(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記(B)芳香族ポリマレイミド化合物の反応性二重結合に対して、前記(C)ポリオルガノシロキサンの前記官能基が1mol%〜20mol%となる量で前記(C)ポリオルガノシロキサンを含む、請求項1に記載の熱硬化性樹脂組成物。
前記(A)ポリアルケニルフェノール樹脂を100質量部としたとき、前記(B)芳香族ポリマレイミド化合物を50〜350質量部含む請求項1〜3のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
前記(A)ポリアルケニルフェノール樹脂100質量部に対して、前記(D)ポリオルガノシロキサンと芳香族ポリマレイミド化合物の付加物を0.1〜1500質量部含む、請求項6又は7のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
前記(B)芳香族ポリマレイミド化合物と、前記(C)ポリオルガノシロキサンとを反応させて(D)ポリオルガノシロキサンと芳香族ポリマレイミド化合物の付加物を合成し、前記(D)ポリオルガノシロキサンと芳香族ポリマレイミド化合物の付加物を前記(A)ポリアルケニルフェノール樹脂を含む組成物と混合することを含む、請求項1〜10のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
低弾性化及び金属への高密着化には、それぞれの効果を引き出す添加剤の添加が必要となり、煩雑になるだけでなく成形性に問題が出る場合があった。また、特許文献1では、ポリオルガノシロキサンとポリマレイミド化合物とが反応しないために硬化が遅くなり、成形時にこれらの成分がブリードアウトすることで成形後の離型性及び製品外観が悪化するおそれがあった。
【0009】
上述の現状に鑑みて、本発明の目的は、低弾性であり金属への密着性が向上した硬化物を与える、簡便で成形性にも影響の出ない熱硬化性樹脂組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
発明者等は上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、アミノ基、ヒドロキシアルキル基、及びメルカプト基からなる群より選択される少なくとも1種の官能基を有し、官能基当量が400〜8000であるポリオルガノシロキサンを含む熱硬化性樹脂組成物を用い、それらの反応混合物を得ることで、硬化物において低弾性化を実現できるだけでなく、従来添加剤を添加しないと成し得なかった金属との高い密着性も実現できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、本発明は以下の実施形態を含む。
[1]
(A)分子内に少なくとも2つのフェノール骨格を有し、かつ分子内のフェノール骨格を形成する芳香環の一部又は全部に式(1)で表される2−アルケニル基が結合しているポリアルケニルフェノール化合物を含むポリアルケニルフェノール樹脂、
(B)芳香族ポリマレイミド化合物、及び
(C)アミノ基、ヒドロキシアルキル基、及びメルカプト基からなる群より選択される少なくとも1種の官能基を有し、官能基当量が400〜8000であるポリオルガノシロキサン
を含む熱硬化性樹脂組成物。
【化1】
(式(1)において、R
1、R
2、R
3、R
4及びR
5はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数5〜10のシクロアルキル基、又は炭素数6〜12のアリール基を表す。式(1)の*は、芳香環を構成する炭素原子との結合部を表す。)
[2]
前記(B)芳香族ポリマレイミド化合物の反応性二重結合に対して、前記(C)ポリオルガノシロキサンの前記官能基が1mol%〜20mol%となる量で前記(C)ポリオルガノシロキサンを含む、[1]に記載の熱硬化性樹脂組成物。
[3]
前記(C)ポリオルガノシロキサンの官能基当量が400〜6000である、[1]又は[2]のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
[4]
前記(A)ポリアルケニルフェノール樹脂を100質量部としたとき、前記(B)芳香族ポリマレイミド化合物を50〜350質量部含む[1]〜[3]のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
[5]
(G)カップリング剤をさらに含む、[1]〜[4]のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
[6]
(A)分子内に少なくとも2つのフェノール骨格を有し、かつ分子内のフェノール骨格を形成する芳香環の一部又は全部に式(1)で表される2−アルケニル基が結合しているポリアルケニルフェノール化合物を含むポリアルケニルフェノール樹脂、及び
(D)ポリオルガノシロキサンと芳香族ポリマレイミド化合物の付加物を含む熱硬化性樹脂組成物であって、前記(D)ポリオルガノシロキサンと芳香族ポリマレイミド化合物の付加物が(B)芳香族ポリマレイミド化合物、及び(C)アミノ基、ヒドロキシアルキル基、及びメルカプト基からなる群より選択される少なくとも1種の官能基を有し、官能基当量が400〜8000であるポリオルガノシロキサンの反応生成物である熱硬化性樹脂組成物。
【化2】
(式(1)において、R
1、R
2、R
3、R
4及びR
5はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数5〜10のシクロアルキル基、又は炭素数6〜12のアリール基を表す。式(1)の*は、芳香環を構成する炭素原子との結合部を表す。)
[7]
前記(D)ポリオルガノシロキサンと芳香族ポリマレイミド化合物の付加物が式(3)又は(4)に表される化合物である[6]に記載の熱硬化性樹脂組成物。
【化3】
【化4】
(式(3)及び式(4)において、R
10は芳香族ポリマレイミド化合物から1つのマレイミド基を除いた残基又はその誘導体を表し、R
11はアミノ基、ヒドロキシアルキル基、及びメルカプト基からなる群より選択される少なくとも1種の官能基を表し、R
14はR
11で示される前記官能基から1つの水素原子を除いた二価基を表し、R
12及びR
13はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基又はアリール基を表す。pは、1〜100の整数である。)
[8]
前記(A)ポリアルケニルフェノール樹脂100質量部に対して、前記(D)ポリオルガノシロキサンと芳香族ポリマレイミド化合物の付加物を0.1〜1500質量部含む、[6]又は[7]のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
[9]
前記(A)ポリアルケニルフェノール樹脂が式(2)−1及び式(2)−2に示す構造単位を有するポリアルケニルフェノール化合物であり、式(2)−1に示す構造単位の一分子あたりの平均数をm、式(2)−2に示す構造単位の一分子あたりの平均数をnとしたときに、mは1.1〜35の実数、m+nは1.1〜35の実数、nは0〜1.5mとなる実数である、[1]〜[8]のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
【化5】
(式(2)−1及び式(2)−2において、R
6はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、又は炭素数1〜5のアルコキシ基を表し、R
7はそれぞれ独立に式(1)で表される2−アルケニル基を表す。R
6及びR
7は各フェノール骨格単位で同じでもよく異なっていてもよい。Qはそれぞれ独立に式−CR
8R
9−で表されるアルキレン基、炭素数5〜10のシクロアルキレン基、芳香環を有する二価の有機基、脂環式縮合環を有する二価の有機基、又はこれらを組み合わせた二価の有機基を表し、R
8及びR
9はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数2〜6のアルケニル基、炭素数5〜10のシクロアルキル基、又は炭素数6〜12のアリール基を表す。
[10]
(F)充填材をさらに含む[1]〜[9]のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
[11]
前記(B)芳香族ポリマレイミド化合物と、前記(C)ポリオルガノシロキサンとを反応させて(D)ポリオルガノシロキサンと芳香族ポリマレイミド化合物の付加物を合成し、前記(D)ポリオルガノシロキサンと芳香族ポリマレイミド化合物の付加物を前記(A)ポリアルケニルフェノール樹脂を含む組成物と混合することを含む、[1]〜[10]のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物の製造方法。
[12]
[1]〜[11]のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物の硬化物。
[13]
[1]〜[11]のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物の硬化物と金属材料とが接合された構造体。
[14]
[1]〜[11]のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物を含む半導体用封止材。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、成形時のブリードアウト、成形後の離型性の悪化、及び製品外観の悪化を抑制しながら、硬化物の低弾性化及び金属への密着性向上が可能である。すなわち、本発明により、低弾性であり金属への密着性に優れた硬化物を与える熱硬化性樹脂組成物を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に本発明について詳細に説明する。
【0014】
本発明の一実施態様の熱硬化性樹脂組成物は、(A)ポリアルケニルフェノール樹脂、(B)芳香族ポリマレイミド化合物、及び(C)(B)アミノ基、ヒドロキシアルキル基、及びメルカプト基から選択される少なくとも1種の官能基を有し、官能基当量が400〜8000であるポリオルガノシロキサンを含有する。別の実施態様の熱硬化性樹脂組成物は、(A)ポリアルケニルフェノール樹脂、及び(D)ポリオルガノシロキサンと芳香族ポリマレイミド化合物の付加物を含有する。
【0015】
(A)ポリアルケニルフェノール樹脂
ポリアルケニルフェノール樹脂は、分子内に少なくとも2つのフェノール骨格を有し、かつ分子内のフェノール骨格を形成する芳香環の一部又は全部に式(1)で表される2−アルケニル基が結合しているポリアルケニルフェノール化合物を含む樹脂である。
【0017】
式(1)において、R
1、R
2、R
3、R
4及びR
5はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数5〜10のシクロアルキル基、又は炭素数6〜12のアリール基である。式(1)の*は、芳香環を構成する炭素原子との結合部を表す。
【0018】
式(1)におけるR
1、R
2、R
3、R
4及びR
5を構成する炭素数1〜5のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基等を挙げることができる。炭素数5〜10のシクロアルキル基の具体例としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基、シクロヘプチル基等を挙げることができる。炭素数6〜12のアリール基の具体例としては、フェニル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基、ビフェニル基、ナフチル基等を挙げることができる。式(1)で表される2−アルケニル基はアリル基、すなわちR
1、R
2、R
3、R
4及びR
5が全て水素原子であることが好ましい。
【0019】
ポリアルケニルフェノール樹脂を構成する化合物の基本骨格としては、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、トリフェニルメタン型フェノール樹脂、フェノールアラルキル樹脂、ビフェニルアラルキルフェノール樹脂、フェノール−ジシクロペンタジエン共重合体樹脂等の公知のフェノール樹脂の骨格が挙げられる。ポリアルケニルフェノール樹脂において、フェノール骨格を形成する全芳香環のうち40〜100%、60〜100%、又は80〜100%の芳香環に2−アルケニル基が結合されていることが好ましい。中でも下記式(2)−1及び式(2)−2に示す構造単位を有するポリアルケニルフェノール化合物を含むポリアルケニルフェノール樹脂を好ましく使用することができる。
【0021】
式(2)−1及び式(2)−2に示す構造単位は、ポリアルケニルフェノール樹脂に含まれるポリアルケニルフェノール化合物を構成するフェノール骨格単位であり、これらのフェノール骨格単位の結合順序は特に限定されない。式(2)−1及び式(2)−2において、R
6はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、又は炭素数1〜5のアルコキシ基であり、R
7はそれぞれ独立に式(1)で表される2−アルケニル基である。R
6及びR
7は各フェノール骨格単位で同じでもよく異なっていてもよい。Qはそれぞれ独立に式−CR
8R
9−で表されるアルキレン基、炭素数5〜10のシクロアルキレン基、芳香環を有する二価の有機基、脂環式縮合環を有する二価の有機基、又はこれらを組み合わせた二価の有機基であり、R
8及びR
9はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数2〜6のアルケニル基、炭素数5〜10のシクロアルキル基、又は炭素数6〜12のアリール基である。式(2)−1に示す構造単位の一分子あたりの平均数をm、式(2)−2に示す構造単位の一分子あたりの平均数をnとしたときに、mは1.1〜35の実数、m+nは1.1〜35の実数、nは0〜1.5mの実数である。(m+n)はゲル濾過クロマトグラフィー(GPC)を用いて、mとnの比は
1H−NMRを用いてそれぞれ測定が可能である。
【0022】
R
6を構成する炭素数1〜5のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基等を挙げることができる。炭素数1〜5のアルコキシ基の具体例としてはメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基、n−ペントキシ基等が挙げられる。
【0023】
Qを構成する炭素数5〜10のシクロアルキレン基の具体例としてはシクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、メチルシクロヘキシレン基、シクロヘプチレン基等を挙げることができる。芳香環を有する二価の有機基の具体例として、フェニレン基、トリレン基、ナフチレン基、ビフェニレン基、フルオレニレン基、アントラニレン基、キシリレン基、4,4−メチレンジフェニル基等を挙げることができる。芳香環を有する二価の有機基の炭素数は6〜20又は6〜14とすることができる。脂環式縮合環を有する二価の有機基の具体例として、ジシクロペンタジエニレン基等を挙げることができる。脂環式縮合環を有する二価の有機基の炭素数は7〜20又は7〜10とすることができる。R
8及びR
9において、炭素数1〜5のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基等を挙げることができ、炭素数2〜6のアルケニル基の具体例としてはビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等を挙げることができ、炭素数5〜10のシクロアルキル基の具体例としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基、シクロヘプチル基等を挙げることができ、炭素数6〜12のアリール基の具体例としては、フェニル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基、ビフェニル基、ナフチル基等を挙げることできる。Qがジシクロペンタジエニレン基、フェニレン基、メチルフェニレン基及びビフェニレン基であることが、硬化性樹脂混合物又は硬化性樹脂組成物としたときに硬化物の機械強度が高い点で好ましい。ポリアルケニルフェノール樹脂の粘度が低く芳香族ポリマレイミド化合物との混合に有利であることから、Qが−CH
