(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6771454
(24)【登録日】2020年10月1日
(45)【発行日】2020年10月21日
(54)【発明の名称】振動式流量計およびデジタル周波数出力を生成する方法
(51)【国際特許分類】
G06M 1/10 20060101AFI20201012BHJP
G01F 1/84 20060101ALI20201012BHJP
【FI】
G06M1/10 B
G01F1/84
【請求項の数】10
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-500862(P2017-500862)
(86)(22)【出願日】2014年7月8日
(65)【公表番号】特表2017-520064(P2017-520064A)
(43)【公表日】2017年7月20日
(86)【国際出願番号】US2014045783
(87)【国際公開番号】WO2016007142
(87)【国際公開日】20160114
【審査請求日】2017年3月2日
【審判番号】不服2018-15463(P2018-15463/J1)
【審判請求日】2018年11月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】500205770
【氏名又は名称】マイクロ モーション インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヘイズ, ポール ジェイ.
【合議体】
【審判長】
中塚 直樹
【審判官】
岡田 吉美
【審判官】
濱野 隆
(56)【参考文献】
【文献】
特開2001−027554(JP,A)
【文献】
特開2004−093467(JP,A)
【文献】
特開平02−073119(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F 1/84
G01F 15/075
G06M 1/10 - 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロコントローラで周波数出力を生成する方法であって、
流量パラメータを計算するステップと、
前記流量パラメータおよび前もって決められた流量周波数スケールに基づいて所望の周波数を計算するステップと、
複数の端数パルス期間を計算することであって、前記複数の端数パルス期間の各端数パルス期間を前記所望の周波数、クロック信号の前もって決められた周期および先行する端数パルスの先行する端数パルス期間の値に基づいて計算する、ステップと、
計算された前記各端数パルス期間が出力パルス周期の半分以上である場合に出力状態をトグリングすることにより周波数出力を生成するステップと
を含む、方法
【請求項2】
前記先行する端数パルスが初期の端数パルスである場合、前記先行する端数パルス期間の値が0にセットされる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記出力パルス周期が、前記クロック信号の前記前もって決められた周期、計算された前記流量パラメータおよび前記前もって決められた流量周波数スケールに基づいて計算される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
瞬時流量を測定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記出力状態のトグリング回数および前記前もって決められた流量周波数スケールに基づいて総積分流量を決定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
振動式流量計(5)であって、
1つ以上のフローチューブ(103A、103B)ならびに第一および第二のピックオフセンサ(105、105’)を有する流量計センサ組立体(10)と、
前記1つ以上のフローチューブ(103A、103B)を振動させるように構成されるドライバ(104)と、
前記第一および第二のピックオフセンサ(105、105’)と結合され、前記ドライバ(104)と結合されるメータ電子機器(20)とを備えており、
前記メータ電子機器(20)が、
流量パラメータを計算し、
前記流量パラメータおよび前もって決められた流量周波数スケールに基づいて所望の周波数を計算し、
複数の端数パルス期間の各端数パルス期間が、前記所望の周波数、クロック信号の前もって決められた周期および先行する端数パルスの先行する端数パルス期間の値に基づいて計算される、前記複数の端数パルス期間を計算し、
計算された前記各端数パルス期間が出力パルス周期の半分以上である場合に出力状態をトグリングすることにより周波数出力を生成するように構成されてなるメータ電子機器である、振動式流量計(5)。
