(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6771431
(24)【登録日】2020年10月1日
(45)【発行日】2020年10月21日
(54)【発明の名称】三次元造形物を生成するための方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
B29C 64/106 20170101AFI20201012BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20201012BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20201012BHJP
B33Y 50/02 20150101ALI20201012BHJP
B29C 64/393 20170101ALI20201012BHJP
B29C 64/209 20170101ALI20201012BHJP
【FI】
B29C64/106
B33Y10/00
B33Y30/00
B33Y50/02
B29C64/393
B29C64/209
【請求項の数】20
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-125110(P2017-125110)
(22)【出願日】2017年6月27日
(65)【公開番号】特開2018-8515(P2018-8515A)
(43)【公開日】2018年1月18日
【審査請求日】2020年6月10日
(31)【優先権主張番号】15/210,620
(32)【優先日】2016年7月14日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィット・エイ・マンテル
【審査官】
正 知晃
(56)【参考文献】
【文献】
特表2009−525207(JP,A)
【文献】
国際公開第2016/014543(WO,A1)
【文献】
国際公開第2015/009938(WO,A1)
【文献】
特表2013−506579(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/00−64/40
B33Y 10/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
押出成形機アセンブリを操作して三次元造形物を形成する方法であって、
少なくとも1つのアクチュエータを用いて、それを通して少なくとも1つの開口部を通じて材料を押し出すことができる押出面積を規定する前記少なくとも1つの開口部を有する押出成形機を位置決めするステップであって、前記押出成形機は、造形プラテン上に支持されている物体の一部によって前記押出面積の第1の部分を被覆し、前記押出面積の第2の部分を開放したままにするように位置決めされる、位置決めするステップと、
前記少なくとも1つのアクチュエータを用いて前記物体に沿って前記押出成形機を移動させながら、前記押出面積の前記第2の部分を通じて前記物体に隣接する造形材料の第1の連続リボンを押し出すステップとを含む、方法。
【請求項2】
前記第1のリボンを形成するステップは、前記押出面積の前記第2の部分の面積に基づく流速で前記押出面積の前記第2の部分を通じて前記造形材料を押し出すステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記方法は、前記押出面積の前記第2の部分を通じて前記第1の連続的な造形材料のリボンを押し出す前に、前記少なくとも1つのアクチュエータを用いて前記押出成形機を移動させながら、前記少なくとも1つの開口部を通じて造形材料の第2の連続リボンを押し出すステップをさらに含み、
前記押出成形機の位置決めする前記ステップは、前記第2の連続リボンで前記押出面積の前記第1の部分を被覆するように前記押出成形機を位置決めするステップを含み、
前記造形材料の第1のリボンは、前記造形材料の第2のリボンに隣接して押し出される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1のリボンおよび前記第2のリボンは、前記造形物の第1の層の連続部分を形成する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1のリボンおよび前記第2のリボンのうちの一方が、前記第1の層の最外縁を形成する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記方法は、前記少なくとも1つの開口部を通じて、前記第2のリボンの前記第1のリボンとは反対の側に隣接して、造形材料の第3の連続リボンを押し出すステップであって、前記第3のリボンは、前記少なくとも1つの開口部の前記押出面積を被覆することなく押し出されるステップをさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記方法は、前記第1の連続リボンおよび前記第2の連続リボンを押し出すステップの前に、前記少なくとも1つの開口部を通じて、造形材料の第4の連続リボンを押し出すステップであって、前記第4の連続リボンは、前記少なくとも1つの開口部の前記押出面積を被覆することなくかつ前記第3の連続リボンと同じ方向に整列されて形成されるステップをさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第3のリボンを押し出すステップは、前記第3の連続リボンの外縁と前記第4の連続リボンの外縁とが整列しないように、前記第3の連続リボンを前記第4の連続リボンの上かつ前記第4の連続リボンからオフセットして形成するステップをさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つの開口部が、スロット形状の押出面積を規定する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記少なくとも1つの開口部が、複数の開口部を含み、各開口部が面積を有し、前記複数の開口部の前記押出面積が、前記複数の開口部の面積の和である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記物体に沿って前記押出成形機本体を移動させるステップが、前記造形材料を押し出しながら前記押出成形機本体を回転させ平行移動させるステップであって、前記造形材料の押し出しが、前記回転の曲率半径および前記少なくとも1つの開口部に対する前記押出成形機本体の平行移動の角度に基づく速度で行われるステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
三次元物体印刷システムのための押出成形機アセンブリであって、
材料の連続リボンを押し出すように構成された開口部を有する押出成形機であって、前記開口部は、それを通じて前記開口部から材料を押し出すことができる押出面積を規定する、押出成形機と、
前記押出成形機に動作可能に接続されている少なくとも1つのアクチュエータであって、前記少なくとも1つのアクチュエータは、前記押出成形機を水平面内で移動させるように構成されている、少なくとも1つのアクチュエータと、
前記押出成形機、前記少なくとも1つのアクチュエータ、およびメモリに動作可能に接続されているコントローラとを備え、前記コントローラは、造形プラテン上に支持された物体の一部によって前記押出成形機の前記開口部内の前記押出面積の第1の部分を被覆し、前記押出成形機の前記開口部内の前記押出面積の第2の部分を開放したままにするように前記押出成形機を位置決めするように、前記少なくとも1つのアクチュエータを操作し、
前記物体に沿って前記押出成形機を移動させるように前記少なくとも1つのアクチュエータを操作し、前記物体に隣接する造形材料の第1の連続リボンを押し出すように前記押出成形機を移動させるように前記少なくとも1つのアクチュエータを操作しながら、前記押出成形機の前記開口部内の前記押出面積の前記第2の部分を通じて造形材料を押し出すように前記押出成形機を操作するための、メモリに格納されたプログラム命令を実行するように構成されている、押出成形機アセンブリ。
【請求項13】
前記コントローラは、前記押出成形機の前記開口部内の前記押出面積の前記第2の部分の面積に基づく流速で前記押出成形機の前記開口部内の前記押出面積の前記第2の部分を通じて前記造形材料を押し出すように前記押出成形機を操作するためのプログラム命令を実行するようにさらに構成されている、請求項12に記載の押出成形機アセンブリ。
【請求項14】
前記コントローラは、前記造形材料の第1の連続リボンを押し出すように前記押出成形機および前記少なくとも1つのアクチュエータを操作する前に、造形材料の第2の連続リボンを押し出すように前記押出成形機を移動させるように前記少なくとも1つのアクチュエータを操作しながら、前記開口部を通じて前記造形材料を押し出すように前記押出成形機を操作するためのプログラム命令を実行するようにさらに構成されており、
前記押出成形機を位置決めするように前記少なくとも1つのアクチュエータを操作するステップは、前記押出成形機の前記開口部内の前記押出面積の前記第1の部分を前記第2のリボンで被覆するように前記押出成形機を位置決めするステップを含み、
前記造形材料の第1の連続リボンを押し出すように前記押出成形機および前記少なくとも1つのアクチュエータを操作する前記ステップは、前記第2のリボンに隣接して前記第1のリボンを押し出すように、前記第2の連続リボンに沿って前記押出成形機を動かすように、前記少なくとも1つのアクチュエータを操作するステップを含む、請求項12に記載の押出成形機アセンブリ。
【請求項15】
前記コントローラは、前記第1の連続リボンおよび前記第2の連続リボンを造形物の連続した第1の層として押し出すように、前記押出成形機および前記少なくとも1つのアクチュエータを操作するためのプログラム命令を実行するようにさらに構成されている、請求項14に記載の押出成形機アセンブリ。
【請求項16】
前記コントローラは、前記第1の連続リボンおよび前記第2の連続リボンのうちの一方を前記第1の層の最外縁において押し出すように、前記押出成形機および前記少なくとも1つのアクチュエータを操作するためのプログラム命令を実行するようにさらに構成されている、請求項15に記載の押出成形機アセンブリ。
【請求項17】
前記コントローラは、前記押出成形機の前記開口部を通じて、前記第2の連続リボンの前記第1の連続リボンとは反対の側に隣接して、造形材料の第3の連続リボンを押し出すように前記押出成形機および前記少なくとも1つのアクチュエータを操作するためにプログラム命令を実行するようにさらに構成され、前記第3の連続リボンは、前記押出成形機の前記開口部内の前記押出面積を被覆することなく押し出される、請求項15に記載の押出成形機アセンブリ。
【請求項18】
前記コントローラは、前記第1の連続リボンおよび前記第2の連続リボンを押し出すように前記押出成形機および前記少なくとも1つのアクチュエータを操作する前に、前記押出成形機の前記開口部を通じて、造形材料の第4の連続リボンを押し出すように前記押出成形機および前記少なくとも1つのアクチュエータを操作するためにプログラム命令を実行するようにさらに構成され、
前記第4の連続リボンは、前記押出成形機の前記開口部内の前記押出面積を被覆することなくかつ前記第3の連続リボンと同じ方向に整列されて形成され、
