【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、ラベルの剥離による不正をより困難にすることを目的とし、当該目的は、
赤外(IR)線に対して不透明でない印刷可能な前片と、
ラベルを貼付支持体に接着するための接着層であって、前記前片の結合力が前記接着層の接着強度よりも低い、接着層と、
前記前片を通して前記赤外線によって照射されたときに既定の挙動を有する化合物であって、前記赤外線による照射の間の前記化合物の電磁応答が前記前片を通して検出可能である、化合物と、を備えた接着ラベルを使用することによって達成される。
【0013】
「IRトレーサ」としても知られている化合物は、赤外線に対して特定の電磁応答を示し得る。ただ1つの型のトレーサまたは異なる型のいくつかのトレーサの混合物がある。
【0014】
「トレーサの型」とは、所与の入射放射線に対して所与の挙動を有する化合物を意味するものと理解される。異なる型のトレーサは、励起波長(赤外線)および/または吸収または発光波長が異なる。
【0015】
「印刷可能な」前片とは、従来の印刷(オフセット、凸版輪転印刷、輪転フレキソ印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷など)および/またはデジタル印刷(トナー、インクジェットなど)および/または様々なデータ印刷(熱転写、感熱紙方式、レーザ、インクジェットなど)に適した前片を意味するものと理解される。前片の印刷可能な性質は、特に、印刷が意図される面上、好ましくは接着層と反対側の前片の面上に位置する接着プライマーまたは印刷可能層によって導入され得る。接着プライマーまたは印刷可能層が設けられた面は、印刷可能な面として記載される。
【0016】
「赤外線」とは、赤外波長の領域、特に700nmから5mmの間において放射される1つまたは複数の不連続または連続した電磁波の組み合わせを意味することが理解される。赤外線は、好ましくは700nmから15μmの間、好ましくは780nmから3μmの間、より好ましくは800nmから1μmの間である。前記赤外線は、単一の波長に集中され得るかまたはいくつかの波長、例えば700nmから5mmの間、好ましくは700nmから15μmの間、好ましくは780nmから3μmの間、より好ましくは800nmから1μmの間の組み合わせから構成され得る。これらの波長は、1つまたは複数の異なる源、例えば1つまたは複数のダイオードによって同時にまたは連続的に放射され得る。
【0017】
「特定の電磁応答」とは、化合物による吸収または発光を意味するものと理解される。特に、入射赤外線による化合物の励起に反応する、化合物による入射赤外線の特定波長の吸収、または化合物による可視および/または不可視領域、例えば赤外領域における電磁放射線の放出である。この電磁応答は、裸眼で不可視の場合、適当な検出器を使用して、特に自動で検出される。好ましくは、入射赤外線による化合物の励起に反応する、可視および/または不可視領域、特に赤外領域における化合物による電磁放射線の放出である。
【0018】
本発明はまた、支持体に貼付することを目的とした接着ラベルであって、
赤外(IR)線に対して不透明でない印刷可能な前片と、
ラベルを支持体上に接着するための接着層であって、前記前片の結合力が前記支持体上の接着層の接着強度よりも低い、接着層と、
前記前片を通して前記赤外線によって照射されたときに既定の挙動を有する化合物であって、前記赤外線による照射の間の前記化合物の電磁応答が前記前片を通して検出可能である、化合物と、を備えた接着ラベルに関する。
【0019】
接着ラベルは、特に、自己接着ラベル、好ましくはセキュリティ自己接着ラベルである。
接着ラベルは、支持体上に適用する前には、接着層の前片と反対の側上に、剥離ライナ、特にシリコーンコート剥離ライナを備え得る。
【0020】
本発明によるラベルは、認証すべき製品上に接着した後、ラベルをはがそうとすると、その結合力が特に支持体上の接着層の接着力よりも弱い前片の凝集破壊による層間剥離がもたらされるという利点を提供する。
【0021】
前片は、キャビティを有するコア層と、コア層と共押出された2つのスキン層とを含む多層複合体を備え得る。
前片は、好ましくは、完全に透明でなく、特に不透明かつ特に白色である。
【0022】
前片は、可視光および/または紫外線に対して不透明であり得る。前片は、好ましくは、可視光に対して不透明であり、規格ISO2471、「紙及び板紙−不透明度試験方法(紙の裏当て)−拡散照明法」に従って測定された可視領域におけるその不透明度は、特に70%を超え、好ましくは80%を超える。
【0023】
前片は、好ましくは赤外線に対して透明である。「赤外線に対して透明」とは、赤外分光光度計によって測定されたこの赤外線の波長の透過率が70%を超えることを意味するものと理解される。
【0024】
前片は、好ましくは700nm〜15μm、好ましくは780nm〜3μmまたは好ましくは800nm〜1μmの波長領域、より好ましくは前記化合物の励起波長の領域における赤外線に対して透明である。
【0025】
前片は、熱可塑性材料、特にポリオレフィンで作製された少なくとも1つの層を備え得る。前片は、好ましくは、ポリエチレン(PE)、より好ましくは高密度ポリエチレン(HDPE)の層を備える。
【0026】