【請求項7】
前記先行する端数パルスが初期の端数パルスである場合、前記先行する端数パルス期間の値が0にセットされる、請求項6に記載の振動式流量計(5)。
【請求項8】
前記出力パルス周期が、前記クロック信号の前記前もって決められた周期、計算された前記流量パラメータおよび前記前もって決められた流量周波数スケールに基づいて計算されるように構成されてなる、請求項6に記載の振動式流量計(5)。
【請求項9】
前記メータ電子機器が瞬時流量を測定するように構成されてなる、請求項6に記載の振動式流量計(5)。
【請求項10】
前記メータ電子機器が、前記出力状態のトグリング回数および前記前もって決められた流量周波数スケールに基づいて総積分流量を求めるように構成されてなる、請求項6に記載の振動式流量計(5)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリアルデジタル周波数出力(digital serial frequency outputs)を生成するためのデバイスおよび方法に関するものであり、とくにコリオリ式流量計で流量を示すためにシリアルデジタル周波数出力を生成することに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、純粋に機械的なデバイスは、各回転毎にスイッチを作動させるようになっている基本的な回転車(spinning wheels)から周波数出力を形成していた。このタイプの出力は、確立されており、今日、さまざまな工業用途において広く必要とされている。
【0003】
周波数出力(FO)とは、単一のラインのトグリング(toggling、2つの状態の切り換え)により周波数を生成するデバイスからのデジタル出力のことである。流量を測定する工業分野では、周波数は所望の変数、たとえば質量流量に通常比例している。流量測定技術として、コリオリ式質量流量計に関して詳細に説明されている。
【0004】
米国特許第4,491,025号および再発行特許第Re31,450号において開示されているように、コリオリ式質量流量計はパイプラインを流れる物質に関する質量流量や他の情報を測定するように構成されている。通常、これらの流量計は流量計の電子機器の部分と、流量計センサの部分とを備えている。流量計センサは、直線構造または曲線構造を有する1つ以上のフローチューブを備えている。各フローチューブ構造は、単純曲げタイプ、ねじれタイプ、ラジアルタイプまたは組み合わせタイプでありうる一組の固有振動モードを有している。各導管は、これらの固有振動モードのうちの1つの振動モードで共振して振動するように駆動させることができる。物質が充填されている振動システムの固有振動モードは、フローチューブの質量およびフローチューブ内を流れる物質の質量の合計により部分的に規定される。コリオリ式流量計センサを物質が流れていない場合、フローチューブに沿った全ての部位は実質的に同一位相で振動する。物質がフローチューブを流れると、コリオリ加速度により、フローチューブに沿った部位は異なる位相を有するようになる。流量計センサの流入口側の位相はドライバの位相よりも遅れており、流量計センサの流出口側の位相はドライバの位相よりも進んでいる。
【0005】
通常、コリオリ式流量計センサは、フローチューブに沿ったさまざまな部位にフローチューブの運動を表す正弦波信号を生成するために2つのピックオフを備えている。ピックオフから受け取られる正弦波信号の位相差は流量計の電子機器によって計算されるようになっている。2つのピックオフ信号間の位相差は、流量計センサを流れる物質の質量流量に比例する。
図1にはコリオリ式流量計の一例が示されている。
【0006】
流量計の電子機器は、ピックオフからピックオフ信号を受け取り、ピックオフ信号を処理して流量計センサを通り抜ける物質の質量流量、密度または他の特性を演算するようになっている。
複数の複雑な周辺機器とともに集積回路に実現されるマイクロコントローラがすべての流量計で一般的に用いられている。広く利用可能なマイクロコントローラは、市販のものなのでコストが安価であるものの、流量計用に特別に設計されたものではない。
図2には、マイクロコントローラの一例が示されている。
【0007】
瞬時流量の測定には「ジッタ」が低い(少ない)ことが重要である。ジッタは与えられた任意のパルスの周期の正確さに関するものであると定義される。たとえば、奇数個のパルスが99.9Hzであり、偶数個のパルスが100.1Hzならば、平均周波数は100Hzになるが、出力は0.1/100または0.1%のジッタを有すると表現される。
