特許第6771323号(P6771323)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6771323
(24)【登録日】2020年10月1日
(45)【発行日】2020年10月21日
(54)【発明の名称】トイレブース
(51)【国際特許分類】
   E04B 2/82 20060101AFI20201012BHJP
【FI】
   E04B2/82 521A
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-130023(P2016-130023)
(22)【出願日】2016年6月30日
(65)【公開番号】特開2018-3389(P2018-3389A)
(43)【公開日】2018年1月11日
【審査請求日】2019年3月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】307038540
【氏名又は名称】三和シヤッター工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085394
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 哲夫
(74)【代理人】
【識別番号】100206106
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 郁夫
(72)【発明者】
【氏名】高島 健一
(72)【発明者】
【氏名】中川 昌美
(72)【発明者】
【氏名】松原 可菜子
【審査官】 新井 夕起子
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−098721(JP,A)
【文献】 特開平08−144547(JP,A)
【文献】 特開平10−238148(JP,A)
【文献】 米国特許第05592787(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 2/72 − 2/82
E04H 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
正面パネルとドアパネルと奥行パネルとで構成されるトイレブースであって、正面パネル、奥行パネルのパネル体については、左右両端部に縦材が組込まれ、上下方向に適宜間隔を存して複数の横材が組込まれるようにして予め規定寸法で製造されたものを用いて組立てられたトイレブースにおいて、トイレブースの左右幅の設計寸法が規定寸法に合わない場合、前記パネル体の左右何れか一端側を、該側の縦材と共にトイレブースの設計寸法に合わせて切断したものが組込まれるものであって、
前記切断されたパネル体が躯体の壁に隣接する端パネルである場合に、該端パネルの一端側が前記壁側に組込まれ、他端側が壁とは反対側に組込まれるものであり、
前記切断された端パネルの一端側は、壁側に固定されるエッジ材に、トイレブースの室内側からのみ螺入するビスを介して横材に固定されることを特徴とするトイレブース。
【請求項2】
正面パネルが前記切断されたパネル体である場合に、正面パネルの縦材がある側がドアパネルの吊元側になるように組込まれていることを特徴とする請求項1記載のトイレブース。
【請求項3】
奥行パネルが前記切断されたパネル体である場合に、奥行パネルの縦材がある側が正面パネルとの連結側になるように組込まれていることを特徴とする請求項1または2記載のトイレブース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、学校や駅、病院等の建造物に建て付けられるトイレブースの技術分野に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、学校や駅、病院等の建造物に建て付けられるトイレブースは、正面(前面)パネル、ドアパネル、奥行パネルを組立てることで構成されている。この場合に、ドアパネルについては、吊元側にヒンジを設ける一方、戸先側には錠を設けたりするためそれなりの強度が必要であると共に、人の出入りを阻害しないようにするため左右両端部に縦材が設けられた定寸法のものが用いられる。これに対し、正面パネル、奥行パネルの左右幅の寸法については、現場に合わせて種々のものが採用される。このように現場に合わせた種々の寸法の正面パネルや奥行パネルをいちいち工場で製造しなければならないうえ、これらをストックしておくことは事実上困難であり、そこで予め定められた規定寸法のパネル体を作成し、これを現場の設計寸法に合わせて左右一端側を切断したものを採用することが提唱される(例えば特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−35272号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところでこのようなパネル体は、左右両端縁に縦材を配して強度アップを図っているが、左右一端側を切断した場合、該切断側は縦材がないパネル体となって強度的に弱く、このようなパネル体をどのように組み込んでトイレブースを構成するかという点で問題があり、ここに本発明の解決すべき課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、正面パネルとドアパネルと奥行パネルとで構成されるトイレブースであって、正面パネル、奥行パネルのパネル体については、左右両端部に縦材が組込まれ、上下方向に適宜間隔を存して複数の横材が組込まれるようにして予め規定寸法で製造されたものを用いて組立てられたトイレブースにおいて、トイレブースの左右幅の設計寸法が規定寸法に合わない場合、前記パネル体の左右何れか一端側を、該側の縦材と共にトイレブースの設計寸法に合わせて切断したものが組込まれるものであって、前記切断されたパネル体が躯体の壁に隣接する端パネルである場合に、該端パネルの一端側が前記壁側に組込まれ、他端側が壁とは反対側に組込まれるものであり、前記切断された端パネルの一端側は、壁側に固定されるエッジ材に、トイレブースの室内側からのみ螺入するビスを介して横材に固定されることを特徴とするトイレブースである。
請求項2の発明は、正面パネルが前記切断されたパネル体である場合に、正面パネルの縦材がある側がドアパネルの吊元側になるように組込まれていることを特徴とする請求項1記載のトイレブースである。
請求項3の発明は、奥行パネルが前記切断されたパネル体である場合に、奥行パネルの縦材がある側が正面パネルとの連結側になるように組込まれていることを特徴とする請求項1または2記載のトイレブースである。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明とすることにより、規定寸法で製造された正面パネル、奥行パネルが、トイレブースの設計寸法と合わなかった場合に、これらパネルを設計変更に合わせて切断することで使用することができることになって、いちいち設計変更のトイレブース用パネルを製造する必要がなく、生産性が向上する。しかも切断されないで縦材が残っている側を強度が要求される側として使用できることになって切断したにもかかわらず強度の低下を低減できることになる。
請求項の発明とすることにより、正面パネルの切断されない側を強度が要求される吊元側として使用できることになる。
請求項の発明とすることにより、奥行パネルの切断されない側が正面パネルに連結される側として使用されるため、正面パネル側の連結部位が縦材のない位置であっても強度維持を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】トイレブースの正面図である
図2】トイレブースの平面図である。
図3】トイレブースのコーナーパネル部位側半部の水平断面図である。
図4】トイレブースの端パネル側半部の水平断面図である。
図5】(A)(B)は正面パネルの正面断面図、縦断面図である。
図6】(A)(B)は正面パネルの正面図、切断した状態の正面図である。
図7】(A)(B)は奥行パネルの正面図、切断した状態の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。図面において、1はトイレブースであって、該トイレブース1は正面パネル2、ドアパネル3、奥行パネル4の3種類のパネル体から構成されている。さらに正面パネル2は、T字パネル5、端パネル6、コーナーパネル7があるが、本実施の形態では、これら正面パネル2(5、6、7)並びに奥行パネル4は、予め設定された規定寸法のものとして製造され、これらを各現場での設計寸法に基づいて、左右方向一端側を切断したもので組立てられており、これについて以降詳述する。
【0009】
まず正面パネル2は、横幅の規定寸法として、例えば300、400、600、900mmのものを製造しておくが、正面パネル2には、左右縦材2aと、上下方向に適宜間隔を存して設けられる横材2bとで梯子状に枠組みされ、その表裏面をメラミン化粧板等からなる面板2cで覆蓋され、さらに縦材2a、横材2bとのあいだの空間にはハニカムコア等からなるコア材2dが内装されている。そして正面パネル2は、現場の設計寸法に基づき工場で左右方向一端側を切断(切断線C)した後、本実施の形態では、T字パネル5については左右エッジ材8をビス9を介して固定したものを現場に出荷することになる。そしてこの場合、縦材2aのない側は、横材2b位置においてビス9を螺入してエッジ材8を固定することになり、これによって縦材2aがない切断側においてもエッジ材8の確実な固定ができるようになっている。また、端パネル6、コーナーパネル7については、縦材2aがある側が吊元側となって強度が要求される側となるので、エッジ材8aをビス9を介して固定するが、切断されて縦材2aがない側は、現場にてエッジ材に相当する後述の連結レール11に固定されるため、何もない状態で現場に搬送されることになるが、T字パネル5のように左右両端が壁Wに取付けられずエッジ材が左右に必要である場合には工場にて左右のエッジ材を固定した後、現場に出荷することになる。
尚、本実施の形態では、上下の横材2bの上下にさらに既成の上横材2e、下横材2fが設けられたものになっているが、これらが一体になったものとしてもよいことは勿論である。因みに後述する奥行パネル4も同様の構成になっている。
【0010】