前記押出成形機および前記少なくとも1つのアクチュエータを操作して前記第3の連続リボンを押し出すステップは、前記第3の連続リボンの外縁と前記第4の連続リボンの外縁とが整列しないように、前記第3の連続リボンを前記第4の連続リボンの上かつ前記第4の連続リボンからオフセットして形成するステップをさらに含む、請求項17に記載の押出成形機アセンブリ。
【請求項19】
前記押出成形機の前記開口部は、前記押出面積を規定するスロット形状の開口部である、請求項12に記載の押出成形機アセンブリ。
【請求項20】
前記押出成形機は、複数の他の開口部を含み、前記複数の他の開口部の各開口部が面積を有し、前記押出成形機の前記押出面積が、前記複数の他の開口部の面積と前記押出成形機の前記開口部の面積との和である、請求項12に記載の押出成形機アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示されるシステムおよび方法は、三次元物体を生成するプリンタ、より詳細には、そのようなプリンタ用の押出成形機アセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
デジタル積層造形としても知られているデジタル三次元造形は、デジタルモデルから実質的にあらゆる形状の三次元固体物体を作成する工程である。三次元物体の印刷は、1つまたは複数の押出成形機またはエジェクタアセンブリが、たとえば、アクリロニトリルブタジエンスチレン(「ABS」)またはポリ乳酸(「PLA」)のような熱可塑性材料の連続層を、基板上で異なる形状で形成する加色工程である。いくつかの従来の三次元物体プリンタでは、押出成形機はドキュメントプリンタのプリントヘッドに類似している。そのような押出成形機は、材料の滴を吐出するエジェクタのアレイではなく、材料の連続流を放出して層を形成する押出成形機のアレイを含む。
【0003】
他の公知の三次元物体プリンタでは、押出成形機アセンブリは、造形材料を押し出して印刷物体を生成するための層を形成するように構成された単一のノズルを含む。ノズルは、一般に、造形材料の連続フィラメントを放出する小さな円形の穴として構成される。フィラメントは、層ごとに定置されて隣接するストリップになり、三次元部品を形成する。
【0004】
このような押出成形機アセンブリでは、印刷物体は迅速かつ正確に形成されるべきである。ノズルのサイズは、部品の最小分解能と物体を形成することができる速度の両方を決定する。より大きなノズルを有する押出成形機は、物体をより迅速に形成することができるが、隣接するストリップの形成は、層の幅がノズル幅の整数倍に等しくなければならないので、分解能が低下する。他方、より小さい直径のノズルを有する押出成形機は、より小さい細部を形成するために使用することができるが、各パスで押し出される体積が小さいため、生成により多くの時間が必要であり、場合によっては数時間または数日程度かかる。したがって、従来の三次元物体プリンタでは、ノズルのサイズは、造形速度と造形分解能との間にトレードオフをもたらす。
【0005】
この問題に対する1つの解決策は、より大きな物体に対する大きなノズル、および、細部を形成するための小さなノズルを有する押出成形機アセンブリを使用することである。しかしながら、そのような押出アセンブリは、接続部、弁、および制御回路が各ノズルに必要とされるので高価である。もう1つの解決策は、小さなノズル押出成形機アセンブリを使用して大部分が中空の部品を作ることであった。中空部品を生成することは、物体を生成するのに必要な時間を短縮するが、物体の構造強度は著しく低下し、中空物体の有用性が制限される。
【0006】
したがって、物体の細部がより増え、構造強度が増大し、生成時間が短縮されるように、押出成形機アセンブリを含むプリンタを有する、三次元物体を形成するためのシステムおよび方法の改善が有益であろう。
【0007】
三次元造形物を形成するために押出成形機アセンブリを操作する方法は、造形物の分解能を高め、構造強度を増大させて造形物を迅速に形成する。この方法は、少なくとも1つのアクチュエータを用いて、それを通して少なくとも1つの開口部を通じて材料を押し出すことができる押出面積を規定する少なくとも1つの開口部を有する押出成形機を位置決めするステップを含む。押出成形機は、造形プラテン上に支持されている物体の一部によって押出面積の第1の部分を被覆し、押出面積の第2の部分を開放したままにするように位置決めされる。本方法は、少なくとも1つのアクチュエータを用いて物体に沿って押出成形機を移動させながら、押出面積の第2の部分を通じて物体に隣接する造形材料の第1の連続リボンを押し出すステップをさらに含む。
【0008】
別の実施形態では、三次元物体印刷システム用の押出成形機アセンブリは、押出成形機と、少なくとも1つのアクチュエータと、コントローラとを備える。押出成形機は、材料の連続リボンを押し出すように構成された少なくとも1つの開口部を含み、少なくとも1つの開口部は、それを通って、少なくとも1つの開口部を通じて材料を押し出すことができる押出面積を規定する。少なくとも1つのアクチュエータは、押出成形機に動作可能に接続され、押出成形機を水平面内で移動させるように構成される。コントローラは、押出成形機、少なくとも1つのアクチュエータ、およびメモリに動作可能に接続される。コントローラは、メモリに格納されたプログラム命令を実行して、押出成形機を、造形プラテン上に支持された物体の一部によって押出面積の第1の部分を被覆し、押出面積の第2の部分を開放したままにするように位置決めするように、少なくとも1つのアクチュエータを操作し、物体に沿って押出成形機を移動させるように少なくとも1つのアクチュエータを操作し、物体に隣接する造形材料の第1の連続リボンを押し出すように押出成形機を移動させるように少なくとも1つのアクチュエータを操作しながら、押出面積の第2の部分を通じて造形材料を押し出すように押出成形機を操作するように構成されている。
