(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記クロスリンカーは、脂肪環族ジエポキシカルボキシレート(alicyclic diepoxy carboxylate)を含む請求項1〜3のいずれか1項に記載のフレキシブル表示装置。
前記クロスリンカーは、4−ビニールシクロヘキセンジオキサイド、シクロヘキセンビニールモノオキサイド、(3、4−エポキシシクロヘキシル)メチル3、4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、3、4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート、ビス(3、4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、3、4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2−(3、4−エポキシシクロヘキシル)−1、3−ジオキソランのうちのいずれか1つである請求項1〜3のいずれか1項に記載のフレキシブル表示装置。
前記ハードコーティング固形分は、前記ハードコーティング固形分100wt%に対して前記第1オリゴマー6wt%〜36wt%、前記第2オリゴマー36wt%〜70wt%、前記クロスリンカー10wt%〜20wt%、前記光開始剤1wt%〜4wt%を含む請求項9又は10に記載のウインドー部材の製造方法。
前記ハードコーティング組成物は、ビスフェノール−A−エポキシ−シリコンブロック共重合体(bisphenol−A−epoxy−silicone block copolymer)をさらに含む請求項14に記載のウインドー部材の製造方法。
前記クロスリンカーは、4−ビニールシクロヘキセンジオキサイド、シクロヘキセンビニールモノオキサイド、(3、4−エポキシシクロヘキシル)メチル3、4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、3、4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート、ビス(3、4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、3、4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2−(3、4−エポキシシクロヘキシル)−1、3−ジオキソランのうちのいずれか1つである請求項18〜20のいずれか1項に記載のハードコーティング組成物。
ビスフェノール−A−エポキシ−シリコンブロック共重合体(bisphenol−A−epoxy−silicone block copolymer)をさらに含む請求項23に記載のハードコーティング組成物。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の表示装置においては、表示装置の硬度をさらに向上しつつ、フレキシィビリティーを確保することが求められている。
【0007】
そこで、本発明は、上記状況に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、表示装置の硬度をさらに向上しつつ、フレキシィビリティーを確保することができる、新規かつ改良された、フレキシブル表示装置、ウインドー部材の製造方法、及びハードコーティング組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、フレキシブル表示パネル及びフレキシブル表示パネル上に配置されたウインドー部材を含み、ウインドー部材はフレキシブルベース部材及びフレキシブルベース部材上に配置されたハードコーティング層を含み、ハードコーティング層は光開始剤及び下記の化学式1で表示される高分子を含む、フレキシブル表示装置が提供される。
【0009】
【化1】
【0010】
化学式1においてXは下記の化学式2で表示される。
【0011】
【化2】
【0012】
化学式2においてnは8〜30であり、R
1はヒドロキシ基、置換又は非置換された環形成炭素数6以上30以下のアリール基、アルコキシ基、置換又は非置換された炭素数1以上20以下のアルキル基又は光開始反応基のうちの1つであり、複数個のR
1の中で少なくとも1つは、光開始反応基であり、R
2はヒドロキシ基、置換又は非置換された環形成炭素数6以上30以下のアリール基、アルコキシ基、置換又は非置換された炭素数1以上20以下のアルキル基又は光開始反応基のうちの1つである。
化学式1においてYは下記の化学式3で表示される。
【0013】
【化3】
【0014】
化学式3においてmは46〜150であり、R
3はヒドロキシ基、置換又は非置換された環形成炭素数6以上30以下のアリール基、アルコキシ基、置換又は非置換された炭素数1以上20以下のアルキル基又は光開始反応基のうちの1つであり、複数個のR
3の中で少なくとも1つは光開始反応基であり、R
4はヒドロキシ基、置換又は非置換された環形成炭素数6以上30以下のアリール基、アルコキシ基、置換又は非置換された炭素数1以上20以下のアルキル基又は光開始反応基のうちの1つである。
【0015】
化学式1においてZはクロスリンカーである。
【0016】
光開始反応基はエポキシ基又はアルケニル基を含む置換基で置換されたエーテル基、エポキシ基又はアルケニル基を含む置換基で置換された炭素数1以上20以下のアルキル基、又は置換又は非置換された炭素数1以上20以下のアルケニル基であってもよい。
【0017】
光開始反応基は下記の化学式4及び化学式5のうちのいずれか1つで表示されてもよい。
【0018】
【化4】
【0019】
【化5】
【0020】
化学式5においてkは1〜10である。
【0021】
クロスリンカーは脂肪環族ジエポキシカルボキシレート(alicyclic diepoxy carboxylate)を含むことができる。
【0022】
クロスリンカーは4−ビニールシクロヘキセンジオキサイド、シクロヘキセンビニールモノオキサイド、(3、4−エポキシシクロヘキシル)メチル3、4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、3、4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート、ビス(3、4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、3、4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2−(3、4−エポキシシクロヘキシル)−1、3−ジオキソランのうちのいずれか1つであってもよい。
【0023】
Zは下記の化学式6で表示されてもよい。
【0024】
【化6】
【0025】
化学式6においてhは1〜7である。
【0026】
光開始剤は互いに異なる波長の光によって開始される第1光開始剤及び第2光開始剤を含んでもよい。
【0027】
ハードコーティング層は下記の化学式7及び化学式8で表示される高分子のうちの少なくとも1つ以上をさらに含むことができる。
【0028】
【化7】
【0029】
【化8】
【0030】
