に、約0.60mg/cm〜約0.95mg/cmの範囲、好ましくは約0.70mg/cm〜約0.85mg/cmの範囲、より好ましくは約0.83mg/cmの量で存在する、請求項1〜7のいずれかに記載のプロテーゼ(1)。
【請求項9】
前記結合剤は、前記プロテーゼの重量に対して、6重量%〜11重量%の範囲の量で存在する、請求項1〜8のいずれか1項に記載のプロテーゼ(1)。
【請求項10】
前記マーキングを形成する前記合成生体分解性材料は、ε−カプロラクトンのポリマーおよび染料、例えばD&C Violet N°2からなる、請求項1〜9のいずれか1項に記載のプロテーゼ(1)。
【請求項11】
請求項1のプロテーゼ(1)を形成する方法であって、以下の工程:
・a)合成生体適合性材料のモノフィラメント(3)から作製された多孔性編地(2)を提供する工程であって、該編地は、2つの反対側の面、すなわち、第一の面(4)および第二の面(5)を規定する、工程、
・b)少なくともε−カプロラクトンのコポリマーを少なくとも含む合成非多孔性生体分解性フィルム(8)を提供する工程、
・c)該編地の該第一の面を、ε−カプロラクトンのポリマーを少なくとも含む結合溶液で膠付けする工程であって、これによって、結合溶液の不連続層を、該編地の該第一の面上に形成する工程、ならびに
・d)工程b)の該フィルムを、該編地の該膠付けされた第一の面上に積層する工程
を包含する、方法。
【請求項12】
前記結合溶液は、塩化メチレン中3%(w/v)のε−カプロラクトンのポリマーの溶液である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記結合溶液は、前記編地の前記第一の面の表面に、約10mL/分の該溶液の送達速度で噴霧される、請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
工程d)の前記積層は、工程b)の前記フィルムを、工程c)で得られた前記編地の前記膠付けされた面と、約30秒間〜約7分間の範囲、好ましくは約5分間の時間にわたって、約105℃の温度で、約137,895Pa(20psi)〜約1,034,213Pa(150psi)の範囲、好ましくは約172,369Pa(25psi)の接触圧力で、接触させることにより行われる、請求項11〜13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記編地の前記第一の面に、1つまたはより多くのマーキング(10)を提供するための、印刷する工程をさらに包含し、該印刷する工程は、工程c)の前に行われる、請求項11〜14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記印刷する工程は、マスクを、前記編地の前記第一の面に配置すること、および染色溶液を、該マスクを提供された該編地の該第一の面に噴霧することを包含する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記染色溶液は、塩化メチレン中3%(w/v)のε−カプロラクトンのポリマー、およびε−カプロラクトンのポリマー中0.1%(w/w)のD&C Violet N°2の溶液である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記染色溶液は、前記マスクを提供された前記編地の前記第一の面の表面に、約10mL/分の該溶液の送達速度で噴霧される、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組織補強のための合成プロテーゼに関し、このプロテーゼは、多孔性編地、およびこの編地の片面に提供された生体分解性癒着障壁フィルムを備える。本発明のプロテーゼは、弱さが存在する軟組織(例えば、一次腹壁および瘢痕ヘルニア)の補強が特に意図される。
【背景技術】
【0002】
補強プロテーゼ、例えば、腹壁を補強するためのプロテーゼは、外科分野において広く使用されている。これらのプロテーゼは、組織欠損部を一時的にかまたは永続的に充填することによって、ヘルニアを処置することが意図される。これらのプロテーゼは一般に、生体適合性のプロテーゼ布(例えば、編地)から作製され、そしてこれらが取り付けられる解剖学的構造体に依存して、多数の形状(例えば、矩形、円形または楕円形)を有し得る。
【0003】
編地などのプロテーゼ布は、このプロテーゼ布が接触して置かれる組織の性質とは無関係に、内因的に癒着形成性(adhesiogenic)であり線維形成性(fibrogenic)である。プロテーゼ布をベースとするが、同時に、特に腹腔内に配置される場合に術後癒着を防止する、補強プロテーゼを提供することが望ましい。
【0004】
術後癒着は、瘢痕化の正常なプロセス中の外科手術作用によって偶然誘導される、全ての非解剖学的線維性結合を包含する。これらは、問題の手術とは無関係に、全ての外科手術領域において起こり得る。術後癒着は、主に慢性疼痛、閉塞性症候群および女性の不妊症と分類され得る、症候群を引き起こし得る。さらに、これらは、追跡外科手術で誤りを起こす危険性を極めて(very substantially)増大させ、一方で、手術時間を延長させる。なぜなら、予備的な解剖が、このような場合には非常に扱いにくくあり得るからである。
【0005】
この問題を解決するために、これらの補強プロテーゼの片面を、最初の炎症段階中に完全に滑らかにし、これによって、癒着の発生に有利ではなくすることが示唆されている。これを行うために、物理的障壁が、互いに癒着することが意図されない構造体間に挟まれる。
【0006】
しかし、所望の障壁効果は、この障壁の内因性の癒着力という問題を提示する。その理由は、この障壁が非生体分解性材料から作製される場合、経時的にこれ自体が癒着の源となり得ることであり、そして生体分解性である場合、一方では、その生体分解が、癒着自体を引き起こさないように充分に非炎症性でなければならず、そして他方では、その生体分解の動力学が、この障壁が癒着の形成を防止するというその機能を果たすために必要とされる時間の間、一体的なまま残ることを可能にするために、適切であるべきであることである。
【0007】
本願において、用語「生体分解性」は、生体吸収性材料と生体腐食性材料との両方を包含するように定義される。生体分解性とは、その材料が、分解産物が身体によって排出可能または吸収可能であるように、身体条件下で分解する(decompose)、すなわち構造的一体性を失うこと(例えば、酵素分解もしくは加水分解)、または身体内の生理条件下で(物理的にかもしくは化学的に)分解する(broken down)ことを意味する。
【0008】
本願において、用語「非生体分解性」は、非生体吸収性材料と非生体腐食性材料との両方を包含するように定義される。非生体分解性とは、その材料が身体条件下で分解せず、そしてその身体内に永続的に残ることを意味する。
【0009】
癒着障壁フィルムは公知であり、これらは、コラーゲンを含む出発溶液のゲル化によって得られる。このコラーゲンは、動物またはヒトの供給源由来であり得る。いずれにしても、動物またはヒト由来の生物学的材料を含むプロテーゼは、常に再生可能でも適合性でもあるわけではない。
【0010】
さらに、術後癒着の防止のための障壁として使用される、先行技術のフィルムは、機械的強度および抵抗性を欠き得ること、ならびに一旦移植されると剥離し得ることが、見出されている。従って、このフィルムは、患者の身体内でプロテーゼ布から分離し、そしてその癒着障壁機能を果たし得ない。
【0011】
従って、全体が合成物であり、そして完全に生体分解性である癒着障壁フィルムを含む、プロテーゼが必要とされており、このフィルムは、それにもかかわらず、少なくとも癒着の発生を防止することが必要とされる時間、すなわち、少なくとも1〜2週間にわたって、剥離に対して抵抗する。
【0012】
さらに、あらゆる外科手術介入の後の外傷を最小にする目的で、患者は次第に、行われる介入の型が許容する場合には、腹腔鏡検査法によって手術されるようになっている。腹腔鏡検査法は、トロカールが通過する非常に小さい切開部のみを必要とし、プロテーゼは、その移植部位までこのトロカールの内側を運ばれる。従って、直視下外科手術が回避され、そして患者は速やかに病院を去ることができる。腹腔鏡検査法は、腹で行われる外科手術介入(例えば、ヘルニアの処置)において特に流行している。
【0013】
しかし、腹腔鏡外科手術において使用されるトロカールは一般に、作製される切開部のサイズを可能な限り減少させる目的で、比較的小さい較正直径を有し、これは例えば、5〜15mmで変わり得る。従って、このプロテーゼは、小さい直径の導管内で、その移植部位まで運ばれなければならない。このプロテーゼは一般に、このトロカールの導管内に滑り込ませる目的で巻かれるか、または適切である場合、腹腔鏡検査用鉗子の補助により、力によって直接導入される。
【0014】
