特許第6771345号(P6771345)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6771345
(24)【登録日】2020年10月1日
(45)【発行日】2020年10月21日
(54)【発明の名称】検眼装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 3/103 20060101AFI20201012BHJP
   A61B 3/028 20060101ALN20201012BHJP
【FI】
   A61B3/103
   !A61B3/028 300
【請求項の数】6
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2016-185212(P2016-185212)
(22)【出願日】2016年9月23日
(65)【公開番号】特開2018-47095(P2018-47095A)
(43)【公開日】2018年3月29日
【審査請求日】2019年8月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000220343
【氏名又は名称】株式会社トプコン
(74)【代理人】
【識別番号】100124626
【弁理士】
【氏名又は名称】榎並 智和
(72)【発明者】
【氏名】大森 和宏
【審査官】 増渕 俊仁
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−158434(JP,A)
【文献】 特開2002−306414(JP,A)
【文献】 特開2010−259495(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0157716(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0007850(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 3/00−3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1以上の光学素子を含み、被検眼に適用される屈折力を変更可能な矯正光学系と、
前記被検眼に視標を呈示する視標呈示光学系と、
を含み、
前記視標呈示光学系は、
前記視標を表示する表示部と、
前記表示部と前記矯正光学系との間に配置された凸レンズと、
前記表示部と前記凸レンズとの間の位置、かつ、前記視標呈示光学系の光軸から外れた位置に設けられ、前記凸レンズの焦点位置を変更する光学部材と、
を含み、
前記表示部は、前記光軸に対応する位置に遠用視標及び近用視標の一方を表示し、かつ、前記光学部材に対応する位置に前記遠用視標及び前記近用視標の他方を表示する
ことを特徴とする検眼装置。
【請求項2】
前記光学部材は、前記表示部側の端面と前記凸レンズ側の端面とが略平行な平行平面部材を含み、
前記表示部は、前記光軸に対応する位置に遠用視標を表示し、かつ、前記光学部材に対応する位置に近用視標を表示する
ことを特徴とする請求項1に記載の検眼装置。
【請求項3】
前記光学部材は、前記光軸に対して鼻側方向に配置されている
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の検眼装置。
【請求項4】
前記光学部材は、前記光軸に対して下方に配置されている
ことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の検眼装置。
【請求項5】
眼球回旋点を中心に前記矯正光学系に対して前記視標呈示光学系を相対的に回動する回動機構を含む
ことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の検眼装置。
【請求項6】
前記矯正光学系及び前記視標呈示光学系を含む左眼検査ユニットと、
前記矯正光学系及び前記視標呈示光学系を含む右眼検査ユニットと、
前記左眼検査ユニットと前記右眼検査ユニットとを支持する支持部材と、
を含む請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の検眼装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、検眼装置に関する。
【背景技術】
【0002】
検眼装置は、光学素子を通して被検眼に視標を呈示することにより視力や視機能などを検査するための装置である。このような検眼装置は、例えば、測定ヘッドと、視標呈示装置とを含む。測定ヘッドは、被検眼に適用する光学素子を変更する。視標呈示装置は、ランドルト環などの視標を選択的に呈示する。
【0003】
例えば特許文献1には、左右一対で設けられた自覚検査部と、左右一対で設けられた他覚測定部とを備えた検眼装置が開示されている。自覚検査部は、被検者からの応答に基づく自覚検査を行うための検査部である。他覚測定部は、被検者からの応答を参照することなく、主として物理的な手法を用いて被検眼に関する情報を取得するための測定部である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−194542号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された手法では、遠用検査から近用検査に移行する場合、自覚検査部の検眼窓に臨ませたミラー部材の前方に近用視標を配置しつつ、左眼ユニット及び右眼ユニットを回動して被検眼を輻輳させる。それにより、遠用検査と近用検査との切り替えに時間を要する上に、左眼ユニット及び右眼ユニットを回動する機構が必要なために装置の大型化を招く。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、装置の小型化を図りつつ、遠用検査と近用検査とを短時間に切り替えるための新たな技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態に係る検眼装置は、矯正光学系と、視標呈示光学系とを含む。矯正光学系は、1以上の光学素子を含み、被検眼に適用される屈折力を変更可能である。視標呈示光学系は、被検眼に視標を呈示する。視標呈示光学系は、表示部と、凸レンズと、光学部材とを含む。表示部は、視標を表示する。凸レンズは、表示部と矯正光学系との間に配置される。光学部材は、表示部と凸レンズとの間の位置、かつ、視標呈示光学系の光軸から外れた位置に設けられ、凸レンズの焦点位置を変更する。表示部は、光軸に対応する位置に遠用視標及び近用視標の一方を表示し、かつ、光学部材に対応する位置に遠用視標及び近用視標の他方を表示する。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、装置の小型化を図りつつ、遠用検査と近用検査とを短時間に切り替えるための新たな技術を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態に係る検眼装置の光学系の構成例を示す概略図である。