【0009】
押出成形機を有するプリンタおよび押出成形機を有するプリンタを操作する方法の上記の態様および他の特徴は、添付の図面とともに取り上げられる、以下の記載において説明される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、押出成形機アセンブリを有する三次元物体プリンタの概略図である。
【
図2】
図2は、造形物の生成中に自己バルビングプロセスを使用して造形材料のリボンを形成する方法を示す図である。
【
図3】
図3は、
図2の自己バルビングプロセスを使用して造形材料のリボンを形成する、
図1の3D物体プリンタのための押出成形機本体の側部部分断面図を示す。
【
図4】
図4は、
図2の自己バルビングプロセスを使用して造形材料のリボンを形成する、
図1の3D物体プリンタのための押出成形機本体の別の側部部分断面図を示す。
【
図5】
図5は、造形物の生成中に自己バルビングプロセスを使用して造形材料のリボンを形成する方法を示す図である。
【
図6】
図6は、
図4の自己バルビングプロセスを使用して造形材料のリボンを形成する、
図1の3D物体プリンタのための押出成形機本体の側部部分断面図である。
【
図7】
図7は、
図4の自己バルビングプロセスを使用して造形材料のリボンを形成する、
図1の3D物体プリンタのための押出成形機本体の別の側部部分断面図である。
【
図8】
図8は、
図1の3D物体プリンタを操作して造形物を生成する方法を示す図である。
【
図9】
図9は、
図8の方法に従って
図1の3D物体プリンタによって生成される第1の層の上面図である。
【
図10】
図10は、
図8の方法に従って
図1の3D物体プリンタによって生成される、
図9の第1の層および第2の層の上面図である。
【
図11】
図11は、
図1の3D物体プリンタを操作して造形物を生成する方法を示す図である。
【
図12】
図12は、湾曲した特徴部を形成するように同時に並進および回転する
図1の押出成形機本体の上部部分概略図である。
【
図13】
図13は、
図1の押出スロットを使用して湾曲した特徴部を生成するための半径と押出幅との比に対する押出係数のグラフ図である。
【
図14】
図14は、押出スロットを有する押出成形機アセンブリを有し、x、y、z、および回転方向の各々において押出成形機本体を移動させるように構成された別個のアクチュエータを含む三次元物体プリンタの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書に開示するシステムおよび方法に関する環境ならびにシステムおよび方法に関する詳細の全般的な理解のために、図面を参照する。図面において、同様の参照符号は全体を通じて同様の要素を指定するために使用されている。
【0012】
図1は、三次元物体プリンタ100を示す。三次元物体プリンタ100は、アクチュエータアセンブリ104と、押出成形機アセンブリ108と、造形プラテン112と、コントローラ116とを含む。アクチュエータアセンブリ104は、少なくとも1つのアクチュエータ120と、支持フレーム(図示せず)に取り付けられた1対のレール124とを含む。レール124は、アクチュエータ120が、x軸128、y軸132、およびz軸136に沿って押出成形機アセンブリ108を並進させ、図示された実施形態ではz軸136に平行な回転軸140を中心として押出成形機アセンブリ108を回転させることを可能にするように、アクチュエータ120および押出成形機アセンブリ108を支持するように構成されている。
【0013】
図1の実施形態では、アクチュエータアセンブリ104は、押出成形機アセンブリ108をそれぞれx、y、z軸128、132、136に並進させ、回転軸140を中心として押出成形機アセンブリ108を回転させるように構成された単一のアクチュエータ120を含む。別の実施形態では、アクチュエータアセンブリ104は、押出成形機アセンブリ108をそれぞれx、y、z軸128、132、136に並進させる第1のアクチュエータと、回転軸140を中心として押出成形機アセンブリ108を回転させるように構成された第2のアクチュエータとを含む。さらなる実施形態では、アクチュエータ120は、押出成形機アセンブリ108を回転させることなく、x軸、y軸およびz軸のうちの1つまたは複数の軸128、132、136で押出成形機アセンブリ108をそれぞれ平行移動させるように構成されてもよい。
【0014】
図14に示すさらに別の実施形態では、アクチュエータアセンブリ104Aは、押出成形機本体164をx方向128に移動させるように構成された第1のアクチュエータ120Xと、押出成形機本体164をy方向132に移動させるように構成された第2のアクチュエータ120Yと、押出成形機本体164をz方向136に移動させるように構成された第3のアクチュエータ120Zと、回転軸140を中心として押出成形機本体164を回転させるように構成された第4のアクチュエータ120Rとを含む。別の実施形態では、アクチュエータアセンブリ104Aは、第1のアクチュエータ120X、第2のアクチュエータ120Y、および第3のアクチュエータ120Zのうちの1つまたは複数を含むが、第4のアクチュエータ120Rを含まない。
【0015】
図1を再び参照すると、押出成形機アセンブリ108は、押出成形機本体160と、一定量の造形材料を貯蔵するように構成されたリザーバ164とを含む。押出成形機本体160の底部には、少なくとも1つの押出開口部168(
