【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するための本発明に係る熱供給システムの特徴構成は、熱媒を加熱する複数の熱源装置を備え、前記熱媒が保有している熱を利用する複数の熱利用装置に対して前記熱媒を供給する熱供給システムであって、
前記複数の熱利用装置のそれぞれで熱が利用された後の相対的に低温の熱媒を合流させ、その熱媒を前記複数の熱源装置のそれぞれに対して並列に供給する熱媒復路と、前記複数の熱源装置のそれぞれで加熱された後の相対的に高温の前記熱媒を合流させ、その熱媒を前記複数の熱利用装置のそれぞれに対して並列に供給する熱媒往路と、前記熱媒復路及び前記熱媒往路での前記熱媒の流動状態を調節する流動状態調節装置と、前記複数の熱源装置及び前記流動状態調節装置の動作を制御する制御装置とを備え、
前記複数の熱利用装置の内の第1熱利用装置は、湯水を貯えるタンクを有し、前記熱媒が保有する熱を利用して前記タンク内の湯水の加熱を行う貯湯装置であり、
前記複数の熱利用装置の内の第2熱利用装置は、前記熱媒が保有している熱を利用して暖房を行う暖房装置であり、
前記複数の熱源装置の内の第1熱源装置は、熱と電気とを併せて発生させる熱電併給装置であり、
前記複数の熱源装置の内の第2熱源装置は、燃料を燃焼させることで発生した燃焼熱で前記熱媒を加熱するボイラー装置であり、
前記貯湯装置の前記タンクの内部には熱交換部が設けられ、前記熱交換部では前記タンクに貯えられている湯水と前記熱媒との熱交換が行われることで、前記タンク内に貯えられている湯水が昇温され、
前記貯湯装置の前記タンクの上部には、前記タンク内に貯えられている湯水を前記タンク外に流出させる出湯路が接続され、前記貯湯装置の前記タンクの下部には、前記出湯路からの湯水の流出に応じて補充される水を前記タンク内に流入させる給水路が接続され、
前記タンク内に貯えられている湯水の温度を検出する第1温度検出部と、前記第1温度検出部が検出する部位よりも上方での前記タンク内に貯えられている湯水の温度を検出する第2温度検出部とを備え、
前記制御装置は、
前記第1温度検出部で検出される湯水の第1温度が前記熱電併給装置を利用した昇温運転を許可する第1下限温度以下であるとき、前記熱電併給装置を運転させ、及び、前記熱媒が前記熱媒復路と前記熱媒往路とを通って前記熱電併給装置と前記貯湯装置との間で循環するように前記流動状態調節装置を動作させることで、前記熱電併給装置を利用した昇温運転を実行し、
前記第2温度検出部で検出される湯水の第2温度が前記ボイラー装置を利用した昇温運転を許可する第2下限温度以下であるとき、前記ボイラー装置を運転させ、及び、前記熱媒が前記熱媒復路と前記熱媒往路とを通って前記ボイラー装置と前記貯湯装置との間を循環するように前記流動状態調節装置を動作させることで、前記ボイラー装置を利用した昇温運転を実行し、
前記第1下限温度は前記第2下限温度未満の温度である点にある。
【0013】
上記特徴構成によれば、タンク内に貯えられている高温の湯水がタンク上部に接続される出湯路から送出されると、タンク下部に接続されている給水路から水が補充されるので、タンク下部には相対的に低温の湯水が存在し、タンク上部には相対的に高温の湯水が存在する状態が形成される。また、第1温度検出部が検出する第1温度は、第2温度検出部が検出する第2温度よりも、タンクの内部の相対的に下方に貯えられている湯水の温度である。つまり、上述したような、タンク下部には相対的に低温の湯水が存在し、タンク上部には相対的に高温の湯水が存在する状態は、第2温度検出部よりも下方にある第1温度検出部の温度検出部位での湯水の温度低下として先に現れる構成になっている。その結果、タンクに対して給水が行われた場合に、第1温度が第1下限温度以下になるタイミングの方が、第2温度が第2下限温度以下になるタイミングよりも早期に到来することを期待できる。そして、第1温度が第1下限温度以下になるタイミングの方が、第2温度が第2下限温度以下になるタイミングよりも早期に到来した場合には、エネルギー効率の高い熱電併給装置の方が、ボイラー装置よりも先に湯水の昇温運転を開始するという利点がある。加えて、第2温度が第2下限温度以下となったときには、熱電併給装置に加えて、熱出力の大きなボイラー装置を運転して湯水の昇温運転を行うことができる。