図2A】実施形態に係る検眼装置の光学系の構成例を示す概略図である。
図2B】実施形態に係る検眼装置の光学系の構成例を示す概略図である。
図3】実施形態に係る検眼装置の構成例を示す概略図である。
図4】実施形態に係る検眼装置の構成例を示す概略図である。
図5】実施形態に係る検眼装置の情報処理系の構成例を示す概略図である。
図6】実施形態に係る検眼装置の動作例を示すフロー図である。
図7】実施形態の変形例に係る検眼装置の光学系の構成例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
この発明に係る検眼装置の実施形態の例について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、この明細書において引用された文献の記載内容や任意の公知技術を、以下の実施形態に援用することが可能である。
【0011】
〔検眼装置〕
実施形態に係る検眼装置は、他覚測定と自覚検査とを実行可能な装置である。他覚測定は、被検者からの応答を参照することなく、主として物理的な手法を用いて被検眼に関する情報を取得するものである。他覚測定には、被検眼に関する値を測定するための他覚測定と、被検眼の画像を取得するための撮影とが含まれる。このような他覚測定には、例えば、眼屈折力測定、角膜形状測定、眼圧測定、眼底撮影、光コヒーレンストモグラフィ(以下、OCT)の手法を用いたOCT撮影やOCT計測などがある。OCT撮影には、被検眼の断層像や正面画像や任意方向の断層像の取得などがある。OCT計測には、被検眼の任意の部位における層厚の計測や、眼軸長、角膜厚、前房深度、水晶体厚などの計測があり、これら被検眼の構造を表す眼球情報が取得される。眼球情報は、眼軸長や水晶体厚などの眼内の所定の2つの部分間の距離を示す眼内距離を含むものとする。しかしながら、実施形態に係る検眼装置の構成は、これに限定されるものではない。
【0012】
自覚検査は、被検者からの応答に基づいて結果を取得するものである。自覚検査には、例えば、遠用検査、近用検査、コントラスト検査、グレア検査などの自覚屈折検査や、視野検査などがある。自覚検査では、被検者に情報(視標など)が呈示され、その情報に対する被検者の応答に基づいて結果が取得される。
【0013】
以下、実施形態に係る検眼装置が任意の自覚検査及び任意の他覚測定の少なくとも一方を実行可能な非装用型の検眼装置である場合について説明するが、装用型の検眼装置であってもよい。非装用型の検眼装置には、据え置き型の検眼装置、可搬型の検眼装置などがある。実施形態に係る検眼装置は、自覚検査として遠用検査及び近用検査が可能であり、他覚測定として眼屈折力測定が可能である。
【0014】
<構成>
図1図5に、実施形態に係る検眼装置の構成例の概略図を示す。図1は、実施形態に係る検眼装置を上方から見たときの光学系の構成を模式的に表したものである。図2A図2B図3及び図4は、実施形態に係る矯正光学系の構成の概略図を表す。図5は、実施形態に係る検眼装置の情報処理系の構成例の概略図を表す。以下では、左右方向(水平方向)をX方向とし、上下方向(垂直方向)をY方向とし、X方向及びY方向の双方に直交する方向をZ方向とする。
【0015】
実施形態に係る検眼装置1は、左眼検査ユニットLUと、右眼検査ユニットRUと、鼻あて3とを含む。左眼検査ユニットLUは、被検者の左被検眼ELに対して自覚検査や他覚測定を行うための左眼検査光学系を収容する。右眼検査ユニットRUは、被検者の右被検眼ERに対して自覚検査や他覚測定を行うための右眼検査光学系を収容する。左眼検査光学系と右眼検査光学系とは左右対称に構成されている。左眼検査ユニットLUは、後述の移動機構ULDによりX方向に移動可能である。右眼検査ユニットRUは、後述の移動機構URDにより左眼検査ユニットLUとは独立にX方向に移動可能である。それにより、被検者の瞳孔間距離に合わせて左眼検査ユニットLU(検眼窓)と右眼検査ユニットRU(検眼窓)との間のX方向の距離を変更することができる。鼻あて3には、被検者の鼻Ns(例えば、鼻背の側面であって鼻翼の上方部分)が当接される。検眼装置1は、鼻あて3に鼻Nsを当接した被検者に対して、左眼検査光学系による左被検眼ELに対する自覚検査又は眼屈折力測定と、右眼検査光学系による右被検眼ERに対する自覚検査又は眼屈折力測定とを同時に実行可能である。
【0016】
検眼テーブル等の設置台に設置される筐体が左眼検査ユニットLU及び右眼検査ユニットRUを収容することにより、当該筐体は左眼検査ユニットLU及び右眼検査ユニットRUを支持することが可能である。この場合、鼻あて3は当該筐体に設けられる。鼻あて3は、被検者の鼻が当接されるパッドと、一端が筐体に固設され他端がパッドに固設されるクリングスとを含んでもよい。
【0017】
また、アーム部材により左眼検査ユニットLU及び右眼検査ユニットRUを上方から支持するようにしてもよい。この場合、鼻あて3は当該アーム部材に設けられる。鼻あて3は、被検者の鼻が当接されるパッドと、一端がアーム部材に固設され他端がパッドに固設されるクリングスとを含んでもよい。
【0018】
左眼検査ユニットLUは、矯正光学ユニットU1Lと、測定光学ユニットU2Lとを含む。矯正光学ユニットU1Lは、検眼窓11Lと、矯正光学系12L、13Lと、後述のターレット板回動機構12LDとを収容する。測定光学ユニットU2Lは、後述するように、視標呈示光学系20Lと、屈折力測定光学系30Lとを収容する。左眼検査光学系は、矯正光学ユニットU1Lに収容される光学系と、測定光学ユニットU2Lに収容される光学系とにより構成される。
【0019】
右眼検査ユニットRUは、矯正光学ユニットU1Rと、測定光学ユニットU2Rとを含む。矯正光学ユニットU1Rは、検眼窓11Rと、矯正光学系12R、13Rと、後述のターレット板回動機構12RDとを収容する。測定光学ユニットU2Rは、視標呈示光学系20Rと、屈折力測定光学系30Rとを収容する。右眼検査光学系は、矯正光学ユニットU1Rに収容される光学系と、測定光学ユニットU2Rに収容される光学系とにより構成される。
【0020】
左眼検査光学系と右眼検査光学系とは左右対称に構成されているため、対応する部分には同一符号を付すとともに、左眼検査光学系を構成する部分には符号の末尾などに「L」を付し、右眼検査光学系を構成する部分には符号の末尾などに「R」を付すものとする。以下では、特に言及しない限り、左眼検査光学系について説明し、右眼検査光学系についての説明を適宜省略する。
【0021】
(矯正光学ユニット)
上記のように、矯正光学ユニットU1Lは、検眼窓11Lと、矯正光学系12L、13Lと、ターレット板回動機構12LD(図5参照)とを含む。
【0022】