2−であることが好ましい。
【0024】
mは1.1〜35の実数であり、好ましくは2〜30の実数であり、より好ましくは3〜10の実数である。mが1.1以上であれば、硬化性樹脂混合物又は硬化性樹脂組成物の硬化物を高温環境に置いたときの熱分解開始温度が適切であり、35以下であれば、硬化性樹脂混合物又は硬化性樹脂組成物の粘度が成型時の加工に好適な範囲となる。
【0025】
m+nは1.1〜35の実数であり、好ましくは2〜30の実数であり、より好ましくは3〜10の実数である。m+nが1.1以上であれば、硬化性樹脂混合物又は硬化性樹脂組成物の硬化物を高温環境に置いたときの熱分解開始温度が適切であり、35以下であれば、硬化性樹脂混合物又は硬化性樹脂組成物の粘度が成型時の加工に好適な範囲となる。
【0026】
nは、式:m/(m+n)の値が0.4〜1となる実数、即ちnは0〜1.5mの実数である。nは好ましくは0〜0.67mとなる実数であり、より好ましくは0〜0.25mとなる実数である。nが上記条件を満たす値であれば、硬化性樹脂混合物又は硬化性樹脂組成物の硬化性を用途に応じて十分なものとすることができる。
【0027】
ポリアルケニルフェノール樹脂の一例としては、下記式(5)で示す構造を有する化合物が挙げられる。式中、mは上述のとおりである。
【化8】
【0028】
ポリアルケニルフェノール樹脂の好ましい数平均分子量は300〜5000であり、より好ましくは400〜4000であり、さらに好ましくは500〜3000である。数平均分子量が300以上であれば、硬化性樹脂混合物又は硬化性樹脂組成物の硬化物を高温環境に置いたとき熱分解開始温度が適切であり、5000以下であれば、硬化性樹脂混合物又は硬化性樹脂組成物の粘度が成型時の加工に好適な範囲となる。
【0029】
(B)芳香族ポリマレイミド化合物
芳香族ポリマレイミド化合物とは、マレイミド基を2つ以上有し、これらのマレイミド基が同一又は異なる芳香環に結合しているものを意味する。芳香環として、ベンゼン等の単環、ナフタレン、アントラセン等の縮合環などが挙げられる。芳香族ポリマレイミド化合物の具体例としては、ビス(4−マレイミドフェニル)メタン等のビスマレイミド、トリス(4−マレイミドフェニル)メタン等のトリスマレイミド、ビス(3,4−ジマレイミドフェニル)メタン等のテトラキスマレイミド及びポリ(4−マレイミドスチレン)等のポリマレイミドが挙げられる。硬化性樹脂混合物及び硬化性樹脂組成物中で良好に混合することから、芳香族ポリマレイミド化合物はビスマレイミド化合物であることが好ましい。ビスマレイミド化合物の具体例としては、ビス(4−マレイミドフェニル)メタン(4,4’−ビスマレイミドジフェニルメタン)、ビス(3−マレイミドフェニル)メタン、ビス(3−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン、ビス(3,5−ジメチル−4−マレイミドフェニル)メタン、ビス(3−エチル−4−マレイミドフェニル)メタン、ビス(3,5−ジエチル−4−マレイミドフェニル)メタン、ビス(3−プロピル−4−マレイミドフェニル)メタン、ビス(3,5−ジプロピル−4−マレイミドフェニル)メタン、ビス(3−ブチル−4−マレイミドフェニル)メタン、ビス(3,5−ジブチル−4−マレイミドフェニル)メタン、ビス(3−エチル−4−マレイミド−5−メチルフェニル)メタン、2,2−ビス(4−マレイミドフェニル)プロパン、2,2−ビス[4−(4−マレイミドフェニルオキシ)フェニル]プロパン(ビスフェノールA−ジフェニルエーテルビスマレイミド)、ビス(4−マレイミドフェニル)エーテル、ビス(3−マレイミドフェニル)エーテル、ビス(4−マレイミドフェニル)ケトン、ビス(3−マレイミドフェニル)ケトン、ビス(4−マレイミドフェニル)スルホン、ビス(3−マレイミドフェニル)スルホン、ビス[4−(4−マレイミドフェニルオキシ)フェニル]スルホン、ビス(4−マレイミドフェニル)スルフィド、ビス(3−マレイミドフェニル)スルフィド、ビス(4−マレイミドフェニル)スルホキシド、ビス(3−マレイミドフェニル)スルホキシド、1,4−ビス(4−マレイミドフェニル)シクロヘキサン、1,4−ジマレイミドナフタレン、2,3−ジマレイミドナフタレン、1,5−ジマレイミドナフタレン、1,8−ジマレイミドナフタレン、2,6−ジマレイミドナフタレン、2,7−ジマレイミドナフタレン、4,4’−ジマレイミドビフェニル、3,3’−ジマレイミドビフェニル、3,4’−ジマレイミドビフェニル、2,5−ジマレイミド−1,3−キシレン、2,7−ジマレイミドフルオレン、9,9−ビス(4−マレイミドフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−マレイミド−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−エチル−4−マレイミドフェニル)フルオレン、3,7−ジマレイミド−2−メトキシフルオレン、9,10−ジマレイミドフェナントレン、1,2−ジマレイミドアントラキノン、1,5−ジマレイミドアントラキノン、2,6−ジマレイミドアントラキノン、1,2−ジマレイミドベンゼン、1,3−ジマレイミドベンゼン、1,4−ジマレイミドベンゼン、1,4−ビス(4−マレイミドフェニル)ベンゼン、2−メチル−1,4−ジマレイミドベンゼン、2,3−ジメチル−1,4−ジマレイミドベンゼン、2,5−ジメチル−1,4−ジマレイミドベンゼン、2,6−ジメチル−1,4−ジマレイミドベンゼン、4−エチル−1,3−ジマレイミドベンゼン、5−エチル−1,3−ジマレイミドベンゼン、4,6−ジメチル−1,3−ジマレイミドベンゼン、2,4,6−トリメチル−1,3−ジマレイミドベンゼン、2,3,5,6−テトラメチル−1,4−ジマレイミドベンゼン、4−メチル−1,3−ジマレイミドベンゼン等が挙げられる。市販品としては例えば、BMI(商品名、大和化成工業(株)製)シリーズ等が挙げられる。
