(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6771344
(24)【登録日】2020年10月1日
(45)【発行日】2020年10月21日
(54)【発明の名称】パネルの吊設構造、ランナ及び上レール
(51)【国際特許分類】
E05D 15/00 20060101AFI20201012BHJP
【FI】
E05D15/00 E
【請求項の数】9
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-182664(P2016-182664)
(22)【出願日】2016年9月20日
(65)【公開番号】特開2018-48444(P2018-48444A)
(43)【公開日】2018年3月29日
【審査請求日】2019年7月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】000169329
【氏名又は名称】アトムリビンテック株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000119449
【氏名又は名称】磯川産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081271
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 芳春
(74)【代理人】
【識別番号】100162189
【弁理士】
【氏名又は名称】堀越 真弓
(72)【発明者】
【氏名】関内 和貴
(72)【発明者】
【氏名】飯島 弘久
(72)【発明者】
【氏名】小野 潤也
【審査官】
家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】
特開平08−086138(JP,A)
【文献】
特開昭59−145879(JP,A)
【文献】
特開2011−137310(JP,A)
【文献】
特開2003−003725(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05D 15/00−15/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上レールと、該上レールに係合すると共に該上レールに沿って走行可能であり、パネルを前記上レールに吊設するためのランナとを備えたパネルの吊設構造であって、
前記上レールが、主方向レールと、レール交差部において該主方向レールに連結され該主方向レールと直角の方向に伸長する直角方向レールとを備えており、
前記ランナが、基台と、水平十字方向に突出するように前記基台に装着された4つの車軸と、該4つの車軸に回転可能に軸支され前記上レールの内側下面上を走行可能な4つの車輪と、前記4つの車輪の前後に位置するように前記基台の4隅にそれぞれ設けられた4つの上方突出部と、前記基台の中央部から下方に延設され、前記パネルに連結される吊り支軸とを備えており、
前記基台は、樹脂材料から形成され、4隅に上方に突出する円筒状の部材からなる前記4つの上方突出部を有する上部案内部材と、樹脂材料から形成され、4隅に下方に突出する円筒状の部材からなる4つの下方突出部を有する下部案内部材と、金属材料から形成され、4隅に円筒状の部材からなる4つの係合部を有する本体部材とを備え、該4つの係合部に前記上部案内部材の前記4つの上方突出部の下端及び前記下部案内部材の下方突出部の上端部がそれぞれ同軸に嵌合することにより、前記本体部材が前記上部案内部材及び前記下部案内部材に挟まれて固定され、
前記上レールの内側上面に、前記ランナの前記4つの上方突出部が係合し該4つの上方突出部の移動を案内する1対の案内溝が、該上レールに沿って設けられていることを特徴とするパネルの吊設構造。
【請求項2】
前記上レールの内側上面の幅方向中央部に該上レールに沿って設けられ、前記上レールの内側側面との間で前記案内溝を形成する凸条部材をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載のパネルの吊設構造。
【請求項3】
前記凸条部材が、前記レール交差部においては該凸条部材の長手方向と直交する方向の横断溝を有していることを特徴とする請求項2に記載のパネルの吊設構造。
【請求項4】
前記基台の前記4つの下方突出部の先端が前記上レールの内側下面に近接して対向することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のパネルの吊設構造。
【請求項5】