上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、光開始剤、第1オリゴマー、第2オリゴマー、及びクロスリンカーを含むハードコーティング固形分及び溶媒を含むハードコーティング組成物を準備する段階と、フレキシブルベース部材上に予備ハードコーティング層が形成されるようにハードコーティング組成物を塗布する段階と、溶媒が除去されるように予備ハードコーティング層を乾燥する段階と、乾燥された予備ハードコーティング層を光硬化する段階と、を含み、第1オリゴマーの分子量は2000〜6000であり、第2オリゴマーの分子量は10000〜30000である、ウインドー部材の製造方法が提供される。
【0031】
第1オリゴマーの各々は下記の化学式9で表示されることができる。
【0032】
【化9】
【0033】
化学式9においてnは8〜30であり、R
1はヒドロキシ基、置換又は非置換された環形成炭素数6以上30以下のアリール基、アルコキシ基、置換又は非置換された炭素数1以上20以下のアルキル基又は光開始反応基のうちの1つであり、複数個のR
1の中で少なくとも1つは光開始反応基であり、R
2はヒドロキシ基、置換又は非置換された環形成炭素数6以上30以下のアリール基、アルコキシ基、置換又は非置換された炭素数1以上20以下のアルキル基又は光開始反応基のうちの1つである。
【0034】
第2オリゴマーの各々は下記の化学式10で表示されることができる。
【0035】
【化10】
【0036】
化学式10においてmは46〜150であり、R
3はヒドロキシ基、置換又は非置換された環形成炭素数6以上30以下のアリール基、アルコキシ基、置換又は非置換された炭素数1以上20以下のアルキル基又は光開始反応基のうちの1つであり、複数個のR
3の中で少なくとも1つは光開始反応基であり、R
4はヒドロキシ基、置換又は非置換された環形成炭素数6以上30以下のアリール基、アルコキシ基、置換又は非置換された炭素数1以上20以下のアルキル基又は光開始反応基のうちの1つであってもよい。
【0037】
ハードコーティング固形分はハードコーティング固形分100wt%に対して第1オリゴマー6wt%〜36wt%、第2オリゴマー36wt%〜70wt%、クロスリンカー10wt%〜20wt%、光開始剤1wt%〜4wt%を含むことができる。
【0038】
光開始反応基は下記の化学式11及び化学式12のうちのいずれか1つで表示されることができる。
【0039】
【化11】
【0040】
【化12】
【0041】
化学式12においてkは1〜10である。
【0042】
クロスリンカーの各々は下記の化学式13で表示されるモノマーを含むことができる。
【0043】
【化13】
【0044】
ハードコーティング組成物はシリコンナノ粒子をさらに含むことができる。
【0045】
ハードコーティング組成物はビスフェノール−A−エポキシ−シリコンブロック共重合体(bisphenol−A−epoxy−silicone block copolymer)をさらに含むことができる。
【0046】
光開始剤は互いに異なる波長範囲の光によって開始される第1光開始剤及び第2光開始剤を含むことができる。
【0047】
乾燥された予備ハードコーティング層を光硬化する段階は、第1光開始剤を開始する第1波長範囲の光を乾燥された予備ハードコーティング層に照射する段階及び第2光開始剤を開始する第2波長範囲の光を乾燥された予備ハードコーティング層に照射する段階を含むことができる。
【0048】
上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、溶媒及びハードコーティング固形分を含む。ハードコーティング固形分はハードコーティング固形分100wt%に対して6wt%〜36wt%の第1オリゴマー、36wt%〜70wt%の第2オリゴマー、10wt%〜20wt%のクロスリンカー、及び1wt%〜4wt%の光開始剤を含み、第1オリゴマーの分子量は2000〜6000であり、第2オリゴマーの分子量は10000〜30000である、ハードコーティング組成物が提供される。
【0049】
第1オリゴマーの各々は下記の化学式14で表示されることができる。
【0050】
【化14】
【0051】
化学式14においてnは8〜150であり、R
1はヒドロキシ基、置換又は非置換された環形成炭素数6以上30以下のアリール基、アルコキシ基、置換又は非置換された炭素数1以上20以下のアルキル基又は光開始反応基のうちの1つであり、複数個のR
1の中で少なくとも1つは光開始反応基であり、R
2はヒドロキシ基、置換又は非置換された環形成炭素数6以上30以下のアリール基、アルコキシ基、置換又は非置換された炭素数1以上20以下のアルキル基又は光開始反応基のうちの1つである。
【0052】
第2オリゴマーの各々は下記の化学式15で表示されることができる。
【0053】
【化15】
【0054】
化学式15においてmは46〜150であり、R
3はヒドロキシ基、置換又は非置換された環形成炭素数6以上30以下のアリール基、アルコキシ基、置換又は非置換された炭素数1以上20以下のアルキル基又は光開始反応基のうちの1つであり、複数個のR
3の中で少なくとも1つは光開始反応基であり、R
4はヒドロキシ基、置換又は非置換された環形成炭素数6以上30以下のアリール基、アルコキシ基、置換又は非置換された炭素数1以上20以下のアルキル基又は光開始反応基のうちの1つである。
【0055】
光開始反応基は下記の化学式16及び化学式17のうちのいずれか1つで表示されることができる。
【0056】
【化16】
【0057】
【化17】
【0058】
化学式17においてkは1〜10である。
【0059】
クロスリンカーの各々は下記の化学式18で表示されるモノマーを含むことができる。
【0060】
【化18】
【0061】
クロスリンカーは4−ビニールシクロヘキセンジオキサイド、シクロヘキセンビニールモノオキサイド、(3、4−エポキシシクロヘキシル)メチル3、4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、3、4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート、ビス(3、4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、3、4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2−(3、4−エポキシシクロヘキシル)−1、3−ジオキソランのうちのいずれか1つである。
【0062】
ハードコーティング層はシリコンナノ粒子をさらに含むことができる。
【0063】
ハードコーティング組成物はビスフェノール−A−エポキシ−シリコンブロック共重合体(bisphenol−A−epoxy−silicone block copolymer)をさらに含むことができる。
【0064】
光開始剤は互いに異なる波長範囲の光によって開始される第1光開始剤及び第2光開始剤を含むことができる。
【発明の効果】
【0065】
以上説明したように本発明によれば、ハードコーティング層の硬度が向上され、フレキシィビリティーが確保され、その結果、フレキシブル表示装置の外面を提供するウインドー部材は外部衝撃に損傷されなく、ベンディングされても損傷されない。さらに、互いに異なる波長の光を吸収する光開始剤を含むことによってハードコーティング層が十分に硬化されることができる。