矯正光学系12Lは、1以上の光学素子を含み、左被検眼ELに適用される屈折力を第1ステップ(例えば3D(ディオプタ)ステップ)で変更可能な光学系である。この実施形態では、矯正光学系12L(12R)は、屈折力が異なる2以上の検眼レンズが配置され、矯正光学系12L(12R)の光軸に略平行な回動軸CL(CR)の位置を中心に回動可能なターレット板121L、122L(121R、122R)を含む。ターレット板121Lは、ターレット板122Lに対して左被検眼EL側に配置されている。ターレット板121L、122Lは、ターレット板回動機構12LDにより独立に回動軸CLを中心に回動される。それにより、2以上の検眼レンズを選択的に左被検眼ELに適用することが可能である。
【0023】
図2Aに示すように、ターレット板121Lには、回動軸CLを中心とする円周方向に孔部HL1と検眼レンズTL1〜TL3とが配置されている。図2Bに示すように、ターレット板122Lには、回動軸CLを中心とする円周方向に孔部HL2と検眼レンズTL4〜TL6とが配置されている。ターレット板122Lに配置される検眼レンズの屈折力がターレット板121Lに配置される検眼レンズの屈折力を超えないように、ターレット板121L、122Lに検眼レンズが配置される。例えば、ターレット板121Lにおける検眼レンズTL1〜TL3のそれぞれは、−6D、−12D、−9Dの屈折力を有し、ターレット板122Lにおける検眼レンズTL4〜TL6のそれぞれは、−3D、+6D、+3Dの屈折力を有する。それにより、鼻あて3に鼻Nsが当接する被検者の左被検眼ELに対して所定の角膜頂点距離(例えば12mm又は15mm)だけ離れた位置における屈折力の精度を向上させることができる。ターレット板回動機構12LDによりターレット板121L、122Lを独立に回動軸CLを中心に回動することにより左被検眼ELに適用される屈折力を−15D〜6Dの間で3Dの測定ステップで変更することができる。後述のように、視標呈示光学系20Lは、3Dの測定ステップより小さい測定ステップ(例えば、0.25Dの測定ステップ)で左被検眼ELに適用される屈折力を変更することができる。それにより、検眼レンズの種類を大幅に削減しつつ、所定の範囲内で所望の屈折力を左被検眼ELに適用することができる。
【0024】
ターレット板121L、122Lに配置される検眼レンズTL1〜TL6の少なくとも1つは、着脱可能であってよい。この場合、ターレット板から取り外された検眼レンズの装着部分に、検眼レンズTL1〜TL6と異なる屈折力を有する検眼レンズを新たに装着することが可能である。それにより、左被検眼ELに適用される屈折力の変更範囲を広くしたり、狭くしたりすることが可能である。特に、当該装着部分に−12Dより強い屈折力を有する検眼レンズを装着することで、−15D〜6Dよりも広い範囲で左被検眼ELに適用される屈折力を変更することができる。
【0025】
粗い測定ステップで左被検眼ELに適用される屈折力を変更することにより、ターレット板121L、122Lに配置される検眼レンズの数を削減することができる。この実施形態では、検眼レンズTL1〜TL6は、直径が24mm以上の大口径の屈折レンズであってよい。それにより、屈折力が強い場合であっても歪みの少ない検眼レンズを用いることが可能になる上に、実際に装用する眼鏡のレンズに近い検眼レンズを用いて自覚検査を行うことができるようになる。また、大口径の検眼レンズを用いることにより、後述のように矯正光学系12Lの光軸の軸外でも眼鏡の装用状態に近い条件で高精度な自覚検査を行うことができるようになる。更に、長い累進帯長で自覚検査を行うことができるので、実際に累進眼鏡を装用する状態に近い条件で自覚検査を行うことができるようになる。
【0026】
矯正光学系13Lは、左被検眼ELの乱視や斜視を矯正するための光学系である。例えば、矯正光学系13Lは、矯正光学系13Lの光軸を中心に回動可能な2つの円柱レンズと、これら2つの円柱レンズを独立に回動するレンズ回動機構131LD(後述)とを含む。2つの円柱レンズは、円柱軸に平行なレンズ軸が矯正光学系13Lの光軸に直交するように配置される。レンズ回動機構131LDにより2つの円柱レンズを相対的に回動させることにより左被検眼ELの乱視を矯正する。
【0027】
また、例えば、矯正光学系13Lは、矯正光学系13Lの光軸を中心に回動可能な2つのウェッジプリズムと、これら2つのウェッジプリズムを独立に回動するプリズム回動機構132LD(後述)とを含む。ウェッジプリズムは、矯正光学系13Lの光軸に対して直交するように配置される平行面と、平行面に対して所定の偏角をなすように設けられた光学面とを備えている。2つのウェッジプリズムは、互いの平行面が対向し、かつ、レンズ軸が矯正光学系13Lの光軸に略一致するように配置される。プリズム回動機構132LDにより2つのウェッジプリズムを独立に回動させることにより左被検眼ELの斜視を矯正する。
【0028】
矯正光学系12Lは、例えば液体レンズ等の屈折力可変レンズを含み、屈折力可変レンズにより左被検眼ELに適用される屈折力を変更してもよい。それにより、矯正共学系12Lに収容される検眼レンズの数を削減することができる。矯正光学系13Lは、例えば、液体レンズ等の屈折力可変レンズを含み、屈折力可変レンズにより左被検眼ELの乱視や斜視を矯正してもよい。
【0029】
図3に示すように、矯正光学系12L、13Lの光軸O1Lは、視標呈示光学系20Lの光軸O2Lに対して後述のLCD23Lに向かって下方に所定の前傾斜角度θだけ傾斜させることができる。前傾斜角度θは、眼鏡を装用した被検者が真正面を向いたときの視軸に対して当該眼鏡のレンズが上下方向に傾斜する角度に相当する。例えば、θは、略8度、10度〜15度、20〜25度、15度〜20度のいずれかであってよい。前傾斜角度θは、左眼検査ユニットLU及び右眼検査ユニットRUに共通であってもよいし、互いに異なってもよい。実施形態では、矯正光学系12L、13Lを収容する矯正光学ユニットU1Lの光軸O1Lが、測定光学ユニットU2Lの光軸O2Lに対してLCD23Lに向かって下方に前傾斜角度θだけ傾斜している。それにより、眼鏡の装用状態に近い条件で自覚検査を行うことができる。
【0030】
前傾斜角度θは、左眼検査ユニットLU及び右眼検査ユニットRUに共通に変更可能であってもよいし、互いに独立に変更可能であってもよい。この場合、自覚検査の種別に応じて前傾斜角度θが変更されてよい。例えば、左眼検査ユニットLUは、視標呈示光学系20Lの光軸O2Lに対する矯正光学系12L、13Lの光軸O1Lの上下方向の角度を変更するための前傾斜角変更機構を含んでもよい。前傾斜角変更機構は、矯正光学ユニットU1L及び測定光学ユニットU2Lの少なくとも一方をX方向の軸を中心に回動する公知の回動機構であってよい。前傾斜角変更機構は、固定された矯正光学ユニットU1Lに対して測定光学ユニットU2Lを上下方向に傾けることにより光軸O1Lに対して光軸O2Lを傾けてもよい。また、前傾斜角変更機構は、固定された測定光学ユニットU2Lに対して矯正光学ユニットU1Lを上下方向に傾けることにより光軸O1Lに対して光軸O2Lを傾けてもよい。
【0031】