図1の図面では縮尺通りに示されていない)が画成されている。少なくとも1つの押出開口部168は、リザーバ164に動作可能に接続され、リザーバ164から受け取った造形材料を押し出して造形プラテン112上に造形物180を形成するように構成される。
【0016】
図1に示す実施形態では、少なくとも1つの押出開口部168は、単一のスロット形状の開口部である。一実施形態では、スロット形状押出開口部168の長さは、約0.75mmと約6.4mmとの間であり、スロット形状押出開口部168の幅は、約0.2mmと約0.5mmとの間である。別の特定の実施形態では、スロット形状押出開口部168の長さは約1.2mmであり、スロット形状押出開口部168の幅は約0.3mmである。他の実施形態では、少なくとも1つの押出開口部168は、列またはアレイに配列された複数のスロットまたは複数のより小さいノズルを含む。さらに他の実施形態では、少なくとも1つの押出開口部は、別の適切な開口部または複数の開口部によって形成される。単一の押出開口部を有する実施形態では、開口部の寸法は、それを通じて造形材料を押し出すことができる単一の押出開口部の押出面積を規定する。複数の押出開口部を有する実施形態では、各開口部の寸法が面積を規定し、複数の押出開口部の面積の合計が、それを通じて材料を押し出すことができる押出面積を規定する。
【0017】
図2は、三次元物体プリンタ100を操作して造形材料を押し出し、造形物180を形成するために使用される自己バルビングプロセス300を示す。プロセスが何らかのタスクまたは機能を実施しているという記述は、コントローラまたは汎用プロセッサが、データを操作し、システム内の1つまたは複数のコンポーネントを、タスクまたは機能を実施するように動作させるためにコントローラまたはプロセッサに動作可能に接続されている非一時的コンピュータ可読記憶媒体内に記憶されているプログラム命令を実行することを指す。上記で言及されている三次元物体プリンタ100のコントローラ116は、プロセス300を実施するコントローラまたはプロセッサを提供するためのコンポーネントおよびプログラム命令を用いて構成することができる。代替的に、コントローラは、2つ以上のプロセッサならびに関連回路およびコンポーネントを用いて実装されてもよく、それらの各々は、本明細書において説明する1つまたは複数のタスクまたは機能を形成するように構成されている。
【0018】
図2〜
図4を参照すると、プロセス300は、コントローラ116が、押出スロット168の第1の部分172が、造形プラテン112上に支持された物体184によって被覆され、一方で、押出スロット168の第2の部分176は開いたままであるように、押出成形機本体160を位置決めするようにアクチュエータ120を、操作することによって開始する(ブロック304)。図示された実施形態では、第1の部分172を被覆する物体184は、造形物180の一部を形成する、予め押し出された造形材料のリボンである。他の実施形態では、第1の部分を被覆する物体は、その周りにまたはそれに対して、たとえばテンプレートまたはガイドのような造形物が形成される金属、木材、またはプラスチック物体であってもよい。
【0019】
押出成形機本体160が位置決めされると、コントローラ116は押出成形機アセンブリ108を、少なくとも1つの押出開口部168の第2の部分176を通じて造形材料を押し出すように操作する(ブロック308)。押出成形機アセンブリ108が押し出すように操作されると、コントローラ116は、物体184に隣接する造形材料の連続リボン188(
図4)を形成するように、押出成形機アセンブリ108を
図3および
図4の図では物体184に沿ってページ中へと移動させるように、アクチュエータ120を操作する(ブロック312)。
【0020】
いくつかの実施形態では、コントローラ116は、開いた第2の部分176の面積に基づいて押出成形機アセンブリ108によって押し出される造形材料の流速を調節するように構成される。たとえば、コントローラ116は、押出成形機アセンブリ108を動作させて、被覆されていない押出開口部を通じて押し出すために使用される最大流速から、被覆された第1の部分172と少なくとも1つの押出開口部168の総面積との比に比例する速度を減少した速度で造形材料を押し出すように構成することができる。たとえば、被覆された第1の部分172が少なくとも1つの押出開口部168の総面積の3分の1である場合、押し出される材料の流速は最大流速の3分の1〜3分の2減少する。
【0021】
図4から分かるように、造形材料のストリップ188は、押出スロット168の幅よりも小さい幅を有する。したがって、押出成形品180の所与の層、たとえば層192の全体寸法は、少なくとも1つの押出開口部168の幅の整数積に限定されず、代わりに任意の所望の幅で形成することができる。さらに、いくつかの実施形態では、コントローラ116は、押出プロセス中に、ストリップ188の幅をその長さに沿って変えるために、ストリップが形成される方向において横に、たとえば
図3および
図4の図では、水平に押出成形機アセンブリ108を移動させるように、アクチュエータ120を操作するように構成されている。
【0022】
いくつかの実施形態では、押出スロット168の幅よりも狭い幅を有する複数のリボンを形成するために、プロセス300が繰り返される。他の実施形態では、プロセス300が完了すると、コントローラ116は、リボン188に隣接する1つまたは複数の追加リボンを形成するように構成されており、追加のリボンの各々は、押出スロット168の幅に基本的に等しい幅を有する。造形材料のリボンは、造形材料の連続層192を形成するように互いに隣接して形成される。いくつかの実施形態では、コントローラ116は、造形材料の複数の連続層を形成して造形物180を形成するように構成される。
