(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る制御機構の実施の形態を詳細に説明する。まず、〔I〕実施の形態の基本的概念を説明した後、〔II〕実施の形態の具体的内容について説明し、最後に、〔III〕実施の形態に対する変形例について説明する。ただし、実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0018】
〔I〕実施の形態の基本的概念
まず、実施の形態の基本的概念について説明する。各実施の形態は、制御対象物を制御する制御機構に関する。ここで、「制御対象物」とは、各実施の形態に係る制御機構によって制御される対象となる物であって、各実施の形態では走行可能な車両であるものとするが、これに限らず、走行不可能な物でも構わない。また、制御対象物は、複数の「接地部」と、「本体部」と有する。「接地部」とは、接地対象面(後述する)に対して接地し得る部分であって、以下では走行用の「車輪」とするが、これに限らず走行用のもの以外も含む概念である。また、「本体部」とは、複数の接地部によって支持される部分であり、以下では「車体」とする。
【0019】
また、「制御する」とは、制御対象物を機械的に動かすことであり、例えば、「荷重配分」、「姿勢制御」、及び「車高調整」を含む。ここで、「荷重配分」とは、車輪が接地して各車輪に荷重を配分するように制御することであり、例えばすべての車輪が接地するような制御を含むが、これに限らず、いずれかの車輪が浮いていても構わない。ここで、「接地」とは、車輪が浮いていない状態であり、例えば接地対象面に接していることに限らず、接地対象面上の障害物や段差に乗り上げている状態を含む。なお、「接地対象面」とは、車両が接地し得る面であり、例えば地面であって、各実施の形態では説明の便宜上、接地対象面は水平面とする。また、「姿勢制御」とは、制御対象物の本体部(例えば、「車体」)の傾斜角度を変更することであり、例えば車体が水平になるように、車体の前後方向の傾斜及び左右方向の傾斜の両方を調整することを含むが、これに限らず、車体の前後方向の傾斜や左右方向の傾斜のいずれかのみを調整すること等も含む。また、「車高調整」とは、車高(接地対象面から車体までの距離)を変更することである。また、各実施の形態の車両の用途は任意であり、例えば不整地等で作業を行う建設ロボットや災害対応ロボットとして利用できるが、これに限らない。
【0020】
〔II〕実施の形態の具体的内容
次に、実施の形態の具体的内容について説明する。
【0021】
(各実施の形態の共通部)
まずは、車両10における各実施の形態に共通の構成(以下、共通部)について説明する。
図1は、各実施の形態の車両10の共通部を模式的に示す平面図、
図2は、共通部を模式的に示す左側面図である。これらの
図1及び
図2に示すように、車両10は、車輪20、旋回機構30、旋回軸40、連結軸50、反転機構60、車体70、車高検出用センサ80、傾斜計90、及び制御部100を備えて構成されている。なお、
図1においては、図示の便宜上、車体70等の各部の図示を省略している。以下では、必要に応じて、各図におけるX方向を「幅方向」又は「左右方向」と称し、特に+X方向を「右方向」、−X方向を「左方向」と称する。また、Y方向を「奥行き方向」又は「前後方向」と称し、特に+Y方向を「前方向」、−Y方向を「後方向」と称する。また、Z方向を「高さ方向」と称し、特に+Z方向を「上方向」、−Z方向を「下方向」と称する。また、以下の「相互に同一方向に移動(又は旋回)」という記載は、少なくとも2つのものが、特定の一方向から見た際に同じ方向に移動(又は旋回)することを示し、例えば一方のものが上方向に移動して他方のものも上方向に移動することを含む。また、「相互に反対方向に移動(又は旋回)」という記載は、少なくとも2つのものが、特定の一方向から見た際に反対方向に移動(又は旋回)することを示し、例えば一方のものが上方向に移動して他方のものは下方向に移動することを含む。
【0022】
(各実施の形態の共通部−車輪)
車輪20は、接地対象面110に対して接地される接地部である。この車輪20の数は、各実施の形態では4つ(第一車輪21、第二車輪22、第三車輪23、及び第四車輪24)であるが、少なくとも4つ以上である限り任意であり、例えば、6つや8つ等でも構わない。なお、第一車輪21は右前輪、第二車輪22は右後輪、第三車輪23は左前輪、第四車輪24は左後輪である。ここで、以下では車体70における前方に位置する車輪20(各実施の形態では、右前輪(第一車輪21)及び左前輪(第三車輪23))を「前輪」、後方に位置する車輪20(各実施の形態では、右後輪(第二車輪22)及び左後輪(第四車輪24))を「後輪」、右方に位置する車輪20(各実施の形態では、右前輪(第一車輪21)及び右後輪(第二車輪22))を「右輪」、左方に位置する車輪20(各実施の形態では、左前輪(第三車輪23)及び左後輪(第四車輪24))を「左輪」と称して説明する。
【0023】
また、各車輪20はそれぞれ対応する旋回機構30の先端に対して接続されている。なお、これらの各車輪20はそれぞれ図示しない駆動用モータに接続されており、駆動用モータを回転させて各車輪20を回転させることにより、車両10が前後に走行できる。なお、このように車輪20を回転させて走行させるための機構については公知であるため、図示及び詳細な説明を省略する。
【0024】
(各実施の形態の共通部−旋回機構)
旋回機構30は、車輪20に接続されており、上下移動動作(後述する)を行うことによって当該接続された車輪20に対する車体70の位置を上下に移動させる上下移動機構である。この旋回機構30の数は、各実施の形態では車輪20と対応する数であり4つ(第一旋回機構31、第二旋回機構32、第三旋回機構33、及び第四旋回機構34)であるが、これに限らず、車輪20と対応しない数でもよく、具体的には一つの旋回機構30に対して二つ以上の車輪20を接続しても構わない。なお、単一の旋回機構30と上述した単一の車輪20とのセットを必要に応じて「脚」と称して説明する。
【0025】
ここで、「上下移動動作」とは、旋回軸40の旋回動作を受けて車輪20を上下に移動させる動作であり、各実施の形態の上下移動動作は、旋回軸40と直交する平面上(各実施の形態ではY−Z平面上)を、旋回機構30が旋回軸40を中心として時計回り又は反時計回りに旋回する動作である。なお、
図1や
図2に示すように、各実施の形態では、前方の2つの旋回機構30(第一旋回機構31及び第三旋回機構33)と、後方の2つの旋回機構30(第二旋回機構32及び第四旋回機構34)とは前後対称に形成されている。そのため、前方の旋回機構30と後方の旋回機構30とは、旋回方向と車輪20の上下動の方向との対応関係が相互に異なる。具体的には、前方の2つの旋回機構30が、旋回軸40を中心として左方向(−X方向)から見て時計回りに旋回した際には前輪は上昇し、左方向(−X方向)から見て反時計回りに旋回した際には前輪は下降する。一方、後方の2つの旋回機構30が旋回軸40を中心として左方向(−X方向)から見て時計回りに旋回した際には後輪は下降し、左方向(−X方向)から見て反時計回りに旋回した際には後輪は上昇する。
【0026】
ここで、車輪20の位置が上昇した場合には、相対的に車体70から車輪20までの高さ方向の距離が小さくなるので、当該車輪20の位置における車高(接地対象面110から車体70までの高さ方向の距離)は低くなる。一方、車輪20の位置が下降した場合には、相対的に車体70から車輪20までの高さ方向の距離が大きくなるので、当該車輪20の位置における車高は高くなる。
【0027】
(各実施の形態の共通部−旋回軸)
