(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
燃料電池を備えた燃料電池システムと、槽内に給水する槽用給水路が槽下部に接続され且つ槽内の湯水を補助加熱器に対して送出する出湯路が槽上部に接続された貯湯槽と、槽下部から取り出した湯水を前記燃料電池システムにて発生する熱にて加熱したのち槽上部に戻す形態で前記貯湯槽に貯湯する貯湯手段と、運転を制御する制御手段とを備え、
前記出湯路に、前記貯湯槽から取り出した湯水と混合用給水路から供給される水とを混合すると共に、その混合比を調節自在な混合手段を備え、
前記制御手段が、前記出湯路から出湯する湯水の温度を指定の目標出湯温度にすべく、前記混合手段を制御するように構成された熱電併給システムであって、
前記燃料電池システム、前記貯湯槽、前記貯湯手段、前記混合手段及び前記制御手段を備えて熱電併給ユニットが構成され、
前記制御手段に、
前記補助加熱器が受け入れる湯水の温度を、当該補助加熱器の受け入れ湯水要件を満たす温度に調整する入水温度調整処理を前記混合手段を働かせて実行する第1制御手段と、
前記第1制御手段による前記入水温度調整処理における前記貯湯槽からの出湯量よりも、前記貯湯槽からの出湯量を増加させる貯湯槽出湯量増加処理を実行する第2制御手段とを備え、
前記貯湯槽内下部の湯水の温度を検出する槽下部温度検出手段と、
外気温度又は前記槽用給水路にて給水される水の温度を検出する気象依存温度検出手段と、
前記槽下部温度検出手段の検出温度が所定の第1判定用槽下部温度よりも高くなり、且つ、前記気象依存温度検出手段の検出温度が所定の第1判定用気象依存温度よりも高くなると、前記出湯路を通して前記貯湯槽から取り出す湯水の量を強制的に増加させる必要がある出湯量要増加状態であると判定する気象依存条件判定手段とが設けられ、
前記第1制御手段による前記入水温度調整処理の実行中に、
前記気象依存条件判定手段により前記出湯量要増加状態であると判定されると、
前記第2制御手段が、前記目標出湯温度を高温側に補正し、その補正した目標出湯温度に基づいて前記混合手段の作動を制御して前記貯湯槽出湯量増加処理を実行する熱電併給システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、以下に説明するように、給水予熱式のものは後混合式のものに比べて、出湯路による貯湯槽からの出湯量が少なくなり易く、そして、貯湯槽からの出湯量が少なくなることに関連して種々の課題が生じるので、改善が望まれていた。
即ち、例えば、外気温が高いとき等、混合用給水路からの水の温度が高いときは、混合手段での混合用給水路からの水の混合比が大きくなって、貯湯槽からの湯水の混合比が小さくなるので、貯湯槽からの出湯量が少なくなる。
【0010】
尚、貯湯槽からの出湯量が少なくなると、例えば、以下の課題が発生する。
即ち、燃料電池システムから発生する熱にて加熱されたのち戻される湯の温度に近い温度の湯が貯湯槽の底部にまで貯留される状態(以下、満蓄状態と記載する場合がある)になり易く、満蓄状態になると、貯湯槽の下部から取り出されて燃料電池システムに供給される湯水の温度が高くなる。従って、燃料電池システムから発生する熱を十分に回収して、燃料電池システムの運転を継続するためには、貯湯槽の下部から取り出した湯水を、燃料電池システムから発生する熱を回収する前に、ラジエータで強制的に放熱させる必要があるので、熱損失が大きくなり、省エネルギー性の向上という課題が発生する。
【0011】
本発明は、かかる実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、給水予熱式に構成しながらも、貯湯槽からの出湯量を増大し得る熱電併給システ
ムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するための本発明に係る熱電併給システムは、燃料電池を備えた燃料電池システムと、槽内に給水する槽用給水路が槽下部に接続され且つ槽内の湯水を補助加熱器に対して送出する出湯路が槽上部に接続された貯湯槽と、槽下部から取り出した湯水を前記燃料電池システムにて発生する熱にて加熱したのち槽上部に戻す形態で前記貯湯槽に貯湯する貯湯手段と、運転を制御する制御手段とを備え、
前記出湯路に、前記貯湯槽から取り出した湯水と混合用給水路から供給される水とを混合すると共に、その混合比を調節自在な混合手段を備え、
前記制御手段が、前記出湯路から出湯する湯水の温度を指定の目標出湯温度にすべく、前記混合手段を制御するように構成されたものであって、
その特徴構成は、前記燃料電池システム、前記貯湯槽、前記貯湯手段、前記混合手段及び前記制御手段を備えて熱電併給ユニットが構成され、
前記制御手段に、
前記補助加熱器が受け入れる湯水の温度を、当該補助加熱器の受け入れ湯水要件を満たす温度に調整する入水温度調整処理を前記混合手段を働かせて実行する第1制御手段と、
前記第1制御手段による前記入水温度調整処理における前記貯湯槽からの出湯量よりも、前記貯湯槽からの出湯量を増加させる貯湯槽出湯量増加処理を実行する第2制御手段とを備え
、
前記貯湯槽内下部の湯水の温度を検出する槽下部温度検出手段と、
外気温度又は前記槽用給水路にて給水される水の温度を検出する気象依存温度検出手段と、
前記槽下部温度検出手段の検出温度が所定の第1判定用槽下部温度よりも高くなり、且つ、前記気象依存温度検出手段の検出温度が所定の第1判定用気象依存温度よりも高くなると、前記出湯路を通して前記貯湯槽から取り出す湯水の量を強制的に増加させる必要がある出湯量要増加状態であると判定する気象依存条件判定手段とが設けられ、
前記第1制御手段による前記入水温度調整処理の実行中に、
前記気象依存条件判定手段により前記出湯量要増加状態であると判定されると、
前記第2制御手段が、前記目標出湯温度を高温側に補正し、その補正した目標出湯温度に基づいて前記混合手段の作動を制御して前記貯湯槽出湯量増加処理を実行する点にある。
【0013】
上記特徴構成によれば、第1制御手段が作動する状態では、入水温度調整処理が実行されて、補助加熱器が受け入れる湯水の温度を当該補助加熱器の受け入れ湯水要件を満たす温度に調整するように、混合手段が制御される。換言すれば、本願の課題となる貯湯槽からの出湯量が比較的少ない混合制御が行われる。
この状態に対して、第2制御手段が作動すると、貯湯槽出湯量増加処理が実行されて、貯湯槽からの出湯量が、入水温度調整処理における貯湯槽からの出湯量よりも増加する。
つまり、例えば、貯湯槽からの出湯量を増加させる課題の発生時に、第2制御手段を作動させるように構成することで、貯湯槽からの出湯量を増加させることができる。
加えて、燃料電池システム、貯湯槽、貯湯手段、混合手段及び制御手段を一まとめに備えて、熱電併給ユニットが構成されているので、当該熱電併給ユニットから出湯路を介して補助加熱器に湯水を送出して、給湯先に給湯する構成とされた給湯システムの小型化を図ることができる。
又、熱電併給ユニットを設置して、出湯路の先端を補助加熱器に接続することにより、給湯システムを構築することができるので、給湯システムの設置作業の簡素化を図ることができる。
要するに、給水予熱式に構成しながらも、貯湯槽からの出湯量を増大し得る熱電併給システムを提供することができる。更に、当該熱電併給システムを備えた給湯システムの小型化及び設置作業の簡素化を図ることができる。
【0015】
又、上記特徴構成によれば、槽下部温度検出手段の検出温度が所定の第1判定用槽下部温度よりも高くなり、且つ、気象依存温度検出手段の検出温度が所定の第1判定用気象依存温度よりも高くなると、気象依存条件判定手段により、出湯量要増加状態であると判定される。
そして、第1制御手段による入水温度調整処理の実行中に、気象依存条件判定手段により出湯量要増加状態であると判定されると、第2制御手段により、目標出湯温度が高温側に補正されて、その補正された目標出湯温度に基づいて混合手段の作動が制御されることにより、貯湯槽出湯量増加処理が実行される。
貯湯槽出湯量増加処理が実行されると、混合手段によって、混合後の温度が高温側に補正された目標出湯温度になるように、貯湯槽からの湯水と槽用給水路からの水とが混合されるので、貯湯槽からの出湯量が入水温度調整処理における貯湯槽からの出湯量よりも多くなる。
【0016】
