特許第6771423号(P6771423)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6771423
(24)【登録日】2020年10月1日
(45)【発行日】2020年10月21日
(54)【発明の名称】運搬台車
(51)【国際特許分類】
   B62B 5/00 20060101AFI20201012BHJP
   B62B 5/04 20060101ALI20201012BHJP
   B60B 33/06 20060101ALI20201012BHJP
【FI】
   B62B5/00 J
   B62B5/04 D
   B60B33/06
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-83944(P2017-83944)
(22)【出願日】2017年4月20日
(65)【公開番号】特開2018-177150(P2018-177150A)
(43)【公開日】2018年11月15日
【審査請求日】2019年8月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000232955
【氏名又は名称】株式会社日立ビルシステム
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】特許業務法人 武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平田 義之
【審査官】 米澤 篤
(56)【参考文献】
【文献】 特開平8−26118(JP,A)
【文献】 特開2014−162368(JP,A)
【文献】 特開2006−11098(JP,A)
【文献】 特開2017−56585(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0272230(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2017/0072743(US,A1)
【文献】 実開昭49−31055(JP,U)
【文献】 特開2002−85177(JP,A)
【文献】 特開2001−138703(JP,A)
【文献】 独国実用新案第202012001392(DE,U1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62B 5/00
B60B 33/06
B62B 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持部の上部に支持された運搬物を、前記支持部に対して収納可能に、及び前記支持部から突出可能に設けられた車輪部のキャスターの転動により運搬する運搬台車であって、
前記車輪部は、前記支持部の裏面側に配置され前記キャスターが取り付けられて昇降可能なベース部を有し、
前記ベース部に固定されており、前記支持部に形成された貫通穴に挿入されて前記支持部の上方に向って突出したねじ棒と、
前記ねじ棒に螺合するねじを有し、回転可能に設けられて前記ベース部を前記支持部に固定する回転体と、
前記車輪部の前記キャスターが前記支持部の内部に収納されて走行不能な状態にあって、前記ベース部の水平方向の動きを規制する第1規制部と、
前記車輪部の前記キャスターが前記支持部から下方に突出して走行可能な状態にあって、前記ベース部の水平方向の動きを規制する第2規制部とを備え
前記支持部は、それぞれ断面が略C字状で下側に開放部を有しており、互いに対向して配置された長尺の一対の支持部材から成り、
前記第1規制部は、前記ベース部の両側部を形成し上方に向って突出形成された一対の立ち上がり部と、前記支持部材の上部に形成されて一対の前記立ち上がり部のそれぞれが挿入される一対の切り欠き穴とから成ることを特徴とする運搬台車。
【請求項2】
請求項に記載の運搬台車であって、
前記第2規制部は、前記支持部材の両側部の下端にそれぞれ形成された一対の切り欠き溝と、前記切り欠き溝に挿入されて係合する前記ベース部の前記立ち上がり部とから成ることを特徴とする運搬台車。
【請求項3】
請求項に記載の運搬台車であって、
一対の前記切り欠き穴のそれぞれは、前記支持部材の短手方向に延設形成され、一対の前記切り欠き穴のそれぞれ互いに離れる側の壁面を構成する外壁面間の寸法と、一対の前記立ち上がり部のそれぞれ互いに離れる側の側面を構成する外側面間の寸法とは略同寸法に設定されており、
前記切り欠き穴の長さ寸法と、前記立ち上がり部の立ち上がり方向と直交する水平面内の寸法である幅寸法とは略同寸法に設定されており、
一対の前記切り欠き溝のそれぞれは、前記支持部材の長手方向に延設形成され、前記切り欠き溝の長さ寸法と、前記立ち上がり部の幅寸法とは略同寸法に設定されていることを特徴とする運搬台車。