【発明を実施するための形態】
【0067】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0068】
本明細書において、ある構成要素(又は領域、層、部分等)が他の構成要素“上にある”、“連結される”、又は“結合される”と言及される場合にそれは他の構成要素上に直接配置/連結/結合されることができるか、或いはこれらの間に第3の構成要素が配置されることもできることを意味する。
【0069】
また、図面において、構成要素の厚さ、比率、及び寸法は技術的内容の効果的な説明のために誇張されたものである。“及び/又は”は連関された構成が定義できる1つ以上の組合を全て含む。
【0070】
第1、第2等の用語は多様な構成要素を説明するために使用されるが、前記構成要素は前記用語によって限定されてはならない。前記用語は1つの構成要素を他の構成要素から区別する目的のみに使用される。例えば、本発明の権利範囲を逸脱しないながら、第1構成要素は第2構成要素と称され、類似に第2構成要素も第1構成要素と称されることができる。単数の表現は文脈の上に明確に異なりに表現しない限り、複数の表現を含む。
【0071】
また、“下に”、“下側に”、“上に”、“上側に”等の用語は図面に図示された構成の連関関係を説明するために使用される。前記用語は相対的な概念として図面に表示された方向を基準に説明される。
【0072】
“含む”等の用語は明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品又はこれらを組合したことが存在することを表現しようするものであり、1つ又はその以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部分品、又はこれらを組合したものの存在又は付加可能性を予め排除しないものとして理解されるべきである。
【0073】
図1Aは本発明の一実施形態によるフレキシブル表示装置DDの第1動作にしたがう斜視図である。
図1Bは本発明の一実施形態によるフレキシブル表示装置DDの第2動作にしたがう斜視図である。
図2Aは本発明の一実施形態によるフレキシブル表示装置DDの第1動作にしたがう断面図である。
図2Bは本発明の一実施形態によるフレキシブル表示装置DDの第2動作にしたがう断面図である。
【0074】
イメージIMが表示される表示面ISは第1方向軸DR1と第2方向軸DR2とが定義する面と平行である。表示面ISの法泉方向、即ちフレキシブル表示装置DDの厚さ方向は第3方向軸DR3が指示する。各部材の前面と背面は第3方向軸DR3によって区分される。しかし、第1〜第3方向軸DR1、DR2、DR3が指示する方向は相対的な概念として異なる方向に変換されることができる。以下、第1〜第3方向は第1〜第3方向軸DR1、DR2、DR3が指示する方向に同一な図面符号を参照する。
【0075】
図1A〜
図2Bはフレキシブル表示装置DDの一例としてフォルダブル表示装置を図示する。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、フレキシブル表示装置DDは所定の曲率を有するカーブドフレキシブル表示装置又は丸めることができるローラブルフレキシブル表示装置であってもよい。別に図示してはいないが、本発明のフレキシブル表示装置DDはテレビジョン、モニター等のような大型電子装置を始めとして、携帯電話、タブレット、自動車ナビゲーション、ゲーム機、スマートウォッチ等のような中小型電子装置等に使用されることができる。
【0076】
図1Aに図示されるようにフレキシブル表示装置DDの表示面ISは複数個の領域に区分される。フレキシブル表示装置DDはイメージIMが表示される表示領域DD−DA、表示領域DD−DAに隣接する非表示領域DD−NDAを含む。非表示領域DD−NDAはイメージが表示されない領域である。
図1AにはイメージIMの一例として花瓶を図示した。一例として、表示領域DD−DAは四角の形状である。非表示領域DD−NDAは表示領域DD−DAを囲む。但し、本発明はこれに制限されるものではなく、表示領域DD−DAの形状と非表示領域DD−NDAの形状とは相対的にデザインされてもよい。例えば,非表示領域DD−NDAは表示領域DD−DAの左側と右側に各々配置され、且つ、上側と下側に配置しないようにすることができる。もしくは、非表示領域DD−NDAは表示領域DD−DAの上側と下側に各々配置され、且つ、左側と右側に配置しないようにすることができる。
【0077】
図1A及び
図1Bに図示されるように、表示装置DDはベンディング軸BXに基づいて(on the basis of)ベンディングされるベンディング領域BA、ベンディングされない第1非ベンディング領域NBA1及び第2非ベンディング領域NBA2として定義される。第1非ベンディング領域NBA1の表示面ISと第2非ベンディング領域NBA2の表示面ISとが対向するように内側へベンディング(inner−bending)される。表示装置DDは使用者の操作に応じて表示面ISが外部に露出されるように外側へベンディング(outer−bending)されてもよい。
【0078】
本発明の一実施形態に係る表示装置DDは複数個のベンディング領域BAを含む。それだけではなく、使用者が表示装置DDを操作する形態に対応するようにベンディング領域BAが定義されることができる。例えば、ベンディング領域BAは
図1Bとは異なりに第1方向軸DR1に平行になるように定義されてもよく、対角線方向に定義されてもよい。ベンディング領域BAの面積は固定されるものではなく、ベンディング半径BR(
図2B参照)にしたがって決定される。
【0079】
図2A及び
図2Bに図示されるように、表示装置DDは表示パネルDP、タッチスクリーンTS、及びウインドー部材WMを含む。表示パネルDP、タッチスクリーンTS、及びウインドー部材WMの各々はフレキシブルな性質を有する。別に図示してはいないが、本発明の一実施形態に係る表示装置DDはウインドー部材WMと結合されて表示パネルDP及びタッチスクリーンTSを保護する保護部材をさらに含むことができる。本発明の一実施形態に係るタッチスクリーンTSは表示パネルDPの背面に配置されるか、或いはウインドー部材WMに一体化されてもよい。
【0080】
表示パネルDPは入力された映像データに対応するイメージIM(
図1A参照)を生成する。表示パネルDPは有機発光表示パネル、電気泳動表示パネル、エレクトロ・ウェッティング表示パネル等であり、その種類は制限されるものではない。以下の説明においては、有機発光表示パネルを例に説明する。有機発光表示パネルに対する詳細な説明は後述する。
【0081】
タッチスクリーンTSは外部入力の座標情報を獲得する。タッチスクリーンTSは表示パネルDPが提供するベース面上に配置される。本実施形態に係るタッチスクリーンTSは表示パネルと連続工程によって製造されることができる。
【0082】
タッチスクリーンTSは静電容量方式のタッチスクリーンである。しかし、タッチスクリーンTSは、これに制限されるものではなく、電磁気誘導方式のように、2つタイプのタッチ電極を含む他の方式のタッチスクリーンで代替されることができる。
【0083】