総積分流量の測定には、精度が(分解能の点で)高であることが重要である。たとえば、1つのパルスが1gに等しい場合、998個のパルスが形成されてデバイスが1000gを示したとすると、その出力は998/1000または0.2%の精度を有しているといわれる。
【0008】
周波数出力の他の特徴に関していえば、1つの周波数出力が、正の流れの場合に、他の周波数出力を90°進ませ、負の流れの場合に、90°遅らせる2重周波数出力という(一般的に直角位相と呼ばれる)クラスがある。もう一つ特徴は、非50%デューティサイクル(non−50% duty cycle)要件に関するものである。周波数出力は、典型的には0.001Hzと10000Hzとの間という広い範囲にわたり機能しなければならないが、場合によってはそれよりも高いまたは低い周波数が必要となる場合もある。
【0009】
上述のように、周波数出力を生成する1つの方法は、さまざまなタイプがある「多目的」デジタルハードウェアタイマ回路を用いることであり、通常マイクロコントローラで利用することが可能である。このアプローチでは、(典型的には、nによる除算機能および割り込み機能を備えている)ハードウェアタイマは、ある程度の時間、特定の周波数を出力するようにプログラムされている。しかしながら、このアプローチにはいくつかの欠点が存在する。得られた周波数がnによる除算アルゴリズムから生じたものであるため、高周波数入力クロックの場合であってもかなりのジッタが生じてしまう。たとえば、入力クロックが10MHzで、所望の出力が9999Hzの場合、10000Hz(1000による除算)と9990.01Hz(1001による除算)との間でタイマを交互に切り替えなければならない。それに加えて、出力されたパルスの数を正確に追跡することができるアルゴリズムを作成するのも困難である。というのは、ハードウェアタイマの出力の位相整列(phase alignment)がタイマカウンタの更新時間と同時に起こらないからである。第三の欠点は、多目的タイマが最大32ビットしかないので約5ディケードの範囲しか提供することができないところ、8ディケード(eight decades)が必要とされている。従って、異なる入力クロックおよびクロスオーバーしきい値を導入しなければならない。このことにより、不連続性が生じてしまい、このしきい値の下でジッタが増大し、パルス精度の維持がより複雑なものとなってしまう。最後に、「多目的」タイマの個々の特性に応じて、周波数出力の「他の特徴」、たとえば直角位相、パルス幅などを実現するのが非常に難しい場合もある。
【0010】
周波数出力を生成するためのそれほど一般的でない方法は「レートマルチプレクサ(rate multiplexer)」を用いることである。このハードウェアは、マイクロコントローラにおいて利用することが一般的には可能ではないものの、ASIC(特定用途向けIC)、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)または他の特注回路の中に組み込むことができる。このレートマルチプレクサは、必要な範囲を広げるのを容易にすること(その結果クロスオーバーが導入されない)と、パルス精度を維持するのを容易にすること(更新時間の位相整合が出力と常に一致する)とを含む、「多目的」タイマの方法の欠点のうちのいくつかを克服することができる。さらに、それがカスタム(特注の)ハードウェアにより実装されるので、周波数出力の「他の特徴」、たとえば直角位相およびパルス幅を容易に実現することが可能となる。しかしながら、レートマルチプレクサは外部ハードウェアを必要とし、ジッタを低く維持することに関しては次善の策(sub−optimal)でしかない(かつ決定的なものではない(non−deterministic))。
【0011】
レートマルチプレクサに加えて、周波数出力を発生させる他のいくつかの方法が考えられており、カスタムハードウェア(たとえば、ASIC、FPGAなど)で実現可能である。しかしながら、そのようなオプションはすべて、部品の追加、信頼性の低下およびコストの上昇が存在するというレートマルチプレクサスキームと同様の基本的欠点を共有している。
【0012】
最後に、アナログ電子機器を用いて周波数出力を発生させることができる。これは、純粋に機械的なデバイスとデジタル式の電子デバイスとの間の過渡期において一般的な選択肢であった。アナログ回路の一例としては電圧を周波数に変換する電圧制御発振機(Voltage−Controlled Oscillator)を挙げることができる。アナログという特性のため、変換は100%正確なものとはいえない(たとえば、1Vを1000Hzに変換しようとして999.9Hzまたは1000.1Hzに変換してしまう場合もある。これはアナログ成分の公差に起因するものである)。アナログ式電子機器では周波数出力はゼロに近いジッタを有しているが、この出力は、パルス計数精度が劣悪である。それに加えて、アナログ式電子機器にデジタルフィードバックを統合してパルス計数精度を補償することができるものの、このことは、遅延を引き起こし、絶対周波数精度を低下させてしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