図4に示すように、矯正光学系12L、13Lの光軸O1Lは、視標呈示光学系20Lの光軸O2Lに対して後述のLCD23Lに向かって外方に所定の反り角度θだけ傾斜している。反り角度θは、眼鏡を装用した被検者が真正面を向いたときの視軸に対して当該眼鏡のレンズが左右方向に傾斜する角度に相当する。例えば、θは、5度〜10度であってよい。反り角度θは、左眼検査ユニットLU及び右眼検査ユニットRUで共通であってもよいし、互いに異なってもよい。実施形態では、矯正光学系12L、13Lを収容する矯正光学ユニットU1Lの光軸O1Lが、測定光学ユニットU2Lの光軸O2Lに対してLCD23Lに向かって外方に反り角度θだけ傾斜している。また、矯正光学系12R、13Rを収容する矯正光学ユニットU1Rの光軸O1Rが、測定光学ユニットU2Rの光軸O2Rに対してLCD23Rに向かって外方に反り角度θだけ傾斜している。それにより、眼鏡の装用状態に近い条件で自覚検査を行うことができる。
【0032】
反り角度θは、左眼検査ユニットLU及び右眼検査ユニットRUに共通に変更可能であってもよいし、互いに独立に変更可能であってもよい。例えば、左眼検査ユニットLUは、視標呈示光学系20Lの光軸O2Lに対する矯正光学系12L、13Lの光軸O1Lの左右方向の角度を変更するための反り角変更機構を含んでもよい。同様に、右眼検査ユニットRUは、視標呈示光学系20Rの光軸O2Rに対する矯正光学系12R、13Rの光軸O1Rの左右方向の角度を変更するための反り角変更機構を含んでもよい。反り角変更機構は、矯正光学ユニットU1LをY方向の軸を中心に回動する公知の回動機構であってよい。
【0033】
また、左眼検査ユニットLUは、左被検眼ELの眼球回旋点を中心に矯正光学系12L、13Lに対して視標呈示光学系20Lを相対的に回動する回動機構を含んでもよい。回動機構は、左被検眼ELの眼球回旋点を中心に矯正光学ユニットU1Lに対して測定光学ユニットU2Lを相対的に回動してもよい。この回動機構は、上記の反り角変更機構と別途に設けられた機構であってもよいし、上記の反り角変更機構と共通に設けられた機構であってもよい。同様に、右眼検査ユニットRUは、右被検眼ERの眼球回旋点を中心に矯正光学系12R、13Rに対して視標呈示光学系20Rを相対的に回動する回動機構を含んでもよい。このような回動機構を設けることにより、被検眼の視軸に応じて自覚検査や他覚測定を行ったり、被検眼の視軸の向きを所望の向きに誘導しつつ自覚検査や他覚測定を行ったりすることが可能になる。
【0034】
(測定光学ユニット)
上記のように、測定光学ユニットU2Lは、視標呈示光学系20Lと、屈折力測定光学系30Lとを収容する。
【0035】
視標呈示光学系20Lは、左被検眼ELに視標を呈示する。視標呈示光学系20Lは、遠用検査を行うための遠用視標と近用検査を行うための近用視標とを並べて左被検眼ELに呈示することが可能である。視標呈示光学系20Lは、ビームスプリッタBS1Lと、結像レンズ21Lと、ロッドガラス22Lと、LCD23Lとを含む。図1では、LCD23Lに表示される視標の概略が図示されている。
【0036】
結像レンズ21Lは、LCD23LとビームスプリッタBS1L(又は矯正光学系12L、13L)との間に配置された凸レンズを含む。LCD23Lの1画素のサイズに応じて結像レンズ21Lの焦点距離が決定される。LCD23Lが1画素のサイズが0.0096mm×0.0096mmであるマイクロディスプレイである場合、結像レンズ21Lの焦点距離fは66mmであってよい。検査距離が5mである5m検眼(遠用検査)における視力2.0に相当するランドルト環視標の切れ目のサイズが1画素のサイズとすると、結像レンズ21Lの焦点距離f[mm]は次式(1)より求められる。式(1)において視角θ=0.5′である。
【0037】
【数1】
【0038】
例えば、LCD23Lが1280画素×720画素以上の解像度を有し、表示エリアの対角長が1インチ未満のマイクロディスプレイである場合、複数の製造メーカのマイクロディスプレイの1画素のサイズのばらつきを考慮すると、結像レンズ21Lの焦点距離fは50mm〜80mmの範囲に含まれてよい。
【0039】
結像レンズ21Lは、後述のレンズ移動機構21LDにより視標呈示光学系20Lの光軸方向に移動可能であってよい。レンズ移動機構21LDは、後述の制御部からの制御を受け、3Dの測定ステップより小さい測定ステップ(例えば、0.25Dの測定ステップ)に対応押した移動ステップで結像レンズ21Lを視標呈示光学系20Lの光軸方向に移動する。それにより、小さい測定ステップで左被検眼ELに適用される屈折力を変更することができる。
【0040】
ロッドガラス22Lは、結像レンズ21Lの焦点位置を変更する光学部材である。左被検眼ELに対してロッドガラス22Lを通して視標を呈示したり、ロッドガラス22Lを通さずに視標を呈示したりすることにより、互いに異なる検査距離の自覚検査を行うことができる。ロッドガラス22Lは、LCD23Lと結像レンズ21Lとの間の位置、かつ、視標呈示光学系20Lの光軸から外れた位置に設けられる。ロッドガラス22Lは、LCD23L側の端面と結像レンズ21L側の端面とが略平行な平行平面部材である。ロッドガラス22Lは、視標呈示光学系20Lの光軸に対して被検者の鼻側方向に配置されている。また、ロッドガラス22Lは、視標呈示光学系20Lの光軸に対して下方に配置されている。
【0041】
ロッドガラス22Lを通して左被検眼ELに近用視標を呈示することにより、近用検査が可能である。ロッドガラス22Lの視標呈示光学系20Lの光軸方向の長さdは、検査距離に応じて決定される。この実施形態において、検査距離が0.25mである0.25m検眼(近用検査)でロッドガラス22Lを通して左被検眼ELに近用視標を呈示する場合、長さd=48.612(mm)である。長さdは、次のように決定することが可能である。
【0042】
ロッドガラス22Lを挿入したとき、結像レンズ21Lの焦点距離がΔL(mm)だけ長くなる。ロッドガラス22Lの屈折率をnとすると、ΔLは、式(2)のように表される。
【0043】
【数2】
【0044】
一方、ロッドガラス22Lの挿入によるピント調整に必要な1D分の結像レンズ21L(焦点距離f)の移動量ΔM(mm)は、式(3)のように表される。
【0045】
【数3】
【0046】
5m検眼と0.25m検眼の切り替えで必要なピント調整量は、検査距離の差分に対応した屈折力ΔKと式(3)により得られた移動量ΔMとの積(=ΔK×ΔM)に相当する。このピント調整量が、上記のΔLに等しくなるようにする。従って、ΔLは、式(4)のように表される。
【0047】
【数4】
【0048】
ロッドガラス22Lの屈折率n=1.51633とすると、式(1)と式(4)とによりロッドガラス22Lの長さd=48.612(mm)が求められる。
【0049】
ロッドガラス22Lは、自覚検査の種別に応じて、ビームスプリッタBS1LとLCD23Lとの間に挿脱させるようにしてもよい。
【0050】