前記ランナの前記吊り支軸に装着され、前記パネルに設けられる凹部に嵌着可能なパネル取付け体をさらに備えていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のパネルの吊設構造。
【請求項6】
前記パネル取付け体が、前記パネルの側面における戸先又は戸尻近傍の上端部に設けられた凹部に嵌着されていることを特徴とする請求項5に記載のパネルの吊設構造。
【請求項7】
前記パネル取付け体が、前記パネルの戸先又は戸尻に設けられた凹部に嵌着されていることを特徴とする請求項5に記載のパネルの吊設構造。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載のパネルの吊設構造に用いられるランナ。
【請求項9】
請求項1から7のいずれか1項に記載のパネルの吊設構造に用いられる上レール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、間仕切りパネルや展示パネル等を上レールに沿って移動可能に吊設してなるパネルの吊設構造、そのランナ及び上レールに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の吊設構造においては、上レールが、一方向に沿って敷設された主方向レールとレール交差部においてこの主方向レールに連結されこれと直角の方向に沿って敷設された直角方向レールとを有しており、この上レールに案内されて走行する1対のランナが各パネルの上端の走行方向両端部にそれぞれ設けられている。
【0003】
例えば、特許文献1には、互いに直交して連結された縦横方向のレールにランナを介して移動展示パネルが吊設される吊設構造が記載されている。この吊設構造においては、ランナは基台から十字形をなすように水平方向に突設された4本の片持軸に設けられた4つの走行車輪がレール上を転がりながら走行するように構成されている。ランナの走行方向が交差部において直交方向に方向転換することによって、移動展示パネルは縦方向レールから横方向レールへ又は横方向レールから縦方向レールへ移動することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第2729773号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されているごとき一般的な吊設構造によると、ランナが縦方向(主方向)レール及び横方向(直角方向)レールのレール交差部に位置している際は、このランナを支持するレール内側側面(レール壁面)が全く存在しない(十字形交差部の場合)か、又は1面のみとなる(T字形交差部の場合)ため、ランナの姿勢を正しく保持することができず、走行不能となる場合があった。
【0006】
レール交差部においてもランナの姿勢を正しく保持するために、従来は、パネルに取り付けるランナを2種類用意し、戸先側にはレール交差部において方向転換できる4車輪式ランナを使用し、戸尻側にはレール交差部において直進のみを行うための2車輪式ランナを使用していた。さらに、4車輪式ランナがレール交差部で直進しないように、4車輪式ランナの頂部に突出部を設け、この突出部がレール交差部において上レールの内側上面に設けたストッパに衝突するように構成していた。
【0007】
しかしながら、各パネルに2種類のランナを用意して取り付けることは、部品点数の増加を招くことのみならず、各ランナをパネルの戸先側又は戸尻側に選択的に取付ける必要があるため、現場での施工性が悪化していた。また、2種類のランナを用いる吊設構造は、主方向レール上の戸先側ランナ及び戸尻側ランナを1対の直角方向レールに同時に方向転換させる必要のあるような収納構造の場合には、全く適用することができなかった。
【0008】
従って本発明の目的は、パネルに取り付けるランナを1種類に共通化してもレール交差部においてランナの姿勢を正しく保持することができるパネルの吊設構造、そのランナ及び上レールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、上レールと、この上レールに係合すると共に上レールに沿って走行可能であり、パネルを上レールに吊設するためのランナとを備えたパネルの吊設構造が提供される。上レールが、主方向レールと、レール交差部においてこの主方向レールに連結され主方向レールと直角の方向に伸長する直角方向レールとを備えている。ランナが、基台と、水平十字方向に突出するようにこの基台に装着された4つの車軸と、4つの車軸に回転可能に軸支され上レールの内側下面上を走行可能な4つの車輪と、4つの車輪の前後に位置するように基台の4隅にそれぞれ設けられた4つの上方突出部と、基台の中央部から下方に延設され、パネルに連結される吊り支軸とを備えている。特に本発明によれば、上レールの内側上面に、ランナの4つの上方突出部が係合しこれら4つの上方突出部の移動を案内する1対の案内溝が、この上レールに沿って設けられている。