【請求項4】
請求項に記載の運搬台車であって、
前記運搬物は、エレベーターに備えられる大型構造物から成り、
前記車輪部は、一対の前記支持部材の長手方向の両端部の近傍にそれぞれ配置されていることを特徴とする運搬台車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大型構造物等を運搬する運搬台車に関する。
【背景技術】
【0002】
運搬物のトラックによる搬送、トラックからの荷下ろし、及び荷下ろし後の走行に際しての利便性を考慮して、従来、「キャスター収納可能な重量物用筐体」が特許文献1に開示されている。この従来技術は、運搬物が載置され、前後左右の4箇所に配置された4つのキャスターが設けられた内台と、内台の両側部に対向して設けられた一対のガイドレールとを備えている。内台の両側部には軸が設けられており、ガイドレールのそれぞれには前述の軸が移動可能に挿入されL字を形成するL型軸受孔が設けられている。
【0003】
トラックによる運搬物の搬送時には、ガイドレールのL型軸受孔の最上位置に軸が位置し、この軸の位置に応じて内台が高い位置に保たれ、キャスターの下端がガイドレールの下端よりも高く保たれる。したがって、トラックの荷台にガイドレールが当接し、キャスターは荷台と接触しないように収納された状態に保たれる。この状態で内台上の運搬物は、搬送される。
【0004】
また、トラックからの荷下ろしに際しては、内台の両側部に設けた軸をガイドレールのL型軸穴のL字に沿って下降させ、低い位置に軸が位置するように保たれる。この軸の下降に伴って内台が下降して、キャスターがガイドレールから下方に突出する。したがって、荷下ろし後はキャスターの転動により内台に載置された運搬物を目標場所まで走行させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−162010号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示された従来技術では、内台上の運搬物の荷下ろし時あるいは走行時に、内台の軸に外力が与えられたときに、軸がL型軸受孔内を水平方向に移動してしまい、これに応じて内台及びキャスターが水平面内において変位する虞がある。このような変位を生じると、運搬物を安定して荷下ろしすることが、また円滑に走行させることが難しくなる。
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の目的は、トラックによる搬送時に運搬物を荷台上に安定して支持できると共に、外力が与えられてもその外力による影響を受けずに運搬物を荷下ろしして走行させることができる運搬台車を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係る運搬台車は、支持部の上部に支持された運搬物を、前記支持部に対して収納可能に、及び前記支持部から突出可能に設けられた車輪部のキャスターの転動により運搬する運搬台車であって、前記車輪部は、前記支持部の裏面側に配置され前記キャスターが取り付けられて昇降可能なベース部を有し、前記ベース部に固定されており、前記支持部に形成された貫通穴に挿入されて前記支持部の上方に向って突出したねじ棒と、前記ねじ棒に螺合するねじを有し、回転可能に設けられて前記ベース部を前記支持部に固定する回転体と、前記車輪部の前記キャスターが前記支持部の内部に収納されて走行不能な状態にあって、前記ベース部の水平方向の動きを規制する第1規制部と、前記車輪部の前記キャスターが前記支持部から下方に突出して走行可能な状態にあって、前記ベース部の水平方向の動きを規制する第2規制部とを備え、前記支持部は、それぞれ断面が略C字状で下側に開放部を有しており、互いに対向して配置された長尺の一対の支持部材から成り、前記第1規制部は、前記ベース部の両側部を形成し上方に向って突出形成された一対の立ち上がり部と、前記支持部材の上部に形成されて一対の前記立ち上がり部のそれぞれが挿入される一対の切り欠き穴とから成ることを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る運搬台車によれば、従来におけるような外力によるキャスターの変位を抑制でき、運搬物の安定した荷下ろし及び円滑な走行を実現させることができる。前述した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に係る運搬台車の第1実施形態を示す図で、走行時の状態を示す側面図である。
図2】第1実施形態に備えられた支持部及び車輪部の走行時の状態を示す側面図である。
図3図2に示した支持部の平面図である。