【0030】
(A)ポリアルケニルフェノール樹脂を100質量部としたとき、(B)芳香族ポリマレイミド化合物の配合量は50〜350質量部とすることが好ましく、65〜250質量部とすることがより好ましく75〜200質量部であることがさらに好ましい。上記配合量が50質量部以上であれば硬化物の弾性率などの機械特性が適切な範囲であり、硬化物は十分な強度をもつ。一方、上記配合量が350質量部以下であれば硬化物の耐熱性及び機械強度が良好である。
【0031】
(C)アミノ基、ヒドロキシアルキル基、及びメルカプト基からなる群より選択される少なくとも1種の官能基を有し、官能基当量が400〜8000であるポリオルガノシロキサン
本発明に用いられるポリオルガノシロキサンは、アミノ基、ヒドロキシアルキル基、及びメルカプト基からなる群より選択される少なくとも1種の官能基を有する化合物である。本明細書において、「アミノ基、ヒドロキシアルキル基、及びメルカプト基からなる群より選択される少なくとも1種の官能基」を「反応性官能基」と記載する場合もある。
【0032】
一実施態様では(C)ポリオルガノシロキサンは下記式(6)で表される化合物である。
【化9】
【0033】
式(6)において、R
11はアミノ基、ヒドロキシアルキル基、及びメルカプト基からなる群より選択される少なくとも1種の官能基を表し、R
12及びR
13はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基又はアリール基を表す。pは、1〜100の整数である。式(6)において、R
11〜R
13としてそれぞれ好ましい置換基は、R
11はアミノ基又はヒドロキシアルキル基であり、R
12及びR
13はメチル基、エチル基などの炭素数1〜6のアルキル基、又はフェニル基などのアリール基である。調達容易性、成型物の物性の観点からさらに好ましくは、R
11はアミノ基、R
12及びR
13はメチル基又はフェニル基から選択される基である。
【0034】
ヒドロキシアルキル基の炭素数は1〜10が好ましく、より好ましくは1〜5である。反応性官能基の中でも、芳香族ポリマレイミド化合物との反応性が高く、変性の制御が簡便なためアミノ基が好ましい。
【0035】
ポリオルガノシロキサンの官能基当量は400以上8000以下であり、好ましくは400以上6000以下、より好ましくは800以上5500以下、さらに好ましくは1000以上5000以下である。上記官能基当量が400以上であれば、硬化物に十分な低弾性を付与することができ、8000以下であれば十分な強度の硬化物が得られる。官能基当量は、本発明のポリオルガノシロキサンの分子量を1分子あたりの反応性官能基価で割った値である。ポリオルガノシロキサンの分子量はGPCにより、反応性官能基価は滴定等により測定可能である。
【0036】
(C)ポリオルガノシロキサンの添加量は、(B)芳香族ポリマレイミド化合物の反応性二重結合に対して、上記ポリオルガノシロキサンの反応性官能基が、好ましくは1mol%以上20mol%以下、より好ましくは1.5mol%以上15mol%以下、さらに好ましくは2mol%以上10mol%以下となる量である。上記量が1mol%以上となるようにポリオルガノシロキサンを添加すれば、硬化物に低弾性及び金属への高密着性を付与する上で有利であり、上記量が20mol%以下であれば硬化物の耐熱性及び強度が良好である。
【0037】
(D)ポリオルガノシロキサンと芳香族ポリマレイミド化合物の付加物
(D)ポリオルガノシロキサンと芳香族ポリマレイミド化合物の付加物は、上記(B)芳香族ポリマレイミド化合物及び(C)アミノ基、ヒドロキシアルキル基、及びメルカプト基からなる群より選択される少なくとも1種の官能基を有し、官能基当量が400〜8000であるポリオルガノシロキサンから合成することができる。具体的には、(B)芳香族ポリマレイミド化合物のマレイミド基の反応性二重結合に(C)ポリオルガノシロキサンの反応性官能基をマイケル付加させることで、(D)ポリオルガノシロキサンと芳香族ポリマレイミド化合物の付加物を合成することができる。
【0038】
一実施態様では(D)ポリオルガノシロキサンと芳香族ポリマレイミド化合物の付加物は下記式(3)又は(4)で表される化合物である。
【化10】
【化11】
【0039】
式(3)及び式(4)において、R
10は芳香族ポリマレイミド化合物から1つのマレイミド基を除いた残基又はその誘導体を表し、R
11はアミノ基、ヒドロキシアルキル基、及びメルカプト基からなる群より選択される少なくとも1種の官能基を表し、R
14はR
11で示される前記官能基から1つの水素原子を除いた二価基を表し、R
12及びR
13はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基又はアリール基を表す。pは、1〜100の整数である。芳香族ポリマレイミド化合物から1つのマレイミド基を除いた残基の誘導体には、当該芳香族ポリマレイミド化合物の他のマレイミド基が、反応性官能基を有するポリオルガノシロキサンとさらに反応したものなどが含まれる。式(3)及び式(4)において、R