ウインドー部材WMは透明光学接着部材(Optically Clear Adhesive、OCA)によってタッチスクリーンTSと結合される。ウインドー部材WMはフレキシブルベース部材WM−BS、ベゼル層WM−BZ、及びハードコーティング層WM−HCを含む。ハードコーティング層WM−HCはフレキシブルベース部材WM−BSの前面に配置され、ベゼル層WM−BZはフレキシブルベース部材WM−BSの背面に配置される。なお、本発明の一実施形態においてはベゼル層WM−BZは省略されてもよい。
【0084】
フレキシブルベース部材WM−BSはプラスチックフィルム等を含む。フレキシブルベース部材WM−BSは単層又は多層構造を有し、その積層構造は制限されるものではない。
【0085】
ベゼル層WM−BZはフレキシブルベース部材WM−BSに部分的に重畳する。ベゼル層WM−BZは表示装置DDのベゼル領域、即ち非表示領域NDA(
図1A参照)を定義する。ベゼル層WM−BZは有色の有機層である。
【0086】
ハードコーティング層WM−HCは硬度が低いフレキシブルベース部材WM−BSを補完してウインドー部材WMの硬度を増加させる。以下、ハードコーティング層WM−HCに対する詳細な説明を、
図8〜
図11を参照してさらに詳細に行う。
【0087】
別に図示してはいないが、ウインドー部材WMはフレキシブルベース部材WM−BSの前面に配置された機能性コーティング層をさらに含むことができる。機能性コーティング層は指紋防止層、反射防止層等を含むことができる。
【0088】
図3は本発明の一実施形態によるフレキシブル表示パネルDPの斜視図である。
図4は本発明の一実施形態による画素PXの等価回路図である。以下、フレキシブル表示パネルDPは有機発光表示パネルDPとして説明される。有機発光表示パネルDPは平面上で表示領域DAと非表示領域NDAとを含む。有機発光表示パネルDPの表示領域DA及び非表示領域NDAはベゼル層WM−BZによって定義される表示装置DDの表示領域DD−DA及び非表示領域DD−NDAと必ず同一である必要はなく、有機発光表示パネルDPの構造/デザインにしたがって変更されてもよい。
【0089】
図3に図示されるように、有機発光表示パネルDPは表示領域DAに配置された複数個の画素PXを含む。
図3には、マトリックス状に配置された複数個の画素PXを図示したが、これに制限されるものではない。複数個の画素PXは非マトリックス状、例えばペンタイル状に配置されてもよい。
【0090】
図4ではi番目の走査ラインSLiとj番目のソースラインDLjとに接続された1つの画素PXijの等価回路を例示的に示した。別に図示してはいないが、複数個の画素PXは同一の等価回路を有することができる。
【0091】
画素PXijは少なくとも1つのトランジスタTR1、TR2、少なくとも1つのキャパシターCap、及び有機発光素子OLEDを含む。本実施形態に係る、2つのトランジスタTR1、TR2、及び1つのキャパシターCapを含む画素駆動回路を例示的に図示したが、画素駆動回路の構成はこれに制限されるものではない。
【0092】
有機発光素子OLEDのアノードは第2トランジスタTR2を通じて電源ラインPLへ印加された第1電源電圧ELVDDを受信する。有機発光素子OLEDのカソードは第2電源電圧ELVSSを受信する。第1トランジスタTR1はi番目の走査ラインSLiに印加された走査信号に応答してj番目のソースラインDLjへ印加されたデータ信号を出力する。キャパシターCapは第1トランジスタTR1から受信したデータ信号に対応する電圧を充電する。第2トランジスタTR2はキャパシターCapに格納された電圧に対応して有機発光素子OLEDに流れる駆動電流を制御する。
【0093】
図5は本発明の一実施形態による有機発光表示パネルDPの部分平面図である。
図6A及び
図6Bは本発明の一実施形態による有機発光表示パネルの部分断面図である。
図5は表示領域DA(
図3参照)の一部を図示する。
図6Aは
図4に図示された等価回路の第1トランジスタTR1及びキャパシターCapに対応する部分の断面を図示し、
図6Bは
図4に図示された等価回路の第2トランジスタTR2及び有機発光素子OLEDに対応する部分の断面を図示する。
【0094】
図5に図示されたように、有機発光表示パネルDPは第1方向軸DR1と第2方向軸DR2とが定義する平面上で複数個の発光領域PXA−R、PXA−G、PXA−Bと非発光領域NPXAとして定義される。
図5にはマトリックス状に配置された3つタイプの発光領域PXA−R、PXA−G、PXA−Bを例示的に図示した。3個タイプの発光領域PXA−R、PXA−G、PXA−Bには3個の互いに異なる色を発光する有機発光素子の各々が配置される。
【0095】
本発明の一実施形態に係る3個タイプの発光領域PXA−R、PXA−G、PXA−Bにはホワイトカラーを発光する有機発光素子の各々が配置されることができる。この時、3個タイプの互いに異なる色のカラーフィルタが3個タイプの発光領域PXA−R、PXA−G、PXA−Bの各々に重畳する。
【0096】
非発光領域NPXAは発光領域PXA−R、PXA−G、PXA−Bを囲む第1非発光領域NPXA−1及び第1非発光領域NPXA−1の境界を定義する第2非発光領域NPXA−2に区分される。第1非発光領域NPXA−1の各々に対応するサブ画素の駆動回路、例えばトランジスタTR1、TR2(
図4参照)又はキャパシターCap(
図4参照)が配置される。第2非発光領域NPXA−2に信号ライン、例えば走査ラインSLi(
図4参照)、ソースラインDLj(
図4参照)、電源ラインPL(
図4参照)が配置される。但し、これに制限されるものではなく、第1非発光領域NPXA−1と第2非発光領域NPXA−2とは互いに区分されないこともあり得る。
【0097】
別に図示してはいないが、本発明の一実施形態によれば、発光領域PXA−R、PXA−G、PXA−Bの各々は斜方形と類似な形状を有してもよい。本発明の一実施形態によると、反復的に配置された4個タイプの発光領域に4個の互いに異なる色を発光する有機発光素子の各々が配置される。
【0098】
本明細書においては、“発光領域で所定の色の光を放出する”ということは対応する発光素子で生成された光をそのまま放出することだけではなく、対応する発光素子で生成された光の色を変換して放出することを全て含む。
【0099】
図6A及び
図6Bに図示されるように、有機発光表示パネルDPはベース基板SUB、回路層DP−CL、有機発光素子層DP−OLED、及び薄膜封止層TFEを含む。回路層DP−CLは複数個の導電層と複数個の絶縁層を含み、有機発光素子層DP−OLEDは複数個の導電層と複数個の機能性有機層を含む。薄膜封止層TFEは複数個の有機層及び/又は複数個の無機層を含むことができる。
【0100】
ベース基板SUBはフレキシブルである基板にポリイミドのようなプラスチック基板、ガラス基板、メタル基板等を含むことができる。ベース基板SUB上に第1トランジスタTR1の半導体パターンAL1(以下、第1半導体パターン)及び第2トランジスタTR2の半導体パターンAL2(以下、第2半導体パターン)が配置される。第1半導体パターンAL1及び第2半導体パターンAL2は低温で形成されるアモルファスシリコンを含む。その他に第1半導体パターンAL1及び第2半導体パターンAL2は金属酸化物半導体を含む。別に図示してはいないが、ベース基板SUBの一面上に機能層がさらに配置されることができる。機能層はバリアー層又はバッファ層のうちの少なくともいずれか1つを含む。第1半導体パターンAL1及び第2半導体パターンAL2はバリアー層又はバッファ層上に配置される。