従って、当該技術分野には、与えられた入力クロックのジッタ、パルス計数精度、絶対的精度を考慮し、直角位相およびパルス幅を含む「他の特徴」を実現する機能を有し、特定の外部ハードウェアを必要としないシリアルデジタル周波数出力を提供することにより上述の問題を克服するマイクロコントローラデバイスおよび方法の必要性が存在している。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、1つの与えられた入力クロックにとって理論的に最低のジッタ、最大可能パルス計数精度、最大可能絶対精度、「他の特徴」(直角位相、パルス幅など)容易に実現する機能を提供することにより上述の問題を克服し、当該技術を前進させるとともに、特別な外部ハードウェアを要求しないものである。
【0015】
本発明の態様
本発明の1つの態様によれば、マイクロコントローラで周波数出力を生成する方法は、前もって決められた周期を有する入力クロック信号を初期化することと、前もって決められた周期に基づいてパラメータを計算することと、計算されたパラメータおよび前もって決められた流量周波数スケールに基づいて所望の周波数を計算することと、複数の端数パルス(fractional pulses)を計算することとであって、複数の端数パルスの各端数パルスを所望の周波数、入力クロック信号の前もって決められた周期および先行する端数パルスの値に基づいて計算する、ことと、計算された各端数パルスが出力パルス周期の半分以上である場合に出力状態をトグリングする(toggling)ことにより所望の周波数を出力することとを含んでいる。
【0016】
好ましくは、先行する端数パルスの値は、当該先行する端数パルスが初期の端数パルスである場合にはゼロにセットされる。
好ましくは、出力パルス周期は、入力クロック信号の前もって決められた周期、計算されたパラメータおよび前もって決められた流量周波数スケールに基づいて計算される。
好ましくは、メータ電子機器は瞬時流量を測定するように構成される。
好ましくは、メータ電子機器は、出力状態のトグリング回数および前もって決められた流量周波数スケールに基づいて総積分流量を測定するように構成される。
好ましくは、パラメータは流量である。
【0017】
本発明の1つの態様によれば、振動式流量計(5)は、1つ以上のフローチューブ(103A、103B)ならびに第一および第二のピックオフセンサ(105、105’)を有する流量計センサ組立体(10)と、1つ以上のフローチューブ(103A、103B)を振動させるように構成されるドライバ(104)と、1つ以上のピックオフセンサ(105、105’)およびドライバー(104)に結合されるメータ電子機器(20)とを備えており、メータ電子機器(20)は、前もって決められた周期を有する入力クロック信号を初期化し、前もって決められた周期に基づいてパラメータを計算し、パラメータおよび前もって決められた流量周波数スケールに基づいて所望の周波数を計算し、複数の端数パルスを計算し、この計算では、複数の端数パルスの各端数パルスを所望の周波数、入力クロック信号の前もって決められた周期および先行する端数パルスの値に基づいて計算し、計算された各端数パルスが出力パルス周期の半分以上である場合に出力状態をトグリングすることにより所望の周波数を出力するように構成されることにより周波数出力を生成するようになっている。
【0018】
好ましくは、先行する端数パルスの値は、先行する端数パルスが初期の端数パルスである場合にゼロにセットされる。
好ましくは、出力パルス周期は、入力クロック信号の前もって決められた周期、計算されたパラメータおよび前もって決められた流量周波数スケールに基づいて計算される。
好ましくは、メータ電子機器は瞬時流量を測定するように構成される。
好ましくは、メータ電子機器は出力状態のトグリング回数および前もって決められた流量周波数スケールに基づいて総積分流量を測定するように構成される。
好ましくは、パラメータは流量である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
以下の図面では、同一の参照番号はすべての図面において同一の部品を表わしており、図面の縮尺は必ずしも均一ではない。
【
図2】従来のマイクロコントローラを示すブロックダイヤグラムである。
【
図3】本発明のある実施形態にかかる例示的な周波数出力を示す図である。
【