前片は、Arjobex社によって製造および販売されているPolyart(登録商標)TEのタイプの多層構造体を備え、不透明であってよく、このような前片は、多層かつ胞状構造(空隙の存在)の結果として、取り外そうとすると層間剥離を示す。
【0027】
したがって、本発明によるラベルの剥離による不正を試みる間、前片を通して検出可能な化合物は、特に貼付支持体に取り付けられた、接着層を含むラベルの層間剥離された部分上に残留し得る。特に印刷可能面上に印刷された情報を含む層間剥離されたラベルのその他の部分は、赤外線照射の下でこの化合物の電磁応答を示さないため、不正行為を働く者によって再使用されることができなくなる。
【0028】
接着層は自己接着層であり得る。好ましくは感圧性接着剤である。
この場合、「接着層の接着力よりも弱い前片の粘着強度」は、標準化「Finat」ガラスシート(「Finat技術ハンドブック−試験方法)”第9版)に接着ラベルを適用した24時間後に、Finat剥離試験:FTM1またはFTM2を実施すると、前片の凝集破壊があり、接着層において、または接着層/前片界面での凝集破壊がないことを意味するものとして認識すべきである。
【0029】
好ましくは、化合物は、反応する赤外線が、近赤外(NIR)、特に780nmから3μm、好ましくは800nmから1μmに広がる波長の領域に属するものである。
【0030】
化合物の電磁応答が化合物による電磁線の放出である場合、好ましくは、赤外領域、特に700nmから15μmに広がる波長の領域、好ましくは780nmから3μmの間、より好ましくは800nmから1μmの間のNIR領域における発光である。
【0031】
可視領域(反ストークスシフト)における化合物の発光である場合、この発光は、特に前片がある程度の不透明度を示す場合、前片を通して視認できる程度に十分強力でなければならない。前片を通して発光を観察できるようにするために、発光の強度および前片の不透明度が互いに調節される。
【0032】
入射線は特に、赤外光を放射する1つまたは複数のダイオードによって放射することができる。
前記化合物は、好ましくは前片に対して接着層と同じ側上に配置される。
【0033】
前記化合物は、可溶性または不溶性光輝性化合物であり得る。前記化合物は、前片と接着層との間に配置される中間層、または接着層自体に採用され得る。また、好ましくはラベルの表面全体にわたって存在してよく、またはその表面のみの一部に存在し得る。
【0034】
前記化合物を含む中間層または接着層は、フィラーを含み得、かつ/または有色であってよく、赤外励起のために選択された波長において吸収しないかまたはわずかにのみ吸収し、かつ/または化合物の電磁応答の検出を妨げないように化合物の発光波長において吸収しないフィラー、顔料または色素を使用するように注意が必要である。特に、接着層または中間層は、好ましくはカーボンブラックおよび/または赤外領域、特に近赤外において吸収する着色顔料を含まない。
【0035】
ラベルは、中間層および/または接着層および/または追加の層において赤外線を反射するフィラーを含み得る。
【0036】
電磁応答が化合物による電磁線の放射である場合に電磁応答の検出を向上させるために、特に前記化合物を含む中間層および/または接着層は、例えば以下のような赤外線を反射するフィラーを含み得る:
Sicopal(登録商標)Black K 0095(BASF社)
Xfast(登録商標)Black EH 0408(0095)(BASF社)
Luconyl(登録商標)NG Black EH 0952(0095)(BASF)または
Arctic領域から選択されたフィラー(Shepherd社)
【0037】
このようなフィラーは、追加の層においても使用することができ、好ましくは、前記化合物を含む層に対して前片と逆の側に含まれる。前記化合物を含む層が中間層である場合、前記追加の層もまた好ましくは接着層と中間層との間に含まれる。
【0038】
前記化合物は、赤外線の下で、発光性、特に蛍光性またはりん光性であってよく、特に赤外領域および/または可視領域において発光する光輝性化合物から選択され得る。
【0039】
先に説明したように、化合物は、接着層、または接着層と前片との間の中間層に存在し得る。化合物は、好ましくはラベルの全体にわたって存在する。
赤外領域および特に近赤外領域における励起の下で特定の電磁応答を有する化合物は、その材料のベース物質であるポリエチレンが、前記化合物の検出に使用され得る近赤外の波長、特に800から1400nmの間に位置する波長の広い領域において透過性であるため、Polyart TE型の多層構造を有する可視光に対して不透明な前片を通して検出され得る。このことは、出願人が、驚くべきことに、このような前片が可視領域において不透明であると同時に赤外線に対して不透明でないことを見出したためである。本発明のさらなる主題は、本発明によるラベルの認証の方法であり、
前記化合物が赤外線を受けるように前片を赤外線で照射する段階と、
前片を通して前記化合物の応答を検出する段階と、を含む方法である。
【0040】
赤外線は、1つの波長に集中するかまたは例えば700nmから15μmの間、好ましくは780nmから3μmの間、より好ましくは800nmから1μmの間のいくつかの波長の組み合わせから構成され得る。この方法を実施するために、これらの波長は、1つまたは複数の異なる光源によって放射され得る。
【0041】
以下の本発明の実施の非限定的な例の詳細な説明を読み、添付の図面を考察することにより、本発明のより深い理解が可能となり得る。