【0101】
ベース基板SUB上に第1半導体パターンAL1及び第2半導体パターンAL2をカバーする第1絶縁層12が配置される。第1絶縁層12は有機層及び/又は無機層を含む。特に、第1絶縁層12は複数個の無機薄膜を含む。複数個の無機薄膜はシリコンナイトライド層及びシリコン酸化物層を含む。
【0102】
第1絶縁層12上に第1トランジスタTR1の制御電極GE1(以下、第1制御電極)及び第2トランジスタTR2の制御電極GE2(以下、第2制御電極)が配置される。第1絶縁層12上にキャパシターCapの第1電極E1が配置される。第1制御電極GE1、第2制御電極GE2、及び第1電極E1は走査ラインSLi(
図4参照)と同一のフォトリソグラフィー工程によって製造される。つまり、第1電極E1は走査ラインと同一の物質で構成される。
【0103】
第1絶縁層12上に第1制御電極GE1及び第2制御電極GE2及び第1電極E1をカバーする第2絶縁層14が配置される。第2絶縁層14は有機層及び/又は無機層を含む。特に、第2絶縁層14は複数個の無機薄膜を含むことができる。複数個の無機薄膜はシリコンナイトライド層及びシリコン酸化物層を含む。
【0104】
第2絶縁層14上にソースラインDLj(
図4参照)及び電源ラインPL(
図4参照)が配置される。第2絶縁層14上に第1トランジスタTR1の入力電極SE1(以下、第1入力電極)及び出力電極DE1(以下、第1出力電極)が配置される。第2絶縁層14上に第2トランジスタTR2の入力電極SE2(以下、第2入力電極)及び出力電極DE2(以下、第2出力電極)が配置される。第1入力電極SE1はソースラインDLjから分岐される。第2入力電極SE2は電源ラインPLから分岐される。
【0105】
第2絶縁層14上にキャパシターCapの第2電極E2が配置される。第2電極E2はソースラインDLj及び電源ラインPLと同一のフォトリソグラフィー工程によって製造され、同一の物質で構成されることができる。
【0106】
第1入力電極SE1と第1出力電極DE1とは第1絶縁層12及び第2絶縁層14を貫通する第1貫通ホールCH1と第2貫通ホールCH2を通じて第1半導体パターンAL1との各々に連結される。第1出力電極DE1は第1電極E1に電気的に連結される。例えば、第1出力電極DE1は第2絶縁層14を貫通する貫通ホール(図示せず)を通じて第1電極E1に連結されることができる。第2入力電極SE2と第2出力電極DE2とは第1絶縁層12及び第2絶縁層14を貫通する第3貫通ホールCH3と第4貫通ホールCH4を通じて第2半導体パターンAL2との各々に連結される。一方、本発明の他の実施形態で第1トランジスタTR1と第2トランジスタTR2とはボトムゲート構造に変形されて実施されることができる。
【0107】
第2絶縁層14上に第1入力電極SE1、第1出力電極DE1、第2入力電極SE2、及び第2出力電極DE2をカバーする第3絶縁層16が配置される。第3絶縁層16は有機層及び/又は無機層を含む。特に、第3絶縁層16は平坦面を提供するために有機物質を含むことができる。
【0108】
第3絶縁層16上に画素定義膜PXL及び有機発光素子OLEDが配置される。画素定義膜PXLには開口部OPが定義される。画素定義膜PXLはその他の1つの絶縁層と同様である。
図6Bの開口部OPは
図5の開口部OP−R、OP−G、OP−Bに対応する。
【0109】
アノードAEは第3絶縁層16を貫通する第5貫通ホールCH5を通じて第2出力電極DE2に連結される。画素定義膜PXLの開口部OPはアノードAEの少なくとも一部分を露出させる。正孔制御層HCLは発光領域PXA−R、PXA−G、PXA−B(
図5参照)と非発光領域NPXA(
図5参照)に共通に形成される。正孔制御層HCL上に有機発光層EML、電子制御層ECLを順次的に生成する。正孔制御層HCLは少なくとも正孔輸送層を含み、電子制御層ECLは少なくとも電子輸送層を含む。以後、カソードCEを発光領域PXA−R、PXA−G、PXA−Bと非発光領域NPXAに共通に形成する。カソードCEの層構造にしたがって蒸着又はスパッタリングによって形成することができる。
【0110】
発光領域PXAは光が生成される領域として定義される。発光領域PXAは有機発光素子OLEDのアノードAE又は発光層EMLに対応するように定義される。
【0111】
カソードCE上に有機発光素子層DP−OLEDを封止する薄膜封止層TFEが配置される。薄膜封止層TFEは水分及び異物質から有機発光素子OLEDを保護する。
【0112】
薄膜封止層TFEは少なくとも2つの無機薄膜とその間に配置された有機薄膜を含む。無機薄膜は水分から有機発光素子OLEDを保護し、有機薄膜はほこり粒子のような異物質から有機発光素子OLEDを保護する。薄膜封止層TFEは交互に配置された複数個の無機薄膜と複数個の有機薄膜を含むことができる。
【0113】
図7A及び
図7Bは本発明の一実施形態による表示装置の断面図である。表示パネルDPは簡略的に図示した。
図7A及び
図7Bを参照して表示装置の共通点と差異点を説明する。
【0114】
図7Aに図示されるように、タッチスクリーンTSは第1導電層TS−CL1、第1絶縁層TS−IL1、第2導電層TS−CL2、及び第2絶縁層TS−IL2を含む。タッチスクリーンTSは表示パネルDP上に直接配置される。第1導電層TS−CL1及び第2導電層TS−CL2の各々は単層構造を有するか、或いは第3方向軸DR3に沿って積層される層構造を有する。多層構造の導電層は透明導電層と少なくとも1つの金属層とを含む。透明導電層はITO(indium tin oxide)、IZO(indium zinc oxide)、ZnO(zinc oxide)、ITZO(indium tin zinc oxide)、PEDOT、金属ナノワイヤ、グラフェンを含むことができる。金属層はモリブデン、銀、チタニウム、銅、アルミニウム、及びこれらの合金を含むことができる。
【0115】
第1導電層TS−CL1及び第2導電層TS−CL2の各々は複数個のパターンを含む。第1導電層TS−CL1は薄膜封止層TFE上に配置される。言い換えれば、薄膜封止層TFEがタッチスクリーンTSが配置されるベース面BSを提供する。第1絶縁層TS−IL1と第2絶縁層TS−IL2との各々は無機物層又は有機物層のうちの少なくとも1つを含む。
【0116】
図7Bに図示されるように、タッチスクリーンTS1は透明光学接着部材OCAによって表示パネルDPに結合される。タッチスクリーンTS1は第1導電層TS−CL1が配置されるフレキシブルベース部材TS−BSをさらに含む。
【0117】
図8は本発明の一実施形態によるウインドー部材WMの製造方法を示したフローチャートである。
図9A及び
図9Bは光開始剤の種類に応じた吸収波長を図示した図である。
図10は発明の一実施形態によるハードコーティング層の光硬化工程を図示する。
【0118】
図8を参照すれば、先ず、ハードコーティング組成物を準備する(S10)。ハードコーティング組成物は溶媒、第1オリゴマー、第2オリゴマー、クロスリンカー、及び光開始剤を含む。本明細書においては、ハードコーティング組成物の溶媒を除外した後に残る成分として、即ち第1オリゴマー、第2オリゴマー、クロスリンカー、及び光開始剤を全て含むものとして、“ハードコーティング固形分”が定義される。
