(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係るアクティブマトリクス表示装置の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本発明の一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される数値、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態などは、一例であって本発明を限定する主旨ではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0011】
各図において、実質的に同一の構成要素については同一の符号を付している。また、各図は、模式図であり、膜厚および各部の大きさの比などは、必ずしも厳密に表したものではない。
【0012】
(実施の形態)
[1−1.全体構成]
本実施の形態に係るアクティブマトリクス表示装置1(以下、表示装置1と呼ぶ)の全体構成について、
図1を基に説明する。
図1は、表示装置1の一部切り欠き斜視図である。
【0013】
表示装置1は、アクティブマトリクス型の有機EL表示装置(有機EL表示パネル)である。表示装置1は、行並び方向および列並び方向にマトリクス状に配置された複数の画素30a、30b、30c、・・を備えている。
【0014】
以下、本実施の形態において、複数の画素30a、30bが並ぶ方向をX方向(列並び方向)、X方向に直交する方向であって、複数の画素30a、30cが並ぶ方向をY方向(行並び方向)、表示装置1から光が出射される方向であって、X方向およびY方向の両方に直交する方向をZ方向として説明する。また、表示装置1が有する複数の画素30a、30b、30c、・・を総称して、複数の画素30と呼ぶ場合がある。
【0015】
図1に示すように、表示装置1は、有機EL素子(発光素子)10と、TFT素子を含むTFT基板20とを備えている。
【0016】
有機EL素子10は、アノードを含むAM層(アノードメタル層)111と、発光層を含む有機EL層112と、カソードを含む透明電極層113とを備える。AM層111、有機EL層112および透明電極層113は、TFT基板20上にこの順で積層されている。
【0017】
TFT基板20は、X方向に沿って延設された複数のゲート線GLと、Y方向に沿って延設された複数の信号線SLと、Y方向に沿って延設された複数の電源線PLとを備える。複数の信号線SLと複数のゲート線GLとは、互いに直交するように配置されている。
【0018】
複数の画素30のそれぞれは、互いに異なる色の光を出射する複数1組の副画素(サブピクセル)を有している。
【0019】
例えば、画素30aは、RGB原色の赤色に対応する副画素R1、緑色に対応する副画素G1および青色に対応する副画素B1を有している。例えば、X方向において画素30aの隣に位置する画素30bは、赤色に対応する副画素R2、緑色に対応する副画素G2および青色に対応する副画素B2を有している。副画素R1、G1、B1、R2、G2、B2は、X方向に沿ってこの順で配置されている。また、Y方向において画素30aの隣に位置する画素30cは、画素30aと同様に、X方向に沿って順に配置された副画素R1、G1、B1を有している。
【0020】
この表示装置1では、副画素R1、G1、B1、R2、G2、B2(以下、副画素R、G、Bと呼ぶ場合がある)のそれぞれに対応してTFT素子および有機EL素子10が備えられ、副画素R、G、Bのそれぞれに対して表示制御を行うアクティブマトリクス方式が採用されている。
【0021】
すなわち、本実施の形態の表示装置1は、マトリクス状に配置された複数の画素30を備え、複数の画素30のそれぞれは、X方向に沿って配列され互いに異なる色の光を出射する複数の副画素R、G、Bを有している。複数の副画素R、G、Bのそれぞれは、TFT基板20に設けられたTFT素子と、TFT基板20上に設けられTFT素子の駆動によって発光する有機EL素子10とを有している。