LCD23Lは、後述の制御部からの制御を受け、遠用視標、近用視標、又は遠用視標及び近用視標の双方を表示することが可能である。例えば、LCD23Lは、視標呈示光学系20Lの光軸に対応する位置に遠用視標及び近用視標の一方を表示し、かつ、ロッドガラス22Lに対応する位置に遠用視標及び近用視標の他方を表示する。この実施形態では、LCD23Lは、視標呈示光学系20Lの光軸に対応する位置に遠用視標を表示し、かつ、ロッドガラス22Lに対応する位置に近用視標を表示する。LCD23Lにおける光軸に対応する位置には、LCD23Lの表示エリアにおいて光軸が交差する位置又はその近傍等がある。LCD23Lにおけるロッドガラス22Lに対応する位置には、LCD23Lの表示エリアにおいてロッドガラス22Lの光軸方向の軸が交差する位置又はその近傍等がある。
【0051】
LCD23Lは、後述の視標移動機構23LDにより視標呈示光学系20Lの光軸方向に移動可能である。視標移動機構23LDは、後述の制御部からの制御を受け、3Dの測定ステップより小さい測定ステップ(例えば、0.25Dの測定ステップ)に対応した移動ステップでLCD23Lを視標呈示光学系20Lの光軸方向に移動する。例えば、視標移動機構23LDは、式(3)のΔMを用いて、ΔM×0.25D=1.089(mm)単位でLCD23Lを視標呈示光学系20Lの光軸方向に移動することにより、0.25Dの測定ステップで左被検眼ELに適用される屈折力を変更することができる。
【0052】
LCD23Lは、上記のようにマイクロディスプレイである。それにより、遠用検査と近用検査とを短時間に切り替えることが可能な視標呈示光学系20Lのサイズの小型化が可能になる。
【0053】
ビームスプリッタBS1Lは、視標呈示光学系20Lの光路と後述の屈折力測定光学系30Lの光路との合成光路を形成する光路合成部材である。
【0054】
以上のような視標呈示光学系20Lにおいて、LCD23Lに表示された遠用視標は、ロッドガラス22Lを通過することなく結像レンズ21Lを通過し、ビームスプリッタBS1Lを透過し、矯正光学系13L、12L、検眼窓11Lを通過して、左被検眼ELに呈示される。LCD23Lに表示された近用視標は、ロッドガラス22Lを通過し、結像レンズ21Lを通過し、ビームスプリッタBS1Lを透過し、矯正光学系13L、12L、検眼窓11Lを通過して、左被検眼ELに呈示される。それにより、左被検眼ELの視線の向きを切り替えるだけで、遠用視標を用いた遠用検査と、近用視標を用いた近用検査とを切り替えることが可能になる。
【0055】
(屈折力測定光学系)
屈折力測定光学系30Lは、左被検眼ELの屈折力を他覚的に測定する。屈折力測定光学系30Lは、光源31Lと、コリメータレンズ32Lと、ビームスプリッタBS2Lと、マスク板33Lと、撮像素子34Lとを含む。マスク板33Lには、所定の透過パターンが形成されている。透過パターン以外の部分は遮光部分である。
【0056】
光源31Lは、赤外光を発光する点光源である。コリメータレンズ32Lは、光源31Lからの赤外光を平行光に変換する。コリメータレンズ32Lにより平行光に変換された赤外光は、ビームスプリッタBS2Lを透過し、ビームスプリッタBS1Lにより左被検眼ELに向けて反射される。ビームスプリッタBS1Lにより反射された赤外光は、矯正光学系13L、12Lを通過し、検眼窓11Lを通過し、左被検眼ELに投射される。左被検眼ELからの赤外光の戻り光は、検眼窓11Lを通過し、矯正光学系12L、13Lを通過し、ビームスプリッタBS1Lにより反射され、ビームスプリッタBS2Lによりマスク板33Lに向けて反射される。ビームスプリッタBS2Lにより反射された戻り光は、マスク板33Lに投射される。マスク板33Lに形成された透過パターンを透過した戻り光は、撮像素子34Lの撮像面に投影される。検眼装置1は、撮像素子34Lにより取得されたパターン像を公知の手法により後述の演算処理部110により解析することにより左被検眼ELの屈折力を求める。求められた屈折力は、矯正光学系12L、13Lを通して網膜上に結像しているか否かの判断にも用いられてよい。
【0057】
実施形態に係る屈折力測定光学系30Lの構成は、図1に示す構成に限定されるものではない。実施形態に係る屈折力測定光学系30Lの構成は、例えば特許第3071693号に開示された構成であってもよい。
【0058】
(情報処理系)
図5に、検眼装置1の情報処理系の機能的構成の例を示す。情報処理系は、制御部100と、演算処理部110と、表示部120と、操作部130とを含む。制御部100は、演算処理部110、矯正光学系12L、13L、12R、13R、視標呈示光学系20L、20R、屈折力測定光学系30L、30R、移動機構ULD、URD、及び表示部120を制御する。
【0059】
制御部100は、主制御部101と、記憶部102とを有する。制御部100は、例えば、マイクロプロセッサ、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、ハードディスクドライブ等を含んで構成される。
【0060】
主制御部101は、検眼装置1の各種制御を行う。特に、主制御部101は、左眼検査ユニットLUについて、ターレット板回動機構12LD、レンズ回動機構131LD、プリズム回動機構132LD、レンズ移動機構21LD、LCD23L、視標移動機構23LD、光源31L、撮像素子34L、移動機構ULD等を制御する。
【0061】
移動機構ULDは、左眼検査ユニットLUをX方向(左右方向)に移動する。移動機構URDは、右眼検査ユニットRUをX方向に移動する。移動機構ULD、URDにより左眼検査ユニットLU及び右眼検査ユニットRUをX方向に移動することにより、被検者の瞳孔間距離に合わせて左眼検査ユニットLU及び右眼検査ユニットRUを配置することが可能である。移動機構ULDには、移動機構ULDを移動するための駆動力を発生するアクチュエータと、この駆動力を左眼検査ユニットLUを保持する保持部材に伝達する伝達機構とが設けられる。アクチュエータは、制御部100からの制御信号を受け、制御信号に対応した駆動力を発生する。アクチュエータは、例えばパルスモータにより構成される。伝達機構は、例えば歯車の組み合わせやラック・アンド・ピニオンなどによって構成される。移動機構URDも同様である。
【0062】
主制御部101は、操作部130に対するユーザの操作を受け、移動機構ULD、URDを制御することにより、被検者の瞳孔間距離に合わせて左眼検査ユニットLU及び右眼検査ユニットRUを配置することが可能である。また、主制御部101は、左被検眼ELの瞳孔の位置及び右被検眼ERの瞳孔の位置に基づいて移動機構ULD、URDを制御することにより、被検者の瞳孔間距離に合わせて左眼検査ユニットLU及び右眼検査ユニットRUを配置してもよい。この場合、左被検眼EL及び右被検眼ERのそれぞれについて、互いに異なる方向から被検眼の前眼部を実質的に同時に撮影する2以上のカメラが設けられる。主制御部101は、これらカメラにより得られた前眼部像を解析して左被検眼EL及び右被検眼ERそれぞれの瞳孔の位置を演算処理部110に特定させ、特定された位置に基づいて移動機構ULD、URDを制御する。主制御部101は、前眼部像の解析結果に基づいて移動機構ULD、URDを制御することにより、X方向だけではなく、Y方向及びZ方向の少なくとも1つの方向について被検眼と光学系との位置合わせを行ってもよい。