【0119】
溶媒はケトン系列溶媒又はエーテル系列溶媒を含むことができる。溶媒はケトン系列溶媒として、メチルエチルケトン(methyl ethyl ketone)、アセトフェノン(acetophenone)、シクロペンタノン(cyclopentanone)、エチルイソプロパノールケトン(ethyl Isopropyl ketone)、2−ヘキサノン(2−Hexanone)、イソホロン(isophorone)、メシチル酸化物(Mesityl oxide)、メチルイソブチルケトン(Methyl isobutyl ketone)、3−メチル−2−ペンタノン(3−methyl−2−pentanone)、2−ペンタノン(2−pentanone)、及び3−ペンタノン(3−pentanone)等を含むことができる。溶媒はエーテル系列溶媒として、シクロペンチルメチルエーテル(CPME:cyclopentyl methyl ether)、ジエチレングリコールジエチルエーテル(diethylene glycol diethyl ether)、ジメトキシエタン(dimethoxymethane)、メチルtert−ブチルエーテル(methyl tert−butyl ether)、2−(2−メトキシエトキシ)エタノール(2−(2−methoxyethoxy)ethanol)、及びプロピレングリコールエーテル(propylene glycol ether)等を含むことができる。
【0120】
第1オリゴマーは第2オリゴマーと異なる分子量を有する。即ち、ハードコーティング組成物は分子量によって区分される2種のオリゴマーを含む。第1オリゴマーの分子量は2000〜6000であり、第2オリゴマーの分子量は10000〜30000である。第1オリゴマーはハードコーティング層の硬度を増加させ、第2オリゴマーはハードコーティング層のフレキシィビリティーを増加させる。これに対する詳細な説明は後述する。
【0121】
本発明の一実施形態に係る第1オリゴマーの分子量は互いに実質的に同一である。例えば、第1オリゴマーの分子量は4000である。この時、第1オリゴマーの分子量の偏差は−5%〜+5%である。
【0122】
本発明の一実施形態に係る第1オリゴマーは分子量が異なるグループを含むことができる。例えば、第1オリゴマーではその一部は2000の分子量を有し、他の一部は4000の分子量を有する。この時、グループに関わらず、第1オリゴマーの分子量の偏差は−5%〜+5%である。
【0123】
第1オリゴマーの各々は下記の化学式1で表示される。
【0125】
化学式1においてnは8〜30である。第1オリゴマーの各々が分子量2000を有する場合、nは8〜10であり、第1オリゴマーの各々が分子量4000を有する場合、nは18〜20であり、第1オリゴマーの各々が分子量6000を有する場合、nは28〜30である。分子量にしたがうnの範囲は後述するように、後述するR
1とR
2の種類にしたがって可変される。
【0126】
R
1はヒドロキシ基、置換又は非置換された環形成炭素数6以上30以下のアリール基、アルコキシ基、置換又は非置換された炭素数1以上20以下のアルキル基又は光開始反応基のうちの1つである。化学式1において星印で示される箇所は他の反復単位と連結される部分を意味する。
【0127】
複数個のR
1の中で少なくとも1つは光開始反応基である。本明細書においては、“光開始反応基”というのは光が照射された時、反応が生じる部分を含む反応基を意味する。例えば、具体的に後述する光開始剤が光によってラジカル又は陽イオン(cation)を形成し、光開始反応基はラジカル又は陽イオンによって反応が生じる部分を含む反応基を意味する。
【0128】
光開始反応基は、例えばエポキシ基又はアルケニル基を含む置換基で置換されたエーテル基、エポキシ基又はアルケニル基を含む置換基で置換された炭素数1以上20以下のアルキル基、又は置換又は非置換された炭素数1以上20以下のアルケニル基を含むことができる。
【0129】
光開始反応基は下記の化学式2及び化学式3のうちのいずれか1つである。
【0132】
化学式3においてkは1〜10である。
【0133】
R
2はヒドロキシ基、置換又は非置換された環形成炭素数6以上30以下のアリール基、アルコキシ基、置換又は非置換された炭素数1以上20以下のアルキル基又は光開始反応基のうちの1つである。
【0134】
第2オリゴマーの各々は下記の化学式1で表示される。本発明の一実施形態で第2オリゴマーの分子量は互いに実質的に同一である。例えば、第2オリゴマーの分子量は10000である。この時、第2オリゴマーの分子量偏差は−5%〜+5%である。
【0135】
本発明の一実施形態に係る第2オリゴマーは分子量が異なるグループを含む。例えば、第2オリゴマーの一部は10000の分子量を有し、他の一部は12000の分子量を有する。この時、グループに関わらず、第2オリゴマーの分子量偏差は−5%〜+5%である。
【0137】
化学式4においてmは36〜150である。さらに望ましくは化学式4においてはmは46〜150である。例えば、第2オリゴマーの各々が分子量10000を有する場合、mは46〜50である。分子量に応じてmの範囲は、後述するように、後述するR
3とR
4の種類にしたがって可変する。
【0138】
R
3はヒドロキシ基、置換又は非置換された環形成炭素数6以上30以下のアリール基、アルコキシ基、置換又は非置換された炭素数1以上20以下のアルキル基又は光開始反応基のうちの1つである。複数個のR
3の中で少なくとも1つは光開始反応基である。R
4はヒドロキシ基、置換又は非置換された環形成炭素数6以上30以下のアリール基、アルコキシ基、置換又は非置換された炭素数1以上20以下のアルキル基又は光開始反応基のうちの1つである。
【0139】
第1オリゴマーと第2オリゴマーは同一のモノマーを利用して他の分子量を有するように合成される。第1オリゴマーと第2オリゴマーの各々は下記の化学式5で表示されるモノマーによって合成される。
【0141】
化学式5においてR
10は化学式1のR
1及び化学式4のR
3に対応する。化学式5でR
20は化学式1のR
2及び化学式4のR
4に対応する。R
30及びR
40はヒドロキシ基、アルコキシ基である。ここで、アルコキシ基は−ORで表示され、Rは炭素数1以上20以下のアルキル基である。
【0142】
化学式5のモノマーを触媒反応させて第1オリゴマーと第2オリゴマーの各々を合成する。反応時間を制御して第1及び第2オリゴマーの分子量を調節することができる。触媒はBa(OH)
2・H
2Oを含む。触媒の種類はこれに制限されるものではなく、ゾル−ゲル反応が起こることができる触媒物質であれば良い。触媒反応は溶液状態で発生する。溶媒はハードコーティング組成物の溶媒と実質的に同一である。
【0143】