従って、生体分解性癒着障壁フィルムを一方の面に備える編地をベースとするプロテーゼが、依然として必要とされており、このプロテーゼは、柔軟かつ折り畳み可能であるために充分に柔らかく、その結果、このプロテーゼは、この編地およびこのフィルムを損傷することなく、小さい直径の導管(例えば、トロカールの導管)に容易に導入され得る。
【0015】
さらに、補強プロテーゼは、一層効果的であり、そしてこれらの位置の許容差は、一層良好であり、組織の一体化が一層早く、そして一層密接である。この理由により、これらの指示に対して最も効果的な公知のプロテーゼ布は、一般に多孔性であり、そして可能な限り迅速に身体内で一体化するような方法で設計されている。
【0016】
本願において、用語「多孔性」は、布地の面および厚さが記載される特徴(その布地の表面およびその厚さの内部/厚さを通しての、例えば、織地であるか編地であるか、存在する細孔、空隙、肺胞、分布する規則性または不規則性、および全ての細胞のコロニー形成の促進)を意味することが意図される。
【0017】
本明細書中で使用される場合、用語「非多孔性」は、記載される構造体(例えば、フィルム)が、いかなる細孔もない滑らかな均質な表面を提供することを意味することが意図され、このような表面は、術後癒着の発生を防止する。
【0018】
さらに、患者の身体に移植される外来物質を減少させる観点で、軽量の補強プロテーゼを製造することが望ましい。さらに、このプロテーゼを移植部位の適所に置くときに、外科医の作業を容易にするために、このプロテーゼが良好な透明性を示すことがさらに望ましい。従って、複数の細孔、および好ましくは大きい細孔を示す軽量の編地が、良好な組織の内方成長に有利な軽量の補強プロテーゼを形成するために望ましい。
【0019】
従って、組織補強のため(例えば、弱さが存在する軟組織(例えば、一次腹壁および瘢痕ヘルニア)の補強のため)に、腹腔内の位置で、おそらく腹腔鏡検査法によって使用され得る、合成プロテーゼであって、細胞の再コロニー形成および組織の一体化の特性をその片面に与え、一方で、生体分解性癒着障壁フィルムをその他方の面に備えて、外科手術後少なくとも4週間の間、術後癒着を防止するかまたは少なくとも最小にし、このフィルムは、剥離を受けない、合成プロテーゼが必要とされている。この合成プロテーゼはまた、好ましくは、患者の身体に移植される外来物質の量を最小にするべきである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明は、例えば、以下を提供する:
(項目1)
組織補強のための合成プロテーゼ(1)であって:
・合成生体適合性材料のモノフィラメント(3)から作製された多孔性編地(2)であって、該編地は、2つの反対側の面、すなわち、第一の面(4)および第二の面(5)を規定する、多孔性編地、
・少なくともε−カプロラクトンのコポリマーを少なくとも含む合成非多孔性生体分解性フィルム(8)であって、該フィルムは、該第一の面の少なくとも一部分を覆う合成非多孔性生体分解性フィルム、ならびに
・該フィルムを該第一の面に結合する合成生体分解性結合剤(9)であって、該結合剤は、少なくともε−カプロラクトンのポリマーを含む、合成生体分解性結合剤
を備え、
該結合剤は、該フィルムと該第一の面との間に、不連続層の形態で存在し、そして
該多孔性編地の該第二の面は、細胞のコロニー形成のために覆われないままにされる、
合成プロテーゼ。
(項目2)
上記合成生体適合性材料はポリプロピレンである、上記項目に記載のプロテーゼ(1)。
(項目3)
上記編地は、1mmより大きい直径を有する複数の細孔を備える、上記項目のいずれかに記載のプロテーゼ(1)。
(項目4)
上記複数の細孔は、約35%〜約70%の範囲の、上記編地の有効多孔度を規定する、上記項目のいずれかに記載のプロテーゼ(1)。
(項目5)
上記合成非多孔性生体分解性フィルムは、グリコリドと、ε−カプロラクトンと、トリメチレンカーボネートと、ラクチドとのランダムコポリマーからなる組成物の押し出しによって得られるフィルムである、上記項目のいずれかに記載のプロテーゼ(1)。
(項目6)
上記合成非多孔性生体分解性フィルムは、約15μm〜約25μmの範囲の厚さを示す、上記項目のいずれかに記載のプロテーゼ(1)。
(項目7)
上記結合剤は、ε−カプロラクトンのポリマー、特に、約80,000g/molの分子量を有するε−カプロラクトンのポリマーからなる、上記項目のいずれかに記載のプロテーゼ(1)。
(項目8)
上記結合剤は、上記フィルムと上記第一の面に、約0.60mg/cm〜約0.95mg/cmの範囲、好ましくは約0.70mg/cm〜約0.85mg/cmの範囲、より好ましくは約0.83mg/cmの量で存在する、上記項目のいずれか記載のプロテーゼ(1)。
(項目9)
上記結合剤は、上記プロテーゼの重量に対して、6重量%〜11重量%の範囲の量で存在する、上記項目のいずれかに記載のプロテーゼ(1)。
(項目10)
合成生体分解性材料から作製されたマーキング(10)を少なくともさらに備える、上記項目のいずれかに記載のプロテーゼ(1)。
(項目11)
上記マーキングを形成する上記合成生体分解性材料は、ε−カプロラクトンのポリマーおよび染料、例えばD&C Violet N°2からなる、上記項目のいずれかに記載のプロテーゼ(1)。
(項目12)
上記項目のいずれかのプロテーゼ(1)を形成する方法であって、以下の工程:
・a)合成生体適合性材料のモノフィラメント(3)から作製された多孔性編地(2)を提供する工程であって、該編地は、2つの反対側の面、すなわち、第一の面(4)および第二の面(5)を規定する、工程、
・b)少なくともε−カプロラクトンのコポリマーを少なくとも含む合成非多孔性生体分解性フィルム(8)を提供する工程、
・c)該編地の該第一の面を、ε−カプロラクトンのポリマーを少なくとも含む結合溶液で膠付けする工程であって、これによって、結合溶液の不連続層を、該編地の該第一の面上に形成する工程、ならびに
・d)工程b)の該フィルムを、該編地の該膠付けされた第一の面上に積層する工程
を包含する、方法。
(項目13)
上記結合溶液は、塩化メチレン中3%(w/v)のε−カプロラクトンのポリマーの溶液である、上記項目に記載の方法。
(項目14)
上記結合溶液は、上記編地の上記第一の面の表面に、約10mL/分の該溶液の送達速度で噴霧される、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目15)
工程d)の上記積層は、工程b)の上記フィルムを、工程c)で得られた上記編地の上記膠付けされた面と、約30秒間〜約7分間の範囲、好ましくは約5分間の時間にわたって、約105℃の温度で、約137,895Pa(20psi)〜約1,034,213Pa(150psi)の範囲、好ましくは約172,369Pa(25psi)の接触圧力で、接触させることにより行われる、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目16)
上記編地の上記第一の面に、1つまたはより多くのマーキング(10)を提供するための、印刷する工程をさらに包含し、該印刷する工程は、工程c)の前に行われる、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目17)
上記印刷する工程は、マスクを、上記編地の上記第一の面に配置すること、および染色溶液を、該マスクを提供された該編地の該第一の面に噴霧することを包含する、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目18)
上記染色溶液は、塩化メチレン中3%(w/v)のε−カプロラクトンのポリマー、およびε−カプロラクトンのポリマー中0.1%(w/w)のD&C Violet N°2の溶液である、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目19)
上記染色溶液は、上記マスクを提供された上記編地の上記第一の面の表面に、約10mL/分の該溶液の送達速度で噴霧される、上記項目のいずれかに記載の方法。
【0021】
摘要
本発明は、組織補強のための合成プロテーゼに関し、この合成プロテーゼは:
・合成生体適合性材料のモノフィラメントから作製された多孔性編地であって、この編地は、2つの反対側の面、すなわち、第一の面および第二の面を規定する、多孔性編地、
・少なくともε−カプロラクトンのコポリマーを少なくとも含む合成非多孔性生体分解性フィルムであって、このフィルムは、この第一の面の少なくとも一部分を覆う、合成非多孔性生体分解性フィルム、
・このフィルムをこの第一の面に結合する合成生体分解性結合剤であって、この結合剤は、ε−カプロラクトンのポリマーを少なくとも含む、合成生体分解性結合剤
を備え、
この多孔性編地の第二の面は、細胞のコロニー形成のために覆われないままにされる。
本発明はまた、このようなプロテーゼを形成する方法に関する。
【0022】
本発明の第一の局面は、組織補強のための合成プロテーゼであり、この合成プロテーゼは:
・合成生体適合性材料モノフィラメントから作製された多孔性編地であって、この編地は、2つの反対側の面、すなわち、第一の面および第二の面を規定する、多孔性編地、