図4】本発明のある実施形態を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1〜
図4および下記の記載には、本発明を最良のモードで作成および利用する方法を当業者に教示するための流量計の電子機器(flow meter electronics)の具体的な実施形態が示されている。本発明の原理を教示するために、従来の流量計の電子機器の一部が単純化または省略されている。当業者にとって明らかなように、これらの実施形態の変形例もまた本発明の技術範囲内に含まれるものである。また、当業者にとって明らかなように、下記の記載の構成要素をさまざまな方法で組み合わせて本発明の複数の変形例を形成することもできる。従って、本発明は、下記に記載の特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、その均等物によってのみ限定されるものである。
【0021】
図1には、従来のコリオリ式流量計5が示されている。限定するわけではないが本発明の実施形態の一例として、コリオリ式質量流量計および振動式密度計を含む振動式導管型センサを挙げることができる。例示的な実施形態にかかるコリオリ式流量計5はコリオリ式流量計センサ組立体10とメータ電子機器20とを備えている。メータ電子機器20は、パス100を介してセンサ組立体10に接続され、パス26を介して質量流量、密度、体積流量、総質量流量の情報および他の情報を提供するようになっている。パス26は、知られている流量計の設計に従って複数の通信チャンネルで情報を搬送するようになっている複数の出力ポートのことである(
図1に図示せず)。
【0022】
流量計センサ組立体10は、一対のフランジ101、101’と、マニホルド102と、フローチューブ103A、103Bとを有している。フローチューブ103A、103Bには、ドライバ104と、ピックオフセンサ105、105’と、温度センサ107とが接続されている。ブレースバー106、106’は軸線WおよびW’を規定する働きをし、各フローチューブはそれを中心として振動するようになっている。
【0023】
測定する流動物質を運ぶ配管システム(
図1に図示せず)の中に流量計センサ組立体10が挿入されると、物質がフランジ101を通って流量計センサ組立体10の中に流入し、マニホルド102を通り、ここで、物質がフローチューブ103A、103Bの中へ流入し、フローチューブ103A、103Bを流れ、マニホルド102の中へ戻り、フランジ10から流量計センサ組立体10の外へ流出する。フローチューブ103A、103Bは、曲げ軸線W−W、W’−W’に対して実質的に同一の質量分布、慣性モーメントおよび弾性モジュールを有するように、選択され、マニホルド102に適切に取り付けられる。フローチューブ103A、103Bは、マニホルド102から外側に向けてほぼ並列に延出している。フローチューブ103A、103Bは、それぞれ対応する曲げ軸線WおよびW’に対して流量計の第一の逆位相曲げモードと呼ばれるモードで、互に反対方向にドライバ104により振動させられるようになっている。このドライバ104は、マグネットがフローチューブ103’にマウントされ、それとは反対側のコイルがフローチューブ103にマウントされ、交流電流を流してこれらのフローチューブを振動させるようになっているような複数の周知の構成のうちのいずれの1つの構成を有していてもよい。メータ電子機器20により適切なドライブ信号がリード線110を介してドライバ104へ加えられるようになっている。
【0024】
ピックオフセンサ105、105’は、フローチューブの振動を測定するために、フローチューブ103A、103Bのうちの少なくとも1つのフローチューブの両端部に取り付けられている。フローチューブ103A、103Bが振動すると、ピックオフセンサ105、105’が第一のピックオフ信号および第二のピックオフ信号を生成する。第一のピックオフ信号および第二のピックオフ信号はリード線111、111’に加えられるようになっている。
温度センサ107は、フローチューブ103A、103Bのうちの少なくとも1つのフローチューブに取り付けられている。温度センサ107は、システムの温度についての式を修正するためにフローチューブの温度を測定する。温度信号は、パス112を通じて、温度センサ107から流量計の電子機器20まで伝えられるようになっている。
【0025】
メータ電子機器20は、リード線111、111’にそれぞれ現われる第一のピックオフ信号および第二のピックオフ信号を受け取る。流量計の電子機器20は、第一のピックオフ信号および第二のピックオフ信号を処理して流量計センサ組立体10を流れる物質の質量流量、密度または他の特性を算出する。この算出された情報は、メータ電子機器20によりパス26を介して利用手段(