【0063】
また、移動機構ULD、URDは、手動により左眼検査ユニットLU及び右眼検査ユニットRUを移動してもよい。
【0064】
また、移動機構ULDは、上記の前傾斜角変更機構及び反り角変更機構の少なくとも一方を含んでもよい。移動機構ULDは、制御部100からの制御を受け、上記の前傾斜角や反り角を変更する。
【0065】
ターレット板回動機構12LDには、ターレット板121L、122Lを回動するための駆動力を発生するアクチュエータと、この駆動力をターレット板121L、122Lを回動可能に保持する保持部材に伝達する伝達機構とが設けられる。アクチュエータは、制御部100からの制御信号を受け、制御信号に対応した駆動力を発生する。アクチュエータは、例えばパルスモータにより構成される。伝達機構は、例えば歯車の組み合わせやラック・アンド・ピニオンなどによって構成される。ターレット板回動機構12RDも同様である。また、レンズ回動機構131LD、131RDや、プリズム回動機構132LD、132RDも同様に、アクチュエータと伝達機構とが設けられる。
【0066】
レンズ移動機構21LDは、結像レンズ21Lを視標呈示光学系20Lの光軸方向に移動する。レンズ移動機構21RDは、結像レンズ21Rを視標呈示光学系20Rの光軸方向に移動する。レンズ移動機構21LDには、結像レンズ21Lを移動するための駆動力を発生するアクチュエータと、この駆動力を結像レンズ21Lを保持する保持部材に伝達する伝達機構とが設けられる。アクチュエータは、制御部100からの制御信号を受け、制御信号に対応した駆動力を発生する。レンズ移動機構21RDも同様である。
【0067】
視標移動機構23LDは、LCD23Lを視標呈示光学系20Lの光軸方向に移動する。視標移動機構23RDは、LCD23Rを視標呈示光学系20Rの光軸方向に移動する。視標移動機構23LDには、LCD23Lを移動するための駆動力を発生するアクチュエータと、この駆動力をLCD23Lを保持する保持部材に伝達する伝達機構とが設けられる。アクチュエータは、制御部100からの制御信号を受け、制御信号に対応した駆動力を発生する。視標移動機構23RDも同様である。
【0068】
主制御部101は、ターレット板回動機構12LD及び視標移動機構23LDに対する連係的な制御を実行することにより左被検眼ELに適用される屈折力を変更することが可能である。例えば、主制御部101は、ターレット板回動機構12LDを制御して3Dの測定ステップで左被検眼ELに適用される屈折力を変更しつつ、視標移動機構23LDを制御して0.25Dの測定ステップで左被検眼ELに適用される屈折力を変更する。具体的には、主制御部101は、ターレット板回動機構12LDを制御して+3Dだけ屈折力を変更した後、視標移動機構23LDを制御して+0.25Dだけ屈折力を変更することを繰り返す。すなわち、初期位置を基準に、LCD23Lを+0.25D分だけ移動することを繰り返す。主制御部101は、+0.25Dの変更を12回繰り返すと、ターレット板回動機構12LDを制御して更に+3Dだけ屈折力を変更し、視標移動機構23LDを制御してLCD23Lを元の初期位置に戻した後、+0.25Dだけ屈折力を変更することを繰り返す。
【0069】
主制御部101は、ターレット板回動機構12LD及びレンズ移動機構21LDに対する連係的な制御を実行することにより左被検眼ELに適用される屈折力を変更してもよい。この場合、上記と同様に、主制御部101は、ターレット板回動機構12LDを制御して3Dの測定ステップで左被検眼ELに適用される屈折力を変更しつつ、レンズ移動機構21LDを制御して0.25Dの測定ステップで左被検眼ELに適用される屈折力を変更する。
【0070】
また、主制御部101は、ターレット板回動機構12LDを制御して3Dの測定ステップで左被検眼ELに適用される屈折力を変更しつつ、矯正光学系13Lに設けられた液体レンズを制御して0.25Dの測定ステップで左被検眼ELに適用される屈折力を変更してもよい。更に、主制御部101は、ターレット板回動機構12LD、視標移動機構23LD及びレンズ移動機構21LDに対する連係的な制御を実行することにより左被検眼ELに適用される屈折力を変更してもよい。
【0071】
主制御部101は、左眼検査ユニットLUに対する制御と同様に、右眼検査ユニットRUについて、ターレット板回動機構12RD、レンズ回動機構131RD、プリズム回動機構132RD、レンズ移動機構21RD、LCD23R、視標移動機構23RD、光源31R、撮像素子34R、移動機構URD等を制御する。
【0072】
主制御部101は、撮像素子34L、34Rを制御することにより、取得された信号を取り込み、演算処理部110による解析処理等を行わせる。
【0073】
また、主制御部101は、記憶部102にデータを書き込む処理や、記憶部102からデータを読み出す処理を行う。
【0074】
記憶部102は、各種のデータを記憶する。記憶部102に記憶されるデータとしては、例えば、各種の測定結果、被検眼情報などがある。被検眼情報は、患者IDや氏名などの被検者に関する情報や、左眼/右眼の識別情報などの被検眼に関する情報を含む。また、記憶部102には、検眼装置1を動作させるための各種プログラムやデータが記憶されている。
【0075】
演算処理部110は、制御部100からの制御を受け、所定の解析処理等を実行する。演算処理部110は、屈折力算出部111を含む。屈折力算出部111は、屈折力測定光学系30L、30Rにより得られた撮像素子34L、34Rの撮像面に投影された戻り光に基づく像を解析することにより、左被検眼EL及び右被検眼ERそれぞれの屈折力を求める。例えば、屈折力算出部111は、戻り光に基づく像のサイズ、形状、分布などを公知の解析処理で解析することにより屈折力を求める。
【0076】
表示部120は、制御部100による制御を受けて各種情報を表示する。操作部130は、検眼装置1を操作するために使用される。操作部130は、検眼装置1に設けられた各種のハードウェアキー(ジョイスティック、ボタン、スイッチなど)を含む。また、操作部130は、タッチパネル式の表示画面に表示される各種のソフトウェアキー(ボタン、アイコン、メニューなど)を含んでもよい。表示部120及び操作部130の少なくとも一部が一体的に構成されていてもよい。その典型例として、タッチパネル式の表示画面がある。
【0077】
また、検眼装置1は、通信部を含んでもよい。通信部は、図示しない外部装置と通信するための機能を有する。通信部は、外部装置との通信の形態に応じた構成を有する。外部装置は、他の任意の眼科装置であってよい。また、外部装置は、記録媒体から情報を読み取る機能を有する装置(リーダ)や、記録媒体に情報を書き込む機能を有する装置(ライタ)であってよい。外部装置の他の例として、当該医療機関内にて使用されるコンピュータがある。このような院内コンピュータは、例えば、病院情報システム(Hospital Information System:HIS)サーバ、DICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)サーバ、医師端末などを含む。外部装置は、当該医療機関の外部にて使用されるコンピュータを含んでよい。このような院外コンピュータは、例えば、モバイル端末、個人端末、検眼装置1の製造メーカ側のサーバや端末、クラウドサーバなどがある。