本明細書においては、クロスリンカーは架橋反応でオリゴマーを連結すればよく、その種類は制限されるものではない。本発明の一実施形態に係るクロスリンカーは脂肪環族ジエポキシカルボキシレート(alicyclic diepoxy carboxylate)を含むことができる。本発明の一実施形態に係るクロスリンカーは4−ビニールシクロヘキセンジオキサイド、シクロヘキセンビニールモノオキサイド、(3、4−エポキシシクロヘキシル)メチル3、4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、3、4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート、ビス(3、4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、3、4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2−(3、4−エポキシシクロヘキシル)−1、3−ジオキソランのうちの1つである。
【0144】
本実施形態でクロスリンカーは下記の化学式6で表示されるモノマー又は下記の化学式6で表示されるモノマーから合成されたオリゴマー(以下、クロスリンキングオリゴマー)を含むことができる。
【0146】
クロスリンキングオリゴマーは下記の化学式7で表示される。化学式7においてhは1〜7である。
【0148】
クロスリンキングオリゴマーは触媒反応を利用して合成する。上述した第1オリゴマー又は第2オリゴマーと類似な方法で合成することができる。クロスリンキングオリゴマーは第1オリゴマー及び第2オリゴマーと独立的に合成するか、或いは第1オリゴマー又は第2オリゴマーが合成された溶液にクロスリンキングモノマーを投入して連続的に合成することもできる。
【0149】
光開始剤は自由ラジカル型開始剤(free radical type initiator)と陽イオン型開始剤(cationic type initiator)とのうちの少なくとも1つを含む。光開始剤は異なる波長の光によって開始される2種以上の光開始剤を含む。例えば、光開始剤は短波長の開始剤及び長波長の開始剤を含む。
【0150】
図9Aに図示されるように、光開始剤は互いに異なる波長帯の紫外線によって活性化される第1光開始剤及び第2光開始剤を含む。第1光開始剤は第1グラフGP1の波長−光吸収率を有し、第2光開始剤は第2グラフGP2の波長−光吸収率を有する。
【0151】
図9Bに図示されるように、光開始剤は互いに異なる波長帯の可視光線によって活性化される第1光開始剤、第2光開始剤、及び第3光開始剤を含む。第1光開始剤は第1グラフGP10の波長−光吸収率を有し、第2光開始剤は第2グラフGP20の波長−光吸収率を有し、第3光開始剤は第3グラフGP30の波長−光吸収率を有する。
【0152】
本発明の一実施形態に係るハードコーティング造成物は製造されるハードコーティング層のフレキシィビリティーを向上させるために第1添加剤をさらに含むことができる。第1添加剤はビスフェノール−A−エポキシ−シリコンブロック共重合体(bisphenol−A−epoxy−silicone block copolymer)を含む。ビスフェノール−A−エポキシ−シリコンブロック共重合体(bisphenol−A−epoxy−silicone block copolymer)は線型構造を有し、第1オリゴマー、第2オリゴマー又はクロスリンカー、又はこれらの間に結合されてハードコーティング高分子の分子構造を長く開く機能を有する。したがって、ハードコーティング層のフレキシィビリティーをさらに向上することができる。
【0153】
本発明の一実施形態に係るハードコーティング造成物は製造されるハードコーティング層の硬度を向上させるために第2添加剤をさらに含むことができる。第2添加剤はシリコンナノ粒子を含むことができる。シリコンナノ粒子は成形されたハードコーティング高分子の間に配置されてハードコーティング層の硬度をさらに向上させることができる。
【0154】
ハードコーティング組成物はハードコーティング固形分100wt%に対して、6wt%〜36wt%の第1オリゴマー、36wt%〜70wt%の第2オリゴマー、10wt%〜20wt%のクロスリンカー及び1wt%〜4wt%の光開始剤を含む。ハードコーティング組成物はハードコーティング層のフレキシィビリティーと硬度を制御するために添加剤をさらに含むことができる。ハードコーティング組成物はハードコーティング固形分100wt%に対して0wt%〜4wt%の第1添加剤と第2添加剤との各々をさらに含む。
【0155】
次に、
図8に図示されるように、準備されたハードコーティング組成物をフレキシブルベース部材WM−BS(
図2A及び
図2B参照)の一面に塗布する(S20)。ロールツーロールコーティング、スピンコーティング、スリットコーティング、バーコーティング、インクジェットプリンティング等の方法で塗布することができる。フレキシブルベース部材WM−BSの一面上に塗布されたハードコーティング組成物は予備ハードコーティング層を形成する。
【0156】
次に、予備ハードコーティング層を乾燥させる(S30)。予備ハードコーティング層の溶媒を除去する。乾燥された予備ハードコーティング層は所定の粘性を有する混合物層である。本発明の一実施形態においては、乾燥された予備ハードコーティング層は第1オリゴマー、第2オリゴマー、クロスリンカー及び光開始剤を含む。それだけでなく、乾燥された予備ハードコーティング層は第1添加剤と第2添加剤とのうちの少なくともいずれか1つをさらに含むことができる。
【0157】
以後、乾燥された予備ハードコーティング層を光硬化させる(S40)。光が照射されることによって光開始剤によって光反応が開始される。光開始剤によって第1オリゴマー、第2オリゴマー、クロスリンカーの各々の光開始反応基が活性化される。クロスリンカーの光開始反応基と第1及び第2オリゴマーの光開始反応基が結合する。クロスリンカーが第1オリゴマーと第2オリゴマーとを連結することによってハードコーティング高分子が合成される。即ち、
図2A及び
図2Dに図示されたハードコーティング層WM−HCが形成される。
【0158】
別に図示してはいないが、光硬化されたハードコーティング層を安定化させるためにハードコーティング層をエージングすることができる。1次的に常温でエージングし、2次的に高温/高湿(例えば、60°/93%)でエージングする。
【0159】
ハードコーティング組成物が互いに異なる波長帯の紫外線によって活性化される複数個タイプの光開始剤を含む場合、
図10に図示されるように、複数個の光源L10、L20を利用して異なる波長帯の光を順次的に照射する。
図10は2つの光源L10、L20を例示的に図示している。
【0160】
予備ハードコーティング層PHCに第1光源L10から第1波長帯の光が照射されることにより、複数個タイプの光開始剤の中のいずれか1つのタイプの光開始剤によって第1オリゴマー、第2オリゴマー及びクロスリンカーが部分的に化学結合される。以後、予備ハードコーティング層PHCに第2光源L20から第2波長帯の光が照射されることにより、クロスリンカーが2次的に第1オリゴマーと第2オリゴマーとを連結する。
【0161】
複数個タイプの光開始剤とそれに対応する複数個の光源を利用して光硬化させることによって、ハードコーティング高分子が均一に合成される。光の波長に応じて光が到達する深さが異なることから、予備ハードコーティング層PHCの厚さと関わらず、均一に光を照射することができる。
【0162】
図11は本発明の一実施形態によるハードコーティング高分子と比較例によるハードコーティング高分子を図示する。
【0163】