・少なくともε−カプロラクトンのコポリマーを少なくとも含む合成非多孔性生体分解性フィルムであって、このフィルムは、この第一の面の少なくとも一部分を覆う、合成非多孔性生体分解性フィルム
・このフィルムをこの第一の面に結合する合成生体分解性結合剤であって、この結合剤は、ε−カプロラクトンのポリマーを少なくとも含む、合成生体分解性結合剤
を備え、
この結合剤は、このフィルムとこの第一の面との間に、不連続層の形態で存在し、そして
この多孔性編地の第二の面は、細胞のコロニー形成のために覆われないままにされる。
【0023】
本発明のプロテーゼは、2つの面を備え、これらの面は、それぞれの外観および機能が異なる。すなわち、術後の細胞のコロニー形成に適応して方向付ける目的で、片側が多孔性または覆われていない1つの面、および少なくとも術後癒着が起こりやすい時間の間、癒着させずに組織を分離するために閉じられている他方の面である。
【0024】
従って、本発明のプロテーゼは、一方では、細胞のコロニー形成および組織の一体化が、この多孔性編地の第二の面を通して起こることを可能にし、同時に、その反対側の面、すなわち、この編地の第一の面(この面は、少なくとも1〜2週間にわたって癒着障壁フィルムとして働く、非多孔性生体分解性フィルムによって覆われている)への癒着の発生を最小にする。
【0025】
このフィルムは、この編地の第一の面に、結合剤によって密接に付着しており、そして剥離し得ず、一方で同時に、この編地の第二の表面で、覆われていない多孔度を維持する。
【0026】
さらに、本発明のプロテーゼの編地と、フィルムと、結合剤との協働は、生体分解性フィルムの完全な分解とは無関係に、組織のコロニー形成が即座に発生することを可能にし、この生体分解性フィルムの完全な分解自体は、このプロテーゼの性能を損なうことなく、比較的迅速であり、例えば、約4〜15週間で起こる。さらに、材料の不連続層の形態で存在する結合剤の構造は、細胞のコロニー形成および組織の一体化が、この非多孔性フィルムが数週間後(術後癒着がもはや起こりにくく、そしてこの非多孔性フィルムがその癒着を防止する機能を完了した時点)に生体分解し始めるときに、この多孔性編地の第一の面でさらに発生することを可能にする。
【0027】
本発明のプロテーゼは、合成材料のみから形成される。合成材料は、再現性があり、そしてそれらの挙動が周知であるという利点を有する。
【0028】
さらに、本発明のプロテーゼの非多孔性フィルムと結合剤との両方での、共通の化学成分(例えば、ε−ポリカプロラクトン)の存在は、患者の身体に移植される異なる組成の外来物質の数を減少させることを可能にする。
【0029】
本発明のプロテーゼは、一次腹壁および瘢痕腹壁ヘルニア外科手術が関与する手順において、弱さが存在する腹壁の軟組織の補強に特に適合される。
【0030】
本発明のプロテーゼは、合成生体適合性材料のモノフィラメントから作製された多孔性編地を備え、この編地は、2つの反対側の面(第一の面および第二の面)を規定する。
【0031】
本発明の編地は、合成生体適合性材料のモノフィラメントから作製される。
【0032】
この合成生体適合性材料は、このプロテーゼの補強機能の望ましい持続時間に依存して、生体分解性、非生体分解性、または生体分解性と非生体分解性との組み合わせであり得る。
【0033】
非永続的な補強が望ましい場合、この合成生体適合性材料は、生体分解性であり得る。適切な合成生体適合性材料は、ポリ乳酸またはそのコポリマーであり得る。
【0034】
永続的な補強が望ましい場合、この合成生体適合性材料は、非生体分解性であり得る。
【0035】
ある実施形態において、この合成生体適合性材料は、合成非生体分解性材料である。この合成生体適合性材料が非分解性である実施形態は、補強または修復されるべき組織の長期間の補強を可能にする。
【0036】
ある実施形態において、生体適合性ポリマー材料は、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、およびこれらの混合物から選択される。
【0037】
ある実施形態において、この生体適合性ポリマー材料はポリプロピレンである。
【0038】
ある実施形態において、このモノフィラメントは、約0.08mm〜約0.25mm、好ましくは約0.10mm〜0.15mm、より好ましくは約0.11mm、0.12mm、または0.13mm、より好ましくは0.12mmの直径を有する。このような直径は、良好なサイズの細孔を得、軽量かつ可撓性の構造を有する編地を提供することを可能にし、一方で、良好な機械特性を維持する。ある実施形態において、このモノフィラメントは、約0.12mmの直径を有する。
【0039】
本発明のプロテーゼの編地は、多孔性である。編地は、この編地を形成するヤーンの編成が従うパターンによって発生され得る、開口部または細孔を含み得る。
【0040】
ある実施形態において、本発明のプロテーゼの編地は、1mmより大きい直径を有する複数の細孔を含む。特に、1mmより大きい直径を有する複数の細孔は、約35%〜約70%の範囲、好ましくは約55%の、この編地の有効多孔度を規定する。
【0041】
「有効多孔度」とは、本願によれば、1mmより大きい直径を有する細孔のみを考慮し、一方で、1mmに等しいかまたはより小さい直径を有する細孔を除外した、多孔度を意味する。「1mmより大きい直径を有する細孔」とは、全ての方向に1mmより大きい直径を有する細孔を意味する。従って、有効多孔度は、上で定義された1mmより大きい直径を有する細孔の合計の面積の、試験される編地の合計の面積に対する比に対応する。1mmより大きい直径を有する細孔は、ORAMA製の投影機300Vなどの輪郭投影機を使用して測定される。「有効多孔度」およびその測定方法は、刊行物「New objective measurements to characterize the porosity of textile implants」,T.Muehl,M.Binneboesel,U.Klinge and T.Goedderz,Journal of Biomedical Materials Research Part B:Applied Biomaterials,p.176−183に記載されている。
【0042】
上記のような有効多孔度は、本発明のプロテーゼの編地が細胞のコロニー形成を支持する能力を特徴付けるために有用である。実際に、1mmより大きい直径を有する細孔は、移植後の組織の内方成長のために特に望ましい。
【0043】
ある実施形態において、本発明のプロテーゼの編地の編成パターンは、1mmより大きい範囲の直径を有する複数の細孔を規定する。これらの細孔は、実質的に六角形または円形の形状を有し得る。
【0044】
ある実施形態において、本発明の編地は、2mmより大きい直径を有する複数の細孔を含む。2mmより大きい直径を有する細孔を含むこのような編地は、細胞のコロニー形成を支持し、そして外科医がこの編地/プロテーゼを移植部位で適所に置くときに、外科医が周囲の組織のより良好な可視性を有することを可能にする、良好な透明性を示す。
【0045】
本発明のプロテーゼのために適切な多孔性編地は、例えば、直径0.12mmのポリプロピレンのモノフィラメントをベースとする編地であり、このモノフィラメントの編成が、2本のガイドバーB1、B2を有する編機で従うパターンは、ISO 11676標準に従って、以下のとおりである:
バーB1:1.2/4.5/4.3/4.5/4.3/1.0/1.2/1.0//
バーB2:4.3/1.0/1.2/1.0/1.2/4.5/4.3/4.5//
ガイドバーB1およびB2は、1本おき(1 full 1 empty)に糸を通され得、対称的に動き得る。
【0046】
この編機は、縦編機であってもラッシェル編機であってもよい。
【0047】
本発明のプロテーゼのための別の適切な編地は、0.10mmの直径のポリプロピレンのモノフィラメントを、2本のガイドバーB1、B2を有する縦編機で、以下のパターンに従って、ISO 11676標準に従って編成することによって得られる:
・バーB1:5.4/4.3/2.1/0.1/1.2/3.4//
・バーB2:0.1/1.2/3.4/5.4/4.3/2.1//
ガイドバーB1およびB2は、1本おきに糸を通され、対称的に動く。
【0048】
上記2つの編成パターンは、1mmより大きい直径を有する複数の細孔、約35%〜約70%の範囲の有効多孔度、および外科医が編地またはプロテーゼを適所に置くときに外科医が移植部位の良好な可視性を有することを可能にする透明性を有する、本発明に適した編地を得ることを可能にする。
【0049】
本発明のプロテーゼの編地は、好ましくは軽量である。本発明のプロテーゼの編地は、ISO 3801:1977「Determination of mass per unit length and mass per unit area」に従って、5標本1dmで測定される、好ましくは約30〜約70g/mの範囲、好ましくは約36〜約50g/mの範囲、そしてより好ましくは、約44g/m、45g/m、46g/m、47g/mまたは48g/mの、単位面積あたりの質量を示す。このような単位面積あたりの低い質量は、ほんの少量の外来物質が、患者の身体に導入されることを可能にする。