【0014】
更に、第1下限温度が第2下限温度未満の温度であるということは、第1下限温度は比較的低くなるように設定され、且つ、第2下限温度は比較的高くなるように設定されているということである。つまり、熱電併給装置の始動のタイミングを定めている第1下限温度の高低に着目すると、本特徴構成のように第1下限温度が低い場合の方が、熱電併給装置を利用した昇温運転によりタンク内の湯水温度(第1温度)が所定の目標温度に昇温されるまでの所要時間が長くなるという利点がある。
また、ボイラー装置の始動のタイミングを定めている第2下限温度の高低に着目すると、本特徴構成のように第2下限温度が高い場合の方が、タンク上部の温度が大きく下がる前にボイラー装置を始動することになり、使用者がシャワーなどの給湯端末で大量に湯を使っている状況であってもボイラー装置による湯水の昇温が間に合う可能性が高いという利点がある。
【0015】
また更に、熱電併給装置とボイラー装置と貯湯装置とを接続している熱媒復路及び熱媒往路は、貯湯装置で熱が利用された後の相対的に低温の熱媒を熱電併給装置及びボイラー装置のそれぞれに対して並列に供給し、熱電併給装置及びボイラー装置のそれぞれで加熱された後の相対的に高温の熱媒を貯湯装置に供給するように構成されている。つまり、熱電併給装置を運転することで加熱された熱媒は、運転していないボイラー装置を経由せずに貯湯装置での昇温運転に用いられる。その結果、熱電併給装置で発生した熱を有効に活用しながら貯湯装置での昇温運転を行わせることができる。
従って、熱利用装置の状態に応じて複数の熱源装置を効率的に運用できる熱供給システムを提供できる。
【0016】
本発明に係る熱供給システムの別の特徴構成は、1日の中に前記貯湯装置の前記タンクの内部に貯えられている湯水の昇温運転を許可する昇温許可時間帯と、昇温運転を許可しない昇温不許可時間帯とが設定されており、
1日の中に前記ボイラー装置の運転を許可するボイラー許可時間帯と、前記ボイラー装置の運転を許可しないボイラー不許可時間帯とが設定されており、
1日の中に前記熱電併給装置の運転を許可する熱電併給許可時間帯と、前記熱電併給装置の運転を許可しない熱電併給不許可時間帯とが設定されており、
前記制御装置は、
現在の時刻が前記昇温許可時間帯及び前記熱電併給許可時間帯にあり、且つ、前記第1温度が前記第1下限温度以下であるとき、前記熱電併給装置を運転させ、及び、前記熱媒が前記熱媒復路と前記熱媒往路とを通って前記熱電併給装置と前記貯湯装置との間で循環するように前記流動状態調節装置を動作させることで、前記熱電併給装置を利用した昇温運転を実行し、
現在の時刻が前記昇温許可時間帯及び前記ボイラー許可時間帯にあり、且つ、前記第2温度が前記第2下限温度以下であるとき、前記ボイラー装置を運転させ、及び、前記熱媒が前記熱媒復路と前記熱媒往路とを通って前記ボイラー装置と前記貯湯装置との間を循環するように前記流動状態調節装置を動作させることで、前記ボイラー装置を利用した昇温運転を実行する点にある。
【0017】
上記特徴構成によれば、現在の時刻が昇温許可時間帯にあるときにおいて、現在の時刻が熱電併給許可時間帯にあり且つ第1温度が第1下限温度以下となった場合には、熱電併給装置で発生した熱を貯湯装置の昇温運転に活用でき、現在の時刻がボイラー許可時間帯にあり且つ第2温度が第2下限温度以下となった場合には、ボイラー装置で発生した熱を貯湯装置の昇温運転に活用できる。その結果、貯湯装置の昇温運転を、熱電併給装置で発生した熱及びボイラー装置で発生した熱の両方を有効に活用しながら実施できる。