旋回軸40は、旋回動作を行うことによって、旋回機構30に上下移動動作を行わせる軸である。この旋回軸40の数は、各実施の形態では旋回機構30と対応する数であり4つ(第一旋回軸41、第二旋回軸42、第三旋回軸43、及び第四旋回軸44)であるが、これに限らず、旋回機構30と対応しない数でもよく、具体的には一つの旋回軸40に対して二つ以上の旋回機構30を接続したり、複数の旋回軸40に対して1つ旋回機構30を接続したりしても構わない。
【0028】
ここで、「旋回動作」とは、旋回軸40の軸方向を中心として旋回軸40に直交する平面上を時計回り又は反時計回りに旋回軸40が旋回する動作である。このように旋回軸40が旋回動作を行うことにより、旋回軸40に接続された旋回機構30が旋回軸40を中心として旋回して、旋回機構30における旋回軸40が接続された側と反対側の端部に接続された車輪20が上下に移動する。
【0029】
(各実施の形態の共通部−連結軸)
連結軸50は、旋回軸40に接続されており、旋回軸40を旋回動作させる軸である。具体的には、共通部としては少なくとも第一連結軸51と第二連結軸52とを備える。ここで、第一連結軸51とは、第一旋回軸41に接続されており、第一旋回軸41を旋回動作させる軸である。第二連結軸52とは、第二旋回軸42に接続されており、第二旋回軸42を旋回動作させる軸である。ここで、「旋回軸40を旋回動作させる」とは、連結軸50が旋回することによって当該連結軸50から旋回軸40へと力が伝達して旋回軸40が旋回動作することである。具体的には、第一連結軸51と第一旋回軸41は、
図1に示すように、相互に直交するように噛み合うギア10a及びギア10bを介して相互に接続されており、第一連結軸51が旋回すると、第一旋回軸41を旋回動作させることができる。また、第二連結軸52と第二旋回軸42は、相互に直交するように噛み合うギア10c及びギア10dを介して相互に接続されており、第二連結軸52が旋回すると、第二旋回軸42を旋回動作させることができる。なお、各実施の形態において各ギアとしては公知のかさ歯車を適用している。
【0030】
(各実施の形態の共通部−反転機構)
反転機構60は、2つの軸を相互に反対方向に旋回可能に接続する反転手段である。具体的には、第一旋回軸41と第三旋回軸43とを接続する第一反転機構61と、第二旋回軸42と第四旋回軸44とを接続する第二反転機構62と、第一連結軸51と第二連結軸52とを接続する第三反転機構63とを備える。なお、このような反転機構60の具体的な構成については公知であり、例えば第三反転機構63を例に挙げて説明すると、略コ字状の枠体10gと、枠体10gを貫通する第一連結軸51であって、枠体10gに対して空回転可能に設置された第一連結軸51の先端に取り付けられたギア10eと、枠体10gを貫通する第二連結軸52であって、枠体10gに対して空回転可能に設置された第二連結軸52の先端に取り付けられたギア10fと、ギア10e及びギア10fの両方に対して直交するように噛み合うギア10hであって、枠体10gに対して旋回可能に取り付けられたギア10hとを備える公知の構成を採用できる。なお、第一反転機構61及び第二反転機構62については、当該第三反転機構63と略同様に構成できるため詳細な説明を省略する。
【0031】
(各実施の形態の共通部−車体)
車体70は、複数の車輪20によって支持される本体部である。この車体70の形状や大きさや重さ等については任意であり、例えば座席や荷台等を設けて人や物を載せることが可能な形状となっていても構わないし、カメラ等の撮影手段(図示省略)を載せて車体70から見た映像を記録可能となっていても構わない。
【0032】
(各実施の形態の共通部−車高検出用センサ)
車高検出用センサ80は、車高を検出するための車高検出手段である。この車高検出用センサ80は、各実施の形態では車体70の底面における平面視中央に設けられており、下方に向けて超音波を発信し、その反射波を受信することにより、車体70の底面における平面視略中央の位置から、接地対象面110までの鉛直距離(以下、車体70中央の車高)を検出するセンサとするが、これに限らず、例えば公知の赤外線センサ等を適用しても構わない。
【0033】
(各実施の形態の共通部−傾斜計)
傾斜計90は、車体70の傾斜を測定する傾斜測定手段である。この傾斜計90は、例えば水平振り子を用いたものや、水準器の原理を用いたもの等公知の機器を適用することが可能である。
【0034】
(各実施の形態の共通部−制御部)
制御部100は、車両10を制御する制御手段であり、具体的には、CPU、当該CPU上で解釈実行される各種のプログラム(OSなどの基本制御プログラムや、OS上で起動され特定機能を実現するアプリケーションプログラムを含む)、及びプログラムや各種のデータを格納するためのRAMの如き内部メモリを備えて構成されるコンピュータである。特に、各実施の形態に係る車両10の制御に関する制御プログラムは、任意の記録媒体又はネットワークを介して制御部100にインストールされることで、制御部100の各部を実質的に構成する。
【0035】
この制御部100は、具体的には、車高検出用センサ80や傾斜計90から送信された情報を取得し、これらの情報に基づいて、後述するモータを作動して姿勢制御や車高調整を行う。なお、制御部100により実行される具体的な処理の詳細については後述する。
【0036】
(共通部の機能)
次に、共通部の機能について説明する。上記の共通部の構成によれば、各車輪20はそれぞれ連動しており、いずれかの車輪20が上又は下に動いた際には、他の全ての車輪20が連動して上又は下方向に動くように構成されている。具体的には、
図1の矢印で示すように、
図1の平面視における対角線上の一対の車輪20が相互に同一方向に動くようになっており、例えば、第一車輪21が段差等に乗り上げて上昇した場合、第一旋回機構31が左方(−X方向)から見て時計回りに旋回して第一旋回軸41も左方から見て時計回りに旋回する。ここで、第一旋回軸41の旋回力は第一反転機構61で反転されて第三旋回軸43に伝わるので、第三旋回軸43は左方から見て反時計回りに旋回し、このことにより第三車輪23は図示のように下降する。また、第一旋回軸41の旋回力はギア10b及びギア10aを介して第一連結軸51に伝わり、第一連結軸51を後方(−Y方向)から見て反時計回りに旋回させる。そして、第一連結軸51の旋回力は第三反転機構63で反転されて第二連結軸52を後方から見て時計回りに旋回させ、ギア10c及びギア10dを介して第二旋回軸42を左方から見て時計回りに旋回させる。したがって、第二車輪22は下降する。また、第二旋回軸42の旋回力は第二反転機構62で反転されて第四旋回軸44に伝わるので、第四旋回軸44は左方から見て反時計回りに旋回し、このことにより第四車輪24は図示のように上昇する。
【0037】
したがって、共通部の構成によれば、車輪20の接地を確保することができる。すなわち、いずれかの車輪20が不整地の段差に乗り上げてしまった場合等には、複数の車輪20のうちいずれかが浮いてしまい車両10の安定性が損なわれてしまうことがあるが、共通部の構成によればこのような車輪20の浮きを解消でき、安定性を確保できる。例えば、第一車輪21が不整地の段差に乗り上げてしまった場合、第一車輪21、第三車輪23、及び第四車輪24が接地した状態で第二車輪22が浮いてしまうことがある(三点接地)。この場合に、共通部の固有の機能のみを考慮すると、第二車輪22が自身の重みによって自動的に下降し、これに連動して第三車輪23が下降し、第一車輪21及び第四車輪24が上昇する。そして、第二車輪22が接地した場合に全ての車輪20の接地が完了し(四点接地)、各車輪20に荷重配分して車両10の安定性を高めることができる。
【0038】
このように、共通部の構成によれば四点接地による荷重配分の機能を実現することが可能であるが、さらに下記の固有部を設けることにより、当該共通部の機能を維持しつつ、後述する固有部の機能(例えば、左右方向に関する姿勢制御、前後方向に関する姿勢制御、又は車高調整等)を実現することが可能となる。