【0010】
上レールの内側上面にこの上レールに沿って1対の案内溝が設けられており、この1対の案内溝にランナの4つの上方突出部が係合し、これら4つの上方突出部の移動を案内するように構成されている。これにより、ランナは、主方向レール及び直角方向レール走行時はもちろんのこと、レール交差部においてもこれら1対の案内溝によって支持されるため、その姿勢を常に正しく保持することができる。従って、使用するランナを1種類に共通化することが可能となり、部品点数の増加を防止できることのみならず、ランナの戸先側又は戸尻側への選択的な取付けが不要となるため、現場での施工性が大幅に向上する。また、主方向レール上の1対のランナを1対の直角方向レールに同時に方向転換させるレール構造にも適用することができる。
【0011】
上レールの内側上面の幅方向中央部に上レールに沿って設けられ、上レールの内側側面との間で案内溝を形成する凸条部材をさらに備えたことが好ましい。
【0012】
この凸条部材が、レール交差部においては凸条部材の長手方向と直交する方向の横断溝を有していることがより好ましい。
【0013】
基台が、先端が上レールの内側下面に近接して対向する4つの下方突出部を上述した4隅にそれぞれ備えていることも好ましい。
【0014】
ランナの吊り支軸に装着され、パネルに設けられる凹部に嵌着可能なパネル取付け体をさらに備えていることも好ましい。
【0015】
この場合、パネル取付け体が、パネルの側面における戸先又は戸尻近傍の上端部に設けられた凹部に嵌着されているか、又はパネルの戸先又は戸尻に設けられた凹部に嵌着されていることがより好ましい。
【0016】
本発明によれば、さらに、上述したパネルの吊設構造に用いられるランナ及び上レールが提供される。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ランナは、主方向レール及び直角方向レール走行時はもちろんのこと、レール交差部においてもこれら1対の案内溝によって支持されるため、その姿勢を常に正しく保持することができる。従って、使用するランナを1種類に共通化することが可能となり、部品点数の増加を防止できることのみならず、ランナの戸先側又は戸尻側への選択的な取付けが不要となるため、現場での施工性が大幅に向上する。また、主方向レール上の1対のランナを1対の直角方向レールに同時に方向転換させるレール構造にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明のパネルの吊設構造の一実施形態における、上レール、ランナ、パネル取付け体及びパネルの構成を概略的に示す分解斜視図である。
【
図2】
図1の実施形態において、上レールにランナを装着した状態を概略的に示す側面図である。
【
図4】
図1の実施形態におけるランナの一部の分解斜視図である。
【
図5】
図1の実施形態における上レール、ランナ及びパネル取付け体の構成を示す(A)側面図、(B)正面図、及び(C)平面図である。
【
図7】
図1の実施形態における
図6の凸条部材の斜視図である。
【
図8】
図1の実施形態における上レール凸条部材の構成を示す(A)側面図、(B)
図8(A)のC−C線断面図、(C)裏面図である。
【
図9】本発明のパネルの吊設構造の他の実施形態における上レール、ランナ及びパネル取付け体の構成を示す(A)側面図、及び(B)正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は本発明のパネルの吊設構造の一実施形態における、上レール、ランナ、パネル取付け体及びパネルの構成を概略的に示している。本実施形態は、吊り下げ式の間仕切りパネルの吊設構造に関しているが、展示パネルの吊設構造についても、本発明は同様に適用することができる。
【0020】
同図に示すように、本実施形態の間仕切りパネルの吊設構造は、天井面に敷設された上レール100と、上レール100内を摺動可能な1対のランナ110と、これら1対のランナ110にそれぞれ連結されている1対のパネル取付け体120とを備えている。これら1対のパネル取付け体120は、間仕切りパネル(戸板)130の側面における戸先及び戸尻近傍の上端部に設けられた凹部131及び132にそれぞれ装着されている。
【0021】
上レール100は、間仕切り方向に伸長する主方向レール101と、レール交差部103においてこの主方向レール101に連結されており、この主方向レール101と直角の方向に伸長する直角方向レール102とを備えている。この直角方向レール102は、間仕切りパネル130を図示しない収納スペースへ収納するための収納レールの一部を構成している。本実施形態において、上レール100は、アルミニウム材料を押出して形成されている。