【0018】
本発明に係る熱供給システムの別の特徴構成は、前記昇温許可時間帯は、時間的に連続した個別昇温時間帯を1日の中に少なくとも一つ有し、
一つの前記個別昇温時間帯の開始時を含む一部時間帯は、前記熱電併給許可時間帯と時間的に重なり、前記ボイラー許可時間帯とは時間的に重ならないように設定され、
前記一部時間帯の後の時間帯は、前記熱電併給許可時間帯及び前記ボイラー許可時間帯と時間的に重なるように設定されている点にある。
【0019】
上記特徴構成によれば、一つの個別昇温時間帯の開始時の一部時間帯では、熱電併給装置で発生した熱のみが貯湯装置の昇温運転に活用され得る。加えて、その一部時間帯の経過後では、熱電併給装置で発生した熱及びボイラー装置で発生した熱の両方が貯湯装置の昇温運転に活用され得る。その結果、熱電併給装置が発生する熱を優先して貯湯装置の昇温運転に活用しつつ、ボイラー装置で発生した熱も併せて貯湯装置の昇温運転に活用できる。
【0020】
本発明に係る熱供給システムの別の特徴構成は、前記昇温許可時間帯は、時間的に連続した個別昇温時間帯を1日の中に少なくとも一つ有し、
一つの前記個別昇温時間帯は、前記熱電併給許可時間帯と時間的に重なり、前記ボイラー許可時間帯とは時間的に重ならないように設定されている点にある。
【0021】
上記特徴構成によれば、一つの個別昇温時間帯では、熱電併給装置で発生した熱のみで貯湯装置の昇温運転を行うことができる。
【0022】
本発明に係る熱供給システムの別の特徴構成は、前記暖房装置が暖房対象とする空気の温度を検出する室温検出部を備え、
1日の中に前記ボイラー装置の運転を許可するボイラー許可時間帯と、前記ボイラー装置の運転を許可しないボイラー不許可時間帯とが設定されており、
1日の中に前記熱電併給装置の運転を許可する熱電併給許可時間帯と、前記熱電併給装置の運転を許可しない熱電併給不許可時間帯とが設定されており、
1日の中に前記暖房装置の運転を許可する暖房許可時間帯と、運転を許可しない暖房不許可時間帯とが設定されており、
前記制御装置は、
現在の時刻が前記暖房許可時間帯及び前記熱電併給許可時間帯にあり、且つ、前記室温検出部で検出される前記空気の温度が前記熱電併給装置を利用した暖房運転を許可する第3下限温度以下であるとき、前記熱電併給装置を運転させ、及び、前記熱媒が前記熱媒復路と前記熱媒往路とを通って前記熱電併給装置と前記暖房装置との間で循環するように前記流動状態調節装置を動作させることで、前記熱電併給装置を利用した暖房運転を実行し、
現在の時刻が前記暖房許可時間帯及び前記ボイラー許可時間帯にあり、且つ、前記室温検出部で検出される前記空気の温度が前記ボイラー装置を利用した暖房運転を許可する第4下限温度以下であるとき、前記ボイラー装置を運転させ、及び、前記熱媒が前記熱媒復路と前記熱媒往路とを通って前記ボイラー装置と前記暖房装置との間で循環するように前記流動状態調節装置を動作させることで、前記ボイラー装置を利用した暖房運転を実行し、
前記第3下限温度は前記第4下限温度より高い温度に設定されている点にある。
【0023】
上記特徴構成によれば、現在の時刻が暖房許可時間帯にあるときにおいて、現在の時刻が熱電併給許可時間帯にあり且つ暖房対象とする空気の温度が熱電併給装置を利用した暖房運転を許可する第3下限温度以下となった場合には、熱電併給装置で発生した熱を暖房装置による暖房運転に活用でき、現在の時刻がボイラー許可時間帯にあり且つ暖房対象とする空気の温度がボイラー装置を利用した暖房運転を許可する第4下限温度以下となった場合には、ボイラー装置で発生した熱を暖房装置による暖房運転に活用できる。その結果、暖房装置による暖房運転を、熱電併給装置で発生した熱及びボイラー装置で発生した熱の両方を有効に活用しながら実施できる。