ちなみに、第1判定用気象依存温度としては、例えば、入水温度調整処理での混合手段の制御では貯湯槽からの湯水の混合比が顕著に小さくなる温度に設定し、又、第1判定用槽下部温度としては、例えば、燃料電池システムにて発生する熱にて加熱されたのち貯湯槽に戻される湯の温度に近い温度に設定する。尚、槽下部温度検出手段の検出温度が所定の第1判定用槽下部温度よりも高くなることは、貯湯槽が満蓄状態又は満蓄状態に近い状態になることに相当する。
つまり、入水温度調整処理での混合手段の制御では貯湯槽からの湯水の混合比が顕著に小さくなり、しかも、貯湯槽が満蓄状態又は満蓄状態に近い状態になって、貯湯槽に蓄熱されている熱がラジエータで放熱される状態が長く続いて、省エネルギー性が低下する虞がある状態になると、出湯量要増加状態であると判定されて、貯湯槽出湯量増加処理が実行される。
従って、省エネルギー性を向上すべく、貯湯槽からの出湯量を増大することができる。
【0017】
上記目的を達成するための本発明に係る熱電併給システムは、燃料電池を備えた燃料電池システムと、槽内に給水する槽用給水路が槽下部に接続され且つ槽内の湯水を補助加熱器に対して送出する出湯路が槽上部に接続された貯湯槽と、槽下部から取り出した湯水を前記燃料電池システムにて発生する熱にて加熱したのち槽上部に戻す形態で前記貯湯槽に貯湯する貯湯手段と、運転を制御する制御手段とを備え、
前記出湯路に、前記貯湯槽から取り出した湯水と混合用給水路から供給される水とを混合すると共に、その混合比を調節自在な混合手段を備え、
前記制御手段が、前記出湯路から出湯する湯水の温度を指定の目標出湯温度にすべく、前記混合手段を制御するように構成されたものであって、
その特徴構成は、前記燃料電池システム、前記貯湯槽、前記貯湯手段、前記混合手段及び前記制御手段を備えて熱電併給ユニットが構成され、
前記制御手段に、
前記補助加熱器が受け入れる湯水の温度を、当該補助加熱器の受け入れ湯水要件を満たす温度に調整する入水温度調整処理を前記混合手段を働かせて実行する第1制御手段と、
前記第1制御手段による前記入水温度調整処理における前記貯湯槽からの出湯量よりも、前記貯湯槽からの出湯量を増加させる貯湯槽出湯量増加処理を実行する第2制御手段とを備え、
前記出湯路における前記混合手段よりも下流側の箇所から、排水路が分岐され、当該排水路を開閉する排水弁が設けられ、
前記貯湯槽内下部の湯水の温度を検出する槽下部温度検出手段と、
前記槽下部温度検出手段の検出温度が所定の第3判定用槽下部温度よりも低い状態が判定用設定時間継続すると、前記出湯路を通して前記貯湯槽から取り出す湯水の量を強制的に増加させる必要がある出湯量要増加状態であると判定する槽下部温度依存条件判定手段とが設けられ、
前記槽下部温度依存条件判定手段により前記出湯量要増加状態であると判定されることに基づいて、
前記第2制御手段が、前記排水弁を開弁した状態で、前記目標出湯温度を高温側に補正し、その補正した目標出湯温度に基づいて前記混合手段の作動を制御して前記貯湯槽出湯量増加処理を実行する点にある。
【0018】
上記特徴構成によれば、第1制御手段が作動する状態では、入水温度調整処理が実行されて、補助加熱器が受け入れる湯水の温度を当該補助加熱器の受け入れ湯水要件を満たす温度に調整するように、混合手段が制御される。換言すれば、本願の課題となる貯湯槽からの出湯量が比較的少ない混合制御が行われる。
この状態に対して、第2制御手段が作動すると、貯湯槽出湯量増加処理が実行されて、貯湯槽からの出湯量が、入水温度調整処理における貯湯槽からの出湯量よりも増加する。
つまり、例えば、貯湯槽からの出湯量を増加させる課題の発生時に、第2制御手段を作動させるように構成することで、貯湯槽からの出湯量を増加させることができる。
加えて、燃料電池システム、貯湯槽、貯湯手段、混合手段及び制御手段を一まとめに備えて、熱電併給ユニットが構成されているので、当該熱電併給ユニットから出湯路を介して補助加熱器に湯水を送出して、給湯先に給湯する構成とされた給湯システムの小型化を図ることができる。
又、熱電併給ユニットを設置して、出湯路の先端を補助加熱器に接続することにより、給湯システムを構築することができるので、給湯システムの設置作業の簡素化を図ることができる。
要するに、給水予熱式に構成しながらも、貯湯槽からの出湯量を増大し得る熱電併給システムを提供することができる。更に、当該熱電併給システムを備えた給湯システムの小型化及び設置作業の簡素化を図ることができる。
又、上記特徴構成によれば、槽下部温度検出手段の検出温度が所定の第3判定用槽下部温度よりも低い状態が判定用設定時間継続すると、槽下部温度依存条件判定手段により、出湯量要増加状態であると判定される。
そして、槽下部温度依存条件判定手段により出湯量要増加状態であると判定されることに基づいて、第2制御手段により、排水弁を開弁した状態で、目標出湯温度が高温側に補正されて、その補正された目標出湯温度に基づいて混合手段の作動が制御されることにより、貯湯槽出湯量増加処理が実行される。
貯湯槽出湯量増加処理が実行されると、槽上部から湯水が取り出されると共に、槽用給水路を通して水が槽下部に供給され、貯湯槽から取り出された湯水と混合用給水路からの水とが混合手段で混合されて、混合後の湯水が排水路を通して排水される。
【0019】
ちなみに、第3判定用槽下部温度としては、例えば、湯水が長時間にわたって放置されると水質が低下する虞がある温度に設定し、判定用設定時間としては、例えば、貯湯槽内で湯水が第3判定用槽下部温度以下の状態で放置されても水質の低下の防止が可能な条件で、極力長い時間に設定する。
つまり、貯湯槽内の湯水の水質が低下する虞がある状態になると、出湯量要増加状態であると判定されて、貯湯槽出湯量増加処理が実行される。この貯湯槽出湯量増加処理により、貯湯槽内に貯留されている時間が長い貯湯槽内の上部側の湯水が排水路を通して排水されると共に、貯湯槽内下部側の湯水が給水源からの新しい水に置き換えられるので、貯湯槽内の湯水の水質の低下を防止することができる。
【0020】
尚、この貯湯槽出湯量増加処理では、混合手段で混合された湯水は、排水路を通して排水されるため、補助加熱器に供給されないようにすることが可能となるので、目標出湯温度を補正する温度を高く(例えば、補助加熱器の受け入れ湯水要件を満たす温度よりも高く)設定することが可能である。目標出湯温度を補正する温度を高くするほど、貯湯槽からの出湯量が多くなるので、水質低下の防止のために実行する貯湯槽出湯量増加処理の実行時間を短縮することができる。
従って、貯湯槽内の湯水の水質の低下を防止すべく、貯湯槽からの出湯量を増大することができる。
【0021】
上記目的を達成するための本発明に係る熱電併給システムは、燃料電池を備えた燃料電池システムと、槽内に給水する槽用給水路が槽下部に接続され且つ槽内の湯水を補助加熱器に対して送出する出湯路が槽上部に接続された貯湯槽と、槽下部から取り出した湯水を前記燃料電池システムにて発生する熱にて加熱したのち槽上部に戻す形態で前記貯湯槽に貯湯する貯湯手段と、運転を制御する制御手段とを備え、
前記出湯路に、前記貯湯槽から取り出した湯水と混合用給水路から供給される水とを混合すると共に、その混合比を調節自在な混合手段を備え、
前記制御手段が、前記出湯路から出湯する湯水の温度を指定の目標出湯温度にすべく、前記混合手段を制御するように構成されたものであって、
その特徴構成は、前記燃料電池システム、前記貯湯槽、前記貯湯手段、前記混合手段及び前記制御手段を備えて熱電併給ユニットが構成され、
前記制御手段に、
前記補助加熱器が受け入れる湯水の温度を、当該補助加熱器の受け入れ湯水要件を満たす温度に調整する入水温度調整処理を前記混合手段を働かせて実行する第1制御手段と、
前記第1制御手段による前記入水温度調整処理における前記貯湯槽からの出湯量よりも、前記貯湯槽からの出湯量を増加させる貯湯槽出湯量増加処理を実行する第2制御手段とを備え、
前記出湯路における前記混合手段よりも下流側の箇所から、排水路が分岐され、当該排水路を開閉する排水弁が設けられ、
前記燃料電池が、商用電力系統に連系され、
前記貯湯槽内下部の湯水の温度を検出する槽下部温度検出手段と、
外気温度又は前記槽用給水路にて給水される水の温度を検出する気象依存温度検出手段と、
前記商用電力系統が停電した状態で、前記槽下部温度検出手段の検出温度が所定の第2判定用槽下部温度よりも高くなり、且つ、前記気象依存温度検出手段の検出温度が所定の第2判定用気象依存温度よりも高くなると、前記出湯路を通して前記貯湯槽から取り出す湯水の量を強制的に増加させる必要がある出湯量要増加状態であると判定する停電依存条件判定手段とが設けられ、