10〜R
13としてそれぞれ好ましい置換基は、R
10は芳香族ポリマレイミド化合物から1つのマレイミド基を除いた残基、R
11はアミノ基又はヒドロキシアルキル基、R
14は−NH−又は―OR−(Rはアルキレン基であり、好ましくは炭素数1〜10のアルキレン基、より好ましくは炭素数1〜5のアルキレン基である。)、R
12及びR
13はメチル基、エチル基などの炭素数1〜6のアルキル基、又はフェニル基などのアリール基である。調達容易性、成型物の物性の観点からさらに好ましくは、R
11はアミノ基、R
14は−NH−、R
12及びR
13はメチル基又はフェニル基から選択される基である。
【0040】
(A)ポリアルケニルフェノール樹脂を100質量部としたとき、(D)ポリオルガノシロキサンと芳香族ポリマレイミド化合物の付加物の配合量は0.1〜1500質量部とすることが好ましく、0.5〜1100質量部とすることがより好ましく、1.0〜850質量部であることがさらに好ましい。上記配合量が0.1質量部以上であれば硬化物の弾性率などの機械特性が適切な範囲であり、硬化物は十分な強度をもつ。一方、上記配合量が1500質量部以下であれば硬化物の耐熱性及び機械強度が良好である。
【0041】
<反応条件>
上記付加反応は、10℃から200℃の温度範囲で行うことが好ましく、30℃から150℃の温度範囲で行うことがより好ましく、50℃から120℃の温度範囲で行うことがさらに好ましい。原料が溶解する溶媒で原料を希釈して反応させることもできる。原料を溶媒で希釈する場合は、溶媒、(B)芳香族ポリマレイミド化合物及び(C)ポリオルガノシロキサンの合計に対して(B)及び(C)の合計質量が1〜30質量%の範囲とすることが好ましく、より好ましくは5〜20質量%の範囲、さらに好ましくは8〜15質量%の範囲である。上記範囲とすることにより、重合などの副反応を良好に制御することができる。
【0042】
(D)ポリオルガノシロキサンと芳香族ポリマレイミド化合物の付加物の合成の際、(C)ポリオルガノシロキサンは、(B)芳香族ポリマレイミド化合物の反応性二重結合に対して上記ポリオルガノシロキサンのアミノ基、ヒドロキシアルキル基、及びメルカプト基からなる群より選択される少なくとも1種の官能基が1mol%〜20mol%となる量で用いて反応させることが好ましく、より好ましくは1.5mol%〜15mol%、さらに好ましくは2mol%〜10mol%となる量で用いて反応させる。(B)芳香族ポリマレイミド化合物の反応性二重結合に対して(C)ポリオルガノシロキサンの反応性官能基の量が1mol%以上であれば、硬化物に低弾性及び金属への高密着性を付与する上で有利であり、20mol%以下であれば硬化物の耐熱性及び強度が良好である。
【0043】
上記成分を含む熱硬化性樹脂組成物にその硬化特性を阻害しない範囲で種々の添加剤を混合してもよい。
【0044】
添加剤としては、例えば(E)重合開始剤、(F)充填材、(G)カップリング剤等が挙げられる。
【0045】
(E)重合開始剤
重合開始剤を使用することで硬化を促進することができる。重合開始剤としては、例えば光ラジカル開始剤、熱ラジカル開始剤等のラジカル開始剤が挙げられる。重合開始剤は好ましくは熱ラジカル開始剤である。より好ましい熱ラジカル開始剤としては、有機過酸化物を挙げることができる。有機過酸化物の中でも、さらに好ましくは10時間半減期温度が100〜170℃の有機過酸化物である。具体的にはジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、tert−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等を挙げることができる。重合開始剤の好ましい使用量は、ポリアルケニルフェノール樹脂及び芳香族ポリマレイミド化合物の総和100質量部に対して、0.1〜5質量部であり、より好ましくは0.2〜4質量部であり、さらに好ましくは0.5〜3質量部である。重合開始剤の使用量が0.1質量部以上であれば十分に硬化反応が進行し、5質量部以下であれば熱硬化性樹脂組成物の保存安定性が良好である。
【0046】
(F)充填材
充填材の種類に特に制限は無く、シリコーンパウダー等の有機充填材、シリカ、窒化ホウ素等の無機充填材などが挙げられ、用途により適宜選択することができる。
【0047】
例えば、熱硬化性樹脂組成物を半導体封止用途に使用する場合には、硬化物の熱膨張係数を低下させるために絶縁性である無機充填材を配合することが好ましい。無機充填材は特に限定されず、公知のものを使用することができる。無機充填材として、具体的には、非晶質シリカ、結晶性シリカ、アルミナ、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素などの粒子が挙げられる。低粘度化の観点からは真球状の非晶質シリカが望ましい。無機充填材は、シランカップリング剤などで表面処理が施されたものであってもよいが、表面処理が施されていなくてもよい。無機充填材の平均粒径は0.1〜100μmが好ましく、最大粒径が70μm以下、特に50μm以下のものがより好ましい。平均粒径がこの範囲にあると熱硬化性樹脂組成物の粘度が使用時に適切であり、狭ピッチ配線部又は狭ギャップ部への注入性も適切である。ここでいう平均粒径とは、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置によって測定される体積累積粒径D