【0023】
上述した三次元物体プリンタ100の構成は、幅の広いリボンを形成することが可能であるにもかかわらず、造形物の湾曲した表面および微細な特徴部を形成する。その結果、プリンタ100は、造形物180のより小さい特徴部の分解能を犠牲にすることなく、高速で物体を形成することができる。さらに、押出スロット168の第1の部分172を被覆する物体が予め押し出されたリボンである実施形態では、隣接するリボンが互いに重なり合って、隣接するリボン間の隙間を減少またはなくし、それによって造形物180の全体的な強度を改善する。
【0024】
図5は、三次元物体プリンタ100を操作して造形材料を押し出し、造形物180を形成するために使用される別の自己バルビングプロセス350を示す。プロセスが何らかのタスクまたは機能を実施しているという記述は、コントローラまたは汎用プロセッサが、データを操作し、システム内の1つまたは複数のコンポーネントを、タスクまたは機能を実施するように動作させるためにコントローラまたはプロセッサに動作可能に接続されている非一時的コンピュータ可読記憶媒体内に記憶されているプログラム命令を実行することを指す。上記で言及されている三次元物体プリンタ100のコントローラ116は、プロセス350を実施するコントローラまたはプロセッサを提供するためのコンポーネントおよびプログラム命令を用いて構成することができる。代替的に、コントローラは、2つ以上のプロセッサならびに関連回路およびコンポーネントを用いて実装されてもよく、それらの各々は、本明細書において説明する1つまたは複数のタスクまたは機能を形成するように構成されている。
【0025】
図5〜
図7を参照すると、プロセス350は、コントローラ116が、造形材料の第1のリボン200を形成するように押出成形機アセンブリを移動させるようにアクチュエータ120を操作しながら、造形材料を押し出すように押出成形機アセンブリ180を操作することによって開始する(ブロック354)。図示の実施形態では、第1のリボン200は、第1のリボン200の直下で層216の第1のリボン200と同じ方向に延在する2つの隣接するリボン208、212の間の継ぎ目204の上にセンタリングされる。第1のリボン200および隣接するリボンは、第1のリボン200の直下の層216の隣接するリボン208、212と共通の接合部を形成しない。オフセットの結果として、造形物180の全体的な強度が改善される。しかしながら、他の実施形態では、第1のリボン200は、継ぎ目204から中心をずらして配置してもよいし、または、継ぎ目204と位置合わせされてもよい。さらなる実施形態では、第1のリボン200の直下の層のリボンは、第1のリボンに対して横方向に、たとえば第1のリボンに対して垂直に(層256および260によって示されるように)、または第1のリボンに対して45°の角度を成して方向付けられる。
【0026】
第1のリボン200が形成されると、コントローラ116は、
図6に示すように、押出開口部168の第1の部分220が第1のリボン200によって被覆され、一方で、押し出し開口部168の第2の部分224は開いたままである位置に押出成形アセンブリ108を移動させるように、アクチュエータ120を操作する(ブロック358)。
図6に示す実施形態では、造形物180の外縁が形成されている。したがって、コントローラ116は、押出スロット168の外縁を、前に押し出された層の外縁、たとえば下層216のリボン208の外縁と整列させるように、アクチュエータ120を操作する。
【0027】
次に、コントローラ116は、造形材料を押し出すように押出成形機アセンブリ108を操作し、同時に、
図7(ブロック362)に示されるように、第1のリボン200に隣接させ、かつ下層216のリボン208の上に造形材料の第2リボン232を形成するように、押出成形機アセンブリ108を移動させるように、アクチュエータ120を操作する。
図7の図では、第2のリボン232が造形物180の外縁を形成している。他の実施形態では、第2のリボンは、外縁ではない造形物の一部を形成してもよく、たとえば、リボン236、240、244、248のうちの1つであってもよい。隣接するリボンと重なり合った中間リボンを形成することにより、隣接するリボン間に存在する間隙が減少し、それにより造形物180の全体的な強度が改善される。
【0028】
いくつかの実施形態では、第1および第2リボン200、232の形成の間に、造形材料の追加のリボン、たとえば、リボン236、240、244、248などのうちの1つまたは複数が形成されてもよいことを読者は理解するはずである。他の実施形態では、リボン236、240、244、248などのうちの1つまたは複数が、第1のリボンおよび第2のリボンの形成の前または後に形成されてもよい。
【0029】
図2〜
図4に関して上述した実施形態のように、
図5〜
図7の実施形態はまた、微細な特徴部を有するリボンを形成することも可能であり、また同時に、造形物の迅速な形成も可能にする。その上、造形物の外縁は、その対応する縁部が隣接する層に対して互い違いになっているリボンによって形成されているので、隣接する層の間に共通の接合部は存在しない(
図4と
図7とを比較されたい)。その結果、造形物180の外縁に形成されたリボンの内側に共通の破断線が生じず、造形物180の全体的な構造強度がさらに向上する。
【0030】
いくつかの実施形態では、コントローラは、互いに対して異なる方向にある隣接する層のリボンを形成するようにアクチュエータ120を操作するように構成される。