【0022】
図2は本実施形態の吊設構造において、上レール100にランナ110を装着した状態を概略的に示しており、
図3は
図2のA−A線断面を示しており、
図4は本実施形態におけるランナ110の一部を分解した状態で示しており、
図5は本実施形態における上レール100、ランナ110及びパネル取付け体120の構成を示している。
【0023】
これらの図に示すように、ランナ110は、上部案内部材111a、下部案内部材111b、並びにこれら上部案内部材111a及び下部案内部材111b間に挟み込まれて固着されている本体部材111cを有する基台111と、本体部材111cに水平十字方向に突出するように装着された4つの車軸112a〜112dと、4つの車軸112a〜112dにベアリング等を介してそれぞれ回転可能に軸支された4つの車輪(ローラ)113a〜113dと、基台111の中央部から下方に延設された吊り支軸114とを備えている。4つの車輪113a〜113dは、上レール100に沿った方向の2つの車輪がこの上レール100の内側下面上を回転走行するように構成されている。
【0024】
上部案内部材111aは、例えばポリアセタール等の樹脂材料を成型して形成されており、その4隅に、上方に突出する円筒状の部材からなる4つの上方突出部111a
1〜111a
4をそれぞれ備えている。下部案内部材111bは、例えばポリアセタール等の樹脂材料を成型して形成されており、その4隅に、下方に突出する円柱状の部材からなる4つの下方突出部111b
1〜111b
4をそれぞれ備えている。
【0025】
本体部材111cは、例えば亜鉛合金等の金属材料を成型して形成されており、その4隅に、円筒状の部材からなる4つの係合部111c
1〜111c
4をそれぞれ備えている。これら4つの係合部111c
1〜111c
4に、上部案内部材111aの4つの上方突出部111a
1〜111a
4の下端部及び下部案内部材111bの下方突出部111b
1〜111b
4の上端部がそれぞれ同軸に嵌合することにより、本体部材111cが上部案内部材111a及び下部案内部材111bに挟み込まれて固定される。本体部材111cには、さらに、水平十字方向に突出する4つの挿入孔111c
5〜111c
8が設けられており、これら4つの挿入孔111c
5〜111c
8に4つの車軸112a〜112dがそれぞれ挿入固定される。これら4つの車軸112a〜112dには、4つの車輪113a〜113dがベアリング等を介してそれぞれ回転可能に軸支されている。上部案内部材111aの4つの上方突出部111a
1〜111a
4と、下部案内部材111bの下方突出部111b
1〜111b
4は、4つの車輪113a〜113dの前後にこれら車輪の1つを間に挟むように配置される。車軸112a〜112dは例えば炭素鋼線等の鉄鋼材料で形成されており、車輪113a〜113dはその外周部が例えばポリアミド等の樹脂材料で形成されている。
【0026】
上述したように、上方突出部111a
1〜111a
4は、4つの車輪113a〜113dの前後に配置されており、これら上方突出部111a
1〜111a
4の先端である最上点は上レール100の内側上面にわずかな間隙を介して対向するように構成されている。後述するように、このように構成された上方突出部111a
1〜111a
4が、上レール100の案内溝106及び107に係合しこれに沿って案内されることにより、ランナ110の姿勢が常に正しく保持されることとなる。
【0027】
下方突出部111b
1〜111b
4も、4つの車輪113a〜113dの前後に配置されており、これら下方突出部111b
1〜111b
4の先端である最下点は4つの車輪113a〜113dの最下点よりも若干高い位置に配置されている。従って、4つの車輪113a〜113dが上レール110上を走行中は、下部案内部材111bの下方突出部111b
1〜111b
4はレールより若干高い位置に浮いた状態となっている。このように構成された下方突出部111b
1〜111b
4は、車輪113a〜113dと協働してランナ110の姿勢を保持する役割を有している。
【0028】
基台111の本体部材111cの中央部からは、回動自在の吊り支軸114が下方に延設されており、この吊り支軸114にはパネル取付け体120が装着されている。本実施形態におけるパネル取付け体120は、間仕切りパネル130の側面における戸先及び戸尻近傍の上端部に設けられた凹部131及び132に嵌着され、吊り支軸114とパネル取付け体120との相対位置がランナ110の走行方向に沿って移動可能に構成されている。即ち、