50である。熱硬化性樹脂組成物の無機充填材の含有量は、用途に応じて適宜決定することができる。例えば、半導体封止用途では、熱硬化性樹脂組成物の無機充填材の含有量は好ましくは50〜95質量%であり、より好ましくは55〜90質量%であり、さらに好ましくは65〜90質量%である。
【0048】
(G)カップリング剤
カップリング剤は接着性付与の観点から配合してもよいが、その構造は特に限定されず、例えば、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシランなどのシランカップリング剤などが挙げられる。カップリング剤は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。(F)充填材への(G)カップリング剤の配合量は0.1〜5質量%が好ましい。上記配合量が0.1質量%以上であれば、カップリング剤の配合効果が充分発揮され、5質量%以下であれば、溶融粘度、硬化物の吸湿性、強度が良好である。
【0049】
(H)その他の添加剤
その他の添加剤として、消泡剤、着色剤、蛍光体、変性剤、レベリング剤、光拡散剤、難燃剤などを使用することも可能である。
【0050】
熱硬化性樹脂組成物の調製方法は特に限定されない。(A)ポリアルケニルフェノール樹脂、(B)芳香族ポリマレイミド化合物、(C)アミノ基、ヒドロキシアルキル基、及びメルカプト基からなる群より選択される少なくとも1種の官能基を有し、官能基当量が400〜8000であるポリオルガノシロキサン、(D)ポリオルガノシロキサンと芳香族ポリマレイミド化合物の付加物、(E)重合開始剤、(F)充填材、(G)カップリング剤などを所定の配合割合でポットミル、二本ロール、三本ロールミル、回転式混合機、二軸ミキサー、ディスパー、半軸又は二軸(同方向又は異方向)押出機、ニーダーなどの混合機に投入し、混合して調製することができる。熱硬化性樹脂組成物の粉末化を行う場合は作業工程により発生した熱により樹脂が溶融しない方法であれば特に限定されないが、少量であればメノウ乳鉢を用いるのが簡便である。市販の粉砕機を利用する場合、粉砕に際して発生する熱量が少ないものが混合物の溶融を抑制するために好ましい。粉末の粒径については約1mm以下とすることができる。
【0051】
熱硬化性樹脂組成物の(A)ポリアルケニルフェノール樹脂、(B)芳香族ポリマレイミド化合物、(C)ポリオルガノシロキサン、及び(D)ポリオルガノシロキサンと芳香族ポリマレイミド化合物の付加物の合計含有量は、例えば5質量%以上、10質量%以上、又は20質量%以上、99.9質量%以下、95質量%以下、又は90質量%以下とすることができる。
【0052】
(3)硬化物の作製方法
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、加熱することにより溶融でき、任意の好ましい形状に成形することができる。熱硬化性樹脂組成物の成形の温度は樹脂の配合量、分子量、分子量分布などによって様々であってよいが、120〜250℃が好ましく、より好ましくは130〜220℃であり、さらに好ましくは140〜200℃である。成形方法としては、注入及び塗布が挙げられ、中でもトランスファーモールド成形及びコンプレッションモールド成形が好ましい。
【0053】
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、成型工程後、更に追加で加熱することにより硬化させ、硬化反応を完結することができる。この成型後硬化工程において、硬化物の機械的強度を高める、あるいは内部応力を緩和することができる。熱硬化条件は、110〜300℃が好ましく、より好ましくは120〜280℃であり、さらに好ましくは130〜250℃である。110℃以上であれば硬化は適切な時間内に十分に進行し、300℃以下であれば成分の劣化又は揮発を防ぐことができ、設備の安全も保たれる。加熱時間は硬化温度にも依存するが、生産性の観点から0.5〜48時間の加熱が好ましい。この加熱は、複数回に分けて行ってもよい。特に高い硬化度を求める場合には、過度に高温で硬化させずに、例えば硬化の進行とともに昇温させて、最終的な硬化温度を250℃以下、好ましくは230℃以下とすることができる。
【0054】
本発明の熱硬化性樹脂組成物はその硬化物と金属材料とが接合された構造体を形成するために使用することができる。一実施態様では半導体用封止材に熱硬化性樹脂組成物を使用することができる。
【実施例】
【0055】
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこの実施例に限定されない。
【0056】
(1)原料
実施例及び比較例で用いた原料は以下のとおりである。
(A)ポリアルケニルフェノール樹脂
・フェノールノボラック樹脂ショウノール(登録商標)BRG−558(昭和電工株式会社)を用いフェノール性水酸基のパラ位をアリル化した樹脂(水酸基当量159、数平均分子量Mn1600、重量平均分子量Mw5400、融点55℃、m=10、n=0)。製造方法は特開2016−28129号公報の実施例3に記載。
(B)ポリマレイミド化合物
・BMI−4000(ビスフェノールA−ジフェニルエーテルビスマレイミド、融点165℃、大和化成工業株式会社)
(C)アミノ基、ヒドロキシアルキル基、及びメルカプト基からなる群より選択される少なくとも1種の官能基を有し、官能基当量が400〜8000であるポリオルガノシロキサン