【0050】
ある実施形態において、本発明のプロテーゼの編地は、少なくとも約200N、好ましくは約237Nの、縦糸方向の引張破壊強度を有する。ある実施形態において、本発明のプロテーゼの編地は、少なくとも約170N、好ましくは約201Nの、横糸方向の引張破壊強度を有する。ある実施形態において、本発明の編地は、少なくとも約400kPa、好ましくは約463kPaの、破裂強度を有する。ある実施形態において、本発明のプロテーゼの編地は、少なくとも約25N、好ましくは約30Nの、縦糸方向の引裂強度を有する。ある実施形態において、本発明のプロテーゼの編地は、少なくとも約25N、好ましくは約37Nの、横糸方向の引裂強度を有する。ある実施形態において、本発明のプロテーゼの編地は、少なくとも約35N、好ましくは約46Nの、縦糸方向の縫合糸引抜強度を有する。ある実施形態において、本発明のプロテーゼの編地は、少なくとも約38N、好ましくは約42Nの、横糸方向の縫合糸引抜強度を有する。ある実施形態において、本発明のプロテーゼの編地は、少なくとも約42N/cm、好ましくは約47N/cmの、引張強度を有する。
【0051】
上記引張破壊強度(N)、破裂強度(kPa)、引裂強度(N)、縫合糸引抜強度(N)および引張強度(N/cm)は、本願の以下の実施例に示されるような方法に従って、測定される。
【0052】
本発明のプロテーゼの多孔性編地は、好ましくは、固定点において均質な剪断力の分布を示す。特に、軽量の構造を与えられるが、本発明のプロテーゼの多孔性編地は、先行技術の軽量の編地と比較して、固定点での破断に対する良好な抵抗を示し得る。
【0053】
本発明のプロテーゼは、少なくともε−カプロラクトンのコポリマーを少なくとも含む、合成非多孔性生体分解性フィルムをさらに含む。このフィルムは、編地の第一の面の少なくとも一部分を覆うことが意図される。ある実施形態において、本発明のプロテーゼの合成非多孔性生体分解性フィルムは、多孔性編地の第一の面の全体を覆い、そしてより好ましくは、このプロテーゼが隣接する生物学的組織と接触しないように保護する様式で、この編地の縁部を越えて突出し、その突出は、例えば5〜10ミリメートルである。本発明のプロテーゼの合成非多孔性生体分解性フィルムは、この編地の第一の面の表面に存在する細孔を塞ぐことによって、この第一の面への術後癒着を最小にすることが意図される。本発明のプロテーゼの合成非多孔性生体分解性フィルムは、好ましくは連続的であり、そして滑らかかつ均一な表面を有する。
【0054】
ある実施形態において、この合成非多孔性生体分解性フィルムは、少なくともε−カプロラクトンのコポリマーを少なくとも含む組成物の押し出しによって得られるフィルムである。ある実施形態において、この合成非多孔性生体分解性フィルムは、グリコリドと、ε−カプロラクトンと、トリメチレンカーボネートと、ラクチドとのランダムコポリマーを含み、好ましくはこれらからなる、組成物の押し出しによって得られるフィルムである。
【0055】
ある実施形態において、この合成非多孔性生体分解性フィルムは、約68.5〜約71.5モルパーセントのグリコリド、約14.7〜約17.5モルパーセントのε−カプロラクトン、約6.7〜約8.6モルパーセントのトリメチレンカーボネート、および約4.6〜約6.5モルパーセントのラクチドのランダムコポリマーからなる組成物の、押し出しによって得られるフィルムである。本発明のプロテーゼのフィルムを形成するために適切なコポリマー組成物の調製は、米国特許第6,235,869号に記載されている。
【0056】
このフィルムは、少なくともε−カプロラクトンのコポリマーを少なくとも含む組成物の、押し出し成型機内での、170℃〜210℃の範囲でのフラットダイ押し出しによって得られ得る。押し出しについてさらに、このフィルムは、従来の方法に従ってアニーリングされ得る。
【0057】
本発明のプロテーゼのフィルムは、生体分解性である。ある実施形態において、本発明のプロテーゼのフィルムは、好ましくは、インビボで15週間未満で分解する。このような分解動力学を有するフィルムは、患者の身体内での外来物質の存在を制限することを可能にし、一方で、術後癒着の防止の観点で効率的である。
【0058】
ある実施形態において、この合成非多孔性生体分解性フィルムは、約15μm〜約25μmの範囲の厚さを示す。ある実施形態において、このフィルムの厚さは、約20μmである。ある実施形態において、このフィルムの厚さは、約25μmである。このような厚さを有するフィルムは、炎症応答の危険性が制限された、効率的な癒着障壁を構築する。さらに、このような厚さを有するフィルムは、得られるプロテーゼが、全体的に薄くかつ柔らかいままであり、従って、トロカールへの容易な導入のために折り畳まれることに特に適合することを可能にする。
【0059】
本発明のプロテーゼは、このフィルムを編地の第一の面に結合させるための合成生体分解性結合剤をさらに備える。この結合剤は、ε−カプロラクトンのポリマーを少なくとも含む。
【0060】
ある実施形態において、この結合剤は、ε−カプロラクトンのポリマー、特に、約80,000g/molの分子量を有するε−カプロラクトンのポリマーからなる。このようなε−カプロラクトンのポリマーは、このε−カプロラクトンのポリマーが少量で存在する場合でさえも、このフィルムの、この編地の第一の面への良好な結合を可能にする。従って、このようなε−カプロラクトンのポリマーは、このフィルムの、この編地の第一の面への効率的な結合を得ることを可能にし、一方で、患者の身体に導入される外来物質の量を制限する。
【0061】
ある実施形態において、特に、この結合剤が、ε−カプロラクトンのポリマー、例えば、約80,000g/molの分子量を有するε−カプロラクトンのポリマーからなる場合、この結合剤は、このプロテーゼ中、特に、このフィルムとこの編地の第一の面との間に、約0.60mg/cm〜約0.95mg/cmの範囲、好ましくは約0.70mg/cm〜約0.85mg/cmの範囲、より好ましくは、約0.83mg/cmの量で存在する。
【0062】
ある実施形態において、特に、この結合剤が、ε−カプロラクトンのポリマー、例えば、約80,000g/molの分子量を有するε−カプロラクトンのポリマーからなる場合、この結合剤は、このプロテーゼの重量に対して、6重量%〜11重量%の範囲の量で存在する。従って、この結合剤は、制限された量のこのプロテーゼの重量、および患者の身体に導入される、制限された量のさらなる外来物質を意味する。
【0063】
この結合剤は、上記フィルムと上記第一の面との間に、不連続層の形態で存在する。「材料の不連続層」とは、本願において、互いに連結されず、連続フィルムを形成しない、複数の不連続な量の材料を意味する。本発明のプロテーゼの結合剤は、このフィルムとこの第一の面との間に、互いに連結されず、連続フィルムを形成しない、複数の不連続な量の結合剤の形態で存在する。例えば、編地の第一の面での結合剤の存在は、この編地を形成するモノフィラメントの繊維の表面、好ましくは、このような繊維の頂表面に制限され得、この編地の細孔内に結合剤が存在しない。さらに、好ましくは、この編地の第二の面の表面には結合剤材料が存在しない。従って、この結合剤は、この編地の第一の面とこのフィルムとの間に、連続層を形成しないかもしれない。
【0064】
この結合剤がε−カプロラクトンのポリマーからなる場合、このプロテーゼは、制限された数の異なる化学物質を含む。なぜなら、ε−カプロラクトンもまたこのフィルムの一成分であるからである。このことは、患者の身体に導入される異なる外来物質の数を制限することを可能にする。
【0065】
本発明のプロテーゼの結合剤のために適切な、約80,000g/molの分子量を有するε−カプロラクトンのポリマーは、コード440744でSigma−Aldrich社から市販されている製品である。
【0066】
本発明のプロテーゼの非多孔性フィルムは、編地の第一の面に、結合剤によって密接に連結されるが、この編地の第一の面上の、単位表面積あたりの結合剤の量は制限され、そしてこの結合剤は、不連続層の形態で存在し得る。
【0067】
本発明のプロテーゼは、外科医に有用であり得る情報を含む、1つまたはより多くのマーキングをさらに備え得、この情報は、プロテーゼを選択する時点で、および/またはプロテーゼを患者の身体内に配置する時点で、特に有用である。例えば、このマーキングは、このプロテーゼのサイズ、このプロテーゼが矩形である場合にはその長手軸方向または横軸の方向、このプロテーゼの中心などを示し得る。このマーキングはまた、このプロテーゼの、細胞のコロニー形成のために覆われていない面、または逆に、術後癒着を最小にするためにフィルムによって覆われている面を、外科医に示し得る。
【0068】