前記停電依存条件判定手段により前記出湯量要増加状態であると判定されることに基づいて、
前記第2制御手段が、前記排水弁を開弁した状態で、前記目標出湯温度を高温側に補正し、その補正した目標出湯温度に基づいて前記混合手段の作動を制御して前記貯湯槽出湯量増加処理を実行する点にある。
【0022】
上記特徴構成によれば、第1制御手段が作動する状態では、入水温度調整処理が実行されて、補助加熱器が受け入れる湯水の温度を当該補助加熱器の受け入れ湯水要件を満たす温度に調整するように、混合手段が制御される。換言すれば、本願の課題となる貯湯槽からの出湯量が比較的少ない混合制御が行われる。
この状態に対して、第2制御手段が作動すると、貯湯槽出湯量増加処理が実行されて、貯湯槽からの出湯量が、入水温度調整処理における貯湯槽からの出湯量よりも増加する。
つまり、例えば、貯湯槽からの出湯量を増加させる課題の発生時に、第2制御手段を作動させるように構成することで、貯湯槽からの出湯量を増加させることができる。
加えて、燃料電池システム、貯湯槽、貯湯手段、混合手段及び制御手段を一まとめに備えて、熱電併給ユニットが構成されているので、当該熱電併給ユニットから出湯路を介して補助加熱器に湯水を送出して、給湯先に給湯する構成とされた給湯システムの小型化を図ることができる。
又、熱電併給ユニットを設置して、出湯路の先端を補助加熱器に接続することにより、給湯システムを構築することができるので、給湯システムの設置作業の簡素化を図ることができる。
要するに、給水予熱式に構成しながらも、貯湯槽からの出湯量を増大し得る熱電併給システムを提供することができる。更に、当該熱電併給システムを備えた給湯システムの小型化及び設置作業の簡素化を図ることができる。
又、上記特徴構成によれば、商用電力系統が停電した状態で、槽下部温度検出手段の検出温度が所定の第2判定用槽下部温度よりも高くなり、且つ、気象依存温度検出手段の検出温度が所定の第2判定用気象依存温度よりも高くなると、停電依存条件判定手段により、出湯量要増加状態であると判定される。
そして、停電依存条件判定手段により出湯量要増加状態であると判定されることに基づいて、第2制御手段により、排水弁を開弁した状態で、目標出湯温度が高温側に補正されて、その補正された目標出湯温度に基づいて混合手段の作動が制御されることにより、貯湯槽出湯量増加処理が実行される。
貯湯槽出湯量増加処理が実行されると、槽上部から湯水が取り出されると共に、槽用給水路を通して水が槽下部に供給され、貯湯槽から取り出された湯水と混合用給水路からの水とが混合手段で混合されて、混合後の湯水が排水路を通して排水される。
貯湯槽出湯量増加処理が実行されるのに伴って、燃料電池システムから発生する熱を回収するために槽下部から取り出される貯湯槽の湯水の温度が低下する。
【0023】
ちなみに、第2判定用気象依存温度としては、例えば、入水温度調整処理での混合手段の制御では貯湯槽からの湯水の混合比が顕著に小さくなる温度に設定し、又、第2判定用槽下部温度としては、例えば、燃料電池システムにて発生する熱にて加熱されたのち貯湯槽に戻される湯の温度に近い温度に設定する。尚、槽下部温度検出手段の検出温度が所定の第2判定用槽下部温度よりも高くなることは、貯湯槽が満蓄状態又は満蓄状態に近い状態になることに相当する。
又、貯湯槽が満蓄状態又は満蓄状態に近い状態になると、槽下部から取り出された貯湯槽の湯水の温度が高くなって、燃料電池から発生する熱を十分に回収することができなくなるので、燃料電池システムが非常停止される虞がある。
【0024】
そこで、商用電力系統の停電中に、貯湯槽が満蓄状態又は満蓄状態に近い状態であり、しかも、入水温度調整処理が実行されても満蓄状態が解消され難い状態になって、燃料電池システムが非常停止される虞がある状態になると、出湯量要増加状態であると判定されて、貯湯槽出湯量増加処理が実行されるようにすることにより、槽下部から取り出された貯湯槽の湯水の温度を低下させて、燃料電池システムが非常停止されるのを回避することができる。
【0025】
尚、この貯湯槽出湯量増加処理では、混合手段で混合された湯水は、排水路を通して排水されるため、補助加熱器に供給されないようにすることが可能となるので、目標出湯温度を補正する温度を高く(例えば、補助加熱器の受け入れ湯水要件を満たす温度よりも高く)設定することが可能である。目標出湯温度を補正する温度を高くするほど、貯湯槽からの出湯量が多くなるので、満蓄状態になるのを的確に防止して、燃料電池システムが非常停止されるのを的確に回避することができる。
従って、商用電力系統の停電中に、燃料電池発電システムを継続して運転できるようにすべく、貯湯槽からの出湯量を増大することができる。
【0026】
上記目的を達成するための本発明に係る熱電併給システムは、燃料電池を備えた燃料電池システムと、槽内に給水する槽用給水路が槽下部に接続され且つ槽内の湯水を補助加熱器に対して送出する出湯路が槽上部に接続された貯湯槽と、槽下部から取り出した湯水を前記燃料電池システムにて発生する熱にて加熱したのち槽上部に戻す形態で前記貯湯槽に貯湯する貯湯手段と、運転を制御する制御手段とを備え、
前記出湯路に、前記貯湯槽から取り出した湯水と混合用給水路から供給される水とを混合すると共に、その混合比を調節自在な混合手段を備え、
前記制御手段が、前記出湯路から出湯する湯水の温度を指定の目標出湯温度にすべく、前記混合手段を制御するように構成されたものであって、
その特徴構成は、前記燃料電池システム、前記貯湯槽、前記貯湯手段、前記混合手段及び前記制御手段を備えて熱電併給ユニットが構成され、
前記制御手段に、
前記補助加熱器が受け入れる湯水の温度を、当該補助加熱器の受け入れ湯水要件を満たす温度に調整する入水温度調整処理を前記混合手段を働かせて実行する第1制御手段と、
前記第1制御手段による前記入水温度調整処理における前記貯湯槽からの出湯量よりも、前記貯湯槽からの出湯量を増加させる貯湯槽出湯量増加処理を実行する第2制御手段とを備え、
前記出湯路における前記混合手段よりも下流側の箇所から、排水路が分岐され、当該排水路を開閉する排水弁が設けられ、
前記貯湯手段が、槽下部から取り出した湯水と前記燃料電池システムから排出される排ガスとを熱交換する排熱回収用熱交換器を備えて構成され、
前記排熱回収用熱交換器にて前記排ガスが冷却されることにより発生する凝縮水を貯留するドレンタンクと、
前記ドレンタンク内の水を前記燃料電池システムに供給するドレンポンプと、
前記ドレンタンク内の水位を検出する水位検出手段と、
前記水位検出手段の検出水位が判定用水位以下になると、前記出湯路を通して前記貯湯槽から取り出す湯水の量を強制的に増加させる必要がある出湯量要増加状態であると判定するドレン水位依存条件判定手段とが設けられ、
前記ドレン水位依存条件判定手段により前記出湯量要増加状態であると判定されることに基づいて、
前記第2制御手段が、前記排水弁を開弁した状態で、前記目標出湯温度を高温側に補正し、その補正した目標出湯温度に基づいて前記混合手段の作動を制御して前記貯湯槽出湯量増加処理を実行する点にある。
【0027】
上記特徴構成によれば、第1制御手段が作動する状態では、入水温度調整処理が実行されて、補助加熱器が受け入れる湯水の温度を当該補助加熱器の受け入れ湯水要件を満たす温度に調整するように、混合手段が制御される。換言すれば、本願の課題となる貯湯槽からの出湯量が比較的少ない混合制御が行われる。
この状態に対して、第2制御手段が作動すると、貯湯槽出湯量増加処理が実行されて、貯湯槽からの出湯量が、入水温度調整処理における貯湯槽からの出湯量よりも増加する。
つまり、例えば、貯湯槽からの出湯量を増加させる課題の発生時に、第2制御手段を作動させるように構成することで、貯湯槽からの出湯量を増加させることができる。
加えて、燃料電池システム、貯湯槽、貯湯手段、混合手段及び制御手段を一まとめに備えて、熱電併給ユニットが構成されているので、当該熱電併給ユニットから出湯路を介して補助加熱器に湯水を送出して、給湯先に給湯する構成とされた給湯システムの小型化を図ることができる。
又、熱電併給ユニットを設置して、出湯路の先端を補助加熱器に接続することにより、給湯システムを構築することができるので、給湯システムの設置作業の簡素化を図ることができる。
要するに、給水予熱式に構成しながらも、貯湯槽からの出湯量を増大し得る熱電併給システムを提供することができる。更に、当該熱電併給システムを備えた給湯システムの小型化及び設置作業の簡素化を図ることができる。