【0022】
そして、X方向に隣り合う2つの画素30a、30bのうち、同色の副画素(例えばR1、R2)をTFT基板20の厚み方向から見た場合に、TFT基板20内の第1レイヤーは、同色の副画素R1、R2間において線対称に配置されている。第1レイヤーを線対称に配置することで、副画素R1、R2を構成するTFT素子などの電気素子の形状、周辺電位を同じにすることができ、TFT基板20にて発生する寄生容量や寄生抵抗などの電気的性質を揃えることができる。
【0023】
また、本実施の形態では、第1レイヤーよりも有機EL素子10の表面の段差形成に影響を与える第2レイヤーが、同色の副画素R1、R2のそれぞれの開口部(光の出射領域)内において同じ位置に配置されている。このように同色の副画素R1、R2において、第2レイヤーを上記開口部の同じ位置に配置することで、有機EL素子10の表面に形成される段差を上記開口部の同じ位置に形成することができる。同色の副画素R1、R2が互いに異なる膜厚分布を有すると表示装置の視野角特性の低下を招くことになるが、本実施の形態では、上記構成により同色の副画素R1、R2の上記開口部が同じ膜厚分布を有することとなり、表示装置1の視野角特性を向上することができる。以下、表示装置1の詳細について説明する。
【0024】
[1−2.画素の回路構成]
まず、表示装置1の画素30の回路構成について説明する。
図2Aは、表示装置1の画素30の概略構成を示す図である。
【0025】
表示装置1は、副画素R、G、Bに電源電圧Vccを供給する複数の電源線PLと、副画素R、G、B内に設けられた容量素子の電圧を初期化するための初期化電圧Vssを供給する複数の電源線PLとを備えている。また、表示装置1は、副画素R、G、Bに信号電圧Vsigを供給する複数の信号線SLを有している。また、表示装置1は、副画素R、G、BにWS信号およびAZ信号等のタイミング信号(ゲート電圧)を供給する複数のゲート線GLを有している。
【0026】
上記2種類の電源線PLのそれぞれは、副画素R1、G1、B1が並ぶ方向と直交する方向(Y方向)に沿って延設されている。また、電源電圧Vccを供給する電源線PL(Vcc)と初期化電圧Vssを供給する電源線PL(Vss)とは、X方向に並ぶ副画素R1、G1、B1のうち、1つの副画素に対して1つの電源線PL(VccおよびVssのいずれか一方)が対応するように、交互に等ピッチで配置されている。
【0027】
2種類の電源線PLのそれぞれは、隣り合う異なる色の2つの副画素間で共有されている。例えば、電源線PL(Vcc)は副画素R1、G1で共有され、その隣に位置する電源線PL(Vss)は副画素G1、B1で共有され、さらにその隣に位置する電源線PL(Vcc)は副画素B1、R2で共有され、さらにその隣の電源線PL(Vss)は副画素R2、G2で共有され、さらにその隣の電源線PL(Vcc)は副画素G2、B2で共有されている。
【0028】
信号線SLのそれぞれは、副画素R1、G1、B1が並ぶ方向と直交する方向(Y方向)に沿って延設されている。また、信号線SLは、1つの副画素に対して1つの信号線SLが対応するように等ピッチで配置されている。
【0029】
ゲート線GLのそれぞれは、副画素R1、G1、B1が並ぶ方向(X方向)に沿って延設されている。また、ゲート線GLは、1つの副画素に対して2つのゲート線GL(WS)およびGL(AZ)が対応するように配置されている。
【0030】
なお、表示装置1における複数の画素30の配線レイアウトは、X方向に沿って2画素ごとに繰り返され、Y方向に沿って1画素ごとに繰り返されている。例えば、X方向における複数の画素30は、画素30a、30bからなる組の副画素R1、G1、B1、R2、G2、B2の配線レイアウトが繰り返して配置されている。また、Y方向における複数の画素30は、副画素R1、G1、B1、R2、G2、B2のそれぞれの配線レイアウトが、同色で並ぶように配置されている。
【0031】
図2Bは、画素30の副画素R1、R2を示す回路図である。
図2Bでは、X方向において隣り合う2つの画素30a、30bのうち、同色の副画素R1、R2を抜き出して示している。