ある実施形態において、このプロテーゼは、合成生体分解性材料から作製されたマーキングを少なくとも備える。ある実施形態において、このマーキングは、結合剤とフィルムとの間に位置する。他の実施形態において、このマーキングは、編地の第一の面と結合剤との間に位置する。このマーキングは、一片のマーキングまたは数片のマーキングの形態(文字、数字、スポット、ドット、および幾何学的図形など)で、存在し得る。本願において、表現「マークされたゾーン」とは、プロテーゼ、特に編地の第一の面の、少なくとも一片のマーキングが存在するゾーンをいう。
【0069】
ある実施形態において、このプロテーゼの面上の、このプロテーゼのマークされたゾーンの総面積は、このプロテーゼのこの面の総面積の約0.8%〜約4%に相当し得る。
【0070】
ある実施形態において、このマーキングは、ε−カプロラクトンのポリマーの溶液に可溶化された染料からなる組成物から作製される。他の実施形態において、このマーキングは、乳酸とグリコール酸とのコポリマーの溶液に可溶化された染料からなる組成物から作製される。
【0071】
ある実施形態において、このマーキングを形成する合成生体分解性材料は、ε−カプロラクトンのポリマーおよび染料(例えば、D&C Violet N°2)からなる。ある実施形態において、染料(例えば、D&C Violet N°2)対ε−カプロラクトンのポリマーの重量比は、1/1000に等しいかまたはこれより低い。
【0072】
このマーキングを形成する合成生体分解性材料が、ε−カプロラクトンのポリマーおよび染料(特に、D&C Violet N°2)からなる実施形態において、このマーキングを形成する合成生体分解性材料は、特に編地の第一の面と結合剤との間に、約3.2mg/cm〜約4.0mg/cmの範囲の量で、このプロテーゼのマークされたゾーンに存在する。
【0073】
このマーキングを形成する合成生体分解性材料がε−カプロラクトンのポリマーおよびD&C Violet N°2からなり、そしてこの結合剤がε−カプロラクトンのポリマーからなる場合、このプロテーゼのマークされたゾーンの、ε−カプロラクトンのポリマーおよびこのD&C Violet N°2の量は、3.7mg/cm〜約4.6mg/cmの範囲であり得る。このような実施形態において、このプロテーゼのマークされたゾーンの、ε−カプロラクトンのポリマーの量は、制限されたままである。
【0074】
このマーキングを形成する合成生体分解性材料がε−カプロラクトンのポリマーおよび染料からなる場合、このプロテーゼは、制限された数の異なる化学物質を含む。なぜなら、ε−カプロラクトンはまた、フィルムおよび結合剤の一成分であるからである。このことは、患者の身体に導入される異なる外来物質の数を制限することを可能にする。
【0075】
さらに、このマーキングを形成する合成生体分解性材料がε−カプロラクトンのポリマーおよび染料からなる場合、このマーキングを形成する合成生体分解性材料の分解動力学は、結合剤の分解動力学に非常に近い。従って、このマーキングを形成する合成生体分解性材料の分解プロセスと、この結合剤の分解プロセスとは、類似であり、互いに影響を与えない。
【0076】
本発明の別の局面は、上記プロテーゼを形成する方法であり、この方法は、以下の工程を包含する:
・a)合成生体適合性材料のモノフィラメントから作製された多孔性編地を提供する工程であって、この編地は、2つの反対側の面、すなわち、第一の面および第二の面を規定する、工程、
・b)少なくともε−カプロラクトンのコポリマーを少なくとも含む合成非多孔性生体分解性フィルムを提供する工程、
・c)この編地の第一の面を、ε−カプロラクトンのポリマーを少なくとも含む結合溶液で膠付けして、結合溶液の不連続層をこの編地の第一の面上に形成する工程、
・d)工程b)のフィルムをこの編地の膠付けされた第一の面に積層する工程。
【0077】
本発明の方法の第一の工程である工程a)において、合成生体適合性材料のモノフィラメントから作製された多孔性編地が提供される。本発明のプロテーゼのための適切な多孔性編地、およびこれらを製造する方法は、本願で上に記載されている。
【0078】
編成の後に、この編地は、例えば、熱硬化機で、従来の方法に従って熱硬化され得る。
【0079】
本発明の方法の第二の工程である工程b)において、少なくともε−カプロラクトンのコポリマーを少なくとも含む、合成非多孔性生体分解性フィルムが提供される。本発明のプロテーゼのための適切なフィルムおよびそれらの製造方法は、上に記載されている。
【0080】
本発明の方法の第三の工程である工程c)において、工程a)において得られた編地の第一の面が結合溶液で膠付けされて、結合溶液の不連続層を、この編地の第一の面に形成する。
【0081】
ある実施形態において、塩化メチレンなどの溶媒中のε−カプロラクトンのポリマーの組成物が、このフィルムをこの編地の第一の面に結合させるために使用される。例えば、この組成物は、この編地の第一の面を膠付けする目的で、この編地の第一の面に噴霧される。
【0082】
ある実施形態において、この結合溶液は、塩化メチレン中3%(w/v)のε−カプロラクトンのポリマーの溶液である。例えば、ε−カプロラクトンのポリマーを30g/Lの量で塩化メチレン中に含む溶液が、このフィルムをこの編地の第一の面に結合させるために使用される。
【0083】
ある実施形態において、この噴霧する工程は、マイクロフローポンプを備える噴霧器「SONOTEK Flexicoat」を用いて行われる。ある実施形態において、この噴霧する工程は、噴霧ノズルを編地の第一の面上で、数回繰り返し通過させることを包含し得る。
【0084】
ある実施形態において、この結合溶液、具体的には、塩化メチレン中3%(w/v)のε−カプロラクトンのポリマーの溶液は、この編地の第一の面の表面に噴霧される。ある実施形態において、この結合溶液、具体的には、塩化メチレン中3%(w/v)のε−カプロラクトンのポリマーの溶液は、この編地の第一の面の表面に、結合溶液の不連続層を形成するように噴霧される。ある実施形態において、この結合溶液、具体的には、塩化メチレン中3%(w/v)のε−カプロラクトンのポリマーの溶液は、この編地の第一の面の表面に、約10mL/分のこの溶液の送達速度で噴霧される。この噴霧は、数回繰り返され得る。例えば、この結合溶液、具体的には、塩化メチレン中3%(w/v)のε−カプロラクトンのポリマーの溶液は、この編地の第一の面の表面に、噴霧ノズルの3回の通過により、各通過について約10mL/分のこの溶液の送達速度で、噴霧される。
【0085】
ある実施形態において、噴霧およびその後の自然乾燥中に、その溶媒、特に塩化メチレンは、完全に蒸発する。従って、この編地の第一の面に残る結合剤は、ε−カプロラクトンのポリマーからなる。
【0086】
この結合溶液の噴霧条件、特に、約10mL/分のこの溶液の送達速度は、この結合溶液、および最終的に、塩化メチレンなどの溶媒の完全な蒸発後に残る結合剤が、編地の第一の面の表面に不連続層の形態で、特に、編地の第一の面の表面のモノフィラメント繊維の頂部に分布し、結合溶液/結合剤がこの編地の第一の面の表面に存在する細孔内に存在せず、そして結合溶液/結合剤がこの編地の第二の面の表面に存在しないことを可能にする。
【0087】
さらに、このような噴霧条件(例えば、約10mL/分のこの溶液の送達速度および3回という通過の数)は、最終製品(すなわち、プロテーゼ)において、制限された量(例えば、約0.60mg/cm〜約0.95mg/cmの範囲、好ましくは約0.70mg/cm〜約0.85mg/cmの範囲、より好ましくは約0.83mg/cmの量)の結合剤を、フィルムと編地の第一の面との間に得ることを可能にする。
【0088】
本発明の方法の第四の工程である工程d)において、工程b)のフィルムは、編地の膠付けされた面に積層される。
【0089】
この積層は、底部プレートおよび頂部加熱プレートを備えるプレス機で行われ得る。
【0090】
ある実施形態において、この積層する工程は、工程b)のフィルムを、工程c)で得られた編地の膠付けされた面と、約30秒間〜約7分間の範囲、好ましくは約5分間の時間にわたって、約105℃の温度で、約137,895Pa(20psi)〜約1,034,213Pa(150psi)の範囲、好ましくは約172,369Pa(25psi)の接触圧力で接触させることによって、行われる。
【0091】
例えば、この編地は、編地の膠付けされた面を上向きの方向にして、その機械の底部プレート上に配置され得る。次いで、工程b)で得られたフィルムが、この編地の膠付けされた面上に配置され得る。その頂部加熱プレートの温度が、約105℃に設定され得る。この加熱プレートは、この編地およびフィルムと、所望の接触圧力(例えば、約172,369Pa(25psi))で、所望の時間の間(例えば、約5分間の時間の間)、接触したままにされ得る。
【0092】
本発明の方法は、フィルム自体を膠付けする必要なく、このフィルムの編地への効率的な結合を得ることを可能にする。従って、このフィルムを膠付けするというさらなる工程は、本発明の方法を用いると回避される。従って、この方法は、フィルムもまた膠付けされる必要がある既存の方法に対して、単純化される。