【0078】
検眼レンズは、実施形態に係る矯正光学系に含まれる「光学素子」の一例である。LCD23L、23Rは、実施形態に係る「表示部」の一例である。結像レンズ21L、21Rは、実施形態に係る「凸レンズ」の一例である。ロッドガラス22L、22Rは、実施形態に係る「光学部材」の一例である。左眼検査ユニットLU及び右眼検査ユニットRUを収容する筐体又は左眼検査ユニットLU及び右眼検査ユニットRUを上方から支持するアーム部材は、実施形態に係る「支持部材」の一例である。
【0079】
<動作例>
実施形態に係る検眼装置1の動作例について説明する。
【0080】
図6に、実施形態に係る検眼装置1の動作例のフロー図を示す。
【0081】
(S1)
まず、被検者の鼻Nsを検眼装置1に設けられた鼻あて3に当接した後、主制御部101は、上記のように移動機構ULD、URDを制御することにより、被検者の瞳孔間距離に合わせて鼻あて3を基準に左眼検査ユニットLU及び右眼検査ユニットRUを配置させる。それにより、左被検眼ELは検眼窓11Lを通じて視標が呈示される位置に配置され、右被検眼ERは検眼窓11Rを通じて視標が呈示される位置に配置される。
【0082】
また、主制御部101は、LCD23Lの所定の表示位置に赤色の点視標を表示することにより左被検眼ELに赤色の点視標を呈示し、LCD23Rの所定の表示位置に緑色の点視標を表示することにより右被検眼ERに緑色の点視標を呈示し、赤色の点視標と緑色の点視標とが重なるように移動機構ULD、URDを制御して左眼検査ユニットLU及び右眼検査ユニットRUを配置させてもよい。それにより、被検者が融像するように左眼検査ユニットLU及び右眼検査ユニットRUを配置することができる。LCD23Lにおける点視標の表示位置は、LCD23Rにおける点視標の表示位置と略同一であってよい。
【0083】
(S2)
主制御部101は、操作部130に対するユーザの所定の操作入力を待つ(ステップS2:N)。操作部130に対して所定の操作が行われたとき(ステップS2:Y)、検眼装置1の動作はS3に移行する。
【0084】
また、鼻あて3に被検者の鼻Nsが当接されたことを検知するセンサーを設け、主制御部101は、このセンサーの検知結果に基づいて検眼装置1の動作をS3に移行してもよい。
【0085】
(S3)
操作部130に対して所定の操作が行われたとき(ステップS2:Y)、主制御部101は、左被検眼EL及び右被検眼ERの双方に対して他覚測定を実行させる。具体的には、主制御部101は、光源31L、31Rを制御して赤外光を発光させ、撮像素子34L、34Rにより取得された赤外光の戻り光に基づく像を演算処理部110に解析させる。演算処理部110では、屈折力算出部111が、戻り光に基づく像に対して公知の解析処理を行うことにより、左被検眼ELの屈折力(他覚測定値)と右被検眼ERの屈折力とを求める。
【0086】
(S4)
主制御部101は、S3において求められた左被検眼ELの屈折力を再現するように、ターレット板回動機構12LD、レンズ回動機構131LD、及びプリズム回動機構132LDを制御する。必要に応じて、主制御部101は、レンズ移動機構21LDや視標移動機構23LDを制御してもよい。同様に、主制御部101は、S3において求められた右被検眼ERの屈折力を再現するように、ターレット板回動機構12RD、レンズ回動機構131RD、及びプリズム回動機構132RDを制御する。必要に応じて、主制御部101は、レンズ移動機構21RDや視標移動機構23RDを制御してもよい。
【0087】
(S5)
主制御部101は、視標呈示光学系20L、20Rを制御することにより5m検眼を実行させる。具体的には、主制御部101は、LCD23Lを制御して視標呈示光学系20Lの光軸に交差する位置又はその近傍に遠用視標を表示させ、LCD23Rを制御して視標呈示光学系20Rの光軸に交差する位置又はその近傍に遠用視標を表示させる。それにより、左被検眼ELにはLCD23Lに表示された遠用視標が呈示され、右被検眼ERにはLCD23Rに表示された遠用視標が呈示される。被検者は視標に対する応答を行い、所定の操作を受けて、主制御部101は、更なるターレット板回動機構12LD、12RD等の制御を行う。例えば、視力測定において、ランドルト環等に対する応答に基づいて、次の視標を選択して呈示し、これを繰り返し行うことで視力値を決定する。
【0088】
(S6)
続いて、主制御部101は、視標呈示光学系20L、20Rを制御することにより0.25m検眼を実行させる。具体的には、主制御部101は、LCD23Lを制御してロッドガラス22Lの光軸に交差する位置又はその近傍に近用視標を表示させ、LCD23Rを制御してロッドガラス22Rの光軸に交差する位置又はその近傍に近用視標を表示させる。左被検眼ELの視線方向をロッドガラス22Lの方向に向けることにより左被検眼ELにはLCD23Lに表示された近用視標が呈示され、右被検眼ERの視線方向をロッドガラス22Rの方向に向けることにより右被検眼ERにはLCD23Rに表示された近用視標が呈示される。S5と同様に被検者は視標に対する応答を行うことで、検者は、遠近両用眼鏡の必要性を確認することができる。以上で、検眼装置1の動作は終了である(エンド)。
【0089】
〔変形例〕
実施形態では、自覚検査において2種類の検査距離(5m、0.25m)を切り替える場合について説明したが、実施形態に係る眼科装置の構成は、これに限定されるものではない。実施形態に係る変形例では、自覚検査において4種類の検査距離を切り替える場合について説明する。以下では、実施形態の変形例に係る検眼装置について、実施形態との相違点を中心に説明する。
【0090】
図7に、実施形態の変形例に係る検眼装置の光学系の構成例を示す。図7において、図1と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。なお、図7は、視標呈示光学系について、視標呈示光学系の光軸を通るXZ方向の断面の構成を模式的に表す。図7において、矯正光学系12L、13L、12R、13RやビームスプリッタBS1L、BS1R、屈折力測定光学系30L、30Rなどの図示が省略されている。また、図7では、LCD23L、23Rに表示される視標の概略が図示されている。
【0091】
変形例に係る視標呈示光学系20L1、20R1が実施形態に係る視標呈示光学系20L、20Rと異なる点は、視標呈示光学系20L1にロッドガラス50L、51Lが追加され、視標呈示光学系20R1にロッドガラス50R、51Rが追加された点である。ロッドガラス50L、50Rは、0.5m検眼を行うための平行平面部材である。ロッドガラス51L、51Rは、1m検眼を行うための平行平面部材である。視標呈示光学系20L1の光軸に近い方からロッドガラス51L、50L、22Lの順に配置される。視標呈示光学系20R1の光軸に近い方からロッドガラス51R、50R、22Rの順に配置される。