【0032】
以下、画素30a、30bのうち、同色の副画素R1、R2を例に挙げて説明する。なお、画素30a、30bのうち同色の副画素G1、G2も副画素R1、R2と同様の関係を有しており、画素30a、30bのうち同色の副画素B1、B2も副画素R1、R2と同様の関係を有している。
【0033】
図2Bに示すように、同色の副画素R1、R2のそれぞれは、トランジスタTd、TwsおよびTazと、容量素子CSと、有機EL素子10とを備える。
【0034】
有機EL素子10は、トランジスタTdによって供給される画素電流に応じて発光する発光素子である。
【0035】
トランジスタTdは、容量素子CSに保持された電圧に応じた画素電流を有機EL素子10に供給することにより、有機EL素子10を発光させる駆動トランジスタである。トランジスタTwsは、信号線SLに供給される信号電圧Vsigを容量素子CSに書き込むためのスイッチングトランジスタである。トランジスタTazは、容量素子CSの電圧を初期化(オートゼロ)させるためのスイッチングトランジスタである。トランジスタTd、Tws、Tazのそれぞれは、nチャネル型のTFT素子によって構成される。
【0036】
容量素子CSは、信号線SLに供給されるデータ(ここでは信号電圧Vsig)に対応する電圧を保持するコンデンサであり、互いに対向する一方の電極および他方の電極を有している。容量素子CSの一方の電極は、トランジスタTdのゲートに接続され、他方の電極は、トランジスタTazのソースに接続されている。例えば、容量素子CSは、トランジスタTdの閾値電圧Vthを保持し、さらに、信号線SLで供給される信号電圧Vsigによって、トランジスタTdの閾値電圧Vthが補償された電圧(Vsig+Vth)を保持する。
【0037】
このように構成された副画素R1、R2では、ゲート線GLで供給されるAZ信号によってトランジスタTazがオン状態からオフ状態となることで、容量素子CSがトランジスタTdの閾値電圧Vthを検出して保持する。その後、ゲート線GLで供給されるWS信号によってトランジスタTwsがオン状態となって信号電圧Vsigが供給されることで、容量素子CSに電圧(Vsig+Vth)が保持される。これにより、トランジスタTdは、トランジスタTdの閾値電圧Vthに因らない信号電圧Vsigに応じた画素電流を有機EL素子10に供給し、有機EL素子10は、信号電圧Vsigの階調に応じた輝度で発光する。
【0038】
[1−3.画素の配線の構成]
次に、表示装置1における画素30の配線の構成について、
図3A〜
図3Eを用いて説明する。なお、ここでは、X方向において隣り合う2つの画素30a、30bのうち、同色の副画素R1、R2に着目して説明する。
【0039】
図3Aは、画素30のうち同色の副画素R1、R2の配線レイアウトを示す平面図である。
図3Bは、同色の副画素R1、R2の第1レイヤー41の配置を示す平面図である。
図3Cは、同色の副画素R1、R2の第2レイヤー42の配置を示す平面図である。
【0040】
図3A〜
図3Cに示すように、副画素R1、R2のそれぞれは、トランジスタTd、Tws、Tazと、容量素子CSとを備えている。副画素R1の周囲には、電源線PL(Vcc)と、信号線SLと、ゲート線GL(WS)およびGL(AZ)とが配置されている。副画素R2の周囲には、電源線PL(Vss)と、信号線SLと、ゲート線GL(WS)およびGL(AZ)とが配置されている。
【0041】
電源線PL(Vcc)、PL(Vss)および信号線SLは、後述する第2レイヤー42の一部によって構成され、ゲート線GL(WS)、GL(AZ)、トランジスタTd、Tws、Tazおよび容量素子CSは、後述する第1レイヤー41の一部によって構成されている。なお、有機EL素子10のAM層111は、アノードコンタクト層45、金属層42a、コンタクト層42bを介して第1レイヤー41に接続されている。
【0042】
ここで、副画素R1、R2の断面図を参照しながら、各構成と各レイヤーとの関係を説明する。
【0043】
図3Dおよび