【0093】
特に、本発明の方法の、膠付け工程の条件および積層工程の条件は、塩化メチレン中3%(w/v)のε−カプロラクトンのポリマーの溶液を結合溶液として使用することと合わさって、フィルムと編地の第一の面との間の密接な結合を得ることを可能にするが、得られるプロテーゼにおける、このフィルムとこの編地の第一の面との間の表面積あたりの結合剤の量は制限され得、そして得られるプロテーゼにおいて、この結合剤は、このフィルムとこの第一の面との間に、不連続層の形態で存在し得る。
【0094】
得られる本発明のプロテーゼは、組織の効率的な補強を行うことを可能にし、同時に患者の身体内に移植される異なる組成の外来物質の数および量を減少させながら、術後癒着を最小にする。
【0095】
フィルムを積層する観点で、編地の第一の面を膠付けする前に、編地の第一の面に1つまたはより多くのマーキングを提供する目的で、印刷する工程が行われ得る。
【0096】
ある実施形態において、この印刷する工程は、マスクをこの編地の第一の面に配置すること、およびこのマスクを提供された編地の第一の面上に染色溶液を噴霧することを包含する。このマスクは一般に、この編地の第一の面の1つまたはより多くの部分がこの染色組成物を受け取り、従って印刷されることを可能にするように、一方で、この第一の面の表面の残りは保護されるように、設計される。従って、このマスクは、任意の所望の幾何学的図形(例えば、文字、図形など)を編地の第一の面上に印刷することを可能にするように、設計され得る。
【0097】
ある実施形態において、塩化メチレンなどの溶媒中のε−カプロラクトンのポリマーの組成物は、本発明のプロテーゼのためのマーキングとして使用されることが意図される染料を可溶化するために使用される。この組成物は、マスクを提供された編地の第一の面上に噴霧され得る。従って、1つまたはより多くのマーキングが得られる。
【0098】
ある実施形態において、ε−カプロラクトンのポリマーを30g/Lの量で塩化メチレン中に含む溶液が、0.03g/Lの染料を可溶化するために使用される。ある実施形態において、この染料は、D&C Violet N°2である。ある実施形態において、ε−カプロラクトンのポリマーを30g/Lの量で塩化メチレン中に含む溶液は、0.03g/LのD&C Violet N°2を可溶化するために使用される。このような溶液は、塩化メチレン中3%(w/v)のε−カプロラクトンのポリマー、およびε−カプロラクトンのポリマー中0.1%(w/w)のD&C Violet N°2の溶液に対応する。
【0099】
ある実施形態において、この染色溶液は、塩化メチレン中3%(w/v)のε−カプロラクトンのポリマー、およびε−カプロラクトンのポリマー中0.1%(w/w)のD&C Violet N°2の溶液である。
【0100】
ある実施形態において、この噴霧する工程は、マイクロフローポンプを備える噴霧器「SONOTEK Flexicoat」を用いて行われる。ある実施形態において、この噴霧する工程は、噴霧ノズルを、マスクを提供された編地の第一の面上で繰り返し通過させることを包含し得る。
【0101】
ある実施形態において、この染色溶液、特に、塩化メチレン中3%(w/v)のε−カプロラクトンのポリマー、およびε−カプロラクトンのポリマー中0.1%(w/w)のD&C Violet N°2の溶液は、このマスクを提供された編地の第一の面の表面に噴霧される。ある実施形態において、この染色溶液、特に、塩化メチレン中3%(w/v)のε−カプロラクトンのポリマー、およびε−カプロラクトンのポリマー中0.1%(w/w)のD&C Violet N°2の溶液は、このマスクを提供された編地の第一の面の表面に、約10mL/分のこの溶液の送達速度で噴霧される。
【0102】
この噴霧する工程は、そのマーキングのために望ましい色強度に依存して、数回繰り返され得る。ある実施形態において、この染色溶液、特に、塩化メチレン中3%(w/v)のε−カプロラクトンのポリマー、およびε−カプロラクトンのポリマー中0.1%(w/w)のD&C Violet N°2の溶液は、マスクを提供された編地の第一の面の表面上で、約10mL/分のこの溶液の送達速度で、13回の噴霧ノズルの通過により噴霧される。
【0103】
ある実施形態において、噴霧およびその後の自然乾燥中に、その溶媒、特に塩化メチレンは、完全に蒸発する。従って、このマスクが除去された後にこの編地の第一の面上に残るマーキングは、ε−カプロラクトンのポリマー、およびD&C Violet N°2からなる。
【0104】
このような染色組成物の量および印刷する工程の条件は、マーキングが外科医によって容易に見られ得るように、比色強度に関して効率的なマーキングを有することを可能にし、同時に、制限された量の外来物質が患者の身体内にあることを可能にする。
【0105】
さらに、このような噴霧条件は、最終製品(すなわち、プロテーゼ)において、制限された量のマーキング材料(例えば、編地のマークされたゾーンにおいて、およそ約3.2mg/cm〜約4.0mg/cmの量)を得ることを可能にする。
【0106】
本発明のプロテーゼは、従来公知の技術を使用して、包装および滅菌され得る。
【0107】
本発明のプロテーゼは、組織の効率的な補強を行うことを可能にし、同時に患者の身体内に移植される異なる組成の外来物質の数および量を減少させながら、術後癒着を最小にする。本発明のプロテーゼはまた、細胞のコロニー形成に関して特に効率的である。この多孔性編地の有効多孔度は、この編地の第二の面への最適な組織一体化を可能にする。
【0108】
さらに、本発明のプロテーゼは柔らかく、そして容易に折り畳み可能である。従って、本発明のプロテーゼは、トロカールに容易に導入され得、そして腹腔鏡検査外科手術に特に適合する。
【0109】
本発明のプロテーゼは、腹壁ヘルニア修復のために、直視下アプローチまたは腹腔鏡アプローチを介して、腹腔内部位に移植され得る。周囲の組織への固定は、ステープル留め、従来の縫合糸または他の手段によって、達成され得る。
【0110】
本発明の別の局面は、上記のような編地を備えるヘルニア用プロテーゼである。
【0111】
本発明は、以下の実施例および図面からより明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0112】
図1図1は、本発明のプロテーゼの実施形態の断面図である。
【実施例】
【0113】
以下の全ての実施例において、使用されるε−カプロラクトンのポリマーは、製品コード440744でSigma−Aldrich社から市販されている、約80,000g/molの分子量を有するε−カプロラクトンのポリマーである。
【0114】
実施例1:
この実施例は、本発明のプロテーゼのために適切な編地の製造を記載する。
【0115】
1°)多孔性編地Aの製造:
編地Aを、2本のガイドバーB1、B2を有する縦編機またはラッシェル編機で、直径0.12mmのポリプロピレンのモノフィラメントを、このモノフィラメントの編成が従うパターンを以下のようにして、ISO 11676標準に従って、編成することにより製造する:
バーB1:1.2/4.5/4.3/4.5/4.3/1.0/1.2/1.0//
バーB2:4.3/1.0/1.2/1.0/1.2/4.5/4.3/4.5//
ガイドバーB1およびB2は、1本おきに糸を通され、対称的に動く。
【0116】
編地Aのこの編成パターンは、直径が約1.0mmより大きい細孔を作製する。例えば、編地Aのいくつかの細孔は、2.0×2.4mmの平均サイズを有する。細孔のこのような大きいサイズは、細胞のコロニー形成のために非常に好ましく、そして編地Aに良好な透明性を与えて、移植部位における良好な可視性を可能にする。
【0117】
2°)多孔性編地Bの製造:
編地Bを、直径0.10mmのポリプロピレンのモノフィラメントを、2本のガイドバーB1、B2を有する縦編機で、以下のパターンに従って、ISO 11676標準に従って、編成することにより得る:
・バーB1:5.4/4.3/2.1/0.1/1.2/3.4//
・バーB2:0.1/1.2/3.4/5.4/4.3/2.1//
ガイドバーB1およびB2は、1本おきに糸を通され、対称的に動く。
【0118】
編成後、編地AおよびBを、従来の方法に従って熱硬化させる。
【0119】
3°)編地AおよびBの特性:
編地AおよびBの以下の特性を、以下のように決定した:
・単位面積あたりの質量(g/m):ISO 3801:1977「Determination of mass per unit length and mass per unit area」に従って、5標本1dmで測定する。
【0120】
・細孔サイズ(幅×高さ)(mm):編地の最大の細孔を、10個の個々のサンプルに対して1回の測定を行って、ORAMA製の投影機300Vなどの輪郭投影機を用いて測定する。
【0121】