図4】第1実施形態に備えられた支持部及び車輪部のトラック搬送時の状態を示す側面図である。
図5図4に示した支持部の平面図である。
図6】第1実施形態に係る運搬台車のトラック搬送時の状態を示す斜視図である。
図7】第1実施形態に係る運搬台車の走行時の状態を示す斜視図である。
図8】本発明の第2実施形態を示す斜視図である。
図9】本発明の第3実施形態を示す図で、支持部及び車輪部の走行時の状態を示す側面図である。
図10図9に示した支持部の平面図である。
図11】本発明の第4実施形態を示す図で、支持部及び車輪部のトラック搬送時の状態を示す側面図である。
図12】本発明の第4実施形態を示す図で、支持部及び車輪部の走行時の状態を示す側面図である。
図13図11の要部拡大斜視図である。
図14図12の要部拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る運搬台車の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0012】
図1に示すように、本発明の第1実施形態に係る運搬台車は、支持部の上部に支持された運搬物、例えばエレベーターに備えられる大型構造物である乗りかご床1等を運搬する運搬台車である。
【0013】
図6及び図7に示すように、前述の支持部は、それぞれ断面が略C字状で下側に開放部を有しており、互いに対向して配置された長尺の一対の支持部材2から成っている。図1に示すように、支持部材2の上部2aに形成した固定穴8に挿入したボルト9aと、このボルト9aに螺合するナット9bとによって、乗りかご床1は一対の支持部材2上に固定されている。
【0014】
この第1実施形態は、支持部すなわち一対の支持部材2のそれぞれに対して収納可能に、及び一対の支持部材2のそれぞれの下方に突出可能に設けられた車輪部3のキャスター4の転動によって走行する。車輪部3は、一対の支持部材2の長手方向の両端部の近傍にそれぞれ配置されている。すなわち、車輪部3は合計4個設けられている。
【0015】
図2図4に示すように、車輪部3は、支持部材2の裏面側に配置されキャスター4が取り付けられて昇降可能なベース部5を有している。キャスター4はベース部5を形成する部材に取り付けられた回転軸4aによって回転自在に支持されている。
【0016】
この第1実施形態は、ベース部5に固定されており、支持部材2に形成された貫通穴10に挿入されて支持部材2の上方向に突出したねじ棒6を備えている。また、ねじ棒6に螺合するねじを内周面に有し、回転可能に設けられてベース部5を支持部材2に固定する回転体、例えば六角ナット7を備えている。
【0017】
また、第1実施形態は、図4及び図5に示すように、車輪部3のキャスター4が支持部材2の内部に収納されて走行不能な状態にあって、ベース部5の水平方向の動きを規制する第1規制部を備えている。この第1規制部は、ベース部5の両側部を形成し上方に向って突出形成された一対の立ち上がり部5aと、支持部材2の上部2aに形成されて一対の立ち上がり部5aのそれぞれが挿入される一対の切り欠き穴11とから成っている。
【0018】
また、第1実施形態は、図2及び図3に示すように、車輪部3のキャスター4が支持部材2から下方に突出して走行可能な状態にあって、ベース部5の水平方向の動きを規制する第2規制部を備えている。この第2規制部は、支持部材2の両方の側部2bの下端にそれぞれ形成された一対の切り欠き溝12と、この切り欠き溝12に挿入されて係合する前述したベース部5の立ち上がり部5aとから成っている。
【0019】
この第1実施形態は、乗りかご床1の搬送時には、図4に示すように、車輪部3のベース部5に設けられた立ち上がり部5aが、支持部材2の上部2aに形成された切り欠き穴11に挿入されて、車輪部3のキャスター4が支持部材2の内部に収納される。この状態において、ねじ棒6に螺合する六角ナット7が締め付けられベース部5が支持部材2の上部2aに締結されて、車輪部3が支持部材2に固定される。
【0020】
トラックからの乗りかご床1の荷下ろし時、及び走行時には、六角ナット7を緩めてベース部5を下降させて、ベース部5の立ち上がり部5aを支持部材2の切り欠き穴11から離脱させ、図4及び図5に示す状態から90度ベース部5を水平面内において回動させることが行われる。回動後にベース部5の立ち上がり部5aを支持部材2の側部2bに形成された切り欠き溝12に挿入し係合させる。これに伴って図2に示すように、車輪部3のキャスター4が支持部材2の側部2bから下方に突出する。この状態においてねじ棒6に螺合する六角ナット7が締め付けられて車輪部3が支持部材2に固定される。これにより走行が可能となる。
【0021】