図3Eは、副画素R1、R2の配線を示す断面図であって、
図3Dは、
図3Aに示すIIID−IIID線の断面図であり、
図3Eは、
図3Aに示すIIIE−IIIE線の断面図である。
【0044】
図3Dおよび
図3Eに示すように、TFT基板20は、基板100と第1絶縁層102と第2絶縁層104と第3絶縁層106とを備えている。TFT基板20は、下部配線層41aおよび上部配線層41bを有する第1レイヤー41と、金属層42aおよびコンタクト層42bを有する第2レイヤー42とを備えている。第2レイヤー42は、第1レイヤー41よりも有機EL素子10側に配置されている。
【0045】
基板100は、例えば、ガラス基板またはフレキシブルな樹脂基板である。なお、基板100は、基板100上に形成された保護層100aを含む。
【0046】
第1レイヤー41の下部配線層41aは、基板100上に設けられている。
図3Eに示すように、下部配線層41aは、トランジスタTwsのチャネルを含む層であり、また、容量素子CSの一方の電極を含む層でもある。なお、下部配線層41aは、トランジスタTd、Tazのチャネルも含む(
図3B参照)。
【0047】
第1絶縁層102は、下部配線層41aを覆うように、基板100上に設けられている。
【0048】
第1レイヤー41の上部配線層41bは、第1絶縁層102上に設けられている。
図3Eに示すように、上部配線層41bは、トランジスタTwsのゲートを含む層であり、また、容量素子CSの他方の電極を含む層でもある。なお、上部配線層41bは、トランジスタTd、Tazのゲートも含む(
図3B参照)。
【0049】
このように、トランジスタTd、Tws、Tazのそれぞれは、下部配線層41aの一部であるチャネルと、上部配線層41bの一部であるゲートと、下部配線層41aと上部配線層41bとの間に設けられた第1絶縁層102とで構成されている。また、容量素子CSは、第1絶縁層102と、第1絶縁層102を挟む下部配線層41aおよび上部配線層41bとで構成されている。
【0050】
第2絶縁層104は、
図3Dおよび
図3Eに示すように、上部配線層41bを覆うように第1絶縁層102上に設けられている。
【0051】
第2レイヤー42の金属層42aは、第2絶縁層104に設けられている。金属層42aは、電源線PL(Vcc)、PL(Vss)および信号線SLを含む層であり、また、下部配線層41aと上部配線層41bとを電気的に接続するための中継導体を含む層である。金属層42aである電源線PL(Vcc)、PL(Vss)、信号線SLおよび上記中継導体のそれぞれの厚みは、同じである。また、金属層42aの厚みは、電気抵抗を小さくするため、上部配線層41b、下部配線層41aのそれぞれの厚みよりも厚く形成されている。
【0052】
第2レイヤー42のコンタクト層42bは、金属層42aと金属層42aとは異なる層とを接続する柱状の層間接続導体である。例えば、
図3Eでは2つのコンタクト層42bが示されており、一方のコンタクト層42bは、下部配線層41aに接し第1絶縁層102および第2絶縁層104を貫通して金属層42aに接続されている。また、他方のコンタクト層42bは、上部配線層41bに接し第2絶縁層104を貫通して金属層42aに接続されている。なお、
図3Eにて2つのコンタクト層42bに接続されている金属層42aは、前述した中継導体に相当する。
【0053】
第3絶縁層106は、金属層42aおよびコンタクト層42bを覆うように第2絶縁層104上に設けられている。第3絶縁層106は、例えば、液状の有機樹脂材料を第2絶縁層104上に塗布することで形成される。
【0054】
第3絶縁層106上には、
図3Dに示すように、アノードメタル層111を介して有機EL素子10が設けられている。有機EL素子10は、発光した光を出射する領域である開口部51を有している。開口部51は、第3絶縁層106上に設けられたバンク(隔壁)115によって囲まれ、外形が矩形状である。なお、有機EL素子10上にさらに封止樹脂層が設けられていてもよい。
【0055】
ここで、