・破裂強度(kPa):ISO 13938−2:1999「Textiles−Bursting properties of textiles−Pneumatic method for determining the bursting strength and bursting deformation」に従って、5サンプルで測定する。
【0122】
・引張強度(N/cm)を、プランジャー試験によって、HounsfieldモデルH5KS (Hounsfield,Redhill,England)などの牽引試験機、クロスヘッド速度:50mm/分、5サンプルを用いて測定する。破裂圧力を、R=56.4mmの半径を有する円形メッシュサンプルを使用し、100cmの試験面積を用いて、外側の縁をクランプして決定し得る(改変DIN 54307更新標準)。次いで、このメッシュに、半径R=50mmの球状スタンプで、速度v=50mm/分で、破断が起こるまで負荷を加える。測定された力および得られる伸長に基づいて、引張強度(N/cm)を計算し得る。
【0123】
・縦糸方向および横糸方向の引裂強度(N):ISO 4674:1977「Textiles covered with rubber or plastic−Determination of the tear strength」方法A2に従って、5サンプル、幅:75mm、引き裂き長さ≦145mm、クロスヘッド速度:100mm/分で測定する。
【0124】
・厚さ:ISO 9073−2:1997「Textiles−test methods for nonwovens−Part 2:Determination of thickness」に従って、10サンプル、100×50mmで測定する。
【0125】
・引張破壊強度および破断時伸び率:ISO 13934−1:2013「Textiles−Tensile properties of fabrics−Part 1:Determination of maximum force and elongation at maximum force using the strip method」に従って、5サンプル、幅:50mm、長さ:顎間200mm、クロスヘッド速度:100mm/分、予圧:0.5N、HounsfieldモデルH5KS(Hounsfield,Redhill,England)などの牽引試験機を使用して測定する。
【0126】
・有効多孔度:1mmより大きい直径を有する細孔を、ORAMA製の投影機300Vなどの輪郭投影機を用いて、100×50mmの1サンプルで測定する。
【0127】
・縦糸方向および横糸方向での縫合糸引抜強度を、NF S94−801:2007「Reinforcement implants introduced by the vaginal route for the treatment of stress urinary incontinence and/or of prolapse of the pelvic organs−pre−clinical trials and clinical trials」−§5.3.3 5に従って、標本50×100mm、USP 2縫合糸ヤーン、クロスヘッド速度:100mm/分、HounsfieldモデルH5KS(Hounsfield,Redhill,England)などの牽引試験機を使用して測定する。
【0128】
これらの結果を以下の表にまとめる:
【0129】
【表1】
【0130】
【表2】
【0131】
実施例2:
この実施例は、本発明のプロテーゼのために適切な、マークされた編地の調製を記載する。
【0132】
実施例1の編地Aに、マーキングを、以下の方法に従って提供する:
a)染色溶液の調製:
塩化メチレン中0.1%(w/v)の染料の母溶液(mother solution)を、最初に以下のように調製する:200mgのD&C Violet N°2を撹拌しながら200mLの塩化メチレンに加える。
【0133】
次いで、染色溶液を、塩化メチレン中3%(w/v)のε−カプロラクトンのポリマーおよびε−カプロラクトンのポリマー中0.1%(w/w)のD&C Violet N°2の溶液の形態で、以下のように調製する:
塩化メチレン中0.1%(w/v)の染料の、18mLの母溶液を、582mLの塩化メチレンに加える。18gのポリマーε−カプロラクトンを撹拌しながらこの溶液に加える。ε−カプロラクトンのポリマーの完全な可溶化まで、この撹拌を続ける。
【0134】
b)染色溶液の噴霧:
空隙ゾーンおよび充填ゾーンを備えるマスクを、編地Aの第一の面、すなわち、編地Aの、その後の工程で癒着障壁フィルムを付着させることが意図される面に、配置する。このマスクの充填ゾーンは、編地Aの第一の面の、マスクされることが意図されないゾーンを保護することが意図される。従って、このマスクの充填ゾーンは、編地Aの第一の面のこれらのゾーンが、染色溶液によって接触され、そして印刷されることを防止する。このマスクの空隙ゾーンは、染色溶液が、編地Aの第一の面の、マークされることが意図されるゾーンに達することを可能にすることが意図される。このマスクの空隙ゾーンには、編地Aの第一の面のマークされたゾーンが対応する。
【0135】
次いで、上記a)で調製された染色溶液は、マスクを提供された編地Aの第一の面に、以下の方法に従って噴霧される:この噴霧は、Sonotek 48 KHz衝撃ノズルおよびマイクロフローポンプを備える超音波噴霧器「SONOTEK Flexicoat」を用いて、以下の条件を用いて行われる:
・ノズル速度:100mm/s
・編地に対するノズルの高さ:40mm
・2個のノズル通路間の間隔:8mm
・溶液の送達速度:10mL/分
この噴霧は、噴霧ノズルの13回の通過の形態で行われる。この噴霧中に、塩化メチレンは完全に蒸発する。
【0136】
噴霧ノズルの13回の通過の終了時に、塩化メチレンの蒸発後に、このマーキングを形成する合成生体分解性材料、すなわち、ポリマーε−カプロラクトンおよびD&C Violet N°2は、編地Aの第一の面に、約3.50mg/cmの量で、編地Aの第一の面のマークされたゾーンに存在する。
【0137】
マーキング材料のこのような量は、マーキングが外科医によって容易に見られ得るように、比色強度に関して効率的なマーキングを有することを可能にし、同時に、制限された量の外来物質が患者の身体内にあることを可能にする。
【0138】
実施例3:
この実施例は、本発明の方法による、本発明のプロテーゼのサンプルの製造を記載する。
【0139】
1°)編地Aの膠付け:
上記実施例2で得られたような、マークされたゾーンを有する編地Aの第一の面を、結合溶液を用いて、以下の方法に従って膠付けする:
塩化メチレン中3%(w/v)のε−カプロラクトンのポリマーの溶液を、結合溶液として調製する。
【0140】
次いで、この結合溶液を、マークされたゾーンを提供された編地Aの第一の面に、以下の方法に従って噴霧する:この噴霧は、Sonotek 48 KHz衝撃ノズルおよびマイクロフローポンプを備える超音波噴霧器「SONOTEK Flexicoat」を用いて、以下の条件を用いて行われる:
・ノズル速度:100mm/s
・編地に対するノズルの高さ:40mm
・2個のノズル通路間の間隔:8mm
・溶液の送達速度:10mL/分
この噴霧は、噴霧ノズルの3回の通過の形態で行われる。この噴霧中に、塩化メチレンは完全に蒸発する。
【0141】
この結合溶液のこのような噴霧条件、特に、10mL/分のこの溶液の送達速度は、この結合溶液、および最終的には、塩化メチレンの完全な蒸発後の結合剤が、編地の第一の面の表面上に、不連続層の形態で分布することを可能にする。実際に、これらの噴霧条件は、制限された量の結合溶液のみが、編地Aの第一の面上に、ノズルの通過ごとに広げられることを可能にする。従って、この結合溶液は、各通過のときに重力により下方に流れず、この溶液が噴霧される編地の面の繊維の頂表面に有意に残る。これらの噴霧条件のおかげで、この結合溶液は、編地の反対側の面(第二の面)の方に移動しない。従って、この結合剤は、編地Aの第一の面の表面に存在したままになり、そして一旦積層工程が完了すると(下記を参照のこと)、フィルムの、編地の第一の面への効率的な結合を完了させるために利用可能である。
【0142】
例えば、溶液の速度がノズルの各通過のときに20mL/分である噴霧条件を用いると、この結合溶液は、その編地の反対側の面の方に移動しやすくなる。最終的に、積層工程になる間に、編地の第一の面とフィルムとの間の結合を行うために、より少ない結合剤が利用可能になる。
【0143】
10mL/分のこの溶液の送達速度での、噴霧ノズルの3回の通過の終了時に、塩化メチレンの蒸発後に、この結合剤、すなわち、ε−カプロラクトンのポリマーは、編地Aの第一の面に、約0.83mg/cmの量で、編地Aの第一の面のマークされていないゾーンに存在する。
【0144】
10mL/分のこの溶液の送達速度での、噴霧ノズルの3回の通過の終了時に、塩化メチレンの蒸発後に、この結合剤およびマーキング材料、すなわち、ε−カプロラクトンのポリマーおよびD&C Violet N°2は、編地Aの第一の面に、約4.33mg/cmの量で、編地Aの第一の面のマークされたゾーンに存在する。