加えて、第3下限温度は第4下限温度より高い温度に設定されているので、室温検出部で検出される空気の温度が第4下限温度になるよりも先に、室温検出部で検出される空気の温度が第3下限温度になる。つまり、現在の時刻が暖房許可時間帯及び熱電併給許可時間帯及びボイラー許可時間帯にあるときであっても、即ち、熱電併給装置が空気温度の値によっては運転され得るとき且つボイラー装置が空気温度の値によっては運転され得るときであっても、空気温度が第4下限温度以下となるよりも先に、空気温度が第3下限温度以下となるので、エネルギー効率の高い熱電併給装置の方が先に暖房運転のために利用される。
【0024】
本発明に係る熱供給システムの別の特徴構成は、前記制御装置は、前記熱電併給装置を利用した暖房運転を実行中に、前記室温検出部で検出される前記空気の温度が第3上限温度以上になると前記熱電併給装置を利用した暖房運転を許可しない不許可状態にさせ、前記ボイラー装置を利用した暖房運転を実行中に、前記室温検出部で検出される前記空気の温度が第4上限温度以上になると前記ボイラー装置を利用した暖房運転を許可しない不許可状態にさせ、前記第3上限温度は前記第3下限温度より高い温度に設定され、前記第4上限温度は前記第4下限温度より高い温度に設定され、前記第3上限温度は前記第4上限温度より高い温度に設定されている点にある。
【0025】
上記特徴構成によれば、第3上限温度は第4上限温度より高い温度に設定されているので、室温検出部で検出される空気の温度が第3上限温度になるよりも先に、室温検出部で検出される空気の温度が第4上限温度になる。つまり、熱電併給装置及びボイラー装置の両方を利用して暖房運転を実行していたとしても、ボイラー装置を利用した暖房運転の方が先に不許可状態になって、停止される。その結果、エネルギー効率の高い熱電併給装置が暖房運転に利用される期間が長くなる。
【0026】
本発明に係る熱供給システムの別の特徴構成は、前記制御装置は、前記熱電併給装置を利用した昇温運転を実行中に、前記第1温度が第1上限温度以上になると前記熱電併給装置を利用した昇温運転を許可しない不許可状態にさせ、前記ボイラー装置を利用した昇温運転を実行中に、前記第2温度が第2上限温度以上になると前記ボイラー装置を利用した昇温運転を許可しない不許可状態にさせ、前記第1上限温度は前記第1下限温度より高い温度に設定され、前記第2上限温度は前記第2下限温度より高い温度に設定され、前記第1上限温度は前記第2上限温度より高い温度に設定されている点にある。
【0027】
上記特徴構成によれば、第1上限温度は第2上限温度より高い温度に設定されているので、上記第1温度が第1上限温度になるよりも先に、上記第2温度が第2上限温度になることを期待できる。つまり、熱電併給装置及びボイラー装置の両方を利用して昇温運転させていたとしても、ボイラー装置を利用した昇温運転の方が先に不許可状態になって、停止される。その結果、エネルギー効率の高い熱電併給装置が湯水の昇温運転に活用される期間が長くなる。
【0028】
本発明に係る熱供給システムの別の特徴構成は、前記制御装置は、
前記熱電併給装置を利用した暖房運転を実行中に、前記室温検出部で検出される前記空気の温度が第3上限温度以上になると前記熱電併給装置を利用した暖房運転を許可しない不許可状態にさせ、
前記ボイラー装置を利用した暖房運転を実行中に、前記室温検出部で検出される前記空気の温度が第4上限温度以上になると前記ボイラー装置を利用した暖房運転を許可しない不許可状態にさせ、
前記熱電併給装置を利用した昇温運転を実行中に、前記第1温度が第1上限温度以上になると前記熱電併給装置を利用した昇温運転を許可しない不許可状態にさせ、
前記ボイラー装置を利用した昇温運転を実行中に、前記第2温度が第2上限温度以上になると前記ボイラー装置を利用した昇温運転を許可しない不許可状態にさせ、
前記第3上限温度は前記第3下限温度より高い温度に設定され、前記第4上限温度は前記第4下限温度より高い温度に設定され、前記第3上限温度は前記第4上限温度より高い温度に設定されており、