・KF−8010(アミノ変性両末端型、信越化学工業株式会社)
・X−22−161A(アミノ変性両末端型、信越化学工業株式会社)
・X−22−161B(アミノ変性両末端型、信越化学工業株式会社)
・KF−8012(アミノ変性両末端型、信越化学工業株式会社)
・X−22−1660B−3(アミノ変性両末端型、式(6)におけるR
12がフェニル基、信越化学工業株式会社)
・KF−8008(アミノ変性両末端型、信越化学工業株式会社)
・KF−864(アミノ変性側鎖型、信越化学工業株式会社)
・KF−865(アミノ変性側鎖型、信越化学工業株式会社)
・KF−6002(カルビノール変性両末端型、信越化学工業株式会社)
・X−22−170DX(カルビノール変性片末端型、信越化学工業株式会社)
(E)重合開始剤:パークミルD(ジクミルパーオキサイド、日油株式会社)
(F)充填材:MSR2212(球状シリカ、平均粒径25.5μm、株式会社龍森)
(G)シランカップリング剤:KBM−903(3−アミノプロピルトリメトキシシラン、信越化学工業株式会社)
(H)ポリマレイミド化合物と反応性を有する(C)以外の化合物
・PAM−E(アミノ変性両末端型、信越化学工業株式会社)
・KF−9701(シラノール変性両末端型、信越化学工業株式会社)
・1,12−ジアミノドデカン(アルキルジアミン、東京化成工業株式会社)
【0057】
(2)(A)ポリアルケニルフェノール樹脂、(B)芳香族ポリマレイミド化合物、(C)ポリオルガノシロキサンを含む熱硬化性樹脂組成物の製造
[実施例1]
各成分を表1に示す割合で配合し、東洋精機株式会社製二本ロール(ロール径8インチ)にて、110℃、10分間の混練を行った。ついで、25℃にて1時間放冷、固化したのちミルミキサー(大阪ケミカル株式会社製、型式WB−1、25℃、30秒)を用いて粉砕することにより、目的とする粉末状の樹脂組成物を得た。
【0058】
[実施例2〜12、比較例1〜4]
表1に示す割合で各成分を用い、実施例1と同様の方法により樹脂組成物を得た。
【0059】
(3)(D)ポリオルガノシロキサンと芳香族ポリマレイミド化合物の付加物の合成
[合成例1]
BMI−4000(官能基当量285.3)50.0g、KF−8010(官能基当量430)3.8g、トルエン570mlを撹拌子及びリービッヒ冷却管を備えた1Lナス型フラスコに加え、105℃のオイルバスで1時間加熱撹拌した。室温まで放冷後、エバポレーターで溶媒を留去した。その後、真空乾燥機で乾燥し、黄色粉体を52.0g得た。生成物を
1H−NMRで確認したところ、マイケル付加物の生成が確認された。
【0060】
[合成例2〜16]
表2に示す割合で各成分を用い、合成例1と同様の方法により生成物を得た。生成物を
1H−NMRで確認したところ、合成例2〜16においてマイケル付加物の生成が確認された。
【0061】
(4)(A)ポリアルケニルフェノール樹脂及び(D)ポリオルガノシロキサンと芳香族ポリマレイミド化合物の付加物を含む熱硬化性樹脂組成物の製造
[実施例13]
各成分を表2に示す割合で配合し、東洋精機株式会社製二本ロール(ロール径8インチ)にて、110℃、10分間の混練を行った。ついで、25℃にて1時間放冷、固化したのちミルミキサー(大阪ケミカル株式会社製、型式WB−1、25℃、30秒)を用いて粉砕することにより、目的とする粉末状の樹脂組成物を得た。
【0062】
[実施例14〜24、比較例5〜8]
表2に示す割合で各成分を用い、実施例13と同様の方法により樹脂組成物を得た。
【0063】
(5)熱硬化性樹脂組成物の評価
・曲げ弾性率
トランスファー成形機(株式会社松田製作所製)で、金型温度180℃、成形圧力100kgf/cm
2、硬化時間180秒の条件で長さ750mm×幅10mm×厚さ3mmの曲げ試験用サンプルを作製した。エー・アンド・デイ社製テンシロン試験機(型式:MSAT0002RTF/RTG)を用い、JIS K7171に準拠して、室温にて試験速度2mm/minで3点曲げ試験を5回行い、その平均値を曲げ弾性率とした。結果を表1及び表2に示す。
【0064】
・ブリードアウト性
曲げ弾性率試験用サンプル成形後、サンプルを金型から取り出した後に金型を目視で観察した。金型のエアベント部において樹脂漏れ又は曇りがある場合を「あり」、樹脂漏れ又は曇りがない場合を「なし」とした。結果を表1及び表2に示す。
【0065】
・Cu基板への密着性
トランスファー成形機(株式会社松田製作所製)で、金型温度180℃、成形圧力100kgf/cm
2、硬化時間180秒の条件で無酸素Cu基板上に直径3mmのプリンカップ形状の成形品を得た。これをダイシェアテスター(デイジ社製)を用いて12mm/minの定速で横荷重をかけ、せん断破壊したときの強度を25℃にて3点測定し平均値をCuへの密着性とした。結果を表1及び表2に示す。
【0066】
【表1-1】
【0067】
【表1-2】
【0068】
【表2-1】
【0069】
【表2-2】
【0070】
(6)結果からの考察
表1及び表2より、実施例1〜24は、低い弾性率とCuへの高い密着性を示した。一方、比較例1〜8は高弾性率を示しCuへの密着性も得られなかった。このことから、アミノ基、ヒドロキシアルキル基、及びメルカプト基からなる群より選択される少なくとも1種の官能基を有し、官能基当量が400〜8000であるポリオルガノシロキサン、又はそのようなポリオルガノシロキサンと芳香族ポリマレイミド化合物の付加物を含む熱硬化性樹脂組成物とすることで、硬化物において低弾性化と金属への高い密着性を達成できることが示唆される。