そして本実施の形態のトイレブース1においては、ドアパネル3は、端パネル6、コーナーパネル7側が吊元側、T字パネル5側が戸先側になる構成になっており、このため、端パネル6、コーナーパネル7は、ヒンジ10が取付けられる側、つまり強度が必要な側が縦材2aを残した側となり、このような強度が必要ない側が縦材2aのない側となるよう配された状態で現場組立てされる。そして端パネル6については、縦材2aのない側が壁Wおよび壁W内の下地材13にビス9を介して固定される連結レール(本発明の「エッジ材」に相当する。)11に対し図3、4から明らかなように、トイレブース1の室内側からのみ螺入されるビス9を介して横材2bに固定されることで補強され、コーナーパネル7については、縦材2aのないコーナー側が、後述する奥行パネル4にビス9を介して固定されるコーナーレール(本発明の「エッジ材」に相当する。)12に嵌合組込みされる。
またT字パネル5については、左右両端縁が戸先側になっていて吊元側のような強度が必要とされないため、左右の向きはどちらでもよいが、左右何れか一方が吊元側となる場合には、該吊元側となる側が縦材2aの有る側となるように配して組立てる。
【0011】
これに対し、奥行パネル4については、壁Wの表面は、施工の精度もあって完全に垂直平面ではないことが前提とされ、このため現場で測定した実寸に基づいて工場で製造された規定寸法(例えば600、900mm)の奥行パネル4を、現場において測定した設計寸法に合わせて左右方向一端部を現場にて切断(切断線C)したものを用いて組立てることになる。この場合、奥行パネル4も、正面パネル2と同様、縦材4a、横材4b、面板4c、コア材4dを用いて形成されるが、前記現場切断された奥行パネル4は、T字パネル5については左右方向中間部(この部分は縦材2aがない)に連結レール11を介して突き当て状に連結され、コーナーパネル7については縦材2aのない側の端部にコーナーレール(本発明の「エッジ材」に相当する。)12を介して突き当て状に連結されるが、この場合に奥行パネル4のT字パネル5、コーナーパネル7に対する連結部位は何れも縦材2aのない部位であるから強度的に弱く、そこで奥行パネル4については、縦材4aがあることで強度的に強い側を突き当て状に連結することでトイレブース1の強度アップを図るように配慮している。尚、奥行パネル4については、ペーハーホルダ(図示せず)取付け位置に対応して横材4bがさらに設けられている。
そして奥行パネル4は、縦材4aがない側の端部は、壁Wおよび壁W内に設けた下地材13にビス固定される連結レール11にビス9を介して横材4bに固定されることで強度アップが図れるようになっている。
因みに奥行パネル4について、一枚でトイレブース1を仕切ることができる場合には前述した構成(図3参照)になるが、複数枚で仕切る場合には中間連結レール14を介して、奥行パネル4の縦材4aがある部位と縦材4aのない部位とを一連状に連結するようにして強度維持を図っている(図4参照)。
【0012】
叙述の如く構成された本実施の形態において、トイレブース1を組立てるにあたり、現場での左右幅の設計寸法が、工場製造された正面パネル2、奥行パネル4の規定寸法と合わない場合、正面パネル2については工場において設計寸法に合わせて切断し、ビス9にてエッジ材8、8aを固定したものを現場に搬入し、奥行パネル4については、工場製造されたものを現場に搬入して設計寸法に合わせて切断したものを用いてそれぞれ組立てることになる。
【0013】
この場合に、正面パネル2のうち、端パネル6、コーナーパネル7については、縦材2aがある側を強度が必要な吊元側とし、縦材2aがない側を壁Wやコーナー側に位置するようにし、奥行パネル4については、T字パネル5やコーナーパネル7に連結される側を強度のある縦材4aが設けられた側として強度維持を図り、壁Wに連結されて強度維持される側を縦材4aのない側としている。この結果、トイレブース1を構成するための正面パネル2、奥行パネル4は、規定寸法で予め工場製造したものを用いて、強度維持を図りながら規定寸法外のトイレブース1を組立てられることになり、規定寸法外の設計寸法のパネルをいちいち製造する必要がなく、製造効率が向上することになる。
【0014】
しかもこのものでは、正面パネル2にエッジ材8、8aを取付ける場合に、切断することで縦材2aがない側のエッジ材8は、横材2b位置でビス9を介して固定できるため、確りとした取付けができることになる。
【0015】
尚、切断された側のパネルが、トイレブースの正面パネル2、奥行パネル4として使用可能(必要において再度切断することも含めて)であれば、処分することなくこれを使用してトイレブース1を組立てることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0016】
本発明は、学校や駅、病院等の建造物に建て付けられるトイレブースに利用することができる。
【符号の説明】
【0017】
1 トイレブース
2 正面パネル
2a 縦材
2b 横材
3 ドアパネル
4 奥行パネル
4a 縦材
4b 横材
5 T字パネル
6 端パネル
7 コーナーパネル
8 エッジ材
9 ビス
10 ヒンジ
11 連結レール
12 コーナーレール
C 切断線
W 壁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7