又、上記特徴構成によれば、排熱回収用熱交換器において、槽下部から取り出された湯水と燃料電池システムから排出される排ガスとが熱交換され、その熱交換により排ガスが冷却されることにより発生する凝縮水が、ドレンタンクに貯留され、そのドレンタンク内の水がドレンポンプにより燃料電池システムに供給されて、燃料電池システムの運転に用いられる。
つまり、このような熱電併給システムでは、燃料電池システムから排出される排ガスに含まれる水分を回収して、燃料電池システムの運転に用いることにより、外部からの水の供給を不要とする水自立運転が可能に構成されている。
【0028】
そして、ドレンタンク内の水位を検出する水位検出手段の検出水位が判定用水位以下になると、ドレン水位依存条件判定手段により出湯量要増加状態であると判定され、その判定に基づいて、第2制御手段により、排水弁を開弁した状態で、目標出湯温度が高温側に補正されて、その補正された目標出湯温度に基づいて混合手段の作動が制御されることにより、貯湯槽出湯量増加処理が実行される。
貯湯槽出湯量増加処理が実行されると、槽上部から湯水が取り出されると共に、槽用給水路を通して水が槽下部に供給され、貯湯槽から取り出された湯水と混合用給水路からの水とが混合手段で混合されて、混合後の湯水が排水路を通して排水される。
そして、貯湯槽出湯量増加処理が実行されるのに伴って、排熱回収用熱交換器に供給される貯湯槽からの湯水の温度が低下するので、排熱回収用熱交換器での凝縮水の発生量が増加する。
つまり、水自立運転ができなくなる虞がある状態になると、出湯量要増加状態であると判定されて、貯湯槽出湯量増加処理が実行されることにより、排熱回収用熱交換器での凝縮水の発生を促進させることができるので、水自立運転が中断されるのを回避することができる。
【0029】
尚、この貯湯槽出湯量増加処理では、混合手段で混合された湯水は、排水路を通して排水されるため、補助加熱器に供給されないようにすることが可能となるので、目標出湯温度を補正する温度を高く(例えば、補助加熱器の受け入れ湯水要件を満たす温度よりも高く)設定することが可能である。目標出湯温度を補正する温度を高くするほど、貯湯槽からの出湯量が多くなるので、排熱回収用熱交換器に供給される湯水の温度を的確に低下させて、排熱回収用熱交換器での凝縮水の発生を的確に促進させることができる。
従って、水自立運転が中断されるのを回避すべく、貯湯槽からの出湯量を増大することができる。
【0030】
本発明に係る熱電併給システムの更なる特徴構成は、
前記貯湯槽内下部の湯水の温度を検出する槽下部温度検出手段と、
外気温度又は前記槽用給水路にて給水される水の温度を検出する気象依存温度検出手段と、
前記槽下部温度検出手段の検出温度が所定の第1判定用槽下部温度よりも高くなり、且つ、前記気象依存温度検出手段の検出温度が所定の第1判定用気象依存温度よりも高くなると、前記出湯路を通して前記貯湯槽から取り出す湯水の量を強制的に増加させる必要がある出湯量要増加状態であると判定する気象依存条件判定手段とが設けられ、
前記第1制御手段による前記入水温度調整処理の実行中に、
前記気象依存条件判定手段により前記出湯量要増加状態であると判定されると、
前記第2制御手段が、前記目標出湯温度を高温側に補正し、その補正した目標出湯温度に基づいて前記混合手段の作動を制御して前記貯湯槽出湯量増加処理を実行する点にある。
上記特徴構成によれば、槽下部温度検出手段の検出温度が所定の第1判定用槽下部温度よりも高くなり、且つ、気象依存温度検出手段の検出温度が所定の第1判定用気象依存温度よりも高くなると、気象依存条件判定手段により、出湯量要増加状態であると判定される。
そして、第1制御手段による入水温度調整処理の実行中に、気象依存条件判定手段により出湯量要増加状態であると判定されると、第2制御手段により、目標出湯温度が高温側に補正されて、その補正された目標出湯温度に基づいて混合手段の作動が制御されることにより、貯湯槽出湯量増加処理が実行される。
貯湯槽出湯量増加処理が実行されると、混合手段によって、混合後の温度が高温側に補正された目標出湯温度になるように、貯湯槽からの湯水と槽用給水路からの水とが混合されるので、貯湯槽からの出湯量が入水温度調整処理における貯湯槽からの出湯量よりも多くなる。
ちなみに、第1判定用気象依存温度としては、例えば、入水温度調整処理での混合手段の制御では貯湯槽からの湯水の混合比が顕著に小さくなる温度に設定し、又、第1判定用槽下部温度としては、例えば、燃料電池システムにて発生する熱にて加熱されたのち貯湯槽に戻される湯の温度に近い温度に設定する。尚、槽下部温度検出手段の検出温度が所定の第1判定用槽下部温度よりも高くなることは、貯湯槽が満蓄状態又は満蓄状態に近い状態になることに相当する。
つまり、入水温度調整処理での混合手段の制御では貯湯槽からの湯水の混合比が顕著に小さくなり、しかも、貯湯槽が満蓄状態又は満蓄状態に近い状態になって、貯湯槽に蓄熱されている熱がラジエータで放熱される状態が長く続いて、省エネルギー性が低下する虞がある状態になると、出湯量要増加状態であると判定されて、貯湯槽出湯量増加処理が実行される。
従って、省エネルギー性を向上すべく、貯湯槽からの出湯量を増大することができる。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、図面に基づいて、本発明の実施の形態を説明する。
〔第1実施形態〕
先ず、第1実施形態を説明する。
図1に示すように、熱電併給システムは、燃料電池1を備えた燃料電池システムFs、槽内に給水する槽用給水路2が槽底部(槽下部の一例)に接続され且つ槽内の湯水を補助加熱器Buに対して送出する出湯路3が槽頂部(槽上部の一例)に接続された貯湯槽4、槽底部(槽下部の一例)から取り出した湯水を燃料電池システムFsにて発生する熱にて加熱したのち槽頂部(槽上部の一例)に戻す形態で貯湯槽4に貯湯する貯湯手段Hu、燃料電池1を商用電力系統5に連系するためのインバータ6、熱電併給システムの運転を制御する制御部7(即ち、制御手段)、及び、その制御部7に運転制御情報を送信する遠隔操作式の操作部8等を備えて構成されている。
【0034】
更に、出湯路3には、貯湯槽4から取り出した湯水と混合用給水路9から供給される水とを混合すると共に、その混合比を調節自在な三方弁10(混合手段の一例)を備え、制御部7が、出湯路3から出湯する湯水の温度を指定の目標出湯温度Toとするように、三方弁10を制御するように構成されている。この目標出湯温度Toは、熱電併給システムの出湯路3から補助加熱器Buに受け渡す湯水の温度であり、後に説明する目標給湯温度Tuとは必ずしも一致しない。
【0035】
燃料電池システムFs、貯湯槽4、貯湯手段Hu、三方弁10、インバータ6、補助加熱器Bu及び制御部7等、給湯システムを構成する部材のうち、補助加熱器Buを除いた部材を一体的に備えて、熱電併給ユニットUmが構成され、又、当該熱電併給ユニットUmの三方弁10から混合済みの湯水を受け入れて働く補助加熱器Buを備えて、補助加熱ユニットUsが構成されている。
補助加熱器Buとしては、給湯システムの設置先に既設のガス湯沸かし器を用いることも可能である。
つまり、既設のガス湯沸かし器を補助加熱器Buとして用いることにより、熱電併給ユニットUmを新規に導入するだけで、給湯システムを構築することが可能である。
【0036】
熱電併給ユニットUmの外郭を構成するケーシング11には、燃料電池1に供給する水素含有ガスを生成するための炭化水素系の原燃料ガスを受け入れる原燃料受入部12、貯湯槽4に供給する水を受け入れる給水部13、出湯路3の一部を構成する機内出湯路部分3iの先端が接続された出湯部14、インバータ6からの電力を外部に出力するための電力出力部15、及び、燃料電池システムFsから排出される排ガスを外部に排出するための排気部16が設けられている。
【0037】
補助加熱器Buにおける湯水受入口(図示省略)が、出湯路3の一部を構成する機外出湯路部分3eにより、熱電併給ユニットUmの出湯部14に接続され、補助加熱器Buの出湯口(図示省略)には、給湯栓17等の給湯先に給湯する給湯路18が接続されている。
つまり、出湯路3は、機内出湯路部分3iと機外出湯路部分3eとにより構成される。
【0038】