図8は、造形物180を形成するように三次元物体プリンタ100を操作するために使用される1つのプロセス400を示す。プロセスが何らかのタスクまたは機能を実施しているという記述は、コントローラまたは汎用プロセッサが、データを操作し、システム内の1つまたは複数のコンポーネントを、タスクまたは機能を実施するように動作させるためにコントローラまたはプロセッサに動作可能に接続されている非一時的コンピュータ可読記憶媒体内に記憶されているプログラム命令を実行することを指す。上記で言及されている三次元物体プリンタ100のコントローラ116は、プロセス400を実施するコントローラまたはプロセッサを提供するためのコンポーネントおよびプログラム命令を用いて構成することができる。代替的に、コントローラは、2つ以上のプロセッサならびに関連回路およびコンポーネントを用いて実装されてもよく、それらの各々は、本明細書において説明する1つまたは複数のタスクまたは機能を形成するように構成されている。
【0031】
図8〜10を参照すると、プロセス400は、コントローラ116が、スロットの幅を第1の層440の進行方向(
図9)と整列させるように押出成形機本体160を回転させるように、アクチュエータ120を操作することによって開始する(ブロック404)。
図9に示す実施形態では、たとえば、第1の方向はy方向である。いくつかの実施形態では、コントローラ116は、造形物のデジタルモデルに基づいて、所望の進行方向を決定する。次に、コントローラ116は、造形材料のリボン442、444、446、448、450を押し出して第1の層440を形成するためにスロット168から材料を押し出しながら、押出成形機本体160を進行方向に並進させるように、アクチュエータ120を操作する(ブロック408)。
【0032】
1つの特定の実施形態では、アクチュエータ120は、押出プロセスの間、約5000mm/分〜8000mm/分の速度で押出成形機本体160を移動させる。別の特定の実施形態では、アクチュエータは、押出プロセスの間、約6000mm/分の速度で押出成形機本体160を移動させる。1つまたは複数のリボン442、444、446、448、450は、
図2〜
図7を参照して上述した自己バルビングプロセス300、350を使用して形成することができる。特に、下層440が
図7の層256に対応し、上層472が
図7の層252に対応するように層を形成することができる。
【0033】
三次元物体プリンタのいくつかの実施形態では、コントローラ116は、リボン442〜450間の接着を改善し、したがって層の構造強度を改善するために、最初に中央リボン442を形成し、次に隣接するリボン444、446を形成し、最後に外側リボン448、450を形成することによって、ストリップ442〜450を生成するように、アクチュエータ120および押出成形機アセンブリ108を操作するように構成される。1つの特定の実施形態では、外側リボン448、450は、自己バルビングプロセス300、350のうちの1つを使用して、第1の層440の所望の全幅および外側輪郭を提供するように、他のリボン442、444、446の幅よりも小さい幅を有するように形成される。別の実施形態では、リボン442、444、446、448、450のいずれか1つまたは複数は、上述した自己バルビングプロセス300、350を使用して形成される。他の実施形態では、層442〜450は、層の形成速度を高めるために左から右にまたは右から左に形成される。いくつかの実施形態では、ストリップ442〜450は、互いに異なる幅を有する。たとえば、外側ストリップ448、450は、内側ストリップ442、444、446の幅の半分の幅を有することができる。
【0034】
第1の層440が完成すると、コントローラ116は、第2の方向と整列するように押出成形機本体160を回転させるように、アクチュエータ120を操作する(ブロック412)。図示された実施形態では、第2の方向は、第1の方向に直交するx方向に整列される。しかしながら、第1の方向と第2の方向との間の角度が、造形物の特性に応じて他の所望の角度であってもよいことを読者は理解すべきである。次に、コントローラ116は、第2の層を形成する造形材料のリボン462、464、466、468、470を押し出すためにスロット168から材料を押し出しながら、押出成形機本体160を並進させるように、アクチュエータ120を操作する(ブロック416)。押し出されたリボン462、464、466、468、470のうちの1つまたは複数は、微細な特徴部を形成し、かつ/または隣接するリボン間の接着性を高めるために、上述した自己バルビングプロセス300、350を使用して形成されてもよい。
【0035】
すべての実施形態において、押出成形機本体を回転させること(ブロック404、412)は必須ではないことを読者は理解すべきである。たとえば、本プロセスのいくつかの実施形態では、押出成形機本体160を移動させて造形材料を押し出す(ブロック408)前に、幅を整列させるために押出成形機本体160を回転させない。代わりに、リボン442、444、446、448、450は、ブロック408において押出スロット168の幅よりも小さい幅で形成されてもよい。付加的または代替的に、他の実施形態では、押出成形機本体160を移動させ、造形材料を押し出して第2の層を形成する(ブロック416)前に、スロットの幅を整列させるために押出成形機本体160を回転させない。結果として、上記の実施形態のいくつかにおいて、第1の層440のリボン442、444、446、448、450の幅は、第2の層472のリボン462、464、466、468、470とは異なっていてもよい。
【0036】