図3Aに示すように副画素R1、R2を平面視した場合(TFT基板20の厚み方向から見た場合)、第1レイヤー41は、同色の副画素R1、R2間において線対称に配置された部分を有している。具体的には、各副画素R1、R2のトランジスタTd、Tws、Tazおよび容量素子CSは、列並び方向において副画素R1、R2の中間に位置する中心線CL1(
図2A参照)に対して鏡映対称に配置されている。
【0056】
また、
図3Aに示すように副画素R1、R2を平面視した場合、第2レイヤー42は、同色の副画素R1、R2のそれぞれの開口部51において、同じ位置に配置されている。なお、ここで示す「同じ位置」とは、開口部51の中心を基準とする第2レイヤー42の位置(相対座標)がそれぞれ同じであることを意味する。
【0057】
例えば、副画素R1の開口部51では、信号線SLは矩形状である開口部51の左辺と重なる位置に設けられ、電源線PL(Vcc)は上記開口部51の右辺と重なる位置に設けられている。前述した中継導体は、上記開口部51の中心からY方向プラス側に少し寄った位置に設けられている。また、コンタクト層42bは、前述した中継導体と重なる位置に2つ、上記開口部51の中心からX方向プラス側であって電源線PL(Vcc)と重なる位置に1つ設けられている。
【0058】
一方、副画素R2の開口部51では、信号線SLは矩形状である開口部51の左辺と重なる位置に設けられ、電源線PL(Vss)は上記開口部51の右辺と重なる位置に設けられている。前述した中継導体は、上記開口部51の中心からY方向プラス側に少し寄った位置に設けられている。また、コンタクト層42bは、前述した中継導体と重なる位置に2つ、上記開口部51の中心からX方向プラス側であって電源線PL(Vss)と重なる位置に1つ設けられている。なお、副画素R2にて、電源線PL(Vss)と重なる位置に設けられているコンタクト層42bは、副画素R1に設けられたコンタクト層42bと同じ位置となるように対応して設けられたダミー層であって、TFT素子や容量素子CSなどの電気素子には接続されていない。
【0059】
本実施の形態ではこのように、同色の副画素R1、R2において、第2レイヤー42をそれぞれの開口部51の同じ位置に配置することで、有機EL素子10の表面に形成される段差(または凹凸)を開口部51の同じ位置に形成することができる。これにより、同色の副画素R1、R2の開口部51が同じ膜厚分布を有することとなり、表示装置1の視野角特性を向上することができる。
【0060】
なお、画素30a、30bのうち同色の副画素G1、G2も副画素R1、R2と同様の関係を有し、画素30a、30bのうち同色の副画素B1、B2も副画素R1、R2と同様の関係を有している。これにより、各副画素G1、G2の開口部51が同じ膜厚分布を有し、また、各副画素B1、B2の開口部51が同じ膜厚分布を有することとなり、表示装置1の視野角特性を向上することができる。
【0061】
[1−4.効果等]
上記構成を有する表示装置1は、第1レイヤー41および第2レイヤー42がともに線対称に配置された比較例の表示装置に比べて、視野角特性を向上することができる。この理解を容易にするために、比較例における表示装置の構成を説明する。
【0062】
図4は、比較例における画素30のうち、同色の副画素R1、R2を示す回路図である。
図5Aは、比較例における同色の副画素R1、R2の配線レイアウトを示す平面図である。
図5Bは、比較例における同色の副画素R1、R2の第1レイヤー41の配置を示す平面図である。
図5Cは、比較例における同色の副画素R1、R2の第2レイヤー42の配置を示す平面図である。
図5Dは、比較例における同色の副画素R1、R2の配線を示す断面図(
図5Aに示すVD−VD線の断面図)である。
【0063】
図4〜
図5Dに示す副画素R1、R2は、実施の形態に係る副画素R1、R2に対して、回路構成の接続関係は同じであるものの、配線レイアウトが異なる。具体的には、比較例における複数の画素30は、列並び方向(X方向)に隣り合う2つの画素30a、30bのうち、同色の副画素R1、R2の配線レイアウトが完全に線対称となっている。