図1に図示せず)に提供される。例示的な実施形態では、流量計の電子機器20は周波数出力を生成するために(
図2に示されているような)例示的なマイクロコントローラを有している。
【0026】
図2には、従来の例示的なマイクロコントローラのブロックダイヤグラムが例示されている。ある実施形態では、例示的なマイクロコントローラはコアとさまざまな周辺機器とを有している。実施形態によっては、コアはマイクロコントローラの演算を行う部分である場合もある。実施形態によっては、周辺機器には、システムの構成部品、さまざまなメモリ、クロック、安全性および完全性部、アナログ部、タイマ、通信インターフェースおよび人間−機械インターフェース(HMI)、(マン−マシンインタフェース(MMI)としても知られている)が含まれている場合もある。例示的なマイクロコントローラの一部として、周波数出力を発生させるために用いることができる周辺機器には、タイマ/カウンター、汎用入出力ピン(GPIO)およびさまざまなシリアルストリームインターフェース、たとえばUARTS、SPORTS、I2C、SPIおよびI2Sが含まれる。本発明のある態様によれば、周波数出力は、GPIOに物理的に現れるようになっていてもよいしまたはシリアルベースの通信インターフェース(たとえば、I2C、i2SもしくはSPI)のうちの1つに物理的に現われるようになっていてもよい。
【0027】
図3には、本発明にかかる周波数出力の例示的な実施形態が示されている。この例では、動作時、流量の如きパラメータが1Hzで周期的に既知の方法により算出されるようになっている。T(s)=1/f(Hz)であるので、時間間隔(T)=0〜1秒、1〜2秒および2〜3秒について流量の如きパラメータを求めるのに用いられるようになっていてもよい。
【0028】
所望の出力周波数の算出の際、ユーザによる選択が可能な流量計算レート(m)が用いられる(以下の段落に記載されている)。
図3の例では、第一の期間(T=0〜1秒)の間、ユーザが流量計算レート(m)として100g/sを選択し、流量が決定されるごとにその流量に対応する所望の周波数も決定され、その周波数が次の期間の流量が決定されるまで出力されるようになっている。第一の期間の例では、10Hzという所望の周波数は、計算された流量(m)と、ユーザにより入力された前もって決められた流量周波数スケール(x)またはレート当たりの周波数とに基づいて決定される。たとえば、100g/sという既知の流量を用いて10Hzという所望の周波数を得るためには、ユーザにより入力される前もって決められた流量周波数スケール(x)は0.1である。
【0029】
図3に示されているように、第一の期間の所望の周波数が10Hzであると10個のフルパルス(whole pulses)が出力されることになり、各パルス推移がトグル出力状態(toggled output state、たとえば、高から低または低から高)を表わしている。
第二の期間(T=1〜2秒)の間、たとえば、既知の演算方法を用いて、流量が8g/sであると再計算されている。第二の期間の例では、0.8Hzという所望の周波数は、8g/sという計算された流量(m)と、0.1というユーザにより入力される前もって決められた流量周波数スケール(x)(レート当たりの周波数としても知られている)とに基づいて決定されている。
【0030】
図3に示されているように、第二の期間の間、ユーザが0.8Hzの周波数で算出される流量を必要とするので、「0.8」個のフルパルスが出力されることになる。この例では、1つのパルス推移(トグル出力状態に対応)のみが生じており、1つのフルパルスはまだ出力されていない。従って、T=2秒においては、パルスの端数部分が、「残された」ままであり、第三の期間(T=2〜3秒)でそのことを考慮に入れなければならない。本発明の実施形態の中には、この状況は端数パルス
期間(FP)により考慮されるようになっているものもある。以下の段落に記載のアルゴリズムおよび表に述べられているように、端数パルス
期間(FP)は、所望の周波数(m*x)、初期化された入力クロック周期(p)および先行端数パルス(FP)に基づいて算出することができる:(FP=FP+(m*x*p))。
【0031】
図3のさらなる詳細についていえば、例示的な実施形態では、初期化された入力クロック周期(p)は20Hzに設定されている。毎秒20Hzの例で、次のアルゴリズムが流量計内の例示的なマイクロコントローラによって実行され、各入力クロック周期(p)の所望の出力状態が決定、セットされる。
基本的なアルゴリズムは次の計算によって定義される:
(入力):現在の流量=m (たとえば、100g/s)
(定数):レート当たりの周波数=x(たとえば、10Hz=100g/s、x=0.1)
入力クロック周期=p (たとえば、20Hz、p=0.05S)