追加の層がまだ印刷されていない場合、コントローラ116は、第3の方向に整列して第3の方向において別の層を形成するように押出成形機本体160を回転させるようにアクチュエータ120を操作することができ、または、コントローラ116は、第1の方向および第2の方向において追加の層を生成するために、ブロック400の処理を繰り返すように、アクチュエータ120を操作することができる。
図9および
図10は、それぞれ異なる層440、460のリボン442−450、462−470の整列を明瞭に示すために、互いに分離されたものとしてリボン442−450、462−470を示しているが、リボン442−450、462−470は、典型的には、造形材料の連続層を形成するように、互いに隣接してまたは互いに重なり合って形成されることを読者は理解するはずである。
【0037】
図11は、造形物180を形成するように三次元物体プリンタ100を操作するために使用される別のプロセス500を示す。プロセスが何らかのタスクまたは機能を実施しているという記述は、コントローラまたは汎用プロセッサが、データを操作し、システム内の1つまたは複数のコンポーネントを、タスクまたは機能を実施するように動作させるためにコントローラまたはプロセッサに動作可能に接続されている非一時的コンピュータ可読記憶媒体内に記憶されているプログラム命令を実行することを指す。上記で言及されている三次元物体プリンタ100のコントローラ116は、プロセス500を実施するコントローラまたはプロセッサを提供するためのコンポーネントおよびプログラム命令を用いて構成することができる。代替的に、コントローラは、2つ以上のプロセッサ、関連回路、およびコンポーネントを用いて実装されてもよく、それらの各々は、本明細書において説明する1つまたは複数のタスクまたは機能を形成するように構成されている。
【0038】
プロセス500は、コントローラ116が、造形材料を押し出すように押出成形機本体160を操作し、押出成形機本体160を移動させるようにアクチュエータ120を操作して、第1の方向に向けられたリボンの第1の層を形成することによって開始する(ブロック504)。第1の層は、
図8〜
図10に関して上述した第1の層440と同様の方法で形成することができる。次に、コントローラ116は、造形材料を押し出すように押出成形機本体160を操作し、押出成形機本体160を移動させるようにアクチュエータ120を操作して、第1の方向に向けられたリボンの第2の層を形成する(ブロック508)。第2の層は、第1の層からオフセットして形成され、それによって、第1の層および第2の層のリボンは共通の接合部を有しない。いくつかの実施形態では、3つ以上の連続したリボンを同じ方向に印刷することができ、リボンは異なる方向にあるか、または同じ方向にあってオフセットされ、隣接するリボンと共通の接合部を有しない。
【0039】
プロセス500は、コントローラ116が、造形材料を押し出すように押出成形機本体160を操作し、押出成形機本体160を移動させるようにアクチュエータ120を操作して、第2の方向に向けられたリボンの第3の層を形成することによって進行する(ブロック512)。第3の層は、
図8〜10に関して上述した第2の層472と同様の方法で形成することができ、たとえば、リボンが第1および第2の層に対して垂直に方向付けられている。次に、コントローラ116は、造形材料を押し出すように押出成形機本体160を操作し、押出成形機本体160を移動させるようにアクチュエータ120を操作して、第2の方向に向けられたリボンの第4の層を形成する(ブロック516)。第4の層は、第3の層からオフセットして形成され、それによって、第1の層および第2の層のリボンは共通の接合部を有しない。
【0040】
図6および
図7に示されている層260、256、252および216は、プロセス500に従って形成される第1の層、第2の層、第3の層および第4の層にそれぞれ対応することができる。
図6および
図7に示すように、第3の層252および第4の層216は互いにオフセットされており、第1の層260および第2の層256は同様に互いにオフセットされているが、層260、256のリボンが図の中で水平に形成されているため、オフセットは
図6および
図7では見えない。
【0041】
湾曲した細部を形成するために、コントローラ116は、押出成形機本体160を同時に回転および並進させるようにアクチュエータ120を操作するように構成され、または、別々の並進アクチュエータおよび回転アクチュエータを有する実施形態では、並進アクチュエータと回転アクチュエータの両方をそのように操作するように構成されている(
図11)。押出成形機本体160およびスロット168が回転し並進するにつれて、スロット168の外縁は曲線の外縁を規定し、同時に、スロット168の内縁は曲線の内縁を形成する。押出スロット168の外縁はスロット168の内縁よりも大きい距離を進行するので、内縁と外縁の進行距離が異なることを考慮して押し出しを調整する必要がある。特に、曲線の半径がスロット168の幅と比較して相対的に小さい場合、押し出される造形材料の量を調整しなければならない。一例として、スロットの幅に等しい半径(r)を有する小さな円を押し出すことは、πr
2に等しい面積を押し出すことに等しく、同時に、外縁は2πrの直線距離を進行する。したがって、押出速度は、πr
2/(2πr)すなわちr/2に比例することになる。他方、非常に大きな半径(R)の円の場合、押出スロット168の内縁と外縁とによって移動される距離の差は最小であり、押出速度は、印刷される面積(2πrR)をパス長(2πR)で除算した値に比例し、これはr、すなわちこの例ではスロット幅に等しい。
図12は、半径対押出幅またはスロット幅の比に対してプロットされた押出係数の曲線を示す。