【0064】
図4〜
図5Dでは、同色の副画素R1、R2を抜き出して示している。比較例の表示装置のように、同色の副画素R1、R2の各構成の配置を線対称とすることで、副画素数に対する電源線PLの本数を減らすことができる。
【0065】
しかしながら、比較例の表示装置は以下に示す問題を有している。例えば、TFT基板20の第3絶縁層106は、第2レイヤー42上に第3絶縁層106の材料を塗布することで形成されるが、乾燥後の第3絶縁層106は、その表面が完全に平坦とならず、
図5Dに示すように、表面に段差が残る場合がある。具体的には、第2レイヤー42の厚みに起因して、第2レイヤー42が配置されている領域において、第3絶縁層106の表面が凸状に突出して形成される。そのため、第3絶縁層106上にさらに液状の有機樹脂材料を塗布して有機EL素子10を形成する場合、上記段差の影響を受け、有機EL素子10の表面にも段差が形成される。
【0066】
前述したように比較例の表示装置では、各副画素R1、R2の開口部51の配線レイアウトが線対称となっており、第2レイヤー42が開口部51の異なる位置に配置されている。そのため、有機EL素子10の表面に形成される段差が、各副画素R1、R2の開口部51の異なる位置に形成される。これにより、各副画素R1、R2の開口部51が互いに異なる膜厚分布を有することとなり、表示装置の視野角特性が低下する。
【0067】
それに対して、本実施の形態に係るアクティブマトリクス表示装置1は、マトリクス状に配置された複数の画素30を備え、複数の画素30のそれぞれは、所定方向(例えばX方向)に沿って配列され互いに異なる色の光を出射する複数の副画素R、G、B、を有している。複数の副画素R,G,Bのそれぞれは、TFT基板20に設けられたTFT素子と、TFT基板20上に設けられTFT素子の駆動によって発光する有機EL素子10とを有している。有機EL素子10は、発光した光を出射する領域である開口部51を有し、TFT基板20は、第1レイヤー41と第2レイヤー42とを有している。そして、所定方向に隣り合う2つの画素30a、30bのうち、同色の副画素(例えばR1、R2)をTFT基板20の厚み方向から見た場合に、第1レイヤー41は、同色の副画素R1、R2間において線対称に配置された部分を有し、第2レイヤー42は、同色の副画素R1、R2のそれぞれの開口部51において同じ位置に配置されている。
【0068】
このように、同色の副画素R1、R2において、第2レイヤー42をそれぞれの開口部51の同じ位置に配置することで、有機EL素子10の表面に形成される段差を開口部51の同じ位置に形成することができる。これにより、同色の副画素R1、R2の開口部51が同じ膜厚分布を有することとなり、表示装置1の視野角特性を向上することができる。また、この表示装置1は、第1レイヤー41を線対称に配置することで、副画素R1、R2を構成するTFT素子などの電気素子の形状、周辺電位を同じにすることができ、TFT基板20にて発生する寄生容量や寄生抵抗などの電気的性質が揃うという効果も有している。
【0069】
さらに、表示装置1は、副画素R、G、Bのそれぞれに電力を供給する電源線PLを有し、電源線PLは、上記所定方向と直交する方向(例えばY方向)に沿って延設され、所定方向に隣り合う副画素R、G、B間にて共有されていてもよい。
【0070】
この構成によれば、副画素R,G、Bの数に対する電源線PLの本数を減らすことができる。そのため、副画素R、G、Bの面積を小さくすることができ、表示装置1を高精細化することが可能となる。
【0071】
また、TFT基板20の厚み方向において、第2レイヤー42は、第1レイヤー41よりも有機EL素子10側に配置されていてもよい。
【0072】
このように、有機EL素子10の表面の段差形成に影響を与えやすい第2レイヤー42が、有機EL素子10側に配置されている場合であっても、第2レイヤー42をそれぞれの開口部51の同じ位置に配置することで、当該段差を開口部51の同じ位置に形成することができる。これにより、同色の副画素R1、R2の開口部51が同じ膜厚分布を有することとなり、表示装置1の視野角特性を向上することができる。