図5に示すように、このパネル取付け体120には、間仕切りパネル130の側面と平行な面内において水平方向に伸長する案内ピン121と、この案内ピン121に沿って移動可能に案内ピン121に装着されたホルダ122と、このホルダ122の案内ピン121に沿った移動を許可又は阻止するためのロックレバー123とが設けられており、ホルダ122が案内ピン121に沿って移動することにより、パネル上のランナ110の位置がその走行方向に沿って移動可能となる。これにより、1対のランナ間のピッチを容易に調整することができる。
【0029】
図6は本実施形態における
図3のB−B線断面を示しており、
図7は
図6の凸条部材104及び105を示しており、
図8は本実施形態における上レール100及び凸条部材104及び105の構成を示している。
【0030】
これらの図に示すように、上レール100の主方向レール101及び直角方向レール102の内側上面には、レールの幅方向の中央部に凸条部材104及び105がそれぞれ固着されている。より詳しくは、主方向レール101及び直角方向レール102の内側上面にそれらの長さ方向に沿って形成されている取付け用の凹溝101a及び102aに凸条部材104及び105の凸部104a及び105aをそれぞれ嵌合させ、弾性フック104b、104c及び105bを主方向レール101及び直角方向レール102の天面に形成された貫通孔内に差し込むことによって固着される。
【0031】
このような凸条部材104及び105が主方向レール101及び直角方向レール102の内側上面に設けられているため、凸条部材104の側面と主方向レール101の内側側面との間に1対の案内溝106が構成され、また、凸条部材105の側面と直角方向レール102の内側側面との間に1対の案内溝107が構成される。ただし、レール交差部103においては、この凸条部材104及び105は、それらの長手方向と直交する方向の横断溝108及び109をそれぞれ有しており、これによって案内溝の底面を平坦に保つことができる。
【0032】
図6に示すように、これら1対の案内溝106又は107に、ランナ110の上部案内部材111aの4つの上方突出部111a
1〜111a
4の先端部が係合して案内されることにより、主方向レール101及び直角方向レール102走行時はもちろんのこと、レール交差部103においても、ランナ110(上部案内部材111aの4つの上方突出部111a
1〜111a
4)がこれら1対の案内溝106又は107によって支持されるため、ランナ110の姿勢を常に正しく保持することができる。
【0033】
その結果、使用するランナを1種類に共通化することが可能となり、部品点数の増加を防止できることのみならず、ランナの戸先側又は戸尻側への選択的な取付けが不要となるため、現場での施工性が大幅に向上する。また、主方向レール上の1対のランナを1対の直角方向レールに同時に方向転換させるようなレール構造にも適用することができる。
【0034】
図9は本発明のパネルの吊設構造の他の実施形態における上レール、ランナ及びパネル取付け体の構成を概略的に示している。
【0035】
本実施形態は、パネル取付け体120′が間仕切りパネル130の戸先又は戸尻に設けられた凹部に嵌着される構成となっている。ただし、本実施形態のパネル取付け体120′では、吊り支軸114とパネル取付け体120′とのランナ110の走行方向における相対位置の移動機構、即ち1対のランナ間のピッチ調整機構が、
図5に示したものと相違しており、ネジで調整する構造となっている。本実施形態のその他の構成及び作用効果は
図1〜
図8の実施形態の場合と全く同様であるため、説明を省略する。
【0036】
以上述べた実施形態は全て本発明を例示的に示すものであって限定的に示すものではなく、本発明は他の種々の変形態様及び変更態様で実施することができる。従って本発明の範囲は特許請求の範囲及びその均等範囲によってのみ規定されるものである。
【符号の説明】
【0037】
100 上レール
101 主方向レール
101a、102a 凹溝
102 直角方向レール
103 レール交差部
104、105 凸条部材
104a、105a 凸部
106、107 案内溝
108、109 横断溝
110 ランナ
111 基台
111a 上部案内部材
111a
1〜111a
4 上方突出部
111b 下部案内部材
111b
1〜111b
4 下方突出部
111c 本体部材
111c
1〜111c
4 係合部
111c
5〜111c
8 挿入孔
112a〜112d 車軸
113a〜113d 車輪
114 吊り支軸
120、120′ パネル取付け体
121 案内ピン
122 ホルダ
123 ロックレバー
130 間仕切りパネル
131 凹部