【0039】
(実施の形態1)
次に、実施の形態1について説明する。ここで、実施の形態1に係る制御機構は、概略的に、左右方向の傾斜を調整する制御機構である。
【0040】
(実施の形態1の固有部)
この実施の形態1に係る車両10は、上述した共通部に加えて、本実施の形態1に固有の構成(以下、固有部)を有している。
図3は、本実施の形態1の車両10の共通部及び固有部を模式的に示す平面図である。この
図3に示すように、本実施の形態1の固有部として、第三反転機構63が差動装置として構成されており、第三反転機構モータ120を備えている。なお、以下の各図では、差動装置を一点鎖線で囲っている。
【0041】
(実施の形態1の固有部−第三反転機構)
図3に示すように、第三反転機構63は差動装置として構成されており、当該差動装置に接続された第一連結軸51及び第二連結軸52は、相互に同一方向と反対方向とに選択的に旋回可能となっている。ここで、「同一方向に旋回可能」とは、以下では、枠体10gは車体70に対して固定されておらず第一連結軸51及び第二連結軸52を中心として旋回可能となっており、
図3の矢印に示すように、第三反転機構モータ120が稼働した際に、第三反転機構モータ120に取り付けられたギア10jが旋回し、これを受けてギア10jに対して直交に噛み合うギア10iを介して枠体10gが旋回すると、枠体10gに固定されたギア10hが枠体10gと共に第一連結軸51及び第二連結軸52を中心として旋回し、当該ギア10hを介してギア10e及びギア10fに力が伝達することによって、枠体10g、ギア10e、及びギア10fがX−Z平面に沿って相互に同一方向に旋回することを示す。一方、「反対方向に旋回可能」とは、以下では、第一連結軸51と第二連結軸52が相互に反対方向に旋回することによりギア10e及びギア10fが相互に反対方向に旋回した場合でも、枠体10gは旋回せずに、ギア10hが枠体10gに対して旋回状態となりギア10e及びギア10fの差動を許容できることを示す。なお、このような差動装置の構成は公知であるため、詳細な説明を省略する。また、枠体10gの側方には枠体10gと一体に旋回可能なギア10iが固定されており、第三反転機構モータ120からの動力が当該ギア10iを介して枠体10gに伝達される。
【0042】
(実施の形態1の固有部−第三反転機構モータ)
第三反転機構モータ120は、差動装置として構成された第三反転機構63を旋回させる第三反転機構動力手段であって、差動装置に接続された第一連結軸51及び第二連結軸52を相互に同一方向に旋回させることにより、第一車輪21及び第二車輪22に対する車体70の位置と、第三車輪23及び第四車輪24に対する車体70の位置とが相互に上下反対方向に移動するように、各旋回軸40を旋回させる第三反転機構動力手段である。なお、この第三反転機構モータ120には、第三反転機構モータ120の停止時に空回転してしまわないように公知のブレーキ機構が設けられていることが好ましい。
【0043】
(固有部の機能)
次に、固有部の機能について説明する。上記の固有部の構成によれば、
図3に矢印で示すように、第三反転機構モータ120を作動させることにより、第一連結軸51と第二連結軸52とを相互に同一方向に旋回させることができ、右輪(第一車輪21及び第二車輪22)と左輪(第三車輪23及び第四車輪24)とを相互に反対方向に上下動させることができる。例えば右輪を上昇させた場合は左輪が下降し、逆に、右輪を下降させた場合は左輪が上昇する。したがって、車両10が走行中に車体70が傾いてしまった時であっても、第三反転機構モータ120を作動させることで、右輪又は左輪のうちいずれか一方を上昇させ、いずれか他方を下降させることで、車体70の左右の傾斜を解消することが可能である。
【0044】
(制御)
次に、本実施の形態1に係る制御部100にて実行される制御の内容の一例について説明する。
【0045】
まず、共通部の機能により、制御部100にて何ら制御を行うことなく、各車輪20に対する加重配分が行われる。すなわち、いずれかの車輪20が不整地の段差に乗り上げて他の車輪20が浮いてしまった場合であっても、上述したように当該他の車輪20は共通部の機構により下降して接地するので、四点支持により車両10の安定性を高めることができる。
【0046】
ここで、傾斜計90は所定の時刻間隔(例えば1秒間隔)で車体70の傾斜に関する情報(例えば傾斜角度)を制御部100に送信する。次に、制御部100は、受信した傾斜角度が、予め車両10のデータ記録部(図示省略)に格納された閾値(任意に設定可能。例えば、5度)を超えたか否かを判定し、超えた場合には、第三反転機構モータ120を作動させて右輪と左輪の高さを調整することにより、傾斜角度が適正値(任意に設定可能。例えば、1度)未満となるように制御する。このことにより、左右の傾斜が調整され、車両10の安定性を向上させることができる。
【0047】
すなわち、本実施の形態1の車両10によれば、共通部による荷重配分の機能を維持しつつ、固有部によって、車体70に生じた左右方向の傾斜を解消する姿勢制御の機能を実現することが可能となる。
【0048】
(実施の形態1の効果)
このような本実施の形態1に係る制御機構1によれば、第一反転機構61、第二反転機構62、及び第三反転機構63を備えることにより、第一車輪21と第四車輪24のセット、及び第二車輪22と第三車輪23のセットを相互に上下反対方向に連動させて荷重配分できると共に、第三反転機構63を差動装置として構成し、第三反転機構モータ120によって、第一車輪21及び第二車輪22に対する車体70の位置と、第三車輪23及び第四車輪24に対する車体70の位置とが相互に上下反対方向に移動するように各旋回軸40を旋回させるので、第一車輪21及び第二車輪22側から第三車輪23及び第四車輪24側へと至るように車体70を傾けて姿勢制御することができるので、バネ、ワイヤ、又は流体式サスペンション等の複雑な機構を省略した極めて簡素な機構な機構により荷重配分及び姿勢制御ができ、コストの削減や利用性の向上が可能となる。
【0049】
(実施の形態2)
続いて、実施の形態2について説明する。なお、実施の形態2の構成は、特記する場合を除いて実施の形態1の構成と略同一であり、実施の形態1の構成と略同一の構成についてはこの実施の形態1で用いたのと同一の符号を必要に応じて付して、その説明を省略する。ここで、実施の形態2に係る制御機構2は、概略的に、前後方向の傾斜を調整する制御機構2である。
【0050】
(実施の形態2の固有部)
図4は、本実施の形態2の車両10の共通部及び固有部を模式的に示す平面図である。この
図4に示すように、本実施の形態2の固有部として、第一反転機構61及び第二反転機構62が差動装置として構成されており、第三連結軸53と、第一第二反転機構モータ130とを備えている。なお、共通部の構成については上記同様に構成できるため詳細な説明を省略する。
【0051】
(実施の形態2の固有部−第一反転機構)
図4に示すように、第一反転機構61は差動装置として構成されており、当該差動装置に接続された第一旋回軸41及び第三旋回軸43は、相互に同一方向と反対方向とに選択的に旋回可能となっている。なお、差動装置の構成は実施の形態1の第三反転機構63と同様であるため、詳細な説明を省略する。また、第一反転機構61の枠体10pの側方には枠体10pと一体に旋回可能なギア10kが固定されており、第一第二反転機構モータ130からの動力が当該ギア10kを介して枠体10pに伝達される。
【0052】
(実施の形態2の固有部−第二反転機構)
図4に示すように、第二反転機構62は差動装置として構成されており、当該差動装置に接続された第二旋回軸42及び第四旋回軸44は、相互に同一方向と反対方向とに選択的に旋回可能となっている。なお、差動装置の構成は実施の形態1の第三反転機構63と同様であるため、詳細な説明を省略する。また、第二反転機構62の枠体10qの側方には枠体10qと一体に旋回可能なギア10lが固定されており、第一第二反転機構モータ130からの動力が当該ギア10lを介して枠体10qに伝達される。