【0073】
また、第2レイヤー42は、副画素R、G、Bに電力を供給する電源線PLまたは副画素R、G、Bに信号電圧を供給する信号線SLを含んでいてもよい。
【0074】
このように、第2レイヤー42が電源線PLまたは信号線SLであって膜厚が厚く形成される場合であっても、電源線PLまたは信号線SLを、それぞれの開口部51の同じ位置に配置することで、当該段差を開口部51の同じ位置に形成することがでる。これにより、同色の副画素R1、R2の開口部51が同じ膜厚分布を有することとなり、表示装置1の視野角特性を向上することができる。
【0075】
また、第2レイヤー42は、副画素R、G、Bに電力を供給する電源線PLまたは副画素R、G、Bに信号電圧を供給する信号線SLを有する金属層42aと金属層42aとは異なる層とを接続するコンタクト層42bを含んでいてもよい。
【0076】
このように、第2レイヤー42が金属層42aと金属層42aと異なる層とを接続するコンタクト層42bであっても、コンタクト層42bをそれぞれの開口部51の同じ位置に配置することで、当該段差を開口部51の同じ位置に形成することができる。これにより、同色の副画素R1、R2の開口部51が同じ膜厚分布を有することとなり、表示装置1の視野角特性を向上することができる。
【0077】
さらに、表示装置1のTFT基板20は、基板100、第1絶縁層102、第2絶縁層104および第3絶縁層106を有し、第1レイヤー41は、下部配線層41aおよび上部配線層41bを有し、第2レイヤー42は、金属層42aおよびコンタクト層42bを有し、下部配線層41aは、基板100上に設けられ、第1絶縁層102は、下部配線層41aを覆うように基板100上に設けられ、上部配線層41bは、第1絶縁層102上に設けられ、第2絶縁層104は、上部配線層41bを覆うように第1絶縁層102上に設けられ、金属層42aは、第2絶縁層104上に設けられ、コンタクト層42bは、上部配線層41bに接し第2絶縁層104を貫通して金属層42aに接続する層と、下部配線層41aに接し第1絶縁層102および第2絶縁層104を貫通して金属層42aに接続する層とを有し、第3絶縁層106は、金属層42aおよびコンタクト層42bを覆うように第2絶縁層104上に設けられていてもよい。
【0078】
このように、第2レイヤー42が金属層42aとコンタクト層42bとを有し、第2絶縁層104上に設けられている場合であっても、第2レイヤー42をそれぞれの開口部51の同じ位置に配置することで、当該段差を開口部51の同じ位置に形成することができる。これにより、同色の副画素R1、R2の開口部51が同じ膜厚分布を有することとなり、表示装置1の視野角特性を向上することができる。
【0079】
また、下部配線層41aは、TFT素子(トランジスタTd、Tws、Taz)のチャネルを含み、上部配線層41bは、上記TFT素子のゲートを含んでいてもよい。
【0080】
このように、TFT素子のチャネルおよびゲートを、第2絶縁層104よりも基板100側に位置する下部配線層41aおよび上部配線層41bで構成することで、TFT素子の厚みを起因とする段差の影響を抑制することができ、表示装置1の視野角特性を向上することができる。
【0081】
さらに、複数の副画素R、G、Bのそれぞれは、上記TFT素子に接続される容量素子CSを有し、容量素子CSは、互いに対向する一方の電極および他方の電極を有し、下部配線層41aは、上記一方の電極を含み、上部配線層41bは、上記他方の電極を含んでいてもよい。
【0082】
このように、容量素子CSの一方の電極および他方の電極を、第2絶縁層104よりも基板100側に位置する下部配線層41aおよび上部配線層41bで構成することで、容量素子CSの厚みを起因とする段差の影響を抑制することができ、表示装置1の視野角特性を向上することができる。
【0083】
[1−5.変形例]