図3に示すように、一対の切り欠き穴11のそれぞれは、支持部材2の短手方向に延設形成されている。一対の切り欠き穴11のそれぞれ互いに離れる側の壁面を構成する外壁面間の寸法と、ベース部5の一対の立ち上がり部5aのそれぞれ互いに離れる側の側面を構成する外側面間の寸法とは、略同寸法Aに設定されている。
【0022】
また、図5に示すように、切り欠き穴11の長さ寸法と、ベース部5の立ち上がり部5aの立ち上がり方向と直交する水平方向の寸法である幅寸法とは、略同寸法Bに設定されている。
【0023】
図2に示すように、支持部材2の側部2bの下端に形成した一対の切り欠き溝12のそれぞれは、支持部材2の長手方向に延設形成されている。切り欠き溝12の長さ寸法と、ベース部5の立ち上がり部5aの前述した幅寸法とは、略同寸法Bに設定されている。
【0024】
この第1実施形態に係る運搬台車は、トラックによる乗りかご床1の搬送時に、図6に示すように、一対の支持部材2上に運搬物である乗りかご床1が載置され、乗りかご床1側に形成された固定穴と支持部材2の固定穴8とに挿入したボルト9aと、このボルト9aに螺合するナット9bとによって、乗りかご床1が一対の支持部材2上に固定される。
【0025】
また、図4にも示すように、車輪部3のベース部5の一対の立ち上がり部5aのそれぞれが支持部材2の上部2aの一対の切り欠き穴11のそれぞれに挿入されて、六角ナット7が締め付けられてベース部5が支持部材2の上部2aに締結される。これに伴って、車輪部3のキャスター4が支持部材2の内部に収納される。したがって、乗りかご床1が固定された一対の支持部材2の側部2bの下端がトラックの荷台に当接した状態となる。この状態でトラックによる乗りかご床1の搬送が行われる。
【0026】
また、トラックの荷台からの乗りかご床1の荷下ろし時、及び走行時には、ねじ棒6に螺合している六角ナット7が緩められてベース部5が下降する。この状態でベース部5を水平面内において90度回転させ、ベース部5の一対の立ち上がり部5aのそれぞれを支持部材2の側部2bの下端に設けられた切り欠き溝12に挿入することが行われる。立ち上がり部5aが切り欠き溝12に係合した状態で六角ナット7が締め付けられる。これらにより図7に示すように、支持部材2の側部2bから下方に車輪部3のキャスター4が突出した状態で、車輪部3が支持部材2に固定される。これにより走行が可能となる。
【0027】
このように構成した第1実施形態に係る運搬台車は、車輪部3のキャスター4が支持部材2の内部に収納されるトラックによる乗りかご床1の搬送時には、安定した乗りかご床1の搬送を実現できる。
【0028】
すなわち、乗りかご床1の搬送時には、車輪部3のベース部5の立ち上がり部5aが支持部材2の上部2aに形成された切り欠き穴11に挿入される。これにより、車輪部3が支持部材2に対して水平方向に動かないように保持される。また、ねじ棒6に螺合する六角ナット7によるベース部5の締結により、車輪部3が支持部材2に対して鉛直方向に動かないように保持される。これらによって、トラックの荷台上の乗りかご床1を安定して搬送することができる。
【0029】
また、キャスター4を支持部材2から下方に突出させて行われるトラックの荷台からの乗りかご床1の荷下ろし時、及び目標場所までの走行時には、車輪部3のキャスター4に外力が与えられたとしてもその外力の影響を受けることがない。すなわち外力によるキャスター4の変位が抑制されて、円滑な走行を実現できる。
【0030】
乗りかご床1を目標場所まで運搬する走行時には、ベース部5の立ち上がり部5aが支持部材2の側部2bの下端に形成した切り欠き溝12に挿入されて係合する。これにより、車輪部3が支持部材2に対して水平方向に動かないように保持される。また、ねじ棒6に螺合する六角ナット7による締結により、車輪部3が支持部材2に対して鉛直方向に動かないように保持される。これらによって、支持部材2上の乗りかご床1を目標場所まで円滑に走行させることができる。
【0031】
図8に示す本発明の第2実施形態に係る運搬台車は、第1実施形態の構成に加えて、一対の支持部材2間の間隔を精度良く調整可能な間隔調整部を備えている。
【0032】
この間隔調整部は、支持部材2の長手方向の一方の側端部側、及び他方の側端部側に設けられ、それぞれ対向する支持部材2に向って伸設された張り出し部材20と、一対の支持部材2の一方に設けられた張り出し部材20と一対の支持部材2の他方に設けられた張り出し部材20とを連結する連結部材21とを有している。
【0033】
また、間隔調整部は、連結部材21の側部に所定ピッチで形成された複数の穴21aと、張り出し部材20の側部に形成されて連結部材21の穴21aのいずれかの穴21aに適合する穴と、連結部材21の穴21a及び張り出し部材20の穴に挿入されて、張り出し部材20と連結部材21とを固定するボルト22とを有している。その他の構成は第1実施形態と同等である。