前記第1上限温度は前記第1下限温度より高い温度に設定され、前記第2上限温度は前記第2下限温度より高い温度に設定され、前記第1上限温度は前記第2上限温度より高い温度に設定されており、
前記熱電併給装置を利用した昇温運転及び前記ボイラー装置を利用した昇温運転の少なくとも一方を実行するとき、前記熱媒が前記貯湯装置を通って循環するように前記流動状態調節装置を動作させ、及び、前記熱電併給装置を利用した昇温運転及び前記ボイラー装置を利用した昇温運転の両方が前記不許可状態であるとき、前記熱媒が前記貯湯装置を通って循環しないように前記流動状態調節装置を動作させ、
前記熱電併給装置を利用した暖房運転及び前記ボイラー装置を利用した暖房運転の少なくとも一方を実行するとき、前記熱媒が前記暖房装置を通って循環するように前記流動状態調節装置を動作させ、及び、前記熱電併給装置を利用した暖房運転及び前記ボイラー装置を利用した暖房運転の両方が前記不許可状態であるとき、前記熱媒が前記暖房装置を通って循環しないように前記流動状態調節装置を動作させ、
前記熱電併給装置を利用した昇温運転及び暖房運転の少なくとも一方を実行するとき、前記熱電併給装置を動作させ、及び、前記熱電併給装置を利用した昇温運転及び暖房運転の両方が前記不許可状態であるとき、前記熱電併給装置を停止させ、
前記ボイラー装置を利用した昇温運転及び暖房運転の少なくとも一方を実行するとき、前記ボイラー装置を動作させ、及び、前記ボイラー装置を利用した昇温運転及び暖房運転の両方が前記不許可状態であるとき、前記ボイラー装置を停止させる点にある。
【0029】
上記特徴構成によれば、第3上限温度は第4上限温度より高い温度に設定されているので、室温検出部で検出される空気の温度が第3上限温度になるよりも先に、室温検出部で検出される空気の温度が第4上限温度になる。つまり、熱電併給装置及びボイラー装置の両方を利用して暖房運転を実行していたとしても、ボイラー装置を利用した暖房運転の方が先に不許可状態になる。その結果、エネルギー効率の高い熱電併給装置が暖房運転に利用される期間が長くなる。
また、第1上限温度は第2上限温度より高い温度に設定されているので、上記第1温度が第1上限温度になるよりも先に、上記第2温度が第2上限温度になることを期待できる。つまり、熱電併給装置及びボイラー装置の両方を利用して昇温運転させていたとしても、ボイラー装置を利用した昇温運転の方が先に不許可状態になる。その結果、エネルギー効率の高い熱電併給装置が湯水の昇温運転に活用される期間が長くなる。
【0030】
更に、熱電併給装置を利用した昇温運転及び暖房運転の少なくとも一方を実行するとき、熱電併給装置を動作させ、及び、熱電併給装置を利用した昇温運転及び暖房運転の両方が不許可状態であるとき、熱電併給装置を停止させる。つまり、熱電併給装置を利用した昇温運転及び暖房運転の何れか一方が不許可状態になったからといって、熱電併給装置の運転を停止させることはなく、熱電併給装置を利用した昇温運転及び暖房運転の両方が不許可状態になってから熱電併給装置を停止させる。これにより、熱電併給装置を利用した昇温運転及び暖房運転を確実に実行できる。
また、ボイラー装置を利用した昇温運転及び暖房運転の少なくとも一方を実行するとき、ボイラー装置を動作させ、及び、ボイラー装置を利用した昇温運転及び暖房運転の両方が不許可状態であるとき、ボイラー装置を停止させる。つまり、ボイラー装置を利用した昇温運転及び暖房運転の何れか一方が不許可状態になったからといって、ボイラー装置の運転を停止させることはなく、ボイラー装置を利用した昇温運転及び暖房運転の両方が不許可状態になってからボイラー装置を停止させる。これにより、ボイラー装置を利用した昇温運転及び暖房運転を確実に実行できる。
【0031】
本発明に係る熱供給システムの別の特徴構成は、前記制御装置は、前記第2温度検出部で検出される湯水の前記第2温度が、前記第2下限温度よりも高く且つ前記第1上限温度よりも低い第2中間温度以下であるとき、前記熱電併給装置を運転させ、及び、前記熱媒が前記熱媒復路と前記熱媒往路とを通って前記熱電併給装置と前記貯湯装置との間で循環するように前記流動状態調節装置を動作させることで、前記熱電併給装置を利用した昇温運転を実行する点にある。