【0053】
(実施の形態2の固有部−第三連結軸)
第三連結軸53は、差動装置として構成された第一反転機構61及び第二反転機構62を相互に接続する軸である。ここで、具体的には、第三連結軸53の前後方向(Y方向)における略中間部には第三連結軸53と一体に旋回するギア10oが設けられており、第一第二反転機構モータ130からの動力が当該ギア10oを介して第三連結軸53に伝達される。また、第三連結軸53における前端部(+Y方向端部)には、ギア10kに対して相互に直交に噛み合わされているギア10mが設けられており、後端部(−Y方向端部)にはギア10lに対して相互に直交に噛み合わされているギア10nが設けられている。
【0054】
(実施の形態2の固有部−第一第二反転機構モータ)
第一第二反転機構モータ130は、第三連結軸53を旋回させる第一第二反転機構動力手段であって、第三連結軸53に接続された2つの差動装置(第一反転機構61及び第二反転機構62)を旋回させることにより、第一車輪21及び第三車輪23に対する車体70の位置と、第二車輪22及び第四車輪24に対する車体70の位置とが相互に上下反対方向に移動するように、各旋回軸40を旋回させる第一第二反転機構動力手段である。
【0055】
ここで、第一第二反転機構モータ130にはギア10rが取り付けられており、このギア10rはギア10oに対して相互に直交に噛み合わされている。したがって、第一第二反転機構モータ130を作動させると、ギア10r及びギア10oを介して第三連結軸53が旋回する。このことにより、ギア10m及びギア10kを介して枠体10pが第一旋回軸41及び第三旋回軸43を中心として旋回し、第一旋回軸41及び第三旋回軸43が相互に同一方向に旋回する(
図4の矢印参照)と共に、ギア10n及びギア10lを介して枠体10qが第二旋回軸42及び第四旋回軸44を中心として旋回し、第二旋回軸42及び第四旋回軸44が相互に同一方向に旋回する(
図4の矢印参照)。
【0056】
(固有部の機能)
次に、固有部の機能について説明する。上記の固有部の構成によれば、
図4に矢印で示すように、第一第二反転機構モータ130を作動させることにより、第一旋回軸41と第三旋回軸43とを相互に同一方向に旋回させることができると共に、第二旋回軸42と第四旋回軸44とを相互に同一方向に旋回させることができ、前輪(第一車輪21及び第三車輪23)と後輪(第二車輪22及び第四車輪24)とを相互に反対方向に上下動させることができる。例えば、前輪を上昇させた場合は後輪が下降し、逆に、前輪を下降させた場合は後輪が上昇する。したがって、車両10が走行中に車体70が傾いてしまった時であっても、第一第二反転機構モータ130を作動させることで、前輪又は後輪のうちいずれか一方を上昇させ、いずれか他方を下降させることで、車体70の前後の傾斜を解消することが可能である。
【0057】
(制御)
次に、本実施の形態2に係る制御部100にて実行される制御の内容の一例について説明する。まず、共通部の機能により、制御部100にて何ら制御を行うことなく、車輪20の浮きは自動的に解消される。
【0058】
ここで、傾斜計90は所定の時刻間隔(例えば1秒間隔)で車体70の傾斜に関する情報(例えば傾斜角度)を制御部100に送信する。次に、制御部100は、受信した傾斜角度が、予め車両10のデータ記録部(図示省略)に格納された閾値(任意に設定可能。例えば、5度)を超えたか否かを判定し、超えた場合には、第一第二反転機構モータ130を作動させて前輪と後輪の高さを調整することにより、傾斜角度が適正値(任意に設定可能。例えば、1度)未満となるように制御する。このことにより、前後の傾斜が調整され、車両10の安定性を向上させることができる。
【0059】
すなわち、本実施の形態2の車両10によれば、共通部による荷重配分の機能を維持しつつ、固有部によって、車体70に生じた前後方向の傾斜を解消する姿勢制御の機能を実現することが可能となる。
【0060】
(実施の形態2の効果)
このような本実施の形態2に係る制御機構2によれば、第一反転機構61、第二反転機構62、及び第三反転機構63を備えることにより、第一車輪21と第四車輪24のセット、及び第二車輪22と第三車輪23のセットを相互に上下反対方向に連動させて荷重配分できると共に、第一反転機構61及び第二反転機構62を差動装置として構成し、第一第二反転機構モータ130によって、第一車輪21及び第三車輪23に対する車体70の位置と、第二車輪22及び第四車輪24に対する車体70の位置とが相互に上下反対方向に移動するように各旋回軸40を旋回させるので、第一車輪21及び第三車輪23側から第二車輪22及び第四車輪24側へと至るように車体70を傾けて姿勢制御することができるので、バネ、ワイヤ、又は流体式サスペンション等の複雑な機構を省略した極めて簡素な機構な機構により荷重配分及び姿勢制御ができ、コストの削減や利用性の向上が可能となる。
【0061】
(実施の形態3)
続いて、実施の形態3について説明する。なお、実施の形態3の構成は、特記する場合を除いて実施の形態1及び2の構成と略同一であり、実施の形態1及び2の構成と略同一の構成についてはこの実施の形態1及び2で用いたのと同一の符号を必要に応じて付して、その説明を省略する。ここで、実施の形態3に係る制御機構3は、概略的に、前後左右両方向の傾斜を調整する制御機構3である。
【0062】
(実施の形態3の固有部)
図5は、本実施の形態3の車両10の共通部及び固有部を模式的に示す平面図である。この
図5に示すように、本実施の形態3の車両10の固有部として、第一反転機構61、第二反転機構62、及び第三反転機構63が差動装置として構成されており、第三連結軸53と、第一第二反転機構モータ130と、第三反転機構モータ120と、を備えている。なお、実施の形態3の固有部の各構成要素は、いずれも実施の形態1と実施の形態2の固有部の各構成要素と同様であり、換言すれば、実施の形態3の構成は実施の形態1の構成と実施の形態2の構成とを複合させた構成であるため、各構成の詳細な説明については省略する。
【0063】
(固有部の機能)
次に、固有部の機能について説明する。上記の固有部の構成によれば、第三反転機構モータ120を作動させることにより、右輪(第一車輪21及び第二車輪22)と左輪(第三車輪23及び第四車輪24)とを相互に反対方向に上下動させることができ、車体70の左右の傾斜を解消することが可能である(実施の形態1参照)。また、第一第二反転機構モータ130を作動させることにより、前輪(第一車輪21及び第三車輪23)と後輪(第二車輪22及び第四車輪24)とを相互に反対方向に上下動させることができ、車体70の前後の傾斜を解消することが可能である(実施の形態2参照)。このように、本実施の形態3の固有部によれば、実施の形態1と実施の形態2の機構を併せ持つので、左右と前後の両方の傾斜を解消することが可能である。
【0064】
なお、本実施の形態3の制御の内容は、実施の形態1及び実施の形態2の制御を併合することにより説明できるので、詳細な説明を省略する。
【0065】
(実施の形態3の効果)