【0034】
このように構成した第2実施形態は、第1実施形態と同等の作用効果が得られる他、対向する支持部材2間を乗りかご床1等の運搬物の形状寸法に最適な所定間隔に容易に、かつ、精度良く調整することができ、より安定性の高い運搬物の搬送及び走行を実現させることができる。
【0035】
図9及び図10に示す本発明の第3実施形態に係る運搬台車は、ねじ棒6に螺合する回転体として、第1実施形態に備えられた六角ナット7に代えて、回転工具を用いることなく直接に手操作による回転が可能な蝶ナットを備えている。その他の構成は第1実施形態と同等である。
【0036】
このように構成した第3実施形態は、第1実施形態と同等の作用効果が得られる他、蝶ナット25の手操作による回転を介して、車輪部3のキャスター4を支持部材2の内部へ簡単に収納させることができ、また、キャスター4を支持部材2から簡単に突出させることができる。これにより支持部材2上に固定された乗りかご床1等の運搬物のトラックへの積み込み作業、及び荷下ろし作業の能率向上に貢献する。
【0037】
図11図14は、本発明の第4実施形態を示す図で、図11は支持部及び車輪部のトラック搬送時の状態を示す側面図、図12は支持部及び車輪部の走行時の状態を示す側面図、図13図11の要部拡大斜視図、図14図12の要部拡大斜視図である。
【0038】
この第4実施形態は、図11及び図13に示すように、車輪部3のキャスター4が支持部材2の内部に収納されて走行不能な状態にあってベース部5の動きを規制する第1規制部の構成が、第1実施形態に備えられたものとは異なっている。第4実施形態に備えられた第1規制部は、支持部材2の上部2aの裏面に設けられ下方に向って突出形成された一対の突起部2cと、ベース部5に形成され一対の突起部2cのそれぞれが挿入される一対の切り欠き穴5bとによって構成されている。
【0039】
また、図12及び図14に示すように、キャスター4が支持部材2から下方に突出して走行可能な状態にあってベース部5の動きを規制する第2規制部の構成も、第1実施形態におけるものと異なっている。この第4実施形態に備えられた第2規制部は、支持部材2の側部2bの下端に形成した図11及び図13にも示す一対の突出部2dと、ベース部5に形成され一対の突出部2dのそれぞれが挿入される図14に示す一対の切り欠き穴5cとによって構成されている。
【0040】
また、図11に示すように、キャスター4を支持部材2の内部に収納させたトラックによる運搬物の搬送時に、一対の支持部材2のそれぞれを安定してトラックの荷台上に搭載させるために、支持部材2の側部2bの下端の突出部2dの近傍位置に剛性の高い角筒部材30を溶接部を介して固定してある。この角筒部材30は1つの支持部材2に対して例えば2つ設けてある。角筒部材30の高さ寸法は、突出部2dの高さ寸法よりも大きく設定されている。したがって、運搬物が固定された一対の支持部材2をトラックの荷台上に搭載する際には、角筒部材30がトラックの荷台に当接する。突出部2dは、荷台に当接しないように保たれる。その他の構成は第1実施形態と同等である。
【0041】
このように構成した第4実施形態は、キャスター4を支持部材2の内部に収納する際には、図11及び図13に示すように、支持部材2に設けられた突起部2cがベース部5に形成された切り欠き穴5c内に挿入されて、第1実施形態と同様にベース部5が水平方向に動かないように保たれる。
【0042】
また、キャスター4を支持部材2から下方に突出させる際には、図12及び図14に示すように、支持部材2に設けられた突出部2dがベース部5に形成された切り欠き穴5cに挿入されて、第1実施形態と同様にベース部5が水平方向に動かないように保たれる。これらにより、第4実施形態も前述した第1実施形態と略同等の作用効果が得られる。
【0043】
なお、各部の構成は図示の実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0044】
1・・乗かご床(運搬物)、2・・支持部材(支持部)、2a・・上部、2b・・側部、2c・・突起部(第1規制部)、2d・・突出部(第2規制部)、3・・車輪部、4・・キャスター、5・・ベース部、5a・・立ち上がり部(第1規制部)(第2規制部)、5b・・切り欠き穴(第1規制部)、5c・・切り欠き穴(第2規制部)、6・・ねじ棒、7・・六角ナット(回転体)、8・・固定穴、9a・・ボルト、9b・・ナット、10・・貫通穴、11・・切り欠き穴(第1規制部)、12・・切り欠き溝(第2規制部)、20・・張り出し部材、21・・連結部材、21a・・穴、22・・ボルト、25・・蝶ナット(回転体)、30・・角筒部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14