(状態変数): 現在の出力状態
端数パルス
<各入力クロック周期の間>
端数パルス=端数パルス+(m*x*p)
If(端数パルス>=0.5){
端数パルス=端数パルス−0.5;
出力状態をトグリングする
}
【0032】
次の表は、
図3に適用した場合のアルゴリズムの計算および出力を示す入力クロック周期の一例による入力クロック周期である。
時間 流量 所望の周波数 m*x*p 端数パルス 出力状態
0.00s 100g/s 10Hz 0.5 0+0.5>=0 低
0.05s 0+0.5>=0 高
0.10s 0+0.5>=0 低
0.15s 0+0.5>=0 高
0.95s 0+0.5>=0 高
1.00s 8g/s 0.8Hz 0.04 0+0.04>=.04 高
1.05s .04+.04>=.08 高
1.10s .08+.04>=.12 高
1.15s .12+.04>=.16 高
1.55s .44+.04>=.48 高
1.60s .48+.04>=.02 低
1.65s .02+.04>=.06 低
1.95s .26+.04>=.30 低
2.00s 50g/s 5Hz 0.25 .30+.25>=.05
高
2.05s .05+.25>=.30
高
2.10s .30+.25>=.05
低
2.15s .05+.25>=.30
低
2.20s .30+.25>=.05
高
【0033】
端数パルス(FP)の一例として、第二の期間(T=1〜2秒)の中に出力されていない0.8Hzの「残り」がアキュムレータ内の「0.30」の値によって第三の期間(T=2〜3秒)内で追跡(記録)されている。第三の期間(T=2〜3秒)における初期値として用いられている「0.30」は1.95秒において残された量である。
また、上述の表および
図3に示されているように、推移と推移との間の時間(出力状態が低いまままたは高いまま)は所望の出力周波数の周期のことである。
【0034】
所望の出力周波数の周期を活用することによって、流量計は瞬時流量を測定することができる。たとえば、例示的な出力周期の間、式T(s)= 1/f(Hz)およびレート当たりの周波数(x)を用いて、瞬時流量を次の式によって求めることができる:
瞬時流量(g/s)=所望の周波数(Hz)/レート(x)当たりの周波数
さらに、総積分流量も、トグル出力状態の数を数えてレート当たりの周波数(x)を考慮することにより求めることが可能である。たとえば、
図3では、第一の期間(T=0〜1秒)の間では、10個のトグル出力状態×0.1のレート当たりの周波数(x)=100g/sの総積分流量となる。
【0035】
図3に記載の10Hzが100g/sに対応する上述の例とは対照的に、他の実施形態では、たとえば100Hzが100g/sに対応するようになっていてもよい。この新たな例では、フルパルスはそれぞれ1gに対応しうる。従って、本発明は、レート当たりの周波数(x)のいかなる特定の特性により制限されることを意図したものではない。
【0036】
同様に、本発明は、入力クロック周期(p)の周波数の特性により制限されるものでもない。一例としておよび上述の段落に言及されているように、本発明は与えられた入力クロック周期(p)においてジッタを正確に表す情報を提供する。本発明は、最大ジッタのパーセンテージを求めるために次の式を用いることが可能である:
最大ジッタ(%)=最大出力周波数(Hz)/入力クロック周波数(Hz)
上述の式を使用して、0〜10kHzの周波数出力と0.1%未満のジッタが望まれる場合、10MHzの入力クロック(p)が必要となる。
【0037】
図4には、本発明のある実施形態にかかるフローチャートが示されている。ステップ401では、複数の周期のうちの前もって決められた周期を有する入力クロック信号が初期化される。次いでステップ402では、入力クロック周期が経過したか否かが判断される。その際、入力クロックは前もって決められた一定の周波数として確立される。たとえば、入力クロックが1MHzならば、入力クロックの各周期は1uSとなる。従って、入力クロックは設計のうちのユーザによる選択が可能な部分であり、故に、前もって決められるものである。本発明の実施形態によっては、入力クロックは流量計内で最も速いクロックである場合もある。動作時、入力クロックが最も速いクロックでなかった場合、入力クロック周期が経過した時を判断するために、ポーリングまたはソフトウェア割り込みなどの如きさまざまな方法を用いることが可能である。
【0038】
入力クロック周期が経過した場合、ステップ403で、新たな流量を計算しうるような十分な数のクロック入力周期が経過したか否かが判断される。これは、「ユーザによる選択が可能な流量計算レート(m)」に関連するものである。たとえば、入力クロックが10,000Hzで、ユーザが10Hzで流量を計算することを望んでいる場合、流量計算毎に、100個(10,000Hz/10Hz=100)の入力クロックが経過することなる。