このような本実施の形態3に係る制御機構3によれば、第一反転機構61、第二反転機構62、及び第三反転機構63を備えることにより、第一車輪21と第四車輪24のセット、及び第二車輪22と第三車輪23のセットを相互に上下反対方向に連動させて荷重配分できると共に、第一反転機構61、第二反転機構62、及び第三反転機構63を差動装置として構成し、第三反転機構モータ120によって、第一車輪21及び第二車輪22に対する車体70の位置と、第三車輪23及び第四車輪24に対する車体70の位置とが相互に上下反対方向に移動するように各旋回軸40を旋回させるので、第一車輪21及び第二車輪22側から第三車輪23及び第四車輪24側へと至るように車体70を傾けて姿勢制御することができ、また、第一第二反転機構モータ130によって、第一車輪21及び第三車輪23に対する車体70の位置と、第二車輪22及び第四車輪24に対する車体70の位置とが相互に上下反対方向に移動するように各旋回軸40を旋回させるので、第一車輪21及び第三車輪23側から第二車輪22及び第四車輪24側へと至るように車体70を傾けて姿勢制御することができるので、バネ、ワイヤ、又は流体式サスペンション等の複雑な機構を省略した極めて簡素な機構な機構により荷重配分及び姿勢制御ができ、コストの削減や利用性の向上が可能となる。
【0066】
(実施の形態4)
続いて、実施の形態4について説明する。なお、実施の形態4の構成は、特記する場合を除いて実施の形態1、2、及び3の構成と略同一であり、実施の形態1、2、及び3の構成と略同一の構成についてはこの実施の形態1、2、及び3で用いたのと同一の符号を必要に応じて付して、その説明を省略する。ここで、実施の形態4に係る制御機構4は、概略的に、前後左右両方向の傾斜を調整可能であると共に、車高を調整することが可能な制御機構4である。すなわち、実施の形態3に加えてさらに、車高調整機能を備えた機構である。
【0067】
(実施の形態4の固有部)
図6は、本実施の形態4の車両10を模式的に示す平面図である。この
図6に示すように、本実施の形態4の車両10は、第一反転機構61、第二反転機構62、及び第三反転機構63が差動装置として構成されており、第一反転機構モータ140と、第二反転機構モータ150と、第三反転機構モータ120とを備えている。なお、第三反転機構モータ120は実施の形態1と同様に構成できるので、以下では第一反転機構モータ140と、第二反転機構モータ150の構成について説明する。
【0068】
(実施の形態4の固有部−第一反転機構モータ)
第一反転機構モータ140は、差動装置として構成された第一反転機構61を旋回させる第一反転機構動力手段である。この第一反転機構モータ140にはギア10sが取り付けられており、このギア10sはギア10kに対して相互に直交に噛み合わされている。このことにより、第一反転機構モータ140を作動させると、枠体10pの全体がX軸を中心として旋回し、これにより第一旋回軸41及び第三旋回軸43が相互に同一方向に旋回する。
【0069】
(実施の形態4の固有部−第二反転機構モータ)
第二反転機構モータ150は、差動装置として構成された第二反転機構62を旋回させる第二反転機構動力手段である。この第二反転機構モータ150にはギア10tが取り付けられており、このギア10tはギア10lに対して相互に直交に噛み合わされている。このことにより、第一反転機構モータ140を作動させると、枠体10qの全体がX軸を中心として旋回し、これにより第二旋回軸42及び第四旋回軸44が相互に同一方向に旋回する。
【0070】
(固有部の機能)
次に、固有部の機能について説明する。上記の固有部の構成によれば、前後左右両方向の傾斜を調整できると共に、車高を調整することができる。まず傾斜調整について説明すると、本実施の形態4の固有部は、実施の形態3の固有部同様に、第一反転機構61、第二反転機構62、及び第三反転機構63が差動装置として構成されているので、各差動装置を実施の形態3と同様に旋回させることができる。すなわち、左右の傾斜調整をする際には、第三反転機構モータ120を作動させることにより、
図3に示す矢印のように各車輪20を昇降させることができ、前後の傾斜調整をする際には、第一反転機構モータ140及び第二反転機構モータ150を作動させて、ギア10sとギア10tとを相互に同一方向(例えば、後方(−Y方向)から見て時計回り)に旋回させることにより、
図4に示す矢印のように各車輪20を昇降させることができる。
【0071】
また、車高調整について説明すると、本実施の形態4では第一反転機構61と第二反転機構62とが
図5に示す実施の形態3のように直接接続されておらず、
図6に示すようにそれぞれ別のモータで制御可能に構成されているので、ギア10sとギア10tとを一方向(例えば後方向(−Y方向))から見て相互に反対方向に旋回可能となっている。そこで、ギア10sとギア10tとが一方向から見て相互に反対方向に旋回するように第一反転機構モータ140及び第二反転機構モータ150を作動させ、さらに第三反転機構モータ120を作動させる(すなわち、全てのモータを作動させる)ことにより、各機構は
図6の矢印に示すように旋回し、全ての車輪20を一方向から見て相互に同一方向に移動させることができる。なお、
図6では全ての車輪20を下降させる場合を図示しているが、ギア10sとギア10tを図示と反対方向に旋回させることで、全ての車輪20を上昇させることも可能である。
【0072】
なお、第一反転機構モータ140及び第二反転機構モータ150だけでなく第三反転機構モータ120も作動させる理由は、第一反転機構モータ140及び第二反転機構モータ150を作動させると、第一連結軸51及び第二連結軸52が同一方向に旋回して、枠体10g及びギア10iもこれらの連結軸50と同一方向に旋回しようとするので、この旋回に合せて第三反転機構モータ120を作動させる必要があるためである。
【0073】
(制御)
次に、本実施の形態4に係る制御部100にて実行される制御の内容の一例について説明する。まず、共通部の機能により、制御部100にて何ら制御を行うことなく、車輪20の浮きは自動的に解消される。
【0074】
ここで、傾斜計90は所定の時刻間隔(例えば1秒間隔)で車体70の傾斜に関する情報(例えば傾斜角度)を制御部100に送信する。また、車高検出用センサ80も所定の時刻間隔(例えば、傾斜計90と同様に1秒間隔)で車高に関する情報を制御部100に送信する。次に制御部100は、傾斜計90から受信した傾斜角度が予め車両10のデータ記録部(図示省略)に格納された閾値(任意に設定可能。例えば、5度)を超えたか否かを判定し、超えた場合には、第三反転機構モータ120を作動させて車輪20の高さを調整して左右方向の傾斜角度が適正値(任意に設定可能。例えば、1度)未満となるように制御すると共に、第一反転機構モータ140及び第二反転機構モータ150を作動させて車輪20の高さを調整して前後方向の傾斜角度が適正値(任意に設定可能。例えば、1度)未満となるように制御する。さらに、制御部100は、車高検出用センサ80から受信した車高が予め車両10のデータ記録部(図示省略)に格納された閾値(任意に設定可能。例えば10cm)以上であるか否かを判定し、閾値未満である場合、3つのモータ全てを同一回転量で作動させて車高を上げる。このような車高調整の目的は任意であるが、例えば、車高が低すぎて車体70が接地対象面110の段差や障害物に接触してしまう可能性がある場合に、接触を抑止する目的で行っても良い。なお、このような具体的な制御の内容は例示に過ぎず、例えば制御部100は、車高が高すぎる場合には車体70の安定性が損なわれてしまうものとし、3つのモータ全てを作動させて車高を下げても構わない。また、第一反転機構モータ140と第二反転機構モータ150とを相互に異なる回転量で、ギア10sとギア10tとが相互に同一方向に旋回するように回転させても構わない。この場合には、車高を調整しつつ、これら回転量の差に基づいて前後方向の傾きを調整できる。
【0075】
すなわち、本実施の形態4の車両10によれば、共通部による荷重配分の機能を維持しつつ、固有部によって、車体70に生じた前後左右方向の傾斜を解消する姿勢制御の機能を実現すると共に、車高調整の機能を実現することが可能となる。
【0076】
(実施例)
続いて、本実施の形態4の実施例について説明する。
図7は、本発明の実施例に係る表である。この実施例では、本実施の形態4に係る車両10の第一車輪21が段差に乗り上げてしまった際に、具体的にどのような制御を実行するかについて