補助加熱器Buとしては、例えば、ガス燃焼式で潜熱回収型のものが用いられる。この潜熱回収型の補助加熱器Buは、潜熱回収用熱交換器21、顕熱回収用熱交換器22、それら潜熱回収用熱交換器21と顕熱回収用熱交換器22とを加熱するガスバーナ23、及び、そのガスバーナ23に燃焼用空気を供給する燃焼用送風機24等を備え、更に、図示を省略するが、出湯口から出湯する湯の目標給湯温度Tuを設定する湯温設定部等を有する操作部、出湯口から出湯する湯の温度を目標給湯温度Tuに調整するようにガスバーナ23の燃焼量等を制御する湯温制御手段が設けられている。
【0039】
つまり、燃料電池1から発生する熱を回収した湯水が、熱電併給ユニットUmの出湯部14から出湯されることになり、その出湯部14から出湯される湯水が、更に、補助加熱器Buによって目標給湯温度Tuになるように加熱されて、給湯路18を通して給湯先に給湯される。又、燃料電池1で発電された電力が、インバータ6により、商用電力系統5から受電する受電電力と同じ電圧及び同じ周波数に変換されて、テレビ、冷蔵庫、洗濯機などの電力負荷19で消費される。
【0040】
次に、
図1に基づいて、熱電併給ユニットUmの各部について、説明を加える。
燃料電池システムFsは、周知であるので、詳細な説明及び図示を省略して、簡単に説明する。
この燃料電池システムFsは、水素を主成分とする水素含有ガス及び酸素含有ガスが供給されて発電する燃料電池1、その燃料電池1に供給する水素含有ガスを生成する水素含有ガス生成部(図示省略)、及び、燃料電池1に酸素含有ガスとして空気を供給する反応用送風機30等を備えて構成されている。
【0041】
この実施形態では、燃料電池1は、電解質として例えばYSZ(イットリウム安定化ジルコニア)等の固体酸化物を用いた固体酸化物型が用いられる。
固体酸化物型の燃料電池1は、図示を省略するが、固体酸化物を電解質層とするセルを複数積層状態に設けて構成され、各セルの燃料極に水素含有ガス生成部から水素含有ガスが供給されると共に、各セルの空気極に反応用送風機30から空気が供給されて、水素と酸素との電気化学反応により発電を行うように構成されている。
【0042】
水素含有ガス生成部には、原燃料受入部12を介して、都市ガス(例えば、天然ガスベースの都市ガス)等の炭化水素系の原燃料ガスが供給される。この水素含有ガス生成部は、図示を省略するが、原燃料ガスと改質用水蒸気とを改質バーナの加熱により改質反応させて水素を主成分とする改質ガスを生成する改質器、及び、改質用水蒸気を生成する水蒸気生成部等を備えて構成され、改質器にて生成された改質ガスが水素含有ガスとして燃料電池1に供給されるように構成されている。
【0043】
改質バーナの燃料としては、燃料電池1の燃料極にて発電反応に利用された後、水素が残存した状態で排出されるオフガスが利用され、この改質バーナの燃焼排ガスを導く排ガス路31がケーシング11の排気部16に接続されて、改質バーナの燃焼排ガスが排気部16からケーシング11外に排出される。
排ガス路31には、詳細は後述するが、貯湯槽4の底部から取り出した湯水と排ガス路31を通流する燃焼排ガス(燃料電池システムから排出される排ガスの一例)とを熱交換させる排熱回収用熱交換器32が設けられている。
【0044】
ケーシング11に設けられた給水部13には、上水道(給水源の一例、図示省略)が接続され、槽用給水路2が、給水部13と貯湯槽4の底部とに接続されている。貯湯槽4は、密閉型であり、槽用給水路2に設けられた電磁弁(図示省略)が開かれると、貯湯槽4に水道水が水道圧にて供給されて、貯湯槽4には満タン状態で湯水が貯留される。
貯湯槽4には、貯湯槽4内下部の湯水の温度を検出する槽下部温度センサS1(槽下部温度検出手段の一例)、貯湯槽4内上部の湯水の温度を検出する槽上部温度センサS2が設けられている。
槽用給水路2には、貯湯槽4に供給される水の温度を検出する給水温度センサS3、逆止弁39、流量計40、圧力逃し弁41等が設けられている。
【0045】
貯湯手段Huは、貯湯槽4の槽底部と槽頂部とに接続された貯湯用循環路42と、その貯湯用循環路42に設けられた貯湯用循環ポンプ43と、その貯湯用循環路42を通流する湯水と排ガス路31を通流する改質バーナの燃焼排ガスとを熱交換する排熱回収用熱交換器32とを備えて構成されている。
つまり、貯湯用循環ポンプ43の通水作用により、貯湯槽4の底部から取り出された湯水が貯湯槽4の頂部に戻される形態で、貯湯槽4内の湯水が貯湯用循環路42を通して循環され、そのように貯湯用循環路42を通して循環される湯水が排熱回収用熱交換器32にて改質バーナの燃焼排ガスで加熱されることにより、貯湯槽4に温度成層を形成する状態で湯水が貯留されるように構成されている。
【0046】
貯湯用循環路42における排熱回収用熱交換器32の介装箇所よりも上流側(槽底部側)の部分には、貯湯用循環路42を通流する湯水を放熱させるラジエータ44、及び、排熱回収用熱交換器32に流入する湯水の温度を検出する熱交換器流入温度検出センサS4が、ラジエータ44が上流側に位置する状態で設けられている。
【0047】
そして、給湯栓17が開かれると、槽用給水路2により貯湯槽4の底部にかかる水道圧により、貯湯槽4の頂部から湯水が出湯路3を通して補助加熱器Buに出湯され、その補助加熱器Buにて所定の目標給湯温度Tuに加熱された後、給湯栓17から出湯し、そのように貯湯槽4から湯水が送出されるのに伴って、槽用給水路2を通して水が貯湯槽4の底部に供給される。
【0048】
三方弁10は、二つの流入用ポート(図示省略)のうちの一方と流出用ポート(図示省略)とを用いて、出湯路3の機内出湯路部分3iに介装され、その三方弁10の他方の流入用ポートに、槽用給水路2から分岐された混合用給水路9が接続されている。
出湯路3の機内出湯路部分3iにおける三方弁10よりも下流側の部分には、出湯路3を通して補助加熱器Buに出湯される湯水の温度を検出する出湯温度センサS5が設けられている。
更に、ケーシング11外の外気温度を検出する外気温度センサS6も設けられている。
【0049】
次に、
図1及び
図2に基づいて、制御部7が司る熱電併給ユニットUmの制御構成について、説明する。
尚、本発明は、貯湯槽4から出湯路3を通して出湯する湯水の量の制御(以下、出湯量制御と記載する場合がある)に関わるものであるので、以下では、主として、出湯量制御について説明して、熱電併給ユニットUmの全体の制御や、燃料電池システムFsの制御等のその他の制御については、説明を省略する。従って、
図2には、出湯量制御を説明する制御構成のブロック図を示す。
【0050】
この熱電併給ユニットUmでは、基本的には、出湯温度センサS5の検出温度Ts5が目標出湯温度Toになるように、三方弁10が制御される。
そして、三方弁10では、出湯路3を通して貯湯槽4から出湯される湯水と混合用給水路9を通して供給される水(水道水)とが混合されると共に、混合後の湯水の温度が目標出湯温度Toになるように混合比が調整されるので、混合用給水路9から供給される水の温度が高くなるほど、貯湯槽4からの出湯量が少なくなる。
混合用給水路9により供給される給水源(本実施例では上水道)の水の温度は、外気温度が高くなるほど高くなり、外気温度に依存する。
【0051】
本発明は、貯湯槽4からの出湯量が少なくなることに関連して生じる種々の課題を解決するために、貯湯槽4からの出湯量を増大することを目的とするものであり、制御部7に、補助加熱器Buが受け入れる湯水の温度を、当該補助加熱器Buの受け入れ湯水要件を満たす温度に調整する入水温度調整処理を三方弁10を働かせて実行する第1制御手段71と、第1制御手段71による入水温度調整処理における貯湯槽4からの出湯量よりも、貯湯槽4からの出湯量を増加させる貯湯槽出湯量増加処理を実行する第2制御手段72とが備えられている。
【0052】
この第1制御手段71のみが働く場合は、先に説明した課題が発生することがある貯湯槽4の湯水の使用状態が出現する。
これに対して、本願では、第2制御手段72により、貯湯槽出湯量増加処理が実行される。
【0053】
この第1実施形態では、槽下部温度センサS1の検出温度Ts1が所定の第1判定用槽下部温度Tt1よりも高くなり、且つ、外気温度センサS6(気象依存温度検出手段の一例)の検出温度Ts6が所定の第1判定用気象依存温度Tw1よりも高くなると、出湯路3を通して貯湯槽4から取り出す湯水の量を強制的に増加させる必要がある出湯量要増加状態であると判定する気象依存条件判定手段73が設けられている。
そして、第1制御手段71による入水温度調整処理の実行中に、気象依存条件判定手段73により出湯量要増加状態であると判定されると、第2制御手段72が、目標出湯温度Toを高温側に補正して、その補正した目標出湯温度Toに基づいて三方弁10の作動を制御することにより、貯湯槽出湯量増加処理を実行するように構成されている。