【0145】
以下の記載から明らかであるように、結合溶液のこのような量は、フィルムと編地との効率的な結合を得ることを可能にし、一方で、患者の身体内の外来物質の量を制限する。
【0146】
2°)編地Aの膠付けされた面への非多孔性フィルムの積層:
上記マークされた編地Aの、10.5cm×20.5cmの寸法の矩形のサンプルを調製する。
【0147】
少なくともε−カプロラクトンのコポリマーを少なくとも含む、約68.5〜約71.5モルパーセントのグリコリド、約14.7〜約17.5モルパーセントのε−カプロラクトン、約6.7〜約8.6モルパーセントのトリメチレンカーボネート、および約4.6〜約6.5モルパーセントのラクチドのランダムコポリマーからなる組成物のフラットダイ押し出しにより得られた押し出しフィルムの形態の、非多孔性生体分解性フィルムを提供する。このフィルムは、約20μmの厚さを有する。
【0148】
上記フィルムの11cm×22cmの寸法の矩形のサンプルを調製する。
【0149】
積層を、底部プレートおよび頂部加熱プレートを備えるNelipak製のプレス機を用いて行う。
【0150】
編地Aのサンプルを、この機械の底部プレート上に、その膠付けされた面を上にして配置する。
【0151】
このサンプルフィルムを、圧力が加えられることが意図される表面積が20.5cm×8.5cmになるように、編地Aの頂部に配置する。
【0152】
編地Aおよびフィルムの約3cmのフラップをこの機械から外す。このフラップは積層されず、積層されたサンプルの剥離試験を行うことが可能である。
【0153】
この機械の開始圧力を、1.5×10Pa(1.5bar)に設定する。この頂部加熱プレートの温度を、約105℃に設定する。この頂部加熱プレートを動かして、編地の膠付けされた面を押し付けるようにフィルムと接触させ、そしてこのサンプルに加えられる効率的な圧力は、約172,369Pa(25psi)である。接触時間は5分間である。
【0154】
本発明の合成プロテーゼが得られる。このフィルムは、編地Aの第一の面に、結合剤によって密接に連結され、そして剥離できず、一方で同時に、この編地の第二の表面で、覆われていない多孔度を維持する。具体的には、このフィルムは、編地Aの第一の面に結合剤によって密接に連結されるが、編地Aの第一の面の単位面積あたりの結合剤の量は、制限される。
【0155】
この実施例において、この結合剤は、このプロテーゼの重量に対して、約9重量%の量で存在する。
【0156】
図1を参照すると、この実施例の方法によって得られた、この実施例の本発明のプロテーゼ1の断面図が示されている。
【0157】
プロテーゼ1は、上記のようなポリプロピレンのモノフィラメント3から作製された多孔性編地2(編地A)を備える。編地2は、2つの反対側の面(第一の面4および第二の面5)を規定する。図1に示される編地2の断面は、交互になった編目6と細孔7とを示し、各編目6が、3本のモノフィラメント3を含む。
【0158】
プロテーゼ1は、非多孔性生体分解性フィルム8をさらに備え、このフィルムは、上記のように、編地2の第一の面4を覆う。この編地の第二の面5は、細胞のコロニー形成のために覆われないままにされる。
【0159】
フィルム8は、編地2の第一の面4に、結合剤9によって結合される。この図に見られるように、結合剤9は、材料の不連続層の形態である。具体的には、上で説明されたように、結合剤9は、互いに連結されず、連続フィルムを形成しない、複数の不連続な量の結合剤材料の形態で存在する。編地2の細孔7内に結合剤は存在せず、そして編地2の第二の面5の表面に結合剤は存在しない。
【0160】
編地2の第一の面4とフィルム8との間の、結合剤9の不連続な構造は、移植後の、プロテーゼ1の改善された全体的な組織の一体化を可能にする。実際に、結合剤9のこの不連続な構造は、フィルム8が数週間後に生物分解を開始するとき(術後癒着がもはや起こりそうになく、そしてフィルム8がその癒着の防止という機能を完了したとき)に、細胞のコロニー形成が、編地2の第一の面4においてさらに発達することを可能にする。従って、非多孔性フィルム8がその生物分解を開始した後の、編地の第一の面2を通しての細胞のコロニー形成は、結合剤9の存在によって妨害も遅延もされない。
【0161】
図1には、編地2のマークされたゾーン11に存在する、マーキング10がさらに示されている。
【0162】
3°)剥離強度:
フィルムの剥離強度を確認する目的、およびフィルムと編地Aの第一の面との間の結合の効率を確認する目的で、剥離試験を行った。その概念は、このフィルムを剥離するために必要なエネルギーを測定することである。必要なエネルギーが高いほど、このフィルムとこの編地との間の結合は、より効率的である。
【0163】
剥離強度の測定方法は、以下のとおりである:底部固定顎および頂部可動顎を備える牽引機を使用する。そのロードセルは、50Nのものである。試験の開始前の2つの顎間の距離は、3cmである。
【0164】
上記編地の矩形のサンプルを、上記編地の2.54cmの幅および8.5cmの長さのストリップを、3cm長のフラップを維持して切り取ることにより、調製する。この編地の、上記3cmのフラップの自由端を、底部顎内に把持する。フィルムの上記3cmのフラップの自由端を、頂部顎内に把持する。試験されるべきサンプルを、この機械の使用者に向けて配置する。あらゆる試験の前に、これらの顎を4barの圧力でブロックして、サンプルの安全な把持を確実にする。
【0165】
この試験を、以下のパラメータを用いて行う:
・温度:20℃±2℃、
・相対湿度:65%±4%、
・試験速度:250mm/分、
・予圧:0.25N
・予圧速度:50mm/分
この試験中に、可動顎は、固定顎から離れる方向に動く。60mm〜150mmの変位でこのフィルムをこの編地から分離するために必要なエネルギー(mJ)を測定する。このサンプルを剥離するために必要な最大の力(N)もまた測定する。
【0166】
このエネルギーおよびこの最大の力を、上記のように、この実施例で記載されたように製造した15サンプルについて、測定する。その結果は以下のとおりである:
・15サンプルについての平均エネルギー:429±37mJ、
・15サンプルについての平均の最大の力:6.4±0.6N
これらの結果は、フィルムと編地Aの第一の面との結合が効率的であることを確認する。従って、本発明のプロテーゼのフィルムは、剥離に対して非常に抵抗性である。
【0167】
実施例4:
2つのプロテーゼ(プロテーゼP1およびプロテーゼP2)を、両方、上記実施例1の編地A、上記実施例3の結合溶液、および上記実施例3の非多孔性フィルムを用いて、製造した。
【0168】
プロテーゼP1について、膠付け工程を、結合溶液の不連続層を編地Aの第一の面上に形成するように完了させた。
【0169】
プロテーゼP2について、膠付け工程を、結合溶液を編地Aの第一の面と非多孔性フィルムの面との両方に噴霧することにより、結合溶液が、編地の第一の面とフィルムとの間に、材料の連続層の形態で存在するようにして完了させた。
【0170】
次いで、プロテーゼP1およびP2を積層工程に供した。
【0171】
最終製品の構造は、以下の通りであった:
・プロテーゼP1において:結合剤は、非多孔性フィルムと編地Aの第一の面との間に、不連続層の形態で存在した。
【0172】
・プロテーゼP2において:結合剤は、非多孔性フィルムと編地Aの第一の面との間に、連続層の形態で存在した。
【0173】
プロテーゼP1およびP2をさらに、ラットの皮下組織に直接接触させて、4週間にわたって外科的に移植した(1個のプロテーゼあたり9の部位)。
【0174】
これらのプロテーゼの組織の一体化を、以下のように評価した:進行中の炎症、線維増殖症、線維症、新脈管形成、および被包の程度および性質の考慮を含む複合スコアを表す、組織の内方成長スコアを規定した。このパラメータおよび組織の一体化は、4の最大スコアを有する(1=適、2=良、3=非常に良、4=優)。
【0175】
P1についての結果:全体的な組織の内方成長および移植されたプロテーゼの一体化は、非常に良〜優(3〜4の範囲のスコア)であった。
【0176】
P2についての結果:全体的な組織の内方成長および移植されたプロテーゼの一体化は、良〜優(2〜4の範囲のスコア)であった。
【0177】
本発明の方法は、フィルムと編地の第一の面との効率的な結合を得ることを可能にし、同時に患者の身体内に移植される外来物質の存在を最小にする。
【0178】
得られる本発明のプロテーゼは、組織の効率的な補強を行うことを可能にし、同時に患者の身体内に移植される異なる組成の外来物質の数および量を減少させながら、術後癒着を最小にする。
【0179】
本発明のプロテーゼはまた、細胞のコロニー形成に関して特に効率的である。この編地、特に編地Aの有効多孔度は、この編地の第二の面への最適な組織一体化を可能にする。
【0180】
さらに、本発明のプロテーゼは柔らかく、そして容易に折り畳み可能である。従って、本発明のプロテーゼは、トロカールに容易に導入され得、そして腹腔鏡検査外科手術に特に適合する。
図1