図7の表を参照しつつ簡略的に説明する。なお、上述したように、本実施の形態4は実施の形態1から実施の形態3の機能を含むものであるため、これらの各実施の形態についても同様に説明できるものとし、説明を省略する。
【0077】
ここで、以下では、
図7に示すように、制御に関する一連の流れを、説明の便宜上、6つのフェーズに分けて説明する。ただし、各フェーズは時間的に区切られたものでなくても構わず、実際には複数のフェーズが同時に行われても良いし、各フェーズの順序も図示のものに限らない。また、項目「段差」、項目「脚の高さ」、項目「車高」に対応する情報は、それぞれの高さを二行二列の行列式で示したものであり、この行列式の各因子の配置は平面視における各車輪20の配置に対応する。例えば行列式の1行1列目の因子は第一車輪21、1行2列目の因子は第二車輪22、2行1列目の因子は第三車輪23、2行2列目の因子は第四車輪24に対応する。また、初期状態の脚の高さを「L」で表し、車両10が乗り上げる段差の高さを「x」で表し、必要な車高調整量を「H」で表している。
【0078】
まず、フェーズ1は初期状態であって、車両10が水平面を走行している状態を示している。
【0079】
次に、フェーズ2すなわち第一車輪21が段差に乗り上げた場合には、第一車輪21及び第二車輪22は段差の高さxの分だけ車高が高くなるので、車高は「L+x」となる。なお、この際に第二車輪22は浮いた状態となる。
【0080】
次に、フェーズ3すなわち共通部作動時には、上述した共通部の機能により第二車輪22と第三車輪23が下降するので、これらの車輪20の脚は伸びて高さが「L+x/4」となる。逆に、共通部の機能により第一車輪21と第四車輪24は上昇するので、これらの車輪20の脚は縮んで高さが「L−x/4」となる。このような共通部の機能によって、4点接地となり、車体70の安定性が向上する。なお、第二車輪22の位置の車高は、フェーズ2では「L+x」であるのに対し、フェーズ3では「L+x/4」となっており、第二車輪22の脚を伸ばしたにも関わらず車高が低くなっているが、これは、共通部により四輪が接地するように脚を伸縮することによって、車体70の第二車輪22側が下となるように傾いたことに起因するものである。
【0081】
次に、フェーズ4すなわち第三反転機構モータ120作動時には、左右の傾きが調整される。具体的には、右輪側の脚の高さを「−x/4」して、左輪側の脚の高さを「+x/4」する。ここで、段差xの具体的な数値の求め方は任意であるが、例えば、車両10が段差に乗り上げた際(フェーズ2)における、車高検出用センサ80による検出結果(車体70中央の車高)と、傾斜計90による検出結果と、予め制御部100に格納された車両10の縦横の長さ等に基づいて、公知の計算方法で求めることができる。このことにより、フェーズ4の段階での車高は、第一車輪21の位置と第三車輪23の位置(前輪の位置)では「L+2/x」となり左右の車高が一致し、第二車輪22の位置と第四車輪24の位置(後輪の位置)では「L」となり左右の車高が一致する。このように、フェーズ4の段階では、第三反転機構モータ120を作動させることで左右の傾きを無くすことが可能である。
【0082】
次に、フェーズ5すなわち第一反転機構モータ140及び第二反転機構モータ150作動時には、ギア10sとギア10tとを相互に同一方向に旋回させることで、前後の傾きを調整する。具体的には、前輪側の脚の高さを「−x/4」して、後輪側の脚の高さを「+x/4」する。このことにより、フェーズ5の段階での車高は、すべての車輪20の位置で「L+x/4」となり、前後の車高も一致する。このように、フェーズ5の段階では、第三反転機構モータ120を作動させることで前後の傾きを無くすことが可能である。
【0083】
最後に、フェーズ6すなわち第一反転機構モータ140、第二反転機構モータ150、及び第三反転機構モータ120作動時には、ギア10sとギア10tとを相互に反対方向(
図6の矢印の方向)に旋回させることで、車高を調整する。具体的には、各車輪20の脚の高さを「+H」する。このことにより、フェーズ6の段階での車高は、すべての車輪20の位置で「L+x/4+H」となる。このように、フェーズ6の段階では、第一反転機構モータ140及び第二反転機構モータ150を作動させることで車高を調整できる。
【0084】
(実施の形態4の効果)
このような本実施の形態4に係る制御機構4によれば、第一反転機構61、第二反転機構62、及び第三反転機構63を備えることにより、第一車輪21と第四車輪24のセット、及び第二車輪22と第三車輪23のセットを相互に上下反対方向に連動させて荷重配分できると共に、第一反転機構61、第二反転機構62、及び第三反転機構63を差動装置として構成し、第三反転機構モータ120によって、第一車輪21及び第二車輪22に対する車体70の位置と、第三車輪23及び第四車輪24に対する車体70の位置とが相互に上下反対方向に移動するように各旋回軸40を旋回させるので、第一車輪21及び第二車輪22側から第三車輪23及び第四車輪24側へと至るように車体70を傾けて姿勢制御することができ、また、第一反転機構モータ140及び第二反転機構モータ150によって、第一車輪21及び第三車輪23に対する車体70の位置と、第二車輪22及び第四車輪24に対する車体70の位置とが相互に上下反対方向に移動するように各旋回軸40を旋回させるので、第一車輪21及び第三車輪23側から第二車輪22及び第四車輪24側へと至るように車体70を傾けて姿勢制御することができ、さらに、第一車輪21、第二車輪22、第三車輪23、及び第四車輪24に対する車体70の位置が相互に上下同一方向に移動するように各旋回軸40を旋回させることで車体70の高さ調整ができるので、バネ、ワイヤ、又は流体式サスペンション等の複雑な機構を省略した極めて簡素な機構な機構により荷重配分、姿勢制御、及び高さ調整ができ、コストの削減や利用性の向上が可能となる。
【0085】
〔実施の形態に対する変形例〕
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0086】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、上述の内容に限定されるものではなく、発明の実施環境や構成の細部に応じて異なる可能性があり、上述した課題の一部のみを解決する場合や、上述した効果の一部のみを奏することがある。
【0087】
(各実施の形態の相互関係)
各実施の形態に示した特徴は、相互に入れ替えたり、一方の特徴を他方に追加したりしてもよい。例えば、実施の形態2に係る第三連結軸53及び第一第二反転機構モータ130の代わりに、実施の形態4に係る第一反転機構モータ140及び第二反転機構モータ150を設けても良い。
【0088】
(寸法や材料について)
発明の詳細な説明や図面で説明した制御機構の各部の寸法、形状、材料、比率等は、あくまで例示であり、その他の任意の寸法、形状、材料、比率等とすることができる。また、各ギア、車輪20、旋回軸40、連結軸50、及びモータの組み合わせや配置箇所や向きについても例示に過ぎず、同様の作用を実現するために他の態様を適用して構わない。
【0089】
(旋回機構及び接地部について)
各実施の形態においては、
図1に示すように、前輪側の旋回軸40を左方(−X方向)から見て時計回りさせることで前輪を上昇させ、左方から見て反時計回りさせることで前輪を下降させており、一方、後輪側の旋回軸40を左方から見て時計回りさせることで後輪を下降させ、左方から見て反時計回りさせることで後輪を上昇させたが、車輪20を上昇又は下降させるための各旋回機構30の旋回方向を例示に過ぎず、これに限定されない。
図8は、第一の変形例に係る制御機構5の共通部を模式的に示す平面図である。例えば、この