【0054】
制御部7は、マイクロコンピュータを用いて構成され、所定のプログラムを実行して各種処理を実行するものである。そして、第1制御手段71、第2制御手段72及び気象依存条件判定手段73は、夫々、所定のプログラム形式で、この制御部7を用いて構成されている。
【0055】
出湯量要増加状態の判別処理及び貯湯槽出湯量増加処理における制御動作について、更に説明を加える。
給湯栓17が開かれると、槽用給水路2により貯湯槽4の底部にかかる水道圧により、貯湯槽4から湯水が送出されると共に、槽用給水路2を通して水が貯湯槽4の底部に供給されるので、流量計40により水の通流が検出される。尚、槽用給水路2を通して貯湯槽4へ水が供給されているか否かを判定するために、予め、通水検知用流量が設定されている。
【0056】
補助加熱器Buの受け入れ湯水要件は、補助加熱器Buに受け入れ可能な湯水の温度条件に設定され、例えば、湯水の受け入れ部に高耐熱性が要求されない通常の湯沸かし器にて受け入れ可能な湯水の温度、例えば35℃以下に設定される。又、目標出湯温度Toとして、受け入れ湯水要件を満たす温度、例えば、30℃に設定される。
又、貯湯槽出湯量増加処理を実行するために、目標出湯温度Toを高温側に補正した第1補正目標出湯温度Tr1が設定され、この第1補正目標出湯温度Tr1は、目標出湯温度Toよりも高く、しかも、受け入れ湯水要件を満たす温度、例えば、35℃に設定されている。
又、第1判定用槽下部温度Tt1は、例えば、60℃に設定され、第1判定用気象依存温度Tw1は、例えば、35℃に設定されている。
【0057】
気象依存条件判定手段73は、タンク下部温度センサS1の検出温度Ts1が第1判定用槽下部温度Tt1以下か、又は、外気温度センサS6の検出温度Ts6が第1判定用気象依存温度Tw1以下の場合は、出湯量要増加状態でないと判定し、タンク下部温度センサS1の検出温度Ts1が第1判定用槽下部温度Tt1よりも高く、且つ、外気温度センサS6の検出温度Ts6が第1判定用気象依存温度Tw1よりも高い場合は、出湯量要増加状態であると判定する。
【0058】
そして、気象依存条件判定手段73により出湯量要増加状態でないと判定されている状態では、第1制御手段71が働く。
つまり、気象依存条件判定手段73により出湯量要増加状態でないと判定されている状態で、流量計40の検出流量が通水検知用流量以上になると、第1制御手段71は、出湯温度センサS5の検出温度Ts5が目標出湯温度Toになるように、三方弁10を制御することにより、入水温度調整処理を実行する。
この入水温度調整処理が実行されると、三方弁10によって、混合後の温度が目標出湯温度Toになるように、貯湯槽4からの湯水と槽用給水路9からの水とが混合され、目標出湯温度Toの湯水が補助加熱器Buに対して出湯され、補助加熱器Buで目標給湯温度Tuになるように加熱されて、給湯先に給湯される。
【0059】
又、気象依存条件判定手段73により出湯量要増加状態であると判定されている状態では、第2制御手段72が働く。
つまり、気象依存条件判定手段73により出湯量要増加状態であると判定されている状態で、流量計40の検出流量が通水検知用流量以上になると、第2制御手段72は、出湯温度センサS5の検出温度Ts5が第1補正目標出湯温度Tr1になるように、三方弁10を制御することにより、貯湯槽出湯量増加処理を実行する。
この貯湯槽出湯量増加処理が実行されると、三方弁10によって、混合後の温度が目標出湯温度Toよりも高い第1補正目標出湯温度Tr1になるように、貯湯槽4からの湯水と槽用給水路9からの水とが混合され、第1補正目標出湯温度Tr1の湯水が補助加熱器Buに対して出湯され、補助加熱器Buで目標給湯温度Tuになるように加熱されて、給湯先に給湯される。
従って、貯湯槽出湯量増加処理が実行されると、貯湯槽4からの出湯量が入水温度調整処理における貯湯槽からの出湯量よりも多くなる。
【0060】
ところで、貯湯用循環路42を通して排熱回収用熱交換器32に供給される湯水の温度が高いときは、排熱回収用熱交換器32の耐久性を低下させる虞があり、しかも、燃料電池システムFsから発生する熱を十分に回収できなくなる虞がある。
そこで、ラジエータ44を作動させて湯水の放熱を開始するための湯水の温度が、所定の放熱開始温度に設定されている。
そして、制御部7は、熱交換器流入温度センサS4の検出温度が放熱開始温度以上の状態では、ラジエータ44を作動させるように構成されている。
【0061】
この第1実施形態の熱電併給ユニットUmによれば、入水温度調整処理での三方弁10の制御では貯湯槽4からの湯水の混合比が顕著に小さくなり、しかも、貯湯槽4が満蓄状態又は満蓄状態に近い状態になって、貯湯槽4に蓄熱されている熱がラジエータ44で放熱される状態が長く続いて、省エネルギー性が低下する虞がある状態になると、出湯量要増加状態であると判定されて、貯湯槽出湯量増加処理が実行される。
従って、省エネルギー性を向上すべく、貯湯槽からの出湯量を増大することができる。
【0062】
〔第2実施形態〕
次に、第2実施形態を説明するが、この第2実施形態は、主として、出湯量要増加状態の判別処理及び貯湯槽出湯量増加処理の別の実施形態を説明するものであり、それに関連する構成以外の構成は、上記の第1実施形態と同様である。従って、重複説明を避けるために、第1実施形態と同じ構成要素や同じ作用を有する構成要素については、同じ符号を付すことにより説明を省略して、主として、出湯量要増加状態の判別処理及び貯湯槽出湯量増加処理、並びに、それに関連する構成について説明する。
【0063】
図3に示すように、この第2実施形態では、出湯路3における出湯温度センサS5の下流側(混合手段よりも下流側の一例)の箇所から、排水路45が分岐され、当該排水路45を開閉する排水弁46が設けられている。
ケーシング11には、排水部20が設けられ、この排水部20に排水路45の先端が接続される。つまり、排水弁46が開弁されると、貯湯槽4から出湯された湯水が、排水路45を通して排水部20からケーシング11外に排出されることになる。
【0064】
又、この第2実施形態では、排熱回収用熱交換器32にて回収される凝縮水を改質用水蒸気生成用として用いることにより、外部からの水の供給を不要とする水自立運転が可能に構成されている。
この水自立運転を可能にするための構成について、説明を加える。
【0065】
排熱回収用熱交換器32にて燃焼排ガスが冷却されることにより発生する凝縮水を流下排出するドレン流下路33、そのドレン流下路33にて排出される水を貯留するドレンタンク34、そのドレンタンク34と燃料電池システムFsの水蒸気生成部とを接続するドレン回収路35、及び、ドレンタンク34内の水を改質用水蒸気生成用としてドレン回収路35を通して水蒸気生成部(即ち、燃料電池システム)に供給するドレンポンプ36が設けられている。
又、ドレンタンク34には、そのドレンタンク34の水位を検出する水位計37(水位検出手段の一例)が設けられている。
更に、ドレン流下路33には、排熱回収用熱交換器32から排出される凝縮水を純水に精製する水処理部38が設けられている。ちなみに、水処理部38は、イオン交換樹脂を用いて構成されている。
【0066】
図3及び
図4に示すように、この第2実施形態では、上記の第1実施形態と同様に、制御部7に、第1制御手段71、第2制御手段72及び気象依存条件判定手段73が設けられ、それらに加えて、更に、下記の手段が制御部7に設けられている。
即ち、槽下部温度センサ検出手段S1の検出温度Ts1が所定の第3判定用槽下部温度Tt3よりも低い状態が判定用設定時間継続すると、出湯路3を通して貯湯槽4から取り出す湯水の量を強制的に増加させる必要がある水質維持時の出湯量要増加状態であると判定する槽下部温度依存条件判定手段74が設けられている。
そして、槽下部温度依存条件判定手段74により水質維持時の出湯量要増加状態であると判定されることに基づいて、第2制御手段72が、排水弁46を開弁した状態で、目標出湯温度Toを高温側に補正し、その補正した目標出湯温度Toに基づいて三方弁10の作動を制御して水質維持時の貯湯槽出湯量増加処理を実行するように構成されている。
【0067】
又、商用電力系統5が停電した状態で、槽下部温度検出手段S1の検出温度Ts1が所定の第2判定用槽下部温度Tt2よりも高くなり、且つ、外気温度センサS6の検出温度Ts6が所定の第2判定用気象依存温度Tw2よりも高くなると、出湯路3を通して貯湯槽4から取り出す湯水の量を強制的に増加させる必要がある停電時の出湯量要増加状態であると判定する停電依存条件判定手段75が設けられている。