図6は、実施の形態の変形例に係る画素30のうち、同色の副画素R1、R2の配線レイアウトを示す平面図である。変形例に係る画素30では、副画素R2の電源線PL(Vss)と信号線SLとの位置が、実施の形態と逆になっている。
【0084】
図6に示すように副画素R1、R2を平面視した場合、第1レイヤー41は、同色の副画素R1、R2間において線対称に配置されている。具体的には、各副画素R1、R2のトランジスタTd、Tws、Tazおよび容量素子CSは、列並び方向において副画素R1、R2の中間に位置する中心線に対して鏡対称に配置されている。
【0085】
また、
図6に示すように副画素R1、R2を平面視した場合、第2レイヤー42は、同色の副画素R1、R2のそれぞれの開口部51において、同じ位置に配置されている。
【0086】
例えば、副画素R1の開口部51では、信号線SLは矩形状である開口部51の左辺と重なる位置に設けられ、電源線PL(Vcc)は上記開口部51の右辺と重なる位置に設けられている。中継導体は、上記開口部51の中心からY方向プラス側に少し寄った位置に設けられている。また、コンタクト層42bは、中継導体と重なる位置に2つ、上記開口部51の中心からX方向プラス側であって電源線PL(Vcc)と重なる位置に1つ設けられている。
【0087】
一方、副画素R2の開口部51では、電源線PL(Vss)は開口部51の左辺と重なる位置に設けられ、信号線SLは上記開口部51の右辺と重なる位置に設けられている。中継導体は、上記開口部51の中心からY方向プラス側に少し寄った位置に設けられている。また、コンタクト層42bは、中継導体と重なる位置に2つ、上記開口部51の中心からX方向プラス側であって信号線SLと重なる位置に1つ設けられている。なお、副画素R2にて、信号線SLと重なる位置に設けられているコンタクト層42bは、副画素R1に設けられたコンタクト層42bと同じ位置となるように対応して設けられたダミー層であって、TFT素子や容量素子CSなどの電気素子には接続されていない。
【0088】
変形例の表示装置1では、同色の副画素R1、R2において、第2レイヤー42をそれぞれの開口部51において同じ位置に配置することで、有機EL素子10に形成される段差を開口部51の同じ位置に形成することができる。これにより、同色の副画素R1、R2の開口部51が同じ膜厚分布を有することとなり、表示装置1の視野角特性を向上することができる。
【0089】
(その他の形態)
以上、本発明に係るアクティブマトリクス表示装置1について、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではない。上述した実施の形態に対して本発明の主旨を逸脱しない範囲で当業者が思いつく各種変形を施して得られる変形例や、本発明に係るアクティブマトリクス表示装置1を内蔵した各種機器も本発明に含まれる。
【0090】
例えば、上記説明では、画素30は、有機EL素子10を駆動する表示装置として、3つのトランジスタTd、Tws、Tazと1つの容量素子CSとを有する、いわゆる3Tr1Cの構成について説明した。しかし、表示装置1の構成は、これに限らず、例えば、トランジスタTdとトランジスタTwsと容量素子CSとを有する、いわゆる2Tr1Cの構成であってもかまわない。
【0091】
また、トランジスタTd、Tws、Tazはnチャネル型のTFTとしたが、pチャネル型のTFTであってもかまわない。また、複数のトランジスタのうちの一部のトランジスタがnチャネル型のTFTであって、他のトランジスタがpチャネル型のTFTであってもかまわない。また、各トランジスタTd、Tws、Tazはトップゲート型のTFT素子に限らず、ボトムゲート型のTFT素子であってもかまわない。
【0092】
また、発光素子は、電流によって発光する有機EL素子10に限らず、例えば、電圧によって発光する無機化合物を用いた無機EL素子であってもかまわない。
【0093】
例えば、アクティブマトリクス表示装置1は、
図7に示すような薄型ディスプレイ装置200として実現される。
図7は、薄型ディスプレイ装置200の外観図である。このような薄型ディスプレイ装置200は、高い表示品位で映像等を表示することができる。