図8に示すように旋回機構30や各ギアを構成することにより、後輪側の旋回軸40を左方から見て時計回りさせることで後輪を上昇させ、左方から見て反時計回りさせることで後輪を下降させても構わない。
【0090】
各実施の形態においては、接地部は車輪20であるものとして説明したが、これに限らず、接地可能な様々な構成を採用できる。
図9は、第二の変形例に係る制御機構6を模式的に示す左側面図である。この
図9に示すように、例えば車輪20の代わりに揺動形クローラ160を用いて、不整地でも移動能力を向上させても構わない。
【0091】
また、階段や急斜面を安定姿勢で走行させるために、接地部のストロークを大きくするための機構を設けても構わない。
図10は、第三の変形例に係る制御機構7を模式的に示す左側面図、
図11は、前後の傾きを調整する制御機構7を模式的に示す左側面図、
図12は、第四の変形例に係る制御機構8を模式的に示す左側面図である。これらの
図10及び
図11に示すように、平行リンク170を利用するか、あるいは、
図12に示すように、ラックピニオン機構180を利用することにより、ストロークを大きくすることが可能となり、階段や急斜面における安定性を向上させることが可能となる。なお、図示は省略するが、歯車やチェーンを差動機構に組み込んでも構わない。また、
図10から後述する
図13では図示の便宜上、車高検出用センサ80、傾斜計90、及び制御部100を省略している。
【0092】
まず、
図13は、第五の変形例に係る制御機構9を模式的に示す左側面図である。この
図13に示すように、車輪20の代わりに固定三角クローラ190を設けても構わない。すなわち、上記の車輪20では大きな段差や階段の走行が困難な可能性があり、また、上記の揺動形クローラ160では段差や階段の走破性は高いが前後方向に長くなるため狭小部の旋回が困難となり、また旋回時に床を傷つけてしまう可能性がある。しかし、このような固定三角クローラ190によれば、揺動形クローラ160と比較して短い全長で大きな段差や階段の昇降が可能となり、車輪20と同様のステアリングが可能であるため、床を傷つける可能性を低減できる。
【0093】
(車高検出用センサについて)
各実施の形態において、車高検出用センサ80は車体70の下方に一つ取り付けられているものとして説明したが、段差の高さxを求めることが可能である限り、配置や個数はこれに限定されない。例えば、車両10の進行方向前方に向けて超音波を発して、車両10が段差に乗り上げる前段階で段差の高さxを検出するセンサとしても良い。
【0094】
(付記)
付記1の制御機構は、接地対象面に対して接地される複数の接地部であって、第一接地部、第二接地部、第三接地部、及び第四接地部を有する複数の接地部と、前記複数の接地部によって支持される本体部と、を有する制御対象物を制御する制御機構であって、前記接地部に接続されており、上下移動動作を行うことによって当該接続された接地部に対する前記本体部の位置を上下に移動させる複数の上下移動機構であって、前記第一接地部に接続される第一上下移動機構、前記第二接地部に接続される第二上下移動機構、前記第三接地部に接続される第三上下移動機構、及び前記第四接地部に接続される第四上下移動機構、を有する複数の上下移動機構と、旋回動作を行うことによって、前記上下移動機構に上下移動動作を行わせる複数の旋回軸であって、前記第一上下移動機構に接続される第一旋回軸、前記第二上下移動機構に接続される第二旋回軸、前記第三上下移動機構に接続される第三旋回軸、及び前記第四上下移動機構に接続される第四旋回軸、を少なくとも有する複数の旋回軸と、前記第一旋回軸に接続されており、前記第一旋回軸を旋回動作させる第一連結軸と、前記第二旋回軸に接続されており、前記第二旋回軸を旋回動作させる第二連結軸と、2つの軸を相互に反対方向に旋回可能に接続する複数の反転機構であって、前記第一旋回軸と前記第三旋回軸とを接続する第一反転機構と、前記第二旋回軸と前記第四旋回軸とを接続する第二反転機構と、前記第一連結軸と前記第二連結軸とを接続する第三反転機構と、を有する複数の反転機構と、を備え、前記第三反転機構を差動装置として構成することにより、当該差動装置に接続された2つの軸を相互に同一方向と反対方向とに選択的に旋回可能とし、前記差動装置として構成された前記第三反転機構を旋回させる第三反転機構モータであって、前記差動装置に接続された前記第一連結軸及び前記第二連結軸を相互に同一方向に旋回させることにより、前記第一接地部及び前記第二接地部に対する前記本体部の位置と、前記第三接地部及び前記第四接地部に対する前記本体部の位置とが相互に上下反対方向に移動するように、前記各旋回軸を旋回させる第三反転機構モータを備える。
【0095】
付記2の制御機構は、接地対象面に対して接地される複数の接地部であって、第一接地部、第二接地部、第三接地部、及び第四接地部を有する複数の接地部と、前記複数の接地部によって支持される本体部と、を有する制御対象物を制御する制御機構であって、前記接地部に接続されており、旋回動作を行うことによって当該接続された接地部に対する前記本体部の位置を上下に移動させる複数の旋回機構であって、前記第一接地部に接続される第一旋回機構、前記第二接地部に接続される第二旋回機構、前記第三接地部に接続される第三旋回機構、及び前記第四接地部に接続される第四旋回機構、を有する複数の旋回機構と、前記旋回機構の旋回動作の軸となる複数の旋回軸であって、前記第一旋回機構に接続される第一旋回軸、前記第二旋回機構に接続される第二旋回軸、前記第三旋回機構に接続される第三旋回軸、及び前記第四旋回機構に接続される第四旋回軸、を少なくとも有する複数の旋回軸と、前記第一旋回軸に接続されており、前記第一旋回軸を旋回動作させる第一連結軸と、前記第二旋回軸に接続されており、前記第二旋回軸を旋回動作させる第二連結軸と、2つの軸を相互に反対方向に旋回可能に接続する複数の反転機構であって、前記第一旋回軸と前記第三旋回軸とを接続する第一反転機構と、前記第二旋回軸と前記第四旋回軸とを接続する第二反転機構と、前記第一連結軸と前記第二連結軸とを接続する第三反転機構と、を有する複数の反転機構と、を備え、前記第一反転機構及び前記第二反転機構を差動装置として構成することにより、当該各差動装置に接続された2つの軸を相互に同一方向と反対方向とに選択的に旋回可能とし、前記差動装置として構成された前記第一反転機構及び前記第二反転機構を相互に接続する第三連結軸と、前記第三連結軸を旋回させる第一第二反転機構モータであって、前記第三連結軸に接続された前記2つの差動装置を旋回させることにより、前記第一接地部及び前記第三接地部に対する前記本体部の位置と、前記第二接地部及び前記第四接地部に対する前記本体部の位置とが相互に上下反対方向に移動するように、前記各旋回軸を旋回させる第一第二反転機構モータと、を備える。
【0096】