そして、停電依存条件判定手段75により停電時の出湯量要増加状態であると判定されることに基づいて、第2制御手段72が、排水弁46を開弁した状態で、目標出湯温度Toを高温側に補正し、その補正した目標出湯温度Toに基づいて三方弁10の作動を制御して停電時の貯湯槽出湯量増加処理を実行するように構成されている。
【0068】
又、水位計37の検出水位が判定用水位以下になると、出湯路3を通して貯湯槽4から取り出す湯水の量を強制的に増加させる必要があるドレン水位低下時の出湯量要増加状態であると判定するドレン水位依存条件判定手段76が設けられている。
そして、ドレン水位依存条件判定手段76によりドレン水位低下時の出湯量要増加状態であると判定されることに基づいて、第2制御手段72が、排水弁46を開弁した状態で、目標出湯温度Toを高温側に補正し、その補正した目標出湯温度Toに基づいて三方弁10の作動を制御してドレン水位低下時の貯湯槽出湯量増加処理を実行するように構成されている。
【0069】
尚、この第2実施形態では、気象依存条件判定手段73は、出湯量要増加状態として、高温時の出湯量要増加状態を判定するように構成されている。
槽下部温度依存条件判定手段74、停電依存条件判定手段75及びドレン水位依存条件判定手段76も、気象依存条件判定手段73と同様に、所定のプログラム形式で、制御部7を用いて構成されている。
【0070】
第2判定用槽下部温度Tt2は、第1判定用槽下部温度Tt1と同様に60℃に設定され、第3判定用槽下部温度Tt3は、60℃以下の温度、例えば、40℃に設定される。
又、第2判定用気象依存温度Tw2は、第1判定用気象依存温度Tw1と同様に、35℃に設定される。
又、貯湯槽出湯量増加処理を実行するために、第1実施形態と同様の第1補正目標出湯温度Tr1に加えて、この第1補正目標出湯温度Tr1よりも高い第2補正目標出湯温度Tr2が設定され、この第2補正目標出湯温度Tr2は、40〜60℃の範囲に設定される。
水質維持時の出湯量要増加状態を判定するための判定用設定時間としては、貯湯槽4内で湯水が第3判定用槽下部温度Tt3以下の状態で放置されても水質の維持が可能な条件で、極力長い時間に設定される。
【0071】
次に、出湯量要増加状態の判別処理及び貯湯槽出湯量増加処理における制御動作について、更に説明を加える。
先ず、
図5に示すフローチャートに基づいて、出湯量要増加状態の判別処理について説明する。
先ず、ドレン水位依存条件判定手段76が働き、水位計37の検出水位が判定用水位以下になると、ドレン水位低下時の出湯量要増加状態であると判定して(ステップ#1,2)、リターンする。
ステップ#1で水位計37の検出水位が判定用水位よりも高いと判定した場合は、停電依存条件判定手段75が働き、商用電力系統5が停電中で、しかも、槽下部温度検出手段S1の検出温度Ts1が第2判定用槽下部温度Tt2よりも高く、且つ、外気温度センサS6の検出温度Ts6が第2判定用気象依存温度Tw2よりも高い条件を満たす場合は、停電時の出湯量要増加状態であると判定して(ステップ#3〜5)、リターンする。
【0072】
ステップ#3で停電中ではないと判定した場合、又は、ステップ#4で、槽下部温度検出手段S1の検出温度Ts1が第2判定用槽下部温度Tt2よりも高く、且つ、外気温度センサS6の検出温度Ts6が第2判定用気象依存温度Tw2よりも高い条件を満たさないと判定した場合は、気象依存条件判定手段73が働き、槽下部温度検出手段S1の検出温度Ts1が第1判定用槽下部温度Tt1よりも高く、且つ、外気温度センサS6の検出温度Ts6が第1判定用気象依存温度Tw1よりも高い条件を満たす場合は、高温時の出湯量要増加状態であると判定して(ステップ#6,7)、リターンする。
【0073】
ステップ#6で、槽下部温度検出手段S1の検出温度Ts1が第1判定用槽下部温度Tt1よりも高く、且つ、外気温度センサS6の検出温度Ts6が第1判定用気象依存温度Tw1よりも高い条件を満たさないと判定した場合は、槽下部温度依存条件判定手段74が働き、槽下部温度検出手段S1の検出温度Ts1が第3判定用槽下部温度Tt3以下で、その検出温度Ts1が第3判定用槽下部温度Tt3以下の状態が判定用設定時間継続すると、水質維持時の出湯量要増加状態であると判定して(ステップ#8〜10)、リターンする。
【0074】
ステップ#8で、槽下部温度検出手段S1の検出温度Ts1が第3判定用槽下部温度Tt3以下ではないと判定した場合、又は、ステップ#8で槽下部温度検出手段S1の検出温度Ts1が第3判定用槽下部温度Tt3以下であると判定しても、ステップ#9でその状態が判定用設定時間継続しなかったと判定した場合は、ドレン水位低下時、停電時、高温時及び水質維持時のいずれの出湯量要増加状態ではないと判定して(ステップ#11)、リターンする。
【0075】
ドレン水位低下時、停電時、高温時及び水質維持時のいずれの出湯量要増加状態ではないと判定されている状態では、第1制御手段71が働く。
つまり、ドレン水位低下時、停電時、高温時及び水質維持時のいずれの出湯量要増加状態ではないと判定されている状態で、流量計40の検出流量が通水検知用流量以上になると、第1制御手段71は、出湯温度センサS5の検出温度Ts5が目標出湯温度Toになるように、三方弁10を制御することにより、入水温度調整処理を実行する。
この入水温度調整処理が実行されると、三方弁10によって、混合後の温度が目標出湯温度Toになるように、貯湯槽4からの湯水と槽用給水路9からの水とが混合されて、目標出湯温度Toの湯水が補助加熱器Buに対して出湯され、補助加熱器Buで目標給湯温度Tuになるように加熱されて、給湯先に給湯される。
【0076】
又、気象依存条件判定手段73により高温時の出湯量要増加状態であると判定されている状態では、第2制御手段72が働く。
つまり、気象依存条件判定手段73により高温時の出湯量要増加状態であると判定されている状態で、流量計40の検出流量が通水検知用流量以上になると、第2制御手段72は、出湯温度センサS5の検出温度Ts5が第1補正目標出湯温度Tr1になるように、三方弁10を制御することにより、高温時の貯湯槽出湯量増加処理を実行する。
この高温時の貯湯槽出湯量増加処理が実行されると、三方弁10によって、混合後の温度が目標出湯温度Toよりも高い第1補正目標出湯温度Tr1になるように、貯湯槽4からの湯水と槽用給水路9からの水とが混合されて、第1補正目標出湯温度Tr1の湯水が補助加熱器Buに対して出湯され、補助加熱器Buで目標給湯温度Tuになるように加熱されて、給湯先に給湯される。
従って、高温時の貯湯槽出湯量増加処理が実行されると、貯湯槽4からの出湯量が入水温度調整処理における貯湯槽からの出湯量よりも多くなる。
【0077】
又、ドレン水位依存条件判定手段76によりドレン水位低下時の出湯量要増加状態であると判定されると、入水温度調整処理、及び、高温時の貯湯槽出湯量増加処理のいずれも実行されていない場合は、第2制御手段72は、直ちに、排水弁46を開弁し、出湯温度センサS5の検出温度Ts5が第2補正目標出湯温度Tr2になるように、三方弁10を制御することにより、ドレン水位低下時の貯湯槽出湯量増加処理を実行する。又、ドレン水位依存条件判定手段76によりドレン水位低下時の出湯量要増加状態であると判定されたときに、入水温度調整処理又は高温時の貯湯槽出湯量増加処理が実行中の場合は、実行中の処理が停止すると、第2制御手段72は、ドレン水位低下時の貯湯槽出湯量増加処理を実行する。
【0078】
ドレン水位低下時の貯湯槽出湯量増加処理の実行中に、流量計40の検出流量が通水検知用流量以上になると、第1制御手段71により入水温度調整処理が実行される。
そして、第2制御手段72は、ドレン水位低下時の貯湯槽出湯量増加処理の実行中に入水温度調整処理が開始されると、ドレン水位低下時の貯湯槽出湯量増加処理を中断し、入水温度調整処理が停止されると、ドレン水位低下時の貯湯槽出湯量増加処理を再開する形態で、水位計37の検出水位が判定用水位よりも高い水位に設定された定常水位になるまで、ドレン水位低下時の貯湯槽出湯量増加処理を継続する。
【0079】
ドレン水位低下時の貯湯槽出湯量増加処理が実行されると、貯湯槽4の槽頂部から湯水が取り出されると共に、貯湯槽4の槽底部に槽用給水路2を通して水が供給され、三方弁10によって、混合後の温度が第2補正目標出湯温度Tr2になるように、貯湯槽4からの湯水と混合用給水路9からの水とが混合されて、混合後の湯が排水路45を通して排水される。