【0092】
式(2)〜式(4)から、ロッドガラス50L、50Rの長さdは、21.970mmである。同様に、ロッドガラス51L、51Rの長さdは、10.235mmである。
【0093】
LCD23Lは、視標呈示光学系20L1の光軸に対応する位置に遠用視標を表示し、ロッドガラス51Lに対応する位置に1m検眼用の視標、ロッドガラス50Lに対応する位置に0.5m検眼用の視標、ロッドガラス22Lに対応する位置に0.25m検眼用の視標を表示する。同様に、LCD23Rは、視標呈示光学系20R1の光軸に対応する位置に遠用視標を表示し、ロッドガラス51Rに対応する位置に1m検眼用の視標、ロッドガラス50Rに対応する位置に0.5m検眼用の視標、ロッドガラス22Rに対応する位置に0.25m検眼用の視標を表示する。
【0094】
以上のような視標呈示光学系20L1において、LCD23Lに表示された遠用視標は、結像レンズ21Lを通過し、ビームスプリッタBS1Lを透過し、矯正光学系13L、12L、検眼窓11Lを通過して、左被検眼ELに呈示される。LCD23Lに表示された1m検眼用の視標は、ロッドガラス51Lを通過し、結像レンズ21Lを通過し、ビームスプリッタBS1Lを透過し、矯正光学系13L、12L、検眼窓11Lを通過して、左被検眼ELに呈示される。LCD23Lに表示された0.5m検眼用の視標は、ロッドガラス50Lを通過し、結像レンズ21Lを通過し、ビームスプリッタBS1Lを透過し、矯正光学系13L、12L、検眼窓11Lを通過して、左被検眼ELに呈示される。LCD23Lに表示された0.25m検眼用の視標は、ロッドガラス22Lを通過し、結像レンズ21Lを通過し、ビームスプリッタBS1Lを透過し、矯正光学系13L、12L、検眼窓11Lを通過して、左被検眼ELに呈示される。視標呈示光学系20R1も同様である。それにより、被検眼の視線の向きを切り替えるだけで、遠用視標を用いた遠用検査と、1m検眼用の視標を用いた近用検査と、0.5m検眼用の視標を用いた近用検査と、0.25m検眼用の視標を用いた近用検査とを切り替えることが可能になる。
【0095】
(作用・効果)
実施形態に係る検眼装置の作用及び効果について説明する。
【0096】
実施形態に係る検眼装置(1)は、矯正光学系(12L、12R)と、視標呈示光学系(20L、20R)とを含む。矯正光学系は、1以上の光学素子(検眼レンズ)を含み、被検眼(左被検眼EL、右被検眼ER)に適用される屈折力を変更可能である。視標呈示光学系は、被検眼に視標を呈示する。視標呈示光学系は、表示部(LCD23L、LCD23R)と、凸レンズ(結像レンズ21L、21R)と、光学部材(ロッドガラス22L、22R)とを含む。表示部は、視標を表示する。凸レンズは、表示部と矯正光学系との間に配置される。光学部材は、表示部と凸レンズとの間の位置、かつ、視標呈示光学系の光軸から外れた位置に設けられ、凸レンズの焦点位置を変更する。表示部は、光軸に対応する位置に遠用視標及び近用視標の一方を表示し、かつ、光学部材に対応する位置に遠用視標及び近用視標の他方を表示する。
【0097】
このような構成によれば、表示部と凸レンズとの間の位置、かつ、視標呈示光学系の光軸から外れた位置に光学部材を配置し、表示部は、光軸に対応する位置に遠用視標及び近用視標の一方を表示するとともに、光学部材に対応する位置に遠用視標及び近用視標の他方を表示するようにしたので、回動機構などの機構を設けることなく、被検眼の視線の向きを切り替えるだけで遠用検査と近用検査の切り替えが可能になる。それにより、装置の小型化を図りつつ、遠用検査と近用検査とを短時間に切り替えることが可能になる。
【0098】
また、実施形態に係る検眼装置では、光学部材は、表示部側の端面と凸レンズ側の端面とが略平行な平行平面部材を含み、表示部は、光軸に対応する位置に遠用視標を表示し、かつ、光学部材に対応する位置に近用視標を表示してもよい。
【0099】
このような構成によれば、表示部と凸レンズとの間に平行平面部材を配置するようにしたので、非常に簡素な構成で、遠用検査と近用検査とを短時間に切り替えることが可能な検眼装置を提供することができる。
【0100】
また、実施形態に係る検眼装置では、光学部材は、光軸に対して鼻側方向に配置されていてもよい。
【0101】
このような構成によれば、被検眼を輻輳させた状態で近用検査を行うことができるので、被検者が実際に眼鏡を装用する状態に近い条件で近用検査を行うことができる。
【0102】
また、実施形態に係る検眼装置では、光学部材は、光軸に対して下方に配置されていてもよい。
【0103】
このような構成によれば、視標呈示光学系の光軸に対して下方に光学部材を配置するようにしたので、被検眼の視軸を下方に向けた状態で近用検査が可能となり、被検者が実際に眼鏡を装用する状態に近い条件で近用検査を行うことができる。
【0104】
また、実施形態に係る検眼装置は、眼球回旋点を中心に矯正光学系に対して視標呈示光学系を相対的に回動する回動機構を含んでもよい。
【0105】
このような構成によれば、被検眼の視軸に応じて自覚検査を行ったり、被検眼の視軸の向きを所望の向きに誘導しつつ自覚検査を行ったりすることが可能になる。
【0106】
また、実施形態に係る検眼装置は、矯正光学系及び視標呈示光学系を含む左眼検査ユニット(LU)と、矯正光学系及び視標呈示光学系を含む右眼検査ユニット(RU)と、左眼検査ユニットと右眼検査ユニットとを支持する支持部材と、を含んでもよい。
【0107】
このような構成によれば、装置の小型化を図りつつ、両眼について同時に遠用検査や近用検査が可能で、遠用検査と近用検査とを短時間に切り替えることが可能な検眼装置を提供することができる。
【0108】
(その他)
実施形態又はその変形例に係る検眼装置は、鼻あて3に加えて、被検者の額が当接される額あてが設けられていてもよい。
【0109】
実施形態又はその変形例に係る各種の移動機構には、移動機構ULDと同様に、アクチュエータと、伝達機構とが設けられてよい。同様に、実施形態又はその変形例に係る各種の回動機構には、ターレット板回動機構12LDと同様に、アクチュエータと、伝達機構とが設けられてよい。
【0110】
以上に示された実施形態又はその変形例は、この発明を実施するための一例に過ぎない。この発明を実施しようとする者は、この発明の要旨の範囲内において任意の変形、省略、追加等を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0111】
1 検眼装置
12L、13L、12R、13R 矯正光学系
20L、20R 視標呈示光学系
21L、21R 結像レンズ
22L、22R ロッドガラス
23L、23R LCD
EL 左被検眼
ER 右被検眼
LU 左眼検査ユニット
RU 右眼検査ユニット
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7