付記3の制御機構は、接地対象面に対して接地される複数の接地部であって、第一接地部、第二接地部、第三接地部、及び第四接地部を有する複数の接地部と、前記複数の接地部によって支持される本体部と、を有する制御対象物を制御する制御機構であって、前記接地部に接続されており、旋回動作を行うことによって当該接続された接地部に対する前記本体部の位置を上下に移動させる複数の旋回機構であって、前記第一接地部に接続される第一旋回機構、前記第二接地部に接続される第二旋回機構、前記第三接地部に接続される第三旋回機構、及び前記第四接地部に接続される第四旋回機構、を有する複数の旋回機構と、前記旋回機構の旋回動作の軸となる複数の旋回軸であって、前記第一旋回機構に接続される第一旋回軸、前記第二旋回機構に接続される第二旋回軸、前記第三旋回機構に接続される第三旋回軸、及び前記第四旋回機構に接続される第四旋回軸、を少なくとも有する複数の旋回軸と、前記第一旋回軸に接続されており、前記第一旋回軸を旋回動作させる第一連結軸と、前記第二旋回軸に接続されており、前記第二旋回軸を旋回動作させる第二連結軸と、2つの軸を相互に反対方向に旋回可能に接続する複数の反転機構であって、前記第一旋回軸と前記第三旋回軸とを接続する第一反転機構と、前記第二旋回軸と前記第四旋回軸とを接続する第二反転機構と、前記第一連結軸と前記第二連結軸とを接続する第三反転機構と、を有する複数の反転機構と、を備え、前記第一反転機構、前記第二反転機構、及び第三反転機構を差動装置として構成することにより、当該各差動装置に接続された2つの軸を相互に同一方向と反対方向とに選択的に旋回可能とし、前記差動装置として構成された前記第三反転機構を旋回させる第三反転機構モータであって、前記差動装置に接続された前記第一連結軸及び前記第二連結軸を相互に同一方向に旋回させることにより、前記第一接地部及び前記第二接地部に対する前記本体部の位置と、前記第三接地部及び前記第四接地部に対する前記本体部の位置とが相互に上下反対方向に移動するように、前記各旋回軸を旋回させる第三反転機構モータと、前記差動装置として構成された前記第一反転機構及び前記第二反転機構を相互に接続する第三連結軸と、前記第三連結軸を旋回させる第一第二反転機構モータであって、前記第三連結軸に接続された前記2つの差動装置を旋回させることにより、前記第一接地部及び前記第三接地部に対する前記本体部の位置と、前記第二接地部及び前記第四接地部に対する前記本体部の位置とが相互に上下反対方向に移動するように、前記各旋回軸を旋回させる第一第二反転機構モータと、を備える。
【0097】
付記4の制御機構は、接地対象面に対して接地される複数の接地部であって、第一接地部、第二接地部、第三接地部、及び第四接地部を有する複数の接地部と、前記複数の接地部によって支持される本体部と、を有する制御対象物の姿勢を制御する制御機構であって、前記接地部に接続されており、旋回動作を行うことによって当該接続された接地部に対する前記本体部の位置を上下に移動させる複数の旋回機構であって、前記第一接地部に接続される第一旋回機構、前記第二接地部に接続される第二旋回機構、前記第三接地部に接続される第三旋回機構、及び前記第四接地部に接続される第四旋回機構、を有する複数の旋回機構と、前記旋回機構の旋回動作の軸となる複数の旋回軸であって、前記第一旋回機構に接続される第一旋回軸、前記第二旋回機構に接続される第二旋回軸、前記第三旋回機構に接続される第三旋回軸、及び前記第四旋回機構に接続される第四旋回軸、を少なくとも有する複数の旋回軸と、前記第一旋回軸に接続されており、前記第一旋回軸を旋回動作させる第一連結軸と、前記第二旋回軸に接続されており、前記第二旋回軸を旋回動作させる第二連結軸と、2つの軸を相互に反対方向に旋回可能に接続する複数の反転機構であって、前記第一旋回軸と前記第三旋回軸とを接続する第一反転機構と、前記第二旋回軸と前記第四旋回軸とを接続する第二反転機構と、前記第一連結軸と前記第二連結軸とを接続する第三反転機構と、を有する複数の反転機構と、を備え、前記第一反転機構、前記第二反転機構、及び第三反転機構を差動装置として構成することにより、当該各差動装置に接続された2つの軸を相互に同一方向と反対方向とに選択的に旋回可能とし、前記差動装置として構成された前記第一反転機構を旋回させる第一反転機構モータと、前記差動装置として構成された前記第二反転機構を旋回させる第二反転機構モータと、を備え、前記第一反転機構モータ、及び前記第二反転機構モータにより前記第一反転機構、及び前記第二反転機構を同時に旋回させることで、前記第一接地部、前記第二接地部、前記第三接地部、及び前記第四接地部に対する前記本体部の位置が相互に上下同一方向に移動するように前記各旋回軸を旋回させる。
【0098】
(付記の効果)
付記1に記載の制御機構によれば、第一反転機構、第二反転機構、及び第三反転機構を備えることにより、第一接地部と第四接地部のセット、及び第二接地部と第三接地部のセットを相互に上下反対方向に連動させて荷重配分できると共に、第三反転機構を差動装置として構成し、第三反転機構モータによって、第一接地部及び第二接地部に対する本体部の位置と、第三接地部及び第四接地部に対する本体部の位置とが相互に上下反対方向に移動するように各旋回軸を旋回させるので、第一接地部及び第二接地部側から第三接地部及び第四接地部側へと至るように本体部を傾けて姿勢制御することができるので、バネ、ワイヤ、又は流体式サスペンション等の複雑な機構を省略した極めて簡素な機構な機構により荷重配分及び姿勢制御ができ、コストの削減や利用性の向上が可能となる。
【0099】
付記2に記載の制御機構によれば、第一反転機構、第二反転機構、及び第三反転機構を備えることにより、第一接地部と第四接地部のセット、及び第二接地部と第三接地部のセットを相互に上下反対方向に連動させて荷重配分できると共に、第一反転機構及び第二反転機構を差動装置として構成し、第一第二反転機構モータによって、第一接地部及び第三接地部に対する本体部の位置と、第二接地部及び第四接地部に対する本体部の位置とが相互に上下反対方向に移動するように各旋回軸を旋回させるので、第一接地部及び第三接地部側から第二接地部及び第四接地部側へと至るように本体部を傾けて姿勢制御することができるので、バネ、ワイヤ、又は流体式サスペンション等の複雑な機構を省略した極めて簡素な機構な機構により荷重配分及び姿勢制御ができ、コストの削減や利用性の向上が可能となる。
【0100】
付記3に記載の制御機構によれば、第一反転機構、第二反転機構、及び第三反転機構を備えることにより、第一接地部と第四接地部のセット、及び第二接地部と第三接地部のセットを相互に上下反対方向に連動させて荷重配分できると共に、第一反転機構、第二反転機構、及び第三反転機構を差動装置として構成し、第三反転機構モータによって、第一接地部及び第二接地部に対する本体部の位置と、第三接地部及び第四接地部に対する本体部の位置とが相互に上下反対方向に移動するように各旋回軸を旋回させるので、第一接地部及び第二接地部側から第三接地部及び第四接地部側へと至るように本体部を傾けて姿勢制御することができ、また、第一第二反転機構モータによって、第一接地部及び第三接地部に対する本体部の位置と、第二接地部及び第四接地部に対する本体部の位置とが相互に上下反対方向に移動するように各旋回軸を旋回させるので、第一接地部及び第三接地部側から第二接地部及び第四接地部側へと至るように本体部を傾けて姿勢制御することができるので、バネ、ワイヤ、又は流体式サスペンション等の複雑な機構を省略した極めて簡素な機構な機構により荷重配分及び姿勢制御ができ、コストの削減や利用性の向上が可能となる。
【0101】
付記4に記載の制御機構によれば、第一反転機構、第二反転機構、及び第三反転機構を備えることにより、第一接地部と第四接地部のセット、及び第二接地部と第三接地部のセットを相互に上下反対方向に連動させて荷重配分できると共に、第一反転機構、第二反転機構、及び第三反転機構を差動装置として構成し、第三反転機構モータによって、第一接地部及び第二接地部に対する本体部の位置と、第三接地部及び第四接地部に対する本体部の位置とが相互に上下反対方向に移動するように各旋回軸を旋回させるので、第一接地部及び第二接地部側から第三接地部及び第四接地部側へと至るように本体部を傾けて姿勢制御することができ、また、第一反転機構モータ及び第二反転機構モータによって、第一接地部及び第三接地部に対する本体部の位置と、第二接地部及び第四接地部に対する本体部の位置とが相互に上下反対方向に移動するように各旋回軸を旋回させるので、第一接地部及び第三接地部側から第二接地部及び第四接地部側へと至るように本体部を傾けて姿勢制御することができ、さらに、第一接地部、第二接地部、第三接地部、及び第四接地部に対する本体部の位置が相互に上下同一方向に移動するように各旋回軸を旋回させることで本体部の高さ調整ができるので、バネ、ワイヤ、又は流体式サスペンション等の複雑な機構を省略した極めて簡素な機構な機構により荷重配分、姿勢制御、及び高さ調整ができ、コストの削減や利用性の向上が可能となる。