そして、ドレン水位低下時の貯湯槽出湯量増加処理が実行されることにより、貯湯用循環路42を通して排熱回収用熱交換器32に供給される貯湯槽4からの湯水の温度が低下して、排熱回収用熱交換器32での凝縮水の発生量が増加するので、ドレンタンク34における水の貯留量が増大することになり、水自立運転が中断されるのを回避することができる。
【0080】
又、停電依存条件判定手段75により停電時の出湯量要増加状態であると判定されると、入水温度調整処理、及び、高温時の貯湯槽出湯量増加処理のいずれも実行されていない場合は、第2制御手段72は、直ちに、排水弁46を開弁し、出湯温度センサS5の検出温度Ts5が第2補正目標出湯温度Tr2になるように、三方弁10を制御することにより、停電時の貯湯槽出湯量増加処理を実行する。又、停電依存条件判定手段75により停電時の出湯量要増加状態であると判定されたときに、入水温度調整処理又は高温時の貯湯槽出湯量増加処理が実行中の場合は、実行中の処理が停止すると、第2制御手段72は、停電時の貯湯槽出湯量増加処理を実行する。
【0081】
停電時の貯湯槽出湯量増加処理の実行中に、流量計40の検出流量が通水検知用流量以上になると、第1制御手段71により入水温度調整処理が実行される。
そして、第2制御手段72は、停電時の貯湯槽出湯量増加処理の実行中に入水温度調整処理が開始されると、停電時の貯湯槽出湯量増加処理を中断し、入水温度調整処理が停止されると、停電時の貯湯槽出湯量増加処理を再開する形態で、商用電力系統5の停電が解消されるまで、停電時の貯湯槽出湯量増加処理を継続する。
停電時の貯湯槽出湯量増加処理が実行されると、貯湯槽4の槽頂部から湯水が取り出されると共に、貯湯槽4の槽底部に槽用給水路2を通して水が供給され、三方弁10によって、混合後の温度が第2補正目標出湯温度Tr2になるように、貯湯槽4からの湯水と混合用給水路9からの水とが混合されて、混合後の湯が排水路45を通して排水される。
【0082】
ところで、貯湯用循環路42を通して排熱回収用熱交換器32に供給される湯水の温度が高くなると、排熱回収用熱交換器32の耐久性を低下させる虞があり、しかも、燃焼排ガスと十分に熱交換できなくなる。
そこで、排熱回収用熱交換器32に供給される湯水の温度が高くなると、燃料電池システムFsを非常停止させる機能が備えられている。
具体的には、排熱回収用熱交換器32に供給される湯水の温度の上限が、所定の流入上限温度に設定されている。
そして、制御部7は、熱交換器流入温度センサS4の検出温度が流入上限温度以上になると、燃料電池発電システムFsを停止させるように構成されている。
【0083】
つまり、停電時の貯湯槽出湯量増加処理が実行されることにより、貯湯用循環路42を通して排熱回収用熱交換器32に供給される貯湯槽4からの湯水の温度が低下するので、燃料電池発電システムFsが非常停止されるのが回避されることになる。
従って、商用電力系統5の停電中に、燃料電池システムFsが非常停止されるのを防止して、燃料電池システムFsを継続して運転することができる。
【0084】
又、槽下部温度依存条件判定手段74により水質維持時の出湯量要増加状態であると判定されると、入水温度調整処理、及び、高温時の貯湯槽出湯量増加処理のいずれも実行されていない場合は、第2制御手段72は、直ちに、排水弁46を開弁し、出湯温度センサS5の検出温度Ts5が第2補正目標出湯温度Tr2になるように、三方弁10を制御することにより、水質維持時の貯湯槽出湯量増加処理を実行する。又、槽下部温度依存条件判定手段74により水質維持時の出湯量要増加状態であると判定されたときに、入水温度調整処理又は高温時の貯湯槽出湯量増加処理が実行中の場合は、実行中の処理が停止すると、第2制御手段72は、水質維持時の貯湯槽出湯量増加処理を実行する。
【0085】
水質維持時の貯湯槽出湯量増加処理の実行中に、流量計40の検出流量が通水検知用流量以上になると、第1制御手段71により入水温度調整処理が実行される。
そして、第2制御手段72は、水質維持時の貯湯槽出湯量増加処理の実行中に入水温度調整処理が開始されると、水質維持時の貯湯槽出湯量増加処理を中断し、入水温度調整処理が停止されると、水質維持時の貯湯槽出湯量増加処理を再開する形態で、延べ実行時間が水質維持用設定時間に達するまで、水質維持時の貯湯槽出湯量増加処理を実行する。
ちなみに、水質維持用設定時間は、例えば、排水路45を通して排出される湯水の量が貯湯槽4の容量に達する時間に設定される。
【0086】
水質維持時の貯湯槽出湯量増加処理が実行されると、貯湯槽4の槽頂部から湯水が取り出されると共に、貯湯槽4の槽底部に槽用給水路2を通して水が供給され、三方弁10によって、混合後の温度が第2補正目標出湯温度Tr2になるように、貯湯槽4からの湯水と混合用給水路9からの水とが混合されて、混合後の湯が排水路45を通して排水される。
そして、水質維持時の貯湯槽出湯量増加処理が実行されるのに伴って、貯湯槽4内に貯留されている時間が長い貯湯槽4内の上部側の湯水が排水路4を通して排水されると共に、貯湯槽4内下部側の湯水が給水源からの新しい水に置き換えられるので、貯湯槽4内の湯水の水質の低下を防止することができる。
【0087】
ところで、貯湯用循環路42を通して排熱回収用熱交換器32に供給される湯水の温度が高いときは、排熱回収用熱交換器32において、燃焼排ガスが十分に冷却されないために、凝縮水の発生量が減少するので、水自立運転が不可能になる虞がある。
そこで、第1実施形態と同様に、制御部7は、熱交換器流入温度センサS4の検出温度が放熱開始温度以上の状態では、ラジエータ44を作動させるように構成されている。
【0088】
又、操作部8には、空気抜き運転を指令する空気抜き運転スイッチ81が設けられている。
この空気抜き運転は、熱電併給ユニットUm内における湯水が通流する部分(槽用給水路2、貯湯槽4、出湯路3、貯湯用循環路42等)の空気抜きを行う運転であり、例えば、給湯システムの設置時に、作業者が空気抜き運転スイッチ81を操作して行うものである。
従って、この空気抜き運転スイッチ81は、給湯システムの使用者には認知できない状態で、操作部8に設けられている。
【0089】
制御部7は、空気抜き運転スイッチ81により空気抜き運転が指令されると、貯湯用循環ポンプ43を作動させ、且つ、排水弁46を開弁して、空気抜き運転を開始し、予め設定された空気抜き用設定時間が経過すると、貯湯用循環ポンプ43を停止させ、且つ、排水弁46を閉弁して、空気抜き運転を終了する。
尚、空気抜き用設定時間は、例えば、熱電併給ユニットUm内における湯水が通流する部分の容量に相当する量の水を、槽用給水路2を通して給水するのに要する時間に設定される。
【0090】
〔別実施形態〕
次に別実施形態を説明する
。
【0092】
(
イ) 気象依存温度検出手段の具体例としては、上記の第1及び第2の各実施形態で例示した外気温度センサS6に限定されるものではなく、例えば、給水温度センサS3でもよい。
【0093】
(
ロ) 混合手段の具体例としては、上記の第1及び第2の各実施形態で例示した三方弁10に限定されるものではない。例えば、出湯路3に設けた比例弁と混合用給水路9に設けた比例弁とにより構成しても良い。
【0094】
(
ハ) 燃料電池1としては、上記の第1及び第2の各実施形態で用いた固体酸化物型のものに限定されるものではなく、電解質槽として高分子膜を用いた固体高分子型等、種々の型式の燃料電池を用いることができる。
【0095】
(
ニ) 補助加熱器Buとしては、上記の第1及び第2の各実施形態で用いた潜熱回収型のものに限定されるものではなく、例えば、潜熱回収用熱交換器21を備えないもの等、種々のものを用いることができる。
【0096】
(
ホ) 上記の第1及び第2の各実施形態では、出湯路3からの湯水を受け渡す補助加熱器Buを備えない熱電併給システムに本発明を適用する場合について説明したが、本発明は、補助加熱器Buも備えた給湯システムにも適用することができる。
即ち、補助加熱器Buも備えた給湯システムにも適用する場合は、燃料電池システムFs、貯湯槽4、貯湯手段Hu、三方弁10、インバータ6及び制御部7を備えて熱電併給ユニットUmが構成され、当該熱電併給ユニットUmから出湯路3を介して補助加熱器Buに湯水を送出して、給湯先に給湯する構成とされ、制御部7に、上記の第1及び第2の各実施形態と同様に、第1制御手段71及び第2制御手段72を備える。