図11に図示された第1高分子P1は本発明の一実施形態により製造されたハードコーティング層の一部分に該当する。第1高分子P1は第1オリゴマーHCO1、第1オリゴマーHCO1より分子量が大きい第2オリゴマーHCO2、及びこれらを連結するクロスリンカーCRを含む。第1高分子P1は
図8〜
図10を参照して説明した方法によって合成された。
【0164】
本発明の一実施形態によるハードコーティング層は下記の化学式8のような高分子を含む。
【0166】
化学式8においてXは化学式1で表示されたようなハードコーティングオリゴマーであり、Yは化学式4で表示されたようなハードコーティングオリゴマーであり、Zは化学式6で表示されるモノマー又は化学式7で表示されるクロスリンキングオリゴマーである。ハードコーティング層は10μm〜100μmの厚さを有する。ハードコーティング層は単位面積(1mm
2)当50000〜100000の分子量を有する。
【0167】
ハードコーティング層の厚さはフレキシブルベース部材WM−BS(
図2A及び
図2B参照)の厚さに応じて異なる。上述したハードコーティング層の厚さは20μm〜100μm厚さのフレキシブルベース部材WM−BSに適用されることができる。
【0168】
本発明の一実施形態によるハードコーティング層は下記の化学式9及び化学式10で表示される高分子のうちの少なくとも1つ以上をさらに含むことができる。
【0171】
化学式9及び化学式10においてXは化学式1で表示されるハードコーティングオリゴマーであり、Yは化学式4で表示されるハードコーティングオリゴマーであり、Zは化学式6で表示されるモノマー又は化学式7で表示されるクロスリンキングオリゴマーである。
【0172】
図11に図示された第2高分子P2は比較例によるハードコーティング層の一部分に該当する。第2高分子P2はハードコーティングオリゴマーHCOとこれらを連結するクロスリンリンカーCRとを含む。第2高分子P2は化学式1又は化学式4で表示される1種のハードコーティングオリゴマーとそれを連結する化学式6で表示されるモノマー又は化学式7で表示されるクロスリンキングオリゴマーとを含む。言い換えれば、第2高分子P2は化学式9又は化学式10で表示される高分子のみを含む。
【0173】
本実施形態によるハードコーティング層は所定の硬度を維持し、フレキシィビリティーを向上させることができる。下記の表1を参照してさらに詳細に説明する。本明細書で説明される表面硬度は、互いに異なる鉛筆硬度のテストペンを使用して1kgfの荷重でハードコーティング層を描いた時のスクラッチの発生の可否により評価した。また、押し硬度については、互いに異なる鉛筆硬度のテストペンを使用して1kgfの荷重でハードコーティング層を加圧した時に所定深さ以上で加圧されたか否かにより評価した。スチフネスベンディングについては、所定の曲率半径に表示パネルをベンディングした際にこれを維持するために必要な力の強さを測定した。ハードコーティング層の組成を除き、他の条件については同様の条件で作成されたサンプルを用いてベンディングスチフネスを測定した。また、
図2Aに図示された形態の表示装置における表面硬度、押し硬度、ベンディングスチフネスを評価した。
【0175】
比較例1〜比較例7のハードコーティング層の各々は下記の化学式11のモノマーで合成されたハードコーティングオリゴマーと下記の化学式12のモノマーとを利用して合成された。
【0176】
比較例1〜比較例7のハードコーティング層は1種のオリゴマーを含み、互いに異なる分子量のオリゴマーを含む。比較例1〜比較例7のハードコーティング層は各々のハードコーティング固形分100wt%に対してハードコーティングオリゴマー88.5wt%、クロスリンカー10wt%及び陽イオン型開始剤(cationic type initiator)1.5wt%を含むハードコーティング固形分で合成された。その他のハードコーティング層の製造条件は同一である。
【0180】
実施例1〜実施例3のハードコーティング層の各々は化学式11のモノマーで合成された第1オリゴマー、化学式11のモノマーで合成された第2オリゴマー、及び化学式12のモノマーを利用して合成された。
【0181】
実施例1〜実施例3のハードコーティング層の各々は2種のオリゴマーを含み、第1オリゴマーの分子量が互いに異なる。実施例1〜実施例3のハードコーティング層は各々のハードコーティング固形分100wt%に対してハードコーティングオリゴマー88.5wt%、クロスリンカー10wt%及び陽イオン型開始剤(cationic type initiator)1.5wt%を含むハードコーティング固形分で合成された。その他のハードコーティング層の製造条件は同一である。実施例1〜実施例3各々のハードコーティングオリゴマーは50:50の比率の第1オリゴマーと第2オリゴマーを含む。
【0182】
XRD分析法(X−ray Diffraction Analysis)によってハードコーティング層に含まれたオリゴマーを確認することができる。オリゴマーの分子量に応じてスペクトルのピークが異なることにより、オリゴマーを確認することができる。
【0183】
比較例1〜7によれば、分子量が小さいオリゴマーを含むハードコーティング層は硬度が高いが、フレキシィビリティーが低く、分子量が大きいオリゴマーを含むハードコーティング層はフレキシィビリティーが高いが、硬度が低い。硬度とフレキシィビリティーとのうちのいずれか1つの特性のみしか満足させることができないことから、フレキシブルウインドーのハードコーティング層として不適合である。
【0184】
実施例1〜3によれば、比較例1〜7に対して高い硬度を維持しながら、相対的に高いフレキシィビリティーを有する。より具体的には、実施例1〜3は、比較例1〜3と同等の硬度を持ち、比較例1〜3に比べてフレキシィビリティーが高い。さらに、実施例1〜3は、比較例4〜7に比べて硬度が高く、比較例4〜7と同等のフレキシィビリティーを持つ。したがって、フレキシブル表示装置がベンディングされても、ハードコーティング層は損傷されなく、外部衝撃に損傷されない。
【0185】
下記の表3で示したハードコーティング層は他の比率の第1オリゴマーと第2オリゴマーとを含む。
【0187】
実施例4〜実施例6のハードコーティング層の各々は化学式11のモノマーで合成された第1オリゴマー、化学式11のモノマーで合成された第2オリゴマー、及び化学式12のモノマーを利用して合成された。
【0188】
実施例4〜実施例6のハードコーティング層の各々はハードコーティング固形分100wt%に対してハードコーティングオリゴマー88.5wt%、クロスリンカー10wt%及び陽イオン型開始剤(cationic type initiator)1.5wt%を含むハードコーティング固形分で合成された。その他のハードコーティング層の製造条件は同一である。実施例4〜実施例6の各々のハードコーティングオリゴマーは平均分子量4000の第1オリゴマー及び平均分子量10000の第2オリゴマーを含む。
【0189】
第1オリゴマーと第2オリゴマーとの比率は50:50〜20:80の範囲を有する。第1オリゴマーと第2オリゴマーとの比率を調節することによって硬度とフレキシィビリティーとを制御することができる。
【0190】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。