【0032】
上記特徴構成によれば、タンク下部に接続されている給水路から水が補充されることで湯水の温度がタンクの下方側から順に低下する場合、及び、タンク全体で発生する放熱によって湯水の温度がタンク全体で低下する場合の何れであっても、第2温度が第2下限温度以下になるよりも先に、第2温度が第2中間温度以下になる。つまり、上記第1温度が第1下限温度以下になっていなくても、第2温度が第2中間温度以下になるのに応じて熱電併給装置を利用した昇温運転が行われる。特に、第2温度が第2下限温度以下になるのに応じてボイラー装置を利用した昇温運転を開始するよりも先に、第2温度が第2中間温度以下になるのに応じて熱電併給装置を利用した昇温運転を開始する。その結果、タンク全体で発生する放熱によって湯水の温度がタンク全体で低下するような状況であっても、エネルギー効率の高い熱電併給装置を優先的に利用してタンク内の湯水の昇温運転を行うことができる。
【0033】
本発明に係る熱供給システムの別の特徴構成は、前記タンクに対する前記給水路の接続部位と当該接続部位よりも上方にある前記第1温度検出部との間の前記タンク内に存在する量の湯水を、前記熱電併給装置から所定出力を発揮させた状態で昇温運転することにより前記第1下限温度から前記第1上限温度まで昇温するときに、少なくとも目標期間以上の昇温運転が必要になるように、前記給水路の接続部位と前記第1温度検出部の設置部位とが設定されている点にある。
【0034】
本特徴構成の熱供給システムにおいて、熱電併給装置を利用した昇温運転を長時間行わせたいのであれば、給水路の接続部位とその接続部位よりも上方にある第1温度検出部との間のタンク内に存在する量の湯水を多くする、即ち、給水路の接続部位と第1温度検出部の設置部位とがタンクの上下方向で離れるように設定すればよい。
本特徴構成では、給水路の接続部位と第1温度検出部との間のタンク内に存在する量の湯水を第1下限温度から第1上限温度まで昇温するために要する期間が、少なくとも目標期間以上にされる。その結果、熱電併給装置を一旦始動させた後、長時間運転させることができる。
【0035】
本発明に係る熱供給システムの別の特徴構成は、前記第1下限温度は、前記給水路を経由して前記タンク内に供給される水の温度よりも高く且つ前記出湯路に接続される給湯端末で必要とされる湯水の目標温度よりも低い温度である点にある。
【0036】
上記特徴構成によれば、給水路からタンク内に供給される水の温度は第1下限温度よりも低いので、給水路からタンク内に水が供給されれば、第1温度が低下して第1下限温度になる。そして、第1下限温度をなるべく低く設定した方が、タンク下部から第1温度検出部まで低温の水が到達したことを確実に検知した後に熱電併給装置が始動するので、始動後、比較的長い時間、熱電併給装置を連続して運転させることができる。
ただし、第1下限温度を低く設定しすぎると、夏期は給水温度が高くなることや、タンクの上部の湯との熱伝導や混合などの影響を受けて、第1温度が第1下限温度まで下がらないおそれがある。ところが本特徴構成のように、第1下限温度をタンク内に供給される水の温度よりも高く設定しておくことで、そのようなおそれを回避することができる。
【0037】
本発明に係る熱供給システムの別の特徴構成は、前記第2下限温度は、前記出湯路に接続される給湯端末で必要とされる湯水の目標温度よりも高い温度である点にある。
【0038】
上記特徴構成によれば、タンク内部の上方に貯えられている湯水の温度が低下し始めたことを早期に検知してボイラー装置による昇温運転を開始することができ、シャワーなどで多量に湯を使っている状況であっても、タンク内から高温の湯水が失われるという湯切れのリスクを低減できる。