【0039】
ステップ403で「YES」と判断された場合、ステップ404では新たな流量が計算される。新らたな流量を計算することによって、流量(m)の計算結果およびユーザにより入力される前もって決められた流量周波数スケール(x)に基づいて所望の周波数(m*x)を計算することが可能となる。ステップ403で「NO」と判断された場合、ステップ405では、所望の周波数(m*x)、初期化された入力クロック周期および先行する端数パルス(FP)に基づいて端数パルス周期(FP)が計算される(FP=FP+(m*x*p))。しかしながら、先行する端数パルスが第一の端数パルスである場合、先行する端数パルスはゼロにセットされうる。
【0040】
ステップ406では、端数パルス
期間が出力パルス周期の半分または0.5以上であるか否かが判断される。出力パルス周期は周波数との関連(p=1/f)で決定される。従って、端数パルス
期間は出力周期が経過している期間に相当する。端数パルスが0.5以上でない場合、得られたパルス周期はステップ402へ入力される。
ステップ406の端数パルスが0.5以上である場合、ステップ407で、端数パルスが式FP=FP−0.5によって調節される。ここで、端数パルスは、残りの値を表わしたものであり、出力状態のトグリングを引き起こす。
【0041】
ステップ408では、端数パルス
期間が出力パルス周期の半分以上である場合、出力状態をトグリングすることにより、個々の流量について所望の周波数を提供する。次いで、得られた端数パルスがステップ402へ入力されてループ内のオペレーションが継続される。
例示的な実施形態の中には、処理負荷を軽減させるためにマイクロコントローラに通常「搭載(on−board)」されるシリアル出力ハードウェアが用いられるものもある。このタイプのハードウェアとしては、限定するわけではないがI2S、SPI、USARTS/ARTS、「SPORTS」およびいくつかの種類のJTAGポートなどを挙げることができる。さらに、処理負荷を軽減させるためにDMAも用いることもできる。
【0042】
さまざまなタイプのシリアル出力ハードウェア(たとえば、SPI、DMAなど)を組込むために、出力状態の「ブロック」が前もって計算され、次いでハードウェアに与えられ、「入力クロック速度」で出力される。このことは、各出力計算のオーバーヘッドを削減させることにより帯域幅要件を減らすという点で有利である。たとえば、SPIの場合、8、16または32の出力状態のブロックを前もって計算し、次いで標準のSPIハードウェアにより「自動的に」出力することが可能となる。さらに、ブロックサイズを任意の所望のサイズへと大きくするためにDMAを用いることが可能となる。
【0043】
有利なことには、本発明は、「他の複数の特徴」(直角位相、パルス幅など)のうちのいずれかを組み入れて容易に向上させることが可能である。
有利なことには、本発明は、任意の所望の周波数出力範囲にわたって完全に拡大縮小が可能であり、演算を実行するために選択される特定のデータタイプおよび入力クロック周波数の分解能によってのみ制限される。実施形態によっては、標準型データタイプとしては、整数タイプ(たとえば、8ビット、16ビット、32ビットもしくは64ビット)または浮動小数点タイプ(典型的には、IEEE534の単精度もしくは倍精度)を挙げることができる。
【0044】
本明細書には、本発明の最良の形態を実施または利用する方法を当業者に教示するための特定の実施形態が記載されている。本発明の原理を教示するために、従来技術の一部が単純化または省略されている。当業者にとって明らかなように、これらの実施形態の変形例もまた本発明の技術範囲内に含まれる。
上述の実施形態の詳細な記載は、本発明の技術範囲内に含まれるものとして本発明者が考えているすべての実施形態を完全に網羅するものではない。さらに正確にいえば、当業者にとって明らかなように、上述の実施形態のうちの一部の構成要素をさまざまに組み合わせてまたは除去してさらなる実施形態を作成してもよいし、また、このようなさらなる実施形態も本発明の技術範囲内、教示範囲内に含まれる。また、当業者にとって明らかなように、本発明の技術、教示の範囲に含まれるさらなる実施形態を作成するために、上述の実施形態を全体的にまたは部分的に組み合わせてもよい。
以上のように、本発明の特定の実施形態または実施例が例示の目的で記載されているが、当業者にとって明らかなように、本発明の技術範囲内において、さまざまな変更が可能である。本明細書に記載の教示を上述のかつそれに対応する図に記載の実施形態とは異なる実施形態に適用されてもよい。従って、本発明の技術範囲は下記の請求項によって決められる。